les plumes/TRINITYAiLE
TVアニメ第10話挿入歌。作中では、TRINITYAiLEが『NEXT VENUSグランプリ』・セミファイナルで披露した楽曲となっている。曲題の『les plumes』(レ・プリュム)とは、フランス語で『羽』(羽根)の意味。
鈴村優は『この曲が一番うちらの息が合う』と評し、奥山すみれは『目を瞑っていても瑠依達がどう動いているか分かる程』と優と同じく高い評価をしている。瑠依の方からこの楽曲について言及はされていないが、おそらく、優やすみれと同様の評価をしているだろうと考えられる。
曲調の方は、『Aile to Yell』の系譜に連なっていく奇を衒わないデジタルポップ。
彼女達が大空を翔ける様なドライブ感を彷彿させる爽快さに、風が吹き抜けていく様な清涼感のある綺麗な音とハーモニーを響かせる。力強くもあるが沁み入る様な優しさもあって、両方の要素が絶妙に混ざり合った結果、聴き心地の良さと中毒性を醸し出している。
『Aile to Yell』では、トリエルからファンに向けて謳う応援歌(エール)としての属性があり、彼女達が導き手となってファンと一緒に高みを目指そうという意味が込められ、双方向への想いの循環を謳っている。(詳細は『Aile to Yell』の項に譲る)
一方、『les plumes』で要となっているのは、瑠依・優・すみれの絆の深さ。そして、絆を尊重してこの三人にしか掴み取れない未来への希望と、そこからの軌跡を自らの手で遥か高みへと切り拓こうという意思の強さ。
この楽曲のMVにて、彼女達が色や柄などに彩られていない透明な旗を持って大空を翔けているのは、未来は与えられたり決まっているモノではなく、自分達の生きた証でもって旗を彩るという志の高さを表している……『つくりものじゃない未来』や『紛いものじゃない世界』という詞があるが、高潔かつ清廉であり続けようというTRINITYAiLEのアイデンティティを象徴している部分にも結び付く。
タイトルの和訳の『羽根』が指しているのは、瑠依、優、すみれ自身という『個』なのだろう。『羽根』というモノは鳥の翼を構成している羽毛の1本1本の事を指している事から、彼女達の『個』、つまりは内面をクローズアップした楽曲だと自分は解釈付けた。彼女達が直向きに目指した、愚直なまでに求めたアイドルの姿。
勝ち続けなければ、飛び続けなければ何も得られない。真っ直ぐな双眸で謳う、瑠依・優・すみれの姿からはそれこそがアイドルとしてのPRIDEだと教えてくれているようだ。
実は……この楽曲(音源のみ)を初めて聴いた当時、自分にとって印象の薄い楽曲だった。力強さと沁み入る様な雰囲気が整い過ぎている様に感じて、どうにも味気ない印象の方が勝っていた。もっと振り切れた楽曲でも良かったのではないかと。
しかし、アニメやその続きの時間軸を描いた続編となる東京編、TRINITYAiLEのサイドストーリーを、ゲームでプレイし、トリエルの物語を知っていって、改めてこの楽曲を向き合った時、自分が馬鹿だった事を痛感させられた。それは朝倉社長が言っていたアイドル=トリエルの物語を自分は軽視してしまった事に他ならない。
彼女達は、止まりたくないと思うのと同時に、もう意識的に止まる事が出来ないのだろう。トリエルの輝かしい未来を信じて、ただひたすらに高く飛び続けて進むしかない。
この三人(瑠依・優・すみれ)なら最高の景色が見られる事を信じている……いや、歌詞からアイドルの想いとPRIDEに想いを馳せるのは無粋なのかもしれない。『素晴らしい楽曲』だと。この楽曲に対して最高となる賞賛の言葉はそれだけでいいのかもしれない。