巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #48 Gemstones

 

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 Gemstones/星見プロダクション


 2023年2月に開催された『IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2023“未来”』で初披露されたゲームリリース後では初の星見プロダクション名義の楽曲。音源はCDシングル、ストリーミング及びダウンロード販売。そして、長瀬琴乃と川咲さくらがデュエットで歌う琴乃&さくらver.がある。

 現実世界では星見プロ10人曲になっているが、作中では長瀬麻奈の楽曲。麻奈が声優として出演したアニメ映画『パラレルトラベル』の主題歌になっていて彼女が作詞を手掛けた。本曲のMVは『パラレルトラベル』のストーリーを模した描写になっている。

 イベントストーリー『音色の輝石が紡ぐ未来』では、本曲を月のテンペストとサニーピースがLIVEで歌うまでの過程が描かれていく。『NEXT VENUSグランプリ』の歴代優勝者が集う祭典に出演する事となったサニーピースと月のテンペストはそこで歌う楽曲を話し合い……遙子が本曲を歌う事を提案して祭典へと臨む事に。このストーリーについて触れていくと長くなるので……遙子&麻奈の心情と、琴乃&さくらの心情について書き殴った所感を読んでいただけるとありがたい。

 タイトル『Gemstones』は宝石へと加工される前の原石という意味。複数形の『s』が付いている事で複数の原石とも捉えられる。麻奈自身もまだ真の輝きを放っていない原石でもあり、一緒に歌いたい対象である遙子、琴乃、さくら達もその中に入っている。完璧な存在じゃない…でも、無限の可能性を秘めて未来へと駆けていけるのだと。

作詞はPA-NON氏、作曲はさかいゆう氏。両名は、長瀬麻奈の楽曲『song for you』を手掛けている。
本曲は、『song for you』を彷彿させる、しっとりと沁み入る優し気で柔和な感じと、秘めた力強さも感じられる曲調。長瀬琴乃役の橘美來さんは「すごく背中を押される曲」。川咲さくら役の菅野真衣さんは「優しくもあり、見守ってくれているような素敵な楽曲」だと評されている。

 それと、麻奈との繋がりの強さを感じさせるある要素が本曲には織り込まれていた。
ダンスの振付の一部に、麻奈の楽曲『First Step』の振付と全く同じ箇所がある。サビの「夢の足跡 追いかけて」の振りが『First Step』の「駆けてゆこう」の箇所の振付と一緒の振りとなっている。楽曲の設定だけでなく、振り付けにも麻奈の存在が共に在る事を実感させる心遣いには、本当に胸が熱くなる。

 麻奈はこの楽曲をLIVEの最後で歌うほどに気に入っていて、観客と一緒に歌う事が恒例になっていたと。あと、麻奈の中では、最後の曲=LIVEが終わる=帰りにカレー屋に寄る図式になっており、本曲をカレーの歌とも称していた。そして、この楽曲を『いつか後輩が出来たら星見プロのみんなで一緒に歌いたい』と言っていた。彼女の中では、この楽曲への思い入れは非常に強かった事がうかがえる。

しかし、麻奈の願いが叶う事は無かった……でも、刻が経ち、その後輩達の中に妹の琴乃がいる事は当時の麻奈に想像出来た未来だったのだろうか?或いは、『パラレルトラベル』は姉妹の物語でもあると麻奈自身は解釈していたので、作中の姉妹と共感するモノを抱いて、いつかは、琴乃と一緒に歌える日が訪れる事を願って……溢れる想いを歌詞にしたためたのかもしれない。

 そして、当時叶えられなかったもう一つの誓いを果たそうと、諦めずに戦い続けて来た遙子の意地。彼女が想いと縁をずっと繋ぎ止めてくれたから、歌い継いでくれる子達が現れて、星見プロの皆で歌う『奇跡』が起こった。

誰が欠けてもこの楽曲に血は流れない…麻奈もその中にちゃんといる。彼女の歌声は無いが、魂は10人に寄り添ってきっと一緒になって歌ってくれている……脳ミソに花咲いた様なおめでたい話だが、自分はそう思えてならないのだ。