巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #40 Top of the Tops

 

 

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 Top of the Tops/ⅢX


 音源は、単独での配信にダウンロード販売。他にはアルバム『IDOLY PRIDE Collection Album[未来]』に収録とフル尺でのMVがある。余談だが……この楽曲が単独でリリースされた日である1月25日はメンバーであるmihoの誕生日でもある。

 イントロからズッシリと響いて来る重低音によって聴覚が制圧されていく感じは、スリクスの圧倒的強者感を表しているかの様だ。原初の楽曲であり『アイコンソング』でもある『Bang Bang』の時点で、K-POPテイストを軸にした大胆不敵な格好良さというスタイルの基礎は完成されていた。
そこに、本曲で加わる彼女達の勝利への渇望と執念といった生の感情を剥き出しにした荒々しさと勇ましさがプラスされ、グループとしての魅力と強さを更に引き立たせていく。

 テンションが上がり気合の入る楽曲ではあるが、ハイテンポで情熱的に歌い上げるテイストではなく、ややテンポは抑え気味でゆっくりと歩を進める様な地固めをしながら階段を上っていく……そんなイメージをメロディからは感じ取れる。そして、溜めに溜めてから、この楽曲の根幹になっている三人の勝利への渇望と執念といった生の感情を剥き出しにした荒々しさと勇ましさを最も色濃く感じられるサビへと突入していく構成が熱く沸き立たせてくれる。

 楽曲タイトル『Top of the Tops』は『最高の中の最高』を意味する英語表現。
三人にはそれぞれ真に叶えたい夢があり、トップアイドルの座は単なる一つの通過点でしかないと豪語する。その為には勝ち続けなければいけない。失敗だったり自分を見つけてもらえない事に対し、とても敏感で恐れを抱く。

 彼女達にとって敗北は受け入れ難い最大の屈辱。その事実は傷痕となって蝕んでいる。
でも、このまま敗者でいいとは思っちゃいないし、この程度だと蔑まれ軽く見られたまま終われない。貪欲に走り続けて戦うしか道は拓けない。それは、三人の反骨の魂の炎を滾らせる最高の燃料。歌詞からは、彼女達のスタイリッシュな格好良さよりも、泥臭く生々しい感情が駄々洩れしている。ただ勝利の為だけに懸ける想いは本物。

互いの人となりはとにかく気に入らないし、寄り添うつもりは一切無いが……個のチカラの強さは認め合っているドライでヒリ付いた関係性を、スリリング感と不穏な雰囲気を醸し出すメロディへ落とし込んでいる。調和しない歪な要素だが、スリクスの場合だとそいつが不思議と合致する。それは、彼女達にしか結べない『絆』なのだろう。

 今を全力で戦えない者に未来を語る資格は無い。強いから戦うのではなく、戦い続けるからこそ強くなれる事。fran、kana、mihoの反骨の魂と野心を謳うこの楽曲は、ⅢXの『戦いの謳』であり、『アンセムであると勝手に思っている。