巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #29 Darkness sympathizer

 

www.youtube.com

 

 

  Darkness sympathizer/LizNoir


 タイトルを直訳すると『暗闇の共鳴者』*1という所か。
その仰々しい楽曲タイトルからは想像しづらいが、アイプラ楽曲では初となるバレンタインソングだったりする。この楽曲を歌うのはLizNoir。
 
 LizNoirが主軸になっているイベントストーリー『心愛溶けるビターチョコレート』にて登場した楽曲。
音源は、各種音楽配信サービスでのリリースに、1stEP『それを人は“青春”と呼んだ』に収録。

 作中では、LizNoirにバレンタインイベント出演のオファーが舞い込んで来るが……リズノワにバレンタインを題材にした持ち歌が無い事と、自分達らしさを失くしてまで出演する意味が無いという事で断ろうとしたが、こころの強い希望により莉央の出す条件をクリア出来たら出演をすると。

その条件とは、LizNoirらしさのあるバレンタインソングのアイデアをこころが出す事。勿論、出来が悪ければ採用せずに出演は辞退すると。このストーリーでは、こころのLizNoirに懸ける情熱、莉央と葵への想い、そして、愛のこころへの想いと絆…様々な想いを抱えながらこころはLizNoirのバレンタインソングを何としてもカタチにしようと苦闘していく模様が描かれる。

完全な私見の域ではあるが……本作の数多あるイベントストーリーの中において、この『心愛溶けるビターチョコレート』は個人的に評価の高いエピソードの一つでもある。

 この世に数多存在するバレンタインソングの王道というか定番となっているのが、チョコレートの甘さを想起させる様なキュートな恋愛ソングが多く見受けられる。しかし、この楽曲においては、前述した甘々なキュートさを感じさせるモノは一切無い。ハッキリ言ってしまえば異端の極みにある楽曲とも言える。

歌詞が構成している楽曲の世界観は、時勢の波やトレンドに揉まれていく中で、その人それぞれが抱く本来の想いを偽ったりする(ごまかす)事に対し警鐘を鳴らす様なニュアンスを感じられる。『カタチより心が欲しい』『流されてどうするんだ 誇り持って愛したいんだよ』という箇所は、王道的なバレンタインへのアンチテーゼ……それがこころが言う苦みの効いた(=Darkness)部分であり、この楽曲の真髄となるモノだろう。

 それは…安易に愛想を振りまいたり、媚を売ったりしないというLizNoirが貫いて来たPRIDEの高さへと繋がっていく。異端なグループがバレンタインの王道から逸れた異端な楽曲を謳う。時勢や周囲がどう染めようが関係ない。自らの価値は自らで決める信念と意志の強さを感じさせてくれる。

リズノワ楽曲お得意の、滾る激情を隠さず全部表に曝け出した様なビートの激しいアグレッシブさに全振りした様な曲調はヘッドバンキングしたくなる衝動に駆られる。LizNoir楽曲…いや、アイプラ楽曲全体を見回しても屈指の変態楽曲と評しても過言ではないだろう。

 

 

 

*1:同情者、支持者という意味もある