名を継ぐ者たちの覚悟、紡がれていない(0から)物語を紡いでいこう(1へ)とする決意…
偽りない本気の叩き上げの想いと魂がその刻の中にはあった。
そいつが観られる縁があって、タイミングも合って観られる事が出来た。
この歳になってもまだまだ知り得ないモノは沢山あって価値観を見事にぶっ壊された。瞬殺というヤツだ。観始めて数分も経ってない内に。
それがAqoursの1stライブ(配信)だった。
自分はAqoursに対しての知識はほぼ無いと言ってもいい。
アニメ(ラブライブ!サンシャイン!!)をただ観た事、メンバーの名前と顔の一致、一部の楽曲しか知らないといったにわか勢というヤツである。
そんな奴がこれから『Aqours First LoveLive! 〜Step! ZERO to ONE!!』(二日目)の所感を書き殴ろうという無謀極まりない事をこれからやろうと思う。見苦しい点や見立てが違う部分が多々出て来るとは思うがコレも個人の所感という事で大目に見ていただけるとありがたい。
楽曲のチカラの強さ
このライブを観るまでのAqours楽曲の印象は奇を衒わない王道的な盛り上がる楽曲が多く占めているといった感じだったが、そいつは自分の浅く薄いインプレッションというモノを思い知らされる事となった。
特に、しっとりした沁み入る落ち着いた楽曲の存在が際立っている印象を受けた。こういった楽曲の存在があって受けるインプレッションの落差が発生して更にライブの雰囲気に没入し易くなる。盛り上がる楽曲があるから沁みる楽曲より引き立つし、その逆も然りである。
全体曲、諸ユニットそれぞれの楽曲。どれも隙の無い充実さがこの1stライブの時点で既に揃っていて、魅せ付けられたのが本当に強いコンテンツである事を証明した様に思える。
9人のチカラ
楽曲がどれだけ強くても、それを引き出すのは人のチカラだ。
例えると、もの凄い表現力と技量をもったアーティストがAqours楽曲を歌い踊ったとする。
それなりに響くのだろうが、魂を燃え滾らせ感動に至るまではいかない。
勝手な持論で恐縮だが、楽曲は誰が歌うかが重要なファクターだと思っている。Aqours楽曲の限界領域を引き出せて、血を通わせられるのはAqoursの9人のみなのだとこのライブ映像を観て痛感させられた。
だからこそ彼女達が作り出した世界観に惹き込まれて圧倒させられた。
で、その楽曲のチカラを引き出す人(メンバー)の個のチカラだが……
書いておいてアレだが、自分がまだメンバー達の知識がほぼ無いといった有様なので、派生ユニットで魅せたアクトからの所感という形にてそれぞれ書いてみることにする。
(ちなみに、中の人のインプレッションだが…)
まず、伊波杏樹さん(高海千歌役)、斉藤朱夏さん(渡辺曜役)、降幡愛さん(黒澤ルビィ役)の『CYaRon!』このユニットとお三方の率直なインプレッションはガーリッシュで活発とした可愛らしさを感じられた。
この辺はおそらくAqours全体の魅せ方の王道的なモノで三人から勝手に感じられる『陽』の雰囲気がそう感じさせているのだろうと。
お次は、諏訪ななかさん(松浦果南役)、小宮有紗さん(黒澤ダイヤ役)、高槻かなこさん(国木田花丸役)の『AZALEA』は……『CYaRon!』とはまた違うフェミニン的な、麗しい可愛らしさと称すればいいのか?
このお三方は身長が高くルックスがよろしくて(一応、言っておくが変な目では観てない)とにかくビジュアル(視覚)へのインパクトが強烈なんだ。
最後は、鈴木愛奈さん(小原鞠莉役)、小林愛香さん(津島善子役)、逢田梨香子さん(桜内梨子役)の『Guilty Kiss』。彼女達に共通していると勝手に感じられたのは……殴り掛かる様なインパクトの強さを抱かせてしまう暴力的なボーカルの強さだ。
この感覚に自分は覚えがある。本稿で出すべき名前ではないのは承知しているし『Guilty Kiss』のお三方とファンにとって失礼な事だが……あの二人の姿が脳裏によぎってしまった。
『Wake Up,Girls!』のセンター・吉岡茉祐とリーダー・青山吉能の『魂の絶唱』が。
『Guilty Kiss』の圧倒的なボーカルの説得力と捻じ伏せるかの様な荒々しさは、吉岡茉祐と青山吉能の絶唱を彷彿させるほどに強烈なインパクトを与えてくれた。そして…最も惹き込まれたのが、小林愛香さんの目力の強さだ。
彼女の表情と双眸の力強さと妖しげな艶やかさは何かのスイッチ、もしくは何かが憑依した様な凄みを感じさせるほどに印象付けられてしまった。目で殺すという喩えがあるがあの時の彼女の眼はまさしくそれだったんだぜ……
重なる想い……一歩踏み出す勇気
Aqoursの知識のない奴がこんな事言うのはおこがましいが……
この1stライブの要となったアクトは『想いよひとつになれ』だったと思う。
このアクトのパフォーマンスの核となるのは、桜内梨子役の逢田梨香子さんがアニメ本編の映像とシンクロさせ彼女がピアノを演奏するというモノ。
桜内梨子はピアニストであり作中に於けるAqours楽曲の作曲を手掛ける人物。しかし、逢田さんはピアノ経験がないそうでこのライブに向けて特訓して臨み、1日目は無事に出来たと聞く。
しかし、ステージの魔物というヤツは気まぐれで突如その牙を容赦なく演者に向け呑み込むモノだ。その魔物に呑まれ逢田さんは演奏をミスしてしまったんだ……
考えてみれば万単位以上のステージで演奏するのは何十年やって来たプロでも相当なプレッシャーだろう。ましてや、ピアノ未経験で言い方が悪いが付け焼刃で武装した素人の逢田さんにとってはそれは途轍もない事だろう。
初日で成功したとしても、とてもすぐには慣れるモノではない。起きて欲しくない物語が生まれてしまったワケだ……
ミスしたという申し訳無さ、悔しさ、混乱…色んな感情が渦巻いて涙を流す逢田さん。彼女に駆け寄り励ますメンバー、桜色の光を灯し応援する観客。そんな中で仕切りなおすこのアクト…もうミスは出来ない極限の限界領域へと挑む逢田さんとAqoursのメンバー。気が付けば過去の映像にも関わらず『頑張れ』と呟いておる自分がいた。
そして、今度は一つのミス無く進んでいよいよ最後の締めとなるピアノソロ。
逢田さんの手が震えているのがハッキリと分かる……おそらく鉛の様に自分の手が重く魂は擦り減り限界はとっくに超えてただろう。けど、最後の鍵盤へのタッチを力強く叩きアクトを見事完遂させた。
限界を超えた魂と身体を動かせたのは、逢田さんを支えてくれたメンバー達の想いと、彼女に声援を送った観客の想い。そして、成し遂げたいという強い決意と限界の先へと踏み出す勇気が逢田さんの指を動かしたのだと思えてならないのだ……
『ひとりじゃない』とこの楽曲の詞にはある。限界を超えようと挑む逢田さん、彼女を信じて共に闘ったメンバー、彼女のイメージカラーである桜色の心の光を灯して彼女を信じて応援した観客。あの刻と場にいた人達の想いが真の意味で一つになったからこそ、このアクトが感動的な奇跡の刻となったのだろうと感じたのである。
0から1へ……ここから始まった物語と名を継ぐ者としての覚悟
彼女達9人が背負っているモノは重いモノ。個人の勝手な推測の域だが、彼女達の存在を先代が築き上げたモノを掠め取る存在として受け入れる事を認めない人がいる事もおそらく彼女達は痛感していたと思う。
次代を継ぐ者への風当たりというヤツは冷たく刺々しいモノなのだと……
だったら、何をすべきなのか?9人が導き出した答がおそらく……
偽りのない本気の想いを魅せ付け、認めさせてやるという叩き上げの魂と執念。
またAqoursとは関係ない話になってしまうが……
このライブ映像を観て自分は『Wake Up,Girls!』の3rdライブツアーを思い出した。
未知の領域へと踏み込む『決意』や『覚悟』
各々が一人の表現者として絶対に生き残ってやろうという『執念』や『闘志』。
勿論、全てが同じ状況だったわけではないが強烈にフィードバックさせられた感覚は共通してるモノだと思える。そのベクトルの様なモノは違っているのだけれども、強い想いと魂を持って動いているグループはやっぱり強いのだと思い知らされたんだ。
圧倒的な演出に、惹き付けられて目が離せない本気の想いが込められたパフォーマンス。
目に見える演出とパフォーマンスに、心揺さぶられて感動したのも勿論ではあるのだけど……
Aqoursのメンバー達がパフォーマンスに詰め込んだ想いと魂。
これは目には見えない。それでも初めてちゃんとAqoursのライブを観て楽曲やグループの知識が無い自分にも伝わった本気の偽り無い想いと魂が在った。
それはAqoursの物語を長く追っていたファンの人も同一なモノだったのではないだろうかと思う。楽曲の強さ、9人の個のチカラ、パフォーマンスやルックスに惹かれただけじゃなく、本気の想いと魂という目に見えないモノにも惹かれてそれぞれの本気の想いと魂を懸けて応援しているのだと思えてならない。
先代の背中をただ追っているだけじゃない。この9人はその先の景色が見えていて、そこに踏み出そうとする覚悟と勇気を持って一歩踏み出した。この9人でしか紡げなかった物語が確かに在った。そこに自分は浅すぎる知識ながらもこの1stライブはそういうライブだったと勝手に感じて『0から1へ!!』という言の葉の意味と重さに打ちのめされて感動した素晴らしいライブだった。
最後に。
この駄文ではAqoursのあらゆる魅力の全ては書ききれたとはとても言えない。
Aqoursへの知識が無いおっさんが予習0でAqoursの1stライブを観た結果、徹底的にエモーショナルという暴力の洗礼を受けてしまった…
今現在のAqoursの活躍というのは本当に凄いモノ。その始まりの物語となったこのライブが配信という形で観られた事は自分の貴重な体験だ。機会があったら2ndライブからの物語も積極的に観ていこうと思う。
そして、何時かは参戦し実際に彼女達9人の本気の想いと魂をこの身で感じたいものだ。