5月25日。秋葉原CLUB GOODMANにて開催された『ガールズフィスト!!!!GT ワンマンLive Vol.5 -LAS'T HERO!!!!-』に参戦して来た。


今から遡る事……六年前の2019年。『ガールズフィスト』にとって初めてのワンマンLIVEが開催された日がこの日だったという。(会場は違うが)そして……今回のLIVEのチケットが、前売りの段階でSOLD OUTした。当日券込みでSOLD OUTは前にもあったが、前売り段階でのSOLD OUTは初めてだそうな。
昨年からGFを知って現場に来られる人が段々と増えてきて、この前売り段階でのSOLD OUTを成し遂げた快挙に繋がったのは、紛れもなく『ガールズフィスト』というコンテンツに関わる人達が諦めなかったから、戦い続けてきたからこそ成し遂げられた。その事実に感動し胸が熱くなった。
そんな特別な日のLIVEで感じた事をこれからいろいろと書き殴っていこうと思う。
ちなみに今回のLIVEも期間限定で有料配信されている。当然これから書くレポはそれを全く観ない。あと、動画&写真撮影可のLIVEでしたがこちらについても一切撮影はしてない。自分の脳ミソに残っている記憶を引きずり出して書き殴っていく。
Overture
ステージには、もうガールズフィストのLIVEで恒例になったと言っても過言じゃなくなったプロジェクタースクリーンが幕代わりとして鎮座している。
開演して、何やら壮大で仰々しいBGMと共に字幕がスクリーンに映し出される。どうやら何かの物語仕立てになっている様だった。この物語のモチーフになっていたのは、太陽、地球、月とガールズフィストのメンバーを照らし合わせた感じか。(メモや映像撮ってないのでざっくりだが……)
おそらく、この物語はある楽曲との関係も盛られていたのかもしれない。そして、その楽曲はこのLIVEの核になっている楽曲でもあったと勝手に思っている。
月=ガールズフィストメンバー。太陽=メンバーが活力をもらえる数多の要素。地球=現在の刻で彼女達が生きていく世界そのもの……関係性はこういう所か。月が輝けるのは太陽の光を受けて反射しているから。そして、夜の闇を照らして存在をアピールしている。それは表現の世界で生きている彼女達にも当てはまっているのではないだろうか。
と、これ以上考察していくとそれで記事一本書けるほどのモノになっていくのでここまでに収めるが……このオープニングムービー、ガールズフィストのこのLIVEに懸ける想いと今後に向けての決意表明だったのかと思えてならない。
で、ムービーの締めに今回のLIVEタイトルに銘打たれた『LAS'T HERO!!!!』を四人全員で言ったんだけども……ここまでの息を呑むかのようなシリアスな雰囲気をブチ壊す様な脱力感あるコミカルな言い回しで会場は爆笑の渦に包まれていったwww
1.missing you
勝手な私見の域だが……ガールズフィストLIVEのオープニングアクトに持って来る楽曲は、意表を突く楽曲は持って来ない。意表を突くって意味では盛り上がる系統と逆の沁み入る様に傾聴する楽曲がそれにあたるんだけども、ガールズフィスト楽曲ではそういう系統の楽曲は少ない。
ただ、この『missing you』という楽曲をオープニングアクトに持って来るのはある意味で意表を突かれた感はあった。爽やかで盛り上がれる系統の楽曲ではあるが、最近では激熱で一瞬で滾れる系統のラウドロック系の楽曲を持って来る事が多かったからいい意味で引っかかるものを感じたのかもしれない。
軽妙かつポップな楽曲で盛り上げて会場の雰囲気を作るのは勿論の事、演者(浅見さん、内山さん、奥村さん、八木さん)の調子を合わせて、観客側も楽曲のテイストを感じながらテンションを上げていく。
この楽曲は前述した様に激熱じゃないが盛り上がれる楽曲。一気にテンションが振り切れるワケじゃなく、徐々にアガっていく雰囲気が実に心地良かった。それと同時に、ガールズフィストのLIVEが始まったんだという実感が込み上げて来て感情が昂る。
あくまでもコイツは自分のインプレッションに過ぎないし根拠は無いのだが……内山さん、奥村さん、八木さんが奏でる音と浅見さんの歌声は力強く弾んでいた様に聴こえた。彼女達も、我々同様……いや、我々以上にこのLIVEを待ち侘びて無事に開幕出来た事の喜びに満ち溢れて、それが楽曲へ宿っていたのではないだろうか。
2.Brand New World
オープニングアクトの『missing you』できっちりと盛り上げてからの……爽快で大空を滑空する様なフライト感が堪らないこの楽曲で繋ぐ。この楽曲のテーマになっているのは、何か新しい事、やりたかったことへのチャレンジを後押しして明るい未来へ向かっていく事だと。
タイトルの『Brand New World』を訳すと真新しい世界。それは、これからガールズフィストがこのLIVEで創り上げていく雰囲気(世界)に通じるモノを感じられ、歌い出しから颯爽と歌い上げる浅見さんのボーカルがその先陣を切って突き進む。何よりも、浅見さんの歌っている顔と真っ直ぐな双眸がこの楽曲の持つ清々しさを際立たせている。
しかし、LIVEにおいてはその清々しさよりも際立つ部分が勝る。
そりゃそうだろう。会場で音源をただ垂れ流してるワケぢゃないんだ。現場にて、内山さんが笑顔全開でアグレッシブにドラムを叩き、荒々しくソリッドなサウンドを奏でる奥村さんのギター、重厚な低音を奏でつつ、時に溌剌した笑顔とシリアスさといった両極端な表情と躍動感ある八木さんのベース。そこに、浅見さんのボーカルが混じって……ガールズフィストのロックに血が流れて……観客の声というラストピースがハマる。
そういう過程を経たこの楽曲は、熱さと力強さという新しい要素が加わった。
勿論、このLIVEでいきなりそこまで至ったワケじゃない。LIVEでの披露が積み重なっていって楽曲が成長した何よりの証だった。
3.君と僕のモノ語り
この楽曲の詞を綴られた浅見さん曰く、満点の夜空が見える様なキラキラした可愛い楽曲で、キャラクター達が語り合っていたらすぐに刻が経っていって夜になった模様を詞におこしたと。そして、この楽曲の要になっている(と、勝手に思っておる……)のは、タイトルにある『君』と『僕』をどう解釈して受け入れられるかにある。
自分の中でのLIVEにおいての解釈だが……『君』=観客。『僕』=ガールズフィストだと勝手に思っている。それぞれが抱いて発する想いの相互循環の『モノ語り』を謳っているのだと。
演者は、ステージで渾身のパフォーマンスを魅せる。観客はその姿を見て魂が揺さぶられて感動だったり興奮してその感謝の念を声援に込めて解き放つ。あとはそれが繰り返されて会場の熱気は膨れ上がってLIVEの雰囲気は出来上がっていく。
キュート&ポップなテイストで盛り上がれる楽曲。でも、彼女達の奏でる音と浅見さんの歌声からより強く感じ取れたのは、魂までも包み込まれる様な慈しみと優しさだった。『一緒』にという詞がその優しさに繋がっていったのか……そこには、このLIVEにおいて誰も置いてけぼりにはしない。
このモノ語りを綴るには『君』=観客の存在と声が必要不可欠なんだと手を差し伸べてた。そんな心意気を四人は演奏と歌声に宿らせた様に思えてならなかったのだ。
4.Bugging Me!!!!
ここまでは、ポップなテイストの楽曲で繋いできて『楽しい』雰囲気が会場を制していたが……この楽曲のイントロがかかった瞬間、一気に空気が変化していった。
『僕が僕を壊すんだ』とこの楽曲の詞にあるが、まさにこれまで彼女達がこのLIVEにて創造してきた『楽しい』雰囲気をぶっ壊してまた創造してこちらの魂を囚らえに来る……受けるインプレッションに差があればあるほどその衝撃はデカい。ここまでの楽曲配置の妙に改めて舌を巻く思いだ。それが出来るのもこれまでガールズフィストが積み重ねてきた刻の重さなのだろう。
メンバーの演奏は更にソリッド&シャープ感は増して、何よりも……ボーカル・浅見春那の貌と双眸の光が一変していた。エモーショナルの暴力でもってこちらを制圧して捻じ伏せる気満々の気が四人から漲っていた。実際、音と歌声が発した波でぶん殴られた様な衝撃を受けたと言っても過言ぢゃなかった。
あの場にいた観客と配信で観ていた人の魂を惹き付けて魅了させて燃え滾らせるには、彼女達の魂に潜んでいる野性と殺気を解放しないといけなかった。じゃないとあの迫力と熱気は出せない。そして、こちらもそいつ(四人の野性&殺気)に呑まれ無い為には、こちらも持ってる熱を滾らせ声を張り上げて真っ向勝負を挑む。
演者のパッションと観客のパッションが全力でぶつかった。その結果は、全力で楽しんで滾って頭振り過ぎて首が逝きかけたと伝えておく……
5.Shining Ray ~暁光~
LIVEはMCを一旦挟んで次のブロックに移行。これまたイントロかかった瞬間に『ピクッ!』となる感覚を抱いた。どこか斜に構えて不穏感ある重低音と、メタルチックでスタイリッシュなサウンドは勿論素晴らしいの一言でこちらの熱をより滾らせてもらえる。
だが、このアクトの真骨頂になっているのは、浅見さんの変幻自在の表現力がもたらした場の制圧力。コレは音源での彼女の歌声からは感じられないLIVEという場でしか体験できないモノで、いつからかは憶えておらんのだが……この楽曲を謳う彼女の姿に目を奪われてしまうようになっていった。当然、今回のLIVEでもそうなっていた。
前述したメロディの強烈さに全く引けをとっていない浅見春那の表現力と存在感の強さ。
何よりも際立っていたのが、低音域の歌声に纏っていた色香と立ち振る舞い方の格好良さ。それだけで?と思われるかもしれないが……本当にそれだけであの場をきっちりと制圧して魅了させて聴き惚れさせた。
繰り返しになるが……改めて、浅見春那の表現力&存在感がヤバいと思い知らされた。
6.ONE'S OWN
『Shining Ray ~暁光~』の余韻に浸りきっている所にこの楽曲のイントロが間髪入れずに流れた瞬間、変な笑いが込み上げ身体の震えが止まらんかった……
一応言っておくが……この笑い(嗤い)はバカにしている類のヤツぢゃなくて、もう万策尽きた時に出てくる『はは、何だコレwwww』って全面降伏の意味のヤツだったりする。
この楽曲も、ワーナーミュージックに移籍してからのガールズフィスト楽曲の主軸となっているラウドロック系のモノで観客もイントロの時点から最高潮に盛り上がっていく。火を点けてそこに追加の燃料をくべて更に燃え滾らせたという所か。まあ、言わずもがな会場の雰囲気ってのはアホみたいに盛り上がって熱かった(言い方選べ……)
その熱に負けじと、彼女達のパフォーマンスもまた一段と激しさを増していく。当然ながら、この楽曲自体が激熱テイストってのもあるんだが、披露を重ねていった過程を経て楽曲が進化した事でもあるし、ここまで『我』を思いっきり曝け出してもちゃんと観客は受け止めてくれる信頼感があって踏み込んでいってるのかなと。
7.鵞掌草 -GASHOUSOU-
『ONE'S OWN』やったらこの楽曲も続けてくるよねって。この二曲の関係性は『番い』(つがい)の関係だと思っておる。互いに独立している楽曲なのは当たり前だけども、連続して聴くとより楽曲の世界観に浸れる様に思う。ちなみにこの楽曲を先に聴いてもこの関係は変わらない。
……んな事思ってんの俺だけかもしれんがwwww
『解き放て 感情感覚全て』とこの楽曲の詞にある様に、ステージの四人と観客はありとあらゆるモノを解き放ってこのアクトを全身全霊で楽しんだと言っても過言じゃなかった。『ONE'S OWN』の時も激熱で異常に盛り上がっていたが更に熱気が増した。
直に演奏と歌を聴く、パフォーマンスを観ると言うよりも、会場全体が融合していくエンターテインメントのカタチ。音源のみをいくら聴き込んでいてもこの熱気と興奮には絶対敵わない。
ハッキリ言ってしまうと現地は異常な雰囲気だった。ただ、その異常な熱気と興奮こそが今この刻のLIVEに参戦して楽しんでいるという実感をさせてもらえるのだと。
8.拝啓、少年よ(Hump Backカバー)
ここからは、ガールズフィストLIVEではお馴染みのカバー楽曲コーナーに。
この楽曲は過去のLIVEでも披露して来た楽曲。(昨年ぐらいからか。回数は忘れたが……)
清々しいまでのどストレートなメロディと歌詞が沁みる様に刺さって来て奮い立たせてもらえる楽曲で、原曲のボーカル・林萌々子さんの歌声は明瞭感と熱さを併せ持つ。コレは浅見さんの歌声と通じる様にも感じられた。浅見さんとこの楽曲との相性は良い方なのだろう。
原曲のテーマになっているのは、壮大な夢を抱いていた青春時代の記憶。
ただ、現実という無慈悲で理不尽なモノに阻まれて挫折に至って、いつしか抱いた壮大な夢を魂の奥へと引っ込めてしまう。それはガールズフィストの軌跡と通ずる要素もあった様に思ってしまう。.
でも、この楽曲の真髄は、俯いて生き続けるのではなく、顔を上げて前に突き進む気概を謳う楽曲……即ち『アンセム』となる楽曲なのだと。
負けっぱなしくらいじゃ終われない
遠回りぐらいが丁度良い
―Hump Back『拝啓、少年よ』より引用
ラストのフレーズを謳う浅見さんの力強く明瞭で潔い歌声に魂は揺さぶられて感動へと至った。
それは、このフレーズとガールズフィストのここまでの生き様との繋がりが強いモノだと感じられたからなのかもしれない。
原曲は『凛として時雨』のボーカル&ギター担当のTK氏のソロ名義『TK from 凛として時雨』による楽曲。ちなみに自分はこの楽曲を全く知らなかった。ただ、全く知らないって事は原曲とカバーされた時の比較が出来ない事がいい意味で作用して彼女達のアクトを集中して観られる。
と、まあ……集中して観られるってのは良かったんだが、あまりにクリアな状態で観て感じたのは、とにかく浅見春那の表現力がヤベェっていうインプレッションが脳ミソを支配して思わず声を漏らした。それはこれまで彼女を観て初めて見た新しい表情でもあったんだ。
特に、サビでの歌声が本当にヤバかったのよ……悲痛で鬼気迫るモノ。いや、あれは抑えきれない鬱積された挙句の果てに行き場がなかった狂気の感情を曝け出したのだろう。彼女の狂気に魂が囚われ圧倒されて息を呑む事しか出来なかった。
それは、表現者・浅見春那としての狂気的な部分であった。あと、一人の人間としての浅見春那の抑え込んでいた狂気がLIVEというある種の極限状態の場で解放されたのだろうか。
明確な正解ってヤツは我々がいくら熟考して語っても出て来ない。
それは当然だろう。浅見さん自身も出そうと思ってあの狂気の感情を出せたとは思えない。前述したLIVEという場の極限の雰囲気やこの楽曲が持つメッセージに彼女の魂が引っ張られて解き放たれたモノと勝手に思っておこう。
10.夢見たサマーバケーション
LIVEの方も中盤戦という所か。夏をテーマにした底抜けに楽しいこの楽曲で雰囲気を転換させていく。初めて音源を聴いた時からLIVE映えする楽曲といった確信を抱き、実際にこれまでのLIVEを経てどんどん進化を遂げていった楽曲。勿論、この進化は現時点で終わりじゃなくてこれからもっと進化していくのだと。
夏をテーマにした楽曲ってのは多く世間に溢れているが、本曲の面白い要素は夏本番のテンションの高さは当然ありながらも……夏を待ち侘びる様子と夏の終わり際に感じられる去り行く刻を偲む様なノスタルジーとセンチメンタル感も感じさせる贅沢なもの。
単純に脳ミソのネジを全部緩めて楽しめるし、複雑に移ろう刻の流れに身を任せて楽しむ事も出来る懐の深い楽曲だなと。
肝心のアクトの方だが、彼女達の演奏と歌声は情熱滾るテイストもありつつ……ノスタルジー&センチメンタルな叙情的要素も感じられた。コレは人それぞれの感覚なのでどうとも言えないが、この楽曲は情熱と叙情のバランスが要になっている。
言わずもがな、今回のアクトも前述した情熱と叙情のバランスが絶妙でガッツリと楽しめたし、沁み入る様に聴き惚れさせてもらえた贅沢なアクトだった。
11.クリームソーダ
続いては『おもちゃ箱のようなラブソング』と評されたこの楽曲。
音源をじっくり聴いても普通にキュートで賑やかな楽しい楽曲だが、この楽曲もLIVEでの披露を経て振りキレ具合がとんでもない方向に弾けた変態楽曲(最大級の賛辞)
この楽曲では何も考えず執着しないで場の成り行きに任せ、感じるままに浅見さんの所作をなぞったり、一緒に歌う所で歌ったりとただひたすらに楽しむだけ。楽曲と場の雰囲気を肌で感じ、網膜と鼓膜に焼き付けて本能のままガッツリと楽しむ。"Feel it"(考えるな、感じろ)の心持ちですな。
まあ、盛り上がらないワケがなかった。キュートでトリッキーな要素によるフルオープンアタックで我々の感性を容赦なく撃ち抜く。それをやってしまえるのがガールズフィストのLIVEなのだと改めて思い知らされる。
12.Zettai
静かに浅見さんが「ずっともっと 手を伸ばす……」と歌い出した瞬間…
「おおっ!」ではなく、「うおぉぉぉぉぉッ!」と吠えたくなる様に血が滾っていった。自分の中ではこういう衝動に駆られる楽曲がいくつか存在している。
言わずもがな本曲はその内の一つに挙がっている。確か、二月のLIVEでは本曲は披露しなかったから余計に魂に突き刺さって興奮したのだろう。
絶対に心が折れなかったり、挫けなかったり、答えを見失わずに進みたい、進んでいきたい……という気持ちを込めた『戦いの謳』であり『アンセム』である本曲。先程まで楽しさ満載だった雰囲気をまた一変させて、四人のスイッチも切り替わっていった。
悲壮感がありどこか不器用で無骨さが漂うが、それに真っ向から抗おうとする激情を感じさせるアグレッシブでエネルギッシュな演奏と歌唱。『クリームソーダ』でのキュートかつポップなテイストとは真逆のゴツゴツとした荒々しい要素だからこそ、より魂へと訴えて来て震わせてくれる。
多分、前にも書いたと思うが、この楽曲で自分が一番好きな箇所はラスト付近での「信じて貫け!」の歌い方。1・2番のサビでは音が下がっていく感じで歌い上げるが、ラスト付近では音が上がった歌い方に変化している。文字に起こすと「信じて貫けぇぇぇぇぇ!」という感じか。この張り上げる様な歌い方がたまらなく好きなのだ。
13.Utopia
『Zettai』の無骨で荒々しい雰囲気から、煌びやかでヒロイックなテイストがまたいい差になって響いて来る。
この楽曲が世に解き放たれてからそれなりの刻が経ったが、正直自分の中では明確な位置付けが成されていない。勿論、素晴らしい楽曲という事は疑い様がない真実としてある。
聴く人の魂を揺さぶる『アンセム』でもあるし、一歩踏み出す勇気がどうしても出ない人の背を押す『応援歌』でもある。そして、内なる自分自身と向き合う内省的な対話の楽曲という解釈もあって……明確な答えがない深すぎる楽曲。この複雑なインプレッションが影響して本曲の独自考察に踏み込めなかったりする……
だが、複雑な面のあるテーマ(だと思い込んでる……)に反して、彼女達の演奏と歌はどこまでも澄んでいてクリアに聴こえる。四人もあらゆるしがらみから解き放たれた様に軽やかだったのかもしれない。
あと、印象深かったのは、2分8秒~2分30秒ぐらいの間に差し込まれるギターソロ(違ってたら申し訳ない……)が終わった後の奥村さんの表情。奥村さんの中でもこの箇所は本曲の決め所だと思っていたのだろう。そこを弾き終わった後の彼女の充実感に満ちていた笑顔が本当にいい顔をされていた。
14.月季花
ここまではそれどれのテイストは違うがアップテンポで盛り上がれる楽曲で繋いで来た。
そんな所に……幻想的でオリエンタルチックなエレジー(哀歌)であるこの楽曲を突っ込む。散々言って来たが受けるインプレッションに差があればあるほどそのアクトは突き刺さって印象に残っていく。
で、この楽曲にて魅せる浅見さんの表情と佇まいがまた見事だった。
長い刻を耐え忍んで愛しい人の記憶を残しつつ……未来の刻での再会を願う女性の純然な想いを謳う楽曲。
その想いの強さは情念となって浅見さんの歌声にいい意味での粘度と湿度を纏わせていく。儚さと切なさ、時に未来への希望を思わせる力強さと覚悟、そして、それらの要素を引き出していってる艶やかな色香が見事に混ざり合う。聴く者、観た者を納得させる説得力がこのアクトにあった。
それと、未来への希望を謳うという点ではステージの四人も同様にあった。
あえては書かないが、このコンテンツはこれまでいろいろあり過ぎた。でも、そんな中でも彼女達は未来へ希望を抱いて戦って来た。
誰が何と言おうと、この楽曲からは希望を見出したい。決して、長き刻を待つ事が切なくて哀しいで終わる楽曲じゃない。どれかに限定されるモノじゃなくいろいろな要素が重なり合ってこの楽曲は深化を遂げた様な気がしてならなかった。
15.自分自信
スクリーンが降りて来てムービーが流れる。その内容は……六年前の5月25日に開催されたガールズフィストの1stLIVEでのラストの楽曲前のMC。そのムービーで語られていたのは浅見さんの当時の心境。
詳細は省くが……温かく迎え入れてくれた事への感謝と、LIVEがとにかく楽しかったという事を感極まりつつも笑顔で言葉に乗せて解き放った。そして披露されるあの楽曲のイントロ……
ガールズフィストの原初となる楽曲『自分自信』
当時もMCの後でこの楽曲を披露したという。そして、刻を超えてその当時と同じ繋ぎ方で同じ楽曲を持って来る。コレは本当にエモーショナルで美しい展開じゃないか……当時のLIVEの模様と熱気を知らない自分でも魂が大きく揺さぶられたんだから、当時を知って参戦された人は余計に突き刺さって感動しただろう。
感動まで至ったのはこのシチュエーションだけじゃなかった。この楽曲の歌詞とここまでのガールズフィストが駆けて来た軌跡と貫き通して来た生き様と密接に繋がっていって更なるエモーショナルへと誘われていった。
過去があるから今があるって詞があるが、本当に説得力に溢れているんだ。打ちのめされたのはおそらく数え切れないほどあって……でも、諦めるという最期の選択はしなかった。自分に自信を持って突き進めばきっと未来は拓けるって本気で思って戦って来た。
確かに何かデカい成果を勝ち取ったワケじゃない。でも、そこに未来への希望と可能性がある。
ここまで必死に戦って来た過去の彼女達自身に感謝を告げる儀式でもあったのかもしれない。
このアクトはいろんなモノが詰まり過ぎて俺の文章力では伝えきれないwwww
16.さよなら MY LONELINESS
タイトルに『GT』が銘打たれてからの原初の楽曲……しかもLIVEで初披露された会場は、今回のLIVEの会場でもある秋葉原CLUB GOODMANだったはず。個人的な話になるが、そのLIVEで自分はガールズフィストのLIVEに初めて参戦した。
なんちゅう繋げ方をしやがるんだ……って言葉が自然と漏れていたwwww
自分の全く当てにならない記憶が確かなら、フル尺やるのは随分久しぶりだったと思う。その要素もこのアクトが刺さって来る要因でもあったんだ。
この楽曲の歌詞や曲調も激熱で滾る衝動に駆られる『アンセム』で、降りかかって来る困難すらも楽しんで受け入れる姿勢は無印時代原初の楽曲である『自分自信』を彷彿させる。
良い事もそうじゃなかった事も全部ひっくるめて今のガールズフィストが存在出来ている。内山さんのドラム、奥村さんのギター、八木さんのベース、そして……浅見さんのボーカル。四人の生き様と意地が音と歌声に血を流していった。
月並みな事しか言えないが……この楽曲も本当に素晴らしい楽曲だなと改めて思い知らされた。それに、無印時代からGT原初の楽曲へ繋ぐエモーショナルさもより感情を揺さぶってくれた。
17.FLY'T HIGH!!!!
ここからはLIVEはクライマックスに。この楽曲もこれからのガールズフィストの軌跡を切り拓いていく為の『アンセム』としての要素を感じさせる楽曲。
自分が勝手に考察した少女=いい子ってのはガールズフィスト自身。挑まない、闘わない者のカレンダーに何時かという日はない。ただ日々を過ごしているだけじゃ本当の意味で変革の刻と機は訪れない。彼女達が真に叶えたいのは変わりたい(=勝ちたい)という願いだ。
立ち上がって進めないのなら手を取り背中を押す。ただ、この楽曲の本質はそんな優しいモノぢゃない。むしろ、強引に手を引っ張って背中を蹴り飛ばす様なニュアンスを感じさせる。サビで一気に解き放たれる暴力性を帯びた演奏と浅見さんのボーカルは当然だが音源を凌駕していた。
この凄まじさまで昇華出来たのは理屈じゃない。四人がこれまでに積み重ねてきたあらゆるモノが織り重なっていってそこまでに至ったのだと。LIVEという場ではワケの分からんチカラが作用したりするものだ。そいつを説明しろと詰められても俺には出来ないのでそこは勘弁してほしい。
18.DON'T STOP!!!!
止まらないという意味を持つまさに現時点でのガールズフィストを体現している楽曲。『FLY'T HIGH!!!!』から繋がっていってるのもまた熱いモノを感じさせるぢゃないの。
本曲もまた問答無用でぶち上がれる楽曲。絶対に変わってやるという強い想いと覚悟。もう迷いは無くなっていて、あとは行きつく所まで全力で突っ走るだけだと野心を滾らせる。これまで自分を徹底的に抑圧して来た者があらゆるモノを解き放ったんだ。その熱と勢いってのはとんでもない。そんな激情が乗っかったこの歌詞が突き刺さって来る。
Don't stop!! 私達は
弱音 泣き言 愚痴 偏見 全部捨てた
―GIRLS’F1ST!!!!GT 『DON`T STOP!!!!』より引用
ここは音源で聴いた時から好きな箇所だが、実際のLIVEで直に聴くとこれまた深く突き刺さって来た。ネガティブな感情…即ち、迷いの根源になるネガティブな感情を全部捨ててもう先しか見ないという潔い決断に彼女達の想いと意地があってグッと魂を掴まれた。コレは音源聴いたのみでは感じられなかったモノだった。
19.ラストヒーロー
今回のLIVEタイトルに銘打たれた言葉であり、現時点で最新の楽曲。
開演前の予想では、この楽曲をオープニングアクトかラストを締めると思っていたが、そうじゃなかったのはちょいと驚かされた。
これ書いてる時点では、音源はデジタルリリースされ購入して聴いているが、このレポでは現地参戦で聴いた時のインプレッションのみでこのアクトの所感を書いていく。現地で聴いて歌詞や楽曲全体の構成について記憶出来る程自分の脳ミソは出来が良くないってのもあるんだが……
作詞されたのはギター担当の奥村真由さんとの事。大雑把な印象は疾走感があってヒーローと銘打たれた様にどこかヒロイックな格好良さを纏った楽曲。自分の中でしっくり来てるのは、叩き上げの魂を感じさせてくれる『闘いの謳』であり『アンセム』になり得る可能性に溢れた楽曲。
この楽曲も激熱で盛り上がれる系統の楽曲なので、LIVE序盤での火付け役でも良いし今回の様にクライマックスで披露しても真価を発揮出来る楽曲と言った所か。
現地のアクトを観ただけの記憶のみなので、これ以上突っ込んで書ける要素は無いが……
今後のLIVEで披露された時の宿題として音源を聴き込み考察して、LIVEで受けたインプレッションをどうにか書きたい所存。
書いといて何だが、アクトの所感ぢゃねぇなコレwwww
20.Starless Night
今回のLIVEのラストを飾った楽曲。この楽曲がセットリストの核になるものであり、最も伝えたい想いとになっていると思った。開演直後に流れたムービーの物語はこの楽曲がモチーフになってたのかなと勝手に決めつけておる。
で……披露の前に浅見さんがこの楽曲に抱く想いを語ってくれた。彼女の言を要約すると、彼女達だけじゃなく観客の皆さんもいろんな生活があって夢を抱いている。ただ、それは順調に進んでいる事ばかりじゃない。むしろ困難にまみれたものでネガティブな感情に苛まれると。
それでも……そんな行き詰まった状況にこの楽曲とガールズフィストが光を照らす存在になったらいいなと浅見さんは語られてアクトへと移行していく。
さて、この楽曲。タイトルの訳は星の無い夜であり、曲調と一部の歌詞はどうしようもなく暗くて切ない方向へ振り切っておる楽曲だ。このLIVEでどういう魅せ方で来るのかは一番興味があって楽しみにしていた部分だったりする。
ステージの四人を観てるとどうしても拭えない違和感を覚えた。でも、その違和感の正体はすぐに判明した。MVでもそうだったが、ステージで演奏して歌う彼女達は皆楽しそうに笑っていた。このどうしようもなく切なくて暗い楽曲でだ。
そうか。そういう意味だったか。
淡々と繰り返す日常と夜の闇を照らす星が見えないと嘆くよりも、自らの魂に灯る光を信じて自分がもっと輝ける存在になって照らしていく存在になる。だからこそ彼女達は希望を見出して笑えたのだと。
繋がって、導いて、照らす。(どっかで聞いたなコレ……)そんな存在で在りたいというガールズフィストの想いと魂が込められた楽曲なのだと改めて感じさせられたし、何かつっかえてたモノがきれいさっぱりと無くなった清々しさに身を委ねてこのアクトの余韻に浸っていた。
終わりに……
まず、最後までこの怪文書レポを読んでいただいた皆様には感謝を申し上げます。
自分の中では、あの刻と場においてガールズフィストから受け取ったモノを余す所無く書ききれたと思っております。
だだ、記憶のみで書いているので動画や写真撮影された人から見たら全然足りてないんじゃないの?と思われても何も返す言葉はありません。ただ、それでも何かを残したいという思いが体を動かして書かせていただきました。
嬉しい事に次のワンマンLIVEも開催が決まっていて、多くの対バンLIVEやファンミーティングの開催も決定している。昨年のアグレッシブさを維持…それ以上か?
でも、今のガールズフィストは勢いに乗って突っ走っている様に感じます。ただ、本当に四人や支えるスタッフの皆様には身体と精神を健やかに保ってもらいたいなと願わずにいられません。
今後のガールズフィストがどんな未来を見せてくれるかを期待している。
根拠は全く無いが……大丈夫。明るく照らされた未来がもうそこまで来ている。