巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #39 Magical Melody

 

 

 

 Magical Melody/TRINITYAiLE with 初音ミク


 2022年8月10日に配信された『IDOLY PRIDE 生放送』内で、初音ミクとのコラボレーション企画の報が告げられた。このコラボ企画への参加アーティストが『あの』初音ミクというのは、まさに晴天の霹靂と言っても過言では無い衝撃だった。

本曲は、『IDOLY PRIDE』と『初音ミク』とのコラボレーション企画にて発表された楽曲。
歌うのは、TRINITYAiLEと世界的な人気を誇るバーチャル・シンガー初音ミク。音源はこの他に、初音ミクのソロver.(ショート尺)と、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album[未来]』に収録されたトリエルのみで歌うTRINITYAiLEver.がリリースされている。

 曲調は、トリエル楽曲の定番とされる(注:個人の所感)アップテンポのデジタルポップ調。そして、このコラボに通じているテーマとされる『巡り逢いの奇跡』を盛り込んだ歌詞。軽妙洒脱で煌びやかなメロディと、純然な伝えたい想いと感謝を謳う詞が絶妙な調和となってリスナーの感性を揺さぶる。

ミクも出演し、本曲を題材にしたイベントストーリー『未来とつながるマジカルメロディ』での瑠依によるこの言葉に本コラボ企画の精髄があったと思える。

 

 体の有無や技術なんて関係ない。私達には歌があるんだから。

 

 

 形も刻も距離も超えられるバーチャル・シンガ―であるミク。しかし、彼女は人と直に触れ合う事は叶わない。一方、あらゆる制限はあるけれど、人へ寄り添えて触れられる事が出来るトリエル。血の流れる者達とそうじゃない者という対極に在る両者だが双方共に完璧な存在ではない。それでも、彼女達には、多くの人へ伝えたい想いとPRIDEを『歌』に乗せて伝える手段がある。

 瑠依、優、すみれ、そして…ミクの純然な偽り無い想いと魂。彼女達の想いを汲んだ奇を衒わないシンプルな歌詞。それらが組み合わさり、巡り逢えて、境界を超え、魂が繋がれる奇跡を起こす魔力の宿った謳へ昇華した……自分はそう思えてならなかったのだ。


 そして、この楽曲については、もう一つのバージョンである『TRINITYAiLEver.』へのインプレッションも書き記しておきたい。

 こちらのバージョンでも、根幹になっている『巡り逢いの奇跡』への感謝は変わらない。ただし、その対象は、コラボ相手のミクではなく、星見プロとの絆への感謝を謳っている様に思える。東京編での彼女達の軌跡を見るとなおさらそう思えてしまうのだ。

 東京編におけるトリエルの軌跡についての詳細は長くなってしまうので省かせてもらうが……OTONA達の都合と策謀に翻弄され、裏切られ、貶められる…でも、新たな絆が彼女達の『翼』を朽ち果てさせず再び舞い上がるチカラをもたらしてくれた。詞にある『あなた』を星見プロの皆へ当てはめると、その『絆』は、瑠依、優、すみれにとっては掛け替えの無い『希望』だったに違いない。

 三人は信じて待っていてくれた星見の皆へ感謝を伝えたい。三人は『私達には歌があるんだから』と瑠依が言った様に歌でもって感謝を謳った。勿論、感謝を伝えたい対象は星見の皆だけじゃない。三人を取り巻く全ての刻と縁への感謝も込めて未来の刻へと羽ばたいていく。そんな決意表明と覚悟をこのバージョンからは強く感じられたのだ。