巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

終わりは始まりへの謳ーIDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda 参戦レポ・後編(夜公演)

 前回から引き続き、1月21日にZepp Hanedaで開催された『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』参戦レポになります。後編と銘打った今回は夜公演の参戦レポ。

 

 

LIVE本編の所感へ行く前に…前編のレポで省略した部分について書いていこうと思う。


 話は、昼公演前まで遡る。自分はある案件を遂行する為に割と早い時間に現地へ赴いた。
その案件とは何か?以下に貼ったX(旧Twitter)の催しに参加する事と、あるブツを受け取る為だった。

 

 



 FINALに出演される『月のテンペスト』のメンバーを演じられている『ミュージックレイン3期生』に向けての激励と応援メッセージの寄せ書きを募集されているイベントに参加して来た。それと、昨年末のコミックマーケットに出展され、俺の怪文書が載ってしまった『ミュージックレイン3期生』のファンブックとなる『日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winter』を受け取った。

メインはこの本の受け取りだったが、折角来たので自分も寄せ書きに一筆したためました。で、このファンブックの細かい所感はまた別の機会に記事にしようと思っているが、自分の記事はさて置いて……3期生への熱い想いと愛情が詰まっている素晴らしいファンブックだという事は、取り急ぎ伝えておきたい。


 まあ、四方山話はここいらで切り上げて、サニーピースと月のテンペストが、駆け巡った未知の旅路の終着点となるHanedaの夜の部の『戦い』の記憶を書き殴っていく事にする。

 

 


 1.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 札幌と名古屋では『SUNNY PEACE HARMONY』がオープニングアクト。で、 『Shining Days』→『EVERYDAY! SUNNYDAY!』が最初のブロックでの順番だったらしい。ここでの詳細な言及は敢えてしないが、この順番はアニメ版での登場順になる。

彼女達の真意は、LIVEが終演してこの参戦レポを書き殴っておる時点でも、まだ分からないので完全な私見と妄想の域で書いていくが……『IDOLY PRIDE』とサニーピースにとってもこのTourは初めての事。そんなTourだからこそ、サニピの軌跡を思い返す様な意味合いを込めたのだろうと思える。

で……この楽曲『EVERYDAY! SUNNYDAY!』をFINALの初手に持って来た意味。まあ、単純に盛り上がれる楽曲で、火付けに相応しいのは言うまでも無い。現に昼夜公演、どちらもめっちゃ盛り上がってサニピの『アンセム』としてまごう事無き強さを発揮していた。

 しかし、ただ楽しく盛り上がるだけじゃ『アンセム』とは呼べないと勝手ながら思うのである。
この楽曲がアニメ版でどういった役割を果たして『アンセム』として昇華出来たのか?いろいろな要因はあるのだけれど、決定打になっているのが……川咲さくらの真の謳声で謳う初めての楽曲。即ち、自立と新たな門出への決意がこの楽曲に血を流している。

そんな楽曲を、サニピはFINALの初手に持って来て勝負を賭けた。Tourで巡って来た旅路を往くと共に、サニピの軌跡に想いを馳せてFINALへと繋いで来た。その過去の記憶には置き去りにしてしまいたいモノもあっただろう。キャラクター側もキャスト側にも……

 でも、そんな過去があったからこそ、今のサニピが強く眩しい輝きを放っている。
過去を受け入れているからこそ、未来の刻へ向かえるチカラがある。だから『今が 最高のハーモニー』と力強く謳えるのだと。

 

 

 2.SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 新たな門出のアンセム『EVERYDAY! SUNNYDAY!』からサニピ集大成の『アンセム』となるこの楽曲へ至る流れの展開に物語性を感じた。この二曲は、サニピの物語のクライマックスを飾る楽曲というインプレッションを抱いている。

『今までと これからが繋がっていく 今は そんな旅の途中』と詞にある様に、この楽曲のテーマの一つになっているのが『旅』だと思っておる。そして、彼女達の旅の同行人としてファンの皆がいる。昼の部の参戦レポでも触れているが、Aメロで感じられる叙情的な雰囲気は、まさにサニピの旅を模していて我々も共に旅路を往くみたいな。

 没入感、世界観に惹き込むチカラと言えば良いのか。サニピのそれは、今更な話だがこのTourを経て明らかに進化を遂げていた。サニピと一つになる感覚と評される楽曲ではあるのだけれど、あくまでも作中での話。

でも、彼女達は現実に再現して我々の魂を惹き込んで熱狂させた。いろいろ模索して、この旅路で挑んで試していった。その成果とFINALという場での相乗効果によって、更にクオリティの高いステージングを形成する事が出来たのだろう。

 さくら達が作中でこの楽曲に血を流そうと奮闘した様に、キャスト側のサニピも負けない為に並ならぬ努力を形にして成果を掴み取ろうと戦った。その『答え』は、Hanedaの地と刻での興奮と圧倒的な楽しさだった。そう、勝ったのはこの『10』人なのだと。それだけの物語と想い、そして…サニーピース『10』人の成長が詰まっているのだと改めて思えた。

 

 

 3.Hi5でピースサイン!/サニーピース


 サニピの物語・新章のOPテーマではないだろうかと勝手に思っていたりする。楽曲のテイストもそっくりそのままOP楽曲に使えそうじゃないか。(個人の感想です)昼の部のレポにサニピのNext Journey(次の旅)を彩ると評したのはそういう事なのだ。

サニピの『アンセム』の系譜にある楽曲なんだけど……いやいや、お前昼の参戦レポで盛り上がるとか云々言ってたぢゃねえか!とお怒りになる方しかいらっしゃらないだろう。現に、皆でシンガロングするパートもあり、サビ前の怜(結城萌子さん)の『抱きしめて!』や、千紗(高尾奏音さん)の『信じてる!』の後で、『うおおぉぉぉぉッ!!!!!』と轟く雄叫びは昼夜共に凄まじいモノがあった。

 でも、夜公演で感じたインプレッションはそうじゃなかった。ちなみに、夜公演は1Fでかなり後の方で観ていたってのも影響している。(反対に昼はめっちゃ前の方だった)意識していたワケではないが、聴く事に集中出来ていたからこそ、新しいインプレッションを抱けたのだろう。

さくら達は、とにかく前へ前へと突っ走って『BIG4』の座に就いた。立場と取り巻いてる環境が変わって、彼女達は不安に苛まれたのだろう。歌詞を紐解いてみるとそう感じられる要素があったりする。どちらかと言えばこの楽曲、サニピから皆へという想いもあるけれど、メンバー同士に向けての要素が濃く在る内省的な『アンセム』であり、初心、魂が還れる楽曲なんだろうなと勝手に思ってしまった。

 それは、キャラクター側だけではなく、キャスト側のサニピも純粋に願ってパフォーマンスに想いとPRIDEを込めた。そんな彼女達の想いと魂を感じつつ…応えてあげたい。初心に立ち返りながら、更に未来の刻へ踏み出す勇気をこのアンセムは与えてくれるのだと。

 

 

 4.Question/月のテンペスト


 激熱で楽しさ満載の雰囲気を創造していったサニピのアクトから一転、昼の部参戦レポでも言及した様に、落ち着いて沁み入るこの楽曲でエモーショナルの落差をつけていく。

LIVEにおいて、盛り上がる系統の楽曲で繋いでいくのも勿論クソ楽しいが(言葉を選べ…)雰囲気が違う楽曲で、エモーショナルの落差をつける事によってよりLIVEへと没入させるのもまた良い。昼の部とはまた違った攻め方に改めて舌を巻く。

 個人的に、音源で聴いた時とLIVEで観た時のインプレッションが大きく変わった楽曲の一つ。(昼のレポで書き忘れたのは内緒www)音源のみは、前述した様に、落ち着いて沁み入る様に聴き惚れる楽曲。で、実際にLIVEで謳われて創造していった雰囲気は、コールやらクラップが入った事で結構盛り上がれる楽曲へ進化していた。

しかし、コールやクラップでリズムを刻んだとしても、それが楽曲を進化させる大きな要因ではなく、あくまでも数多ある要因の一つに過ぎない。最も肝心なのは謳う者の想いと魂とPRIDE。そいつが楽曲に血を流していく。

 Tourの直前にリリースされた新曲。しかも、月ストにとっては新境地開拓的な要素もあった。
どうやって魅せていくのか注目されていただろうし、彼女達もいろいろな魅せ方を模索して挑んで来たと思う。大阪と福岡でのパフォーマンスがどうだったのかは俺には分からない。ただ、Hanedaでの盛り上がり方と、彼女達が魅せ付けた年齢数字的な意味ではないOTONAのパフォーマンスが、この時点での『答え』なのかもしれない。


5.Daytime Moon/月のテンペスト


 このTourで(俺はHanedaのみの参戦だがww)インプレッションがガラッと変化した楽曲。昼の部でも感じたが、このアクトがもたらした熱狂は一つの完成形なのかもしれない。

『Question』の柔和で淑やかに聴き惚れさせた(盛り上がってたが)雰囲気から一転して、ポップでキュートな雰囲気を纏い場を制圧しに来ていて五人それぞれの歌声が本当に可愛い♪(彷徨う語彙力……)まあ、ものの見事に熱狂し、可愛らしさに撃ち落された……

 おいおい……熱狂してクソ楽しかった昼の部と違うインプレッションになってしまったじゃないか!と、このアクトを堪能しつつ狼狽えまくっておったが、コレもまた月ストの魅せ方という引き出しのキャパが広がった成長の一端なのだろう。

 一応、自己弁護という言い訳をしておくが…観る場所と聴く場によって感じられるインプレッションはやっぱりいい意味での差がある。このアクトだけに限った話ではなく、夜公演全体でそれを改めて感じられた。このTourが、彼女達にとってここ一番の勝負時で、なおかつ最も輝いている刻なんだなってのがパフォーマンスからビシバシと伝わって来た。

 夜の月とは違う新たな輝きを彼女達に魅せられたと言っても過言では無かった。今更気付いたのか?というツッコミは右から左へとスルーで……

 

 

 6.裏と表/月のテンペスト


 LIVEで『裏と表』のアクトを観て聴く際、どうしても感じてしまうインプレッションがある。
それは、キャストとキャラクターが境界を超えて、双方が退けない戦いを繰り広げているという事。

またコイツはアホな事いってやがるな…と思われるでしょうが、コレはもう拭う事の出来ないモノとして俺のインプレッションに刻まれてしまったのでどうにもならんのでこのまま突っ走りますが……そもそも、この参戦レポが俺のアホな言葉の羅列で書き殴ってるモノだしwww

 話は戻って…この楽曲を謳っている彼女達は、琴乃達のPRIDEが表に出る時もあるし、3期生のPRIDEがより表に出て来る時もある。それは、音を正確になぞって謳い、振りを正確に踊るだけではおそらく駄目なのだ。共に寄り添う関係性でもあるし、負けたくもない。でも…この子となら行き着く所まで踏み込んで応えてくれる無心の信頼もある。

ステージの上ってのは一切の誤魔化しはきかない戦場。そこで謳われる楽曲もまた嘘の付けないモノ。きっちりと戦う為には、剥き出しの本能と生き様…全身全霊を懸けられるか。勿論、模範解答なんて無い。どれだけ彼女達が意地と覚悟と『我』を貫き通せるかがこの戦いの行方を左右する。

キャストとキャラ側のどっちが『裏』か『表』かは分からんが、このアクトでは無骨というか何か形振り構わない剥き出しの本能が爆ぜた様な凄みすら感じてしまう。繰り返しになるが、彼女達10人が数多のモノと戦っているからだろう。キャストとキャラクターという関係、Hanedaの地に共に立つサニピ、そして…過去の彼女達を超える事。誰が際立っていたワケじゃなった。皆それぞれがきっちりと戦えていた。

 キャラクターソングとして、演者の我が剥き出しになり過ぎてる感は正直あるし、そいつはどうなんだ?といったインプレッションもあるだろう。それでも…俺の個人的な意見だがそれで良いと思っている。もう、ミュージックレイン3期生と琴乃達は切っても切り離せない縁へと昇華してしまったのだ。

 

 

 7.もういいよ/川咲さくら


 ステージに登場した菅野真衣さんが謳い出したと同時に身構えた。そして、察した。昼の部は琴乃のソロ楽曲からソロ&デュエット楽曲ゾーンの始まりだったから、夜はさくらのソロ楽曲で来るだろうって。ただ…来ると分かっていたけれど、やっぱり…身構えて受け止める覚悟を決めなければならない。


 このアクトを単純に評してしまうと…ただただ、川咲さくらと菅野真衣はバケモンだったってのを骨の髄まで徹底的にきっちりと思い知らされたのよね……


 後のMCで菅野さんが『もういいよ』という楽曲は、さくらのソロ楽曲ではあるんだけど、もう一人のさくらと一緒になって謳うデュエット楽曲でもあると仰っていた。それと、コイツは俺の勝手な解釈でもあるんだけど……川咲さくらと菅野真衣による魂の対話の謳であり、もう一人の菅野真衣との対話の謳でもあると。

確かに、ステージで一人立って菅野さんは謳っているんだけど、どこか現世であるZeppから隔離された様な空間で歌っている錯覚に陥ってしまった。いる様でいないと言えば伝わるのか?(伝わんねえかな……)その創造した領域に観客の魂を囚えてしまう菅野真衣の表現者としての凄みがあった。

昨年のアイプラLIVE『未来』で披露した刻の『もういいよ』もとんでもなかったんだけど、今回体験したモノはそれを遥かに凌駕していた。もう完全に彼女の意識と魂は所謂『Zone』の領域に踏み込んでおったんだ。元々、菅野さんの歌声にはチカラと溌剌さがある人。素の状態の歌声でもスゲェのに、限界を超えるZoneに入ってる時は本当に手が付けられない。

 対話の謳と菅野さんが称した様に、優しく語りかけるかのように音と言葉を紡いで見事な謳を響かせる。もう、あらゆるモノが介入する事を断固として許さない彼女達だけの誓いと対話の刻。その極みにあるのが2番サビ後に訪れる静寂の刻……で、そこが明けてからの菅野真衣の血の流れる魂の絶唱はマジで凄く強かったんだ。

それは単に聴き惚れるなんて優しいモノじゃなかった。凄みで圧倒して強引に制圧しに来る様な殺気が漲っていた。まるで、私達の対話と誓いの儀式は誰にも邪魔はさせない!というさくらと菅野真衣の意地とPRIDEが彼女達の魂の絶唱に血を流したのだろう。

 俺の観ていた場からステージに立つ彼女はハッキリとは見えなかったが、何か菅野さんの身体から迸っている『氣』は感じた。観る者、聴く者を強引に納得させてしまったそのキレっぷりと説得力に驚嘆し、畏敬の念まで抱いてしまった。

 

 

 8.drop/兵藤雫


 そういうイントロじゃないんだけど…何か聴いた瞬間と彼女のイメージカラーである緑の心の光が灯った会場を見て感極まってしまって、俺の涙腺が第二次臨界点を突破してしまった。多分、この楽曲も遙子の『voyage』同様に、LIVEで聴いたら涙腺決壊楽曲になるのが確定された瞬間でもあった。

この楽曲について首藤さんは、(細かく書くと長くなるのでざっくりと…)普段は自己表現が苦手な雫が、歌という依り代を纏って想いを吐露していく楽曲だと仰っている。首藤さんの言にある様に、メロディを忠実に追って歌い上げるのでなく語っている様に聴こえるのは、そういった特性だからなのだろう。

 『しずくが弾ける』という詞があるが、この謳は雫の変わろうとする想いと覚悟の謳。
楽曲がいいってのは至極当然な要因の一つなんだけど、現時点までで断片的に語られて来た雫の過去とバックグラウンド……幼い頃から憧憬を抱いたアイドルになる夢を、お前にアイドルは向いてないと一蹴されて嗤われた。

でも、雫は絶対に諦めなかった。そして、勇気を振り絞って扉を叩いて踏み込んだアイドルの軌跡には、彼女と同じ夢を抱いた子達がいて、ソロ楽曲との巡り逢いも果たせた。そして…この地と刻にいる人達は全員雫の味方なのだから。その彼女が大観衆の前で特別な想いを抱くソロ楽曲を謳う。あんた、こんなの見せられたら涙腺ぶっ壊れて決壊するのは当然ぢゃないか……

 雫が溜め込んでいる想いを解して語りかける様な歌声を、首藤さんの絶妙な塩梅でより楽曲に深みをもたらしていく。ちょっとたどたどしいけれども、どこか雄弁な彼女の謳はこちらの魂へと突き刺さって来る。雫のアイドルとして懸ける生き様とPRIDEが凝縮されているかの様だ。そんな歌声に聴き惚れないワケがないんだ。

 

 

9.ちいさな物語/白石千紗


 さくらのソロ『もういいよ』で感嘆と畏怖の念を。雫のソロ『drop』で涙腺が決壊。
そして、千紗のソロ楽曲へと畳み掛けられる。もう、いろんな情緒がぶっ壊れそうになった…

さくら(菅野さん)と雫(首藤さん)が凄い(語彙力…)パフォーマンスを魅せた。千紗と高尾さんもそれに遅れをとるワケにはいかない。言わずもがな、このアクトも非常に強かった。

 千紗のアイドルの軌跡と抱いている想い。抑えきれない憧れに一歩踏み出す勇気と変わりたいという覚悟を力強い雰囲気の歌詞と歌声。曲が進行していくごとにまるで階段を昇っていく様な盛り上がり方。切ない部分もありつつ、サビで一気に爆ぜていく千紗の激情。

ちょいと背伸びしている感もあり、時にあざとさも出しながら、純粋に理想を追い求めて戦っている白石千紗のPRIDEと生き様が集約された楽曲。で…そのあざとさのある歌声がめっちゃ印象に残っていて聴覚と脳ミソが焼かれる感覚に陥ってしまったのだ。実にあざとい。あくまでも個人的主観だが、千紗の計算じゃない無自覚ないい意味でのあざとさを高尾さんが本当に上手く引き出してる感じか。

 何よりも凄かったのは、そんな千紗の想いとPRIDEを生々しいまでの高解像度で我々へぶつけて来た高尾奏音の表現力には脱帽させられてしまい本当に成す術がなかった……


 
 10.風になっていく/白石沙季


 さくら、雫、そして…千紗。三連続でとんでもないアクトを魅せ付けられた後でステージに立つ宮沢さんと沙季の心中はいかほどのモノか?まあ、穏やかなモノではないってのがすぐに思い浮かんでは来るし、緊張なんてもうピークを軽く超えてたってモノじゃないだろう。

それでもだ。宮沢さんと沙季にはステージに立たないという選択肢は与えられていない。彼女達の『今』の全身全霊と叩き上げの魂を懸けて戦うしか道は無い。彼女達を駆り立てるのは一体何なのか?もう、なる様にしかならないって逆に吹っ切れたんじゃないかって。沙季からしたら千紗には負けてられないという想いがあるだろう。

沙季も宮沢さんも器用な性格じゃない。どちらかと言えば不器用な子達。でも、彼女達を守ってくれるモノはステージの上には一切存在してないし慮る優しさも無い。剥き出しの本能を曝け出した一人の表現者と一人のアイドルとして戦うしかない。

 さて、楽曲自体の話だが……どこかアンニュイで幻想的な雰囲気を纏っているテイスト。おそらく、沙季の揺れ動く心情と憧れを模したモノだろう。そこに宮沢さん=沙季の儚げで凛とした歌声との親和性が実に見事な楽曲に仕上がっているというインプレッション。

ただ…あの場と刻でのステージで彼女達が魅せたのは、これまで抱いていた幻想的で儚げというインプレッションは見事粉々に打ち砕かれてぶっ壊された……月ストでのアクトでもそうなんだけど、LIVEという場で謳われる時の宮沢さんは情念を曝け出した様な力強い歌声で謳う事が多い。(個人の感想)おそらく、意図してじゃなく無意識で入っちゃってるんだろう。

 宮沢さんと沙季を性格的に不器用だと前述にて触れたがもう一つ共通しているモノがある。それは、彼女達が『こうするんだ』って覚悟と腹を括って踏み出した一歩の力強さと加速は本当に凄まじい人だと思っている。それは、このアクトでの宮沢さんの情念溢れた滾る様な熱い謳声がそれを物語っていた様に思える。

限界に挑んで超えた者達による本能と我の覚醒。その強さと凄まじさを宮沢さんと沙季の魂は確固たる存在感となって魅せ付けた。歌いきって佇むその姿は『威風堂々』と称するに相応しいモノだった。

 宮沢さんによって、魂を吹き込まれアイドルとして存在出来た沙季と、沙季の存在によって挑戦できる機を得た宮沢さん。宮沢さんはこのソロ楽曲のみならず、このTourでどれだけ沙季の魂へ寄り添えて共に戦えるかを考え抜いて動いて来た。その成果が会場を滾らせた熱狂へと繋がった。

 宮沢さんと沙季は本当に良い人と巡り逢えたんだなと感じさせるアクトでもあった。

 

 

 11.ココロDistance/一ノ瀬怜×早坂芽衣


 昼に披露された白石SISTERSの『つながる心Binary』と同じく、FINALで披露される確率が極めて高いと踏んでいた楽曲。おそらく、Hanedaの地に馳せ参じた方々は確信を抱いていたと思われる。

クールでスタイリッシュ感満載のメロディからの…結城さん&日向さんの『『私 見てる』』の歌い出しで、『うおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』と戦の前の勝ち鬨にも似た雄叫びがZeppに轟いた。それだけこの楽曲が披露されるのを待ち望んでいた事の証明なんだなと感じさせた。『MACARON DONUTS』の再臨だ。

ここまで求められて熱狂させられてしまうのは、この楽曲のクオリティ自体が非常に高いモノだし、結城萌子と日向もかの優れたパフォーマンスへの期待感から来るモノ。

 期待通り、いや、前回披露の時よりも結城さんと日向さんのパフォーマンスと歌唱がとんでもなく洗練されて仕上がっており本当に圧巻だった。バチクソに格好良く、官能的なエロ艶やかさで観客の視覚と聴覚が見事に制圧され魅せられてしまった。エモーショナルの暴力の三種盛りを受け止めるのは人類にはまだ早すぎる…いや、ヒトの感覚でアレを受け止められるモノではないのだろうという事もきっちりと思い知らされたwww

 と、まあ……見事に魅入られて落されたワケだが、成し遂げられた結城さんと日向さんは本当に凄かったの言に尽きる。『ココロDistance』の3DLIVE映像を観れば分かるが、怜と芽衣のダンスのキレっぷりは異常なまでに動きまくる。

初披露されると告げられた時『これまさか、本物の人間が踊らないよね?』と結城さんは驚愕されたと聞く。うん、分かるよ。生身の人間にアレをステージで再現できるのか?って思うよそりゃww
ちなみに、リズノワさんとスリクスさんの楽曲にこういう傾向が多々見られるwww

 この楽曲でキモとなってると思うのは怜と芽衣の本気。あくまでも妄想の域でしかないが……何にも縛られないで踊った怜に付いていけてちゃんと合わせられるのは、星見の10人では芽衣しかいないと思う。いやいや、ゲームの撮影機能では誰でもバキバキのキレキレで踊ってるぢゃないの?って野暮で無粋なコメントは聴く耳持たんぞ。
 
それこそ、自分はここまでアゲていく。ついて来るかどうかは任せる的な限界を超えようと、怜は踏みこむ。芽衣は何の躊躇無く踏み込んでいくんだろう。何故なら、怜の事が本当に大好きだから。そこに深い理由は要らんのだと。

 怜と芽衣の本気に、結城さんと日向さんも本気で応えた。じゃないとこのアクトにきっちりと血は流れない。ただ、生身の人間に寄り添える限界ってのはどうしても存在する。それでも、限界を超えようと彼女達は踏み込んだ。その答えが、昨年のアクトを遥かに超えた興奮と熱狂だった。

 

 

 12.shiny shiny/早坂芽衣×成宮すず


 結城さんは去り際にこう言って、次に出て来る者へと想いとPRIDEを託した。


 『すず!後は任せたわよ!!』と。(注:正確な台詞かどうかは忘れた…)


 記憶が確かなら、今回のLIVEではキャラによる掛け合いみたいなヤツは無かったはず。
こういう繋ぎ方は本当にエモーショナル…いや、エモい。ここはエモいって表現した方が多分伝わると思う。まあ、怜×芽衣×すずのトリオという組み合わせが何よりもエモい。この三人は何かと絡む機会が多いからそれも相まっている。

それはさて置き……女神様(結城さん)の召喚に応える形で、颯爽とステージに登場した相川さん(withすず)。そして、そのままステージに残っている日向さん。このコンビによる楽曲はもうあの楽曲しか無い。ただ……日向さんはデュエット連投というアイプラLIVEでは初めてのケースに臨む。

 彼女達に課せられたミッションはいたって単純だ。きっちりと盛り上げてソロ&デュエットゾーンを締めろと。開幕を盛り上げるのも大事だが、きっちりと締めるのも非常に大事なモノ。 幕張のVENUS PARTY DAY2で彼女達は開幕の火付けという大役を見事にやってのけた。そして、今度はゾーンの締めという大役を日向もかと相川奏多に託した。成功事例があったからこそ託せるのだと。

ただし、このソロ&デュエットゾーンってのはこのTourにおいての目玉みたいなモノで、しかもFINALでの締めだ。不安要素が一切ないワケじゃない。このアクトだけが見劣りした時点でここまで築いて来たモノが一気に瓦解してこのLIVEも死ぬ。

 でも、そんな数多の不安要素が渦巻くプレッシャーを、軽やかで爽やかで賑々しく躍動していく相川さんと日向さんのパフォーマンスが一掃していく。相川さんのパフォーマンスが凄かったってのは言わずもがなだが、ここは日向さんが魅せた表現力の幅広さとオールラウンダー性が抜群の輝きを放っていた。これまたある意味限界を超えた者にしか出せない強さなんだろうな。

日向さんの輝きに照らされて、Fantasista・相川奏多の輝きも一層強く輝いていく。それは、いろんな不安要素をグダグダと考えてたのがバカバカしい位に眩しかった。そんな眩しい輝きの虜にさせられて、クソ楽しかったのは言うまでも無いだろう。

 

 

 13.全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 夜の部もいよいよクライマックスへと移行して、再びグループでのアクト。
これまでを懐かしみつつ…これからの未来へ駆け出す為の勝利のカウントダウンが始まる。

これまでの軌跡は楽しかったけど、楽しい事ばかりじゃなかった。それも彼女達が得られた『宝物』だった。無意味で不必要なモノなんてなかった。そして、新たな一歩を踏み出して未来の刻へ新たな夢が始まっていく事を謳い、『ありがとう』と『大好き』という純然な感謝の言の葉で彩っていく。

 圧倒的な輝きを放っている五人なんだけど、この楽曲を謳っている時はどこか暖かくて安らぎすら感じてしまう。それは、さくら達が輝きがもたらしてくれる暖かみや安らぎの意味を実感しているからこそ謳に想いを乗せられるのだろう。

ここまでの旅が終わり、これから始まる未来への希望を繋げて歩んでいく流れが、これからのサニピがどこへだって行けるという決意表明の様に感じられた。

 

 

 14.SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース


 勝利へのカウントダウンが無事終わって旅立てたら、もう一度あの頃…即ち、初心に立ち返って叩き上げの魂を呼び醒ます。各々が輝く事ももちろん大切だけれども、やっぱり、五つのPEACEが合わさってしか放てない輝きが存在するのだ。

 自分が初めてアイプラLIVEに参戦したのは、二年前の中野で開催された『奇跡』。その時もこの楽曲は披露されたが、当時はアイツの所為で……その対策の為数多の規制が設けられて観客の声出しは御法度だった。

そして、昨年のアイプラLIVE『未来』では、規制が緩和されて観客の声出しが叶い、この楽曲で一緒に『サニピ!サニピ!』と叫べたのは本当に嬉しくて仕方なかった。で……このTour(俺はFINALのみ参戦だがww)で更に強く進化した原初の楽曲は、昼同様にただただ強くてクッソ楽しかった。

 観客の歓声と染め上げられたオレンジの光を浴びて謳う五人は、観客に負けない程に楽しみ、力強くて可愛らしく自信に満ち溢れてパフォーマンスを魅せ付ける姿は、『BIG4』としての強さを誇示している様でもあった。

でも、『BIG4』だからといってこの楽曲が強いワケじゃない。サニピのアイデンティティがふんだんに詰まっていて、彼女達の魂が原初へと還れるからこそ、この楽曲はサニピの『アイコンソング』として輝ける。

 

 

 15.Let's Go! Let's Go! ピース! ピース!/サニーピース


 このTourで解禁されてしまったサニピ禁断の兵器wwwコイツが来てしまったら、脳ミソを締めてる理性のネジを全部緩めて、一切考える事を放棄してひたすらに感じて楽しみ尽くせと。偉大な名優・ブルース・リー先生も仰られていた名言である“Feel it”(考えるな、感じろ)の精神で臨む。

いろんな理屈並べてこのアクトを解析しようとするとエモーショナルと可愛らしさの暴力によって脳ミソが見事に焼き尽くされてしまうのよ……コレはそういうモノなのだと昼の部で充分に思い知らされた。

 これまで、いろいろなあたおか(褒め言葉)な楽曲と巡り逢って、LIVEで直に聴いて来たが、この楽曲は群を抜いて化け方と進化の過程の速度が異常過ぎる……コレは、アイプラ楽曲のみの括りじゃなく、自分の知っておる界隈の楽曲全部含めての括り。

この楽曲はその上位に来てしまう程の変態楽曲。やっぱり、サニピの五人はとんでもねぇ子達だったんだなって、ドキドキ感とワクワク感を抱いてしまったのだ。

 そんな楽曲を謳って魅入られているZeppの空間はまさに狂喜乱舞している異常な空間。
全身全霊を出し尽くして楽しむだけのモノしか用意されてない。本当に骨の髄まで出し尽くす事を我々に求められる。ある意味で、皆と一緒に繋がりたいというサニピのエゴが爆発しているとも言っていい。

サニピと我々のはしゃぎたい想いと魂が激突して、アクトを観るというよりは会場全体が融合するというエンターテインメントとして昇華されてこの楽曲は今回のTourで完成されてしまった。

 

 

 16.月下儚美/月のテンペスト


 未知の領域となる今回のTour。そして、FINALの最終ゾーンを締める大役を任ぜられた月スト。
そんな彼女達が選んだ楽曲は、原初の楽曲であり『戦友』でもある月ストの『アイコンソング』であるこの楽曲。

勝手な推測と妄想の域だが、五人…いや琴乃達もその『戦友』であるこの楽曲にこんな想いを抱いていたと思っている。『私達にとって大切な始まりの楽曲』であり『私達にとって無くてはならない存在』であると。月ストと『月下儚美』はいかなるモノでも引き裂く事の出来ない血の繋がりよりも濃い絆で結ばれている…そう思えてしまうのだ。

ステージ上で、叩き上げの魂と荒れ狂う激しい嵐の様な闘志を漲らせて原初の楽曲謳って踊る五人の姿は、力強くて誰よりも自由だった。五人五様の『輝く事』と『咲かせる事』の意味をパフォーマンスの挙動に乗せていたのかもしれない。彼女達の勝ちたい想いと生き残ってやる!という執念がそれを成し得た様でもある。

 必死で挑んで戦って乗り越えられたという成果が、月ストを強く逞しくした。サニピがあの五人でしか出来ないパフォーマンスで戦った様に、月ストのこの五人にしか出来ないパフォーマンスで戦う。未来への道が無きゃ作ればいい。遮るモノなんざ薙ぎ払ってでも突き進む気概を魅せ付けた。

 

 

 17.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 ほぼ間違いなく来る事が分かっていた楽曲。分かっているんだが、悲壮感がありながらもどこか勇壮的なイントロが聴覚に飛び込んで来た瞬間に心拍数が上がって血が滾らずにはいられない。

この楽曲が持つチカラと、すず、渚、沙季、芽衣、そして、琴乃が抱えている…鬱屈した何かを破壊しようとするチカラがこの楽曲を『アンセム』へと昇華させた。夜公演はそういった暴力的な激しいモノが彼女達のパフォーマンスに血となって流れていた。

 今のこの瞬間の刻を全力で生きる事。過去や未来はこの際関係ない。この瞬間を最高にするにはそれしかない。ステージの上の五人は圧巻だった。解き放たれていたのだろう。数多の想いを溜め込んで、臨界点を超えて一気に爆ぜさせた。

そんな想いを背負う形になっているのが、何度も言っておるが渚のソロパートでの顔で謳う絶唱だ。何度聴いても、そして、これから未来の刻と機でも、夏目ここなの絶唱に魂が戦いで血が滾って来る衝動に見舞われるのだろう。おそらく、初見の人でも一気に魂を掴める強さを持ってると思う。

 サニピ、トリエル、リズノワ、スリクス、長瀬麻奈…月ストが超えなきゃならない相手は多いが、一番に超えなきゃならんのは、過去の月スト自身だ。それこそが今の彼女達に課された命題。でも、貴女達ならきっと過去の月ストを超える事が出来ると。

 

 18.The One and Only/月のテンペスト


 FINALのラストを飾る月スト最高の奥義。この『生命の謳』をここに持って来た用兵の妙は実に見事だと唸ってしまった。素晴らしい。

これまた前に書いて来たと思うが……この楽曲を謳っている五人は、いい意味で心ここに在らず的な雰囲気を纏って謳っている様に思ってしまうのだ。そして、五人の傍らには一緒になって琴乃、渚、沙季、すず、芽衣も歌っている。十人がいるのはMVで描かれている何かよく分からん場所がステージ上に顕現されてる感覚に陥ってしまう。

 そんな錯覚に陥らせるからか、五人の歌声もまたファンタジックで浮世離れしている。何だろうな…刻の概念さえからも解放されているかの様に清々しくて、月ストを取り巻いているあらゆる時間軸が分かれているのでなく全部繋がっている様な……更には魂までも還れる。

前のアクトであれだけの爆ぜて滾る感情をブチ撒けた直後に、あらゆるモノを綺麗さっぱりと拭い去って、声と言葉が透き通った純然極まる謳を謳えるモノなのかと……改めて月ストの表現力の幅広さに舌を巻く思いだった。

 完全に彼女達が放つ『唯一無二』の輝きに魂が囚われてしまった。改めて『The One and Only』が月ストにしか謳えないOne offを極めた謳である事を痛感させられた。絶望を抱かせる圧倒的な存在感と技量が持つ者でも、百戦錬磨で経験豊富な猛者でも、月ストの五人以外にこの楽曲に血を流す事は出来ないし、真のチカラを引き出す事は叶わない。

 過去、今、未来の刻へ…全ての時間軸に意義を持たせて迷わず進め。そんな彼女達の決意と覚悟が漲っていたと思わずにはいられなかった。

 

 

 EN1.MELODIES/星見プロダクション


 昼の部と夜の部の二回で聴いただけで、楽曲の持つメッセージ性や世界観を掴める程、俺の脳ミソは出来が良くないので、昼の部のレポ同様にもの凄く曖昧なモノになってしまう事はご容赦願いたい……

ただ一つ勝手に思っていて確定しているのは、サニピのみが札幌と名古屋で、月ストのみが大阪と福岡で謳ったのは、この楽曲の真の完成形ではないという事。極端な事を言ってしまえば、サニピと月ストが揃うFINALまで披露しない選択だって出来たはず。でも、そうしなかった。

おそらくこの楽曲は、サニピサイドで捉えた世界観、月ストサイドで捉えた世界観、完成形で捉えた世界観で意味合いが全部違ったモノになる楽曲なのだろう。まあ、この楽曲だけの話じゃなくて世の中に数多ある楽曲に言える事でもあるが…

 FINALのみじゃなく、他にも巡られてFINALで再び聴いたら鮮明なインプレッションを抱けるのでしょうね。そういう意味では、いろいろな考察が捗りそうな面白さのある楽曲だと。

 

 

 EN2.Pray for you/星見プロダクション


 昼の部のレポにて、俺はこの楽曲をFINALで謳った意味をこう解釈した。

 

 
 この楽曲をTour FINALで謳う事が
  
 サニピの『10人』と月ストの『10人』が出した『答え』

 

 

 そして、その『答え』はもう一つあった。それが夜の部で感じたインプレッション。


 このTourが始まる直前に俺はこんな記事を書き殴った。
詳細な内容はここでは省かせてもらうが……Tourの何処かの会場にて長瀬麻奈の楽曲を謳って欲しいと期待して願っていたエゴ丸出しな旨を書き殴った。

でも、結果として皆さんご存じの通り、どこの会場でも麻奈の楽曲が披露される事は無かった。それについて失望したという感情は一切無いし非難するつもりも無い。長瀬麻奈と神田沙也加さんを軽んじてるワケでもないのは充分に理解しているし、歌ってもらいたいと願いつつも……ホイホイと謳うのもやっぱり違うんじゃないの?という矛盾した感情があるのもまた事実。

 星見の子達も、多分同じ様な感情を抱いているのではないだろうか。軽々しく麻奈の楽曲をLIVEで謳いたいとは言えないでしょう。麻奈と神田さんと楽曲を尊く思うのであれば尚更の事だ。

ただ、それでも、星々と(スタート)と銘打たれたFINALのLIVEタイトルを見ると、麻奈の楽曲が披露される事を期待してしまった。手前勝手な解釈だが、Hanedaの地へ馳せ参じた多くの方々もそう期待したと思っている。もしかすると俺は彼女達が、麻奈の楽曲を披露する事をどこか軽いモノとして考えてしまっているのだろうと。

それは、見えないカタチかもしれないが彼女達に要らぬプレッシャーを与えてしまっている。そこまでして謳われる楽曲に血が流れるのか?答えはNoだ。遺された楽曲だからこそ……それこそ全身全霊を懸けて謳われなきゃいけないし半端は許されない。

 謳う者は勿論、観て聴く方にも覚悟が求められる。彼女達が真に魂から、麻奈の楽曲を謳いたいと思える刻と機まで待ち望んでいようと思う。金輪際謳わないと封印したワケじゃないから。

 『Pray for you』をFINALで謳ったもう一つの『答え』は、長瀬麻奈への『祈り』と麻奈の楽曲を謳う事無く、自分達だけの謳でこの旅を終わらせて未来へ駆ける誓いを彼女達は立てた。

ただ、水差す様だが、TRINITYAiLEとLizNoirの楽曲カバーした真意はよく分からん……単なるサプライズではあるのだろうが…まあ、俺は直に聴いてないのでこの件にこれ以上触れないが。

 それは、麻奈という存在を置き去りにする決別の意味ではなく、彼女を超えたいという決意表明でもあると。散々書いてるが……脳ミソに花咲いた様な物言いすると、あの刻と場に麻奈と神田さんの魂が在って、彼女達の謳を聴きに降りて来たと勝手に思っておる。

 

 

 EN3.サヨナラから始まる物語/星見プロダクション


 タイトルが告げられた瞬間、一気に爆発していく感情からの怒号に似た雄叫び。この楽曲が最後の最後で出て来る極上の価値を証明しているかの様だ。やっぱり、大団円を気持ちよく迎える為には欠かせない楽曲でラストに聴くのは格別なモノがある。コレなんだよ。俺が立ち会いたかったのはこの瞬間なんだって。

ステージ上のサニピと月ストも弾け飛ぶかの様な躍動感と楽しさ溢れるパフォーマンスを魅せた。未知の旅を見事に駆け抜けて完遂出来た。そして、サニピにしか出来ないLIVEと月ストにしか出来ないLIVEをそれぞれきっちりと魅せ付け、魂を滾らせて楽しませてもらえた。

 彼女達が巡って来た旅は終わりを迎えた。でも、ここはゴールではない。ここからまた次の旅が始まる。互いの健闘を称えて労いながらも、彼女達の双眸には確かな光が灯って希望に満ちた輝きを放ってめっちゃ良い顔してたんじゃないかなと。

いろいろな想いが彼女達に湧いて来たと思う。未知の旅への不安と期待、懸けていた想い、何かの決意を抱いていた子もいたかもしれない。覚悟があった。気迫が漲ってた。我々には想像も及ばない程に濃密な刻を過ごして駆けて来て、得られた尊いモノがあったでしょう。

 ただ、その答えを我々がいろいろ推察するのは無粋の極みなのだろう。本当の答えと宝物の価値は彼女達の中にしかないのだから。
 


 
 終わりに。

 

 まず、次のLIVE開催が決定したとの報が告げられた。

 

 

 

 ゲームリリースから三周年を迎えてのLIVE。おそらく、昨年以上のとんでもないLIVEになるんじゃないかと気の早い話ではあるが……期待を抱かずにはいられない。


 以上をもって、『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』夜の部参戦レポになります。
誰一人欠ける事無く、大きなトラブルも起こらず無事に最後まで駆け抜けられたのは本当に良かったなと。そして、本当に素晴らしいLIVEを魅せてくれて本当にありがとうございました。

サニーピースと月のテンペストの『今』の全身全霊、意地と覚悟をきっちりと魅せて、全員が未来を見据えて楽しみ尽くしてこの旅を終える事が出来た。そして、明確に次の旅へと踏み込む覚悟と強い決意を感じた。それがLIVEで魅せてくれたパフォーマンスに宿っていた。誰も諦めずに戦えたからこそ成し遂げられた。

 未来への旅はもう始まっている。サニーピースと月のテンペストが向かう次の旅路。そこにはいったいどんな景色が待ち受けていて、どんな未来が待っているのか。夏の横浜でもっと強くなったサニピと月ストを見届けて魂を滾らせて欲しい。

 
 そんな願いをもって、筆を置きたいと思います。ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。