巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

再び太陽が昇る刻ーガールズフィスト!!!! GT ワンマンライブ@吉祥寺SHUFFLE参戦レポ

 8月30日。吉祥寺SHUFFLEにて開催された『ガールズフィスト!!!! GT』ワンマンライブ@吉祥寺SHUFFLEに参戦して来た。

 


 先日、ベース担当・藤森月役の井上杏奈さんが、体調不良の療養のため『ガールズフィスト!!!!GT』メンバーとしての活動終了が告げられた。その報が告げられる前に開催された3rdシングル発売記念LIVEでは、パンクバンド・SAのベーシストのKEN氏が井上さんの代役を務められた。

で、今回のLIVEも代役のベースを立てて臨むのかと思っておった矢先……新たなBa.藤森月役の新メンバーが、この日初めて登場&演奏しメンバーに正式加入されるとの事。

いずれは後任の人が出て来るだろうが、加入時期はもうちょい後になるのでは?と普通に驚いたが、これだけ早いとねぇ……と、あえて書かないがいろんな事を勘繰ってしまうのだ。ただ、それでも早い内に後任の方が決まってくれたってのは本当に喜ばしい事ではある。

 そして、このLIVEだが金曜夜開催のLIVE。自分の職場から戦場(開催地の事ね)である吉祥寺までは1時間程かかる……何やかんやあったが、急いだおかげで開演時刻ギリギリで到着出来た。ただ、開演自体は10分ほど過ぎて開演したがwww


 と、まあ、そんなLIVEで感じられたモノを、これから書き殴っていこうと思う。

 

 

 幕代わりとして吊り下げられたプロジェクタースクリーンがゆっくり上がっていきLIVE開演。
ステージ上には、ボーカル・奈川芳野役の浅見春奈さん、ドラム・白瀬双葉役の内山つかささん、ギター・坂ノ下奏恵役の奥村真由さん、そして…ベース・藤森月役の新メンバーの四人が立っていた。LIVEスタートの前に各々が自己紹介し……新メンバーさんも自己紹介。
 

注目の新メンバーさんの名は……八木萌々菜(やぎももな)さん。


その声は震えて…とまではいなかったけども、どこか緊張してるなってのが伝わっていた。でも、希望に満ち溢れた力強さが彼女から漲っていた。このLIVEは、前述した様に、新メンバーである八木さんの初お披露目のLIVEでもあるがそれだけじゃない。表現者としての始まりの一歩を踏み出す、BIRTHDAY LIVEでもあった。そんな喜びの方が抱いていた不安感より勝って、力強さに至ったのだろうと思える。

 メンバーの自己紹介&八木さんのお披露目も無事終えて、アニソンカラオケメドレーからこのLIVEはスタートを切った。

LIVEのセットリストの構成にはいろいろな形式があってどれも正解は無い。演者や観客の熱を温めていくアイドリング的なやり方だったり、意表を突いていくやり方もある。このLIVEに関して言えば、前者である、演者と観客の熱をアイドリングして全体の雰囲気を盛り上げようという意図があったんだろうなと。腕組みしてうんうんと頷いておった所に、あの楽曲のイントロとコーラスが流れて…仰天し顎が外れかけた。


 ♪CHU-LU CHU-LU CHU-LU PA-YA-PA


 通称「ちゅるぱや」。そう、水樹奈々さんの『DISCOTHEQUE』であるwwww
ちなみに、ここのアニソンメドレーコーナーでは、彼女達による演奏は一切無く、メンバー一人ずつ歌っていくスタイル。で…水樹楽曲における究極の中毒性を持つこの楽曲を歌ったのが奥村さん。

奥村さんの声質を断言してしまうと、純朴さのあるキュートな声。それと『DISCOTHEQUE』との相性は悪くない。実際に、本当に聴き心地は良かったしネガティブなインプレッション一切湧いて来なかった。まあ、ものの見事にいきなりぶち上がって、その後に他のメンバーが何歌ったのかが全く憶えちゃいなかったwwww

 ギターをかき鳴らして格好良く演奏されている姿も当然素晴らしいが、キュートな楽曲をキュートに歌い上げていく姿もまた魅力的で見事に撃ち落された……本当に眼福だった。


 アニソンメドレーコーナーが終わると、再びプロジェクタースクリーンが降りて来て、映像が流れる。
その映像は、先日公開された3rdシングル『WISH』のMV。しかも、FULL尺で新メンバーの八木さんも加わっての完全体!!!!コレは、本当に涙腺がヤバかった……こういう演出は、ガールズフィストのLIVEでは自分の知る限り初めてだったと思う。

先程のアニソンメドレーコーナーでの楽しさから一転し、グッと感情に訴え掛けて来る様な落差のある演出はより魂へ深く突き刺さってLIVEへの没入感を増していく。MVが終わると、スクリーンが上がり……LIVEは次のフェイズへ移行する。


 現時点で正確な情報が無いので憶測の域になってしまうが……『ONE'S OWN』と『鵞掌草-GASHOUSOU』は、9月にリリースされるミニアルバムに収録されている楽曲なのかなと。(違ってたらマジですまねぇ……)LIVEの現場にて聴いただけなので、楽曲の全貌なんてモノは正直掴み切れておらんのだが……ハードテイストで格好いい系統の楽曲。

そして…4thシングル『Shining Ray~暁光~』へと繋いでいく。この楽曲も激熱なテイストの楽曲。言わずもがな、ステージで四人が魅せ付けていく格好良さに刺激されて我々の熱も滾って来る。


 激熱ゾーンを抜けると……またLIVEの雰囲気がガラッと変化し、可愛く楽しい雰囲気全開な『クリームソーダ』が差し込まれ……『君と僕とのモノ語リ』→『missing you』→『Brand New World』へと繋がっていく。この4曲に共通している要素は明るくて楽しいテイスト。コレは、先程のハードかつ激熱なモノとは違ったモノ。どちらかと言えば、これまでのガールズフィスト楽曲の骨格になってる要素。また感情の落差でやられる……でも、そいつがめっちゃ楽しい♪


 で……ガールズフィストLIVEでは恒例になっているパンクロックメドレーへ移る。
THE BLUE HEARTSの『終わらない歌』→Ramonesの『Blitzkrieg Bop』(電撃バップ)→Green Dayの『Minority』→再び、THE BLUE HEARTSで『情熱の薔薇』を披露。和洋パンクロックのカバーもまたガールズフィストのLIVEを彩って来た重要なモノ。

そして、『Tic×Tic=Tac』!!!!コレにはやられた……ぶち上がっていく感覚と、聴けた事への感激で感情が忙しかったwwww


 LIVEの方も佳境を迎えて…『Bugging Me!!!!』→『Zettai』の新たな『アンセム』で繋いでからの…『WISH』で畳み掛けていく。ここで光ったのは、ボーカル・浅見春那の支配力。彼女が歌っている姿は、本当にただただカッコ良いとしか言えない程の雰囲気を漲らせていた。

で……『WISH』。滾って高まりきった所で来ると、よりこの楽曲の雰囲気にやられてしまい、LIVEのクライマックスで聴くと更に良さが増していく。そういうポジションにこの楽曲は成長していっている様に感じられた。実に素晴らしい構成だった。アンコールでは、写真撮影&動画撮影OKとなり、『Zettai』、『クリームソーダ』、ラストは『Shining Ray~暁光~』で締め括った。

 もの凄~く駆け足かつグダグダ感満載だが……LIVEの進行はこんな感じだった。
ここから先は、自分がこのLIVEで最も注目していた部分に触れて感じた事を書き殴っていく。

 


 冒頭でも書いたが、このLIVEは、新メンバーとなる八木萌々菜さんの初お披露目LIVE。
つまりだ。このLIVEの一番のキモになってるのは、八木さんが最後までちゃんとこのLIVEで戦えるかどうかにかかっているのは過言じゃない。

その、ちゃんと戦えるについては彼女を見た人それぞれによって違う。先代の井上さんとの演奏技術との違いについて見られる人もいるだろうし、八木さんの演奏によって生まれる楽曲の化学反応を見定める人、単純に彼女のパフォーマンスを見ている人……と、まあいろいろあったワケだ。

自分は、彼女の演奏技術そのものや、楽曲にどう影響しているのかを語れる知識と舌は持ち合わせておらんので……八木さんのLIVE中での表情に注目して見ていた。プレッシャーによる緊張で無表情になってしまったり、LIVEの雰囲気に悪い意味で呑まれて困惑した表情をしてしまったら、八木さんはちゃんと戦えなかったという事になる。そこを見定めたかったのだ。

 彼女は、全くの音楽未経験者ではなく、何ならバンド組んでいてそこでもベースをやられてたという経歴があった。おそらくは人前で演奏したLIVE経験もされていただろう。ただ、ある程度の場慣れはあるだろうが、プロとして立つ場でちゃんと戦えるかは分からないモノ。立場が変われば感じる重圧も違ってくる。それに対しての不安があったのは想像に難くない。しかも、デビュー戦という要素まで加わってもいた。

 そんな彼女だったが、LIVEが進行していくにつれ、笑顔全開でパフォーマンスをされていた。本当にこのLIVEの熱狂的な雰囲気に身を委ねる様にし心底楽しんでいたのだろう。きっちり見えてたワケじゃないが……目をキラキラさせながら。

この雰囲気なら信じて飛び込めると彼女の本能が訴えていたのかも。それに、浅見さん、内山さん、奥村さんがいる事も大きい。あと、演奏中に内山さんの方を時折見られていたので、音の基準に立ち返る意味と、内山さんの方から何かあったら私の方見てとか前もって言われていたのかもしれない。

 観ているこちらも、彼女が本当に楽しんでパフォーマンスしている姿に魅せられて声援を送っていく。分かる人からしたら、確かに彼女と井上さんとの熟練度の差ってのはあるんだろう。ただ、それでも八木さんは今の自分に出来る全てを懸けて戦っていたと思う。だからこそ、彼女の演奏には血が流れていた。それに魅せられないワケはなかった。

 LIVEが終演した時の八木さんの表情だが、全力を出し尽くせた充実感に満ちた顔をされて、本当に清々しくていい笑顔だった。あれこそが、彼女がちゃんと戦えたという証明になっていると勝手に思っている。それを魅せてもらえたのは本当に素晴らしい事だった。

 

 それと……今すぐじゃなくていいので…八木さんにはいつか『孤独の月』を歌って欲しい。それが叶う未来の刻を待ち望んでおる。

 


 告知コーナーにて、今後の予定の情報が解禁された。公開練習や対バン形式のLIVE参戦。そして……

 

 

 

 ミニアルバムリリースされるから、ワンマンLIVEあるんぢゃねぇかな~と思っておったが、やっぱり決まっていた事は本当に嬉しいモノだ。

 そして、このLIVEでは、新しい要素が組み込まれていた。それはLIVEグッズだった。
Tシャツやタオル以外のグッズでは、これまではキャラクターが描かれたモノのみだったが、今回は演者の方のグッズが販売された。(ブロマイド、アクリルスタンド)それと、『Zettai』と『WISH』のMVは演者側のバージョンにて公開されている。これからは、作品だけじゃなく演者側の方も積極的にアピールして売り出す方へ進んでいくのだろう。

 やっぱり、見つけてもらえないと意味は無いので……その機会を増やそうと動く事は好意的に捉えたい。

どこの誰かに見られてもいい様に入念な準備と修練を怠らなかった者にしか雄飛の機は訪れないし掴めない。挑んで、闘い、日頃から全力全開で妥協せずに貪欲に生きる者が一発を当てられる。だが、それはすぐに訪れるとは限らないしその一発がデカいかどうか分からないという事。本当に成果が出ているか分からなくても、やり続けて走り続けなきゃならない。

で、そこからが彼女達にかかっている。見つけてくれた人を惹き付けて唸らせて金を落としてもらう。それを積み重ねていって未来への可能性が広がっていく。

 

 贔屓目が思いっきり入っておるが……この四人ならそれが出来ると思っているし、そんな戦いの行方を追いかけていきたい。

 

 

 

境界を超える謳のチカラーIDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second DAY2参戦レポ

 逝きかけの記憶の糸をどうにか手繰り寄せ…8月12日に、パシフィコ横浜にて開催された『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』DAY2参戦レポを書き殴っていく。

 

 

 ちなみに、DAY1の参戦レポはこちら。

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 このDAY2では、出演者が大幅に入れ替わっていた。
DAY1に出演されたTRINITYAiLEと、LizNoirから戸松遥さんはDAY2に出演されないとの事。(結城萌子さんに関してはDAY1参戦レポにて触れているのでここでは割愛する)一方で、kana役の田中あいみさんがこのDAY2に出演。

DAY1のLIVEをざっくり総評すると、グループ楽曲のみに絞ったスタンダードな奇を衒わない直球勝負。昨年のDAY1は、前情報の一切無い新曲披露というサプライズがあったが、今回は一切無かった。今ある楽曲で、それぞれが全身全霊を懸けたそのグループにしか出来ないパフォーマンスで観客の魂を掴んで魅了し熱狂させてくれた。

 それを踏まえての二日目。グループそのものがいなかったり、メンバーが全員揃わないグループもあって、前日の様な直球勝負の様なLIVEにはならない事は容易に想像できた。そこで何を魅せ付け、興奮し感動へと至るのか?そんなLIVEに参戦して感じたモノをこれから書き殴っていこうと思う。

 

 

 

 1.IDOLY PRIDE/星見プロダクション


 オープニングアクトでどんな奇襲攻撃をかまして来るかと身構えておったら、アイプラ楽曲において、正統派中の正統派楽曲である、本コンテンツの『アイコンソング』である聴き馴染みの深いイントロが聴こえて来た。

まあ、このDAY2はとんでもねぇLIVEになるのは確実だろうという覚悟で臨んでいた。 
激しい運動の前ってのは、きっちりとウオーミングアップしないと怪我の原因になる。それをLIVEに無理矢理当てはめると……激熱とまで行かなくても、軽妙かつポップなテイストで盛り上がれるこの楽曲で、徐々に雰囲気を肌で感じて声の調子も上げていく。それは、ステージの彼女達だけじゃなく、観客にも当てはまるのだ。
 
 正直な所、とんでもねぇってLIVEの幕開けに相応しい変態楽曲で来るかと決め込んでおったので、少々拍子抜けした感があったが…でも、この楽曲を初手で聴ける事への安心感もあった。昨年の『VENUS PARTY 』以来Zepp Tourでは披露しなかったはず…)ってのもあったからかも。

前述でも触れた様に、多くの人が聴き馴染んでいて、なおかつ、歌う星見の子達も付き合いが長い楽曲という事もあって、LIVEのどこの順番でも盛り上がれる楽曲だけれども…やっぱり、LIVEが開幕して最初に歌われるのが一番似合う気がする。
 

 

  

 2.パジャマパーティ/こころ×千紗×すず×雫


 ステージに四人の人影が見え、聴き馴染みの無いイントロ。いや…まさかねぇ。なんて訝しんでいる内に、ステージ全体が照らされて……豊崎愛生さん、高尾奏音さん、相川奏多さん、首藤志奈さんの姿がハッキリ分かると、客席の至る所から声にならない断末魔の様な叫び声が上がって膝から崩れ落ちそうになったのは俺だけぢゃないはず。

次は、そのまま他の星見の楽曲を続けて披露していくのか?はたまた、前日は月ストから始まったので今日はサニピが来るのか?何なら、前日は披露しなかったサニピの『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』で来るんじゃねぇの?!なんて予想してたぐらいだ。そんな所にコレですよ。

 聴き馴染み無いイントロはどうやらLIVE仕様のヤツらしく、仕留め方まで徹底して拘ってると来たもんだ。もう、完全にLIVEの行方が予測不可能な領域に落とされましたwwww

 この楽曲は、可愛らしさの方向へステータスを全振りしたファンシー&キュートさ全開で、脳ミソを優~しく柔らかく蕩けるまで揉みほぐされていく様な究極のヒーリングソング。そりゃ変な声出るのは当然よ。この楽曲は二曲目に披露する曲ぢゃねぇwwww

脳ミソが目の前の状況を把握して処理する速度を超えて、ステージの四人はお構い無しにキュートなパフォーマンスを魅せ付け、この場の制圧にかかっておった。えげつないヒーリング効果抜群のメロディと四人の歌声。更に、ドレス形態になっている今回のLIVE衣裳と楽曲との相性が絶妙にマッチしており、視覚まで彼女達に魅了されて撃ち落された。

 このアクト、ここまででも充分にとんでもなかったんだけれど…一番とんでもなかったのは、夏川椎菜さん(すみれ)がいなくてこのパフォーマンスを成立させ魅了したという事。夏川さんが加わってフルメンバーでこのアクトを観たら、魂が本当に逝ってしまうかもしれないと戦々恐々してたが、同時に、フルメンバーのアクトを観たいワクワク感も抱いておった。

 

 


 3.drop/兵藤雫


 ステージに立つ首藤さん、客席に灯る雫のイメージカラーである緑の光。そして、イントロと雫の口上。もう、コレに耐えられる涙腺が俺には無かった……まさかソロの一番手でこの楽曲を披露するとは思っちゃいなかったから余計に感情が揺さぶられたのだと。

 LIVEのセットリストには、いくつかの決め所というのが存在する。このLIVEに関して言えばはおそらくこのアクト。予想外の奇襲と称しても過言じゃなかったここまでの流れ。意表を突くという点に関しては満点だっただろう。

問題はそこから先へちゃんと繋げていけるかどうかだ。それを切り拓いていく役目を、運営は兵藤雫と首藤志奈に託した。勝手な推測の話だけども、ステージに立つ首藤さんも相当なプレッシャーを背負っていたのは想像に難くない。

 それでも…雫と首藤さんは勇気を振り絞ってステージに立っていた。緑の光で応援してくれる観客が受け入れてくれる事を信じて。そんな彼女達の想いとPRIDEに応える為の答えはコレしかないだろう。雫と首藤さんがステージで戦う姿を絶対に見放さない事と歌声を聴き洩らさない事だと。

 全体が大人しくなり過ぎず、かと言って激しく主張もしていない絶妙な曲調に、語りかける様に歌う首藤さんの歌声はどこか楽し気なモノに聴こえた。それは、彼女が心の底からLIVEを楽しんでいたからだろう。その中心に立って、その状況を楽しめる。自分が心の底から楽しまなければ、人を楽しませる事なんて出来ないから。

雫がアイドルに憧れて楽しんでいた様に、今度は雫がアイドルを楽しんで観客を楽しませる。かつて夢を嗤う人の業に悩んで、自分の感情と戦って来た彼女がそれをやってのけている現実がステージにあった。実際のステージで躍動しているのは首藤さんだけども、その傍らに雫も一緒にいた。

 それこそ雫が過ごして来た全ての刻が報われ、涙が出そうになるのを堪えた……感傷に浸って泣くのではなく、今の雫と首藤さんの魅せるパフォーマンスを目に焼き付けた。言うまでも無く、LIVE序盤の決め所はきっちり決まった。
 

 

 

 4.voyage/佐伯遙子


 『drop』で涙腺ガバガバに緩んだ所に、これまた涙腺決壊楽曲が来てしまった……でも、この楽曲は、今回のLIVEで聴きたかった一曲だったからこの涙は歓喜の涙だったりもするのよね。

沁み入る様に聴かせていく系統の楽曲なので、歌っている佐々木さんも激しい動作は無い。だからこそシンプルに歌唱力が問われる。(誤解を招くとマズイので言っておくが、ダンスの激しい楽曲が歌唱力を一切問わないって事では無い)

聴く者に寄り添い、優しく励まして支える応援ソング。何かの力をもらえる『アンセム』でもあり、魂を癒され救われたり、刻の流れに身を委ねる壮大な楽曲……聴けば聴くほどに、本曲が持っている深みへと誘われていく。その中心にいるのが、遙子と佐々木奈緒さん。

良い事も悪い事も…全てがあって今がある。佐々木さんの柔和で温かい歌声の内に秘めている熱い想いは、アイドルとして生きる事を諦められなかった者の意地と生き様もそこにはちゃんと乗っかっていた。まるで、特定の誰かに歌声が届けと。境界を超えた遙か遠くまで……そして、境界を超えて繋がる奇跡が起こった。


 ―ねぇ、麻奈ちゃん。聴いてる?私は今でも歌っているよ。

 

 正確な言葉ではないかもしれないが……間奏の所で遙子が麻奈に向けて語りかけた言葉。
コレを聞いた時、身体の力が抜けて涙腺が臨界点を超えた……ダメだよ遙子さん。それは本当にズルい言葉ぢゃないの……

きっと、遙子は感じていたのかもしれない。長瀬麻奈が遙子のステージを観に来ていたと。『今』の自分を観て欲しい、歌を聴いて欲しいと願い遙子は歌った。麻奈は、誰よりも遙子がアイドルとして成功を掴む事をずっと信じていた。遙子が麻奈の背中をどれだけ離れてしまっても見失わず追っていた様に、麻奈も遙子をちゃんと見ていてくれた。もしかすると、麻奈も一緒になって歌っていたかもしれない。遙子と一緒にステージで歌う事は、麻奈が果たせなかった夢だろうから……

 このアクトでは、遙子の傍らに麻奈の魂が寄り添っていた。実際の所、麻奈の姿が明確に見えたワケじゃないしスクリーンにも映ってもない。コレは各々で麻奈の存在を感じろと言うしか出来ない。

LIVEという場と刻は、人の想いが集約されて様々な奇跡が起きる所だと自分は思う。今、思い出しても至福の刻だったなと。

 

 


 5.つながる心Binary/白石沙季×白石千紗


 お揃いのカチューシャをつけて、宮沢小春さんと高尾奏音さんがステージIn。
そのカチューシャをつけようと提案されたのは宮沢さん。Zepp TourのFINAL(昼公演)で、この楽曲を歌った時も、宮沢さんはお揃いのイヤリングをつけようと提案され、それをつけて二人はステージに立った。

歌える機会が限られてる姉妹のデュエット楽曲を歌うのなら…沙季と千紗の魂をきっちり宿さなければならない。そして、一緒に歌う高尾さんとも繋がりたい。そうしなければ、この楽曲にちゃんと血が流れないと宮沢さんは感じていた。それらは、この楽曲を歌うにあたって必要な“儀式”なのだ。

 雫と遙子のソロ楽曲で、涙腺が完全決壊した所に…今度は、ナチュラルな可愛らしさと純然さを纏っている尊い楽曲を差し込まれる。もう、情緒が行方不明になってしまった……そうなってしまうのは、この楽曲が一括りで語れない楽曲だから。


 ありがとうの 言葉寄せて

 しあわせ全部 分かち合って

 勇気に変えよう ここから


 ―白石沙季×白石千紗 『つながる心Binary』より引用

 

 Cメロ(だと思う)の、ここの掛け合っていく様に歌うパート。このアクト…いや、LIVEでこの楽曲をこれまで聴いた中で今回一番インパクトが強かった箇所でもあった。高尾さんが主張して力強く歌えば、宮沢さんは更に主張して歌う。二人の歌声はクライマックスに向けて力強くなっていく。

 沙季が千紗を照らして来た様に、千紗も沙季を照らして来た。これまで紡いできた物語、貫いて来た生き様、姉妹の絆、解き放たれた『我』。LIVEで聴く度に感じるが、沙季と千紗は思いの丈をパフォーマンスに乗せて姉妹喧嘩をしている。そこには一切の遠慮が要らない彼女達だけの掛け替えの無い刻と場。沙季と千紗に寄り添って駆けて来たからこそ歌える歌があった。
 

 

 

 6.君がのぞくレンズ/長瀬琴乃×伊吹渚


 情緒が行方不明になっておったが…この楽曲が来て、橘さんと夏目さんがステージに登場すると何とも形容し難い安心感が得られた。いろんな方向に入れ替わったギアがようやく本来の位置に戻ったからなのだろう。(※あくまでも個人の感想)

えげつないヒーリング効果も無ければ、涙腺が完全に緩む楽曲でもないし、尊さの暴力で打ちのめされるモノでもない。気持ちいい位に真っ直ぐな友情を謳ってシンプルに盛り上がれる楽曲が来るとやっぱり安心するものだ。

 明瞭で力強い橘さんの歌声は、琴乃のまっしぐらに前へと突き進んでいく潔さと強さがあり、柔和だけども秘めた力強さのある夏目さんの歌声は、渚の他者を支えたいという想いに溢れたモノであり、思い込んだら強引に突っ走る強さも感じられた。

この楽曲のキモになっていると自分が思っているのは、橘さんと夏目さんが爆ぜる感情で聴かせていくハーモニーの力強さ。BIG4編を経て互いにあらゆる困難と苦悩を乗り越えた事、更には琴乃と渚の過去編という要素まで加わっている。琴乃と渚が培って来たモノをしっかりと継承して、昇華へと至る。言わずもがな、Zepp Tourで聴いた時よりも進化していた。

 全ての楽曲に言える事だが、本当に、一回一回で違う楽曲に仕上げていってる。ある意味、上書きされて完成形へ近づけてるというか。この楽曲は今でもLIVE映えしているが、もっと映える楽曲へと持って行って欲しい。

 

 


 7.ひと夏の永遠/早坂芽衣


 『もし恋』早坂芽衣編のTRUEエンディングテーマ楽曲であり、芽衣のソロ楽曲。
この楽曲も今回のLIVEで披露されるだろうなと多くの人は思っていただろう。そんなこんなで、日向もかさんがステージに登場して歌い出した瞬間……


 早坂芽衣がステージに顕現していた。

 
 確かに、ステージ上でパフォーマンスしているのは日向さんなんだけど……彼女の傍らにいるというよりは、もう芽衣の魂と同化している様な存在感がとても大きなモノとなっていた。

芽衣が日向さんに寄って行ったのか?或いは、日向さんの方から芽衣へ寄せていったのか?その明確な答えは、日向さんと芽衣にしか分からないのだろう。とにかく、双方の境界が曖昧になっていって、彼女達の存在が共存されていた様に感じてしまった。おそらく、コレは音源のみでは体感出来ない感覚だと思える。

 夏の清涼感と、どこか甘酸っぱさのあるノスタルジック感が堪らない楽曲。
そんな楽曲の世界観を日向さん=芽衣の純情可憐でそこはかとない色香を纏った歌声が見事に混交していって、もし恋の芽衣編の舞台になっている田舎の夏景色が情景に浮かんで来た。天真爛漫で溌剌な『もし恋』内の芽衣が本当の恋を知っていって変わっていった過程と心情描写が見事に歌声へ乗っかっていた。

 楽曲が持っている力の強さは勿論あるが、それを巧みに引き出して会場の雰囲気を創造し、観客の魂を引き込んで魅了させるには歌う者の力が必要不可欠。このアクトで魅せた早坂芽衣の新しい一面と、それを見事にステージで表現した日向もかの個の力の凄さに改めて舌を巻いた。

 

 


 8.星屑カンパネラ/成宮すず


 ステージに単身立つ相川奏多さん。この流れはまさか?!と期待に胸躍らせてると……初めて聴くイントロが流れ出した。(この辺りの流れは記憶に無いので違ってる可能性大)

 

 な、なにぃッ!!すずのソロ楽曲だとぉッ!!!!!

 

 コレは完全にやられた……でも、星見の10人全員にソロ楽曲が出来た事は本当に喜ばしいモノだ。そんな刻と場に立ち会えたってのもエモーショナルじゃないか。すず以外の9人のソロ楽曲は、どれも音源が発表されてからLIVEで披露されて来た。ところが、すずの場合は未発表のままで、この日に完全な初お披露目となった。そりゃ驚くってもんでしょう。

 そんなめでたい場面だが…そう喜んでばかりもいられない。(んな事考えてるのは俺だけだろうなww)未発表の新曲をいきなりやるのはハイリスクな賭け。この場面ですずのソロ楽曲が響かなくて雰囲気が微妙なモノになってしまったらこのLIVEは死ぬと言っても過言じゃない。すずと相川さんに掛かるプレッシャーはとんでもない重さだったはず。

ただ…そのステージに今立ってるのは誰だ?そう、成宮すずと相川奏多だ。どんなプレッシャーを受けても、すずは「かましてやりますわよ!」なんて言い放って、相川さんは「私は緊張なんてしない」と豪語される人だ。もう面構えと度胸が違う。

 で、すずのソロ楽曲なんだけども……完全な初披露で曲調や歌詞を正確に憶えられるほど俺の脳ミソは出来が良くないwww楽曲のインプレッションはもの凄くざっくりしたモノになるが……ド直球で正統派を往くアイドルソングかなと。すずと言えば、芽衣同様に良く動くキャラクターであり、楽曲の方にもその要素が織り込まれていた様に感じた。

そして、客席を彩っていったすずのイメージカラーである黄色の光に照らされ、躍動して燦然と輝く相川さん。その輝きはまさしくファンタジスタ(多芸多才)。局面が難しければ難しいほど、彼女はより強い輝きで魅了していくのだと。いや、本当にこの子凄ぇわ……って言葉が漏れてしまった。

 俗に言う、成宮すずと相川奏多に魂が持っていかれた感じか。

 

 


 9.shiny shiny/早坂芽衣×成宮すず


 ソロ楽曲を見事に歌い終わった相川さんに駆け寄る感じで、日向さんがステージIn。彼女達が揃って歌うのはこの楽曲しか無い。芽衣→すずのソロ楽曲から繋がって来ての…このデュエットに至る。

明るく元気にはっちゃけていく日向さんと相川さんの歌声とコミカル&キュートなダンスの両方から楽しさを全開で感じられた。個々でも充分強いが、やっぱり二人が揃った時の安心感と安定感には本当に感心させられる。

 何と言っても、この楽曲のキモになっているのはラップパート。ここをバッチリとカッコよく決めていく事で、コミカル&キュートさがもっと映えていく。このパートは、どちらかが突っ走って主張し過ぎても駄目だし、黒子に徹し過ぎてもいけない。そこの見極めが肝心なのだ。

日向さんと相川さんはその辺の見極め方に優れた資質を感じる。そして、彼女達の付き合いの長さもそこにはあって、互いの事を分かっているからこそ出来るパフォーマンスの掛け合いと駆け引きがある。縁の繋がりの強さがあってこそ出来る意地の張り合いがあった。どこまで突っ走れるか?ついて来れるのか?私の方が輝いてるんだけどそっちはどうなの?…と。

 でも、そこにドロドロとした負の感情は一切無かった。それは、日向さんと相川さんがこの『競演』を心底楽しんでいたからだろうなと。彼女達のポジティブな想いと魂がこちらにも熱として伝わって、観客も全力で楽しめたからこそ、熱狂溢れる雰囲気になっていった。

 これからも、LIVEで披露される機会は多くなっていくと思うが、その時々でどのように日向さんと相川さんの成長したパフォーマンスで魅せてくれるのか楽しみで仕方がない。

 

 


 10.天使と悪魔/赤崎こころ×kana


 突如として流されたボイスドラマ。その声の主は赤崎こころとKana。
その話の内容は、どのアイドルのデュエット楽曲が見たいか?というアンケートの結果で。こころとkanaの組み合わせへの票が1位を獲得。で…二人によるデュエット楽曲をこれから披露していく事も告げられた。

ここでの二人のやり取りは、表向きは仲良しアピールしているが、裏では……みたいなヒリ付き感駄々洩れなやり取りしてて、彼女達の底の見えなさと曲者感が遺憾なく発揮されてて非常に面白かった。まあ、この組み合わせはいつか実現するだろうと思っておったが、いざ来ると普通に驚くよな。まさに悪魔合体と言っても過言じゃなかったwww

そんなこんなでステージには、こころ役の豊崎愛生さんとkana役の田中あいみさんが登場。
一筋縄ではいかないこの二人が歌う楽曲だ。分かり易い楽曲のワケがないと戦々恐々としてたし、どんなモノを魅せ付けてくれるのか?って期待感も同時に湧いていた。
  
 この辺の所感は、かなりざっくりしたモノになってしまうが……前述でも触れたこころとkanaの一筋縄ではいかないパーソナリティが見事に反映されている楽曲というインプレッションを抱いた。小悪魔的なあざとさがあるけれど、どこか易々と掴ませない様なミステリアスな部分も垣間見える。

ちなみに…この楽曲における天使はkanaで悪魔がこころとの事。この楽曲のキモになっているのは、彼女達の極端な部分を押し出して共存させない点だと考える。そして、その役割が入れ替われる事もある。他のデュエット楽曲は、競う合う部分はあるけれど基本的には共存する形に落ち着く。

ところが、この楽曲は、どちらかに寄り添い引き立たせようなんてモノはないwwどちらかがより主張して目立てるかに彼女達は全身全霊を懸ける。こころがあざとい可愛さを見せれば、kanaはミステリアスな部分で魅せ付け……その逆の要素へ入れ替わっても魅せれる。

 完全にこころとkanaの掌の上で言い様に転がされ、また情緒が行方不明になってしまった…
この楽曲を受け入れるには、人類にはまだ早すぎたという事なのか?見事に魂を鷲掴みされただけでなく、握り潰されて落されてしまった。完敗だ……

 

 


 11.Just keep looking at me!/kana


 もしかしたら、kanaのソロ楽曲が来るんぢゃねぇの?なんて予想しておったら…本当に来てしまったww楽曲タイトルの『Just keep looking at me!』の訳は、私を見続けろ!との事。

意味的には、franのソロ楽曲『CHOOSE ME CHOOSE ME』(訳:私を選べ)と相通じるモノを感じるが、完全に一致しているモノではない。franの自己アピールは表現の世界に限定され、そこで生き残ろうとする生存本能から発せられてるモノだと捉えている。

一方、kanaの「私を見ろ」はその範囲が広大だ。四の五の言わずにとにかく「私を見ろ」と叫び続けている。その根底にある想いは、ずっと多くの人に見られ続けていれば、いつかは大切な人(父親)にも自分を見つけてもらえるという希望を抱いている。


故に、このkanaのソロ楽曲は、彼女の純然な想いとPRIDEに満ち溢れている。(と、思う…)


 今回はⅢXではなく、kanaとして単身この戦場に臨む形になった田中さん。
そんな彼女に与えられたミッションはどれも困難なモノ。こころとのデュエット楽曲にソロ楽曲の披露と新曲をいきなり披露する展開に。しかもソロ楽曲の披露は、多くの人が予想していた事から期待値のハードルはどうしたって上がる。そんな中でパフォーマンスをする田中さんの心中は、いろんな意味でまともな精神状態じゃなかったと勝手に思う。

彼女に出来るのはkanaの魂とPRIDEを宿してステージに立つしかない。kanaだったら、どうやって客席を爆盛り上がりさせていくか?彼女が導き出した答えが、初見にも関わらずサビで客席に向けてレスを求めた事だったのかもしれない。

それは、この楽曲の構成が激熱までいかなくても、ノリ易くて盛り上がれる系統ってのが田中さんの頭にあった。その可能性に田中さんは懸けたワケだ。歌詞にある「全然足りない」ってのは、お前らの熱が全然足りねぇ!もっと熱いのをよこせ!とkanaがこちらの熱を煽っている様でもあった。

 まあ、マイク向けられたら、脊髄反射でコールしちゃうんだよ。そういう風にもう我々の身体は出来ているのだから。それでも、あの場と刻の熱を引き出して熱狂的空間を創造していった田中さんには、コンダクター(指揮者)としての支配力とパフォーマーとしての強さがあった。

 

 


 12.恋心 ああ無情/こころ×kana×愛×葵


 この楽曲における本来のメンバーは、こころ、kana、愛、優、すみれの五人。
しかし、このLIVEでは、優(麻倉さん)とすみれ(夏川さん)は出演されていないので、前述した三人構成で披露するのかな~なんて思っておったら、ステージ上に一人いるんですよ。


 ん?……あれ?!何で高垣さんがいるのよ!って叫んだwwww


 まあ、すぐには状況を飲み込めなかった。そもそも、葵(高垣さん)とこの楽曲との相性が未知数過ぎて、良くも悪くもどんな化学反応を起こすか全然読めないってのがあったのよ。このDAY2はそんなんばっかぢゃねぇかwwwと、そんな慌てふためくおっさんを置き去りにしてLIVEは容赦無く進行していく。

 LIVEのみの限定ユニットとは言え、葵がこのトリッキーでエキセントリックな楽曲を歌うのはまだ理解が追いつけなかったが、実際聴いてみると、意外とすんなり入って来てコレはコレで有りだなと感じられた。葵だったら、こういったちょいとトリッキーな恋愛ソングはこう歌うんだろうなってのを、高垣さんは実践されたのだろう。その適応力と表現の引き出しは流石だなと唸るばかりだ。

 それぞれが自由奔放に躍動して盛り上げていくこの楽曲。印象的だったのは、サビでの地団駄踏んでる様な振り付け。その仕草が某芸人の一世を風靡したギャグ(そんなの○○ねぇ!)をモチーフにしたのかどうかは分からんが、とにかく全力感が出てて非常に面白かった。昨年は初披露でもあったし、トロッコの演出があったから振りはよく分からんかったがコミカル要素もこの楽曲にはあったのかという新たな発見でもあった。

 ユニットのメンバーが揃わなくても、誰かを突っ込んでみて未知の化学反応を起こして楽曲の秘めた領域を引き出す。コレもまた楽曲を成長させる事でもあり、意欲的なチャレンジだなと感心させられた。LIVE演出の手札が増えるってのは強さに繋がる事でもあるから。

 


 13.Slurp It Up/小美山愛


 小美山愛のソロ楽曲。コレも今回のLIVEで披露されるだろうなと思っていた楽曲。寿さんは、愛のBirthdayガチャで獲得できる「ツインテリング」をされていた。

愛の好物であるラーメンと、彼女がアイドルとして生きるエンターテインメントの世界をかけている変化球的なテーマだが、曲調は愛の純粋で素直なパーソナリティをダイレクトに盛り込んでいて、清々しい程に真っ直ぐなアイドルソング。ダンスの振りも独特で、ラーメンの湯切りをする仕草や丼持ってラーメンを啜る仕草もあり、観て楽しいし、曲調もポップで明るくてノリ易いので、まあ、盛り上がったわね。(語彙力どこ行った…)

 そもそも、楽曲そのものが盛り上がれるテイストでLIVE映えするだろうなってのは言われておった。実際、ちゃんと楽しめて盛り上がれたのは言うまでも無かった。ステージに立って歌っているのは寿さんだけれど、愛も寿さんの傍らでちゃんと楽しんで歌っていた。

愛にとってラーメンとアイドルは大好きなモノの象徴だと思う。そんな想いが詰まった楽曲を歌えるってのは何にも代え難い喜びだろうなって。愛の『大好き』という純然な想いと魂を、彼女の身体と心でもって歌声とダンスで解き放つ。人の『大好き』に触れられるのは本当に素晴らしいモノだ。

彼女は、自己肯定感の低い子だと思う。特別な才能やセンスのあったエリートでもなかったし、アイドルの軌跡も順調なモノじゃなかった。でも、貫き通して来たのは、諦めて立ち止まる事が無かった事だ。そんな子が明るく楽しい楽曲をアイドルとして観衆の前に立ち一人で歌っている。愛の全身全霊で楽しんでいる姿には、魂を揺さぶられないワケがなかった。

 アイドルの物語と生き様も、楽曲をより引き立たせる最高の調味料だと。

 

 


 14.スフォルツァート/井川葵


 ステージに高垣さんが現れた瞬間、彼女から何かが漲ってる『気』を感じた。直感で何となく悟ったワケだ。こりゃ、とんでもねぇモノがこれから来るぞって緊張感が走る。こちらがたじろいでしまう程に高垣さんに呑まれていたと言っても過言じゃなかった。

 歌い出した瞬間、そのとんでもねぇ予感は現実のものとなって襲い掛かって来て、戦慄し身の毛がよだつ様な感覚にみまわれて鳥肌が治まらなかった……この楽曲は葵のソロ楽曲。葵の中の人である高垣さんの歌唱力は一旦置いといて…葵と言えば、ダンス特化に振り切れたアイドルと言うイメージがどうしてもついて来る。

ただし…この楽曲はそうじゃない。ダンサブルな楽曲じゃなくて完全に高垣さんの方に寄せた……魂の絶唱でぶん殴る楽曲だなと。音源の段階でそう思ったんだから、実際のLIVEではもっととんでもねぇモノで殴られるのは確定事項だ。これまた情緒が行方不明になるヤツである。

でも、ここまで歌の方へ特化させたのは、葵の秘めた激情の表れなんだろう。ダンスで自己表現しては来たが、ダンスだけで鬱積した数多のモノを完全に解放出来るワケじゃなかった。特に、最新のストーリーでの葵の心情はまともな状態じゃないってのもある。高垣さんはそんな葵の想いも背負っていたのだろう。

 最初からクライマックスと言わんばかりの迫力と凄みが歌声に宿っていて圧倒されたが…サビでの血の流れる魂の絶唱がまたとんでもなかった。戦慄して鳥肌が立つマイナスのパッションと、内から燃え滾って来るプラスのパッションが同時に湧き上がって来た。あまりにも凄すぎて変な笑いまで込み上げてた……

当然と言ってしまえば当然なのかもしれないが、歌声の力でその楽曲の力というモノも変貌を遂げるんだなと強く思い知らされたアクトになった。音源のみで聴いた時も激熱な楽曲だと思っていたが、LIVEで聴き自分が想像した以上の圧と強さをもった楽曲だと知った。

 それを引き出して証明してみせた高垣彩陽の有無を言わせない説得力、表現力……最前線で戦う表現者の凄みが溢れ出ていた。

 

 


 15.SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 歌い出しの「SUNNY PEACE for You and Me!」からの…会場に轟くWow Wouの大合唱。
サニピの集大成となる楽曲であり、『アンセム』でもある楽曲。この楽曲の強さは彼女達がLIVEで歌う度にどんどん進化して強くなっていった。
 
ただ、くどい様で本当に申し訳無いが、今回のLIVEにおいてこの事について触れないといけない。それは、このLIVEには怜と結城萌子さんはいないという事実。そこに一人いない。サニピのPEACEは欠けた不完全な状態でここに来ている。当然、彼女達は全身全霊でパフォーマンスするし、実際そうだった。それでも一人いない現実は曲げられない。

 それでも…さくらと菅野さん、雫と首藤さん、千紗と高尾さん、遙子と佐々木さんには届けたい歌があった。姿は無くとも怜と結城さんへの想いを背負って歌う事、会場に来てくれた観客を楽しませる事。寂しいという感情を抱かせてしまう事は置き去りにしてしまう事を意味している。それは、繋がるって事をアイデンティティにしているサニピの信念に反するモノだと。


 この指止まれ!

 隣の笑顔 寂しい顔も 繋がればほら幸せ!

 SUNNY PEACE for You and Me!

 世界中が輝きだす 響け! このハーモニー

 ―サニーピース『SUNNY PEACE for You and Me!』より引用


 何度聴いてもこのサビのフレーズには、魂が滾って来る衝動が湧いて来る。
掲げた指に止まれないのなら、彼女達の方から出向いてでも止めようとする。でも、負の感情に苛まれた人には指を掲げて待っている彼女達の存在自体がどこで待っているか分からない。

そこで必要なのが、圧倒的な輝き。彼女達の輝きはそんな人達を導くモノになる。確かに、一つの輝きはあの場には無かったけれど…物足りないという印象は全く感じられなかった。この逆境が四人を更に強くしたのだろう。絶対に繋がってやるという意地が四人の限界領域の壁をぶっ壊した。そして、この『アンセム』に新たな血が流れてもっと強くなった瞬間でもあった。

 

 


 16.Hi5でピースサイン!/サニーピース


 サニピブロックのLAST SONG。サニーピースの『これから』の旅路を往く為の『アンセム』。
この楽曲を、DAY1同様サニピブロックの締めに持って来たのは、やはりこれからのサニピの物語を紡いでいきたいモノとして外すわけにはいかない世界観があるのだろう。

DAY1のレポの方にも書いたが、『星空編』でサニピは、グループの危機が訪れる挫折の物語が描かれると思われる。具体的にそれが何なのか?ってのはいろいろな要素があるが、彼女達の中の何らかのズレがあって互いの想いがすれ違っていき、全体の不調に至ってしまう…みたいな。

この楽曲の歌詞に感じられるどこかネガティブな要素は、繋がりが近すぎる為に感じられなくなってしまった事を想起させる。それは、何か大切なモノを見失って行き詰まる事でもある……そんな時だからこそ、初心に立ち返って奮い立たせようとする『アンセム』としてサニピは歌う。

 今回のLIVE。ゲームリリースから三周年記念となるLIVEだ。個人の主観だが、三年という年は節目の年だと思っていて、更にはTVアニメにて、サニピが結成される物語が描かれたのも三年前だ。この節目のタイミングだからこそ、グループとしての初心、原点に立ち返る意味を持つこの楽曲をサニピのLAST SONGに据えた。

 何故なら、そうしないとサニピはこのLIVEでちゃんと戦う事が出来なかった。たとえ何度躓いて転んでも諦めない。迷わない。みんなと一緒なら、きっと明るい方へ歩いて行けるから。そんな願いを込めてサニピは歌ったのだと。

 

 


 17.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 すずは言った。『あの曲』のセンターの座だけは誰にも譲れないと。
『あの曲』とは……これから五人が歌う『最愛よ君に届け』の事である。琴乃が一時的にとは言え、月ストを脱退していた時に作ったこの楽曲に、彼女は並ならない想いを抱いている。すずの、この楽曲への譲れない想いと覚悟を充分理解した上で敢えて言いたい。


DAY2の『最愛よ君に届け』は、長瀬琴乃と橘美來が全部持って行ったと。


 知っての通り、この楽曲は琴乃のソロパートは一切無い。それは、ストーリー上で彼女が月ストに居ない時期に作られたという設定だからだ。自分がこれまでLIVEで聴いて来たアクトでも、琴乃の歌声が表に出すぎて主張している印象は受けなかった。

だが、この日のアクトは違った。沙季と宮沢さん、芽衣と日向さん、そして、この楽曲のキモとなっている渚と夏目さんのソロ、すずと相川さんのソロまでもが霞んでしまう位に、琴乃と橘さんの歌声の力が凄まじかった。特に、サビでの彼女の歌声がとんでもなかった。まるでそこだけ琴乃のソロなんじゃないかと錯覚するほどに……

 伝えたい想いを言葉で尽くすのではなく、アイドルならパフォーマンスで証明してみせろとすずは琴乃に言った。そして、琴乃は抱えている数多の感情と、ここから未来の刻へ向かって突き進む意志をパフォーマンスへ込めた。この時の琴乃と橘さんは限界を超えた『Zone』の先の領域に踏み込んだんだろう。そうじゃないとあんな歌声で歌えない。まさに、血の流れる魂の絶唱だった。

勿論、橘さんだけが目立っただけじゃこのアクトの意味を成さない。彼女の剥き出しの想いと魂は、四人にもきっちり伝わっていって互いのぶつかり合った情熱が、大きな嵐となって更なる熱狂を巻き起こす。

 すず、渚、沙季、芽衣だけの『アンセム』でもなく、琴乃だけの『アンセム』でもない。月のテンペスト五人全員にとっての『アンセム』なんだと改めて思い知らされた。

 

 


 18.月ノヒカリ/月のテンペスト


 『最愛よ君に届け』が生み出した嵐が去って……柔和で沁み入る様に響くイントロは、まさしく『月のヒカリ』を彷彿とさせた。強い輝きだけど、どこか優し気でしなやかな柔らかさもあるヒカリだ。

DAY1で観た時も、凄く目を惹いて魅入られるパフォーマンスだったが、このDAY2ではより洗練されていた様に感じられた。一度実戦で披露して見事にやり遂げたってのが大きな安心感になって自由で伸びやかなパフォーマンスになっていた様に思える。そして、何よりも…五人が本当に美しかった。

 五人の内側から滲み出て来た美しさは、ダンスのしなやかさや力強さだったり、歌声の質にも出ていて、そこに余計な緊張感や力は入っていない。まるで、あらゆるしがらみから解き放たれた様な奔放さ……ここまで人は解き放たれた動きや歌声で歌えるのかと、ただただ感心して聴き入っていた。

月ストが紡いだ物語。その軌跡の一つの到達点に『月のヒカリ』があると言っても過言では無い。彼女達の純然な想い、覚悟、生き様、絆、アイデンティティ、PRIDE……月ストの全てを背負う楽曲へと昇華された。

 大変な事やキツかった事もあったが、一つとして無駄なモノじゃなく、全ての出来事が今の彼女達の力と強さになっている。どちらに進めばどういう道があるのか、そもそも道があるのかどうかも分からない。でも、進んでいかなきゃいけなかった彼女達が、踏み出す勇気を出して進んだから今があるのだと。

 夜空の闇があるからこそ、月のヒカリの輝きはより美しくなって闇を照らしていく。そのヒカリに魅せられた視線の先には、本当に、心からこの楽曲をモノにした月のテンペストの五人の姿であった。

 

 


 19.song for you/長瀬琴乃×川咲さくら


 『月のヒカリ』の余韻に浸ってまったりしていた所に響いたイントロ。そのイントロの楽曲を認識できた瞬間、背筋に電流が流れた様な感覚になって、「へっ?嘘だろ?この楽曲歌うのか……」って思わず声出て、身体の力は抜けて膝から崩れ落ちた……


そして、俺の涙腺の臨界点が壊れた……


 ステージには、橘さんが登場して歌い始めていた。ただ…同時に違和感を感じた。客席から見て上手側(右)から橘さんは登場されてそのままセンターで歌うのかと思っていたら、センターへは移動せず出て来た位置で歌っていた。センターを敢えて空けてるのは、麻奈(神田沙也加さん)が真ん中にいるって事なのかなって。そして、二番に入った瞬間にとんでもない光景を目の当たりにしたんだ…

 
 下手側に設置されていた階段の最上段を橙色の照明が照らし…その光の下に立っていたのは菅野真衣。彼女の姿が見えた瞬間……


俺の涙腺が第二次臨界点を超えてしまった……


 こんなのダメだろ……あくまで私見の域だけど、LIVEでこの楽曲を披露する上で大事な三つの要素が全部揃っちゃったんだもの。泣いたというかは、自然と涙が溢れ出ていた。

さて、その三つの要素とは何か?まず一つ目は、琴乃と橘さんか、さくらと菅野さんのどちらか一組が歌う事。二つ目は、麻奈と神田さんを感じさせる空間を設ける事。最後は、前述に挙げた二つの要素が全て揃う事。と、まあ、見事に揃ったワケだ。

 ちなみに、俺の記憶が確かなら菅野さんがアイプラLIVEで麻奈の楽曲を歌うのはコレが初めてのはず。実際のやり取りがどうだかは分からんが、これまでのLIVEで歌う機会を設けようと、菅野さんに振ったとは思う。でも、彼女は首を縦に振らなかったのか、そもそも話を持ち掛けなかったか。俺は、話を振らなかったと思っている。

菅野さんに麻奈の楽曲を歌わせるのは簡単。業務命令と称して強引に振ってしまえばいい。ただ、大昔ならいざ知らず、今の時代でそんな強引極まりない要求が通るワケ無い。それに、強制されて歌った楽曲に血は流れないし、それを聴いて感動は出来ない。

これまでそうしなかったのは、菅野さんの意志を尊重して来たからだろう。本当に彼女が麻奈の楽曲を心の底から歌いたいと願い出る刻を待っていた様に思えるし、あるいは、話を振って菅野さんがちゃんと納得して承諾する刻まで待っていた。

そんな菅野さんが想いを覚悟を背負ってステージに立って歌う。誰にも出来る事じゃない……それをやってのけたんだ。コレが泣かずにいられるか……

 そして、橘美來さん。貴女も本当に凄い人だ。菅野さんとは逆に、彼女は麻奈の楽曲をLIVEで何度か歌って来た。麻奈と神田さんが大切にして来た想いとPRIDEが込められた楽曲を歌い継ぐ事は、並大抵の覚悟じゃないし、ましてや簡単に出来る事でも無い。彼女の決断も間違いじゃない。誰かが歌い継がなければ楽曲も朽ちて忘れ去られてしまうのだから……

琴乃は言った。今もまだお姉ちゃんはステージにいて感じられて、歌えばきっと想いは伝わると。麻奈の遺志と楽曲を歌い継ぐ琴乃。受け継いだ歌声じゃなく自分の声で歌ったさくら。長瀬麻奈と神田沙也加へ贈る歌としての説得力がステージにはあって表現を超えたありのままの感情を剥き出しにして魂が震えた。そして、琴乃とさくら、橘美來と菅野真衣の歌声は、境界を超えて繋がり……


 血が流れる魂の絶唱へと昇華していった。


 琴乃とさくら、橘さんと菅野さんも、いろんな事を乗り越えて来たから今がある。
そんな自分達が成長した晴れ姿を見て欲しい…麻奈と神田さんに届けと願い、全身全霊を懸けて歌った。そんな彼女達の絶唱を、麻奈と神田さんはきっと見てくれて聴いてくれたと思わずにはいられない。何なら、彼女達と一緒になって歌っていたかもしれない。多分、麻奈と神田さんならそうしただろう。

 橘さんと菅野さんが歌い終わっても、現世に魂は還ってなかった。本当にとんでもねぇ刻と場にいたし、その余韻に浸っていたかったのだと。正直、いくら言葉を尽くしてもこの奇跡のアクトを称賛出来る言葉は出て来ない。ただ……最大の敬意と感謝をもってこの言葉だけは贈りたい。


 歌ってくれて、本当にありがとう。

 

 


 EN1.Shine Purity ~輝きの純度~/星見プロダクション


 自分がこの楽曲をLIVEで聴くのは二年前の立川以来か。
このコンテンツにおける原初の楽曲。あれから刻が経つに連れて、多種多様な魅力溢れる楽曲が増えて来た。

楽曲が増えれば増えるだけ、LIVEで披露出来る楽曲も減る。それには公演時間の関係や、セットリストのテーマに合わないとか様々な理由がある。ただ、その事について批判しているワケじゃない。コンテンツの歴史が進めば、いつかはそういう機会が来るのは必然な事で喜ばしい事でもある。

それはさて置き…『song for you』と同様に、この楽曲も今回のLIVEで聴きたかった楽曲だったので、イントロ聴こえた瞬間に魂が還って来て思いっきり吠えた。

 『Shine Purity』を生で観ると、何と言うか、叩き上げの魂を彼女達から感じられる。
デビュー楽曲として披露されていた頃より、当然今の方がパフォーマンスの質は向上されている。単純に刻が経ち、経験を重ねて、みんなが成長したからというのが理由だが、その洗練された中から滾って来るガムシャラさみたいなモノを隠す事無く曝け出してる様に感じられる。

 でも、それはネガティブなインプレッションではなかった。成長する事で何かを置き去りにしてしまうってのは割とある話だ。彼女達は叩き上げの魂をちゃんと今でも持ち続けているんだなと。原点回帰し、また新たな旅路へと駆け出す為の『アンセム』。三周年はゴールじゃない。大きな節目になる通過点だ。

 当然、彼女達はこれからもっと強くて魅力的になる。そして、この原初の『アンセム』も強くなる。

 

 


 EN2.Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション


 曲名が告げられてから、イントロが流れ客席が盛り上がる。見事なコンボの完成である。
この楽曲は、ただ楽しいって要素しか詰まっていない。もう、脳ミソの理性が留まっているネジを緩めてただ楽しめ。グダグダ考えてないでブチ上げていこうぜ!って言われている気分になる。

 いつも思うが、この楽曲の弾け飛ぶ様な爆発力って凄まじいなってww
曲調自体が完全に振り切ってるのもあるし、星見の子達もめっちゃ楽しんでパフォーマンスしてる。音源だけじゃその楽しさと爆発力は醸し出せない。楽曲の限界領域を壊して楽しさ満点のLIVE定番曲へ引き上げたのは、紛れもなく星見の子達の功績。

もう、この刻の感情の爆発は言葉で表す事が出来ない。会場全体のボルテージも凄まじかった。LIVEで観る度に思う。このアクトはどこで戦ってもきっちりと会場をブチ上げさせる強さがある。そんな未来の刻と機が訪れて、その場に居合わせられたらこんな幸せな事は無い。

 

 


 EN3.星色のカレイドスコープ/星見プロダクション


 二日間に渡って繰り広げられた夏の陣のLAST SONG。ここまでで散々書き殴って来たのであえて書かないが、本当にいろんな事があり過ぎた二日間のLIVEだった。

それは、ゲームリリースしての三年間にも繋がっていて…喜ばしい事もあったし、筆舌に尽くし難い悲しい事もあった。複雑で、多面的で、常に新鮮な驚き。それは曲題にもあるカレイドスコープ(万華鏡)を彷彿させる様な物語だったのかも。

 『IDOLY PRIDE』の物語は、星見の10人の子が中心になって引っ張っていく物語。どの子も個性豊かで魅力的だ。いろんな見方や組み合わせ方でその魅力は様々なインプレッションとして我々を楽しませてくれるだろう。

 それにしても、本当に良い楽曲だなって…勿論、この楽曲に限った事じゃないが、良い楽曲があまりにも多すぎる。歌っている彼女達も、それは強く実感されているんだろう。それぞれが何かとちゃんと向き合って戦って、しっかりと乗り越えられた。そんな安堵とやり切れたという充実感に満ちていた感じで、本当にいい顔してパフォーマンスされていた。

 

 

 あとがき


 こうして二日間に渡る『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』の戦いは終演した。
DAY1が終演した時は、身体中の力を根こそぎ絞り尽くされた様な疲労感に陥ったが、このDAY2で感じた疲労感はまた違ったモノだった。

身体で感じる出し尽くした疲労感よりも、受け取ったインプレッションが脳ミソのキャパシティをオーバーして、完全にオーバーヒートして脳ミソの疲労がとんでもなかった……それもまた心地いい疲れで、この二日間はきっと忘れられない極上の刻になった。

 ここから先もまた会える刻と機がある事。新しい景色を見せてくれる期待感。それが幻想では無く確信だと言える事が本当に嬉しい。何度も言うが、この二日間の奇跡の刻を忘れる事は出来ないし、これから日々を戦う魂の支えになる力を貰えた。

 今まで通り、寄り添いながら前だけ見据えていければちゃんと戦っていけるし、その力は充分に備わってる。これからの未来の刻でどんな新しい景色を魅せてくれるのか。いい意味で予想を裏切り、期待に応えてくれる事を願い、この参戦レポの筆を置く事にします。

 

 

 

 

情熱と興奮が交差する刻ーIDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second DAY1参戦レポ

 8月11日と12日に、パシフィコ横浜にて開催された『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』両日共に参戦して来た。今回は、DAY1の参戦レポをこれから書き殴っていく。

 


 まず、レポの本編に行く前に……今回の『VENUS PARTY The Second』において、触れておかなければならない事がある。

 

 

 開催前日。一ノ瀬怜役の結城萌子さんの新型コロナウイルス感染が判明。それにより、LIVEの出演は辞退されるとの事。これまでのアイプラLIVEでも、グループの誰かが出演されなくてメンバーが揃わない事はあったが、それは、既に出演されないのは分かっていたりする。しかし、今回の様な開催前日に主演できないというケースは初めてだと思う。

当の結城さんも無念だっただろうし、共演されるキャスト陣、そして、観客の我々も寂しい思いを抱いた。ただ、そのネガティブな感情に囚われてはいけないという想いと、心の奥底では整理し切れない想いが渦巻いてる状態でLIVEに挑まなくてはならない。実際にその現場に立ち会い体験してどんな感情になるのか?それを大きなポイントとしていたのは事実だった。

 昨年の『VENUS PARTY The First』、月スト&サニピによるアイプラLIVE初のZepp Tourで彼女達が魅せてくれたのは、当然ながら『今』最も見せたい自分達の力だったはず。だとするなら、キャラクターの魂を宿し、なおかつ物語を経た今の彼女達が見せたい『今』が何なのか?そいつを直で観て自分は何を感じて魂へ刻み込むのか。そいつを見定めてみたいと。

 ただし…如何せん俺の脳ミソのキャパシティが極小なモノしか無いので、詳細までは書けないがそれでも出来得る限りこの夏の陣の模様を書き殴っていこうと思う。出涸らしの記憶を無理やり絞って書いておるので所々(…ぢゃ済まないかも)怪しい部分はあると思いますが、それでも読んで下さるとありがたく思います。

 

 

 

 1.恋と花火/月のテンペスト


 最初に持って来る一曲目の攻め方は、言わずもがな本当に重要なウエイトを占めたモノ。グループを象徴する楽曲や一気に会場全体を燃え滾らせる『アンセム』的な楽曲による真っ向勝負を仕掛けるか?或いは、こちら(観客)の意表を突いて来る様な変化球を持って来るのか?そんな思考が脳ミソを廻ってドキドキ感とワクワク感を抱きながらイントロが聴こえるまでと演者の姿がハッキリと見えるまでの刻を待ち侘びる。

そして…おぼろげながらステージに見える五人の人影が確認出来て、どこか儚げなセンチメンタル感&ノスタルジーをも呼び起こさせるイントロが響き、ステージが照らされ、初お披露目となった衣裳を纏う月のテンペスト五人の姿がハッキリと見えた。それは、本曲のモチーフとなった夜空の闇を鮮やかに彩る花火の様だった。

 ストーリー本編で触れられたが、月ストの『WHAT IS “IDOL”?』への答えは、「みんなの道を照らす」事。それを最も体現している楽曲は他に存在しているが、この楽曲もまたその括りにある楽曲だと勝手に解釈している。LIVEが開演する前ってのはある意味、明かりの無い暗闇と称してもいい。そんな闇を月ストが「眩いくらいに圧倒的な 一瞬の輝きが欲しい」の歌詞を体現する様なパフォーマンスを魅せ付けてオープニングアクトを飾る。

 月ストのキャスト陣であるミューレ3期生の五人の表現力は、これまでのLIVEだったりイベントにて証明済みだけれど、今回特に目を惹いた…いや、撃ち抜かれたのが、伊吹渚役の夏目ここなさんだった。彼女の独特なクセのある歌声は四人の歌声と合わさった時でも、かき消されない強さがある。その歌声の強さは充分発揮されていたが、何よりも彼女の『魅せ方』の妙に撃ち抜かれた。

これは、分かっちゃいたけれどどうにもならないモノ。改めて、夏目さんの妙技に魂を撃ち抜かれて魅了されてしまう。何よりも圧巻だったのは、時々アップでモニターに抜かれた瞬間のウインクの破壊力が凄まじ過ぎる……この人はカメラアピールが抜群に上手いなと思い知らされる。どう映ったら自分がより魅力的に映えるかってのをいろいろと研究されているだろうし、そこを本能で嗅ぎ分けられる感覚が研ぎ澄まされた賜物なのだろう。見事なまでのオーバーキルだった。 



 2.裏と表/月のテンペスト


 イントロ聴いた瞬間に会場に轟く『うおぉぉぉぉッ!!』という咆哮。この反応が、この楽曲を月ストの『アンセム』である事を証明するモノだなと、首がもげそうになる程に頷いてしまう。『恋と花火』の余韻を一気に吹っ飛ばして血が滾って来るのが分かる。あまりの落差に情緒が追いつかなかったのは言うまでも無い。もう、この楽曲はそういうモノとして魂に刻まれたのだ。

 月ストの叩き上げの魂在りきで生まれ、琴乃、渚、沙季、すず、芽衣の抑えきれない爆ぜる激情と野性が解放される『戦いの謳』。ただ、現時点までではストーリーへの関わりが一切無いが…この楽曲の存在感と説得力は、他の月スト楽曲に見劣りしないモノがある。その域まで楽曲を育てたのは、紛れも無く、キャラクター&キャストの月ストの力と生き様あってこそ。

本来は重ねるべきではないが、この楽曲においてはどうしても、キャラクターの魂とキャストの魂を重ねてしまっている。それは、月ストが他のグループよりも繋がりが近いからだと思っておる。琴乃達は焦燥感と必死に抗いながら希望の未来を勝ち取ろうと戦って来た。そして、キャストであるミューレ3期生もまた、ままならない状況と戦い続けている。

誰にも負けたくないという想い、自分の夢を叶える為には『戦う』事と『我』を出すという選択肢を貫き通す事。頑なに彼女達が信じて貫いた想いが凝縮されている様に思えてならない。

その彼女達が剥き出しの魂でもって謳う楽曲に血が流れないワケが無い。進化と洗練されたパフォーマンスとはまた違う彼女達からビリビリと伝達して来る失われちゃいなかった荒削りな叩き上げの魂が解き放たれた。

 叩き上げの挑戦者魂を燃え滾らせて、未知の軌跡へと踏み出していく。
変わらない想いは大事。でも、変わろうとする覚悟と一歩踏み出す勇気も大事。何処に進めばどういう軌跡が拓けているか?そもそも軌跡なんてあるのか分からん中で、それでも進んでいくしか選択肢がなかった彼女達が勇気を出して踏み込んだからこそ掴んだ『今』があった。


 

 3.月下儚美/月のテンペスト


 歌われないLIVEもあったが、アイプラLIVEのみならず、枠を越えてミューレ3期生のイベントやフェス系イベントでも歌われるこの楽曲。楽曲という生き物は、披露されればされるほど変化と進化を遂げていく。最初は、表現者と楽曲というだけの繋がりだったが、刻を経て共に戦って来た事で、もう切っても切り離せない密接な『戦友』と称して過言じゃない楽曲。

楽曲という生き物は刻が経てば、最初に披露された時とは何もかもが違ってくる。
世にある全ての楽曲に言える事だが、歌う者の成長やその刻と場での心情、挙げるとキリが無いが…常に変わっていってるのは逃れられない自然の理の中にある。

 それでも、成長の証を最も魅せ付けられるのが『月下儚美』という楽曲。だからこそ、月のテンペストにおける『アイコンソング』(象徴)という説得力をもたらしている。そもそもこの楽曲が持っている力そのものが強いってのが前提にあるのだが、ただ、その力を自分達で引き出していってモノにしていくのは、実際に歌う月ストの五人にしか出来ない事は言うまでも無い。

真の意味で、輝く事の意味と照らす事の大切さを知った琴乃達の魂を宿した彼女達は、解放されて伸び伸びとしたパフォーマンスで躍動していった。嵐の様な情念を曝け出し、またある時は月の光の様な凛然とした美しさで魅せる。相反する要素で共存できないと思えるが、それが無理なく結びついて月ストの魅せ方の真髄へ昇華していた。コレは本当に月のテンペストにしか出来ないパフォーマンス。

 『今』の月ストの強さと『アイコンソング』としての強さを観られて良かった。
ここから刻が経っていって…またこの楽曲のパフォーマンスを観た時また新しい感動をもらえるのだろう。彼女達ならそいつを成し遂げられると信じているから。

 


 4.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 イントロが聴こえた瞬間に、ブワっと血が滾る感覚に陥った。
それは、徹底的に破壊された月ストの決起を謳う『アンセム』だからなのかもしれない。長瀬琴乃という月ストの絶対的なアイコン(象徴)が一時的だが去ってしまい、いつの日か、彼女が帰って来る場を守る事と、渚、沙季、すず、芽衣の夢も守る『戦いの謳』。このDAY1でのアクトは、琴乃が脱退して四人になった時間軸で捉えてみる事にした。

 この楽曲で個人的に感じているキモの部分は、渚=夏目さんと、すず=相川さんがどれだけ魂を滾らせて頑張れるか。当然だが、沙季=宮沢さんや芽衣=日向さん、更には琴乃=橘さんもきっちり含まれている。誰が欠けてもこの楽曲にちゃんと血が流れないのだ。それは物理的に琴乃がいない時でも変わらない。

Zepp Tourで聴いた時も圧巻だったが、夏目さんが顔で歌うソロパートでの魂の絶唱は、あの刻よりも鬼気迫る迫力があったし、(☆5友を照らすヒカリの火力が異常なのも頷ける…)相川さんのソロパートは、背負う者としての覚悟とPRIDEをビシビシと感じられる力強さがありながらも、どこか寄り添う様な優しい温かさを感じられた。

 間違っているのは承知の上だが、やっぱりこの楽曲を聴くと、どうしても渚とすずのパートに聴き入ってしまうんだ。それは、琴乃が脱退した月ストを守る為の覚悟がダダ洩れしているのを感じられるから。でも、沙季、芽衣、琴乃を軽んじているワケじゃない。彼女達も月ストを盛り立てて再生しようと懸命になって戦っているのも感じ取れる。

もしかすると…いや、そうじゃない。彼女達が渚とすずの道を照らして力を与えていたからこそ、二人の歌声に更なる力が与えられた様に思えてならない。このDAY1のアクトは、渚とすずの生き様とPRIDEが凝集され、夏目さんと相川さんの歌声に乗っかって解放されたのだと。

 


 5.月ノヒカリ/月のテンペスト


 月ストブロックのLAST SONG。このLIVEにおける月ストのキモになった楽曲だと言っても過言じゃない。それ程までに、この楽曲は需要なファクターとして存在感を放っていた。ストーリー中においてもそれは同様で、月ストの『WHAT IS “IDOL”?』の答えとなる「みんなの道を照らす」事を体現した楽曲。今回のLIVEにおいて聴きたかった楽曲はいくつかあって、この楽曲はそんな中の一つでもあった。

 ただ…一点。残念だと思ってしまったのが『The MOON』の映像を曲入り前に流して欲しかったなと。※ちなみに前回のパシフィコLIVEは、サニピの『SUNNY PEACE for You and Me!』の前に『The SUN』の映像は流れた。

真相はどうかは分からんが、本当は入れたかったけど、総合的な尺の問題で諦めざるを得なかったのかもしれない。それの代用で月ストの円陣の掛け声になったのかなとも思えるし。まあ、そこを突くのは無粋なんだろうなと自分に言い聞かせた。

 話を戻して……勝手な持論だが、同じ楽曲でも音源で聴いた時とLIVE会場で直に聴いた時の感覚というモノは全然違うインプレッションを抱くモノと思っており、音源を数え切れないほど聴き込んでも感じられないまた新たなインプレッションとして心…魂に深く楔のように撃ち込まれる。言わずもがな、LIVEの刻と場で聴いたこの楽曲は格別なカタルシスとなって魂に沁み渡っていった。

柔和で優しい慈しみ、真に伝えたい純然たる想い、ここから始まる為の決意表明、五人の逞しさと底力を魅せ付けられる歌、傍らに寄り添ってくれる事への感謝、とっておきの切り札……
それらが完全に解き放たれていくのがサビ突入後。それはありとあらゆるモノから解き放たれた清廉で自由な歌声。コレは音源とは比較にならないレベルの凄まじさがあり、生命の謳としての説得力が宿っていた。

 一瞬の限られた刻ではなく、ずっと先の未来の刻まで照らす。月ストにしか歌う事が出来ない月ストだけの歌だと思い知らされた。リズムに乗って身体を揺り動かす事も忘れ、ただただ五人の歌声に聴き惚れ、ステージでしなやかに舞う五人に見惚れるしかなかった。

感情に訴え掛けて来るラスサビがまた見事だった。長瀬琴乃、伊吹渚、白石沙季、成宮すず、早坂芽衣絶唱に引っ張られて月ストが訴え掛けて来る。歌い終わった時、称賛の声をあげる事が出来ず、ただ拍手を送る事しか出来なかった。彼女達の渾身のアクトの余韻に浸りたかったのだろう。

 大袈裟なのは承知だが、敢えて言いたい。俺はこの刻で初めて『月ノヒカリ』を知る事が出来た。

 

 

 6.Shining Days/サニーピース


 冒頭の四方山話でも触れたが、今回のLIVEは結城萌子さん&一ノ瀬怜がいない……
でも、サニピは四人で戦い抜くという覚悟をもって『VENUS PARTY The Second』に臨む。

彼女達が初手に持って来たのは、コレもサニピの夏曲となる楽曲。正直、初手に持って来たのは意外だったのよね。サニピ楽曲の系譜では異彩を放つ爽快感はありつつも落ち着いた曲調が持ち味の楽曲。

あくまでも個人の解釈の域でしかないが…この楽曲は、サニピの五人の心の情景に寄り添う表現をしている内省要素の強い楽曲。『不安』『涙』『見失いそう』『諦めそう』。これらのネガティブなキーワードは、雨雲に隠れた太陽を想起させる。起こって欲しくなかった物語だが…ネガティブな感情を払拭していく意味が加わり、サニピのオープニングアクトとしてはこれ以上無い立ち上がりだったのかと。

 それでも、怜がこの場と刻にいなくても戦う事を選んだものの……やっぱり一人いないってのは非常に大きな穴が開いたモノだ。実際、結城さんのパートは音源で補ったが、姿は無いのでどうしても見た感じの違和感は払拭出来ない……しかし、ステージの四人は彼女の不在を感じさせまいとして皆がより一層に躍動していた。彼女達の中でも感じているのだろう。姿は無くても怜と結城さんの想いとPRIDEはステージにちゃんと在って、一緒に戦っているんだって。

 トラブルすらも楽しんで躍動している四人のパフォーマンスを観て、燃えないワケにはいかない。川咲さくらが誰一人として見捨てない為に手を差し伸ばした様に、観客は、グループカラーや四人それぞれのイメージカラーだけじゃなく、怜のイメージカラーである水色の心の光で応援していく。まさに『繋ぐ』事がグループのアイデンティティであるサニピの真骨頂が発揮されたアクト。雨雲が去って太陽が顔を覗かせた。

 


 7.SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース

 
 きっちり戦える事を見事に証明してみせてからの…サニピの『アイコンソング』投入。こうなったら、このグループは本当に強く輝くし、何よりもこの楽曲が本当に強いんだ。最大のピンチをチャンスに変え、怜&結城さんの想いとPRIDEも背負った四人に、もう恐れるものは何も無いと言った所か。 

月ストが、原初の楽曲であり『アイコンソング』となる『月下儚美』を、『戦友』の域まで昇華させて来た様に、サニピもこの楽曲とちゃんと向き合って、共に駆けて来れて……『戦友』の域まで昇華を果たした。披露される機会が多ければ多くなるに伴って、彼女達と楽曲は更に強くて魅力的になっていく。そういう楽曲を持っておく事は非常に大切な事なんだなと改めて思える。

 サニピのシンボルである太陽のヒカリ(コレは変換ミスぢゃない)を彷彿させるオレンジの輝きと、各々のイメージカラー、そして…サニピの全身全霊のパフォーマンスに魅せられた我々の声援が加わって、尋常じゃない盛り上がりになってクッソ楽しかった。

それでも、一番この場と刻を楽しんでいたのは、ステージで躍動されていたサニピの四人だ。こちらが楽しいと感じられたのは間近で楽しんでいる彼女達に触発されたから。だからこそ…このフレーズが魂に強く突き刺さって来る。



 みんなで!サニピ!(サニピ!)


 ―サニーピース 『SUNNY PEACE HARMONY』より引用


  
 散々触れているが…今回のLIVEは、結城さんと怜は不在。だからと言って、彼女達を除け者にして楽しむのは違うんだ。そもそも、そんなつもりも無いし、させないってのが四人と我々が抱いている共通認識なのだ。

 


 8.サマー♡ホリディ/サニーピース


 充分に温まった……嘘です。もう温まるなんて優しいモノじゃなく完全に煮え滾った釜の様な激熱空間になったパシフィコに響き渡る勝ち確楽曲のイントロで更に興奮の坩堝へ。ただでさえクソ暑いこの季節なのにこの子達全く容赦がねぇwwww

夏開催のLIVEでこの楽曲をやらん理由を探す方が難しい。ただ、真冬のZepp Tourでも披露したらしいので、この辺は意味が無いという事なんだろう。即ち、この楽曲が披露されたら、あれこれ考えるのでなく、脳ミソを締めてる理性のネジ完全に緩めて楽しめと。それは、この楽曲に限らずサニピ楽曲全体に言える事だが。※個人の感想です

 まあ。見事に盛り上がったわね。(語彙力は何処行った…) 我々もそうだったし、モニターに映っているメンバーの表情もめっちゃ良い笑顔でパフォーマンスされて、凄く楽しんでるな~ってのが伝わって来た。自分が直に聴くのは昨年の幕張以来。あの刻でも極まってしまった勝ち確の謳だったけども、今回はそれをあっさりと最高を更新して楽しめた。

 あっさり更新と評したが、それを成し遂げるのは簡単じゃない。楽曲が持つ強さを引き出した彼女達の成長の賜物。彼女達は心底楽しんでいたと言ったが、単にパフォーマンス出来る事もそうだろうし、それによって観客が楽しんでくれた事が嬉しかった。そして、何よりも、過去の彼女達自身にも挑戦していたのだろう。それも彼女達はきっちり楽しんでいた。

 


 9.全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 イントロと同時に始まったカウントダウン。この楽曲が来てしまったら、骨の髄まで出し尽くせという戦闘開始のカウントダウンなのよ。(そういう楽曲ぢゃねぇんだがwwww)楽曲に人の意志が完全にコントロールされた瞬間と言っても過言じゃなかった異様な空間。

 ところがだ。今回感じたのは、これまでのただ楽しい楽曲では無かったという事。いや、この楽曲の根幹になっている楽しさってのは損なわれてなかったんだけど、もう一つの根幹になっている大切な人への「ありがとう」と「大好き」をたくさん伝えたくなる感謝の謳という面が強く出ていた様に感じられ、温かくて優しさに溢れていた。

本当にクドくなって申し訳無いが……その温かさと慈しむ優しさは、今回のLIVEに出演できなかった結城さんに伝えたい想いを乗せて歌ったからだと俺は思ってしまった。彼女がいない事で、LIVEにおけるサニピの当たり前が崩れてしまった。それはIDOLY PRIDEのLIVEで起こって欲しくなかった物語。でも、その寂しさをグッと飲み込み、戦って前に進む事を四人は選択した。

 モニターに映る彼女達の表情もどこか優し気な表情されていたのが印象的だった。まあ、そうじゃなかったかもしれないし、オマエ何言ってんの?と言われたら返す言葉も無いが…ただ、俺にはそう見えたのだから誰かに噛み付かれてもその意見は曲げない。

 それはさて置き…サニピの仲間と一緒に駆けて来た刻は、本当に掛け替えの無いモノだったと想像出来た。さくら達もそうあった様にキャストの子達も同様だった。だからこそ、どんな状況でも挫けずに戦える強さへ繋がっているのだと。太陽の光はただ強く眩しいだけじゃない。優しい光にもなれて暖かさをもたらしてくれる。彼女達の最大の逆境が、この楽曲の新しい解釈の扉を開かせてくれた。

 LIVEで聴いて、これまでと違った新しいインプレッションを抱ける刻にいられる事は、本当に素晴らしいモノ。「ありがとう」と彼女達は謳ったが感謝を告げるのはこちらの方だ。

 


 10.Hi5でピースサイン/サニーピース


 サニピブロックのLAST SONG。LIVE仕様のイントロと口上は否応なくこちらのテンションを上げてくれる。ただ、瞬時にアガっていくものじゃなく、徐々にアガっていくモノで何とも心地いい感覚。

以前にも書いたが、この楽曲はサニピの新たな軌跡を往く『アンセム』。おそらく、メインストーリー(星空編)におけるサニピにとって重要な位置付けになる楽曲になっていくだろうと予想しているんだが…月ストの『裏と表』という前例に倣って全く関与しないかもしれんが……まあ、どう転んでいくか分からんけど、その後の展開を楽しみにしたい所。

 サニピの新たな軌跡を往くと前述したが、歌詞はどこか負の要素を感じさせる雰囲気がある。前に進めてはいるけれど何かを置き去りにしてしまっている不安。何よりも一番恐れているのは縁の繋がりを蔑ろにしてしまっている事かもしれない。『星空編』のサニピにはその辺りの描写を盛り込んで来るかなと思える。

当たり前のように目の前に存在していたとしても、人は意識しないと多くの事柄に気付かない。それはこのLIVEにおいての四人に当てはまる事でもあった。ただ、ここまで観る限りでは、不安によるパフォーマンスの質の低下は感じられなかった。むしろ、怜と結城さんに想いを伝えようと限界を超えて戦う四人の姿がステージに在った。

 当たり前が崩れたから戦えない……じゃない。無くしたんならまた取り返せばいい。川咲さくらは、自分の目に入る人の手を繋いで離さない諦めの悪さがある。雫、千紗、遙子、そして怜だってそうだ。この子達はどんなに不遇の刻でも諦める事をしなかった。そんなグループが弱いワケがない。そんな気迫が漲っていた。

彼女達の陰の要素もまた、サニピの明るさをより引き立たせるモノだ。この楽曲の中でもその陰の要素は発揮されていた。陰と書くとネガティブに捉えられそうだが、その要素がエッセンスで聴いているからこそのサニーピースなのだと。

 


 11.Aile to Yell/TRINITYAiLE


 ここからは、トリエルさんのブロック。月ストとサニピ同様に新衣裳を纏った、天動瑠依役の雨宮天さん、鈴村優役の麻倉ももさん、奥山すみれ役の夏川椎菜さんがステージに降臨される。いやいや…降臨ってオマエ盛り過ぎぢゃねぇの?wwwって思うでしょう。実際に見るとだ、三人の纏っている純白の衣裳が何か神々しいオーラを放っておって、魅入ってしまったのよ……うん。

そして、鳴り響くイントロ。この楽曲は……トリエルさんの『アイコンソング』であり『アンセム』である『Aile to Yell』!!!否が応でもぶち上がる♪この楽曲は、TRINITYAiLE楽曲において、自分の中で好きな二大巨頭として君臨している楽曲。ちなみに、もう一つは『réaliser』♪(←誰も聞いちゃいねぇって)

 月ストからサニピへと継がれていった『熱』をちゃんと受け継ぎ、それをトリエルさんにしか発せられない『熱』へと変換して我々へと叩きつけて来る。一体で「un, deux, trois!」と吠える時の楽しさ♪

雰囲気が変わったと言えば良いのか。ただ、俺の壊滅しておる語彙力ではその『熱』の正体についての解明は出来ないが……とにかく、月ストとサニピが創造していった雰囲気を確かに変えたってのは記憶に残っている。そいつを改めて確認したいので本公演の円盤化を運営様には要求したい。

 気を取り直して……言わずもがな、この楽曲自体が強いってのは勿論だが、歌っている雨宮さん、麻倉さん、夏川さんも非常に安定されていて強い。誰よりも強く逞しく、高潔に立ち振る舞うトリエルがいた。それでいて、洗練された高潔さの内に秘めた生き抜いて未来へ羽ばたこう。そんな生の執念をも感じられるメッセージを感じた。だからこそ、胸を強く打たれる。

 生き様を証明する『アイコンソング』としての説得力、聴く者の魂を奮い立たせる『アンセム』としての強さ。その両方の力を如何なく発揮されていたTRINITYAiLEの強さが本当に素晴らしかった圧巻のアクトだった。

 


 12.Victoire/TRINITYAiLE


 この楽曲も、今回のLIVEで披露される事を願っていた一曲。タイトルの『Victoire』はフランス語で『勝利』の意味。格好良い方向にステータスを全振りしたトリエルによる『勝利の謳』と言った所か。

 その格好良さを象徴しているのが、振り付けに盛り込まれている指を差す様々な所作だと感じた。
指を天高く掲げる所作は、自らの存在と自信が満ち溢れる姿を誇示するかの様であり、サビの「夢叶えた先へ」の所で正面を指してから天高く掲げて撃ち抜く様な所作は、彼女達の目の前に広がる未知の領域の先へ進むんだ!!!という気概と、立ち塞がる険しい障壁を撃ち抜こうとする闘志が漲っている様に感じる。

余談だが…この前方を指す所作が自分は好きで、数多のアイドル達をゲームの撮影機能でよく撮っておったりする。

 私見の域だが、軽妙洒脱な曲調と大空を翔けてる様なドライブ感は『les plumes』を彷彿させ、トリエルがこうありたいという強い意志と勝利への渇望を描写している歌詞は、『アンセム』である『Aile to Yell』に通ずる部分が感じられる。二つの楽曲の要素を悪魔合体させたのがこの楽曲なのかなと。

 ただ、三人の歌声や舞い踊る姿からは、月ストやサニピの様な叩き上げの魂が爆ぜて、パフォーマンスに乗っている生々しさ的な雰囲気は感じ取れない。内に秘めた情熱を滾らせながらも、それを決して表には出さないのがトリエルさんのパフォーマンスの真髄なのだろう。

 その姿と佇まいはスマートで高潔だ。トリエルはこのスタイルを貫く。肚は括った。瑠依、優、すみれの勝ちたいという想いは偽りの無いモノ。それらの要素を高純度でもってステージで見事に表現された、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんの凄さに圧倒されて魅了された。
 

 

 13.ひめごとリップ/TRINITYAiLE


 麻倉さんがセンターの位置に立ち、鈴の音の様な小気味いいデジタルサウンドが優しく響く。
そのメロディと、三人の柔和で叙情的な歌声が絶妙な塩梅でもってさざ波の様に聴覚へと伝わって来て、その聴き心地の良さと圧倒的な『静』の雰囲気に身を委ねていく……

おそらく、このDAY1で披露された楽曲で、一番落ち着いている楽曲。ここまで繋いで来た楽曲は盛り上がる系統のモノばかりだった。だからこそ、この楽曲の持つ『静』の要素が見事に刺さって落ちていく。特に、トリエルさんの楽曲は他のグループに比べて緩急の差を付けられる楽曲が多い様な気はする。

 それと、センターを務めている優の存在がこの楽曲を特異な印象にさせている気がする。
一本気な瑠依やすみれとはちょいと違い、優は曲者感がハンパじゃない。本当に心を許した人以外に本心は悟らせないってのが彼女の処世術の要になっているんだろうと。それは、優が本当に心許せる掛け替えない人に値するかどうかをジャッジする為に必要な事なのかもしれない。

夏をテーマにした楽曲に『ひめごと』から連想するに、この楽曲は許されざる(は言い過ぎか…)ひと夏の恋が大きなテーマなのかなと思える。歌詞を追ってみると、惑わせるあざとさや、表に出さない真に想う純情可憐な部分との駆け引きを楽しんでいる様に捉えられる。

 昨年のLIVEでこの楽曲を披露した時は、完全な初お披露目だったし、結構早い順番だったから感じられなかったが、順番が後の方になった今回の刺さり方と落ち方はハンパぢゃなかった……見事な攻め方に改めて舌を巻く思いだ。完全に人の意志が楽曲に支配されたと言っても過言ぢゃなかった。
 
それは、鈴村優が創造した魅惑と魔性の領域。それに抗う事は無駄だと思い知らされ頭を抱えた……でも、その領域へ踏み込みたくなる衝動を抑えきれないのも人の業であり性だったりするんだ。

 


 14.les plumes/TRINITYAiLE


 魂が無事に、魅惑と魔性の領域から現世に帰って来れた事を安堵する。
盛り上がったり、沁み入る様に聴き惚れさせられたりと…このブロックは情緒が忙しかったwww

過去、今、そして…未来の刻へ。トリエルの全ての時間軸に意義を持たせて羽ばたいていく。そんな瑠依達の決意を、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんが歌に乗せて解き放っていく。演者とキャラクターとの境界が曖昧になっていく模様が感じ取れる様な感覚へ陥る。


……前言撤回。まだ現世に魂は帰っておらんかったwww


 このトリップされる様な感覚。それはこの楽曲の真骨頂。ただ、音源のみではこうならない。LIVEという特異な刻と場がそうさせるのだろう。加えて、今のトリエル(キャラの方)の物語も楽曲に影響を及ぼしている。瑠依達の生き様とPRIDEをキャスト側の三人がきっちりと表現されている。この辺りは流石と言った所か。これもまた楽曲が育っている事の証明。

 魂が還れる楽曲ってあると思う。集大成や分水嶺だったり、ターニングポイントだったりと…その呼び方は様々ある。前述で触れているが、この楽曲はトリエルを取り巻いている全ての時間軸にいm着を持たせ、彼女達の内面に寄り添った内省的な楽曲。

 現実に打ちのめされながらも魂の奥で滾らせた情熱を、仲間やもう一人の自分が語りかけて奮い立たせて、サビの晴れやかな曲調と三人の歌声が重なり合い感情の昂りへと誘う。打ちのめされた記憶は痛みと同義だが、その記憶と経験は全くの無駄ではない。その痛みが彼女達の魂に滾る熱い想いと輝きたいという想いを呼び覚ます。

踏み出すのは勇気がいる事。そして、次の二歩目を踏み出して継続する事は、一歩目以上と同等な勇気かそれ以上に難しい事。でも、そこから逃げない彼女達の翼はもっと逞しく美しくなっていく。

 


 15.Magical Melody/TRINITYAiLE


 TRINITYAiLEブロックのLAST SONG。前回のパシフィコのLIVEもこの楽曲でトリエルさんは締め括った。ただの偶然か?締め括る為のスペシャルな楽曲として今後も育てていくのか?その答えは未来の刻にある。LIVEにおけるこの楽曲がどうなっていくのかを追うのもまた面白い。

自分は、この楽曲を『巡り逢いの奇跡』に感謝を示す楽曲だと捉えている。そして、コレはTRINITYAiLEver.で披露しているので、瑠依、優、すみれ、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんとの縁を重視して歌ったのだと思えてならなかった。

 瑠依は言った。「私達には歌がある」と。それは、キャスト側のトリエルも同様の想いを抱いているだろう。双方の想いは魔力へ変換されて、一瞬も目を逸らす事が時間の無駄を感じさせる世界を創造していく。そんな魔力が宿った歌声は幻想的でスッとこちらの魂へ抵抗無く沁み入る。三人の歌声が衝突しないで、見事に調和していたからこの聴き心地の良さになっていたのだと。

抜群の表現力で、魅せ付け、聴き惚れさせ、創造した世界に引き込まれた。これまで共に翔けて来た感謝と、これからも共に翔ける契りの『儀式』だったのかもしれない。そういった意味があったからこの楽曲をトリエルのLAST SONGに据えたと思えてならなかった。

 


 16.星のように夜を照らせ/LizNoir


 ここからはLizNoirのブロック。二年連続でフルメンバーの完全体!!!!
初手に持って来たのは『初音ミク』と『IDOLY PRIDE』のコラボ第2弾楽曲。第一弾だったトリエルさんのLAST SONG『Magical Melody』から繋げて来るのは激熱でエモーショナル。更に言えば、今回のLIVEで初披露が叶ったってのもまたエモーショナル。

 リズノワ楽曲と言えば、ハイスパート&ハードテイストで攻め立てて来る激熱な変態楽曲揃いwwww
しかし、この楽曲に変態性は一切無い。(他にいい言い方ねぇのかオメェは…)
その意外性に加えて、トリエルさんからのミクコラボ楽曲繋ぎというコンボにより、盛り上がりが加速していった。楽曲が持っている関係性で繋いでいくのもLIVEが盛り上がる要因だと思う。

 ポップでいて幻想的なテイストは、リズノワ楽曲の中では異質。しかも、LIVEで初披露。どの程度まで盛り上がれるか分からない。ただ…そこはリズノワさん。グループにとって異質な楽曲でもきっちりと魅せ付けてくれた。やっぱり、この人達はスゲェな……って思い知らされた。

 このLizNoir ver.では、ミクのパートをこころ(豊崎さん)が歌っている。
音源で聴いた時も、こころとミクの歌い分けが絶妙で聴き惚れたが、LIVEの場でそれを見事に表現していたのは本当に素晴らしかったのは言うまでも無かったが、LIVEで聴くという要素によって感じるエモーションが音源の比じゃなかった。


 

 17.Shiny Mystery Tour/LizNoir


 この楽曲も初披露。コレは今回披露される確率が高いと思っておったので、『星のように夜を照らせ』の時よりは驚かなかったが。

 突き抜ける様な開放感とファンキーさにワチャワチャ感。これまたリズノワ楽曲では無かったテイストの楽曲。『星のように夜を照らせ』と、この楽曲は言ってしまうとリズノワ『らしくない』楽曲。そういう楽曲を、グループのオープニングアクトと二番目に持って来たのは結構なチャレンジだ。しかも、2曲共にLIVE初披露。月スト、サニピ、トリエルとは違うアプローチで攻める所に、リズノワさんの意地を感じさせる。

『らしくなさ』と評したが、それは受け取り側の一方的なインプレッションであり押し付けのエゴ。
カッコ良くて激熱な滾る楽曲ばかりじゃねぇ!それだけじゃねぇんだLizNoirは!度肝抜かせてやるから目かっ開いてよく見やがれッ!!!!みたいなwwww

 こうある路線なんかぶち壊せ。私達にこの路線は似合わない?ふざけるなと。勝手に咲かせ方を限定するんじゃない。私達はどんな咲かせ方だって出来るんだ。そんな気迫がステージに立つリズノワの四人から漲っていた。

 


 18.Darkness sympathizer/LizNoir


 予想外すぎて本当にひっくり返りそうになった。おそらく、俺だけではない。そこにいた多くの人がその曲目に衝撃を受けたはず。この真夏にコレ持ってくるのか?!とwwww(ちなみにこの楽曲はバレンタインがテーマの楽曲だったりする)

披露は、二年前の『VENUS STAGE 2022 “奇跡”』以来。完全体のリズノワさんが揃うのもいろいろな事情があって叶わない事が多いのに、楽曲が増えていく毎に割りを食ってしまう=披露されない楽曲も増える。

そんなタイミングが重なってから叶った披露の刻と機ってのはどうしたってテンション上がって滾るし、なおかつ、前回披露の時には出来なかった声出しがようやく出来るッ!と、いろいろと込み上げて来る感動により、理性のストッパーが外れる音がしてギアが上がって…


 イントロ聴こえた瞬間から、ヘドバン(ヘッドバンキング)してた。マジで。


 我々は、ステージに燃え滾る熱々のボールを投げつけた。だが、リズノワさんはそれ以上の燃え滾るボールをこちらに投げ返して来た。あとは、それの繰り返しだ。燃え滾る情熱と興奮がぶつかり合ってんだ。盛り上がんワケがない…と言うかは盛り上がる要素しか残っちゃいなかった。

 戸松さん、高垣さん、寿さんの力強くて張りのある歌声、そこに豊崎さんの甘さを纏わせた歌声がアクセントとして効いて、四者四様の個のチカラが絶妙に混ざり合って、よりこちらは熱狂していく。

 変化球的な楽曲を続けて披露してから…リズノワ楽曲のスタンダードをぶつけて来る。見事としか称賛出来ないクリティカルな一撃は、的確にこちらのシールドをぶっ壊して魂まで貫いた。この後のアクトに何を持って来るのか?!というワクワク感は勿論、反面、戦々恐々として震えが止まらなくなった自分がそこにいた。

 


 19.GIRI-GIRI borderless world/LizNoir


 狂おしいイントロが聴こえた瞬間……また自分の中のギアがまた一つ上がった音が聞こえた。
ずっと……本当に、この楽曲が披露される刻と機を待ち望んでいた。もう、興奮で身体の震えが止まらなかった。めっちゃ気が動転したのは言うまでもないwwwwそして、この楽曲はリズノワさんからの挑戦状なんだろう。


こっちは、命の音燃やして戦う。だからお前らも命の音燃やして戦え。


 自分はそれに参戦していなかったが、Zepp Tourの福岡公演にて月ストがカバーという形で披露されたが、本家本元であるLizNoirの披露は初めてとなった。それも、熱狂的な興奮を呼び起こした要因の一つだった。

作中においてこの楽曲は、LizNoirが莉央と葵による二人体制時代の楽曲。その頃の愛とこころはまだLizNoirに加入する前の事。そして、愛とこころはこの楽曲に並ならない想いを抱いている。何度もこの楽曲に励まされ、いつかはLizNoirみたいになりたいと願って戦い続けて来た。で…なんやかんやあって、この楽曲を四人で歌える刻が訪れたが、これまでのリズノワの魂を大切に想う愛と、更なる飛躍の為、過去のリズノワを超えなきゃいけない決意を抱くこころは徹底的にぶつかり合った……


 でも、それがこの楽曲に新しい血を流した。


 愛とこころについての話をコレ以上盛り込んでいくと、LIVEレポではなくなるので…(そもそも、ここまででも怪しさ大爆発だがww)現実世界の話へ戻す。これまでのLIVEで披露する機会は勿論あったはず。それこそ、四人全員揃っていた『VENUS STAGE 2022 “奇跡”』や、昨年の『VENUS PARTY The First DAY1』で披露しても良かったワケだ。

コレは妄想の域でしか無いが、四人バージョンの音源があっても披露をしなかったのは、愛とこころの物語が、この楽曲にちゃんと織り込まれていなかった。それが一番の理由だと勝手に思ってしまった。単に浪費されるモノではなく、ちゃんと血の通う存在として向き合う。それがまだ出来てなかったから、この刻まで披露しなかったのかなって。

 LIVEで披露する楽曲は、最適な刻と機が必要。ただ盛り上がって楽しいという要素では、楽曲の限界領域は超えられない。まあ、何が最適なのかは俺も分かっていないが……とにかく、パフォーマンスの迫力と熱量がえげつなくて、ただ圧倒されてしまった。

 


 20.Blue sky summer/LizNoir


 『Darkness sympathizer』→『GIRI-GIRI borderless world』のコンボで完全に滾ってトランス状態に入ったのに、ダメ押しと言わんばかりのこの楽曲……イントロの爆音が聴こえた時にはもう凄すぎて変な笑いが出ていた。燃え滾る炎にガソリンぶっ込む様なセトリぢゃねぇかwwww

リズノワブロックのLAST SONGであり、本編のLASTとなる楽曲。LASTに激熱で振り切れた変態楽曲三連発をもってマジでこちらを完全に仕留めて来るとは思いもよらなかった。これまででも凄まじかったが、それを更に超えて、異様に会場全体が盛り上がっていくのがビリビリと伝わっていくのが分かってしまう。恐ろしいまでの熱気が滾って爆ぜる様な熱が渦巻いていた。本当にアレはとんでもない現象だった。


 そして、また、改めて思い知らされたんだ……本当にこの人達はスゲェ人達だって。


 莉央、葵、愛、こころの生き様と滾る思いを高純度で再現したのは言うまでも無く、客席の異様なまでに燃え滾った熱を受けつつ…それ以上の熱で返していく。数多の戦場を戦い抜いて来た人達にしか出せないチカラが在った。表現力、説得力、存在感……どれもが本当にずば抜けて凄かったとしか言い様がなく、また変な笑いが込み上げておった。

 この笑いは、徹底的にきっちり打ちのめされて出て来る笑い。完敗を認めるしかないけど、どこか清々しい気持ちに溢れた時のヤツだ。本当に素晴らしいモノを魅せ付けていただきました。

 


 EN1.星色のカレイドスコープ/星見プロダクション


 ゲームリリース三周年を祝うアニバーサリー楽曲。この楽曲も、披露されるだろうなと思っていた楽曲。『サヨナラから始まる物語』の続編的なテイストを感じさせる楽曲で、フル尺はこのLIVEで初披露になった。

 今後、この楽曲がどういうポジションでアイプラLIVEで存在感を出していけるのか?おそらく、『サヨナラから始まる物語』や、他のアニバーサリー楽曲の様に、LIVEのクライマックスで歌われる流れになりそうではあるが。ただ、そのポジションを勝ち取るには、歌う星見の10人(今回は9人だが…)の想いとPRIDEをどれだけこの楽曲で示していけるかにかかって来る。

ただ、そんな事は今考える事じゃない。未来の希望に夢を抱く様なキラキラ感のある曲調に、9人が心底楽しみ、いい表情でパフォーマンスをしている姿を魅せ付けられたら、それは無粋なモノだと思わされる。本当にみんないい表情で歌っていたのが印象深かった。

 この楽曲が、これから彼女達と共に駆けていってどう育っていくのか?それを追いかけるのが本当に楽しみだ。

 


 EN2.MELODIES/星見プロダクション


 DAY1のLAST SONG。コレを持って来るのは非常にエモーショナルだなと。
いろいろな解釈がある楽曲で、その一つとしてあるのは、立場が変わってしまった月ストの焦燥感に、サニピの月ストを慮る心情にクローズアップされた印象を、Zepp Tourにて聴いた際には感じた。

で、なんやかんやの末、月ストはサニピと同じ『BIG4』の座を勝ち取った。立場が並び立った物語でこの楽曲を捉えると、繰り返しになってしまうが…本当にエモーショナルな衝動に魂が揺さぶられてしまう。月ストは苦悩して傷ついたし、サニピも力になれず完全に寄り添ってやれなかった苦しさがあった。でも、その物語を乗り越えて『今』があり、彼女達の『MELODIES』になっていく。コレは今回のLIVEで新しく感じたインプレッション。

 ようやく追い付けた事への歓喜の念、信じて待ち続けた安堵の念。彼女達の歌声から力強いポジティブな感情と優しさに満ち溢れた暖かみと未来の希望を照らす光を感じさせる。

俺なんかが言うのは非常におこがましい限りだが…本当にどこを切り取ってもきっちりと魅せ付けられるグループになったなったんだな…としみじみ感じた。誰が抜きん出て引っ張っていったとかじゃない。皆がちゃんと現実と向き合って戦って生き様を示し続けてきたから。Zepp Tourの戦いを経て本当に星見の子達は強くなったって。


 でも、まだまだ。この楽曲はもっと強くなっていく。そんな可能性を感じるのだ。

 


 あとがき


 タイミングは完全に失念したが……(多分、終演後)こんな報が告げられた。

 

 

 

 まあ…開催地に関していろいろ言いたい事はあるがwwそこはグッと飲み込んで次のLIVEの開催が決定した事実を喜びたいなと。(貼り付けたXのポストの日付は12日だが発表は11日)

 取り敢えず、DAY1を観終わった時点での率直な所感としては…冒頭の四方山話でも触れたが、『今』の全身全霊を証明する事が、『VENUS PARTY The Second』に掲げられたテーマだと自分は勝手に思っている。それが伝えたかった想いであり組まれていったセットリストの楽曲たち。意味の無いセットリストで全身全霊は出し尽くせないからと。

 そんな想いとPRIDEを突き付けられた気がこのDAY1の時点では感じられた。それはここまでに書き殴って来た怪文書で証明出来たと自分は勝手に思っておる。

 LIVEが終演してからは、しばらく茫然としていた様に思う。こちらの全身全霊を出し尽くしてガッツリと楽しみ尽くせた事の証で身体的ダメージは絶大なモノになっていた……ただ、コレは本当に心地の良い感覚だったりもする。あくまでも個人の所感だけども…この出し尽くして燃え尽きる感覚になるLIVEが極上のLIVEなんだなと実感する。

 DAY1時点でも、昨年をあっさり超えたとんでもねぇLIVEだったが、DAY2はコレ以上にとんでもねぇLIVEになっていた……後編となるDAY2参戦レポではそれを余す所無く書き殴っていきたいと思っている。

 

 

 

 

想いとPRIDEは共に……

 『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』参戦への決意表明的な記事を上げてすぐの事…衝撃的かつ受け入れ難い報が舞い込んで来た。

 

 

 

 8/11(日)、12(月)に開催される『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』に出演される、一ノ瀬怜役の結城萌子さんの新型コロナウイルス感染が判明。それにより、LIVEの出演は辞退されるとの事。

 言わずもがな、開幕直前で結城さんの出演事態の報は非常に残念としか言い様がない……特に、今回初めてアイプラLIVEへ参戦される方はより残念で悔しい心情だと思う。何よりも一番悔しい思いをされているのは、我々よりも結城さん本人だから……

当たり前の話だけど、怪我負ったり、何らかの病気に罹りたくて罹る人はいない。結城さん自身、このLIVEへ向けていいパフォーマンスを参戦される観客に届けたいと願って、日々のレッスンに励んで準備して追い込んでいた事だろう。勿論、それは心身にとって重大な負荷をもたらすモノで、やっぱり通常の時よりも抵抗力は落ち込んでいたと思える。どう細心の注意と対策を講じても事故や怪我というリスクは常に紙一重として付き纏っているモノだ。

 仮に、症状が軽度で強行出演する選択もあったはず。でも、彼女もそうだし、周りの人達もそれは選ばなかった。自分が原因で他のキャスト陣や観客にまで影響を及ぼしてしまったら目も当てられず、本当に彼女が壊れてしまう……それをさせない為に結城さんは撤退する勇気を持って辞退という身を切る覚悟を示した。その覚悟を我々は汲んでやらないといけないし、素晴らしい決断だと思った。

 フルメンバーで今回の戦いに挑めないサニピにとって最大の逆境と言っても過言じゃない。
酷な物言いだが……金と刻を費やして観る側にとっては同情して甘く見るなんて事は出来ない。それは、菅野さん、佐々木さん、高尾さん、首藤さんにとって失礼極まりない事だし、何よりも、今回出演出来ない結城さんにとっても失礼な事だと勝手ながら思う。サニピの想いとPRIDEはそんな安いモノじゃないんだと。

そんな逆境で戦う四人のサニピに対して我々が出来るのは、結城さんと怜の姿は無くとも、想いとPRIDEがそこに在る事を認識して、彼女達を盛り上げて一緒に戦う事じゃないかな。ただ、コレは俺の独り善がりの考えでしかないから、大声で呼びかける事はしないが、自分はその心持ちでこの二日の夏の陣へ馳せ参じて楽しみ尽くすだけ。

もしかすると、怜のパートや口上で観客席から声が多く聞こえるかもしれない。もしそうなったのなら…俺はそいつに便乗したいと思っておる。勿論、結城さんと怜への想いを込めて。

 ボールを壁に投げた時、弱く投げると弱い球で返って来る。でも、強く投げたら強い球が返って来る。四人のサニピはきっと全力で想いとPRIDEを込めたパフォーマンスをこちらに投げて来る。それを我々はちゃんと受け止めて想いと魂でもって彼女達へ返す。その想いの相互循環を楽しみたいんだ。居なくてもちゃんと繋がれるのがサニピのアイデンティティWHAT IS “IDOL”?の証明だと思うから。

 
 駆け足かつとっ散らかった怪文書で申し訳ないが……最後に、結城萌子さん。
今は凄く悔しい心情と察します。そして、誠に勝手な話ですが…貴女の想いとPRIDEも胸に秘めて、四人のサニピの戦いを見届けて伝えたい想いを受け取って楽しんで来ます。

今は本当に無理せずに静養されて、次の機会と刻がありましたら万全で魅惑的なパフォーマンスを魅せてもらえる事を願っております。

 


 

 

IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second開幕前日に寄せて。

 『IDOLY PRIDE』を愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか?あかとんぼ弐号でございます。


 泣いても笑ってもくすぐったくても、『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The Second』の開幕が明日に迫ってきておる。今年も、昨年同様に2DaysのLIVEとなっている。

LIVEを本当に楽しみにされている人、戦装束(グッズやら名刺とか)の装備を整えられる人、夏の陣の戦地(開催地)に向けて荷造りをされる人、前日に戦地入りされる人……と、まあ、それぞれにLIVEに向けての準備がある。


でだ。今、コイツを書いておる俺自身なんだが、この前日になっても開幕する実感が湧いておらんww


 いや、LIVEが楽しみってのは当然あるんだけれども…何と言うか、待ち切れないドキドキ感やワクワク感がどうにも滾って来ない。コレといって、このコンテンツにネガティブなモノはそこまで抱いていないし、座席は正直良い所ではなかったが、それは全然問題にはならない。にしても、この感覚はよく分からん現象である。

なので、ここから書き殴っていく怪文書は、LIVE参戦への火がきっちり点かずに燻ぶっておる自分自身に向けていこうと思う。


 厳密に言ってしまうと、もうちょい後の刻になるが……『IDOLY PRIDE』というコンテンツの産声が上がったのが今から五年前の2019年。そして……TVアニメの放映とゲームリリースが三年前の2021年。

個人的かつ勝手な物言いであるが、三年、もしくは五年ってのは一つの節目に当たる年だと思っておる。今回の『VENUS PARTY The Second』(夏の陣)はそんな節目に開催されるモノ。まあ、参戦する我々も楽しみにしているだろうし、出演されるキャスト陣も同様の想いがあると思う。

また勝手な物言いになってしまうが……俺の中では、ゲームリリース三周年ってよりは、コンテンツ五周年を祝福するLIVEだと思っている。そんな刻の中で良い事も、敢えて触れないがよろしくない事もいろいろあった。でも、止まる事と諦める事が無かったからこそ全ての事象をひっくるめて今があるのだと。

 この夏の陣にて……聴きたい楽曲、おそらく、何らかのサプライズ演出もあり、PRIDEを込めたパフォーマンスを魅せてくれるという信頼と期待。また、その想像を遥かに超えてくれるいい意味での裏切りをアイプラLIVEでは魅せ付けてくれた。そして……その中心として期待しているのが、月スト&サニピ10人のキャスト。

初めて臨んだ全国を駆け抜けたあの『Zepp Tour』で、彼女達はきっちりと誰一人として欠ける事無く見事に戦い抜いて、未来を『繋いで』『照らした』。自らで切り拓いた軌跡を今の彼女達は駆けている。あの刻よりも更に強くなったのは間違いない。では、この『VENUS PARTY The Second』にて、彼女達は何を魅せてくれるのか?何に期待したいのだろうか。


 この二日間の『宴』を思う存分に楽しみ、『IDOLY PRIDE』の『今』を魅せ続ける。


 ……と、俺は勝手に思っておる。様々なモノと比較するのではなく、『今』の全身全霊を懸けたPRIDEを魅せ付けて徹底的にこちらをエモーショナルの暴力で打ちのめして欲しいし、そいつを全身全霊を懸けて受け止める。まあ、いつも通りに滾って興奮して、そいつを後日参戦レポへ綴る。自覚は無かったが、何か特別な想いを抱いて構えてしまったのかもしれない。そいつが魂の火種を湿らせたのかも。


 ここまで曝け出したんだ。流石にもう火は点いた。あとは、当日に爆ぜて滾って楽しみ尽くすのみ。

 

 

 

これまでありがとう。また逢う刻まで。―井上杏奈さんに寄せて。

 何かが終わる報ってのは、何度聞いても慣れる事は無い。前もって知っていたとしても、突然の事でも変わらない。終わるという事は劇的な変化と何物にも代え難い隙間が出来てしまうのだと。ただ、この件について当Blogで触れなければならないと思い、これからいろいろ書き殴らせてもらう。


7月31日。藤森月役井上杏奈『ガールズフィスト!!!!GT』メンバーとしての活動終了。

 

 

 

 その理由が、体調不良の療養と言われてしまうと、何も言う言葉が出て来ない。
それは…自分の年代になって来ると体調が芳しくない事は本当に大変でストレスがかかって来るのが痛い程分かっておるからだと……

気持ちは前向きで元気でも、身体が付いて来れない。逆に、身体が元気でもメンタルが上向きにならない時のショックは本当に計り知れない落胆に陥ってしまう。勿論、おっさんの加齢によるモノと今回の井上さんの件を一緒に括ってしまってはいけないが…自分の思う様に身体と心が動いてくれない点においては共通しているモノだと思える。

 どの程度のモノか?最近いきなり発症したのか?あるいは、ひた隠しにしつつ日々を戦ってこられたのか?ともあれ、その状態で活動を続けられる中で、体調と心が万全ではない事も多くなって、身を引いて療養する事を悟ったのかもしれない。

この身を切るに等しい決断と覚悟は、井上さん自身がどう感じられてるか分からないので、個人的なモノで書いてしまうが……本当に悔しくて、申し訳ないという思いを抱いていると勝手ながら思う。

表現者として掴み取れたチャンスを掴み続けられなかった事、役を継ぐ事の重圧、繋ぐ事の意味……etc井上さんが戦っていた相手は強大だった。お前が言うなと言われるだろうが…そんな中でも彼女は本当によく戦って来たと思う。そんな貴女の姿に、浅見さん、内山さん、奥村さんは刺激をもらっていただろうし、我々もチカラをもらえていた。そんな貴女が去ってしまうのは本当に辛くて寂しい。

と、まあ…ここまで好き勝手書き殴って来たのは、自分の勝手な感情をそのままぶつけただけに過ぎない。本当の事は井上さんの胸の中にしかない。それを彼女の口から明かしてもらえれば嬉しいが…明かさなきゃいけない義務ではないので、その刻と機が訪れたら心して彼女の言葉を受け止めようと思う。休むというのも本当に大事なモノなので。

 井上杏奈さん。貴女はこの二年半の刻の中、ここまで本当によく戦ってきた。ありがとう。
貴女が『ガールズフィスト』に入ってくれて、チカラを貰えた人や救われた人は大勢いるでしょう。大変な事の方が多かったでしょうが…それは、これからの未来できっと貴女のチカラに代わるモノだと信じております。

これまでの形とは違うが、表現者として戻るべき場があるのは救いかなと。
本当に焦らないで、きっちりと身体と心を癒して戻られる刻を待ち望んでおります。どれだけの刻がかかるか分かりませんが、貴女を待っている人は必ずいるのだから。

 

 
 

アイプラ楽曲ライナーノーツ #49 voyage

 

 

※画像はイメージです

 

 

 voyage/佐伯遙子


 シングル『Gemstones』に収録された、佐伯遙子(CV:佐々木奈緒)による待望のソロ楽曲。

 

 タイトルに銘打たれた『voyage』は、主に船による長距離の旅行や航海を指す英単語。遙子や他のアイドルを含めて自分たちの夢に向かって進む旅路を「voyage=航海」に準えているとの事。

ノスタルジック感ある1980~90年代のアイドル歌謡曲やシティポップスを彷彿させる聴き心地の良い曲調は、遙子のパーソナリティとされる、皆を優しく包み込む様な雰囲気と、柔和で温厚な性質と強く結びついている様に感じる。

 歌詞の中にも、航海を感じさせる言葉が散りばめられている。大海原は、アイドル業界の例えで、その大海原を往く様々な船は遙子を初めとしたアイドル達。最も印象深いフレーズは1番サビとラスサビの締めになっている「先に行ける 遙か彼方 きっと行ける」。遙かの字に彼女の名を用いた事で、遙子のキャラソンである事への強い印象付けとなり、佐伯遙子というアイドルの歴史(=生き様)を示す楽曲である様にも思われる。全ての経験が糧となって今がある。

三枝さんが星見プロを立ち上げ、第一号のアイドルとして遙子は芸能活動を始めた。その航海は順風満帆なモノではなく……思う様に進んでいく事は叶わなかった過去の事を回想している様に捉えられる。だが、本曲に負の暗さを感じさせる要素は感じられない。遙子=佐々木さんの歌声が揉みほぐしていく様な柔和で慈しみがあり、聴覚からスッと何の抵抗も無く入っていってじんわりと心に沁み渡る。それでいて、確かな芯の強さも感じられたからだろう。

 

 そして、佐伯遙子について語る際に忘れてならないのは、長瀬麻奈の存在と縁。本曲にもそれは盛り込まれていて、両者との繋がりの強さを感じさせるのが以下の節と解釈している。(あくまでも個人の私見だが…)



 先を行く背中を見送ると とめどなく 胸が痛むのは 

 逃げ出さないで 前を ちゃんと 見てるからでしょ?


 ―佐伯遙子 『voyage』より引用

 

 遙子のずっと先を往く麻奈の背中を、彼女はずっと見て追いかけて来た。
でも、その差はどんどん開いてしまっていた。自分の近くにとんでもなく凄い子(麻奈)がいる。必死の全速力で追いかけても背中が見えない程に速くその子は進み続けている。楽になりたければ追う事や見る事を諦めれば済む事だが、遙子は諦める事はなかった。

ここの節は、雌伏の刻を過ごしながらも…アイドルとして生きる事を諦めなかった遙子の執念と意地とPRIDEが垣間見えて来る。

 本曲を遙子が歌っている時間軸については、現在まで明確な設定が明らかになっていないので様々な考察があるだろう。不遇のソロ時代なのか?サニピがBIG4へと駆け上がれた刻なのか?実際の楽曲リリース時(ゲームリリース二周年近く)は抜きにして、自分は『今』の遙子の心情を謳っている楽曲だと解釈している。

麻奈の背中を追う事を諦めなかったからこそ、今の遙子が存在出来ている。麻奈の魂に感謝を伝え、今の自分を見てもらいたい……それは、今までの出来事や葛藤を彼女の中で受け止めて出て来た真っ直ぐな偽り無い言葉。そう願う遙子(=佐々木さん)の歌声は、張り上げたモノでなく優しく寄り添って語りかけてる様な感じに聴こえる。

 聴く者に寄り添い、優しく励まして支える応援ソング。何かの力をもらえる『アンセム』でもあり、魂を癒され救われたり、刻の流れに身を委ねる壮大な楽曲……聴けば聴くほどに、本曲が持っている深みへと誘われていき、この楽曲は多種多様な『貌』を見せてくれる。それは、アイドル・佐伯遙子が持つチカラの様に思えてならない。