巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

魂が還る場と刻。そして…飛躍へ。―IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First DAY2参戦レポ

 前回に続き『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First』参戦レポ。今回は7月16日に開催されたDAY2の参戦レポを書き殴っていく。

 



DAY1の参戦レポはこちら。

 

akatonbo02.hatenablog.jp




 アクトの所感の前に、恒例の(にするんぢゃねぇwww)ちょっとした四方山話から。
DAY1の参戦レポで書くのをすっ飛ばしてしまったが……DAY1での自分の座席は3階スタンド席(Kブロック)だった。で、二日目はアリーナ席(右サイドの後方辺り)と、ステージの見え方や音の響き方や聴こえ方がまるっきり違うモノになる。

そしてもう一つ、一日目との大きな違いはキャスト陣の変更だ。
星見プロダクションの10人(月ストとサニピ)とTRINITYAiLEは前日に続いての登場になるが、LizNoirから戸松さんと高垣さんが、ⅢXから村川さんがこの二日目には出演されないと。

 キャスト陣の違い、それによるセットリストの構成。聴く場と見え方も前の公演と違う。当然、感じる熱やインプレッションも違ってくる。ちなみに、このDAY2の参戦レポを書き始めたのは終演してから、既に二週間以上の刻が経過してしまっておる……

ここから書き殴っていく事は、もうあの刻の新鮮さとは無縁のモノとなってしまうが……あの場と刻にいた者として、感じられたインプレッション、感動、想いと魂と情熱……etcを出涸らしの脳ミソから何とか引きずり出し、これからDAY2の参戦レポを書き殴っていく。

 DAY1の参戦レポ同様……いや、それ以上に、自分の主観やら妄想とか熱がダダ洩れした怪文書になるのは確実なので、予めご容赦願います。

 

 

 1.shiny shiny/早坂芽衣×成宮すず


 イントロが聴こえた瞬間、無意識に『は?』って声が漏れて、装着している不織布マスクの下では、顎が外れて戻らなくなるんぢゃないかって位に唖然としていた。それ位意表突かれたし衝撃を食らった。いきなりとんでもねぇ事しやがって……と呟く事しか出来なくなってしまった。

そのとんでもない二日目のオープニングアクトの大役を任されたのが、早坂芽衣役の日向もかさんと成宮すず役の相川奏多さんのご両人。芽衣とすずによるデュオ楽曲『shiny shiny』でこのとんでもない戦いの火蓋が切って落された。

 アイプラLIVE初の2DAY開催。だからこそアプローチを変えて観客の魂を撃ち抜かなくてはならない。日向もかと相川奏多に運営から下された任務は客席を煽って滾らせて来いと。しばらく後のMCにて、相川さんは『今日の盛り上がりは貴女達にかかっていますから』と運営サイドから言われた事を明かした。(注:メモ取ってないので正確な言葉ではない……)

 そんな大役を任された日向さんと相川さんの心中は穏やかではなかっただろう。これまでのLIVEの様に、星見や月ストの仲間がいるアクトではない。ステージに立つのは彼女達だけで退路は無い。しかも、芽衣とすずのデュオ楽曲はLIVEでは初披露。

この楽曲自体、かなりトリッキーでテンポが早いしラップパートまであって…所謂変態楽曲の部類に入ってしまうヤツだ。送り出した運営サイドにとってもコレはとんでもない賭け。どこかで披露はするんじゃないかと予想していたが、オープニングアクトにぶっ込んで来るとは完全に予想外。

自分がこの楽曲の音源を聴いたインプレッションだが、芽衣とすずが作中で見せているドタバタ感やワチャワチャ感をメロディと詞に落とし込んだ楽しい楽曲ではあるのだが、はっちゃけ感や振り切れ感が今一つ限界突破し切れていないインプレッションを抱いている。それがこのLIVEでどんな変化をしていくのか……

 そんな脳ミソが混乱状態のままアクトに突入したワケだが……まあ、メチャクチャ盛り上がったんだよ。普通に歌うだけでも難しい楽曲なのに、ご両人曰く『ダサ可愛い』振り付けのダンスを舞いながら歌う。しかもメッチャ楽しんでて。しかもその『ダサ可愛い』ダンスがメチャクチャ画になる。

散々にプレッシャーを浴びせられて、二人はもう吹っ切れたんだろうな。オープニングアクトに立てるという限られた人間にしか独占出来ない刻と機を全力全開で楽しんでやろうと。日向さんと相川さんは、巻き込んで引きずり込んで幕張の雰囲気を創造していった。

ステージから来る『圧』と『熱』が本当に凄かった。音源では感じきれなかった振り切ったモノがあった。それは、脳ミソに伝達される情報量の差が明らかに違っていたからだろう。実際に日向さんと相川さんが歌って踊る所を観る。二人のパフォーマンス見聞して感じる興奮が楽曲を進化させていく。

 やっぱり一番凄かったのは、この雰囲気を創造した日向もかと相川奏多。困難なミッションを与えられながらも、期待に応えてそれ以上の成果で魅せ付けた。曲名に銘打たれたshiny(輝き)の様にステージの二人は燦然と輝いていた。言わずもがな、素晴らしく楽しいオープニングアクトだったのは言うまでも無かった。

  

 

 2.ひめごとリップ/TRINITYAiLE


 三人のシルエットとイントロでまた唖然とさせられ、開いた口が塞がらなかった。このLIVE終演まで俺の顎は原型を留めていられるのか?とワケ分からん心配する有様……まさか二番手でトリエルさんがもう出て来るとは思わんかった。

オープニングアクトで激熱かつクッソ楽しい(最大級の賛辞)空間を創造していった、日向もかと相川奏多の奮闘に応えつつ、また違ったインプレッションを撃ち込んでLIVEの雰囲気に観客の魂を惹きつけなければならない。2番手に与えられたミッションはまた難しいモノだ。

 そんなTRINITYAiLEの初手は、DAY1で初披露された夏をモチーフにした新曲。DAY1の参戦レポでも触れたが、軽妙洒脱でノリ易いリズムがあるけれども結構ミステリアスな雰囲気を纏っている。オープニングアクト『shiny shiny』の様な、弾けて盛り上がる方に振り切っているテイストとはまた違う。コレは、トリエル楽曲では新境地を言っても過言ではないチャレンジ。

 ただ、そこはやっぱり、安心安定のトリエルさん。水を差すのでなく、新たな燃料を注ぎ込むかの如く、前日同様難しい局面を新しいインプレッションで見事に塗り替えていった。その最大の要因と勝手に思っているのが、前述したミステリアスさのある楽曲の雰囲気。

前日のスタンドで俯瞰して観る形だったのに対して、この日はアリーナ席から真正面で観る形になったから、感じる『圧』みたいなモノが違っていてアクトにより深く没入させるモノになったのだろう。時には、メロディに身体を委ねて緩やかに乗っていったり、沁み入る様に三人の歌声を傾聴したりと。

 感じるインプレッションに明確な振れ幅が大きい楽曲ではない。でも、掴み所が読めなくて何かいい意味で引っかかって来る。この楽曲を『さざ波の様な楽曲』と夏川さんは評されていたが、まさしくその通りの楽曲だなと、膝を叩き壊しそうにぶっ叩いて首がもげそうになる程に頷くしか出来ない……

雨宮さん、麻倉さん、夏川さんの凄さってモノを、改めて魅せ付けられた様に思ってしまった。今更かよ!!!と言われても反論出来る言葉が全く出て来ない。(それもどうなのよ……)

 

 

 3.Aile to Yell/TRINITYAiLE


 『ひめごとリップ』が創造した寄せては返す波音の感慨に浸っておる所に…TRINITYAiLEの『アイコン&アンセム』であり『勝利の謳』であるこの楽曲のイントロが流れ出す。もう、やる事に一切の容赦すら無い……こちらの魂はトリエルさんにLock onされてしまったと言っても過言ぢゃなかった。

 観客の声が加わった事で、この楽曲は真に血が流れて更なる進化を遂げた。それは、一日目のアクトを直に観て感じて実感させられたモノである。DAY1の時点でも充分に凄かったし分からされたんだが、あっさりと前日の凄さを凌駕していた……

三人の歌声やダンスの所作に勢いとかキレの良さが更に増していたってのもあるが、やっぱり観ている座席の場のチカラってのが大きかった。

特に、スタンド席から発せられる声援の轟き方や『熱』と『圧』が四方八方から襲い掛かって来たのは圧巻だと言わざるを得なかった。サビ前\un, deux, trois!/の大合唱がマジで凄くて、鳥肌が立つと同時にもの凄い勢いで滾って来るモノを感じた。コレは前日では辿り着けなかった領域。

 で、畳み掛けていく様にサビで躍動し羽ばたくTRINITYAiLEさんが本当に強かったのよ。勝手な妄想の域なんだけども…どの楽曲を謳う時も持っているのだろうが、TRINITYAiLEにとっての『アイコン&アンセム』であるこの楽曲を謳う時の三人は、気迫とか覚悟みたいなモノがより強く在って、パフォーマンスに乗っかって、トリエルのイメージには結びつかないが…どこか叩き上げの剥き出しの魂だったり生々しさを感じさせる。

だから、自分は『Aile to Yell』という楽曲を、TRINITYAiLEの『アイコン』もしくは『アンセム』だと勝手に称している。雨宮さん、麻倉さん、夏川さんが、瑠依、優、すみれの魂と繋がっていって…これがTRINITYAiLEなんだ!!!とPRIDEを誇示していってる様な……DAY1のアクト以上にそう思わされてしまった楽曲。



 4.les plumes/TRINITYAiLE


 『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First』での、トリエルさんのラストを飾ったのがこ
の楽曲。ここで、絆を尊重しこの三人にしか掴み取れない未来への希望と、そこからの軌跡を自らの手で遥か高みへと切り拓こうという意思の強さを謳う楽曲を持って来る所に、エモーショナルな感動と一部の隙の無い強さを感じさせられた。

 しかも、『IDOLY PRIDE』として初めて単独イベントが開催されたこの幕張の地でこの楽曲を謳うというのが、またエモーショナルな感動をより濃いモノにしていく。トリエルの物語の一つの到達点であり、またここから新たな物語が始まっていく。

その物語の続きを描いていく事をキャストの三人と境界の向こう側にいるキャラ側の三人は諦めていないのだという強固な決意を感じさせられた。『自分だけじゃ辿り着けない場所があった』という詞は、キャストとキャラとの境界をいい意味で曖昧にしてより強固に繋がる様に感じられる。

 誰かの手で用意されたモノじゃない。ましてや誰かから一方的に与えられたり押し付けられるモノでもない。瑠依、優、すみれが信じたモノ以外には背を向けるその姿にはただただ潔くて清廉だ。そんな彼女達が魂で対話していくこの楽曲を謳うと、息を呑むしかなくてこのアクトの素晴らしさを言葉で言い表す事があの刻から時間が経った今でも浮かんでこない……

 世界が違ったと言っても過言ではない。ここまでトリエルさんが披露してきたアクトの世界観とは全く別の世界に誘われた様な感覚か。色々な理屈を捏ね回して考えるのでなく、ただ奏でられるメロディと三人の清廉を極めた謳に傾聴してその世界に魂を身体を委ねていく。盛ってる感満載かもしれないが、あの刻は重力から魂が解き放たれた様でもあった。

 想いと魂にPRIDEを含ませた三人の謳に、魂が奪われたのは言うまでも無かったが……ラスサビ前かで(場面の記憶が曖昧過ぎる……)メインステージのモニターが突然変わって、三人の手元をアップで映す。そこには…雨宮さん、麻倉さん、夏川さんがトリエルの円陣の時にやっている、親指、人差し指、中指を伸ばし『翼』を表したハンドジェスチャーがどアップで映し出されておった。

 コイツはエモーショナルの極致にあるッ……と、ただただ感心して賞賛の念が溢れんばかりに湧き上がって来る。このハンドジェスチャーにアクトの真髄があった……

 

 5.voyage/佐伯遙子


 イントロが流れて、佐々木奈緒さんが登場した瞬間……俺の涙腺が第一次臨界点を突破した。だってそうだろう?佐伯遙子がこの始まりの地で大観衆を前にしてソロ楽曲を謳うんだ。もう、いろいろなモノが込み上げてくるのよ……

航海。または旅といった訳を持つこの楽曲。遙子のアイドルとしての軌跡でもあり、星見プロ全体の軌跡を謳った楽曲だと思える。星見プロの歴史=遙子のアイドル史と言っても過言じゃない。もう、単なるソロ楽曲じゃない。重みが違う。

 そんな重い意味を持つ(※個人の独断と偏見込みな感想です)楽曲だが、佐々木さんはまるで揉みほぐしていく様に柔和で優し気な歌声を響かせていく。彼女の歌声は聴覚からスッと何の抵抗も無く入っていってじんわりと心に沁み渡る。それでいて、ただ柔和で優しいだけじゃない芯の強さも感じられた。この豊かさ、温もり、個でありながらも全を謳う存在。歌にもの凄い説得力があった。

 歌にここまでの説得力を持たせるには、謳う者…遙子の等身大の生き様無くしては到達出来ない。そこに至るまでには、遙子の諦めきれない意地とPRIDE…執念があってこそなのだろう。

遙子は、麻奈の様に全速力で一直線に突っ走って来れたワケじゃなかった。遠回りして回り道を行かなくちゃならなくなったり、躓いたりもした雌伏の刻を過ごして来た……でも、ちゃんと前には進めてここにいるんだって。

ステージで謳っているのは佐々木さん一人なんだけど、彼女の傍には遙子がいて一緒に謳ってた様な感覚を抱いた。そうなったのは、遙子と佐々木さんの二人のチカラが加わって謳に宿り、我々の魂に伝わって来たからなのだろう。聴いた直後スッと消えてしまうのでなく、歌声が魂の中でまだ共鳴して、深く長く残響していた。勿論、悪い感覚じゃなく心地いい感覚だ。

 それと……遙子は観客だけじゃなくて、長瀬麻奈へ想いと魂を伝えるべく謳っていた様に思えてならなかった。今の佐伯遙子を見てもらいたいという純粋でシンプルな想い……そして、麻奈の魂もきっと遙子の謳を聴きに降りて来てたかもしれない。誰よりも遙子がアイドルとして輝く事を信じてたのは麻奈だったから聴きに来ないワケはないって……
 
 ただ、本当の答えは遙子にしか分からないモノ。散々書いておきながらそこに想いを馳せるのは無粋なんだろうなと。そんな妄想を抱いてしまう程に、このアクトは本当に素晴らしかった。

 

 

 6.CHOOSE ME CHOOSE ME/fran


 遙子のソロ楽曲の心地いい余韻に浸っておる所に…無駄に格好良くて治安の悪さ全開なイントロが轟く。しかも聴いた事の無いメロディだ。そして、後方のサブステージに立っていたのは……fran役のLynnさんのみ。


 な、なにィッ!!franのソロ楽曲だとッ!!!(しかも初披露)

 
 折角ハマりかけた顎が衝撃で外れかけ唖然とするしか出来なかった。会場を一気に染め上げたネオンイエローの光がもの凄かったが…何よりもスゲェのが、その輝きとクッソ格好良い楽曲に一切引けを取らずにステージに立っているLynnさんの存在感と圧倒的強者感。

DAY2セットリストにおいて、序盤のキモとなってたのはおそらくこの局面だったのかなと。ここできっちり決めて更に勢い付けたいと。に、してもだ。初披露の新曲でその場面を託すってのは、とことん攻めてる上にあたおかな構成だが…裏を返せば、franの魂を背負うLynnという表現者への無心の信頼の証なんだろう。

 何度も言ってしまうが、このステージのLynnさんは本当にクッソ格好良かった。
それ(格好良さ)はどこから湧き出て来ているのか?franの魂を背負ってステージに立つからには、完璧な姿でなければならないという覚悟や信念がそうさせるのだろう。そこがブレないからこそ、そいつが強さであり格好良さへと繋がっていってる。

で、また、Lynnさんの凛として瑞々しい色香のある歌声が、これまたこのクッソ格好良い方向に全振りした曲調と非常にマッチしていた。パフォーマンスの所作や佇まいで視覚を、更に、彼女の歌声で聴覚も……見惚れて、聴き惚れて無防備になった所を鮮やかかつ見事に撃ち抜いていった。
 
 凄い事を自然と当たり前の様にやってのける。それが一番凄い事なんだと思い知らされた。

 

7.恋と花火/月のテンペスト


 ここからは月ストのターン。初手にこの楽曲を持って来たのは意外だなと率直に感じた。まあ、夏開催のLIVEというのもあったのだろう。それと、フェス系のLIVEでは初手で披露された事があるらしい。(そのLIVEに参戦しておらんから俺は知らんが…)盛り上がれる変態楽曲ではあるけれど、どちらかと言えば儚げで切ないというインプレッションの方が強い。

ただ、当たり前な話になるが、前述した儚くて切ない楽曲を初手に持って来るのが駄目などと言う決まりは無い。その意外性に溢れた挑戦は観客に強いインパクトをもたらす。LIVEの定番楽曲でも披露される順番が代わればまた違ったモノを感じられる。

 DAY1でも披露され、その参戦レポで触れるのを完全にすっ飛ばしてしまったが……この楽曲も、声出し可のLIVEで披露されたのは今回のLIVEが初めて。しかし、この楽曲では観客の声が加わっても劇的に盛り上がってはいかなかった。そもそもそういうテイストの楽曲ではないってのもあるが……自分はどうしても、彼女達のダンスの挙動に見惚れて歌声に聴き入ってしまう。

 五人の情感が凝縮され、パフォーマンスに乗って伝わってくるというモノなのか。聴いた後歌声がスッと抜けていかずに、粘着していて聴覚に纏わりついて絡みつく。変な意味ではなくとんでもない色気を感じてしまった……それはDAY1の時よりも強くなっていた様に思える。

完全にやられた……月ストが創造した雰囲気に魂が見事に魅了されて沁み入ってしまった。コレは音源で聴いたのでは感じられないモノ。現場に参戦して直に彼女達の謳を聴かないと得られないカタルシスだ。



 8.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 DAY1での月ストのMCだったか、このアクト前のMCだったかは忘却の彼方にすっ飛んでしまったのでアレだが……この楽曲の世界観の背景にあるのが、現在までに公開されているメインストーリーでの月ストの状況と心情がモロに反映されているとの事。

 DAY1では、何の前振れもなく問答無用で披露されたのでざっくりしたインプレッションは、ヒロイック感ある格好良さがありつつも所々に悲壮感が漂っている。でも、この逆境には負けないといった決意表明を感じられる楽曲。それに加えて、前述した背景が判明して楽曲の解像度がグッと上がった状態でこの日のアクトを感じる事になる。

まず驚かされたのが、この楽曲では、琴乃(橘さん)のソロパートが一切ない。しかも、ダンスフォーメーションも琴乃だけが独立して動く場面がいくつかある。これまでの月スト楽曲でこういうカタチは勿論無かったモノだ。だから、渚(夏目さん)、沙季(宮沢さん)、すず(相川さん)、芽衣(日向さん)のパフォーマンスがこれまで以上に惹き立って目立っていたのかと。

 今のままじゃ足りないモノだらけ。もっと強く輝く為に、あえて別の軌跡を独りで往く決断をした琴乃。そして…琴乃が還って来られる場を守る為の戦いに身を投じた、渚、沙季、すず、芽衣。この楽曲は、琴乃に向けた渚達からのエール(応援歌)なのだろう。

 DAY1でのアクトの所感でも触れたが、この楽曲のキモになっていると勝手に感じたのは、渚(夏目さん)の落ちサビになるソロパート。LIVEという特別で特殊な場と刻で謳ったってだけではあの迫力になったとは思えないのだ。でも、LIVEという特別で特殊な場と刻でないとコレは聴けなかった。

剥き出しになって爆ぜる渚の感情、琴乃を支えるだけじゃなく、肩を並べて共に軌跡を駆けようという覚悟と本気、月ストへの想い……いろいろなモノが渚の歌声に乗っかっていた。

 そして、夏目さんは渚の想いと魂を背負った。もう、演じるとか渚に寄せた歌声にしようなんて考えていなかったのかも。表現のロジック云々じゃなく完全に両者の魂がシンクロして、夏目さんと渚の剥き出しになった本能の叫びが理屈を超えた歌声の迫力へと昇華した。

 前述にて、この楽曲は琴乃へのエール(応援歌)と評したが、これは過去の月ストを超えろというエールでもあるのかもしれない。これまでと違ったパフォーマンスへの挑戦は、過去の彼女達を凌駕しにかかっていると言っても過言じゃないだろう。楽曲の強さ、その強さに負けじとするメンバーの想い……惹き付けられる要因を探そうという気持ちすら萎えさせるぐらいに、彼女達に見惚れていた。

 

9.The One and Only/月のテンペスト


 DAY1で披露されたのも、本当に見事で筆舌に尽くし難い圧倒的なアクトであり、月ストの最高の『切り札』と『集大成』と称すに相応しいモノだったが、その強さはDAY2でも健在だった。
 
 清廉で静謐。でも、内に秘めた力強い意志と決意を籠めた歌声で『嵐を超えたいつかの傷もいとおしいと言える日も来ると』のフレーズが特に突き刺さって来た。それ自体が、彼女達が伝えたいある種のメッセージなのだろう。

キャラクター側の月ストもそうだった様に、キャスト側の月ストもここまでの軌跡で色々な事があった。嬉しい事は勿論あっただろうし、それと同等に悔しい事や悲しい事も……中には自分のチカラだけでは切り拓けなくてどうにもならない理不尽に満ちたモノだってあった。でも、『痛み』と『傷跡』を魂の記憶として受け入れて前だけ見て進んで来た。挑む事を続けないと未来はやって来ない事を彼女達は充分過ぎる位に痛感していたからだろう。

 今よりもっと強くなりたい。輝きたい。普遍的だけれども、だからこそ、純然で切実な想いを偽り無く真摯に表現していたステージには魂が揺さぶられて熱く滾るモノを抑えられなかった。爽快だけれどもどこか儚い。儚いけれども振り切れた潔さがある。そんな雰囲気が堪らなく心地いい……

どんなに不遇の刻に見舞われようと…徹底的にきっちり打ちのめされたとしても…大切な『何か』を置き去りにしてしまったとしても……この楽曲があれば、彼女達はまた輝く為の軌跡へと駆け出せる。魂と絆が還れる楽曲である事をより強烈に実感させられた。
 
 

 10.クロッカスの扉/兵藤雫×天動瑠依


 バックステージに現れた首藤さんと雨宮さんの姿を視覚が認識した瞬間…『あああぁぁぁッ!!!!』と断末魔の様な叫びをあげ、頭抱えながら膝から崩れ落ちそうになったのはおそらく俺だけじゃなかったと勝手に思っておる。今回のLIVEで、この楽曲は披露されるんぢゃないの?なんて思っていたが、いざ実際に披露されるとやっぱり驚くのである。

 春の穏やかな風と柔らかな陽の下を感じさせるミディアムバラードの曲調に、雫(首藤さん)と瑠依(雨宮さん)のボーカルでじっくりと沁み入る様に聴かせていく楽曲。首藤さんと雨宮さんが優雅に舞い、澄んだ歌声が楽曲全体を引っ張って聴覚へスッと入り込んで響かせる。
 
 前述した様に、この楽曲は穏やかで沁み入る様に傾聴させるテイストにステータスを全振りさせた楽曲。それはゲームの3DLIVE映像や音源聴いて感じたインプレッションと変わりはなかったんだが……

 でも、そこに雫と瑠依の、夢を叫んで追い続け、信じて継続していく事。諦めない事、変わりたいという想いと踏み出す勇気……彼女達の生き様とPRIDEを肚割って曝け出している力強さを何故か感じられた。この楽曲には相応しくないインプレッションなのは百も承知だが、実際のアクトを直で観て聴くと、彼女達の想いと魂が歌声から止めどなく溢れ出ている様に聴こえた。

コレはLIVEならではの妙なんだろうし、雫と瑠依が、純粋にもっとお互いの魂へ寄り添って分かり合いたいと踏みこんで対話出来た証でもあるのだと。丁寧に言の葉を紡ぎ優しく沁み渡らせていく声、伸びやかでクリアに通る声、純然の極みにある澄んだ声…二人の絶妙なハーモニーがより魅力的に感じられた。
 
 楽曲の秘めたチカラを見事に引き出し、観客の魂に新たなエモーションで抱擁され会心のアクトになったのは言うまでも無かった。更に極め付けになったのは、この楽曲のジャケットに描かれた、雫と瑠依が互いを称え合うかの様にグータッチをしているイラストを首藤さんと雨宮さんがステージで再現。

素晴らしい、エモーショナル、感傷的、尊い……と、このアクトを締めた二人の所作を称賛する言葉は、ここに挙げた以外でいくつかある。しかし、自分の壊滅しておる語彙力では、称える最適な言葉が全く浮かんで来ない……ただ、二人の美技に見惚れて感嘆の息を呑む事しか出来なかった。



 11.No.1☆/一ノ瀬怜


 ビッグバンド(だと思う……)が奏でるメロディに乗って、メインステージに颯爽と結城萌子さんが登場。その瞬間、ビジュアルのパラメーターがカンストしていらっしゃる結城さんの美貌に両目がもれなく逝った……コレはビジュアルの暴力と称しても過言ぢゃなかった。そんな御方がステージで舞い踊って歌うんだ。理性を保っていられる方が異端の極みだ。これ書いてる今もどこか正気ぢゃないんだ……

 この楽曲は、一ノ瀬怜のソロ楽曲でありキャラクターソング。そして、ゲーム内のイベントの一つになった星見プロダクションの所属アイドルがヒロインの自分役を務めることになった恋愛ゲーム『もしも君と恋をしたら』一ノ瀬怜編のTRUEエンドで流れる楽曲。このイベントや恋愛ゲームに触れていくと一記事分になってしまうので、その件については割愛させていただく。アイドルの怜がゲーム内の怜を演じていると評するのが一番いいのか。

 で、ステージに降臨された結城さんは、可愛らしさと不可思議さを併せ持った歌声と優雅かつキレのあるダンスでもって客席を魅惑と魔性の領域で制圧していく。それはテーマパークのパレードを独占して舞い踊るかの様な結城さんと怜にただ見惚れてしまう領域に陥ってた。テーマパーク・MAKUHARIの爆誕だ。天地創造しちゃったよこの女神様……

それと同時に、これまでの戦の記憶から俺の本能が訴え掛けて来た。こうなったら、もうどう抗っても無駄ってモノだ……結城萌子と一ノ瀬怜の掌の上で転がされる事しか出来ない。流されるままに身と魂をこの女神に捧げて、双眸と聴覚と脳ミソに目の前で躍動している女神の存在をきっちりと徹底的に焼きつけろと。

 多分、あの刻と場に参戦されてこのアクトを観た人の双眸はハートマークになってたんじゃないだろうか。こいつアホかって嗤うだろうが現に俺の双眸はそうなってた。彼女の鮮やか過ぎる手際に打つ手はなかった。綺麗とか可愛いってのは、この女神様には当たり前過ぎて賞賛の言葉にならん。でも、クッソ綺麗だしクッソ可愛かったって賞賛するしかなかったのよ……(最大級の賛辞のつもりだが言葉選べ……)

 そして、締め方も見事だった。音源には収録されてなくてTRUEエンドで流れているバージョンでしか聴けないゲームのキャラ側としての怜の台詞『これからもずっと私の隣にいてよね…大好きよ』で終える。

この締め方はズルいじゃないか…回避も防御も不可能な必中クリティカルがお見舞いされて、見事に撃ち抜かれた。結城さんもオタクの仕留め方を存分に熟知されておるわね……と、いう事がきかなくなって膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。



 12.恋心 ああ無情/こころ×愛×kana×優×すみれ


 演者のステージインの前に……ボイスドラマが流れた。声の主は、トリエルから優とすみれ。リズノワから愛とこころ。そして……何と、スリクスからkanaがッ!!!いやいや…コレ混ぜていいヤツなのか?wwww混ぜるな危険って先人からの有難いお言葉を知ってんのかアイプラ運営さんはッ!

 んで、さっそくやり合うこころとkana。そのドラマ内では大方の想像通り互いに挑発し煽りまくってたと記憶している。おそらく止める気は更々無い優。(どうにもならんかったら笑顔のままキレそう……)すみれと愛であたふたして二人をなだめる画が浮かんでしまった。

特に、愛の胃がキリキリと痛むんじゃないかって心配してしまうわね……などど妄想を捗らせておったら、この五人(麻倉さん、夏川さん、寿さん、豊崎さん、田中さん)がユニットとしてステージに登場。

 曲者揃いなこの面子がごく普通の楽曲なんて謳うワケが無い。絶対にぶっ飛んだ変態楽曲を突っ込んで来るに違いないという全く根拠の無い自信を抱いてたら、案の定本当に振り切れた変態楽曲だったのはもう笑うしかなかった。本当にやるんぢゃないよアホかwwww(最大級の賛辞)

曲調だったり詞とかは忘却の彼方へすっ飛んでしまったが……いや、そもそも一回聴いて全部把握出来る程俺の脳ミソの出来は良くないがwww

そんな残念仕様なおっさんの脳ミソの話は置いといて……楽曲で表現したいのは、もっと私達を見て!!!!!的なメッセージに、でも、私達はそんな単純じゃないから!みたいな相反する女子ならではの感情の起伏を歌に籠めているのかなというインプレッション。(違うかもしれんが…)承認欲求を満たしたい要素が盛り込まれているのは、kanaやこころがこのユニットにいるからなんだろうって勝手に思っている。

 掴み所が読めない、ちょっとした意地の悪い小悪魔的な雰囲気があって扇動しつつも翻弄させていく。あの場と刻は、会場の雰囲気がグチャグチャにかき回され、空間が歪んでいく程の狂騒感に包まれ妙な一体感を醸し出していった。まあ、ユニットメンバーにkanaとこころがいるって時点でこうなるんだろうなとは思っていたがwww

 ヤバいユニットがヤバい楽曲を謳う。この組み合わせが創造する雰囲気が、単に盛り上がるだけの雰囲気に納まるワケがない。理性の壁なんて無意味になる狂気の領域が広がって来る。でも、その狂気に惹かれて魂を預けたくなってしまうのは、人の性でありLIVEの醍醐味なのだと痛感させられたのである。



 13.サマー♡ホリディ/サニーピース


 LIVEはここから後半戦に突入。トリエルや月ストが初手に夏曲を持って来たのに倣ってなのか、サニピも夏曲となる『勝ち確』ソングであるこの楽曲をいきなりお見舞いして来た。

 これまた生き恥を曝す様で、DAY1の参戦レポでまた書くのをすっ飛ばしてしまったんだが……両日通じて『サマー♡ホリデイ』のアクトでハイライトになったのは、2番で千紗(高尾さん)が担当するソロパート『海、プール?満喫したい!』の箇所で『幕張 満喫したい!』とアレンジしてぶっ込んだ所。公演場所によって歌詞の一部を変えるのもLIVEの醍醐味。

LIVEの開催地や会場名を詞に盛り込む演出は割とポピュラーだったりする。運営サイドからなのか?もしくは、ここのパートを担当されている高尾さんからの提案だったのか、ぶっつけ本番でのアドリブかは分からないけど、高尾さんからの提案だとしたら、昔はいっぱいいっぱいで見られなかったのが、細部まで見渡せる様になった彼女の成長の証なのだろう。更に言えば、千紗の成長に負けたくないって想いもある。

 冬に、全国を回るツアーの開催が発表された。その刻と場にて彼女のこのパートがアレンジされたモノになるのか、または未来の刻でどこか大きな会場で会場名を盛り込んだら、もの凄くエモーショナルな衝動が湧き上がって来るんだろうな。(冬のLIVEでこの楽曲を披露するかは知らんがww)

 DAY1の披露において、観客の声援というバフが加わってもう色々なモノが強化され、一気に化けた…いや、キマってしまった楽曲。究極進化とかアルティメット進化とかいう位のヤツ(…伝わるのかコレww)

 イントロ流れた瞬間の一気に沸いた盛り上がりの熱と、歓声の轟音が凄まじく音の振動で殴られてる様な感覚。コレは、スタンド席だったDAY1では体感できなかったヤツ。で、その熱量と極まった進化を遂げた楽曲のチカラにに全く負けていないサニピの五人が本当に凄かった。

 楽曲もそうだが、声援というバフの恩恵を受けたのは彼女達も同様なのだろう。DAY1の最高到達点はあっさりと塗り変えられたと言っても過言じゃなかった。



 14.Hi5でピースサイン/サニーピース


 あくまでも私見の域だがこの楽曲は、力強さや勇ましさみたいなモノをどこか感じられる。成長して強くなっていくさくら達に置いて行かれない為に、キャスト側の五人も強くなっていかないとという想いと魂もある。『私達が、ファンの皆を引っ張っていく!!!!!』といった五人の決意や心意気がそういうインプレッションに繋がっていったのだろう。

 DAY1で披露していた影響もあってか、その刻よりも五人のパフォーマンスがアグレッシブで解放的になっていた様に感じた。彼女達からすれば、一度ステージにて歌ったという経験とその手応えを掴めた事が何よりも大きくて、前より踏み込めて攻められたアクトになっていた。

意気揚々と未来に向かって突き進んでいく感じと、自信満々な五人の表情やパフォーマンスは本当に格好良かった。スリクスさんをしばき倒して『BIG4』の一角にいるのは伊達じゃねぇなと納得してしまったのよ。


ただ、この日のハイライトは違うんだ。
 

 この楽曲も、他のサニピ楽曲の様に台詞パートが存在している。(多分落ちサビの前辺り)
正確な順番は残念な俺の脳ミソからキレイさっぱり消えてしまったが……首藤さんの番になった時にそれは起こった。雫の台詞が入るはずなんだけど、首藤さんは客席の方をじっと眺めながらなかなか台詞を言わない。さながら、☆5カード光の波 兵藤雫のイラストを彷彿させる様な表情を彼女はしていた。

 

 

 DAY1でのアクトとは変えようと、あえて間を取って引っ張る演出なのかな?と思って観ていたんだが、すぐに次のメンバーの台詞に入ってしまったので演出ぢゃない。


あ、コレ…台詞見事にぶっ飛んだな……


 このハプニングについての真相だが、後のMCにて首藤さん自らの口から語られた。
首藤さん曰く、観客の声援とサイリウムの光に聴き惚れ、見惚れてしまって台詞がぶっ飛んだとの事。この件については、人それぞれの考えだったり感じ方が違うモノだが…自分の中では、起きないのが一番良いに決まっているが、それも踏まえてのLIVEだと思っている。

 首藤さんにとっては、起きて欲しくない物語で血の気が引く思いだっただろうし、彼女には申し訳ないけれど……その刻と場でしか観る事が出来ない貴重な瞬間にいられたのは本当に至福の刻。それに、見惚れて聴き惚れてたあの刻での首藤さんはめっちゃ良い表情してた。



 15.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 勝手ながら、月ストの『The One and Only』と同様で、サニピにとってこの楽曲は絆の象徴であり、魂が還れる『アンセム』だと思っている。さくら、怜、遙子、千紗、雫にしか紡げなかった物語があって…その物語がこの楽曲に血を流していく。

 さくら達もそうだった様に、キャスト側のサニピもそれまでの苦難や苦悩も余す事無く全部ステージの上で叩き付けてやろうという気魄が漲って歌声に宿り、ラストに向けてより熱を帯びていく五人の歌声を含めて素晴らしいパフォーマンスになっていって、まごう事無き『アンセム』として盤石の強さを存分に感じさせてもらえた。

 他のアクトでもそうだったんだけど、この楽曲の時は一体感や高揚感はリミッターが外れた様な別の段階まで引き上げられてた様に感じた。それこそアニメの10話で優とすみれがこの楽曲を謳っているサニピを観てノリノリになってたみたいに。

何よりもステージやトロッコでパフォーマンスしているサニピのメンバーが、この刻と場を思いっ切り楽しみ尽くそうとしている。やっぱり、謳っている彼女達が心底楽しそうだとそのパワーとエネルギーは伝染していくモノなのだとつくづく実感させられる。

 彼女達のボーカルもDAY1やここまでのアクト以上に抜けが良く、凄く洗練されたというか晴れやかでもあって、それが一番魂に響いて来たのかもしれない。聴いていて本当に強く魂を揺さぶられる感覚や差し出された手を繋いでいる様な衝動もあり、なおかつ、押し付けられたモノじゃなくナチュラルなモノで……サニーピースから『何か』を貰った事を実感させられた。

 その『何か』についての明確なモノは分からない……あの刻と場にいた人それぞれに違って意味のあるモノ。だが、とんでもなく大きな『何か』なのは間違いないのだろう。

 

 16.Don't say“lazy”/Hoshimi Ambassdor


 LIVEHouse MAKUHARI爆誕テーマパークが出来たと思いきや、今度はLIVEHouseまで出来てしまった。そのLIVEHouseを爆音で彩っていくのは、スペシャルユニットである『Hoshimi Ambassdor』。そのイカれた(だから言葉を選べ……)メンバーは、赤崎こころ(豊崎さん)、成宮すず(相川さん)、小美山愛(寿さん)の三人がサブステージに登場。

 大変失礼極まりない話だが……このアクトの時、俺は豊崎さんと寿さんを一切観てない。もう、相川奏多しか観ていなかった。このアクトで観客の魂を燃え滾らせて熱狂し興奮させるには相川さんのパフォーマンスに全てかかっていると勝手に感じたからだ。

相川さんがきっちり戦えずにコケるとこのアクトは死ぬ。オーバーかもしれないが事実。それに、何か予感がしていたのよ。一人の表現者が化ける瞬間を……いや、信じていたんだろう。ファンタジスタに覚醒する瞬間を。

 自分の勝手な相川さんへの印象なんだが、シンプルに頭が良くて俯瞰で物事を捉えられて、なおかつもの凄く度胸のある人だなと。前述した様に、このアクトのキモになっているのは相川さんがきっちり戦えるか。彼女はそれを痛感していただろう。極限まで追い込まれていたとも言える。

そこからどう踏み出せるか?そつなく無難に立ち回るか、或いは、もう吹っ切れて行き付く所まで全力疾走してやると。相川さんが踏み込んだのは限界を超える戦いの方だ。おそらく彼女は、何の躊躇いもなく踏み込んだのだろう。困難であればあるほど燃え滾れるタイプ。

 そんな限界領域へ挑んだ彼女の燃え滾って爆ぜるチカラが尋常じゃなかった。相川さんが持っているチカラを全て叩きつける様なパフォーマンスに度肝を抜かれた。原曲からアレンジされたメタルチックな激しいビートに一切引けを取らない、アグレッシブでパワフルな相川さんのボーカルが映えまくっていた。寧ろ、彼女のボーカルがメロディよりガンガン前に出て来た様に感じられる。

 それは、『我』をフルオープンした相川奏多による個のチカラの『暴力』だった。興奮と戦慄で震えが止まらんかったし、何なら笑いが止まらなかった。『はは…スゲェわコレ…ははは……』完全敗北した時に出て来る乾いた笑い。言わずもがな…相川奏多によって徹底的にきっちりと打ちのめされて、完全に負けました。『何か凄えなこの子……』って自然と呟いてた。



 17.So What?/ⅢX


 スリクスさんも、初手は夏曲を持って来た。ただ…このDAY2のスリクスさんは、村川さんがいない二人体制。どういう魅せ方で観客の魂を撃ち抜けられるのか?DAY1より見劣ってしまったらスリクスさんの負けだ。当然、Lynnさんと田中さんはそれを十分理解されてる。しかもこのLIVEの終盤戦の中でステージに立つ。これ以上無い程の逆境と言っても過言じゃなかった。

 過去のアイプラLIVEで、メンバーが全員揃わなかった時のリズノワさんはバージョンを変えたり、いない人のパートを代わりに歌うといったパターンで魅せた。一方のスリクスさんだが、mihoの歌唱パートは二人が代わるのでなく音源を流す形だったと記憶している。franとkanaにしてみたら『LIVEに居ない方が悪い』とか普通に言ってそうだが……

 で、肝心のアクトの方だが…DAY1を観ていたからってのはあるんだけれど、やっぱり物足りなさってのは感じてしまったんだ。たとえ音源でmihoの歌をカバーしていても、ステージに村川さんが立っていない事実ってのは大きいモノ。ただ、その事実がマイナス点になってこの日のスリクスさんが見劣ってたかと言うとそうではなかった。この楽曲の情念的なテイストと相まってLynnさんと田中さんの殺気を纏った気魄がそうさせなかった。

 普段より一人分のスペースがまるっと空いていたからか、お二人のダンスの躍動感がより凄かった。僅かなスペースかもしれないが、そこにもう一歩踏み込めるってのはやっぱり違うのだろう。それにつられる様に、歌声の方も力強くエロさ艶やかさが増していた。

 mihoがいない?だから何?!それがどうした?!!(So What?)。と吐き捨てる様に言い放ったfranとkanaが大胆不敵に戦う姿は本当に格好良かったのよね。

 

 

 18.Top of the Tops/ⅢX


 くどい様だが、この日は完全体ではないスリクスさん。しかもタダでさえ難易度の高いこの楽曲をどうやって二人だけで盛り上げつつ熱狂の渦を巻き起こせるのか?例えるなら、難攻不落の要塞を適当な装備だけ与えられて二人だけで制圧して来いという無茶に等しいミッション。
 
 ただ、この状況で怯むほどfranとkanaはヤワじゃなかった。勿論、手を取り合って協演しようなんて思っちゃいないでしょう。なら、どちらかが前に出で目立てるかの戦いを互いに仕掛けた。このアクトは二人の意地とPRIDEの張り合い。

 そんなfranとkanaの意地とPRIDEによって、この楽曲はより獰猛で攻撃的な尖ったモノへと変貌を遂げた。音源よりも、DAY1のアクトよりも明らかに違った。単に音と歌詞をなぞった歌い方を彼女達はしていなかった。反骨の魂と剥き出しの本気がこの楽曲に血を流す。どちらかが引いたらこのアクト自体が死ぬ。そいつをLynnさんと田中さんは熟知していたからこそ、一歩も引かないで限界まで意地を張り通した。

 足りないから戦えないんじゃない。足りないなりの戦い方がある。言い訳してる暇があったら戦えと。それがスリクスの筋の通し方であり生き様なのだろう。それが、この逆境に負けてない力強さとして彼女達の謳が響いて渾身のアクトになっていたと感じられた。



 19.Bang Bang/ⅢX

 

 『So What?』できっちりと火入れして、ⅢXの『アンセム』である『Top of the Tops』に繋げて…『アイコン』であり、キラーチューンでもあるこの楽曲で締める。仕留める時は迅速で的確に……それがスリクスさんの一部の隙も無い『絶対勝利の方程式』

流石にここまで来て、あれだけのモノを魅せ付けられて二人だけじゃ物足りないとは言えるワケがなかった……『アイコン』でありキラーチューンであるこの楽曲のチカラを存分に魅せ付けられた。大胆不敵で揺ぎ無い自信が漲ってる姿は本当に格好いい。そこに彼女達にしか謳えない歌がある。魅入りながら『こういうのでいいんだよ。こういうので』(CV:井之頭五郎)って唸ってた。

 逆境にあってどうやって観客の魂を撃ち抜けるか。どこまで互いの意地を張り通せて限界まで踏み込んでいけるか。でも、franとkanaにしか出来ない戦いがあった。そんな彼女達は驚きのアクションを見せた。

 どのタイミングかは忘却の彼方だが……Lynnさんと田中さんは、すれ違いざまににハイタッチを交わした。しかも片手でやったってのがメチャクチャいい!

何だろうな。ただの演出だったの一言で済んでしまう話かもしれないが……無意識に本能でやったかもしれないし、互いの健闘を称え合っていたのかもしれない。『やるじゃない』『そっちもね』みたいな。いろいろな話に発展していく所にエモーショナルな感情が溢れてしまう。何だかんだ言って根っこでは認め合ってるのだろう。多分www



 EN.song for you/長瀬琴乃


 この楽曲に関してはマジで正気を保って書き殴っていく事は出来ない。ここまででも駄目な怪文書だが…このアクトに関しては更に駄目な怪文書になってしまう事を予めご容赦願います。

 今回のLIVEのロゴが映っていたメインステージのモニターが落ちて立ち上がろうとした瞬間、この楽曲のイントロが流れた。『ビクッ』と一瞬身体が反応して力が入っていかず、『嘘だろ?マジか……』って言葉が漏れた。

そして、橘さんがステージに登場したのを視覚で認識した次の瞬間…俺の涙腺の第二次臨界点が壊れた……同時に、ブワって鳥肌が立ちまくっていた。ようやく叶った聴ける刻への喜びがあった。二日間通じてこの楽曲が全部持っていった。

 客席を見渡すと、琴乃のイメージカラーの青のアニメの最終話で琴乃がこの楽曲を謳った時とゲームの3DLIVE映像にて灯された緑の光そして、本来の歌い手である長瀬麻奈のピンクの光が客席を彩っていった……

コレについては意見は色々あるだろうが、どの意見も正解じゃないし間違いでもないってのが俺の見解。アニメと3DLIVEの再現であり、今ステージで謳おうとしている琴乃への想いであり、麻奈への想いでもあるのだと。これは、それぞれの想いで灯らせた心の光だ。

 言の葉を丁寧に優しく紡いでいく様に歌う橘さんと琴乃。思い込みだと言ってしまえばそれまでだが…あのステージにはいたんだよ。橘さんの傍らで謳ってる琴乃の魂が。橘美來と長瀬琴乃が、始まりの地である幕張のステージに立った。それ以外にあの刻とあの楽曲は存在しえなかった。練習したから謳えるといった代物じゃない。そういう生き方をしてこなかったら謳えないモノ。だから尊いのだと。

 ただ謳えば良いって楽曲じゃない。そういうモノじゃないし、取り敢えず謳いました的な『song for you』なんて聴きたくはないでしょう。橘さんと琴乃はこの謳をどこに届けたかったのか?色々な答えがあるのだろう。ただ、暴論は承知で言わせてもらうと……長瀬麻奈と神田沙也加への魂に誓う為だったと思えてならなかった。ステージからこの謳を謳えば、麻奈と神田さんにきっと届くって本気で信じて無垢で純粋で真剣な想いと魂で謳う。

だからこそ、彼女の謳が研ぎ澄まされ余分なモノの無い澄み切った綺麗な歌声へ昇華した。演奏の勢いで誤魔化せない楽曲だからこそ歌唱力と表現力の進化を如実に感じられてただ聴き入るしか出来なくなってた。そして…ラスサビ。橘美來と長瀬琴乃の全身全霊を懸けた感情が剥き出しになって爆ぜて……


 血の流れる魂の絶唱の域へ昇華した。

 
 誇張でも何でもなく、橘さんと琴乃の絶唱は本当に神懸っていた。おそらく、あの刻と場にいた長瀬麻奈と神田沙也加の魂へ届けと。歌い終わって、清々しい表情していた橘さんは宙に視線を合わせて何かを噛みしめる様に力強く頷いた。アニメの最終話での琴乃の所作の再現という演出だったのだろう。

でも……彼女達は麻奈と神田さんから何か言葉をかけられた様に思えてならない。賛辞の言なのか、激励の言なのか、感謝の言なのか……真相は橘さんと琴乃にしか分からない。双方の尊い誓いの言葉をあれこれ推察するのは無粋の極みなのかもしれない。

 そんな奇跡の刻への感謝を贈れるとしたらこの言葉しかない。謳ってくれて本当にありがとう。



 WEN1.サヨナラから始まる物語/星見プロダクション

 

 『song for you』琴乃verの後にこの楽曲はマズイ。この地に還って来れてまたこの楽曲を謳えるとは、三年前には想像出来た未来だったのか?まあ、当たり前な事でないのは残念な脳ミソの俺でも痛感している。本当に限られた一部の人間にしか叶えられない事なのだろう。

ここまでの軌跡で、彼女達10人はこの楽曲と真剣に向き合って一緒に駆けて来た。これまでを謳いこれからへの想いも謳う。この楽曲がどことなく特別な謳に思えるのはそれが影響しているのだろう。謳う者の、今の全てを懸けただけでは勝負にならない楽曲でその先を求められる楽曲。

 踏み出した先で見て知るモノ、新たに気付く事……それは、この楽曲の象徴となっている要素であって、未知への遭遇と遭遇する為のコネクトが求められる。ここから先の未来でまたいろいろな巡り合わせが待っているのだろう。キャラクター側もキャスト側にも平等にある。

 今回のLIVEは過去と向き合うLIVEでもあったと思っている。少なくとも自分はそういう印象を受けた。過去は無駄じゃなく全てに意味があると。自分は最初の頃から見ていたワケでは無いから、過去に意味があったか無意味なモノだったか分からない。そもそも、そいつを決めるのは我々ではなく当事者にしか出来ない。

でも今、こうして幕張の地に立って輝いているのは、良い事も悪い事も受け入れた彼女達の積み重ねの成果でもある。そして、また未来に駆け出していく。ここがゴールじゃない。スタートラインなんだと。



 WEN2.Gemstones/星見プロダクション


 『サヨナラから始まる物語』から、この楽曲へ繋いでいくのは今回のLIVEの『要』の一つだったのかなと。この楽曲はスタートラインを越えた先の物語をテーマにしているのだろう。歪で不揃いな原石達。勿論それぞれの形や輝きの強さだって違う。生前謳っていた麻奈だって完璧じゃなかった。このアクトの時、彼女達はどういう心情だったんだろうか。それぞれの決意を籠めて謳っていたのは間違いじゃない。

ただ、やっぱり……長瀬麻奈への想いが根幹にはある。関わりの深さはそれぞれにまた違ったモノだが、縁があるというのは事実。麻奈を忘れない事と遺した楽曲を謳い継ぐ覚悟がこの楽曲に血を流していく。止まってしまった刻をこの10人で動かすと。だけど、このステージに立っているのは10人だけじゃない。そもそもがそういう謳だ。

 琴乃は言った。ステージで謳えば、きっと麻奈に想いと魂は届くと。何だったら境界なんか無視して一緒に麻奈は謳ってたんじゃないだろうかって思わせてしまう位に、高らかで清らかに謳って絶妙で見事なハーモニーを響かせる。誰が欠けてもこの歌声にはならない。くどい様だが麻奈もその中にちゃんといる。

 輝き方は決まった一つの形だけじゃない。だから面白い。ぶつかり合って磨き合った末に、どんな形になって光輝いていくのか?彼女達の未来は無限の可能性に溢れている。

 

 WEN3.The Sun,Moon and Stars/星見プロダクション


 エモーショナルへの刺激が半端じゃなかったこのLIVEで聴くのは堪らなく効いて来る。静寂に包み込まれて、響いて来るのはメロディと10人の歌声だけ。

コールも起こらなければ、手拍子も起こらない。切実な歌声と穏やかなメロディに沁み入って聴き惚れ、恍惚な世界観に陶酔している自分がいた。何もかも忘れて(翌日の仕事もww)音と一体になれる感覚が心地良すぎた。

 沁み入らせる様にしっとり歌い上げる。穏やかだからこそ余計に誤魔化しが効かない。少しの違和感も感じさせなかった彼女達の歌唱力の高さもまた成長の証なのだろう。『想い』をちゃんと乗せた歌声に魂が持っていかれるカタルシスを感じた。

 この謳は、おそらく明確な正解は無いのかもしれない。ある時は優しく、ある時は明るく、またある時は切なくて儚く、音の表情が変わると思う。未来の刻でまた聴いた時また違ったモノになるのだろう。



 WEN4.友達だよいつの日も/ALL CAST


 この日のキャストが全員ステージに上がってこの楽曲は歌われた。いろいろな戦いがこの二日間であった。譲れない想いと魂とPRIDEがあって……絶対に退けない意地もあった。捧げたい祈りを籠めて届けたい謳があった。約束を魂に刻んで叶えたい誓いもあった。

 全身全霊を懸けた数多の戦いがこうして無事に終焉の刻を迎えた。きっちり見えたワケでは無いが全員いい顔していた様に思える。全力を出し尽くし楽しみ尽くした充実感からだろうな。

この楽曲は、各グループ(月スト、サニピ、トリエル、リズノワ、スリクス)のリーダーたちによる謳。各リーダーのパートは、メンバー達がそれぞれに謳っていた様な感じか。(…記憶がもう逝ってしまったが……)

 特に、遙子がこの楽曲を謳っているのがもう言葉にし難いエモーショナルな衝動を感じてしまう。きっと、麻奈も聴いて…いや、一緒になって謳ってたかも。遙子と麻奈の手は境界を超えて繋がったのかな……

 月ストにしか出来ない戦い、サニピにしか出来ない戦い、トリエルにしか出来ない戦い、リズノワにしか出来ない戦い、スリクスにしか出来ない戦いを皆が全身全霊とPRIDEを懸けて戦った。だからこそ、このLIVEが素晴らしくとんでもないモノになった。絆は強く、そして新たな軌跡へと皆で踏み出していく。


 そんな奇跡の刻と場に参戦出来た事は本当に感謝しかない。

 

 あとがき


 まず、このクソ長い怪文書を最後まで読んで下さって本当にありがとうございました。あの場と刻で自分が受け取ったモノを余す事無く書き殴れたと思っております。

 『IDOLY PRIDE』の本気の想いと魂を存分に魅せ付け、予想をいい意味で裏切り、期待に見事応えたとんでもないLIVEだった。セットリストを大幅に入れ替えて臨んだり、会場を広く使った演出だったり、作品の流れに合った楽曲、個人のパーソナリティに合った新曲の披露といった挑戦。

キャストに関係者、そして参戦されたマネージャー(ファン)の応援もあって無事大成功に終わった『IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First』はここまでの集大成であり、転機でもあり誰もが確信出来る未来への大きな一歩を踏み出せたのではないでしょうか。

そんなあの刻と場の感動を『とんでもなく素晴らしいLIVE』と言う言葉で片づけてはならない一心で、こうして筆を執らせていただきました。

 まだまだ『IDOLY PRIDE』は発展途上。でも、伸びしろは無限の可能性に溢れている。それを堪能出来る幸せ。これからも自分が出来る範囲ではありますが楽しんで応援していきたいと。


 そんな未来への期待をしつつこのクソ長い怪文書の締めにさせていただきます。