巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

DayRe:楽曲ライナーノーツ#6 Tiny Little Twinkle

Tiny Little Twinkle/DayRe:


 1stEP『ReFraction』の4曲目に収録されている楽曲。 


 リードトラックの『プロトノイズ』と2曲目の『鏡面上、今、レーゾンデートル』は、激しい感情を叩きつけるようなハードなテイストの楽曲。しかし、本曲は一転して、1980年代に流行したといわれるシティポップス(シンセポップス・テクノポップ)テイストの楽曲に仕上がっていると感じられた。

いい意味でのアンニュイさ(脱力感)と流麗さが共存して不可思議なテイストを醸し出していく。勿論、本曲だけ聴いても素晴らしい楽曲だが、EPの流れで聴いてみると前の2曲とのギャップの差でもってより沁み入ってくる。未知への不安ではなくどちらかと言えば好奇心が刺激される方向のワクワク・ドキドキ感か。

曲全体の構成も複雑になっていて、歌詞に英語のフレーズが多く入ってたりラップパートも差し込まれていて曲調はゆったりしたテンポではあるが、この2つの要素によって体感的にはそこまでゆったりしていないと自分は感じられた。

 歌詞を読んでみると、「恋」という直接的なフレーズと恋愛がもたらす刺激によって変化していく心模様を表現していて、ありのままで言えば本曲はラブソングとして捉えてもいいのだろう。しかし、ラブソングだけの枠に収まるワケじゃないらしい。

「好き」という感情は恋愛のみではなく、友人に抱く感情でもあり物や作られた存在(何かのキャラクター)に向ける多種多様な深愛の情がもたらすときめきを本曲から感じて欲しいと……日向もかさんはインタビューで語っていた。

 楽曲タイトル『Tiny Little Twinkle』の直訳は「とても小さいきらめき」。前述でも触れたが、そのきらめきは、感情の昂り=ドキドキ・ワクワク感に繋がっているのだろう。

ただ、冒頭でも触れたが本曲はアンニュイで不可思議感のあるテイスト(※あくまでも個人のインプレッション)ポジティブに振り切ってもいないし、かといってネガティブに寄りすぎてもない。捉え方次第ではあるが……どちらの要素を感じられるようなギリギリのラインを攻めていると自分は感じた。

 5人の歌声も、アンニュイさや不可思議感を醸し出しメロディと絶妙にマッチしていく。その中でも際立って聴こえたのが宮沢小春さんと夏目ここなさんの歌声だった。

宮沢さんの歌声は繊細で儚げだけども芯がある。夏目さんの歌声はハスキーさの中にある甘々な部分。彼女達の歌声の核になっている要素が本曲のアンニュイさと不可思議なメロディとの親和性が絶妙に絡み合っていって、二人のユニゾンは柔和に響いてスッと沁み入ってくる聴き心地の良さだけじゃなく聴けば聴くほどクセになる中毒性へと昇華する。


 本曲はEPを通して聴いていく中で一番DayRe:の新しい一面が見られる楽曲だと日向さんは語られていた。その点でも、DayRe:の新境地と魅せ方を切り拓いた楽曲。

楽曲単体で強いってのもあるし、EPやLIVEの流れも変えられるチカラもある楽曲。おそらくどの局面でも本曲はそのチカラを遺憾なく発揮できるポテンシャルがある。こういうギャップの差をつけられる楽曲を持っているアーティストは強いと勝手ながら思う。