巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

そこにあった奇跡。そして、約束の刻へ……ーIDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “奇跡”参戦レポ

 

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 2月19日に、中野サンプラザホールにて開催された

 

LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “奇跡”夜の部に参戦して来ました。

 

 年明け早々より、例のアイツの変異株が猛威を振るう現状。感染対策の一環としていろいろなイベントが中止になったり延期という断腸の思いで下した決断は少なくない。昨年の丁度この時期に刻が押し戻された様な感覚に陥らされ、IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “奇跡”も開催が危ぶまれた。開催直前でキャストやスタッフに感染が確認されたら即中止や延期の決断を下さなくてはならない。

 

そんな開催一週間前頃、公式よりこんなツイートが投稿される。

 

 

 

 LIVEは予定通り開催されるとの報。コレについては当然賛否両論あった。
開催出来る事に安堵した人。かく言う俺もそのうちの一人だ。その一方で極大のリスクを抱えて開催するのは如何なモノか?と危惧され無観客&配信でやれないのかという意見だってあった。

特に、開催地である東京は感染者が異常に多い地でもある。チケットを幸運にもゲット出来て参戦する気だったがこの状況を踏まえて泣く泣く断念された人は少なくないだろう。その疑問や良しとしない声に対して噛みつくつもりは一切ない。

その疑問や断念した決断はあって当然で尊重されるモノで、人それぞれに抱える事情は違って当たり前なのだ。


 まあ、世情についてこれ以上論じるのはここまでにして……結論から言ってしまいますが……本当に素晴らしくいいLIVEだった。ただ、コレは俺個人の所感でしかありません。『IDOLY PRIDE』のLIVEに参戦したのは今回が初めてだったし、そういった補正の様なモノがかかって『いいLIVE』という所感を抱いたというのもある。


でも、この率直に抱いたインプレッションこそがIDOLY PRIDEのLIVEなんだと。


 紛れもなく、『IDOLY PRIDE』がどういう作品であるのか?というモノを存分に魅せ付けて思い知らせてくれた……そういうLIVEであったというのは疑う余地のない真実だった。

それを意識したのか、はたまたキャスト陣の想いと魂によってその領域まで昇華出来た賜物なのか、それは自分が『IDOLY PRIDE』という作品に感じた魅力がそのまま今回のLIVEできっちりと表現されていたのではないでしょうか。

そんな刻と場に参戦出来た“奇跡”の物語と勝手に称したこのLIVEにて、自分が何を観て、何を感じて魂を滾らせ、戦(そよ)いだのか……それを書き殴ったモノを誰かに知っていただき、もしくは共感や興味を抱いてもらえたら嬉しく思います。ちなみに、MCパートはすっ飛ばして書き殴っておりますのでご容赦願います。

 

 

 

 Introduction~開戦までの刻と戦う準備

 

 現地、中野に到着したのは17時過ぎ。着いた頃には傘を差すかどうか迷う程の降り方の雨。
ただ、戦場(会場)である中野サンプラザホールは駅から近いので傘は差さなかったが。

そんなこんなで会場の刻が訪れ入場を済ませる。で、席なんだが……一階の3列目の端側という相撲で言うなら砂かぶり席、プロレス会場ならリングサイド席、サッカーならピッチサイド席……(しつこい)要するにステージが異常に近い席だったのである。

座席運の無さには定評のある俺に、こんな近い席が割り当てられたのは本当に“奇跡”と称するしかなかった。勿論、嬉しかったのはあるけれども……おそらく今年は今後ロクでもない事が色々降りかかってくるんぢゃねぇかと戦々恐々したのもある。実際に、LIVE中こちら側のサイドに寄って来られた場面が多くあったが視覚が逝くので来ないでくれ!!と思ってしまったりwwww


 ステージの構成は、階段が設けられ背面にデカいスクリーンが鎮座。その画面にはVENUS PROGRAMの文字にあのピラミッドが写し出されていた。そして、スピーカーからは『IDOLY PRIDE』を彩り魅力ある数多の楽曲が流れていた。

ここで流れている楽曲をもって、どういったパフォーマンスがこれから観られるのかと期待は更に膨らみ、鳥肌が沸々立っていくのが分かり戦う準備が徐々に整っていく。そして刻が訪れ、会場が暗転しやって来たのである。


待ち焦がれてきた開戦の刻が。

 

 

 

 

 1. IDOLY PRIDE/星見プロダクション


 オープニングナンバーは、作品名を冠しアニメ版のOPテーマとなったこの楽曲。
奇を衒わなくて、激熱過ぎず大人しすぎない王道チックなテイストを持つこの楽曲は初手に持って来る確率は非常に高いだろうなと見立てておりました。前述の通り、作品名をそのまま冠した楽曲でもあるし、アニメから作品を知った人も多いという事や、初めてLIVEというモノに参戦された人にも雰囲気に馴染みやすい様なLIVE全体のアイドリングも位置付けとして持って来たというのもあったのでしょう。

颯爽と登壇した10人のキャスト陣は、アニメ1話の冒頭と最終話のウイニングステージで纏った衣裳で登壇。本作では数多の衣裳が存在するが、この衣裳『The IDOL』って感じが一番出ていていいなと思ったり。


 さて、肝心なのは彼女達10人のパフォーマンス。とは言ったものの……自分はこの10人のパフォーマンスのポテンシャルやクオリティ自体をそもそもよく分かっちゃいない。公式のYouTubeチャンネルにバーチャルLIVEの模様があるが、敢えて何の情報も入れずまっさらな状態でこの10人の歌い踊る姿を観た。

その良し悪しを判断出来るほど、自分は歌とかダンスに精通しているワケでは無いがそれぞれにレベルの差というのはあって、圧倒的で完璧なモノというインプレッションは抱けない拙いモノ。


 だが、ただ上手いだけじゃ魂を揺るがせ、滾らせるまでには至らない。


力強い歌声を響かせ舞い踊ったり、クセのある歌声の子もいるし、ダイナミックに魅せようとしている子だっている。言わば雑多な個の集団が織りなして生まれた爆発力が俺の感性を震わせた。おそらくこの感覚はこの刻でしか観れなかった貴重な瞬間でもある。


だからなのかもしれない。このアクトを観て鳥肌が治まらなかったのって。


 清廉で清々しい楽曲なんだけど、ステージで歌い踊る彼女達10人がそれぞれに魅せ付けたのは紛れもなくアイドルを背負ったPRIDEの証だったと思わされた。

 

 

 

 

 2. Shine Purity〜輝きの純度〜/星見プロダクション


 俺の中では、イントロが聴こえた瞬間に血が滾る楽曲がいくつか存在している。 
『Shine Purity〜輝きの純度〜』はまさしくそういう楽曲で、この10人にとってのアンセムソングであると勝手ながら思うのです。

この楽曲って『IDOLY PRIDE』(楽曲の方)とはまた違った趣きで、ボーカルとダンスの力強さでぶち抜て来る『闘いの謳』。飾りっ気のない叩き上げの真っ直ぐな魂で歌い踊る彼女達の姿に魅せられないワケが無く、既に鳥肌が立ちまくっているのにも関わらず身震いする衝動に駆られる。

まだ『熱』と『血』の滾りが全然足りねぇ!と脳ミソが交感神経に指令を下していたのかもしれない。
オープニングアクトで感じた熱を貯めておいて、この楽曲でフラッシュオーバーさせるかの如く一気にテンションをHIGHにさせた。

数多ある魅力的な本作の楽曲陣で、最もLIVEで聴きたかったのが『Shine Purity〜輝きの純度〜』なんだ。それが叶ったというのも興奮に繋がった要因ではあるが、何よりも、10人のキャストと10人のキャラクター達の叩き上げの想いと魂によってこの楽曲が限界領域を超えたからだろう。

この楽曲の詞には『君』という単語が多く出て来る。『君』をどういう解釈するかでこの楽曲は様々な顔を魅せる。俺がこのアクトで感じられたのは、前述でも触れたキャストとキャラクター達との縁と絆。偶然の巡り逢いじゃない、巡り逢うべきだった縁の結びつきなんだって。

 

 

 君がいて 輝くのさ もう一人じゃないから
 

 ―星見プロダクション 『Shine Purity~輝きの純度~』より引用

 

 

 キャストによって魂と血を流した事で存在するキャラクター。キャラクターという存在のおかげで挑戦出来る機を得たキャスト。双方にとっての闘いの謳=アンセムソングとしても成立している。

実際のところ、ステージに琴乃やさくら達はいない。勿論彼女達の姿も見えやしない。でも、一緒に立っていたんだと感じさせられた。それほどの強さと凄みをステージから滾らせていた。この楽曲に出逢えたのも“奇跡”であり、このLIVEで期待以上のモノを魅せ付けてくれたのもまた“奇跡”だった。

 

 

 

 

 3. Shock out, Dance!!/LizNoir


 登壇の前に『GIRI-GIRI borderless world』のアニメーションMVが流れてからの……この楽曲は意表を突かれた。で……アニメ版におけるボスグループの一角である『LizNoir』の四人がステージインした。LizNoir参戦決定が発表された時から観れるのを楽しみにしていた。

照明が灯された瞬間に分かるんですよ……何かもう雰囲気が一変したのが。もう完全に会場の雰囲気を制圧していた。あっ…ヤベぇのが来たなって本能が囁く。完全体のLizNoirがステージに降臨したんだって。


 LizNoirの中のお姉様方(戸松さん、高垣さん、寿さん、豊崎さん)は星見プロの若人たちにただ花を添える為の『お邪魔しまーす。ちょっくら歌います』的な感覚で来たんじゃない。出て来る芽を根っこごとブチ抜き更地にする気満々で来ているのだと。

この楽曲が強いというのもある。だが、それを引き出し人の魂を揺るがして響かせるのは表現者の持つ力でしか出す事は出来ない。LizNoirの四人はそれをきっちりとやって魅せたのは流石と唸るしかない。公演中は声を出す事はNGだったが観客各々が滾ったボルテージから発せられる熱量がその証明だったと思える。


 実際、彼女達のパフォーマンスのクオリティは星見プロの子達とは段違い。それは必然な事。
最前線で闘って来た場数と経験、それに培ってきたモノが圧倒的に違うのだから。アニメ3話で琴乃が徹底的にきっちりと打ちのめされたあんな顔を俺はしていたし、さくらが理屈抜きで圧倒的な輝きに魅了されてもう感情が忙しすぎた。


あの瞬間の刻は、LizNoirのワンマンライブだったと称しても過言じゃなかった。

 

 

 

 

 4. Darkness sympathizer/LizNoir

 

 な…なにィッ!!!!『Darkness sympathizer』だとッ!!!!

 

 まさかこの楽曲が披露されるとは完全に予想外だった……変態的な楽曲が多く揃っているのも『IDOLY PRIDE』楽曲が持つ魅力でもある。この楽曲はそんな変態楽曲の中でも飛び抜けて振り切った楽曲。更にはボスグループとしてリズノワの強さを遺憾なく発揮されるというモノでもある。

ハードロックテイストと言うかヘビメタテイストに寄ってる激熱なビートは、LIVEで絶対盛り上がれると確信出来たし、そこにリズノワの表現力が融合されたら、触るな危険以外の何物でもないのです……しかも、フル尺の完全バージョンだ。盛り上がらないワケがなく火に油を注ぎこむに等しい…いや、火にニトロを投げ込んだんすよこのお姉様達wwww


 声は出せないがイントロの瞬間から血が滾って『うおぉぉぉッ!!!』って吠えたくなる様な衝動が襲って来る。そうやって向かい合わないとこの楽曲に魂ごと喰われるから激しくヘッドバンキングして何とかリズノワが創造する圧倒的なエモーショナルな暴力に抗う。このアクト前のMCで芸人感丸出しのトークをしていた人達とは思えないwww


 それはさて置いて……このアクトの『要』となっていたと自分が感じたのは、こころ役の豊崎さん。
こころというキャラ自体があざとさをウリにしている傾向が強い。(勿論、それだけのキャラではないが)他の三人は、リズノワのアイデンティティとされる格好良さを全面に出したパフォーマンスを『Shock out, Dance!!』の時と同様に出されていたのに対し、豊崎さんは格好いい要素も出しつつもこころのパーソナリティでもある『あざとさ』を随所に出してた様に見えた。

曲入り前に、豊崎さんが『甘いけれど苦みの効いた…』(メモ取ってないので詳細な言い回しかどうか分からんが)と言ってた言葉の意味が、格好良さ=苦みとあざとさ=甘いに通じていたと。


 ただ格好良くて、高いクオリティのパフォーマンスを魅せただけじゃなかった……
それをベースに据えつつも、甘さという『毒』を効かせ異なるエモーションとインプレッションを抱かせられた。何の文句もつけようがない圧倒的な貫禄で徹底的にきっちりと打ちのめされて唸る事しか出来なかった……

 

 

 

 

 5. 月下儚美/月のテンペスト


 月のテンペストのメンバーを演じている橘美來さん、夏目ここなさん、宮沢小春さん、相川奏多さん、日向もかさんは、同じ事務所(ミュージックレイン)に所属するミューレ3期生と呼ばれる同期の間柄。で……先に出ていたLizNoirのメンバーを演じている『スフィア』の直系の後輩でもある。

LizNoirが創造していって置き去りにした激熱な興奮が冷めやらない会場の雰囲気。その後に出て来るというのは大変なプレッシャーだろうなと。言わばコレは先輩達から月ストの五人に与えた『課題』。このLIVEの主役は貴女達なんだから自分達の色で塗り直してみろ。限界超えて挑んで来いと言うメッセージを投げつけた。

先人(水樹奈々さん)曰くLIVEとは闘いであると。この局面、彼女達五人にとっては絶対に退けない闘いなのだ。そんな彼女達が初手に持って来たのは、月のテンペストのアイコン楽曲(象徴)とされる『月下儚美』。月の冴える様な冷淡さと幻想的な雰囲気を纏い…内に秘める激情を謳う楽曲。


 橘さんの張りのある凛とした歌声が主軸を担い、夏目さんのクセのある独特な歌声、相川さんの斬る様な鋭さのある歌声、日向さんの溌剌さと艶やかさが混在している歌声……そして、俺が今回実際に聴いて一番衝撃を受けたのが宮沢小春さんの歌声だった。

上手く形容出来ないが、音源で聴いた時の宮沢さんのソロパートの歌唱は儚さと澄み切ったモノを感じたが、このLIVEで聴いたのはまるで違った質。会場の最奥まで響かせて通そうと力強く、沸々を湧き上がる感情を解き放った荒ぶったモノ……MCだったり、配信番組とかでの彼女の淑やかな佇まいとは真逆。ゾーンに入った宮沢さんの感情が爆ぜた瞬間、おそらく驚愕したのは俺だけじゃなかったはず。

 勿論、宮沢さんだけが際立っていたワケじゃなかったが、このアクトに関しては彼女が一撃で残したインパクトが強烈過ぎた。勝手ながら、月ストのボーカル部門の2トップを担ってるのは橘さんと相川さんだと思い込んでいたから、そこに割って入った宮沢さんの件は本当に意表を突かれたとしか言えない。


 これが今の月のテンペストの全力全開なんだ!!!!!と。瞬間最大風速を巻き起こした。
橘美來、夏目ここな、宮沢小春、相川奏多、日向もかの咆哮は渦を起こし『嵐』となった。


そんな五人の溢れんばかりの気骨に魂が揺さぶられないワケが無いんだ。

 

 

 

 

 6. Daytime Moon/月のテンペスト


 『月下儚美』とはテイストが変わってポップで爽やかな楽曲。今回のLIVEで初めて披露が叶った。
あくまでも自分の勝手な解釈だけれど…この楽曲は渚が琴乃に対して抱く深愛の想いに溢れた楽曲だと思っている。そういう解釈からこのアクトは夏目さんのパフォーマンスに注目して観てた。

タイプ的に分類すると夏目さんは、どう動いたら自分が良く魅せられるのか?というのを徹底的に探って分析して得られたロジックを基にされる人なのかなと思われる。ステージ上からあらゆる方に視線を飛ばしていたり、その目配せは時に艶っぽさを秘めていたり。モニター観ていた人は夏目さんのカメラアピールの妙に魅了されたし、ステージから近い座席の人も表情や所作に魅了されたと思います。

何と言うか…独自な決め所の嗅覚を持っているんでしょうな。ここでは外せないというポイントできっちりと魅せる。


 そして前述した様に、夏目さんの歌声は独特なクセを持つ。失礼極まり無いのは承知で言ってしまいますが……他のメンバーと比較したら歌唱が上手い方ではない。けど、いい意味で聴覚にまとわり着いて中毒性がある。一度聴いたら頭から離れない程に強烈なモノだ。

スキルはこれからいくらでも叩き込めるし彼女はまだ若い。今の時点で夏目さんが持っていてこのLIVEで魅せてくれたモノは紛れもなく彼女の才能なのだ。


 
 君が君でいるから好きだと言えるんだ


 ―月のテンペスト 『Daytime Moon』より引用



 渚が琴乃に寄り添った様に、夏目さんにも渚はちゃんと寄り添ってくれている。
グループでのアクトだったけれど、渚が夏目さんの手を取って未来への軌跡を一緒に行こうと導いてた様な錯覚に陥ってしまった。

 

 

 

 

 7. 恋と花火/月のテンペスト


 奇を衒わない正統派楽曲揃いな月スト楽曲の中において、唯一の変態楽曲。
自分の鈍感な視覚&聴覚でもこの楽曲の難易度は高いんだろうなと思えてしまうのです。

そんな楽曲をLIVEで観たらどういうインプレッションを抱くのか?これもまた、今回のLIVEにて楽しみにしていた部分でもあったし、勿論月ストの五人がどう魅せてくれるのかも楽しみにしていた。


 ノスタルジックとセンチメンタルなエモーションが共存している独特な世界観。それは夜の闇が指し示している『静』の要素と、花火が爆ぜて輝きをもたらす瞬間と少女の滾る恋慕の情を示す『動』の要素に繋がっていく。時に憂いを秘めた彼女達の表情、爆ぜる様な激情を思わせるダンスの振りと歌声に、打ち上げ花火を模した照明の演出も見事で唸ってしまう。LIVEパフォーマンスでもあるし歌劇を観ている様でもあった。

正直、その感覚はちょっとした混乱でもあるのです。でも、音源だけで捉えただけだとその混乱というのは体験できないモノでもあったのだと。あの刻と場で、彼女達がステージで歌い踊り照明の演出も加わって楽曲の世界観を引き出せたからに他ならない。これはLIVEに参戦しないと味わえない。


 散々言っているが、このLIVEで声を出す事は御法度。だからこそ、ただただ彼女達の歌とダンスに目と耳を傾けて聴く。『聞く』という字ではなく目と耳と心を用いる『聴く』という字が相応しい。盛り上がるだけがLIVEじゃない。聴く者を楽曲の世界に引き込み沁み入らせてただ傾聴させる。こういう魅せ方だって出来る…!って、月ストの五人の意地と可能性を感じさせる素晴らしいアクトだった。

 

 

 

 

 8. The One and Only/月のテンペスト


 月ストのパートのラストソングに持って来たのが、自分らしく自分の道を切り拓いていく意思が込められた月ストの『アンセムであり『生命の謳』と称すこの楽曲。

彼女達のユニット名に冠されている『テンペスト』は、嵐・もしくは暴風雨の意味を持つ。ここまで彼女達は、叩き上げの魂と情熱、爽やかな可憐さ、少女の淡くも激しい恋慕の情を歌とダンスに込めたパフォーマンスを魅せてくれた。さしずめ、それらはエモーショナルという『嵐』でもあった。

嵐が去った後の夜空は一点の曇りもない清廉で澄み切ったモノ。この楽曲を傾聴している刻は、何か魂がしがらみやら煩悩から解脱している様な……その清廉な夜空を翔けている雰囲気に没入させる。歌っている彼女達は、単に音をなぞって歌い上げるのではなく本能のまま言の葉を紡ぐ。淡々と語りかける様に、全ての言の葉、全ての音を余すことなく大事にして、一言ずつ噛みしめる様にして歌い踊る姿。……不純なモノを浄化したかの如く、五人の歌声が本当に純然で綺麗だった。


 それは、観客に伝える為のパフォーマンスに留まらず、彼女達に反芻させる為のモノだったのかもしれない。更には、きっと彼女達の傍らに寄り添ってステージにいた琴乃、渚、沙季、すず、芽衣に向けてのメッセージでもあったのかもしれないし、琴乃達から彼女達へのエールでもあったと。

この楽曲は、どこかキャストとキャラクターがオーバーラップしていく印象が強い。キャラクターソングの枠組みではあるものの、琴乃達を演じるミューレ3期生の軌跡とも多分に重なり合っている様に思えて、双方の境目が曖昧になって繋がりが密接で強固なモノへ昇華した。『唯一無二』の輝きを謳うこの楽曲は、橘美來、夏目ここな、宮沢小春、相川奏多、日向もかにしか謳えない楽曲なんだと圧倒的な説得力で思い知らされた……


 楽曲に秘められた限界領域を突破して、更に成長させるのに必要なのは人の力。
歌というものは嘘や誤魔化しが出来ないモノ。歌う表現者の心情が楽曲にハッキリと反映される。このアクトで創造した世界観に魂を包みこませたのは紛れもなく、橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんが本気の想いを全身全霊懸けて一切出し惜しみせずに挑んだ結果なのだ。

 

 

 

 

 9. SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース


 月のテンペストがステージから降りて……菅野真衣さん、結城萌子さん、佐々木奈緒さん、高尾奏音さん、首藤志奈さんが登壇するや否や、沸々と客席がオレンジの光を灯しだす。それは夜が明けて太陽が昇るかの様でもある。彼女達も月スト同様に初手に持って来たのは、アイコン(象徴)と称される楽曲『SUNNY PEACE HARMONY』でもあった。


 それと同時に覚悟したのである。ここからは苦行…いや、拷問の刻の幕開けだとwww


 何度も言うが、このLIVEは声を出す事が御法度。即ち、コール&レスポンスを入れる事が出来ない。この楽曲はその要素がふんだんに盛り込まれている。と、言うかサニピ楽曲はそういう楽曲しか無いwww


(自分の中ではsong for youはカバーという認識なのでノーカウント)


 ただし、声上げられないからという理由だけで、サニピのアクトがつまらなかったなんてアホな事をいうつもりはないし微塵も感じなかった。それだけサニピの五人のパフォーマンスがそう感じさせない程に凄かったから。曲題にある『HARMONY』とは、複数のものが対立することなくまとまっている状態という意味がある。ここで言う複数のものとはキャストとキャラクターの境界を越えたという事。

そう、このステージに立っていたのは、川咲さくらであると同時に菅野真衣であり、一ノ瀬怜であると同時に結城萌子であり、佐伯遙子であると同時に佐々木奈緒であり、白石千紗であると同時に高尾奏音であり、兵藤雫であり首藤志奈だった。感情の乗っけ方やダンスの所作から醸し出す雰囲気が双方の魂の結びつきの強さを感じさせるのだと。さくら達の想いと魂がキャストにポゼッション(憑依)したと称すべきか。

勿論、そんな曖昧なモノだけで彼女達のパフォーマンスが凄かったとは言えない。向こう側の領域にいるさくら達にどれだけ近づく事が出来てどれだけステージの上で再現出来るのか……その為に努力と研鑽があり、何度も繰り返して向こう側への対話を続けて来たのかは想像を絶するモノなのでしょう。それは、サニーピースの五人だけに限った話ではなく月のテンペストやLizNoirも同様。


 LizNoirにしか出来ないボスユニットとしての貫禄と矜持を魅せ付けたパフォーマンス。月のテンペストにしか出来ない叩き上げの直向きな魂を懸けたパフォーマンスがあった。
そして……サニーピースにしか出来ないパフォーマンスがあった。澄み切った青空に燦燦と輝く太陽の如き強く堂々としたパフォーマンスをサニピの子達は魅せ付けたのだ。

 

 

 

 

10. EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 圧倒的な極光と極上の『HARMONY』で我々の魂を焦がし、この空間はサニーピースによって支配されたといっても過言ではない所でこの楽曲が差し込まれた。


サニーピースにしか謳えない、サニーピースだけの謳であり『アンセムであるこの楽曲が。


 ステージ背面のモニターにはこの楽曲のMVが流され、ステージではキャスト側のサニピが歌い踊る。MVで描写されているのは、さくら、怜、遙子、千紗、雫が抱えている負の感情や翳りを振り払って輝こうとする意志と覚悟が描かれる。サビ入りの前のパートでそれぞれの双眸に色が付いていくのが本当にもう胸熱。そのMV流すのは反則だよアンタ……

そのMVとは対照的に、彼女達は一部の翳りすら見せず明朗快活で溌剌としたパフォーマンスを魅せつける。太陽が刻の経過によって天高く昇っていくかのように、会場内の雰囲気が滾って高調していく。10話で優とすみれがサニピのアクトを観てノリノリになってたあんな感じ。

一人に魂を釘付けされたと思えば、次の瞬間には別の一人に魂を持っていかれて、気が付いたら五人全員が一斉に魂を撃ち抜きに来るというエグさ……(顔面が強過ぎるのよ……)

『SUNNY PEACE HARMONY』のアクトと同様にこのアクトも声出し不可のデバフという鎖で拘束されているのにも関わらずそれだけの熱量の滾りを生み出す。声出しがOKになったらとんでもない域までこの楽曲は化けるんじゃないかと、戦々恐々としたしその刻を楽しみにしている期待も感じた。


 そして、思い知らされたんです。菅野真衣がバケモノだって事を……


それを確信させられたのが『EVERYDAY! SUNNYDAY!』という楽曲なんだ。いやね、この子本当に楽しんで気持ちよく歌ってるんだなってのが凄ぇ伝わって来るんよ。


 胸の鼓動が発する血の滾りをエネルギーにして、魂を声に乗せて遥か遠くに響かせようとばかりに吐き出された歌声……いや、あれは血の流れる絶唱の域へと昇華していた。全身全霊を懸けて、川咲さくらの歌う事が好きだという想いと魂を菅野さんが『顔』で謳って表現していた。



 菅野真衣の魂の絶唱に巡り逢えて聴けたあの刻は、紛れもない“奇跡”の刻だった。

 

 

 

 

 11. Shining Days/サニーピース


 夏の夕立ゲリラ豪雨だと風情ぶち壊しなので……)の後、雨雲が切れて日が差す模様を想起させる様なちょっと落ち着いたテンポの楽曲。先程までとは違って、五人のハーモニーを沁み入るかのように傾聴して浸る。首藤さん曰く、この楽曲の振りのエモーショナル・ポイントは傘を差して舞い踊る所作だという。

『IDOLY PRIDE』楽曲の魅力は、振り幅のデカさと奥行きの深さでエモーショナルの落差を揺さぶって来る所だと思っている。雨がモチーフとなっている楽曲という事もあり、この楽曲もさくら達の不安と葛藤を詞に乗せている。でも、暗い雰囲気にはならず前述の通り雨上がりの晴れ間にかけている様に、さくら達も迷いを振り切って未来への刻に前向きな想いを馳せている。

それを表現するかのように、五人の歌声もしっとりし過ぎないけれども単純に明るく楽しいだけの歌い方にはしてなかった絶妙なバランスは見事と唸るしかなくただ聴き惚れていた。



 見上げた空には たくさんの光 

 輝くよ いつまでも

 手をあわせたなら どこまでも行ける


 ―サニーピース 『Shining Days』より引用



 ステージに立つ彼女達の双眸から見える客席は、空と称すに等しいモノなのかもしれない。
サニピのグループカラーでもあるオレンジの光は、雨雲がゆったりと流れた後で差し込んだ太陽の光。止まない雨はない…風向きが変わるって本気で信じて突き進んださくら達やキャストの想いを汲んで灯した心の光でもあったのだ。


 太陽の光は明るく照らすだけのモノじゃなく、暖かくて安心をもたらしてくれる。
それは、さくら達がいろんな負の要素を乗り越え成し得られた事に繋がっているのだと。

 

 

 

 

 12. 全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 サニピブロックのラストソングは、当たり前の奇跡と巡り逢いの縁の奇跡に感謝を謳うこの楽曲。
このクライマックスにこの楽曲を選曲したのも激熱だったが、楽曲自体も非常にエモーショナルな衝動を駆り立てていく。イントロから強過ぎるチアフルなアッパーソング。この楽曲もいつか思いっきり声出して盛り上がりたい一曲ですな。

これまで歩んで来たサニピの軌跡をリスナーに思い出させて、どんどんと強く成長していく楽曲なんだと痛感させられた。歌詞と彼女達が一緒になってどんどん成長していくみたいな。

『一人じゃないって こんなにもそう無敵なんだね』という箇所では、彼女達自身やキャラクター達に言い聞かせている様なニュアンスだったと思えるのだ。でも、LIVEで披露していってそのフィールドは解放されて新しい解釈が成り立った……キャラクターとキャストが巡り逢えた奇跡への感謝のみならず、声援と親愛の情を向けてくれるファンへの想いも一緒に囲ってくれた。


一方通行の想いだけではなく、双方向への想いを循環させる事の大切さを説いているのだと。だから、このパートの意味がとんでもなく重くて胸熱なんだ。



 ありがとう

 『みんなと出会えた奇跡に』 『幸せのお裾分け』

 『みんなで、もっと幸せ』

 ありがとう

 『これからもずっと』 『一緒にいようね!』


 ―サニーピース 『全力!絶対!!カウントダウン!!!』より引用



 彼女達の信愛の情に我々は声は出せなくとも共感して魂で応えた。
『ありがとう』と言うのはこっちの方だって。それまでの流れも含んであったのかフレーズがグサグサと突き刺さって来て、楽しいんだけど感激もしてて涙腺が決壊しそうな衝動が襲う。今回、初めて直で聴いてみて、想像以上にLIVE映えして凄ぇ感情揺さぶる楽曲だと思わされた。


言わずもがな…クライマックスをきっちりと締めくくれた極上のアクトだった。

 

 

 

 

 EN1. Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション


 ライブTシャツを着た10人が颯爽と登場して、アイプラ楽曲随一のピーキーでハイスパートなアッパーソングを歌い踊る。アクトの所感とは離れてしまうが…日向さんがTシャツの袖を肩まで捲ってたのは日向小次郎をオマージュしたのかしらwwww

そんな事はさて置いて……この楽曲を初めて知った時、絶対ライブで盛り上がってブチ上がれる楽曲というファーストインプレッションを抱いた。他のコンテンツの楽曲になってしまうが……『Wake Up, Girls!』の楽曲で『極上スマイル』という楽曲を初めて聴いた時と酷似したインプレッションでもある。


 『Fight oh! MIRAI oh!』と『極上スマイル』との共通項は、ただ盛り上がれるってだけじゃなく、もう骨ごと食らい尽くされるような獰猛な激しさがあって……『ピーキー』と評したのはそこに繋がるのよ。
更には、この先楽曲がLIVEを経て披露が多くなればなるほど進化するだろうって確信を抱いた事も共通している。

曲調の楽しさと激しさが象徴している様に、ステージの10人は所狭しとあっちこっちに多動してわちゃわちゃと歌い踊る。それは視覚の限界を超えて捉えられない程に激しいモノ……眼球二つだけぢゃ認識出来ねぇ!なんて思ったりwww

狭いステージでこれだけはしゃげてブチあがれるんだから、もっとデカい会場でそれこそトロッコとか客席まで使った演出や生バンドで披露されたらとんでもない領域までこの楽曲は絶対化けるんだろうなって。


 この楽曲も、いつの日かどこかのデカい会場で大声で吠えて全身全霊で楽しみ尽くしたい。

 

 

 

 

 EN2. サヨナラから始まる物語/星見プロダクション


 今回のLIVEのALL LASTとして締め括るにこれ以上ない程ふさわしい楽曲。
アニメの最終話での物語を反芻しつつ感慨深い想いで、ただただ10人の謳に聴き惚れて沁み入ってた。声は出せずとも、会場の観客、ステージのキャストやスタッフを含めての全員に響き渡った。純潔でいて本当に澄み切った歌声だった。

サビの『駆けだしたらそこがスタートライン』の所で10人が横一直線に並び、前方を指した後天高く掲げる所作は見事に揃っていて本当に素晴らしかったなって。コレは実際に観たいと思っていた所作だったのでもう感無量だった。


 このアクトで最も印象深かったのが、橘さんが涙を堪えながら(堪えきれてなかったかもしれん…)歌っていた事。まあ…いろいろとプレッシャー抱えてたのもあっただろう。無事に終演まで辿り着いて一気に解放された安堵から来るモノもあったでしょう。もしくは、もっと出来たはずという悔しさもあったかもしれない。彼女の真の想いは俺如きが窺い知るモノじゃない。それは橘さんにしか分からない溢れ出した感情なのだから。その涙はきっと彼女をもっと強くさせる為の最高の燃料でもある。


 でも……彼女が最初の挨拶で言った『絶対に後悔させません』という『誓い』に嘘偽りはなかった。
勿論、他の9人やリズノワの先輩達も同様の想いで全身全霊懸けてきっちり闘えたのだから。

 

 

 

 

 終演の刻、そして未来の刻へ……


 こうして“奇跡”の物語は幕を閉じた。そして…未来への“約束”が一報として届けられた。



 

 ゲームリリース1周年を記念し、各グループのリーダーである長瀬琴乃、川咲さくら、天動瑠依、神崎莉央による特別楽曲の制作が決定した事(昼公演後)と……

 

 


 7/2(土)立川ステージガーデンにてゲームリリース一周年記念ライブ開催決定ッ!!!!

 


 次の単独LIVE開催決定の報。これは本当に嬉しすぎる報じゃないか。
まず、チケット争奪の戦を勝ち取れるかどうかが最重要事項ではあるが……次も参戦したいものだ。


 余韻に浸りながら退場を済ませ外に出ると雨が降りしきっていた。大して降ってなかったし駅まで近かった事もあって傘は差さずに駅へと歩を進める。何と言うか高揚して火照った身体をクールダウンして脳ミソを整えたかった。

まず、終演して思い知らされたのは…とんでもねぇコンテンツに巡り逢えて惹かれた奇跡に戦慄と興奮を覚えた。そして、今年最初のIVE参戦が『IDOLY PRIDE』のLIVEで本当に良かった事。夜の部のみの参戦だったけれども、全身全霊でガッツリと楽しんで燃え滾れた最高のLIVEだった。

『IDOLY PRIDE』はまだまだこんなものじゃない。もっと凄いステージへと駆け上がれる。そんな未来の刻への可能性も感じさせてくれた。この作品に惹かれて追う事を決めた自分の本能は間違っちゃいなかったと……いろんなモノが込み上げて来た最高な奇跡の物語だった。


 ここまで読んで下さった方。本当にありがとうございました。
あの奇跡の刻での物語の余韻は一週間経ってもまだ燻ぶり続けております。それを余す事無く書き殴れたとは思っちゃいませんが……出来得る限りあの刻と場で受け取ったモノを書き残せたとは思います。

この難しくナーバスな状況下で開催を決断された事は本当に感謝しかありません。最高のパフォーマンスを魅せてくれたキャストの皆様と支えたスタッフの皆様、そして参戦して盛り上げたマネージャー(観客)や参戦の叶わなかったマネージャーが飛ばしてくれた想いと魂に最大の感謝と賛辞の念を。

 


 最後に、7月の単独LIVEが無事開催される事を祈りつつ…筆を置かせていただきます。