巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #51 スフォルツァート

 

 

 スフォルツァート/井川葵


 『LizNoir』メンバー・井川葵のソロ楽曲。

 音源は、本曲のみの配信リリースと、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [Chronicle]』に収録されている。

 いずれは、星見の10人(月スト&サニピ)と長瀬麻奈以外のアイドルのソロ楽曲もリリースされるだろうとは思っていた。たが、その一番手にグループのリーダーである、TRINITYAiLEの天動瑠依、同じLizNoirの神崎莉央、ⅢXのfranではなく、グループのブレーン(参謀)役の葵に白羽の矢が立ったのはいい意味での驚きだった。

 タイトルに銘打たれた『スフォルツァート』は、イタリア語で強めるという意味。本曲のテイストはその言葉通りな強さを感じさせるアグレッシブな楽曲で、高垣彩陽さん曰く「笑っちゃうほど難しい楽曲」。強く激しいという要素のみで捉えると、ダンスが好きな葵のパーソナリティに合致した楽曲とも言える。

本曲を聴いた際、ダンサブルな楽曲というよりも歌声が突き抜けていく力強さに振り切った楽曲という意外性。これは歌声であからさまに曝け出している葵の激情で、高垣さんがBlogに綴られていた「新たな葵の一面を感じてもらえる一曲」の根幹になっているモノだろう。

 しかし、作中において葵の歌唱力についてはベールに包まれているし、歌とダンスだったらどっちが好きかと問われて迷わずダンスが好きと断言する葵。故に、このボーカル特化へ振り切った楽曲を歌っているのは戸惑いを感じる。キャラソンなので当たり前の話だが、葵の声色で歌ってはいるけれど、演じる高垣さんの歌手としての『我』も曝け出している様に聴こえる。

 本曲は井川葵のキャラクターソングであるが、同時に葵のイメージソングとしての面もある楽曲だという事。前述でも触れたが葵に歌唱力が高いという描写は一切ない。だが、この楽曲は高い歌唱力でリスナーをぶん殴っていくボーカル特化に尖らせた楽曲。歌詞が紡いでいる世界観も葵の激情を見事に表現しているし、ボーカル特化の楽曲ではあるが曲調は激しめでテンポは早い。

そこに、最初からクライマックス感全開な高垣さんの熱く溢れ出てくる激情を抑えきれない解き放たれた様な歌声…いや、血の流れる魂の絶唱ダンスで生き様とPRIDEを表現していく葵と、彼女の激情を絶唱で代弁していく高垣さんの魂がリンクしていく構成が効いている。

 ここまでに葵が駆けて来たアイドルの軌跡。様々な出来事の経験や多くの人との巡り逢いがあって…彼女はいろいろと学んで変わる一歩を踏み出せた。やっぱりその中で最も大きなウエイトを占めているのは、同じグループのメンバーである、莉央・愛・こころとの縁と絆。「孤独じゃないから」の詞が示す様に、葵はリズノワと仲間への情が人一倍強くて本当にリズノワの事を大切に想っている。

 LizNoirの四人なら、最高の景色が見られるトップアイドルへと到達出来る。葵は本気で思っているし出来ると信じている。その激情も本曲を彩るモノで、あくまでも個人の印象だが……井川葵の余す所無く解き放たれた激情は、本曲を『決起の謳』でもあり『アンセムとしての説得力をもたらしている。

 

 

 

 

ガールズフィストのLIVEの魅力を斯く語り……参戦を勧めてみる

 どうも。あかとんぼ弐号でございます。



 何やら世間では『大ガールズバンド時代』というモノに突入しているそうな。
その時代の中心として牽引していってるのが「ぼっち・ざ・ろっく!」に登場する「結束バンド」、「BanG Dream!」シリーズの「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」(Ave Mujicaは入れていいのか分からんが…取りあえず入れておく)そして「ガールズバンドクライ」に登場する「トゲナシトゲアリ」。

と、まあ……昨年の今頃~今日に至るまで、上記に挙げた作品やバンドの名やら楽曲はいろいろと聞こえて来る。おそらく世の人々に『大ガールズバンド時代』の中で目立つ存在は?って聞いたとしたらこの4つのバンド名が出る率ってのは高いだろうと思っておる。

自分も、全部ではないがこれらの作品や関連している楽曲を聴いた事はある。肝心のストーリーがしっかりしていたのもあるし、楽曲も普通に強いので話題には当然なっていく。ただ…それらを踏まえて言いたい事があるワケよ。

 確かに、これらの作品、楽曲、バンドは強い。でも、それらに真っ向から対抗できる存在がいる。その存在はいろいろな意味でまだまだ小さな存在と評せざるを得ない。でも、前述に挙げた4強へ割って入れるポテンシャルを秘めた存在でもあると思っておる。


 その存在…バンド名は『GIRLS' F1ST!!!! GT』(ガールズフィスト!!!!GT)


 そのバンドが、11月24日(日)にワンマンLIVEを開催する事が決まっている。
前置きがクソ長くなってしまったが、本稿では『ガールズフィスト』のLIVEの魅力について伝わるかどうかは完全な未知数ではあるが……自分なりに感じたモノをこれから書き殴ってみようと思う。

 

 

 

 パンクロックに込めた叩き上げの魂と生き様


 ガールズフィストはパンクロックバンド。ボーカルは奈川芳野役の浅見春那さん。ドラムは白瀬双葉役の内山つかささん。ギターは坂ノ下奏恵役の奥村真由さん。ベースは藤森月(月はルナと読む)役の八木萌々菜さんによる4ピースバンド。LIVEでも彼女達が被せじゃなく実際に演奏して楽曲を歌う。

で、その楽曲は本当に強い楽曲揃いなのだ。それはお前の贔屓目じゃねえか!と言いたいだろうが、本当に強い楽曲なんだからどうしようもない。ただ、コレに関しては実際にその人の感性にゆだねるしかないので、まずはガールズフィスト楽曲をとりあえず聴いてもらって各々がジャッジしていただきたい。

 その楽曲はバラエティに富んだモノになっていて、爆ぜる感情をそのまま演奏や歌に乗っけた激熱でパンクロックらしい楽曲もあれば、元気溌剌とした楽しさ溢れるガールズバンドっぽい楽曲や、アイドルソングっぽいキュートな楽曲、LIVEの雰囲気を一変させじっくり沁み入る様に聴かせていく楽曲もある。

また、彼女達のLIVEの大きな特徴でもある往年のパンクロックシーンを湧かせた過去の名バンドの楽曲カバーも聴かせてくれる。このカバーも彼女達が実際に演奏している。

 それらを実際に演奏しているメンバーだが、演奏経験のある子もいればそうじゃない子もいる。
全員集まっての練習は当然ながら、自主練したりLIVEとは別のイベントになっている練習風景を公開している『公開練習』によって彼女達は研鑽を積んでいく。

それが爆発していくのが……ワンマンLIVEだと勝手ながら思うのだ。積み重ねた修練による確かな演奏スキルが備わっているのはもちろんだが、それ以上にこちらの魂を揺さぶってくれるのが、テクニック以上に魂を懸けて四人は本気でぶつかって来る。常に全力全開で今の四人の本気を表現してくる。

 内山さんのドラムは、常に笑顔でいて彼女自身が心底楽しんでいるのが伝わって来る様な激しくも楽しい音を叩き出している。

 奥村さんの奏でるギターは、彼女の普段の佇まいであるほんわかされた雰囲気とは別で、力強くて格好良いいい意味での悦に入った表情が魅力的。彼女によるギターソロは思わず聴き惚れてしまう説得力に満ち溢れている。

 ベースの八木さんは、つい先日(8月開催のワンマンLIVE)に新加入。当然ながら他のメンバーとの連携は深いモノではない。でも、本当に必死に食らい付こうとする姿勢が見ていて伝わって来るし、何よりもLIVEを目をキラキラさせて全力全開で楽しんで盛り上げる『陽』のオーラを解き放っていく。

 そして、ボーカルの浅見さん。彼女の真骨頂は会場全体を制圧していく存在感と説得力。彼女の凄い部分を語っていくとクソ長くなってしまうので過去に書いた記事を貼り付けておくのでそちらを参照していただきたい。

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 

 何度打ちのめされても立ち上がる者達の物語


 『ガールズフィスト』というコンテンツとバンドはここまで順調に来れたワケじゃない。このバンドは、過去に三度のメンバー入れ替えがあった。詳細は伏せるが……最初はボーカルの子が替わって浅見さんが加入。ベースは二度入れ替わって八木さんは三代目になる。

 言わずもがな…人が入れ替わるってのは本当に一大事。歌声の質や持っている雰囲気やLIVEという特殊な場と刻でしか出せない雰囲気も違う。演奏の細かいクセだってそうだろう。全部が全部前の人をそっくりそのまま完璧にトレースし切れるなんて出来る事じゃない。それに、世界史に残る感染症と活動が重なってもいた。それに、今年の春には所属レーベル移籍という大きな決断もあった。

正直な話、このまま終わってしまうんじゃないか……と思わされたし、彼女達や周りのOTONA達もそう感じてたかもしれない。でも、彼女達は立ち上がって戦っていく道を選択して今日へと至る。自分が魂を揺さぶられる叩き上げの魂を感じさせてくれる。

 楽曲に血を流して多くの人の魂を揺さぶるには、歌う者達の生き様が反映されていくモノだと自分は思っている。ただ単純にいい(強い)楽曲じゃ魂には響いて来ない。何がその人に響いて感動と興奮へ至るかはそれぞれに違う。でも、四人の生き様と本気の魂はきっと多くの人を揺さぶる可能性に満ち溢れていると思えてならない。

 

 

 治安の良さ


 ガールズフィストのLIVEは、オールスタンディング(オルスタ)の会場が主になる。
オルスタと聞くと抵抗を感じられる人は少なくないだろう。まあ、座席あるLIVEでも一部のアホがやらかす案件はあるんだけど……よく聞くのは、やたら動く奴が隣や周辺に居て過度にぶつかるとか、オルスタだけじゃないが奇声で楽曲の雰囲気を台無しにするとかいろいろある。興味はあるが参戦を躊躇う人はそれが引っかかっているのだろう。

 ただ、ガールズフィストのLIVEではそういった治安の乱れってのは見られない。
誰が先導したかは分からないし無かったのかもしれないが、ちゃんと観るマナーとルールが守られている。盛り上げる声をちゃんとした場面で出して、聴き入る所ではちゃんと耳を澄まして聴き入る。過度に動き回るアホもおらんし、アクトの雰囲気を妨げる奇声もない。

 盛り上がりたい人は他の人の邪魔にならない様に全力で盛り上がっているし、じっくり聴きたいって人はじっと聴き入って、きっちりと住み分けが出来ているLIVEの雰囲気がある。LIVEとはこう観て楽しむべきだといった定義はすべきではないが、ここの雰囲気を自分は心地良くて、本当に素晴らしいLIVEを披露してくれると思っている。

 


 撮影可のLIVE&終演後の特典会


 ガールズフィストのLIVEの大きな特色に挙げられるのが、LIVE本編の写真&動画撮影可能と、終演後の特典会(サイン会)だろう。これは、声優LIVEでは結構珍しい様に思える。

しかも、来月開催のLIVEは全編撮影が可能との事で、撮ったモノをSNSにアップも可能。(ただし、カバー曲を撮ったのはOTONAの事情でNG)LIVEの模様を後で見返すのも良いし、レポとしても使える。

 で、終演後に開かれる特典会。コレはLIVE物販を一定金額購入すると参加券がもらえるシステムで購入金額が多ければ何度でも参加出来る。僅かな時間ではあるがサインされてる間に会話も出来るのでLIVEの感想を直に伝えられるってのは本当に良い事じゃないだろうか。

 


 最後に……


 と、まあ自分なりに感じた『ガールズフィスト』のLIVEの魅力を書き殴って来た。
勿論、無理に参戦を勧める事は出来ない。もしも、初めてLIVE参戦される人だったら本当に楽しめるのかと思ってしまう。他のLIVEと比べて安い部類に入るが対価(=金と刻)を払っている事には変わりは無い。


 ただ、一つだけ断言出来ることがある。


 自分が『ガールズフィスト』を知ってこれまで観て来たLIVEは、どのLIVEも非常に楽しめた満足度の高いモノだった。激熱で燃え滾って、楽しみ尽くせて、エモーショナルな感傷に浸れるのが『ガールズフィスト』のLIVEの真骨頂ではないだろうか。

 コレを読まれた人(…いるのか?)がこの怪文書をどう捉えてアクションを起こされるのか?参戦してみようと思われてチケットを購入されたらそれは本当に嬉しいし、コイツの書いてる事がいまいち伝わらねぇから自分で確かめて来るって人もいるかもしれない。それはそれでコレを書いた意味があるってモノだ。

 とにかく、一人でも多くの人が来月開催のLIVEへ参戦される事を願いつつ…本稿の締めとさせていただく。
 

 

生き様の証ーガールズフィスト!!!!GT ミニアルバム「F1RST!!!!」発売記念ワンマンライブ@新宿SAMURAI参戦レポ

 10月5日。新宿SAMURAIにて開催されたガールズフィスト!!!!GT ミニアルバム「F1RST!!!!」発売記念ワンマンライブ@新宿SAMURAIに参戦して来た。

 

 


 今年の四月にレーベル移籍し、ここまで四作のシングルがリリースされる毎にそのリリースLIVEと称したワンマンLIVEが開催されて来た。

で…ミニアルバムのリリースも発表されていたので、そのリリース記念LIVEも開催されるだろうと(勝手に)思っておった所に、前回のLIVE(8月に開催された4thシングルリリースLIVE)にて告知された時は、歓喜の感情に打ち震えたものである。

 そのミニアルバムなんだが、細かい所感なんぞはその内に記事にしようと思っておるので、本稿では触れないが聴いて感じた大まかな印象としては……これまでのガールズフィスト楽曲の路線を踏襲している楽曲もありつつ…新境地開拓の意味が込められた楽曲もあって、本当に聴き応えがあった素晴らしいアルバムで、LIVEという場でこれらの楽曲がどういう表情で魅せてくれるのかも楽しみだった。

 ミニアルバムの楽曲、これまでのガールズフィスト楽曲、そして…楽曲に血を流していく四人のパフォーマンス。これらの見事な融合によって感じられた感動と熱狂をこれからいろいろと書き殴っていこうと思う。

 

 

 駆けだしたら止まらない~ハイスパート&ハイテンションなLIVE


 今回のLIVEは、一言で言ってしまうと異様なLIVEだったと思う。
企画コーナー的なモノは一切無く、MCの時間もそう多く割かれてもいなかった。とにかく一曲でも多く演奏と歌を届けたいという想いが込められたLIVEだったんじゃないだろうか。

レーベル移籍してから出逢えた14曲の楽曲に、旧体制の楽曲、他のバンド楽曲のカバーと……まるでこちらを畳み掛けていく様に攻め込んで来た。ただ、それはこれまで自分が参戦して来た過去のLIVEでもあった要素だけれども、今回はそれらの熱量が全く比較にならない凄まじさがあった。

 その異様な熱量を滾らせていたのは言うまでも無く、浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、八木萌々菜さんの想いと覚悟と意地が演奏と歌声に乗っかっていたから。逆に言えば、そこまで我を曝け出せたのは、彼女達が奏でているのがパンクロックだからだろう。

パンクロックの形式や定義は様々あるけれど、何かに反抗する意思を音に込めて発散する音楽だと自分は勝手に捉えている。彼女達は、演じているキャラクターを宿していてもLIVEを通じて、個の生き様が音楽に乗っかっていく。そこに自分だけじゃなくてあの刻と場に参戦された多くの人は、彼女達がステージで見せた生き様に魅せられ、熱を滾らせてあの異様な熱へと昇華していった。

 我々が発する熱を彼女達が受けて、パフォーマンスの質も上がっていった。
浅見さんについては後述するとして……まずは、前回のLIVEで役とパートを引き継ぐ形で新加入された八木さん。あの時は、初お披露目ということもあったのか、極度の緊張があったけれども…LIVEが進行していくに連れて、目を輝かせた笑顔全開でパフォーマンスされていたのが印象深かった。

あれから、対バン形式のLIVEだったり公開練習もあり、今回のワンマンへの準備もあった。勿論、大変なのは他のメンバーも同様だが、八木さんの場合後から加入という手順を踏んでいるので三人との連携の深さを詰めなきゃならなかった様に思う。

でも、このLIVEでの八木さんは前回同様に目を輝かせて思いっきりLIVEの雰囲気を楽しんでいた。
いろいろキツい事やプレッシャーってのはあっただろうがそれをこちらに感じさせなかった。肝が据わっているのか、抱えるjマイナス要素をちゃんとプラスのエネルギーに上手く変換できる人なのか。八木さんのとにかく楽しむというスタンスは、こちらにいい刺激になって楽しませてくれる事を改めて感じた。

 で…やっぱり『ガールズフィスト』を支える内山さんと奥村さんの存在は大きい。
怒った所を見た事がないと評されるほど柔和な雰囲気を醸し出してる奥村さんと、一緒になってはっちゃけながらも、締めるべき所はきっちりとしてバンドにメリハリを利かせている内山さんがいる事によって、浅見さんと八木さんも伸び伸びとされている。

そのメリハリってのは、二人の奏でるドラムとギターの音にも表れているのだろう。例によって技術的な事や明確な知識でもって語れる舌は無いが……彼女達の激情が音に乗っかっている様に思えてならなかった。特に、ギターソロの時の奥村さんの雰囲気がとにかく格好良かった。その格好良さは普段の彼女は見せない要素で、そのギャップに惹きこまれるのだろう。

 

 

 調和を壊す者の真骨頂


 切っ掛けはド忘れしてしまったが……過去のインタビュー(シングル・Only my Way!!!!リリースの記事)をちょいと漁っていたら、浅見さんについて評された言葉が凄く印象深かった。ちなみに評したのは、初代の藤森月役だった古川由利奈さん。

 


 浅見の役割は、空気感を調和することじゃないよ。空気を壊すことがあなたの役割です。

 

 

 古川さんの言を踏まえて、自分の知り得る限りでのイベントでの浅見さんを振り返ってみると、腑に落ちる部分が多かった様に思えるし、今回のLIVEにおいて浅見春那という表現者を見るべき最大のポイントになるなと思えた。壊す者の真骨頂が発揮されたのが、LIVEのクライマックスで歌った『WISH』と『月季花』。

 『WISH』を歌う前にMCがあったんだけど、浅見さんはメンバーとこの日会場に参戦された観客に向かって感謝の言葉を述べていった。これまで楽しく激熱な雰囲気は見事に浅見さんのMCでぶっ壊れてどこかしんみりした雰囲気へと変換されていった。で…そっからの『WISH』で涙腺もぶっ壊された……もう俺の中で、この楽曲はそういう(涙腺決壊)モノへ進化してしまったのだ。

 そして『月季花』。この楽曲はミニアルバムに収録された新曲。このLIVEで一番聴きたかった楽曲でもあった。いい意味でこれまでのガールズフィスト楽曲になかった「らしくない」オリエンタルチックで幻想的な曲調が印象的。楽曲の大部分を占めているのは切ないテイストだけれど……サビでは一転して未来の希望に向かって生きようとする意志を感じさせる情念に満ち溢れたモノに変わっていく。

 勝手な考察というか解釈なんだけど…この楽曲は切ない要素にボーカルが引っ張られると楽曲として成立しないように思う。メロディもそうだし、内山さんが書いた歌詞に込められたメッセージをちゃんと落とし込まないとちゃんと血が流れない。

ただ、そこは変幻自在の『貌』を持つボーカル・浅見春那。LIVE終盤だったが、リミッターが外れた様力強い歌声だったし、その歌声にきっちりと情念と魅入られてしまう様な色香も乗っかっていた。それは、『WISH』の心地いい余韻を壊した圧巻のパフォーマンスだった。

 この子は、この先どこまで凄くなっていくのか……単純に「浅見春那がヤバい……」って言葉が自然と出てしまった。

 

 

 軌跡の集大成、ここからの未来へ……


 冒頭の四方山話でも触れた様に、今年の四月にレーベル移籍が発表されて、シングル四枚とミニアルバムがリリースされて劇的に楽曲は増えた。それと、数曲のMVを彼女達が演じているキャラクターではなくキャスト陣が出演するパターンのモノが制作されている。

それだけじゃない。LIVE物販で販売されたグッズの品数も以前より種類が増えたし、ネットを利用した配信によるアピールも増やしている。他にもいろいろとあるが…とにかく移籍してから今日までの流れは、アグレッシブな攻めの姿勢を感じさせるモノだと勝手に思ってしまう。

 今の『ガールズフィスト』は、全体が激熱に滾ったエネルギーでもって突き進もうとしている。その熱のバランスは偏ってはいけないモノ。キャストだけ燃えても駄目だし、運営サイドだけ燃えても駄目。本当にいろんなモノを懸けないと戦えない。『このままでは終われない。いや、終わらせない!』という意地と覚悟が伝わるLIVEだったと全編振り返ってみて感じたモノだった。

前にも言ったが、良い事ばかりじゃない。本当に終わりかけた事もあっただろう。苦悩した事や悔しい事なんて数え切れないほどあったのは想像に難くない。それでも、このコンテンツに関わっている人達の想いと魂を汲み取って、浅見さん、内山さん、奥村さん、八木さんはパフォーマンスに全部乗っけてこのLIVEできっちりと戦った。

 そんな想いと魂を見せられて、こちらの魂と感情が揺さぶられないワケが無かった。
これが『ガールズフィスト』のLIVEだ!!!!ってのをこれでもかって程に叩き込まれた。終演した直後は、いろんなモノを余す所無く出し尽くせた疲労感が襲ってきたが、それも心地いい疲労だった。そして…何よりもこのLIVEが何のトラブルもなく終演出来た事が本当に素晴らしかった。

 あの刻と場にて受け取った想いの丈を全て出し尽くせた余韻に浸りつつ……この参戦レポの筆を置く事にする。

 

 

 

 

IDOLY PRIDE 星空編(1話~10話)を斯く語る

 現時点(2024年9月末)まで、メインシナリオ・星空編が10話まで公開された。

 

メインシナリオという事から、東京編やBIG4編と同様に星空編も長期に渡って話が展開していくのは当然な流れ。取りあえずの所、この10話までは星空編のイントロダクション的なモノなのかと思えた。

ただ、冒頭部分ではあったものの…そこでは密度の濃い物語が展開され、いい意味で予想を裏切ってくれたので素直に好印象を抱いた。それに加えて、今後のストーリー展開へと結びつける様な楔もきっちり打ち込んでくれたのも前述した好印象の一つ。

それらのインプレッションは、今後のストーリーを考察(…と言うかは妄想だが)していく上で重要なモノ。そんなワケで、ここまでのストーリーの所感と今後のストーリー展開の考察(妄想)なんぞを書き殴っていく事にする。


 ※本記事では、メインストーリーのネタバレが大いに含んだモノとなっており ますのでご注意下さい。所感と考察につきましては、個人の思考や所感から導き出した一つの考えになっています。当然ながらここから書いたモノが絶対に正しいとは言えませんので、あくまでも個人の所感や考察の一つとして捉えていただけたらと嬉しく思います。

 

 


 

 叶った再戦の刻


 10話までのストーリーのキモになっていたのは、サニーピースとTRINITYAiLEの再戦。
勝手な話だが…この2組を再戦させるのはもう少し先の事だと予想しておったので、早々にカードを切ったのは正直驚いた。

早い段階でサニピvsトリエルのバトルまで描いたのは、BIG4編の反省なのかなと。書いた人からすれば違うだろうが、自分はそう感じた。

 その反省ってのは何かって事だが、自分がBIG4編で感じていたストーリーの引き延ばし感だと思っている。BIG4編のキモになっていた要素は、BIG4の座にいたどりきゅんと月ストとの因縁。でも、どりきゅんを絡ませるまでが長かった。どりきゅんとの最初のバトルが描かれたのがBIG4編19話で、サニピvsトリエルの再戦の結果まで描いたのが星空編10話。

単純な話数の差だけじゃなく、実際の更新速度や期間を踏まえて考えてみると、サニピ&トリエルとの因縁に取りあえずの区切りをつけた所は好印象を抱いた。

 

 

 折られた翼、持っていなかった『モノ』


 10話のタイトルに銘打たれた『持つ者と持たざる者』。この言葉は自分が『IDOLY PRIDE』の物語を構成する重要な骨格と言っても過言じゃないと思っている。持つ者はサニピ。持たざる者がトリエルになる。

この2グループによる再戦は、まずトリエルが自己ベストを更新する高スコアを叩き出した。だが……サニピはトリエルのスコアを大きく上回るスコアで圧勝した。ここまでの圧倒的な差を、スリクスのmihoはこう評した。

 



 BIG4に昇格してさらなる高みで戦い続けるサニピと

 負けないように強敵を避け続けてきたトリエル……

 そんな両者の間に いつの間にか差が開いていても不思議はありません

 

 

 

 トリエルがこれまでサボっていたワケではなかった。ライブバトルの連勝を重ね続けてきて、BIG4に最も近い段階まで昇って来た実績もある。しかし…それでも簡単に届かないのがBIG4の座。

強敵を避け続けたとmihoは言ってたが、実際の所トリエルとちゃんと殴り合えてせめぎ合える程のグループがもういなかった様にも思える。僅差で勝ったランキング五位だった相手も、程度はあったにしろトリエルにとっては力の差のある格下だったのかもしれない。

トリエルはここまで本気で戦って来たと思っていたが、実際の所は限界を超えた戦いが出来なくて知らず知らずのうちに、相手に合わせた戦い方になってしまった。そして、サニピが持っていてトリエルが持っていない『モノ』…その『核』を持っていない者はBIG4には勝てないとmihoは言う。

mihoは『核』と称したモノは『WHAT  IS “IDOL”?』の答えだ。それを持つBIG4と持たざる者とでは本当の意味で同じステージで戦えない。つまり、この再戦の勝敗は既に戦う前から決まっていたと……

 この後のトリエルだが、魂の再生と『WHAT  IS “IDOL”?』の答えを掴み取る物語になるのだろう。
それをどう描いていくのか?BIG4編の琴乃の様に星見プロから抜けるか?他のグループとの絡みで何か答えを得る道なのか?

ただ、どちらの要素もBIG4編で使っている。そのまま同じ手が使えるモノではないが…描き方の限界はどうしてもある。自分が予想しているのは、月ストの面々が絡んで来るのではと思っておる。

おそらく、トリエルはこの後絶不調ルートに入るはず。月ストもBIG4(スリクス)に負けて絶不調ルートに入った経験があるし、同じ境遇にあった者の力を借りて事態を打開していく展開もアリなんじゃないかとは思う。

それと、失踪してどこかで特訓って展開も予想はしてるんだけど、流石にコレは現実離れな上に、身勝手が過ぎる。実際にコレで描いたら琴乃の時以上に非難轟々になるからこの線はなさそうかな。

 

 

 暗雲の兆し


 トリエルとの再戦を、一方的なオーバーキルによる勝利で飾ったサニピ。
ただ、そんなサニピの強さを引き出したのはトリエルが相手だったってのもある。どのアイドルにも負けないグループまで成長を遂げたと言っても過言じゃない。

でも、このまま完全無欠の存在としてサニピを描いていくのか?自分の考えとしては、それはNoだと思っている。取りあえず上げる所まで上げといて、徹底的に下げる展開に持ち込むんじゃないかと思っている。その兆しになっている要素はさくらの変化。

 さくらの変化についてだが、それはBIG4という立場になった事。その事を証明しているのがさくらが7話で瑠依に言い放ったこの台詞。

 


 BIG4になった私達は、負ける訳にはいかない

 勝つのは私達、サニーピースだよ!

 

 

 一見すると違和感のない台詞に思えるが…さくらが言ってる事に違和感をどうしても感じてしまうのだ。勝敗が全てとは違う所にあるのがサニピとさくらの強さ。でも、今のさくらは楽しんで歌う事よりも勝ち続ける事に囚われてしまっていると感じ取れる。しかも、さくらはその自覚すらない。コレは結構な重症だろう。

さくらの理想とするアイドルの在り方と、BIG4の立場として強く立派で在り続けなければいけない事は、さくらにとっては相容れないモノの様に思える。そのズレこそがサニピが落ちていく挫折へ繋がるのでは?なんて思っている。

さくらがこのまま良くない方向へ暴走して、怜、遙子、千紗、雫が違和感を抱いた末についていけないと思いサニピが壊れていく。サニピの魂の再生とさくらが置き去りにしてしまった心からの笑顔を取り戻す事が今後のサニピの物語のテーマになっていくのかなと。

 

 

 終わりに

 

 冒頭でも触れた様に、10話という短い中で密度の濃い物語が展開された事には好印象を抱いた。
ストーリーは、ここまで絶好調だったってのがフラグとして効いていたトリエルが徹底的に打ちのめされて挫折の方向へ展開した事。

そのトリエルを打ち負かしたサニピの方も順調だけども徐々に暗雲が立ち込めるのか?という要素は面白いと感じ、今後長くなるであろうストーリーの導入部分としての掴みとしては素晴らしい落し所だと思っておる。

でも、肝心なのはここから先の展開。期待しているし、せっかくいいテンポで描かれているのだからここで区切らずに突っ走ってもらいたいと願いつつ……怪文書の筆を置く事にする。

 

 

 

アイプラ楽曲ライナーノーツ #50 No.1☆

 

 

 No.1☆/一ノ瀬怜


 一ノ瀬怜のソロ楽曲。ゲーム内のイベント形態の一つである「もしも君と恋をしたら」~一ノ瀬怜編のTRUEエンディング後のスタッフクレジットで流れた楽曲。音源は配信によるリリースと、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [Chronicle]』に収録されている。

ユーザーアンケートで声が多かったらしい「アイドルとの交流をメインにした新コンテンツ」という要望に応え、「アイドルと恋愛できる新機能」として「もし恋」は誕生した。

イベントの内容は、星見プロダクションの所属アイドルがヒロインの自分役を務めることになった恋愛ゲームを、マネージャーがテストプレイとして攻略していくというもの。その第1弾として選ばれたのが一ノ瀬怜である。ちなみに現在までで(2024年9月時点)第2段のヒロインとなった伊吹渚編、第3弾のヒロインとなった早坂芽衣編がある。

この「もしも君と恋をしたら」(略称・もし恋)については、詳細を語っていくとそれのみで記事が一本書けてしまえるボリュームになるため、本稿ではざっくりとした概要の説明だけに留めておく。(その内書くかもしれない…多分)

 曲調は、ビッグバンドジャズ調の爽快なダンスチューンで、華やかなパレードを彷彿させる様な楽曲。制作陣曰く、ブロードウェイのミュージカルをイメージして制作したそうな。

この『パレード』という要素を意識させることが、怜のソロ楽曲においては重要なモノだと思える。実際の怜や「もし恋」内の怜も、テーマパークのパレードで踊るキャストを観て感動した事がダンスを始める切っ掛けになった。

ダンスで糧を得るという最大の夢へ邁進していく彼女自身を鼓舞していく事。華やかなステージで踊る怜を観て、憧れを抱いた人の最も輝く存在でいる事。恋愛がテーマになっている作品の楽曲である事から、意中の彼(=もし恋のプレーヤー)の唯一無二の存在でありたいという願い。それら全部含めて怜の『No.1☆』の夢であると訴えているのだろう。

怜の恋愛観と心情を歌ったラブソングであるのが確固な要素としてある。ただ、本曲はそれだけに収まっていない。聴く人を奮い立たせるアンセムでもあるし、誰かの背中を押すエール(応援歌)でもあると自分は解釈している。

 未来の希望を感じさせるアップテンポで軽妙なメロディと、結城さんの甘くキュートな晴れ晴れした歌声との組み合わせが実に見事。怜のパブリックイメージとしてあるのはクールでストイックなイメージだが、この楽曲ではクールさがある格好いい要素は感じられない。でもそのギャップこそが、楽曲の魅力をより引き立たせてミスマッチ感に撃ち落される……

 結城さん曰く、この楽曲はアイドルの怜が歌っているけれど、「もし恋」の怜も演じて歌っていると。
これまでにリリースされたソロ楽曲に無かったこの新しいチャレンジは、アイプラ楽曲の新しい可能性を広げたと言っても過言ではないと思っている。

 

 

 

ガールズフィスト!!!!GT 4thシングル Shining Ray~暁光~/クリームソーダを斯く語る。

 先日、『ガールズフィスト!!!!GT』の4thシングル『Shining Ray~暁光~/クリームソーダ』がリリースされた。

これらの楽曲は、リリースされる前よりLIVEなどで歌われていた楽曲。それがようやく腰を据えて聴ける様になったのは本当に有難くて嬉しいモノである。

ただし、そう書くとLIVEで聴いた時は印象が薄いと捉えられかねないので言っておくが、LIVEで聴くのと音源をじっくりと聴いた際に受けるインプレッションは全然違ってくる。勿論、どちらが優れているとか劣るなんてモノはない。LIVEの場で聴く良さもあるし、音源をじっくり聴いた時でしか分からない良さもあるが……ここでLIVE論的なモノについて触れる気は無いのでとっとと本題へ移ろう。

 これからこの二曲について書き殴っていくのは、じっくり聴いて感じたインプレッション。
当然ながら、ここに書き殴るのは個人が勝手に感じたモノで、完全な正解だというつもりは無い。コイツはこういう解釈しておるのか…という温かい視点で捉えていただけると幸いである。

 

 

 

 Shining Ray~暁光~

 

 

 

www.youtube.com



 コレは、完全な個人の偏見交じりの主観だが……イントロの時点で、これまでのガールズフィスト楽曲らしくない楽曲だなと感じた。ただ、このらしくなさは否定の意味じゃなく、こういう引き出しもあったのか?!という驚きの方だったりする。

うねる様なギターの音に、低音を効かせ前面にアピールしていくドラムとベースのが音が印象深い。明確な違いの定義を語れる知識と舌は持ち合わせておらんが……全体的にパンクというよりもヘビメタ寄りへ振り切った曲調という感じ。

 作詞は、先代(二代目)の藤森月役の井上杏奈さん*1がほぼ一人で書き上げて、そのままレコーディングへ流れていったと。ワーナーミュージック・ジャパンのEric氏と対談した動画にて井上さんは本曲についてこう語っていた。



 ベースラインが主になって曲が始まっていって、サビへ向かって上がっていく様が、暗い夜から朝日が昇っていく一筋の光のイメージが、暁光=朝の光としてタイトルに銘打った。

 朝の光=彼女(=井上さん)の自信満々だった頃の過去の自分がテーマになっている。
 詞の『君』=過去の自分。自分ともう一人の自分との対話の楽曲であり、過去の自分を思い出し、解き放って奮起するみたいな……

 

 

 

 この楽曲のタイトル『Shining Ray』を直訳すると、明るい光か輝く光。で、暁光は昇っていく朝日。タイトルのみで捉えると、ポジティブで明るい楽曲なのかと思わせるが……イントロからその予想は一気にぶっ壊された。

完全なダウナー系とまで落ちていないが、どこか斜に構え不穏な雰囲気がサビまでの進行で感じてしまう。そこまでの流れはまだ日が昇らない世界をイメージさせていく。演奏もそうだが、浅見さんのボーカルも結構な低音域で歌っているのが更に拍車をかけてる感じで、現在の自分が置かれている、ままならない鬱積した心情を謳っているのだろう。

 しかし、サビへ突入すると、楽曲の雰囲気は一気に変化する。過去の自分との対話が果たせて、魂が真の意味で一つになり、未来に向かっていく勢いと疾走感を感じられる。このサビのパートが、とにかく格好良い方向へ一点振りして突き抜けていく。スタイリッシュ感ある演奏もそうなんだけど、やっぱり、浅見さんの低音域ボーカルが発する格好良さが際立つ。

 

 


 クリームソーダ

 

www.youtube.com


 新体制になってリリースされたどの楽曲より…いや、ガールズフィスト楽曲全体を見回していっても、本曲の振りキレ具合がとんでもない方向に行ってしまった楽曲。

作詞を主導されたのが、内山つかささん。彼女曰く、楽曲を聴いて感じたのが、ソーダの様なシュワシュワと弾ける爽やかさと可愛らしいメロディというインプレッションだったとの事。それをメンバーに伝えた所、全員がその可愛らしい爽やかで弾ける様なイメージを共通していた。

 楽曲全体のテーマになっているのは、女子の恋の駆け引きをクリームソーダに例えたとの事。
曲調もまた、可愛らしさを思いっきり前面に押し出したロリータパンクテイスト。『Shining Ray~暁光~』のテイストと比べるとその落差で膝がぶっ壊れて腰抜かすほどの衝撃である……

そのメロディに彩りを添えていく浅見さんのキュートなボーカル、自由奔放なメロディを奏でる演奏、オノマトペが駆使された(勿論いい意味で)変態的な歌詞……この楽曲には楽しめる要素が盛り沢山となっている。公式サイトの本曲の紹介文に、『おもちゃ箱のようなラブソング』と書かれていたが、本当にその通りの楽曲だなと頭がもげそうになる程に頷きまくってしまった。

 その楽しさは、音源のみよりもLIVEで聴くと、とんでもない跳ね方で盛り上がる。
音源をじっくり聴いても普通にキュートで賑やかな楽しい楽曲なんだけど…正直な話、完全なLIVE仕様の楽曲へと仕上がり、音源で聴くのとLIVEで聴いた時の充実感は格段に違っており、言わずもがな、LIVEで聴いた時の方の充実感と楽しさに軍配が上がるのである。

 

 

*1:現在は療養に専念される為脱退されている

再び太陽が昇る刻ーガールズフィスト!!!! GT ワンマンライブ@吉祥寺SHUFFLE参戦レポ

 8月30日。吉祥寺SHUFFLEにて開催された『ガールズフィスト!!!! GT』ワンマンライブ@吉祥寺SHUFFLEに参戦して来た。

 


 先日、ベース担当・藤森月役の井上杏奈さんが、体調不良の療養のため『ガールズフィスト!!!!GT』メンバーとしての活動終了が告げられた。その報が告げられる前に開催された3rdシングル発売記念LIVEでは、パンクバンド・SAのベーシストのKEN氏が井上さんの代役を務められた。

で、今回のLIVEも代役のベースを立てて臨むのかと思っておった矢先……新たなBa.藤森月役の新メンバーが、この日初めて登場&演奏しメンバーに正式加入されるとの事。

いずれは後任の人が出て来るだろうが、加入時期はもうちょい後になるのでは?と普通に驚いたが、これだけ早いとねぇ……と、あえて書かないがいろんな事を勘繰ってしまうのだ。ただ、それでも早い内に後任の方が決まってくれたってのは本当に喜ばしい事ではある。

 そして、このLIVEだが金曜夜開催のLIVE。自分の職場から戦場(開催地の事ね)である吉祥寺までは1時間程かかる……何やかんやあったが、急いだおかげで開演時刻ギリギリで到着出来た。ただ、開演自体は10分ほど過ぎて開演したがwww


 と、まあ、そんなLIVEで感じられたモノを、これから書き殴っていこうと思う。

 

 

 幕代わりとして吊り下げられたプロジェクタースクリーンがゆっくり上がっていきLIVE開演。
ステージ上には、ボーカル・奈川芳野役の浅見春奈さん、ドラム・白瀬双葉役の内山つかささん、ギター・坂ノ下奏恵役の奥村真由さん、そして…ベース・藤森月役の新メンバーの四人が立っていた。LIVEスタートの前に各々が自己紹介し……新メンバーさんも自己紹介。
 

注目の新メンバーさんの名は……八木萌々菜(やぎももな)さん。


その声は震えて…とまではいなかったけども、どこか緊張してるなってのが伝わっていた。でも、希望に満ち溢れた力強さが彼女から漲っていた。このLIVEは、前述した様に、新メンバーである八木さんの初お披露目のLIVEでもあるがそれだけじゃない。表現者としての始まりの一歩を踏み出す、BIRTHDAY LIVEでもあった。そんな喜びの方が抱いていた不安感より勝って、力強さに至ったのだろうと思える。

 メンバーの自己紹介&八木さんのお披露目も無事終えて、アニソンカラオケメドレーからこのLIVEはスタートを切った。

LIVEのセットリストの構成にはいろいろな形式があってどれも正解は無い。演者や観客の熱を温めていくアイドリング的なやり方だったり、意表を突いていくやり方もある。このLIVEに関して言えば、前者である、演者と観客の熱をアイドリングして全体の雰囲気を盛り上げようという意図があったんだろうなと。腕組みしてうんうんと頷いておった所に、あの楽曲のイントロとコーラスが流れて…仰天し顎が外れかけた。


 ♪CHU-LU CHU-LU CHU-LU PA-YA-PA


 通称「ちゅるぱや」。そう、水樹奈々さんの『DISCOTHEQUE』であるwwww
ちなみに、ここのアニソンメドレーコーナーでは、彼女達による演奏は一切無く、メンバー一人ずつ歌っていくスタイル。で…水樹楽曲における究極の中毒性を持つこの楽曲を歌ったのが奥村さん。

奥村さんの声質を断言してしまうと、純朴さのあるキュートな声。それと『DISCOTHEQUE』との相性は悪くない。実際に、本当に聴き心地は良かったしネガティブなインプレッション一切湧いて来なかった。まあ、ものの見事にいきなりぶち上がって、その後に他のメンバーが何歌ったのかが全く憶えちゃいなかったwwww

 ギターをかき鳴らして格好良く演奏されている姿も当然素晴らしいが、キュートな楽曲をキュートに歌い上げていく姿もまた魅力的で見事に撃ち落された……本当に眼福だった。


 アニソンメドレーコーナーが終わると、再びプロジェクタースクリーンが降りて来て、映像が流れる。
その映像は、先日公開された3rdシングル『WISH』のMV。しかも、FULL尺で新メンバーの八木さんも加わっての完全体!!!!コレは、本当に涙腺がヤバかった……こういう演出は、ガールズフィストのLIVEでは自分の知る限り初めてだったと思う。

先程のアニソンメドレーコーナーでの楽しさから一転し、グッと感情に訴え掛けて来る様な落差のある演出はより魂へ深く突き刺さってLIVEへの没入感を増していく。MVが終わると、スクリーンが上がり……LIVEは次のフェイズへ移行する。


 現時点で正確な情報が無いので憶測の域になってしまうが……『ONE'S OWN』と『鵞掌草-GASHOUSOU』は、9月にリリースされるミニアルバムに収録されている楽曲なのかなと。(違ってたらマジですまねぇ……)LIVEの現場にて聴いただけなので、楽曲の全貌なんてモノは正直掴み切れておらんのだが……ハードテイストで格好いい系統の楽曲。

そして…4thシングル『Shining Ray~暁光~』へと繋いでいく。この楽曲も激熱なテイストの楽曲。言わずもがな、ステージで四人が魅せ付けていく格好良さに刺激されて我々の熱も滾って来る。


 激熱ゾーンを抜けると……またLIVEの雰囲気がガラッと変化し、可愛く楽しい雰囲気全開な『クリームソーダ』が差し込まれ……『君と僕とのモノ語リ』→『missing you』→『Brand New World』へと繋がっていく。この4曲に共通している要素は明るくて楽しいテイスト。コレは、先程のハードかつ激熱なモノとは違ったモノ。どちらかと言えば、これまでのガールズフィスト楽曲の骨格になってる要素。また感情の落差でやられる……でも、そいつがめっちゃ楽しい♪


 で……ガールズフィストLIVEでは恒例になっているパンクロックメドレーへ移る。
THE BLUE HEARTSの『終わらない歌』→Ramonesの『Blitzkrieg Bop』(電撃バップ)→Green Dayの『Minority』→再び、THE BLUE HEARTSで『情熱の薔薇』を披露。和洋パンクロックのカバーもまたガールズフィストのLIVEを彩って来た重要なモノ。

そして、『Tic×Tic=Tac』!!!!コレにはやられた……ぶち上がっていく感覚と、聴けた事への感激で感情が忙しかったwwww


 LIVEの方も佳境を迎えて…『Bugging Me!!!!』→『Zettai』の新たな『アンセム』で繋いでからの…『WISH』で畳み掛けていく。ここで光ったのは、ボーカル・浅見春那の支配力。彼女が歌っている姿は、本当にただただカッコ良いとしか言えない程の雰囲気を漲らせていた。

で……『WISH』。滾って高まりきった所で来ると、よりこの楽曲の雰囲気にやられてしまい、LIVEのクライマックスで聴くと更に良さが増していく。そういうポジションにこの楽曲は成長していっている様に感じられた。実に素晴らしい構成だった。アンコールでは、写真撮影&動画撮影OKとなり、『Zettai』、『クリームソーダ』、ラストは『Shining Ray~暁光~』で締め括った。

 もの凄~く駆け足かつグダグダ感満載だが……LIVEの進行はこんな感じだった。
ここから先は、自分がこのLIVEで最も注目していた部分に触れて感じた事を書き殴っていく。

 


 冒頭でも書いたが、このLIVEは、新メンバーとなる八木萌々菜さんの初お披露目LIVE。
つまりだ。このLIVEの一番のキモになってるのは、八木さんが最後までちゃんとこのLIVEで戦えるかどうかにかかっているのは過言じゃない。

その、ちゃんと戦えるについては彼女を見た人それぞれによって違う。先代の井上さんとの演奏技術との違いについて見られる人もいるだろうし、八木さんの演奏によって生まれる楽曲の化学反応を見定める人、単純に彼女のパフォーマンスを見ている人……と、まあいろいろあったワケだ。

自分は、彼女の演奏技術そのものや、楽曲にどう影響しているのかを語れる知識と舌は持ち合わせておらんので……八木さんのLIVE中での表情に注目して見ていた。プレッシャーによる緊張で無表情になってしまったり、LIVEの雰囲気に悪い意味で呑まれて困惑した表情をしてしまったら、八木さんはちゃんと戦えなかったという事になる。そこを見定めたかったのだ。

 彼女は、全くの音楽未経験者ではなく、何ならバンド組んでいてそこでもベースをやられてたという経歴があった。おそらくは人前で演奏したLIVE経験もされていただろう。ただ、ある程度の場慣れはあるだろうが、プロとして立つ場でちゃんと戦えるかは分からないモノ。立場が変われば感じる重圧も違ってくる。それに対しての不安があったのは想像に難くない。しかも、デビュー戦という要素まで加わってもいた。

 そんな彼女だったが、LIVEが進行していくにつれ、笑顔全開でパフォーマンスをされていた。本当にこのLIVEの熱狂的な雰囲気に身を委ねる様にし心底楽しんでいたのだろう。きっちり見えてたワケじゃないが……目をキラキラさせながら。

この雰囲気なら信じて飛び込めると彼女の本能が訴えていたのかも。それに、浅見さん、内山さん、奥村さんがいる事も大きい。あと、演奏中に内山さんの方を時折見られていたので、音の基準に立ち返る意味と、内山さんの方から何かあったら私の方見てとか前もって言われていたのかもしれない。

 観ているこちらも、彼女が本当に楽しんでパフォーマンスしている姿に魅せられて声援を送っていく。分かる人からしたら、確かに彼女と井上さんとの熟練度の差ってのはあるんだろう。ただ、それでも八木さんは今の自分に出来る全てを懸けて戦っていたと思う。だからこそ、彼女の演奏には血が流れていた。それに魅せられないワケはなかった。

 LIVEが終演した時の八木さんの表情だが、全力を出し尽くせた充実感に満ちた顔をされて、本当に清々しくていい笑顔だった。あれこそが、彼女がちゃんと戦えたという証明になっていると勝手に思っている。それを魅せてもらえたのは本当に素晴らしい事だった。

 

 それと……今すぐじゃなくていいので…八木さんにはいつか『孤独の月』を歌って欲しい。それが叶う未来の刻を待ち望んでおる。

 


 告知コーナーにて、今後の予定の情報が解禁された。公開練習や対バン形式のLIVE参戦。そして……

 

 

 

 ミニアルバムリリースされるから、ワンマンLIVEあるんぢゃねぇかな~と思っておったが、やっぱり決まっていた事は本当に嬉しいモノだ。

 そして、このLIVEでは、新しい要素が組み込まれていた。それはLIVEグッズだった。
Tシャツやタオル以外のグッズでは、これまではキャラクターが描かれたモノのみだったが、今回は演者の方のグッズが販売された。(ブロマイド、アクリルスタンド)それと、『Zettai』と『WISH』のMVは演者側のバージョンにて公開されている。これからは、作品だけじゃなく演者側の方も積極的にアピールして売り出す方へ進んでいくのだろう。

 やっぱり、見つけてもらえないと意味は無いので……その機会を増やそうと動く事は好意的に捉えたい。

どこの誰かに見られてもいい様に入念な準備と修練を怠らなかった者にしか雄飛の機は訪れないし掴めない。挑んで、闘い、日頃から全力全開で妥協せずに貪欲に生きる者が一発を当てられる。だが、それはすぐに訪れるとは限らないしその一発がデカいかどうか分からないという事。本当に成果が出ているか分からなくても、やり続けて走り続けなきゃならない。

で、そこからが彼女達にかかっている。見つけてくれた人を惹き付けて唸らせて金を落としてもらう。それを積み重ねていって未来への可能性が広がっていく。

 

 贔屓目が思いっきり入っておるが……この四人ならそれが出来ると思っているし、そんな戦いの行方を追いかけていきたい。