巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

過去から今、そして未来へ…―DayRe: 1st Anniversary Live- Page:366参戦レポ

 5月5日。板橋区立文化会館 大ホールにて開催された、『DayRe: 1st Anniversary Live- Page:366 -』の昼夜両公演に参戦して来た。

 

 

 昨年の5月5日。橘美來さん、相川奏多さん、宮沢小春さん、夏目ここなさん、日向もかさんのミュージックレイン3期生は、DayRe:という名を授かりデビューされた。

そして、ユニット楽曲のリリースや、数多あるさまざまなフェス系LIVEへの出演を経て、デビュー日にワンマンLIVE開催へと辿り着いたDayRe:の軌跡。

でも、コレは一つの到達点に過ぎない。デビュー1周年LIVEを開催して良かったね~ってだけで終わっちゃ話にならない。このLIVEの勝利条件は、DayRe:にしか出来ないLIVEを観客にきっちりと魅せ付けることしかないのだ。

それが出来るユニットなのかってのを見定めたいのと、こちらの想定をいい意味で裏切って期待に応えるものを魅せ付けてくれることへのワクワク&ドキドキ感……


 と、いろんな感情が渦巻いて参戦して感じたインプレッションをここから書き殴っていこうと思う。

ただ、一応の形としてLIVEの流れ通りに書いていくけれど、披露された楽曲の順番が昼夜でいろいろ入れ替わっている箇所があるので、その辺りは分けて書いておらず印象深かった部分を書いてる形とさせてもらいました。その辺は寛大な御心で許容していただければ嬉しく思います。

 

 Prologue


 開幕すると、スクリーンに映像が流れた。東京の街中の風景が映し出されて、そこをメンバーが歩いていたり、時には佇んでいたりというカットが入る。彼女達は明確な目的地も特になくて、迷い無く歩くというよりどこか彷徨っているように感じられた。あと、5人それぞれが遠くを見る所作も印象に残る。

ちなみに、この映像のBGMで使われてた楽曲は、1stEPに収録されている『Overture』。個人的な話だが、このLIVEに参戦するにあたっていくつか注目していたポイントがあって、その一つが『Overture』がどういう感じて使われるか?だった。

animate Theater LIVEやリスアニ!LIVE2026年では、ステージに登場する前にBGMのみで流された。そして、いつかは映像込みのヤツを拝みたいと思っていて今回そいつが叶った。

で、そのBGMの流れたタイミングがいいのだ。映像が始まった瞬間から流すのでなく、都会の喧騒でもって『溜め』を作ってから『Overture』を差し込む。そうすることで、『Overture』(曲名の方)の徐々に盛り上がるテイストもあって、最初からBGMを流していくよりもテンションは上がる。

 そして、都会に身を置く5人の話へ戻すと……コレは勝手な解釈の域だが、この都会ってのは彼女達が今生きている表現の世界に準えたのだろう。どこへ向かえば良いのか正解はないし、そもそも自分が向かう先が正解の道かもわからない混沌としたもの。

とにかく進んでみたり、逆に立ち止まったり遠くを見据えたり…と、それらの所作は現状の彼女らの心情とリンクしているのだろうか。それと明暗の描写として昼と夜の場面があるのもまたいい。

 いろいろなものを抱えながらも、それでも……前には進まなきゃいけない。この映像のラストは一歩踏み出して前へ進んでいく描写で終わる。

彼女達が向かう先には何が待つのか?この1周年記念のLIVEステージか、ユニットの2年目としての物語の始まりか、5人それぞれの未来への軌跡か……と、まあ答えはいろいろあってそれを想像していく余白が仕込まれているのも、これから始まるLIVEへの火付けとして素晴らしい幕開けになった。


 1.刹那的ロマンティック


 勝手に何個か設けたこの1周年LIVEの注目ポイントの2つ目が、オープニングアクトにどの楽曲を突っ込んで来るか?いろんな考えがアクトが始まる前まで脳ミソをよぎった。

そして……聴こえてきた「Woh oh oh oh…」という5人のコーラスで何か安心感を抱いた。何だかんだ言って初っ端で披露されるのを求めていたのだろうな。5人のコーラスと交わる形で観客のコールとクラップが加わって、この楽曲は滾る楽曲へと進化を遂げていた。

そうなったのは、2ndEPのリリースイベントでの披露を経たってのが大きいし、前述で触れたように曲調も相まって初手に持ってくるんだろうなって予想していた人は多いんじゃないだろうか。あくまでも私見なんだけど、この楽曲はDayRe:の2nd seasonの始まりを告げる謳というメッセージも込められているのだろう。

 この楽曲もそうだけど、ユニット・DayRe:としての歌い方の真骨頂になっているのは、感情を解き放っていく歌い方。それは音源で聴いた時も充分に凄いものだと感じられたが、LIVEという場と刻で聴くとより生々しい感情が乗っかってこちらの魂を激しく揺さぶる。

新たな物語を紡ぐ決意と覚悟を示す。今のDayRe:がそれらを全力懸けて訴え掛けられるのに最も相応しいと思って、この楽曲をオープニングアクトに据えて勝負に出たように思えてならなかった。そうしないと、この1周年LIVEは戦えなかったと。

 『刹那的ロマンティック』のアクトを直に観るのは初めてだが、とにかく圧倒されるモノを5人のパフォーマンスから感じられたんだ。やっぱり、5人それぞれが抱いた想いと覚悟が彼女達の歌声とダンスに宿っていたのだろう。

 
 2.プロトノイズ


 ちゃんとカウントしておらんので合ってるかどうかは分からんが……この楽曲は、発表されてからこの日の1周年LIVEまでで一番歌われてきた楽曲じゃないだろうか。そう、原初の楽曲になる『DeaRy Days』と並ぶかそれ以上かも。(※違ってたら申し訳ない……)

 やっぱり『プロトノイズ』のLIVEパフォーマンスのキモになっているのは、ダンスの難易度やそれを成立させる動作のキレだと思う。それは、この楽曲がイベント(日々荘3号館)で初めて披露されて観た時強烈に視覚への情報として刻み込まれている。そこから刻が経ち、いろいろな機会で披露されて、彼女達の成長と共にこの楽曲も強くなっていった。
 
 何者でもなく、何も出来なかった者達。世間一般ではそういう存在を未熟者と呼ぶのだろう。あえて言ってしまうが、ユニットデビューして1年しか経っていない彼女達はそう呼ばれてしまうのか……

でも、その未熟な存在にしか謳えない歌があって、5人はこの楽曲と巡り逢い、向き合って共に戦って来た。積み重ねてきた刻は5人を裏切らない。そのことを充分に感じてそれが自信になり、今観ている彼女達のパフォーマンスの躍動感やキレとなって表れていた。

5人の雑多な歌声からは、調和することで生まれる洗練された美しさはない。全員によるユニゾンがこの楽曲にはないからそう感じるのかもしれないが…そもそもこの楽曲にそいつを求めてはいけないのだ。(※あくまでも個人の所感)

調和しない雑多な歌声だからこそ、この楽曲に血が流れて生命が宿る。その熱さは、初めて音源を聴いた刻、LIVEで初めて観た刻とは当然比較にはならなかった。それは、5人の意地と生き様がちゃんと燃料になって燃え滾っていたように思えるのだ。
 

 3.鏡面上、今、レーゾンデートル


 オープニングアクトの『刹那的ロマンティック』と『プロトノイズ』で徐々に熱を滾らせてからの…この楽曲。一旦静寂に包まれてからの『黎明…』って聴こえた瞬間、変な笑いが込み上げてしまった。勿論、コレは変な意味ぢゃなくて、肚括れという彼女達からの宣戦布告だと勝手に察したからだ。

 この楽曲は言ってしまうと、『静』の要素と『動』の要素が極端に振り切っている。
A~Bメロでは、きっちりと歌声を聴かせていく構成になっていて徐々に雰囲気とテンションを上げていく。この段階でこちらもあのゾーンに突入する覚悟を決める。

で、あのゾーン…つまりはサビになるんだけど、突入すると一気に『動』の要素へ振り切れる。ここからがこの楽曲とアクトのキモになる。

 このLIVEのパンフレットには、ファンから募った質問にメンバーが答えるコーナがある。
そこで、楽曲を歌っていて好きなフレーズや気持ちいいフレーズという質問があって、その中で相川奏多さんはこの楽曲を「歌っているなかでいちばん気持ちいい曲」として挙げられていた。

その言葉を証明するかの如く、相川さんはサビに突入すると、パワフルでアグレッシブさに振り切った歌声を響かせ…いや、アレは轟くと評した方がいいのか。相川さんの絶唱から生じた音圧はこちらの身体と感性を打ち付けて激しく揺さぶり圧倒していく。高らかに絶唱を轟かせる相川さんの姿からは本当に気持ちよく歌っているのだな……と十分に伝わってくる。

 そんな相川さんの絶唱に引っ張られたかのように、橘さん、宮沢さん、夏目さん、日向さんの歌声にも力と熱が滾っていた。それは、相川さんだけじゃなく4人の等身大の『今』をパフォーマンスに乗せられたからそこまで至ったのだと思い知らされた。


 4.プラチナ


 このLIVEの個人的な注目ポイントの三つ目は、『プラチナ』がどの順番に入っているのか?と、LIVEという特殊な場で楽曲が音源とどう変化して聴こえるか。それが4曲目にして聴けてしまうのかという驚きで戸惑ってしまった。

更に言えば、『鏡面上、今、レーゾンデートル』で滾った雰囲気の後に差し込まれていたのも驚かされた。上がりきってから一気に落とされる落差をここで出してきたのだ。

この楽曲の魅力は、どうしようもなく切なくて物悲しいテイストに振り切っていること。
楽曲の世界観の真髄になっているのが、宮沢さんと橘さんによる高音域の歌声。そこに、相川さん、夏目さん、日向さんによる二人(宮沢さんと橘さん)とは違ったテイストの力のある歌声が加わって楽曲に更なる彩りが加わる。

 『プラチナ』がLIVEにおいて音源とはどういう違いをもたらすのか?そのカギを握っているのが…宮沢さんの歌声の質にある。

勝手に思う彼女の歌声というかは声自体の特徴は、繊細でありながらも芯の強さも感じられるところ。特に、切ない系統の楽曲である『プラチナ』との親和性は絶妙なものだ。


 だが、宮沢さんの歌声はLIVEの場になるとある変化がもたらされる。


 その変化は、狂おしさの纏った『情念』


 おそらくなんだけど、その『情念』を宮沢さんは出そうと思って出していない。彼女の中にある何らかのスイッチが無意識に入るのだろう。アクトの始まりからではなく進んでいくにつれてその『情念』はどんどん露わになっていく。

終始『私』が後悔に苛まれたどうしようもなく切なくて哀しい楽曲。そこに宮沢さんによる『情念』を帯びた歌声が加わって、後悔に苛まれるだけではなくどうにかして前に向こうとする執念がこのアクトにはあった。

でも、どうやって進めばいいのかは全然分かっていない部分を、狂おしさの要素で表現されてたのもまた素晴らしかったのだ。

 『プラチナ』の音源を聴いて、この楽曲がLIVEで変化してどういう新しい貌(かお)でもって魅せ付けてくれるのか?という期待を抱いてこのLIVEに参戦した。そして、実際に観てその期待はいい意味で裏切られて想像以上のものを魅せてもらえた。

  
 5.Not a dream


 イントロ聴いてひっくり返りそうになってしまった……『プラチナ』の後にこの楽曲かと?!
どうしようもなく切なくて哀しい楽曲から、ほのぼの感があり心が解される癒し系な楽曲へのこれまた急激な落差に情緒が追いつかないwwwww

しかし、この楽曲は単純に可愛らしいとか癒されるという楽曲ではなかった。何気ない日常の理想と現実とのギャップをテーマが根幹にある。ギャップという点で考えると『プラチナ』の後にこの楽曲を置いた意味があるのだろう。

こいつは妄想の域であることを予め言っておくが…『プラチナ』の後日談的な意味合いでこの楽曲を置いたのだろうと思っておる。後悔に苛まれた物語から、理想と現実とのギャップと向き合って前を向こうという強い意志が楽曲に宿る。

5人の歌声から醸し出されたキュートさは何かを吹っ切った潔さすら感じられた。それを象徴していたのが、宮沢さんがソロで謳う落ちサビだったように思う。


 まだ先の見えない未来は

 不安と期待 半分で 

 夢見るだけじゃ 物足りないんだもん 


 ―DayRe: 『Not a dream』より引用

 
 『プラチナ』の物語は『私』が救われるものではなかった。その想いを抱え『Not a dream』の物語を紡いでこの落ちサビで『私』に救いがもたらされたと。この2曲を繋ぐ事で『私』の魂が再生されて救われる物語が成立するってのは妄想が過ぎるかもしれないが…自分はそう思えてならなかった。


 6.(昼)名もなき青のハルモニア


 この楽曲(他もう1曲)は、DayRe:名義の楽曲ではない。ユニット結成&デビューから遡ること1年前、メンバー5人名義で与えられた楽曲。

身も蓋もない言い方だが、この楽曲をセットリストに組み込むことは既定路線ではあったのだろう。でも、それを踏まえて言いたい。この楽曲を置き去りにしないでくれてありがとうと。

 で、タイトルの『ハルモニア』は英語の『ハーモニー』のギリシャ語読みだそうな。
柔和な『静』のリズムと歌声から、徐々にテンポが『動』のリズムと歌声に進行して盛り上がっていく楽曲。

もちろん、このアクトでキモになっているのは5人のハーモニー。しっとりし過ぎず、かと言って歌声を張り上げ過ぎてもいない。コレがまた絶妙な塩梅でもって聴覚へ沁み渡って聴き心地の良さを醸し出していく。こういった聴かせる系の楽曲をきっちりと謳いこなせるのもDayRe:が持つ魅力なのだなと改めて思う。

 まあ、矛盾しているのは承知で言ってしまうが……やっぱりサビで響かせていく5人のハーモニーはどうしても力強さが漲っていた。それは無理ない話なのだろう。名義はどうあれ、この楽曲は初めての彼女達にしか謳えない彼女達だけの楽曲になるのだから。その楽曲を初のワンマンLIVEで謳えるという歓喜の想いがハーモニーへ反映されたのか。

 で、サビの歌詞と5人の歌声は、今の彼女達から過去の彼女達へ刻を越えたメッセージ。
今の5人があるのは過去の5人が直向きに戦ってきたから勝ち取れた未来。今の5人の想いと魂、過去の5人の想いと魂が、この1周年LIVEという場で交わったことは本当にエモーショナルな衝動を揺さぶられたのだ。

 
 6.(夜)青いリフレイン


 『名もなき青のハルモニア』を昼に披露して、この楽曲を披露しないってことはしないよな?と。
順序(収録順)から言うと、この楽曲がメンバーの5人名義で初めて授かった楽曲になる。何はともあれ、この楽曲も置き去りにしないでくれてありがとうと。

フレッシュな清々しい風が軽やか吹き抜けていく清爽な雰囲気と、奇を衒わない素直なメロディ構成は、DayRe:原初の楽曲になる『DeaRy Days』と似ている。(デビュー楽曲って言いなさいよww)

『名もなき青のハルモニア』とこの楽曲は、過去にフェス系LIVEやイベントで披露されてきた経緯がある。その時で聴いたのも言わずもがな良かったんだが、やっぱりワンマンLIVEで聴けた感動には勝てない。しかも、ユニット結成して初のフルLIVEだから余計に突き刺さって来るのだ。

 やっぱり、この5人は清廉でいて清々しさのある楽曲での歌声が実によく映える。
力強さと聴きやすい明瞭さを持つ橘さんと相川さんの歌声、飾らない純朴さのある夏目さんの歌声、橘さん・相川さんと夏目さんの歌声に寄り添える幅広さのある日向さんの歌声、透き通るように繊細だが芯の強い宮沢さんの歌声によって深みがプラスされる。 

どの部分を切り取って捉えても、この楽曲は五人それぞれの歌声がちゃんと主張して調和されている。それは、この楽曲以降にリリースされたDayRe:楽曲へ継承されていった要素。

 楽曲はユニット名義ではないかもしれないが……5人が駆けて来たこれまでとこれからの軌跡へ向けて何も置き去りにはしないという想いをこのアクトから強く感じられたのだ。


 7.(昼)SPARKLE DAYS


 イントロ聴こえた時、なんか込み上げてくるものがあった。ちなみにこの楽曲は『ミュージックレイン3期生ユニット名&デビュー曲お披露目会』の告知コーナーにて楽曲リリースが決まっていた楽曲の一つ。

デビューされてからここまでDayRe:は様々なフェスやイベントへ出演されてきた。しかし、この楽曲がそれらの場で披露されたのは『animate Theater LIVE 2025 ~summer~』の一回のみ。
いや、ユニットデビュー後の楽曲が結成以前にリリースされた楽曲よりも披露が少ねえのはどういうワケなのよと……

これまた身も蓋もないが、この楽曲が披露されるのも織り込み済みではあった。ただ、それでもだ……ここまでの不遇っぷりが(完全じゃないが…)報われる瞬間に立ち会えたことが出来たからいろいろと込み上げてきたのだろうなと。(先輩ユニットの楽曲をカバーしてる場合ぢゃねえのよ…)

 詳細書くと長くなるので本稿では端折るがwwwこの楽曲は、応援団を題材にした作品のテーマソングということで、エール(応援歌)としての属性を持っていて明朗で爽快感のあるキャッチーな楽曲。振り付けの一部には応援団の演舞を彷彿させる所作が取り入れられている。

これらの要素を踏まえると、結構LIVE映えする楽曲だなと改めて思えた。コレはLIVEで実際に披露して観客のリアクションや盛り上がり方を感じないと分からないもの。実際に、DayRe:の生き様とリンクしている歌詞を5人の晴々した歌声で謳うのは本当にエモーショナルだったと感慨深いものがあった。

 今回の披露を切っ掛けにして……この先『SPARKLE DAYS』が披露される刻と場が増えることを切に願う。多くの人を魅了して盛り上がれる定番楽曲へ進化出来るポテンシャルは充分にあることが証明されたのだから。


 7.(夜)Tiny Little Twinkle


 昼の部では披露されなかったから、夜公演のどこにこの楽曲をぶっ込むのかなと思ってたら、『SPARKLE DAYS』と入れ替わりだった……もう『SPARKLE DAYS』さんの不遇っぷりに涙が止まらない……

とは言え、こちらが泣き喚こうがLIVEの進行は止まらないし、出されたものを全力で楽しむしかない。後ろ髪を引かれる思いだが…ここは大人しく『Tiny Little Twinkle』の世界に浸ろうと切り替えた。

 この楽曲は、シティポップス味を感じさせるどこかアンニュイさの漂う不可思議なテイスト。
ポジティブに振り切ってもいないし、かといってネガティブに寄りすぎてもない。捉え方次第ではあるが……どちらの要素を感じられるようなギリギリのラインを攻めているというところか。

で、今回のLIVEで感じたんだが、音源で聴いただけだと微塵も感じられなかったが……LIVEで聴くと妙なエロ色香だったり艶やかさが表に出ているように感じられた。コレなんだけど、彼女達が意図して出してたワケじゃない。

それは出してやろうと意気込んでも出せない自然の成り行きに任せるしかない要素。引き出せた要因の一つとして、この楽曲が持つアンニュイな特性も影響していたのかもしれない。

 不可思議とこの楽曲を評したが、LIVEにおいては明確な定義を決めつけて楽しむのでなく、現場の雰囲気やそこで変化して魅せる彼女達のパフォーマンスにただその身と魂を委ねて楽しむのが現状の最適解なのだろう。言い換えるとDayRe:の手のひらでもっていいように転がされて何も考えずに、ただ楽しめというところかwwwww


 8~12.お楽しみコーナー/各メンバーのソロカバー楽曲披露


 ここからはお楽しみコーナーと題して、メンバーがソロでカバー楽曲を歌っていく。
昼の部は、日向さん→夏目さん→宮沢さん→橘さん→相川さんの順。夜の部は、相川さん→宮沢さん→夏目さん→日向さん→橘さんの順でそれぞれがセレクトされた楽曲をカバーしていった。ちなみに歌う楽曲は昼夜で違う楽曲。

で、このコーナーの所感だが披露していった順番ではなく、各メンバーがセレクトした楽曲、そこで魅せたパフォーマンスとメンバーのパーソナリティとか踏まえつつ…現地で感じたインプレッションなんぞを書き殴っていく方式をとらせていただく。まずは、橘美來さんから。


 ※ここのブロック長くなりますwwwww


橘さんは、昼の部で、TVアニメ『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』のEDテーマ楽曲『SUPER∞STREAM』。夜の部で、ときめき♡宣伝部の楽曲『すきっ!』を歌われた。ちなみに自分の脳内のメモリーでは、『SUPER∞STREAM』はタイトルは知ってるがどんなテイストかまでは覚えちゃいない。『すきっ!』はこの時初めて存在を知ったというLEVEL……

まあ、橘さんのセレクトされた楽曲については全く知らないと言っても過言じゃないので…楽曲のテイストと橘さんのパフォーマンスに集中して盛り上がるしかないと。

この2曲に共通していたのは、共に明朗なアップテンポな曲調であること。そんな楽曲に、橘さんの感情が爆発したパフォーマンスが乗っかる。しかも、彼女が好きな楽曲をLIVEという場で謳えるバフが付与されてる。

 彼女のパフォーマンス…というか信念は「みんなと一緒に楽しむ」ってことを過去に言っていたと思う。そのためには彼女が率先して全力で楽しんでこちらを巻き込もうとする。その行動には迷いがない。

橘さんは本気で信じているのだろう。一緒に楽しみたいという想いをもって差し出した手が繋がることを。そして、我々は彼女の想いにちゃんと応えた。会場に満ちた楽しい雰囲気がその答えだった。

 自分は、橘さんが歌った楽曲についての情報は何もない。確かにそれはマイナスの要因だったのだろうが……ステージで感情を爆発させて楽しんでパフォーマンスされている橘さんを観ていたら、んなモノは些細なものなのだと思い知らされてこちらもめっちゃ盛り上がらせてもらった。


 相川奏多さん。彼女がステージに立った場面は、昼はコーナーのトリで、夜はトップバッター。お楽しみコーナーとは言えども、どちらも難しい場面。

そんな難しい場面で相川さんが歌ったのが、昼の部は藍井エイルさんの『IGNITE』。夜の部はNANA starring MIKA NAKASHIMAさんの『GLAMOROUS SKY』。(長い…)

『IGNITE』は電子音とバンドサウンドを悪魔合体させたデジタルロック調の楽曲。『GLAMOROUS SKY』もパンクロック調の楽曲と、どちらもロックの楽曲をセレクトしたのは、彼女の声の強さを最も発揮できて気持ち良く歌えるジャンルだという自負があるのだろう。

 昼の部のパフォーマンスも筆舌に尽くし難いものがあったが、なんと言っても、夜の部でのアクトが本当に凄かったのよ…(語彙力の崩壊…)

夜の部のトップバッターとしてステージに残っていた相川さんにある“ブツ”が授けられた。その“ブツ”は…一本のマイクスタンドだった。(まあ、ソロで複数は使わねえよなwwww)おいおい。んなモノ使わなくても昼のソロは圧倒的だったんだぞ…どうなるんだよここから……と戦々恐々しながらも、どこかワクワク感を抱いてアクトの開幕を待ち侘びた。

 相川さんが歌い出した瞬間、歌声が響くのでなく会場全体へと轟く。自分の夜の部の座席は2階席でまあまあステージから距離があったのだが、彼女の歌声が発する音圧は凄まじかった。そして、マイクスタンドを携えて歌う相川さんの姿が実に様になっていて画になっていて、この刻と場のみ限定だが、ロックシンガー・相川奏多の存在感が際立っていた。

 本当に、相川さんに対して「いや、本当に凄ぇわこの子……」と、これまで何度言ったが分からんが……条件反射で称賛の言葉が出てしまう。単に「凄ぇ」で括ってしまうのもどうかとは思っておるのだが……いろいろな言葉で飾るよりもシンプルに伝わりやすい気はする。


 宮沢小春さん。昼の部は乃木坂46の『気づいたら片想い』。夜の部は安月名莉子さんの『君にふれて』をカバーされた。

どちらの楽曲も恋愛がテーマになっているとのこと。(コレは後日知った。なんなら楽曲タイトルも…)『気づいたら片想い』は、爽やかさはあるけれど切ないメロディが相まっている曲調。こういうテイストと宮沢さんの繊細な歌声との親和性は高いもの。

片想いに揺れ動く心情の機微を、宮沢さんは解いていくように切々と歌い上げていって、ステージで魅せる彼女の佇まいに魂が囚われて惹き込まれる。それは彼女の『聴かせる』チカラの真骨頂と言ってもいい。

 で、夜の部『君にふれて』では、椅子に座って歌うパフォーマンスを披露。
昼の部で歌われた『気づいたら片想い』の時と同様に、紡がれた歌詞の言葉を切々と語りかけるように歌っていく。その語りかけるようにというのは、宮沢さんが椅子に座って歌われたからこそより強く感じられたのだろう。

 彼女が座ったことでこのアクトに特別感が生まれて魅惑の領域が展開されていく。この不可思議な領域は宮沢さんにしか創造できないもので、なおかつそこへ引(惹)き込む力が強い人なんだなと改めて思い知らされた……

 
 夏目ここなさん。昼はTOKOTOKOの『夜もすがら君思ふ』。夜は星街すいせいの『ビビデバ』をカバーされた。くどいようだが、どちらの楽曲も自分は知らなかったwwww

『夜もすがら君思ふ』とは和風感満載のタイトルだなと。で、曲調は明朗なポップロック的な感じだが、それに反して暗いテイストの歌詞で構成されたアンビバレント感のある楽曲らしい。

ロックの香り纏うサウンドと、夏目さんの歌声…特にハスキーさのある低音の歌声との親和性は絶妙。(だと自分は思っておる…)これらが噛み合うことによって彼女の歌声は格好良いものになっていって痺れるほどにいい。

 そして、夜の部での『ビビデバ』。この楽曲は、ダンサブルなテイストでトリッキーさもある変態楽曲とのことwww初めて現地で聴いただけだが、その変態性はよく伝わってきた楽曲。

しかし、そんな変態楽曲を…いや、変態楽曲だからか。夏目さんのパフォーマンスは、華麗でいて大胆さがあってそれらをどう形容して良いのか分からんぐらいに圧倒された。この楽曲が持つチカラを最大に活かすために、彼女は徹底した準備をされて魅せるロジックを構築したのだろう。

 魅せ方への強い拘りを持つ夏目さんのパフォーマンスと、振り切れた変態楽曲による悪魔合体wwwこのアクトは視覚と聴覚を同時攻撃されて、どう足掻いても落とされる結末しか見えない。本当に夏目さんの魅せ方と魅了させて落すチカラは凄ぇなと……


 日向もかさん。昼はmona(CV:夏川椎菜)の『#超絶かわいい』。夜はflipSide『only my railgun』をカバー。

『#超絶かわいい』は、DayRe:公式チャンネルのショート動画で日向さんが踊られてるものがある。(コレも後で知ったんだけど……)『only my railgun』は知っておる楽曲ではあったが、気付いたのはサビに入ってからという自分のメモリーの残念具合に辟易する始末www

 この2曲に通じるのは、とにかく盛り上がれる系統の楽曲ではないかと。そこに、日向もかの求めている理想の表現のカタチと魅せ方があるのだと。みんなで一緒に楽しむってのは橘さんと同様な想い。けど、そこ(みんなで一緒に楽しむ)へのアプローチは違うのかなと思う。

橘さんと同じく、日向さんのパフォーマンスの根幹になっているのは、日向さん自身も全力でLIVEを楽しんでいくこと。ただ、橘さんと方向性がちょいと違う。彼女は、盛り上げていく過程で観客の熱と興奮をより盛り上がる方へと導く。まるで、オーケストラのコンダクター(指揮者)を彷彿させる。

 そのコンダクター(日向さん)が創造した空間だ。楽しくないワケがなかった。
まずは、日向さんがこの刻と場を全力で楽しまなきゃいけない。我々は彼女の活き活きされて躍動する姿を観て、彼女のイメージカラーの黄色の光で照らして声援を送り……日向さんはその黄色の光と声援を浴びてよりパフォーマンスのクオリティが上がる。

 演者と観客との境界をぶっ壊して一緒にはしゃいで楽しむ。日向さんはそうなる結果から逆算して、ソロコーナーのパフォーマンスプラン(んな言葉があるのかは知らんwww)を構築されたのだろう。改めて、日向さんの気遣いや表現の幅広さと底の見えなさを実感させてもらえる充実感の高いアクトだった。

 
 13.(昼) 15.(夜)ヒトリ狼


 LIVEも遂に終盤のクライマックスブロックに突入。このブロックで披露された楽曲は、昼夜共に一緒だが一部の楽曲は順番が入れ替わっている。入れ替わった順番ごとで本来ならちゃんとした所感を書くべきではあるが…分けて書けるほどの記憶は無いのでww両部通じて感じたインプレッションを書き殴る事でご容赦ください。

 エキサイティングかつアグレッシブなイントロが聴こえた瞬間…「うおおぉぉぉッ!!」と吠えてしまう。LIVEで聴くとそうなるんだろうなとは思っておったが、ものの見事にそうなっていた。

この楽曲と言えば…ユニゾンが一切無いところが面白い楽曲だが、それ以上にDayRe:の生き様や5人の剥き出しの野性味的なヤツが歌声に反映されていく点に魅力を感じている。そして、LIVEという場ではそれらをダイレクトに感じやすくなる。

 自分はこの楽曲を、道なき道(未知)を往く『決意』や『覚悟』を歌う『戦いの謳』だと思っていて、そこにDayRe:の生き様が楽曲に宿ると前述した。この5人はオーディションで合格してから今日に至るまで荒れ放題な道を駆けてきた。本当に心の底から折れないで戦ってきたのだな…と思わせる。

そんな叩き上げの魂こそ、その諦めない心がDayRe:の生き様であり、5人の魂を滾らせる燃料になっている。

 その荒れ放題の軌跡で、どう往けば正解なのかなんてのは誰も分からない。ただ、それでも前には進まなきゃならないし、正解だと信じて突き進むしかなかった。で、駆けることを諦めなかった結果が…ユニット・DayRe:としてのデビューに繋がった。

真偽のほどを確かめる術を持ってはおらんが……5人による正式なユニット結成は用意された正解じゃないかもしれない。でも、実際に結成が叶ったのは彼女達が折れずに突き進んで勝ち取った正解だと思う。

 彼女達のパフォーマンスからは、圧倒的な強さはまだないが…自分の弱さをちゃんと受け止めてどうにか抗おうとする強固な意志表示になっていく。弱いからと嘆いて何も動かないのでなく、弱いからこそ動き続けて戦うべきだという情念がこの楽曲へ血を流していった。

これまで5人が貫いて来た戦い方に誇りと自信があるからこそ、一切の迷いがないパフォーマンスになっていったのだと。


 14.クラキュラJump


 音源が公開された時からLIVE映えするだろうな~という予感がありつつ……宮沢さんが『X』に投稿されたサビでのJumpポイントのレクチャーを踏まえると、この楽曲はLIVEで徹底的に盛り上げろという彼女達からのメッセージなのだと。

そして、披露する順番も重要。LIVEの序盤で出すのも当然アリなんだけども、出し渋っていくことで観客を焦らす飢餓的状態を作っていく。コレは長い時間使えるフルLIVEでしかできないこと。だから、今回のLIVEにおいて『クラキュラJump』披露の最適なタイミングはこの終盤ブロックだったんだなと。

静かに始まる「Jump in!」のコーラスから…「Crazy jump now」で一気に曲調が弾けていくのと重なるように客席から轟く歓声の凄さが、この楽曲の披露を待ち侘びてようやく訪れた歓喜の叫びだ。

 元々、この楽曲はジェットコースターソングと称されていて、急激な変化とスピード感がウリになる楽曲なんだけど、音源で聴いた時よりもアグレッシブでスピーディに感じられた。

気のせいぢゃねぇのか?と言われるとそうなのかもしれない。ただ、LIVEという場の雰囲気は抱いているインプレッションを容易く塗り変えてしまう理屈じゃ説明できない妙な現象が起きる。他の人はどうだか分からんが、自分はそう感じたのだ。

 実際のところ、あの熱狂と興奮が渦巻く空間は異常なもの。でも、めっちゃ楽しい空間になってた。楽曲のテイストや盛り上げるための仕込み込みでそうなるのは想定していたが、直に体験した熱はあっさり想定していたものを超えてた。

ここからこの楽曲がどう進化していくのか…そして、その伸びしろは未知の可能性がある。ここで感じた可能性を信じてみようと思う。
 

 15.(昼)13.(夜)Happy Bubble Party 


 この楽曲も、クライマックスに配置した事で異常に盛り上がる楽曲に変貌していた。
まあ、楽曲タイトルからして脳ミソで締まっている理性というネジを完全に緩めてただはしゃいで楽しめ!って楽曲だ。

この楽曲も、昨年のお披露目イベントで解禁された楽曲。このLIVEに至るまでさまざまなフェスやイベントで披露されてきた。もちろんその都度披露されたのを聴くのは楽しかったが、やっぱりワンマンLIVEという場と刻で聴く楽しさが勝るのだ。

ステージ上の彼女達のパフォーマンスにも、楽しいという心情が駄々洩れしていたように思える。
そうなるのは当然なのだろう。みんなとコールや踊りで盛り上がれる楽曲、LIVE映えする楽曲、さまざまな音が入ってそれに合わせた振りをやっていて余す所無く楽しめる楽曲、まばたき禁止な楽曲、「祭りソング」という感じで楽しく遊べる楽曲…etc

この楽曲を褒めちぎる要素はいろいろあるが、とにかくキャッチーでとっつき易い。雑に言ってしまえば『何も考えるな。ひたすらに楽しめ』という楽曲。

 だが…もう楽しむだけじゃ物足りなくなっていた。この楽曲が創造していく雰囲気をとことん味わい尽くさなきゃ意味がない。そんな気迫が彼女達から漲っていた。観客もその雰囲気を味わい尽くすため見事に乗っかっていく。

ここまでの盛り上がりはこのLIVEでしか体験できない。楽曲自体のチカラ、5人の成長が根幹にあるのは当然なのだが、この刻と場がDayRe:のワンマンLIVEだからだ。 

ここまでのセットリストによる繋がりで『Happy Bubble Party』のチカラが更に増大する。LIVEのセットリストはさまざまなエモーションを繋いでいくものだと思い知らされた。
 

 16. Here We Run


 『DayRe: 1st Anniversary Live- Page:366 -』本編におけるLAST SONG。
この楽曲はLIVEのクライマックスで披露されるだろうなと思っていたので驚きはなかった。

『走る』という単純明快なテーマ。記念になる初めてのワンマンLIVEから先の季節をこれまで通り全力で駆けていく決意表明を込めてクライマックスに据えた。そして…DayRe:がこの楽曲を携えてこれから成さなければいけない『戦い』の始まりでもあった。

 『Here We Run』という楽曲は、DayRe:の直系の先輩ユニットになるTrySailが楽曲制作に関わっている。コレは多くの人のエモーショナルな感情を揺さぶったと思う。

ただ、自分はそこまでエモーショナルな感情にはなれなかった。確かに楽曲のクオリティは本当に素晴らしいし、DayRe:を慮って制作に関わったTrySailのお三方への敬意は当然ある。でも…実際にこの楽曲を謳うのは他ならないDayRe:の5人だ。それが僅かでもブレたら意味がない。

 勝手な解釈なのは承知しているって前置きしていくが……この楽曲にはまだDayRe:楽曲としての血が流れていない。楽曲というものはリリースされて終わりじゃなくて、5人がここから歌い継いでいくことでいろいろな要素が血となり楽曲に流れて真の完成へ至る。

それを痛感されていたのがステージ上の5人だった。彼女達はここからいつ終わるのか分からない『Here We Run』がDayRe:にしか謳えないDayRe:だけの楽曲としての完成へ導く戦いに出ていくのだ。

かつて、彼女達は『自分達は何も出来なかった世代』と叫んだ。でも……何も出来なかった者達にしか謳えない楽曲もあるのだ。その想い、感情、生き様を取り繕ってごまかすのでなく、ダイレクトに楽曲へと乗っけた。過去をなかったことにしないで今できる全てを叩きつけた。今出来る事は……全身全霊懸けて歌って踊るだけ。一人でも多くの人に届くように!!!!!というシンプルな想いと魂が彼女達を突き動かしていたのだろう。

 ただ、そこに気負いのようなものは感じられなかった。むしろ、その過程を楽しみながら進んでやろうという希望に燃える『熱』が漲るパフォーマンスになっていた。五人五様に響かせていた晴れやかでいて雄弁な力強い歌声が実に心地良くて魂へと沁み渡っていった。


 EN1.Overself


 このアクトのみの演出で、バックモニターにある映像が流れていた。
詳細な内容はド忘れしたが……おそらくユニットデビューされてからさまざまな仕事の裏側を撮影したムービーだった。

で…この楽曲だが、『自分自信を超えて』というテーマが掲げられている。ユニットデビューを飾って、この一年の刻の中で彼女達を取り巻く環境は劇的に変化していった。ムービ―に映っている5人は楽し気だが、映ってない裏側では理想と現実のギャップに苦悩する葛藤があったのは想像に難くはないのだろう。

挑んで、壁にぶつかって……乗り越えるためにいろいろ試してとにかく進もう。この一年…いや、もっと前からそれを繰り返して5人はそれぞれ戦ってきた。それはこれからも変わらないし、その行程も愛して受け入れようという強い意志が彼女達の歌声に表れていた。


 全部愛して ほら「I」して 強がる今の自分も

 全部ほら愛して ほら「I」して

 いつもの弱い自分も“アタシ”だから

 いつかあの影よりも大きな 私が

 “アタシ”のために歌う歌


 ―DayRe:『Overself』より引用

 
 やっぱり、LIVEで聴く『私』の魂の叫びを想起させるサビでの高らかな歌声が魂を揺さぶる。
A~Bメロで強調されて来た低音から、サビで一気に突き抜けていくかの如き高音域への転換。溢れ出てくる感情を抑制し切れない、完全に吹っ切れて解き放たれたような清々しさが、まさに自分自身の限界領域を超えようという気迫が歌声に宿っていた。

 これから先の未来の刻でも、自分はこのサビのパートで高らかに響く5人の歌声に何度も魂を揺さぶられてエモーショナルの極致に至るのだろうな。今はまだ夢物語の域でしかないが……もっと大きなハコ(会場)でのワンマンLIVEで『Overself』が謳われる刻が訪れることを切に願わずにはいられない。

 
 幕間―心の光と魂の還れるHOMEへの想い


 最後の楽曲に移る前にMCが挟まった。基本的に自分が書き殴る参戦レポではMCをすっ飛ばしている。だが、このLIVEに関しては夜の部での件を触れなければならないと思って書かせてもらう。

 MCの内容的には、メンバーが一人ずつ挨拶やLIVEの所感を語られていく形。
その中である人……夏目ここなさん吐露された想いに感情が激しく揺さぶられたのだ。それは、彼女もそうだったから。

 

 みなさんが照らしてくれるこの緑の光って

 私だけのもので味方なんだなって。

 その緑の光のところに私はいてもいいんだなって……

 

 

 概ね、夏目さんがこんなことを言っていたと記憶している。途中から彼女は感極まって涙声になって想いを吐露された。

我々には、夏目さんが感極まった理由について分かるワケがない。そして、夏目さん自身も説明できないと思う。

このLIVEで感じられたこと、この日に至るまでのさまざまな刻の記憶、期待、不安と葛藤、大きなトラブルなくLIVEが進行出来た安心感……ありとあらゆる要素が夏目さんの中で渦巻いていて、ふとした瞬間に、夏目さんのイメージカラーである緑の光が沁み渡っていって…感情を律していた堰が壊れた。もう、コレは理屈や人の意志で抑えきれるものじゃない。

 客席が緑の光で染まったあの瞬間は、夏目さんが言ってたように彼女のためだけに各々が照らした心の光。照らす光は、夏目さんにとって温かい安らぎを感じられて魂が還れる場であることを実感されたのかもしれない。

 そして、夏目さんの抱いた感動は、橘さん、相川さん、宮沢さん、日向さんも共感できたんじゃないかなと思えてならない。この日は、DayRe:にとって魂の還れる場が新しく生まれた記念日でもあったのだと。

 

 EN2.DeaRy Days!


 満を持しての披露になったDayRe:原初の楽曲。それが最後の最後に収まる事で、このLIVEがちゃんと終われて次の季節が始められる。その用兵の妙に舌を巻く思いだ。

原初の楽曲を初めてのワンマンLIVEの最後で謳う意味。考え出すとキリはないのだが…一つ確かなものかなと勝手に思っているのは原点回帰であること。

コレは過去に囚われるというものではなく、ユニットデビューした頃に抱いていた未知への挑戦への気概と探求心を持ち続けて彼女達が道を見失わない意味を持つ。まあ、コレは個人の妄想の域で勝手に書いてるだけなので真相ではない。その答えは5人の中にちゃんとあればそれでいいのだ。

 このアクトのキモになっていたのは、きっちり型に収まったパフォーマンスを魅せることじゃなかった。5人の立ち振る舞いは、観客の声援やそれぞれのイメージカラーの光に手を振って応えたり、ステージに散らばって歌っていたり、観客の視線と交わろうとされてたかもしれない。本当に自由気ままに楽しんでいる姿が印象深かった。

もちろん、完全にフリーダムというワケでもなくちゃんと決める所は決めて魅せ付けてもくれた。きっちりと魅せられるベースがあるからこそ、型を崩したパフォーマンスも成立できる。何よりもだ……もう本当に5人みんながすっげぇいい顔して楽しんでたのが実に素晴らしい。

 『DeaRy Days!』からDayRe:の軌跡が始まって、一年の集大成として迎えた記念のワンマンLIVEの締めを『DeaRy Days!』で締め括って未来の軌跡へ旅立つ。一つの季節の物語の終焉としてこれ以上ないカタルシスに痺れた。

 
 コレを観たかったんだと。5人がここから新しく創っていくDayRe: dreamを叶えていく第二章の物語の始まりに立ち会えたことは、本当に尊い奇跡の刻だったのだと思えてならないのだ。

 

 あとがき


 現地参戦された人の多くが、最も期待していた喜ばしい報がアンコール内のMCで告げられた。

 

 
 8月と9月の2か月連続でのワンマンLIVE開催決定と、デジタルシングルが7月・8月・9月と3ヶ月連続でリリース決定との報が発表された。

気になったのが、LIVEタイトルに銘打たれた『Seasons Live』。直訳すると、夏・秋・冬といった季節ごとにLIVEを開催していくのだろうか。この辺は今後明らかになるのだろう。

で、楽曲リリースがあるのがまた喜ばしい報じゃないか。どういうテイストの楽曲になるのか?気の早い話だが、今から待ち遠しい限りだ。


 前にも当Blogの記事で触れた気がするが、5人はオーディションの頃から「ユニット活動はやらない」とミュージックレインの偉いOTONA達から言われたそうな。

それと「同期とはいえどライバルでもあるので、特別仲良くする必要はない」的なことも言われたと。
 
 まあ、冷徹な物言いではあるが事実でもあって…ある意味で5人を焚きつけていく狙いはあったんだろうなと。ユニットは組まないって件もそうなのだろう。コレも真相は見る側の我々には考えは及ばない。

ただ、それでも5人は共に寄り添っていい意味で競い合いながら、ユニット結成してデビューを飾る事が叶って…二年目の季節へと旅立つ。そして、彼女達はこんなことも言っていた。


 ―先輩ユニットのように、長く活動できて多くの人に愛されるユニットになりたい


 ずっと彼女達の先を往く、スフィアとTrySailが近くにいて見ているからこそ、憧れを抱いて自分達もそこを目指したいと願うのは必然なのだろう。当然、その軌跡はとんでもなく険しいし未来が保証されてるわけじゃない。それを承知の上で彼女達は未来の雄飛を誓ったのだ。

あとは……この5人にしか謳えない楽曲があって、個性溢れる五人五様の輝きを見つけてもらえる状態に持ってきた彼女達が本当に誇らしく思える。多くの人を惹き付けて愛される可能性は十分に備わったユニットでありメンバーなのだ。

 
 最後に……橘美來さん、相川奏多さん、宮沢小春さん、夏目ここなさん、日向もかさん。貴女達にしかできないDayRe:のLIVEを魅せてもらえて本当にありがとうございました!!!!!

ここからどんな物語を経て進化を遂げられるのか。そして、どんなパフォーマンスで魅せ付けてもらえるのかを想像するだけでドキドキしてワクワクして、page367から始まる新しい物語が幸多き素敵な物語になる事を願っております。
 

 

 

 

Raise your fist never ends!!!!ーガールズフィスト!!!! GT 卒業LIVE参戦レポ

 4月29日。秋葉原CLUB GOODMANで開催された『ガールズフィスト!!!! GT 卒業LIVE』に参戦して来た。

 



 LIVEタイトルに“卒業”と銘打たれているように、このLIVEをもって、ガールズフィスト!!!! GT声優ロックバンドメンバーが卒業となる。

メンバー全員の卒業=グループの終焉と言ってもいい。終焉の刻への花道を飾れてグループとしてのキャリアに幕を下せるか。色々な人に愛されて、親しまれて、花道を飾れ幕を下せるグループはおそらく限られているのだろう。最後のLIVEを開催出来ることは当たり前のことじゃない。

で、そのLIVEが開催されるのが……『ガールズフィスト』が最も多くワンマンLIVEをやって来た秋葉原 CLUB GOODMANでの開催。ある意味このコンテンツにとってHOMEと呼んでも過言じゃない会場だと思っている。

 自分が初めてガールズフィストのLIVEを観たのは、今から遡る事6年前の3月。
当時は、新型コロナの影響によってあらゆるLIVEが開催出来ないという時期。それでも…メンバーの強い要望によって秋葉原 CLUB GOODMANから無観客での配信LIVEという形で開催され、それを観させてもらった。

そこから刻が経って……ようやく観客を入れてLIVEが開催できるまで情勢が落ち着き、ガールズフィスト!!!!GT体制になって初のLIVEになったのも秋葉原 CLUB GOODMANで、自分がガールズフィストのワンマンLIVE初参戦になったのもこの会場だった。


 そんな会場でLAST LIVEが開催されて参戦出来る……デカいハコ(会場)で迎えるLAST LIVEもエモーショナルだが、そのグループ(ユニット)にとって縁の深いハコで迎えるLAST LIVEもまた形容し難いエモーショナルな衝動を揺り動かしてくれる。このLIVEは間違いなくそうなっていくという確信を抱いて、秋葉原 CLUB GOODMANへ向かったのだ。

 

 

 8年の刻の全てを、今、ここで……


 卒業LIVEが告知された際に言ってたが、最後になるこのLIVEはガールズフィストの楽曲を全て披露する全曲LIVEになると。

 

 その数全35曲(カバー楽曲含むと37曲)。ガールズフィストLIVEにとって最初で最後になる最大披露楽曲&最長時間(約3時間越え)の激熱で感動的なLIVEになった。

まずは、原初の楽曲『自分自信』で勢いよく開幕して…立て続けに『GT』が付かない無印時代の楽曲を披露。この頃にリリースされた楽曲陣は近年のLIVEでは披露される事が少なかったので、長い刻GFを追いかけて来た人は懐かしさだったり、LIVEで聴けるという待望感から湧いて来る興奮に包まれ、ごく最近GFを知って惹かれた人にとっては新鮮さから来る感動や興奮を抱くのだろう。

 ある2曲を除いて、この開幕ゾーンに披露された楽曲はどれも明るく楽しいテイストの楽曲揃い。LIVEの雰囲気のアイドリングとしてこうすべきなのがベストだという明確な答えはないが、やっぱり明るく楽しいテイストの楽曲で始まると雰囲気へすんなりと馴染めてノリ易い。(ある2曲についてのインプレッションは後述で……)

その雰囲気を創造していたのは言わずもがな、ステージで演奏して謳う4人。『とにかく全力で楽しむ!!!!』という気迫と情念がパフォーマンスへ宿ってフロアに叩きつけられる。最後だからといって特別な事はしない。これまでにやってきたガールズフィストにしか出来ないLIVEをするだけなのだと。

そんな4人の『熱』にあてられてフロアの観客もまた、それぞれの『熱』をステージ上の彼女達へ叩きつける。互いの『熱』が衝突して更に熱量が高まって異様な雰囲気へと昇華する。この雰囲気がガールズフィストのLIVEに来ているということを強烈に実感させてくれるのだ。


 開幕ゾーン最後のアクトで披露された『さよならMY LONELINESS』が終わると、スクリーンが降りて映像コーナーに。内容は、メンバーからの感謝の念と想いを込めたインタビュー動画だった。ちなみにこのインタビュー動画はLIVE後にEARLY WINGチャンネルからアップされているので本稿では触れないでおく。

で、インタビュー動画が終わるとスクリーンが上がって、楽器隊によるインスト楽曲「MY HERO」から、「Bugging Me!!!!」へ繋ぐ。ここからは所属レーベルがワーナーミュージック・ジャパンになってからの楽曲陣を続々と披露していく。

 そのゾーンから、彼女達のパフォーマンスの質が別の貌を魅せていく。ここからの楽曲は、ガールズフィストのパフォーマンスと音楽性におけるエポックメイキングになった楽曲陣だと勝手に思っている。

内山さんのドラミングは更にパワフルでアグレッシブな力強さが漲り、奥村さんのギターはよりソリッドさとシャープさが音に乗っかり、八木さんのベースはその重厚さがエッセンスになってサウンドに凄みが増していく(注:あくまでも素人のフィーリングなので合ってるかは知らん…)

そのサウンドに、浅見さんの変幻自在な表現力による『謳』が乗っかる。ここでの彼女の歌声は叩き上げの魂をそのままぶつける荒々しさが軸になっているけど、楽曲のテイストによって目まぐるしく変化していく。

キュートさが前面に出ていたり、色香を纏った艶やかさだったり、柔和で魂に沁み入る様な優し気な歌声だったりと、様々な『貌』でもって魅せ付けて会場を制圧にかかる。にしても、ガールズフィストのLIVEレポでいろいろ言及してきたが、浅見さんのボーカルによる会場の制圧力と魅せるチカラは本当に凄まじいものがあり、本当に凄いボーカリストだなと改めて思い知らされる。

 このゾーンでのクライマックスは、ガールズフィストが中国で開催されたLIVEで披露された「ペガサス幻想×ブルーバード」と「遥かなる夢に」が披露された。(共にカバー楽曲)

ガールズフィストの軌跡において中国との関わりは外せない。このLAST LIVEも中国から来られた人が結構いらっしゃたりしていた。国と海を越えても愛してくれるファンの人達がいてバンドの最後を見届けようと馳せ参じる……

多くのバンドやアーティストの楽曲をカバーして来て、最後の最後に彼女達が選んだのは、その軌跡に縁が深くて欠かせない異国のファンへの深愛の情に応えたいという想いがあったのだろう。本当に多くの人に愛されたコンテンツだが、異国の人にも愛されるってのは本当に凄いことだなと思わずにいられない。


 そして、ちょっとしたMCを挟んで……LIVEは終盤戦へ突入。2025年にリリースされた楽曲でクライマックスへと駆けていく。

 「FLY'T HIGH!!!!」「DON'T STOP!!!!」といったガールズフィストのアンセムの系譜で繋いでぶち上げていく。特に、「DON'T STOP!!!!」はメンバー全員が特に思い入れの深い楽曲として挙げられている。近年のグループ活動を象徴していた止まらずに駆け続ける事と強くリンクされているからなのだろう。長時間になったLIVEの終盤でも彼女達の戦う意志と意地は微塵も衰えちゃいなかった。

 で、どうしようもなく暗くて切ないけれど…未来への希望までは捨てていない楽曲「Starless Night」。先程の激熱な雰囲気から一転して、しっとりした雰囲気に魂を委ねてただ傾聴していく。卒業を迎えた彼女達の未来はある意味先の見えない軌跡が拓けている。でも、自らの魂に灯る光を信じて自分がもっと輝ける存在になって照らしていく存在になる。そんな願いを込めて謳われるこの楽曲は、すんなりとこちらの魂へ沁みて感動へ至ったと。

 ベクトルは異なるが共に盛り上がれる楽曲「ラストヒーロー」「睡蓮」でまた盛り上がってからの、ガールズフィストの『妖しい狂気』を曝け出すゴシックロック調の「Deception Doll」で感情が揺さぶられてしまう……この楽曲もガールズフィスト楽曲におけるエポックメイキングになった楽曲と言っても過言じゃない。

続いては卒業LIVE開催時点まででリリースされている最後の楽曲「2512」を披露して、再び激熱な雰囲気へと強引にシフトチェンジして、遂にその刻……最後の楽曲披露が来てしまう。


その楽曲の名は……「Dystopia」


ちなみに、この楽曲の音源は卒業LIVE時点ではまだリリースされていない。対バン形式のLIVEのみで披露されたという話を聞いた事があって存在は知っていたがようやく直に聴けるのかという感動と興奮で身体が震えて魂が燃え滾っていた。最後の最後でこんなプレゼントを彼女達は用意してくれたのかと…(Dystopiaの所感も後述にて……)


 そんなこんなで、時間にして約3時間越えになった激熱で楽しさ満載なLIVEは幕を閉じた。
「全部出し尽くした」と最後に語っていた4人の表情からは、その言葉通りに全身全霊を出し尽くせた達成感や充実感に満ちていていい笑顔だった。

全ての楽曲を披露するLIVE。言葉にするのは容易いが、実際にそれをやるのは並大抵じゃない覚悟と決意が必要になる。でも、4人はそれを見事にやり切った。本当にあの4人は凄く強かった。

 

 

 特別な謳と最後の刻で救われる謳


 この卒業LIVEに参戦するにあたって、自分が聴くことを切望して来たある2曲……「Full of Lies」と「孤独の月」。身も蓋も無いが…全曲披露すると告知されていたから絶対披露するのはわかっていたけども……やっぱり、情緒が激しく揺さぶられてダメだった……しかも、秋葉原 CLUB GOODMANで聴くという場の要素があったから、より魂へ深々と突き刺さったのだ。

 「Full of Lies」。この楽曲を初めて知ったのは、6年前に配信で観たLIVEだった。
当怪文書Blogにて、ガールズフィスト関連の記事を初めて書いたのがこの楽曲の所感だったりする。普通ならコンテンツやグループの事を書いてから楽曲の所感なんぞを書くモノだが、順序を無視して書くほどにこの楽曲から受けたインパクトが自分にとっては凄まじかったのだろう。

前述でも触れたが、思い入れのある楽曲が披露されると分かって参戦しても、いざその刻になると感情の方は思うようにはいかない。まあ、ものの見事に情緒が揺さぶられて涙腺が刺激されてしまった……

浅見さんと奥村さんによる情感込めたツインボーカルが、この楽曲が持つセンチメンタル感とノスタルジー感が絶妙で何とも形容し難い味わいを醸し出してこちらの魂へ沁みていく。聴覚が幸せとはまさにこの刻の瞬間のことを指すのだろうなと……

 
 そして、「孤独の月」


 自分の記憶が合っていれば、この楽曲がワンマンLIVEで最後に謳われたのは、2023年の5月に開催されたワンマンLIVE。それ以降のLIVEでこの楽曲は一度も謳われていない。そんな楽曲がこれまたLAST LIVEで確実に謳われる……こんなに嬉しい事はなかった。

「孤独の月」という楽曲は、初代(コレは自分が勝手に言ってるだけだが…)藤森月役の古川由利奈さんが、藤森月をイメージして作詞された楽曲。

詳しい説明は省くが…何やかんやあって、藤森月のキャストは2度交代されている。古川さんが歌詞を綴って謳い…二代目として受け継いだ井上杏奈さんが役とこの楽曲も繋いだ。

そして、三代目として受け継いだ八木萌々菜さん。彼女が初お披露目されたLIVEのレポで自分はこう書いていた。


 八木さんにはいつか『孤独の月』を謳って欲しい。それが叶う未来の刻を待ち望んでおる。

 

 

 彼女…八木さんが加入し、刻が経って……その間もずっとLIVEで八木さんが謳う「孤独の月」の披露を待ち侘びてようやく最後の卒業LIVEで聴ける事が叶う。そして、その待望の刻と機がやってきた。

有りふれた所感で申し訳ないが、八木さんの声で歌い出した瞬間、一気に押し寄せるエモーションに自分の情緒と涙腺は耐えられなかった……それと、自分がフロアで陣取った位置は八木さんのほぼ対面っていうのも加味されてたから余計に突き刺さってきた。

「孤独の月」という楽曲は、古川さん、井上さん、八木さんによってそれぞれに違う意味を持つ楽曲へと深化していた。そいつが何なのか?についてはいろいろな解釈があって表現しきれないのでここでは書かないが……古川さんにしか謳えない、井上さんにしか謳えない、八木さんにしか謳えない三者三様の「孤独の月」が存在しているといったところか。

 あくまで個人の勝手な解釈だが、このLIVEにおいて何か所かあるヤマの一つが「孤独の月」だったと思う。それはグループにとっても、八木さんにとっても。

八木さんが謳いだした時、どこか歌声が強張ってたように感じた。そうなってしまうのは無理もないだろう。リハーサルと実戦で謳うのはまた別の話で、始まったらもう後戻りは出来ない。フロアで我々がすべきなのは、八木さんがちゃんと戦う姿を見届けることなのだと。

彼女が謳う「孤独の月」が良いかそうじゃないかを論じても意味は無い。あの刻と場でしか聴けない「孤独の月」が八木さんにしか謳えない楽曲だったんだ。

彼女がガールズフィストのメンバーとして加入されてから卒業まで貫いて来た生き様と意地が新しい血になって流れてこの楽曲が救われたと思えるのだ。見事にこのアクトをやりきった八木さんの表情からは、プレッシャーからの解放感や達成感のような清々しいものがあった。それは本当にいい表情だったのよ。


 最後の刻でそれが聴けたのは本当に嬉しい事だったんだ。「孤独の月」を謳って、救ってくれて本当にありがとうと……
 


 絶望に嘆く謳ではなく、絶望に抗い戦う謳


 最後に披露された「Dystopia」。意味はいろいろあるが…ざっくり言うと「理想とは真逆になる社会」や「最悪の未来社会」だそうな。対義語は「ユートピア」。タイトルのみで考えると、ガールズフィストの楽曲にもある「Utopia」と関連しているのかなと思うが実際のところは全く分からんという具合。

で、聴いて感じたインプレッションは……タイトルの意味とは真逆の、勇壮さと力強さのあるテイストだと感じた。演奏や浅見さんのボーカルも。こういったテイストの楽曲を自分は、『戦いの謳』とか『アンセム』などと勝手に称するが、この楽曲はそう呼ぶに相応しい楽曲だなと思った。

 彼女達が辿って来た8年の軌跡。それは決して思い通りに来れたモノじゃなかった。逆境と隣り合わせで戦って来た歴史。大袈裟に言ってしまえば、絶望に呑み込まれないために必死に抗い拳を上げ続けていた。それは、卒業という終焉を迎えた未来でもおそらく変わらないのだろう。

それぞれがその軌跡の中で徹底的に打ちのめされたのは数え切れないほどあった…まさに「Dystopia」(絶望)に落とされながらも立ち向かって来た。彼女達の偽りの無い生き様がそっくりそのまま宿って、ベタな物言いだがガールズフィストにしか謳えないガールズフィストだけの謳としての説得力が漲っていた。


 何度もここに書いたが、本当に凄い4人だなと……徹底的にきっちりと思い知らされた。

 

 

 最後に……

 
 ここに1枚のシートがある。

 

 

 コレは、今回の卒業LIVEの物販で販売されたサインシート。裏面にはメンバーのコメントが寄せられていた。彼女達が我々に寄せてくれた感謝の念が文面から伝わってくる。そんな彼女達の想いに自分なりの感謝を伝えて本稿の締めとさせていただく。

 

 

 GFGTと出会ってくれて本当にありがとうございます

 あなたと会うことができて幸せです! また絶対会おう!

 

 

 浅見春那さん。感謝を伝えたいのはこちらの方です。
貴女という素敵で魅力的な表現者に出逢えたことは、本当に奇跡の巡り合わせで幸せなことでありました。

LIVEで観させていただく度、その凄まじい成長にいつも驚かされて魅了されていました。そして、何よりも貴女が発する言葉と謳にはチカラが漲っていて自分の魂を揺さぶって燃え滾らせてくれました。その凄さはどれだけの言葉でもって表現すればいいのか未だに正解が見えなかったりします。

 それは今の時点で当然なのかもしれません。浅見春那という表現者の魅力はこれからの未来の刻で更に開花して多くの人に知られて惹かれていくのですから。それが実現する未来が訪れることを願ってやみません。自分は貴女なら叶えられると信じています。

 

 

 みんなと過ごした日々は私の宝物です。

 最高に楽しかったね!!!! だーいすきだよ!!!!

 

 

 内山つかささん。LIVEで貴女がいつも心底から楽しんでドラムを叩かれる姿は、こちらも楽しい気持ちにさせてもらいました。

そして何よりも、数多くあるガールズフィスト楽曲で、貴女は多く作詞されていてどれも素敵な歌詞だなと深く感銘を受けました。

 自分が言うのは大変おこがましいことですが……想いを言葉にするというのは本当に難しいものだと思います。歌詞を綴られるにあたっていろいろ苦悩されたと思います。でも、そこから逃げずに挑まれたからこそ、綴られた歌詞にはチカラが宿って、楽曲がより活き活きしたものになったように思えるのです。

 貴女の言の葉には強いチカラがあります。言語、文章、歌……発する形はいろいろありますが、これからの未来でそれらに触れられる機会が多く巡って来られることを願っております。

 

 

 最ッ高な日々をありがとうございました!!!!

 どこにいても音は繋がっているよ♪

 

 

 奥村真由さん。貴女が言う「どこにいても音は繋がる」本当に素敵な言葉だなと思います。
コレは自分の勝手な思い込みで恐縮ですが…貴女の8年間の軌跡の中で、ギター演奏だけじゃなくて、様々な形で楽曲に携わられ支えてて来たからこそ自然と出て来た言葉なのかなと思います。

 音で繋がる。その信念でもって演奏する。貴女のその想いがメンバーへ伝わり、そしてフロアの観客にも伝わって、ガールズフィストのLIVEの雰囲気が楽しいものへと昇華していったのかなと自分は勝手に感じておりました。月並みな所感ですが、本当にどのLIVEも楽しいもので、この卒業LIVEも目いっぱい楽しむことができた最高の刻でした。

  


Thank you for the memories!

 

 

 八木萌々菜さん。貴女がガールズフィストに加入してから卒業までの1年半の刻は、とんでもなく濃密で激熱な刻だったと思います。いろいろなプレッシャーや、目まぐるしく変わっていく環境の中で戦うのは本当に大変だったことでしょう。

ただ、そんないっぱいいっぱいの心情でも、イベントやLIVEではいつも笑顔で楽しまれていたように見えました。勿論、当時の貴女の心情を窺い知ることは叶いませんが……いろいろな苦悩を抱えながらもそれを出さなかったのは、本当に魂の強い人なのだと感嘆の念を抱きました。体験された全てのことに意味があってよい思い出になったのでしょうか。
 
 貴女のその天真爛漫な笑顔と愛嬌の良さは素晴らしい個性。
自分が言っても根拠はありませんが……貴女のその個性でもって、今後も多くの人から愛されるのだろうと思わずにはいられません。


 ……と、LIVEが終わって刻が経ち、いろいろ好き勝手に4人への想いを書き殴らせてもらったが、想いを余す事なく伝えきっていない。改めて「想いを言葉にして伝えること」の困難さを身に染みて痛感させられる。それは、4人への想いだけじゃなく卒業LIVEを観て感じたインプレッションも余すところなく伝えきれてもない。

 前にも記事の中で触れたような気はするが、本当にこのガールズフィストというコンテンツは8年間でいろいろなことがあり過ぎた。でも、そのいろいろなことを乗り越えられたからこそ、4人のパフォーマンスの素晴らしさや数多の楽曲の強さがあって、ガールズフィストにしか出来ないLIVEを魅せ付けてくれたのだ。

最後の刻と場で、眩しくて激熱な今を魅せ付けたのは、楽しかったこと辛かったこと全部含めた彼女達の積み重ねて来た生き様による成果だったんだなと。最後の最後でも本当に強い4人だった。


 浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、八木萌々菜さん。卒業LIVE及びガールズフィストメンバーとしての活動本当にお疲れ様でした!!!!

結成から長いことサウンドプロデューサーとして、4人を厳しくも温かく導いてくださったMr. EDDIE氏、メンバーをずっと支えてくださったスタッフの皆様、そして、ガールズフィストを知って惹かれて、心から熱い応援をされていたファンの皆様も本当にお疲れ様でした!!!!


 4人の新たな門出とそれぞれの未来が、幸多く明るく照らされていくことを心より願い、筆を置いて締めとさせていただきます。

 

 

 

DayRe:楽曲ライナーノーツ#13 Here We Run

  Here We Run/DayRe:


 2ndEP『刹那的ロマンティック』の5曲目に収録されている楽曲。本曲が2ndEPのLAST SONGとなる。


 本曲の最重要アピールポイントとして挙げられるのは、DayRe:の直系の先輩ユニットである『TrySail』が大きく関わっている点にある。作詞は夏川椎菜さん。作曲を雨宮天さん。ダンスの振り付けは麻倉ももさんが担当されている。

本EPに収録されている各楽曲はどれも強くて素晴らしい楽曲だが、とりわけ本曲への期待値は最も高かったのではないだろうか。先輩ユニットが携わって作られた楽曲を後輩ユニットが謳うってのはエモーショナルの極致だろうから。


 タイトル『Here We Run』の訳だが、Google大先生の翻訳によると『ここで私達は走る』だそうな。(合ってるかどうかは知らんwww)
歌詞の内容や疾走感溢れる明朗な曲調から、本曲の根幹になるテーマは翻訳通りの『走る』なのだと。

歌詞を綴られた夏川さん曰く、何かを変えたい、成し遂げたいと願う想いが強ければ強いほど、迫る刻へのプレッシャーに怖れや止まってしまうことに罪悪感を抱いてとにかく走り続けなきゃという強迫観念へと至ってしまう。

もちろん、走って動くのは大事。でも、それを続けなくては何の意味もないし独りではそれは困難だ。だから支えてくれる仲間だったり応援して背中を押す人の存在が重要。コレは、夏川さん自身がこれまでの軌跡で得られた実体験からの偽り無い言葉と想い。

夏川さんの想いを汲んで歌詞を読んでいくと、焦燥感や不安といったネガティブな要素と、変わりたい覚悟や寄り添う仲間との縁と絆というポジティブな要素への転換が見事に綴られている。

その経験をユニットを結成してもうすぐ一周年を迎える後輩達へ伝えたかった。だからこそ彼女の綴られた歌詞には力が漲って熱い血が流れているのだろう。

 で、曲調の方だが、本EPで掲げられているテーマが『永遠の青春』『青春葛藤ソング』。そのテーマに沿っていく形で、疾走感溢れたまさに青春ソングの正道を往く感じの清々しさ満載なポップスへ雨宮さんは仕上げていて“TrySail感を意識させる”アレンジをお願いしたとのこと。この“TrySail感を意識させる”というのも本曲の重要なキモになっていく。(コレについての解釈は後述する)

メロディの主軸になっているのは、明朗快活なポップさと疾走感。で、その疾走感の中にそこはかとない焦りや不安の影も感じられるのが絶妙でいて思わず唸ってしまった。

 そして、ダンスの振り付けを担当された麻倉さんは、LIVEの際にみんなで一緒に踊れる楽曲で、DayRe:が観客一人一人としっかりとアイコンタクトが取れるような振り付けにしたそうな。ここにも縁と絆への繋がりを想起させる要素があった。

本曲は三人の先輩からDayRe:の五人へ単純に楽曲提供しただけには納まらない。伝えたいメッセージ、深愛の情、激励……etcと、数多の想いが折り重なっていくから尊くてエモーショナルな感動を揺り動かされるのだ。


 本曲の曲調は“TrySail感を意識させる”ことが重要なキモだと前述した。コレについての解釈だが、完全な妄想によるものなので当然ながら正解じゃないことを先に言っておく。という逃げ道を作ったところで本題へ移る。

 雨宮さんがオーダーされたTrySail感を感じさせるってのは、おそらく意図的で、敢えてそういうテイストを感じさせる方法に仕向けている。暴論なのは覚悟の上で言ってしまうと、本曲はTrySailがそのまま歌ってもおそらく違和感がないかもしれない。

当たり前だが、TrySail感を意識させようとされた雨宮さんの真意は分からない。これまた完全な妄想の域だが……コレはDayRe:の五人に向けた激(厳しい方の)だと思う。


この楽曲に貴女達がちゃんと血を流してDayRe:にしか謳えないDayRe:だけの楽曲へ昇華させて本当の意味で完成させて欲しいと。


ここからは貴女達五人にしか出来ないことなのだというメッセージを込めた。DayRe:ならそれが出来るという期待を込めた。雨宮さんはDayRe:のチカラと可能性を信じて本曲の真の完成を託したのだと。


 DayRe:の魅力とは何か?そう問われたら、現時点での自分は「想いと生き様を歌に乗せるユニットでありアーティスト」と答える。(異論・反論は受け付ける……)その彼女達が先輩達の想いに応えないワケがない。

五人にとって、TrySailという存在は格好良くて強い存在だと思う。でも、先輩達も最初から強かったワケじゃない。DayRe:…ミューレ3期生同様に弱かった……(と、思っている)

でも、走って挑んで戦う事を続けて来たから今の強さになれた。それは、DayRe:の過去と現在と重なって…歌詞と歌声に血が流れていく。本曲で響かせる五人の歌声の晴れやかさと清々しさは、何よりも雄弁な力強さは彼女達の謳の真骨頂だと改めて思い知らされた。ラスサビのフレーズがまた魂を掴んで激しく揺さぶっていく。


 しまった夢も 隠していた熱も

 まだ 捨てたくはないし

 手をとった君と 予想以上の奇跡を

 きっと 起こせるはずだ 誓おう

 ここに


 ―DayRe:『Here We Run』より引用

 
 かつて、彼女達は『自分達は何も出来なかった世代』と叫んだ。その過去の苦い記憶は今も心の片隅に残っているのだと。ただ、それでも直向きに前だけを見据えて走り続けた。その燃料になっていたのは五人それぞれが抱く夢と情熱。そして…巡り逢ってから共に寄り添って駆けて来た仲間との絆がある。

実際に彼女達がどういう想いと魂を込めて謳ったのかは分からないが…未来への希望と誓いを胸に抱いて歌声を響かせたのだと思えてならないのだ。


 この五人でいられる刻を大切にして、この五人でしか出来ない何かを成し遂げたいと。


そして、アウトロに差し込まれている『La La La…』のコーラス。ここのパートは、LIVEで観客と一緒に肩を組み横揺れしてシンガロング出来たら気持ちいいなと語られている。

DayRe:のユニットコンセプトとしてあるのは、日常や誰かに寄り添うこと。本曲はLIVEにて披露されて盛り上がっていくのをちゃんと織り込んで作られているという点でもエモーショナルな衝動を揺さぶる。


 本曲をフルサイズで聴いて聴湧き上がって来たインプレッションは、『止まらずに駆け続ける』ことや『誰かの背中を押す』メッセージを持つエール(応援歌)であり、DayRe:の『アンセム』になっていく楽曲だなと感じられた。もちろん、現時点ではその域まで進化出来ていない。

 それは、本曲を実際に歌う五人が強く感じているのだろう。今、これから彼女達によって歌い続け、多くの人の魂に沁みていって愛されることで進化と深化を遂げて、真にDayRe:の『アンセム』の系譜として連なる事が叶い、『Here We Run』という楽曲は本当の意味での完成に至るのだと。

 

 

 

 

DayRe:楽曲ライナーノーツ#12 クラキュラJump

 クラキュラJump/DayRe:


 2ndEP『刹那的ロマンティック』の4曲目に収録されている楽曲。


 本曲も『プラチナ』と同様に恋愛がテーマになっている楽曲ではあるが、その方向性や曲調は全然違ったモノで、恋に対するドキドキやハラハラした感情をジェットコースターのようなスリリング感とハイスピード感のある曲調になっている。恋愛の駆け引きとか変化を楽しむ感じか。

作曲と編曲を手掛けられた椿山日南子氏曰く、「可愛さと妖艶さとスリルを感じていただくため、ゴリッゴリにこだわり抜いて作らせていただきました」と力強く語っている。その三つの要素が複雑に絡み合っていって、急激な落差を曲中にもたらしているのだろう。


 本曲は全体通してテンポの早い楽曲。コレは個人的な感覚だが、『Happy Bubble Party』と同じぐらいのテンポ感と早さでDayRe:楽曲全体でも早い部類の楽曲だと思う。ただ、全体のテイストは全然違っておるが……

始まりの「Jump in!」(×4)は、割と静かな歌い出しになっている。が、「Crazy jump now」の箇所で一気にテンションが跳ね上がっていく。さしずめ、段階はすっ飛ばしてLowからHighへという感じだろうか。そして、Aメロで一旦テンションは落ち着いていく。

どこか緊張感(ドキドキ&ハラハラ感)の漂うメロディと歌詞が、冒頭のわちゃわちゃとした盛り上がり方とのギャップが効いていて、フルサイズを初めて聴いた時はそのギャップに驚かされた。歌詞や歌い方も何かを探っているような慎重さみたいなものを感じさせ、湧き上がってくるポジティブな感情とネガティブ感情とのせめぎ合いを楽しんでるのだろうか。

 ただ、そんな恐怖やら不安の感情を抱きつつも…未知の領域へのワクワク感が勝っていくように感じさせたサビで爆ぜるテンションの歌声は、言わずもがな本曲で最も盛り上がる箇所。ここの突き抜ける歌声は本当に気持ちがいい。

『刹那的ロマンティック』(楽曲の方)でも言及したが、五人が最も得意にしている歌い方は(あくまでも個人の印象だが…)感情を解き放った清廉な歌声を響かせるが、本曲ではその要素じゃなくて、キュートさを前面に出しているように聴こえる。で、スパイス的要素としてあざとさやしたたかさが加わって本曲に深みをもたらす。一つの要素に特化していないこともジェットコースターのような楽曲ということなのかもしれない。

 そして、本曲のアピールポイントというか最大のキモになっているのが……LIVEで盛り上がれることを徹底的に意識して作られた楽曲。

英語の歌詞部分はシンガロングやらコール出来そうな感じだし、宮沢さんはサビでのJUMPポイントを彼女の個人『X』にてポストされていたりと…それ以外でもLIVE映えするだろうって要素をこれでもかというほどに盛り込んでおる。

まさに、徹底的に振り切った楽曲と称しても過言じゃない説得力が本曲から漲っている。
そして、その振り切った本曲はLIVEにおいて彼女達の心強くて強力な『武器』になっていくのだろうし、五人もその手応えを充分に感じている。


 今はまだ、未知の可能性でしかないが…五人がこれからLIVEで謳い、観客と共に成長を遂げた刻で、DayRe:楽曲で一番LIVEで盛り上がれるのは『クラキュラJump』という声で溢れる未来が訪れるかもしれない。

 

 

 

 

DayRe:楽曲ライナーノーツ#11 プラチナ

 プラチナ/DayRe:

 

 2ndEP『刹那的ロマンティック』の3曲目に収録されている楽曲。


 今作のEPのHighlight Medleyを聴いて、最もインパクトが強烈でフルサイズが聴ける事を熱望していた楽曲。で、そのインパクトを受けた要因は…

サビのみの段階でも、本曲の異質さが他の楽曲とは明らかに方向性とテイストが違いすぎたのだ……その異質さは、この2ndEPだけの範囲じゃなくてDayRe:楽曲全体に言えるものだった。

本曲のどんな要素に異質さを感じられたのか?それは、本曲のテイストがどうしようもなく儚くて切なさに溢れている悲歌・哀歌(エレジー)の要素を感じられて、DayRe:楽曲におけるエポックメイキングと言っても過言じゃないと思っておる。


 本曲のテーマになっているのは、”恋”に気付けず後悔を抱えた切ない春の想いを、ピアノとシンセのサウンドで仕上げた楽曲との事。メロディ構成についての知識はからっきし無いが…とことんシンプルに組まれていて、ボーカルを際立たせて聴かせるぞという意識がある様に感じられる。

ボーカルを際立たせるという意識からか、五人のボーカルは力任せに行くのでなく、高音域を張り上げつつも行き過ぎない絶妙な塩梅で歌っていて、淀みが無く沁み渡っていく綺麗な歌声を響かせる。

この儚げでいて繊細なメロディを活かして、綺麗な歌声の主軸になっていると自分が感じたのが、宮沢小春さんと橘美來さん。あくまでも私見の域ではあるが……彼女達は五人の中でも高音域の歌声が映える人達だなと思っている。


 ※異論・反論は潔く受け付けます……


ただ、高音域が映えると言っても二人の歌声の質は違っている。儚げで透き通るという例えが相応しい宮沢さんの歌声。凛としてエネルギッシュな要素を纏う橘さんの歌声。高音域が映えるという系統は一緒だが、高音域の質は違っている。その彼女達を対にした歌割りが、切なく物悲しくも美しい楽曲への昇華に至る。


 冒頭で本曲はどうしようもなく儚くて切ないテイストになっていると評した。
全体のテイストの真髄になっているのが歌詞が紡ぐ”恋”に気付けず後悔を抱えた者の物語。ざっくり言ってしまうと、この物語は失恋がテーマになっている。

失恋とシンプルに言っても、そのパターンは一つに限定されるものじゃない。あまりにも多彩すぎるので本稿では挙げないが……本曲の歌詞を読んでみると、主人公と思われる『私』は『君』とは恋人関係にまでは至っていないが気の置けない友人関係だろうか。

ところが、その関係は終焉を迎えてしまい途切れた。そうなって『私』は痛感したのだろう。『君』に対して抱いていたのは、友人としての愛情もありつつも恋心も抱いていた事に。

 『私』と『君』は、近くに寄り添っている事が当たり前の域までなっていたと考えられる。双方共に大切な人ではあったのだろう。もしかすると、心の片隅に恋心はあったのかもしれないが、その気持ちは素直に伝えられない、そもそもどう伝えていいかが分からない、恥ずかしい、今更いう必要は無い、いつか伝えればいい……そんな想いをしまい込んで蓋を閉じた。

どういう経緯で『私』と『君』の関係が終焉を迎えるのか?それは2Bの歌詞「いつからか私たち違う道を進んでいたんだろう分からなくて」にヒントがある様に思える。ここの箇所だが、1Bとはテイストが異なり、メロディと歌っている相川さんの歌声が激しめの主張をしている。(ここ歌っているのは、多分相川さんだったと思う……)

その激しさは『私』が抱く過去の後悔なのだろう。互いの想いがすれ違っていた事を気付かなかったのか、あえてそれから向き合う事をしなかったのか?『~たら、~れば』が『私』の脳ミソを駆け巡って負の感情に囚われる事を徹底して描いていく。心情や距離がすれ違ってしまったか、いろいろな要因が重なって徹底的に拗れたか、詳細は分からんがもうどうにもできない所まで行きついてしまった。まあ、円満的な別れ方じゃないのは確定だろう…

 
 『プラチナ』という本曲のタイトル。貴金属の名称であり、変色や変質しにくい特性から『永遠の愛』なんて石言葉があるそうな。また、希少な貴金属であるため貴重な物の比喩として使われる言葉でもある。

『私』が『君』に抱いていた好意は深愛の情だった。だが、それに気が付いた刻に『君』は傍にいなかったが……互いを思いやっていた刻は確かにあって何よりも貴重で尊い刻だったのだと。そんな想いを表現していく五人の綺麗な歌声がこのどうしようもなく切なく哀しい物語を美しく彩る。このアンビバレントな落差が魂へじんわりと沁み込んで来る。


 『私』が過去と『君』の幻影に囚われてしまったのは、ただ素直な想いを言の葉に乗せて伝える事が出来なかった事による後悔の念。関係と距離が近すぎるが故に起きてしまった悲劇で、踏み込まなければいけなかった。伝えて拒絶されたら全部が壊れてしまう事を何よりも恐れた。

距離と関係が近く、それが当たり前の縁に身を置いていると、想いを言葉にして伝える大切さを隠してしまう。そして、伝えられずに大切な何かを失って負の感情に苛まれる…ある意味そいつは人の『性』であり『業』なのかもしれない。

ちなみに本曲は、失恋による囚われた負の感情を振り切って未来へ進もうなんて救いは無い。終始『私』が後悔に苛まれたどうしようもなく切なくて哀しい楽曲に仕上げている。ラスサビのフレーズはそんな本曲を最も象徴しているのではないだろうか。


 今は頭の中痛んだ(一人の)

 君の声と匂いが(坂道)

 紙の上で滲む言葉

 変われない私みたいなプラチナ


 ―DayRe:『プラチナ』より引用

  
 『君』が傍にいない現在の刻を生きる『私』にとって、『君』の声と匂いの記憶は苦しいもの。いつだって救いの刻は突如訪れない。コレは刻が経ち徐々に解けていくのだろうか。前述した救いが無い事とは矛盾してしまうが……唯一の救いとなり得るのが「変われない私みたいなプラチナ」という歌詞。

『君』を想い生きて来た貴重な刻の記憶を魂に刻んで自問を繰り返すのか。このパートの歌声ははどこか力強さを感じさせる。ただ、それは明確に未来へ向かう為の答えではない。そこも含めてこの儚くて物悲しい楽曲が堪らなくて魂へ沁み込んでいくのだと思えてならないのだ。


 
 

 

DayRe:楽曲ライナーノーツ#10 ヒトリ狼

 

 ヒトリ狼/DayRe:


 2ndEP『刹那的ロマンティック』の2曲目に収録されている楽曲。


 本曲のタイトルに銘打たれた『狼』が荒野を疾走している情景が浮かんで来る様な、エキサイティングでアグレッシブなイントロで幕を開ける。イントロの時点からもう『格好良い』系統の楽曲なんだろうなという予感を抱かせる。ジャンルで言うなら、デジタルロック調になるのか。(と、いうインプレッションで本稿を進める。)

格好良い系統の楽曲であり、全体通して疾走感満載のテンポ。所謂、(テンションが)アガれるテイストの楽曲ではあるが…単純にアガれるテイストに落ち着いていない様に感じられた。これらの要素よりも強烈に本曲から感じられたのは野性味溢れる無骨さ。それを出しているのが五人の歌声ではないかと。

 メロディは洗練された格好良さを纏っている。だが、五人の歌声からは、メロディを忠実にそのままなぞって歌っていくのでなく、生の感情やら湧き上がってくる衝動を叩きつける様な歌い方をしていると感じた。そうしないとメロディの勢いに歌声が負けて埋没してしまうのだろうか。

そして、本曲は五人全員や複数でのユニゾンが一切無い。これまたタイトルに銘打たれた『ヒトリ』に関連しているのだろう。五人それぞれの『個』にクローズアップして惹き立たせていく狙いがあるのかなと。

 その野性味やら無骨さのキモになっているのは、中・低音域での歌声かと思っている。俗に言われるパンチを効かせる的な歌い方。情念を宿すでもいい。スタイリッシュなメロディと彼女達の歌声のギャップがいい相乗効果をもたらして楽曲に深みが出てくる。サビではどうしても高音域が際立つが、それでも過度に張り上げて歌う形では無いのがまた良い。


 楽曲タイトルの『ヒトリ狼』。別の言い方をすれば一匹狼とも捉えられる。ただ、本曲の世界観の基になっているのは人についての比喩としての一匹狼。集団の同調圧力に屈しない気高い姿勢に魅せられた者が『決意』『覚悟』を歌う『戦いの謳』。だとすれば…野性味のある歌い方をしているのは納得が出来る。(※あくまでも個人のインプレッションだが…)

歌詞を構成しているワードを見ていくと、攻撃へと全振りしたアグレッシブさが宿る。しかし、圧倒的な強さはまだないが…自分の弱さをちゃんと受け止めてどうにか抗おうとする強固な意志表示になっていく。弱いからと嘆いて何も動かないのでなく、弱いからこそ動き続けて戦うべきだというメッセージにも捉えられる。

その未来への戦い方は決してスマートでスタイリッシュじゃない。どんなに無様で不格好で傷だらけでも生き残って最後に勝利者として立つ。その決意と覚悟からは並ならない野心と意地が溢れている。この要素も彼女達の歌声に血を流していく大きな要因なのかもしれない。


 歌詞に出てくる『僕』の決意と覚悟に触れてみると、どうしてもDayRe:の五人の生き様がオーバーラップして来る。特に、自分の弱さを認めて受け入れて戦う意志を貫こうとする姿勢は歌詞に添っている部分だと思う。

彼女達の見据える未来の軌跡は、真っ暗闇かもしれない。または、荒れ放題の荒野なのかは分からない。ただ、それでも……五人の双眸からはギラついた輝きを放って未知の領域へと踏み込んでいくのだろう。何故なら、彼女達はそうやって生きて来たから現在の刻があるのだ。 
 

 
 

 

DayRe:楽曲ライナーノーツ#9 刹那的ロマンティック

 

www.youtube.com

 

 刹那的ロマンティック/DayRe:


 2nd EP『刹那的ロマンティック』に収録されたリードトラックでタイトルチューン。
前作である1stEP『ReFraction』のリードトラック『プロトノイズ』の時と同じく、EPのリリース前に本曲のみがデジタルリリース形式でリリースされている。

 前作のリリース前にも、収録楽曲のHighlight Medley(所謂、サビメドレー)がDayRe:の公式チャンネルにて公開されていたが、2ndEPの収録楽曲もリリース前にHighlight Medleyが公開された。

その時に本曲のサビのみを初聴したインプレッションは、DayRe:原初の楽曲『DeaRy Days!』を彷彿させる様な爽快感が主軸になるテイストなのかと感じさせた。奇を衒わない直球的な構成に仕上げた楽曲なのかとも思わせる。

 で……リリースされてイントロから聴くと、まずは五人による「Woh oh oh oh…」のコーラスとクラップを模す様なメロディで本曲の幕は上がる。(MVでは五人が音に合わせる形でクラップする演出がある)この時点でのインプレッションも、サビのみを聴いた段階と同様でスタンダードなポップス系でサビに至るまでのテンションを徐々に盛り上げていく構成になるだろうと思い込んでいた。

 しかし、Aメロに差し込まれた仕掛けで唖然とさせられた。「そう来るのか?!」と。


 と、言ってもメロディ自体いきなり振り切っている変態性はないし、楽曲が纏っている雰囲気も極端な落差もない。意外性のフックになっていたのは、随所に散りばめられたラップパートだった。でも、ラップパート自体は珍しいモノでもない。1stEP収録の『Tiny Little Twinkle』でもラップパートは差し込まれていた。

ただ、本曲ではその箇所と長さが異彩を放つ。特に2番のAメロはラップパートが多く差し込まれていたのは本当に驚かされた。

 Bメロからサビまでの繋ぎは、Aメロでの異彩さからは一変して、シンプルな爽快感のあるテイストで楽曲のテンションを最高潮へ持っていく。

サビの歌詞が示しているのは、いい意味で前向きに振り切れた潔さと踏み込む強い意志。その言葉のチカラを引き出していくのが五人の歌声。

彼女達の歌声からは、あらゆるしがらみから解放された様な解放感が宿る。あくまでも個人の勝手な印象でしかないが……いろいろな歌い方の出来る五人だが、一番得意というか持っているチカラを最大に発揮出来るのはこの感情を解き放った歌い方だと思っていて、五人の生き様と覚悟が漲ってて本当に素敵な部分。

中でも圧巻なのは、落ちサビの「終わらない春はここから」の箇所をソロで歌う相川奏多さんのロングトーン。何度も当Blogで言及している気はするが、彼女は声そのものが強い。力強さと晴々した伸びやかな歌声が、実に聴き心地が良くてたまらなく痺れるのだ。

 本曲のテーマになっているのは、“永遠の青春”もしくは“終わらない青春”との事。

 青春について一般的に多く挙がってくる解釈は、学生時代(中学生~大学生の期間)だと思われる。ただ、実際その解釈は曖昧なもので限定されてもいない。

人生で一度しか訪れないってワケじゃないし、若者だけの特権でもない。遅くなった青春や二度目の青春って例えもある。今、現実に生きている刻を全力で駆(懸)けて生きる事が現在進行形の“青春”なんだとリスナーの魂へ訴えかけているのだろう。

 そしてその訴えかけは、本曲を歌う五人自身の魂にも向けていると思う。


 もうじき、DayRe:はユニットデビューから一年の刻が経って、その先は新たな季節と軌跡が待っている。その未来の刻は面白いことや嬉しいことも起こるだろうが、様々な苦難も同時に起こり得る。そんな時、行き詰ったり何か大切なモノを置き去りにしてしまうかもしれない。  

 でも、そうなってしまった時……本曲が彼女達の支えとなり立ち上がって駆け出すチカラになる。誰かの駆け出すチカラになる楽曲という点で、本曲はDayRe:の新たな『アンセム』と言っても過言じゃない。そう感じさせるのは、五人の変わろうとする想い、未知の領域に踏み込む勇気と情熱が本曲にちゃんと血が流せた事の何よりの証だと思えてならないのだ。