巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

凱旋の宴と勝負の刻ーIDOLY PRIDE VENUS PARTY The First DAY1参戦レポ

 7月15日と16日に、幕張イベントホールにて開催された『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First』両日共に参戦して来た。

 


 手前勝手な物言いである事を先に言っておくが……この幕張の地は『IDOLY PRIDE』というコンテンツにとって特別な地であると言っても過言ではないと思っている。(※個人の印象です)

2020年2月、IDOLY PRIDEにとって初めてのイベント出演となった、『ワンダーフェスティバル2020[冬]』の開催地がこの幕張の地だったという。そして11月には、初の単独イベントとなった『IDOLY PRIDE ‐VENUS STAGE/RE:BEGINNING‐』もこの幕張の地で開催された。IDOLY PRIDEにとって幕張という地は始まりの地。もしくは約束の地と称していいのかもしれない。

 それから3年の刻を経ていくうちに、このコンテンツには色々な事があった。溢れんばかりの嬉しい事であったり、一方では筆舌に尽くし難い身を切り裂かれる様な悲しみと傷を負った……でも、この『IDOLY PRIDE』に関わる数多の人達は止まる事無く、嬉しい事や悲しい事もきっちりと受け入れて直向きに前へと駆け続けて来た。だからこそ、この幕張の地にまた還って来てLIVEを開催する事が叶ったのではないだろうか。

 初の単独イベントより3年。ゲームリリースから2周年の節目の刻となるLIVEという事もあったのだろう。ここで披露された楽曲や演出がどれも強かったのは勿論だが……何よりも圧倒されたのは、パフォーマンスする演者の想いとPRIDEが凄まじかった。

成長の証を魅せ付けてやると息巻く若い世代の野心。それを全力で受け止めつつ…まだ壁を越えるのは早いと分からせようとする先輩達、先輩達同様に若手の壁になりつつ、隙あらば先輩達を喰ってやろうと意気込む中間の世代と……様々な想いを魂に秘めて、ステージで真剣勝負に臨む。この幕張の地で、全員が『アイプラLIVE未来』以上のモノを魅せ付けてやるという気概でこの戦いに赴いたのだと。

 この2日間の戦い(LIVE)は…『IDOLY PRIDE』というコンテンツにとって勝負をかけたLIVEだった。そいつ現地で魅せ付けられ打ちのめされた我々が枠の外に向けて、この戦の凄まじさを発信していく。アイプラが勝負をかけるとはそういう事だったのだろう。

ただし、彼女達だけが勝負するのではない。彼女達の想いとPRIDEを外に拡散させる我々の行動がこれからはもっと重要になっていく。こんな零細怪文書Blogが世に拡散できるチカラがあるとは思えんが……あの場と刻で感じて受け取ったモノを参戦レポという形でこれから書き殴っていこうと思う。で、前編と銘打った今回はDAY1の所感から。



 ちなみにクソ長い怪文書となっております……

 

1.Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション


 LIVEが開演するまで、まあ、色々と考えを巡らせるモノです。その中で、最もウエイトを占めているのがオープニングアクトで何を歌って開戦の火蓋を切って来るのかって。

演者と観客のテンションをアイドリングする様な楽曲を持って来るのか?予想をいい意味で裏切る様な意外性満載の楽曲で来るのか?あの演者を一番手で歌わせるのか?!……と、まあ開戦前の脳ミソは忙しいワケなのです。そんなこんなで迎えた開戦の刻に聴覚に響き渡ったのが……


骨ごと喰われる変態楽曲……Fight oh! MIRAI oh!のイントロだとッ?!!!
 

 ゲームにも登場した2周年記念衣装・エターニティフレンドを身に纏い、ステージに颯爽と現れた星見プロダクションの10人のキャスト陣。とにかく、このPARTYの開幕が告げられた瞬間の会場の盛り上がり方が尋常ではなかったって事は後の世へ伝えておきたい。自分の中ではこの楽曲をオープニングアクトに持って来る事は予想してなかった。

さしずめ、このPARTYに行儀の良さなんてモノは要らない。脳ミソのリミッターのネジを余す所無く緩めて全身全霊で楽しめ!という彼女達からの宣戦布告……ぢゃなくて、メッセージだったのだと。

この楽曲が持つテイストそのものが、明朗快活でハイテンポで盛り上がらないワケが無い楽曲でLIVE映えは絶対確定事項。約束された勝利の謳と称してもいいだろう。んな楽曲がオープニングアクトという事は、コレは何もかも忘れて楽しみ尽くす刻が約束されたも同然。あとはその身を本能のまま任せるだけ。

そこに、3年前や過去のLIVEで、この楽曲のアクトに無かったあるモノが加わってその勝利は揺るがないモノへと昇華した。


 それは、我々観客の歓声だ。


 観客の声援が入っただけかもしれないが、それが無かったらこの盛り上がりは、絶対に創造されなかった。コレはこの楽曲が歌われた過去のLIVEが証明しているし、あの刻と場で実際にステージで謳った10人の強さがこれまでとは明らかに違っていたんだ。

何よりも、ステージの彼女達が心底楽しんで歌って踊っていた。そんな姿を間近で観て燃え滾らないワケが無い。きっちりとこちらの魂に火入れされて滾って来たのと同時に、これからとんでもねぇPARTYになるだろうなって戦々恐々する感覚が自分の身体を覆った。



 2.IDOLY PRIDE/星見プロダクション


 オープニングアクトの興奮と熱狂が冷めやらぬまま…このコンテンツの『アイコンソング』(象徴)を叩きつける。この楽曲が初めてお披露目されたのもこの幕張イベントホールだったそうな。アニメ版のOPテーマソング、ゲームのタイトル画面のBGM、インターネットラジオ番組『『IDOLY PRIDE コンバンハから始まる物語』でもOPテーマとして流れていて、何かと聴く機会の多いこの楽曲。

 勝手な持論なんだけど、楽曲ってモノは生き物であり成長していくモノ。披露される機会と場が多く来れば多くなっていく度にどんどん進化していく。これまた勝手な持論になるのだけれども……LIVEで聴くと安心できる楽曲ってあると思うんですよね。そのLIVEにちゃんといる事を実感させてくれる楽曲。自分の中においてこの楽曲はそういう位置にある楽曲。

ただし、単純にその楽曲が『良い楽曲』って要素だけでは前述した安心感を抱くまでには至らない。真に血を楽曲に流せるのは謳う人のチカラ無くしては叶わない誤魔化しのきかないモノ。自分がLIVEで聴けたのは、昨年の『奇跡』と『約束』しかないが、段階を経ていく度に進化がハッキリと分かる。

 そうなった最大の要因は、ステージ上の彼女達から漲って来ていた自信と自負なんでしょうな。作品名を冠した言わば名刺代わりの楽曲のチカラを私達がここまで成長させたんだ!みたいな。それと、この楽曲も観客の声が今回のLIVEで初めて加わったってのもあるだろう。観客の声や熱というのも、楽曲が成長していくのに必要不可欠なモノだから。



 3.Blue sky summer/LizNoir


 激熱なハードロックテイストのイントロが鳴り響き……ステージに登場するLizNoir。
いつものリズノワ衣裳ではなく、星見の10人と同じ2周年記念衣裳を纏った、神崎莉央役の戸松遥さん、小美山愛役の寿美菜子さん、赤崎こころ役の豊崎愛生さん。そして……井川葵役の高垣彩陽さんが約一年半振りにアイプラLIVEに見参。昨年の2月の『奇跡』以来のLizNoir完全体である。

 各グループ(月スト・サニピ・トリエル・スリクス)のスターターの役目を担う形となったリズノワさん。
中の人達は、各々が数多の戦場を駆けて来た経験豊富な猛者。ここで配置されたリズノワさんはまあベストのセレクションなのだろうが……懸念材料がないワケじゃない。その懸念材料となるのは、一年半振りのアイプラLIVE参戦となった高垣さんではないだろうかって。

当然、高垣さんも何の準備もしないで来ないし、軽い気持ちなワケがない。で、観ている我々も全員揃ったLizNoirのアクトを心待ちにしていたし。だからこそ……ハードルってヤツは嫌でも高く上がってしまう。久しぶりだからといって割引いて観るつもりもない。何よりも、一人だけ緩く観てもらうなんて、高垣さんは勿論、葵も許してはくれない。人が集まれば比較されるのが自然の理。客と演者、演者同士の戦場がLIVEなのだから。

 んな事をグダグダ考えながらステージを観ておったら……その考えは見事にぶっ壊された。LizNoirによるエモーショナルの“暴力”によって……もうそれほどまでにね、凄まじかったんです。圧倒的だったんですよ。瞬殺でしたよ。特に、高垣さんの絶唱がバグっていてとんでもなかった。血の流れる魂の絶唱だった……アレは。

勿論、戸松さん、寿さん、豊崎さんのパフォーマンスも、高垣さんに一切引けを取っていない。四人から滾らせる熱がぶつかり合って会場を巻き込んだ。それぐらいパワフル&エネルギッシュで一瞬も目が離せなかった。

 コレが完全体・LizNoirの真価だと思い知らされる迫力と、圧倒的な存在感のあるアクトをいきなりかまして来た。LIVEの火付け(注:ガソリン注入……)ってのはこうやるんだよってのを魅せ付けたと言ってもいい。コレが、完全体・LizNoirの戦い方ってのを徹底的にきっちりと魂に撃ち込まれた。

 

 

 4.セカイは夢を燃やしたがる/LizNoir


 イントロを聴覚が認識した瞬間、何とも形容し難い感情が湧いて来た……思わず『マジか?嘘だろ?!』って声が漏れて膝から崩れ落ちかけた。

2ndアルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [約束]』に収録されたものの、ゲームの実装は未だにされておらず…MVも3DLIVE映像も存在してない。更にはこれまでのLIVEでも歌われていない……言わば不遇の楽曲と言っても過言ぢゃない。そんな楽曲が遂に聴ける刻と場に立ち会えたんだ…こんなに嬉しい事はないし、直に聴けるのを本当に待ち望んでいたんだ……

 この楽曲は、『Blue sky summer』とテイストの違っている楽曲。『熱い』といったLizNoir楽曲の根幹になる要素は一緒だが、四人のボーカルでぶち抜いて来る方にベクトルが寄っていると勝手に解釈している。

『Blue sky summer』が紅蓮の燃え滾る炎ならこの楽曲は勢いはさほどない。消えそうだがまだ青白く燃えてる炎みたいなイメージ。そのイメージはLizNoir……いや、莉央、葵、愛、こころのアイドルとしての生き様とPRIDEを証明している様にも思えてならない。

生き残る事を諦めきれない執念とも言っていい。LIVEで直に聴く四人の歌声は音源で感じられるバランスの良さではなく、無骨で生々しく滾る勝利への渇望をダイレクトに感じさせる。エモーショナルな歌詞に血を流して謳う四人の姿は、強烈に俺の網膜に焼き付いた。

そして、2番Bメロ部分での莉央の台詞パートを直に聴けたのは、あの場と刻にこの身がある事に溢れんばかりの喜びに打ち震えておった……あくまでも個人的な主観だけれども、あそこの莉央の独白はこの楽曲のキモを称しても過言じゃないと思うので。

 このセカイで生きる為に滾る剥き出しの本気の魂を示す……ステージ上のLizNoirのみならず、会場中の誰しもが、あの瞬間に剥き出しの本気の想いと魂を全て曝け出した。それは、この楽曲が、LizNoirの『アンセムである事の確固たる証明でもあるし『生命の謳』であるという事を痛烈に思い知らされた瞬間でもあった。

 そして…何よりも魂を揺さぶってくれたのは、LizNoirがこの楽曲を見殺しにしないで、謳われるべき場と刻で血を流して謳ってくれたという事。本当に待ち望んでいた極上の刻だった……謳ってくれてありがとう。
 

 5.ひめごとリップ/TRINITYAiLE


 今回のLIVEはメインステージとは別に、アリーナ席後方にステージが設置されていた。
その後方ステージに降臨したのは、2周年記念衣裳を纏ったTRINITYAiLEの三人。しかも……今まで聴いた事が無い初めて聴くイントロを引っ提げてだ。


 ん?まさか、このイントロ…トリエルさんの新曲だとッ!!!


 リズノワさんの圧巻のアクトの余韻がまだ残っておる所に、この鮮やか過ぎる程の奇襲攻撃にはただただ唖然とさせられてしまった。『これから新曲歌います!♪』って予め宣戦布告されるのも衝撃的なんですが…何の匂わせも無くノーモーションでいきなりぶっ込まれたダメージってのは計り知れないモノなんですよ。

 何しろ、楽曲についての情報が一切無い。盛り上がる曲調か?沁み入る様に傾聴する楽曲なのか?そもそも聴き所の重視するポイントもどこなのか分からん……と、いう具合。話がちょいと逸れるが…披露される機会の少ないレア楽曲も似た様な現象が起こるwww(水樹さんがよく使う手だったりするww)

ただ、こちらの戦う手が全く無いワケじゃない。楽曲のテイストが極端に盛り上がる系ならその勢いとリズムに身を任せて盛り上がればいい。逆に、沁み入る傾聴系の楽曲ならただ曲調に浸って聴いとけばどうにかなる。(注:個人の意見です)

 さて、このトリエルさんの新曲のファーストインプレッションだが…『チョコラブキッス』の系譜に連なっているキュートな楽曲というインプレッションだった。軽妙洒脱な曲調は走り過ぎてなく、かといってずっと聴き入る類の楽曲でもない。その攻め方のバランスが絶妙で思わず膝を叩いてしまった。

なおかつ、トリエルらしい王道・ド真ん中を往くテイストは、外す事の無い安心感を抱かせて初めて聴く楽曲だろうと聴き心地が良く彼女達が創造する雰囲気に浸らせてくれる。エレトリカルサウンドを主軸に据え、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんの清廉かつ純然な歌声との相性が、楽曲と非常にマッチしているってのも大きな要素。

 グループとしてのオープニングアクトに、未発表楽曲を持って来るのはハイリスクな決断でギャンブルと言っても過言じゃない。ハマれば一気に盛り上がるが、外したら目も当てられない状態に陥ってしまう。自分がよく参戦レポにて、オープニングアクトと続く2番目のアクトがLIVEにおいて最も重要な箇所だと言ってるのはそれなのです。

 とは言え…そこはやっぱりトリエルさん。未発表楽曲だろうが一切関係無かった。
むしろ、リズノワさんが創造していった激熱な場の雰囲気を自分達のカラーで塗り変えてやる気概に満ちた『攻め』のアクトを魅せ付けた。何の文句も挟めない…完敗でした……



 6.réaliser/TRINITYAiLE


 この楽曲をここで?!って正直思ってしまった……3年前の幕張でもこの楽曲を謳ったという。
TRINITYAiLEの三人を取り巻く全ての時間軸に意味を持たせる『生命の謳』とっておきの『切り札』でもあり…約束された『勝利の謳』

イントロ聴いた瞬間に、魂が戦ぎ血が滾って『うおぉぉぉっ!』って吠えたくなる衝動に駆られる楽曲が存在する一方で…急に脱力して膝が言う事をきかなくなる楽曲があったりする。この楽曲は自分の中では後者に当てはまる。この域まで楽曲のチカラを昇華させるに至ったのは、瑠依と雨宮さん、優と麻倉さん、すみれと夏川さんが真摯に互いの縁と繋がりを尊重して大切に向き合って来た何よりの証なんだなって。

 そんな生命の謳が弱いワケがないんだ。彼女達が創造した圧倒的な場と刻の支配力をもって、観客を魅了して取り込もうとする表現力は、月並みな言葉になってしまうが……ただ圧倒されその凄さを形容する語彙力まで奪っていく。(元からんなモノが俺には無いが……)

何とかして言葉を紡ぐのなら…三人の歌声の質なんだろうな。清廉で柔和を極めた歌声が絶妙なハーモニーを醸し出し、それが会場全体を優しく包み込んでいくみたいな……そんな雰囲気を纏っている。

 ここまで、激熱な楽曲で攻めまくられた所に、スっと優しく差し込まれた『生命の謳』の心地良さは良いタイミングで格別なクールダウンになった。(…情緒と涙腺がヤバかったが)LIVEのセットリストで明らかな緩急をつけられる楽曲と、それを謳える者がいるのは本当に強いモノなんだと改めて実感させられる。

 

 

7.So What?/ⅢX

 
 清廉かつ柔和な雰囲気を一気にぶち壊すかの如き、治安の悪さ全開なアグレッシブかつダーティ感満載のエキゾチックなイントロが鳴り響き、こちらも2周年記念衣裳を身に纏い大胆不敵に『ⅢX』が登場して来る……スリクスのグループカラーであるネオンイエロー一色に染まった会場の雰囲気がとにかくヤバかった……(語彙力の壊滅)

そのネオンイエローの妖しい輝きに負けず劣らずに、fran役のLynnさん、kana役の田中あいみさん、miho役の村川梨衣さんからとんでもない『気』が漲っていた。その質は獰猛で完全にこちらをエモーショナルの暴力にて仕留めてやるといった殺気に満ちていたのよ……

 今回の『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First』に、結構早い段階で参戦表明をされたスリクスさん。前回は予告無しでのサプライズジャックという奇襲だから盛り上がったんぢゃないの?なんて言われるのは心外でしょう。(言う人はいないと思うが…)

コイツらは負けるのもそうだが、自分達の力を軽く見られるのを何よりも嫌う。そんなスリクスも初手に持って来たのは、夏をテーマにした先日ゲームの方に実装された新曲で観客の魂を鷲掴みにして握り潰す。大人しく聴かせようなんて考えちゃいない…バトルを挑み我々を潰しにかかって来てるwww

 曲調がそもそもLIVE映えする極悪仕様のアッパー&エロティックな曲調だし(褒めてる)、それに血を流す三人の歌声とダンスの質との相性が抜群に良い。まあ、盛り上がらないワケがなかったですよね。一気にこちらの血を滾らせる激熱空間に会場を変化させたのはまさに圧巻。それだけじゃなく、客席を爆発させて焼き尽すオーバーキルまでやってのける有様……

 リズノワやトリエルも強かったが、スリクスさんはまたこの2グループとは違う異質の強さを魅せ付ける。二月の横浜のLIVEで魅せたのはほんの一端だったんだろうな。



 8.Top of the Tops/ⅢX


 『So What?』で魂がこちらにまだ帰ってきていない所に、間髪入れず畳み掛けて来た変態楽曲。
スリクス楽曲の真骨頂とされる治安の悪さを感じさせる重低音を効かせたイントロから『Run Run to the Top of the Tops』の歌い出しで、会場のボルテージが急激に上昇していく。

So What?』での激熱なパフォーマンス直後とは思えない程に、歌い出しからパワフルな格好良さを魅せ付けたスリクスさんの佇まいには鳥肌が治まらなかった。単純に格好良さのある楽曲ではあるのだけれども、この楽曲はどこか生々しい叩き上げの魂を感じられる。それは三人のパフォーマンスにも表れ、どこか鬼気迫る様な凄みを感じさせた。

 そして、この楽曲では、このLIVEの演出においてもう一つのハイライトであるトロッコが登場。
ただ、そこはスリクスさん。全員仲良く一緒に乗り込んで回るなんて事はしません。Lynnさんと田中さんは乗り込んだが、村川さんは乗り込まずにメインステージでそのままパフォーマンスを続けている。

まあ、安易に慣れ合わないってのはスリクスさんらしいなとwwwそれでも個々のパフォーマンスの強さで魅了させられる強さは本当にスゲェなとしか言い様がなくなってしまう。

 クールでスタイリッシュな格好良さは勿論の事、ただ勝利を目指すという泥臭くも生々しい叩き上げの魂とパッションを同居させた剥き出しの本気を魅せ付けるアクト。想像していたモノを遥かに凌駕していて度肝を抜かれたのは自分だけではないはず。

パシフィコ横浜のサプライズジャックなんて物差しにも掛からない。あの刻からよりブラッシュアップさせて、fran、kana、mihoの魂を幕張の地に連れて来てくれた。

 強いから戦うのではなく、戦い続けるからこそ強くなれる事をきっちりと魅せ付けてもらえた。



 9.HI5でピースサイン/サニーピース


 怒涛の前半戦を終えここからLIVEは中盤戦に。サニーピースの五人である、菅野真衣さん、首藤志奈さん、高尾奏音さん、結城萌子さん、佐々木奈緒さんがステージIN。五人は登場してすぐに『wow wow wow wow~♪』と歌い出す。そして皆で歌ってとこちらに呼びかける。

まあ、どの楽曲は分からんがLIVE限定のアレンジバージョンでもやるのかな?うんうん、そういうのあるよな~なんてのほほんと思っておったら……どうにも違うらしい。


 この流れは……アンタらも予告無しの新曲ぶっ込むのか?!


 はい。サニピの新曲が予告も無しにぶっ込まれましたwwwそういや『SUNNY PEACE for You and Me!』から一年ほど新曲のリリースはされてなかったからそろそろ新曲発表あるんぢゃないの?と、コレ書いてる今の時点では考えが及ぶが、現地でいきなり予告無しでやられたら『マジか……』ってリアクションしか取れんわwww『やりやがったな…』って言葉が自然に漏れてた。

 肝心の楽曲のインプレッションだが、奇を衒う事の無いサニピ楽曲の系譜を受け継いだ楽曲に格好良さを付加させた様な新境地開拓的な楽曲。明朗快活な曲調にLIVE映えを意識された仕掛けが楽曲の随所に感じられるのはやっぱり安心できるモノ。台詞パートの怜の『抱きしめて』で無事に情緒が逝ってしまいました……

 それに、観ていて(聴いて)強く感じられたのは、力強さという要素をこれまでのサニピ楽曲より、前へ強く押し出した感じに聴こえた。野性的というか剥き出しの本能を曝け出したみたいな……それは無意識に出たモノなのかも。ここまでの軌跡をどうにか駆けて来られたという五人の自信の表れが歌声に乗っかっていたのだと思えてならない。

歌というのは嘘の付けないモノだと言われる。前述した剥き出しの力強さが出て歌声に宿ったのは自然な事なのかもしれない。



 10.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 サニピ楽曲の『アンセム・オブ・アンセムであり涙腺決壊必至楽曲……のはずだったんだが、今回のLIVEでは涙腺が刺激される事態にはならなかったんです。そうなった要因は、やっぱり観客が声出し可能になった事に他ならない。

 この楽曲もまた、他のサニピ楽曲同様でコール&レスポンス在りきの楽曲。この楽曲で声出せるのはこのLIVEが初めてになる。詞にある『一緒に歌おう』が遂に叶う瞬間。

観客の声が加わる事によって、楽曲はまた違った『貌』(かお)を見せてくれる。観客の『声』というラストピースが隙間無くガッチリとハマって…サニピ楽曲の『アンセム・オブ・アンセムが確固たる領域へ昇華した。それは…真に血が流れた瞬間と言ってもいい待望の刻でもある。
 
 進化を遂げた楽曲のチカラの強さは言わずもがなだが、そんな楽曲の強過ぎるチカラに対して、全く引けを取っていないサニピの五人が本当に強い。ここにもやはり彼女達の成長の証があって、当たり前の話だが、彼女達の成長も楽曲にちゃんと血を流す重要なファクターでもある。

強く輝きを増していくさくら達と繋がっているからこそ、触発されて負けられないという想いはキャスト側の五人の共通認識であるのはおそらく間違いないモノだと思う。そんな五人の等身大の熱い想いと魂が奏でた最高のハーモニーが聴けて、胸が熱くなっていったのは言うまでも無かった。

 

 11.サマー♡ホリディ/サニーピース


 声出し可、夏のLIVE……全ての条件はクリアし、サニピの『勝ち確定』ソングがここに完成した。
イントロが聴こえたと同時に、唸りを上げるかの様に湧く会場の熱気と雰囲気がそいつを証明させる。待ち望んでいたし、本当に楽しみにしていた心情が一気に爆ぜた。

 観客が演者の熱気溢れるパフォーマンスに刺激され、熱狂して興奮させられるように、演者側も、そんな観客のリアクションや声援に刺激され応えるべく更にパフォーマンスの質は上がっていく。サニピ楽曲はどれもそういった傾向が強いがこの楽曲はそれが一番濃い。

今回のLIVEタイトルに銘打たれた『PARTY=祭り』という点でも、サニピや観客も全員が一つになってこの祭りを楽しみ尽くそうという所で、全員揃って弾けて楽しめるのにこれ以上無い楽曲。まあ、盛り上がらないワケが無い。このDAY1の中で一番の盛り上がりを魅せたアクトだったと言っても過言じゃなかった。

 サニピの五人は心底楽しそうに伸び伸びと躍動して謳い、枷から解き放たれた客席も一切の遠慮無く声を出す。歌を聴く、パフォーマンスを観ると言うよりも、会場全体が融合していくエンターテインメントのカタチ。音源のみをいくら聴き込んでいてもこの熱気と興奮には絶対敵わない。

ハッキリ言ってしまえばもう異常な空間でした。でも、その異常な狂気と興奮が渦巻く空間こそが、今この刻のLIVEに参戦しているんだという実感をさせてくれるんだ。

 

 12.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 スタイリッシュ感満載だけれど、どこか物哀しさも秘めているヒロイックなイントロ…
これまでの月スト楽曲にはこういうイントロは無くて、ここまでの流れで散々やられて来たのでいい加減に察した。ああ、コレ月ストの新曲なのかって。でも、月ストも新曲をぶち込んで来るってのは完全に予想外だったが……

ヒロイックな曲調と称した様に、バトル系の作品の主題歌にそのまま使えそうな楽曲。個人的にこういったテイストの楽曲は大好物で血が滾ってくる衝動に駆られる。ファーストインプレッションは『裏と表』の前日譚か続編的な系譜で繋がっている『戦いの謳』だと感じた。

 リズノワ、トリエル、スリクス、そして、サニピがそれぞれの想いと魂と意地を魅せ付けていった。そいつに応えて負けない為には、橘美來、夏目ここな、宮沢小春、相川奏多、日向もかの偽らざる本気の想いと魂で戦うしかない。ここの決め所で彼女達がきっちりと戦えないとこのLIVEはコケる。

そんな自覚と覚悟を持ってステージに登場した彼女達。何だろうな……目には見えないんだけど、何か五人から漲って来る熱みたいなヤツが自分の肌に突き刺さって来て背筋がゾクっとした。ちゃんと戦う準備が彼女達は出来てるんだなと。

 ヒロイックでスタイリッシュな格好良さに負けない五人の歌とダンスに魅了され、月ストの所作の一つ一つに釘付けになって盛り上がったという人は多くいた事でしょう。自分もその内の一人。それはもう、パフォーマンスを観ると言うかは、月ストのパフォーマンスに圧倒されると言った方が正しいのかもしれない。勿論、彼女達のパフォーマンスで観る者を圧倒するチカラは、彼女達がここまで戦って来た経験に、積み重ねて来た努力と成長に裏打ちされたモノであるのは疑い様が無い。

五人全員凄かったのは言うまでもないが…特にインパクトが強烈だったのが夏目さんのソロパートだった。彼女の歌声が力強かったってのもあったが、マイクぶん投げて素の歌声で歌うんじゃないかって気迫が歌声に宿っていて『顔』で謳ってたと言ってもいい。夏目さんの傍らに、☆5カード『この瞬間の主役』の渚の姿がダブって見えたんだ。

 

 

 夏目さんがデビューしたての頃のインタビューにて、歌う事に苦手意識があると語られていた。
でも、あの刻と場では、歌う事が苦手と語っていた夏目さんが、聴く側が思わず息を呑んでしまう様な圧巻の歌声を響かせた。それは、夏目さんの弛まぬ努力は勿論、これまでの鍛錬や経験……総じて言えば、夏目さんの生き様と渚の生き様が歌声に宿ったのだと感じさせられた。

 

 13.恋と花火/月のテンペスト


 ノスタルジック&センチメンタル感が強い曲調に、五人のアンニュイかつ叙情的な歌声と情熱的なダンスとの緩急が見事な変態楽曲。(他に言い方無えのかオマエは…)この楽曲も月ストの成長に伴うカタチで強くなって来た。夏のLIVEでコレが聴けたっていうのは、安堵にも似た深い感慨を抱かせる。

単に色々なLIVEやイベントで歌って来た数が多いのもあるし、いつもとは違った表現のカタチで歌った経験もある。それをやり遂げた五人は確かな自信を得た。このアクトはそんな彼女達の自信に満ちた堂々としたパフォーマンスが見事だった印象。

『静』から『動』へのメリハリがバッチリ決まっているのがまた良くて、落ちサビでの情念溢れるエロ艶やかな宮沢さんの歌声と純粋無垢な日向さんの歌声は、この楽曲の世界観を司っている少女の心情を最も色濃く表現されていると思う。ここの二人のパートは音源で聴くよりもLIVEで聴くと歌声の重心みたいなモノが全然違って聴こえて自分がこの楽曲で好きな箇所だったりする。(※個人の感想)

 純然さと艶やかさを混在させて切なげに歌い舞い踊る五人の姿に、得も言われぬギャップを感じて視覚と聴覚が同時に撃ち抜かれていく。それは、この楽曲のテーマになっている夏の夜空を鮮やかに彩っていく月と花火を彷彿とさせる眩くて圧倒的な輝きを放っていた。ここでもやはり、月ストの成長の証が窺えた素晴らしいアクトだった。



 14.The One and Only/月のテンペスト


 楽曲への深愛の情と尊敬の念、五人のアイデンティティを証明出来る武器、伝えたい本気の想いと魂、唯一無二の輝きを目指す決意、魂が還る謳、全ての縁と時間軸に意味を持たせる『アンセム境界を超える対話の謳……

前にも書いたかもしれないが……この楽曲は、こういう楽曲だ!という明確な答えがおそらく存在しない楽曲。でも、確実に言えるのは、この楽曲は月のテンペストにしか謳えないOne offの極致に在る謳。

だからなのか、この楽曲をステージで謳う彼女達は、何か別のスイッチが入った様でもあり、もしくはリミッターが外れてゾーンに入った雰囲気を纏って、五人の歌声がとにかく澄んでて綺麗な歌声だった。自分がこの楽曲をLIVEで聴いたのは昨年の『約束』以来になるが、あの刻とはスケールが全然違っていた。

圧倒的な技量があったとしても、積み重ねた経験が豊富だろうと、月のテンペストの五人にしかこの『唯一無二』の輝きにはならない。彼女達はその領域まで『The One and Only』を昇華させた自負とPRIDEがあるのだろう。

 『The One and Only』は、本当に全てが圧巻だった……『月のテンペスト』の集大成がこの楽曲の中に詰め込まれていた。キャラクターが物語を駆ける中で成長をしている様に、キャスト側も確かな成長を見せている。挑む事を止めなければ、キャストもキャラクターに負けずに成長している。どちらの挑戦が止まっても成り立たない特別な物語がある。

 言葉にならない瞬間とはこの事なのかと思い、『The One and Only』の世界観に魂が囚われてしまったのだろう……最高の『切り札』にただただ息を呑むしかできなかった。



 15.Shock out Dance!!/LizNoir


 LIVEもいよいよ終盤戦へと突入。そのタイミングで再びリズノワさんがバックステージに登場。
PARTYはまだまだ終わらねぇよ!と言わんばかりの『熱』(ガソリン投入済)を纏っている。ここで持って来たのが、LizNoirの『アイコンソング』(象徴する楽曲)であるこの楽曲。

 今更書くまででもないが、今回のLIVEはフルメンバーの完全体・LizNoirなんだ。立川で観た愛&こころのバージョンや、横浜(昼の部)で観た葵のみいなかった三人バージョンも、激熱で強いレアなアクトだったが、やっぱり何か足りないってのはどうしても感じてしまった。

自分の中ではどうしても、中野で観た完全体・LizNoirに、徹底的にきっちりと打ちのめされた圧巻のアクトが脳ミソに焼き付いている。でも、万全の状態で臨めなくとも、いろいろなやり方でこの楽曲を謳い継いで想いを繋いでくれたのは、本当に有難かったモノだし感謝の念は尽きないのだ。
 
 また勝手な持論になるんだけれど……LIVEってのは『戦い』なのだ。現実のLIVEは作中のVENUSプログラムの様にアクトを採点して勝敗を付けるモノではないし、演者の中でも勝負していたとは口にはしていないだろうが、自分自身や共演(競演)に対してPRIDEをきっちり示したかどうかってのはあるはず。

 リズノワさんの後に登場した、トリエル、スリクス、サニピ、月ストが…それぞれの持ち味とPRIDEを込めて圧巻のアクトを魅せ付けた。そいつを観てこの人達が燃えないワケがないし、そこにリズノワさんの『アイコンソング』であるコイツの出番。

で…今回は中野では出来なかった声出し可のLIVEだ。あの刻とはまた違ったモノが観られるのは確実。しかも、もう出て来ないと思っていた所にまた出て来て観られるというブースト付きだ。あの場にいた数千人の視覚と聴覚に、いや、五感に『LizNoir』の存在をぶち込んで制圧する気でいる。理屈抜きの力押しでなぎ倒しに来てる問答無用のパワープレーだ。

 月並みな所感になるが、やっぱり『Shock out Dance!!』を謳うLizNoirは、ただ強かったし格好良かったとしか言えない……段違いの説得力で魂を鷲掴みされて握り潰された。

 

 16.月下儚美/月のテンペスト


 これまではグループごとに区切ったゾーンでセットリストが構成されてきたが、この終盤戦では、作中のライブバトルを再現したのかと思わせる。前のアクトでLizNoirさんがとんでもないアクトを魅せ付けてきっちり客席を激熱仕様にした所で…月ストにターンが移った。

そんな月ストが勝負を仕掛ける楽曲は、五人の『アイコンソング』である『月下儚美』。一番披露されて来た回数が多く、五人にとっても思い入れが深いだろうし互いの動きも分かり過ぎる程に分かっている。さっきからクドイ程書いている様にLIVEでこの楽曲を聴くと安心するモノだ。

リズノワさんの直後に月ストをぶつける。やっぱりコレは月ストへの試練なのだろう。
『Shock out Dance!!』の次に出てきたら嫌でも比較される。コレで客席のテンションが下がってしまったら月ストの負けだ。並んでしまった以上否応無しに戦うしかない。そして、戦う事で限界を超えて未知の領域へ踏み込む。

 自分が言うのもおこがましい話だが…今の月ストは本当に強くなったと思う。何なら、このLIVEで進化し続けている。そんな彼女達がグループの象徴であるこの楽曲を謳う。五人の感情と『我』が爆ぜて嵐を巻き起こす謳でもある。

音源では整っていたであろう部分も衝動で突き抜けていった。強く、どこまでも激しく……前述でここのセットリストの構成はライブバトルを彷彿させるモノと書いたが、彼女達はリズノワさんと戦っていたのではなく自分自身と戦っていたのではないだろうか。何処まで行けるのか?どこまで滾らせられるのか?それを各々が試す様に。

 それは、月のテンペストにとって原初の楽曲だから。彼女達にとっても無くてはならない掛け替えの無い楽曲だからなのだろう。単なる楽曲とそれを歌う者達という括りじゃない。共に軌跡を駆けて戦う『戦友』という関係性へと昇華した。

 成し得たのは、紛れもなく月ストの五人の剥き出しの本気と叩き上げの魂があればこそなのだろう。そう感じずにはいられなかった。それだけのモノを経てここまで来た事を魅せ付けられたから。

 

 

 17.Shining Days/サニーピース


 リズノワと月ストが、それぞれの『アイコンソング』を披露した様に、サニピも『アイコンソング』である『SUNNY PEACE HARMONY』を持って来るのかなと思いきや…この楽曲のイントロで腰抜かしそうになった。それは、頑丈な壁だと思って寄り掛かったら、それは壁じゃなくて薄い壁紙に突っ込んでバランス崩してコケそうになる感覚に似てる。(どんな例えやwww)

と言うのも、この楽曲サニピ楽曲では珍しく、テンポは緩やかで全体で盛り上がろう!という感じの楽曲ではない。激熱のアイコンソングでしこたまぶん殴られ、身構えて備えた所で見事にスカされた……この局面での急激な緩急の付け方は、より突き刺さって来る。

 サニピ楽曲の中では穏やかな楽曲と評したが、それはあくまでもメロディのみを捉えた解釈。
歌詞が紡いでいる世界観は、さくら達が抱いている不安だったり葛藤を乗り越えて、事態が好転するだろうという未来の刻に想いを馳せていく。

パフォーマンスにも、リズノワや月ストとの違いが明確に表れていた。明朗快活といったサニピのパフォーマンスの真髄は損なわれてなく、そこに可愛らしさと純然さいうエッセンスを盛る。特に、純然さ=ピュアな魂ってのはこの楽曲のキモになっている要素だと勝手に自分は思い込んでおる。

 その純然な歌声の象徴になっているのが、菅野真衣さんの歌声。彼女の歌声に引き寄せられる様に、首藤さん、高尾さん、結城さん、佐々木さんの歌声が折重っていって極上のハーモニーを奏でる。分かり易く熱を感じられるモノじゃなく、内に秘めた熱を彼女達は歌に乗せているのだろうと。リズノワや月ストと同じ攻め方はしないといった所に、サニピの意地とPRIDEがあった様に思わされる。

 

 

 18.Aile to Yell/TRINITYAiLE


 ここまでの流れ(リズノワ→月スト→サニピ)で、トリエルさんが出て来ないワケが無い。そんなトリエルさんは『アイコン』でもあり『アンセム』となるこの楽曲を惜しげも無く披露する。それは、このアンセムがトリエル楽曲の『エース・オブ・エース』という最高の『切り札』だから。

最後のピースとなる観客の声というブーストというバフを受けたトリエルさんはマジですごく強かった。(語彙力……)雨宮さんと瑠依、麻倉さんと優、夏川さんとすみれの背中に翼が生えてとんでもないスピードで羽ばたいた錯覚に陥る程に凄まじかったんだ……

 コレも、三年前の幕張のイベントでお披露目された楽曲。そんな始まりの地のLIVEでコレやらない選択は無ぇよな!!!って根拠の無い確信を抱き、そろそろ聴きたいと思っておった所で、勝ち確イントロと三人の歌声が来て、テンションが更に滾って鳥肌が治まらねぇからとにかく吠えた。
 
TRINITYAiLEのイメージ、更には、この楽曲に対して相応しい表現でないのは百も承知の上だが……このアクトで、確固たるアイコンとアンセムにきっちりと本当の意味で血が流れた瞬間と言っても過言ではないと思っている。その衝撃と佇まい、清廉潔白な三者三様の魂とPRIDEがあって、そこには何をぶつけても、瑠依・優・すみれの絆とPRIDE同様に絶対に揺るがないし壊す事は出来ない。

 透明感、澄み切った雰囲気を創造していくこの感じ、そこにきっちりと合わせて来る三人の凄さ。そこに安心して魂を委ねる事が出来た気がする。この楽曲が『アイコン』であり『アンセム』たる所以を思う存分に魅せ付けられた。でも、コレがこの楽曲の最高到達点じゃない事に頭を抱えるしか出来なかった。

 

 

 19.Bang Bang/ⅢX


 このクライマックスに設けられたライブバトルゾーンのラストを飾るのはスリクスさん。不穏かつ不遜で格好良い雰囲気満載で治安の悪さMAXな……スリクスさんの『アイコン』であるこの楽曲のイントロが鳴り響く。

どうしても、この楽曲のイントロを聴くと、『うおぉぉぉッ』って燃え滾るよりも、『おおぉぉぉッ…』って身構えて慄いてしまう。ただ、音源ではそうならないのでこの感覚はLIVEという特殊な場と刻ならではの感覚なんだろうな。

 コレは自分だけ勝手に感じたモノかもしれないし、幕張の地に参戦された人ならおそらく共感してもらえるってまた勝手に話を進めてしまうが……『Bang Bang』のイントロが鳴って、ⅢXがステージに登場した瞬間の身構えずにはいられない心理的な圧迫感……franとLynnさんが、kanaと田中さんが、mihoと村川さんがステージから何を放って来るのか?そいつを想像したら身構えずにはいられない。

 その予感は見事に的中した。そのエモーショナルの暴力の攻撃力がえげつなかった……エモーショナルの暴力という点ではリズノワさんと似た攻め方なんだけど属性が違う。

単純な力任せでガードの上からだろうとそのガードごと叩き壊そうとするのがリズノワさん。スリクスさんは、一点集中で相手のクリティカルポイントを的確に鋭く撃ち抜き瞬殺するイメージ。その違いが、燃え滾って興奮するのか。逆に、戦慄して鳥肌が治まらない感覚に陥るのかに分かれていくのだろう。

 さて、身構えてこのアクトに臨んだが、そんなモノは全く意味を成さなかった。鮮やかかつ正確な四方八方からの超精密射撃で我々のハートを見事に撃ち抜かれた感じ。徹底されたカッコ良さ、蠱惑的な魔性のチカラ、計算され尽くしたスキル……何かの禁則条約に余裕で引っ掛かるほどの禁忌の兵器に抗うには到底不可能だと思い知らされた。

 一分の隙すら無い圧倒的な場の制圧力。スリクスさんの掌で我々はいい様に転がされて、魂まで囚われてしまった。言うまでも無く諸手を挙げ白旗掲げて完全敗北だ……

 

 

 20.サヨナラから始まる物語/星見プロダクション


 この楽曲も、三年前の幕張のイベントで初お披露目された。ここまでの刻と、謳う10人と共に軌跡を駆けて戦って初めて歌ったこの地に帰って来た。

散々言っているが、LIVEで聴くと安心できる楽曲がある。この楽曲もそんな楽曲の一つ。
しかも、このクライマックスに置いている用兵の妙がまた素晴らしいエモーショナルな感動を呼んで来る。それは、この楽曲がちゃんと成長している事の証なんだろうなって。

来るって分かっていたが、それでも最高だと思わずにはいられなかった。予想と期待を遥かに凌駕していく感動のパフォーマンスがステージ上と客席の盛り上がりがあった。

キャラ側とキャスト側それぞれの物語の全てがあって、それが彼女達にしか謳う事の出来ない謳として昇華していったのだと思うと、またエモーショナルな感動で魂が揺さぶられる。

 これからのLIVEでも聴ける機会は多くなる事だろう。その時々で、彼女達が成長した姿でこの楽曲を歌い上げてくれるのか楽しみで仕方がない。

 

 

 EN1.Gemstones/星見プロダクション


 現実世界では、星見プロダクション名義の10人曲だが、作中では長瀬麻奈の楽曲。
麻奈はこの楽曲について『いつか後輩が出来たら一緒に歌いたい』と語っていた。刻が経って、その後輩の中に、妹の琴乃がいるとは当時の麻奈には想像出来た未来だったのだろうか……なんて勝手に想いを馳せてみたり。

 彼女達が必死に駆けて来て積み重ねて来た刻と経験は一つも無駄が無い意味のあるモノ。それが生き様となりちゃんと詞とメロディに乗っかって謳になっている。月並みな所感になってしまうが、10人の歌声が本当に澄んでいて綺麗だった。

この楽曲をモチーフにしたゲームのストーリーを見たからというのもあり、前回の『未来』で聴いた時よりも強く感情を揺さぶられる楽曲になっていたのが印象深かった。

 それに……長瀬麻奈の楽曲を受け継いで、始まりとなった幕張の地で謳う。10人にとっても意義のある事は勿論、麻奈と神田さんの事を忘れない為に…魂が寄り添って共に在る事を実感させてくれる。過去は否定せず在ったモノを無かった事には絶対しないと。

まあ、そいつはお前の錯覚と言われたら返す言葉は無いが……それでも、彼女達の想いと魂が宿った謳を受け継ぐ者としての確固たる意志と覚悟を示したアクトだったと思えてならないのだ。

 

 妄想と錯覚の域なのは承知で書くが、きっと麻奈の魂は幕張の地にあったと思っている……

 

 

 EN2.The Sun Moon and Sters/星見プロダクション


 あまりLIVEでは聴かないなと思ってたら、昨年の立川の昼の部以来だそうな。
『Gemstones』を除くと、LIVEタイトルである『PARTY』に偽り無しという具合に盛り上がる楽曲ばかりな構成だったので、『静』の極致にあるこの楽曲が差し込まれるとより響いて沁み渡っていく。

この終盤で聴くという場と刻のチカラも加味されているのだろう。それは、音がじっくりと沁みていって、やがて会場全体を優しく包み込んで音に抱かれる感覚を抱いた。この楽曲が創造する世界観にただ浸りたかったっていうのがあった。

 散々、このレポ内で言及して来たが、楽曲の秘めている領域を引き出せたのは謳う星見の10人の子達だ。気負いとかは全く感じられずいい意味で力が抜けた自然で純然な歌声になってた様に聴こえた。疲労ってのも影響しているのだろうけど、HIGHになってゾーンに入り込んでたかもしれない。それは、あのステージに立って謳っていた10人にしか分からないモノなんだろうな。

 ただし、それには謳う者と楽曲との対話が不可欠だ。彼女達はそれを真摯にやり続けてここまでの刻を過ごして来た。だからこそ、扉を開けてその先へ踏み込めたと。身勝手な妄想の域だが……自分はこのアクトをそう解釈させてもらった。



 EN3.それを人は“青春”と呼んだ/琴乃×さくら×瑠依×莉央


 橘さんと、菅野さんを残し……(注:ここら辺の記憶がほぼ無いwww)二人は、雨宮さんと戸松さんをステージに呼び込んだ(召喚)。この四人が揃ったらこの楽曲しかないなって。

 冒頭の四方山話でも触れたが『IDOLY PRIDE』というコンテンツが辿って来た軌跡と刻では本当に様々な事があった。それはキャスト側もキャラクターも一緒。琴乃と橘さん、さくらと菅野さん、瑠依と雨宮さん、莉央と戸松さんは数多の想いとPRIDEを胸に秘めて、この楽曲へ血を流していく。

この四人の(キャラの方)性格は違うが、根幹では似た者同士……不器用で頑固者だ。だからこそこの楽曲に血を流せるのかもしれない。器用に上手くやろうとしなくていい。ただ力の限り謳えと。

それは、この四人だけに限った話じゃない。他の子もそれぞれの中に譲れない想いとPRIDEを胸に秘めてアイドルとして生きている。ひいてはアイドルとしての『性』、いや…人としての『性』なのかもしれない。(…多分)

 で……ちょいと物足りなかったのは、今回披露されたのがワンコーラスだけだった事。
いつか未来の刻でのLIVEにて、この楽曲のフルバージョンを浴びて全身全霊を懸けて思い切り声出して燃え滾りたいモノだ。


 そんな未来の刻と機が巡って来る事を信じてる。

 

 

 EN4.友達だよいつの日も/琴乃×さくら×瑠依×莉央×fran


 ゲームリリース2周年を記念する各グループリーダー達による楽曲。
Lynnさんを呼び寄せ、始まりの地での凱旋の宴を締め括るLast actを五人で謳う。

この楽曲も長瀬麻奈と縁深いモノ。マネージャー(牧野)と三枝さんにこれまでの感謝を歌で伝える為に生まれた楽曲。当初は麻奈だけが歌うはずだが、麻奈の(強引な)提案によって遙子も一緒に歌う事になった感謝の謳。(細かく書くと長~くなるのでかなりざっくりだが……)

麻奈と歌う事が叶わなかった遙子はこの楽曲を、星見プロの現在を象徴する、琴乃、さくら、瑠依、莉央、franへと託した。そして……想いを託されたキャラクターの魂を背負い、キャスト側の五人である、橘さん、菅野さん、雨宮さん、戸松さん、Lynnさんの歌声が楽曲に血を流していく。

 この楽曲はこの凱旋LIVEのマストとなった楽曲だと思っている。ほぼ間違いなく謳われると分かっている楽曲。分かっちゃいたがいざ実際に参戦してその光景を目の当たりにすると、ただ聴き惚れる事しか出来なくなっていた。

いろんな事があって、乗り越えてここまで来れた。でも、ここからまた始まって突っ走っていく。全ての縁との巡り逢いの奇跡に感謝を告げる謳なのだと。言葉だけでは伝えきれない。大切な想いは全て謳に込めたんだって。

 そんな五人の歌声は、何の飾りっ気も無く直向きな純然さで、余計なモノが何も乗っかっていなくてスッと魂に響いて来て何か滾って来るモノを感じた。そういう曲調じゃないんだけど身体がそう感じた。現在の刻を全身全霊で生きるという事。そんな気迫が五人から漲っていたのだろう。


 言わずもがな、Last actに相応しい素晴らしいモノを魅せていただけた。

 

 

 あとがき


 終演して、感動が極まって放心状態の抜け殻になっておった所に二つの報が告げられた。

 

 


 IDOLY PRIDEとしては、初となる全国Zepp Tourが開催決定ッ!!
しかも、月ストとサニピだけで全国各地を転戦するチャレンジングなツアー。コレは運営サイドが『攻め』に舵を切ったのだと思えてならない。

そして、月ストとサニピへの課題でもあるのだろう。今後コンテンツを引っ張っていくのは貴女達10人がド真ん中に立つ事。更にはこの全国ツアーを成功させろと。

 

 

 そして、月ストとサニピのニューシングルリリース。収録曲はこの時点では一切不明だが、おそらくは、今回のLIVEでサプライズ披露された新曲なのだろう。これも非常に楽しみな所だ。


 そんなこんなで、会場から退場しても、このとんでもなかったLIVEの余韻が引くことはなく感無量で放心状態のままだった。このとんでもないLIVEが明日もあるのかと思うと、武者震いすると同時に戦々恐々としていたwww明日の事は取り敢えず考えないで、今は全力全開で楽しみ尽くした心地の良い疲労感にただ浸りたかったのは憶えている。


 で、そんな二日目だが……前日に抱いた予感は的中し、もっととんでもないLIVEになった話は後編として何とか書き殴っていこうと思っている。

 

 そして、こんなクソ長い怪文書(20800字……)をここまで読んで下さった皆様。本当にありがとうございました。