巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #9 Aile to Yell

 

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 Aile to Yell/TRINITYAiLE



 天動瑠依(CV:雨宮天)、鈴村優(CV:麻倉もも)、奥山すみれ(CV:夏川椎菜)の三人で構成されたアニメ版(星見編)における、ライバル(ボス)グループの一角とされる『TRINITYAiLE』の楽曲。

アニメ第4話の挿入歌であり、4話サブタイトル『もっともっとボリュームを上げて』はこの楽曲の詞の一節である。

グループ名と楽曲タイトルの双方に冠される『Aile』はフランス語で『翼』の意。『Aile』と同じ読みである『Yell』は一般的には英語で『応援する』の意。もしくは『大声を上げる』の意。更には、メンバーが纏っている純白の衣裳『シュヴァリエール』(仏語で騎士の意)にも掛かっているのかもしれない。

直接の言及がない為憶測になるが……最初のグループ紹介の動画内にてBGMとして流れていた楽曲である事から、おそらくトリエルにとって原初の楽曲だと。


 星見プロ(月のテンペスト、サニーピース)の楽曲の雰囲気とはまた違い、軽妙洒脱な趣のあるEDM調で構成された曲調が翼を羽ばたかせて大空を翔けるインプレッションをリスナーにもたらす。そして、グループのイメージとされる清廉で純然な気高さにも結び付いていって、トリエルの名刺代わりの一曲……つまりは『TRINITYAiLE』の『アイコン』(象徴)の役割を担う楽曲だと感じさせる。

作詞・作曲されたKZ氏曰く、ライバル(ボス)グループの楽曲という事で、ライバルとしての矜持であったり強さを持たせる事を意識されて制作したと語っている。三人が自分自身を信じてファンを応援して引っ張っていく翼として『応援する為の翼』という意味を持たせたと。


この『応援する翼』という言葉に、この楽曲の精髄が詰まっている。それを象徴しているのが、歌詞の至る箇所にある『君』と『私』という語句だ。


 前述の通り、アイドル側(トリエル)からファンへ贈る応援歌(エール)としての属性が強いのだけれども、アイドルとしての、瑠依・優・すみれから、一人の少女でもある、瑠依・優・すみれへのエール。一人の少女である前にアイドルでもあり……一人のアイドルである前に少女でもある双方向へのエールという意味を含むのだと。魂の片割れが共に存在する限り、瑠依・優・すみれが翼を失う事は無いし、彼女達自身が翼を失わない為でもある。

詞を読み進めていくと、単に煌びやかな要素で綴られているのではなく、ステージで輝く為に弛まぬ努力を重ね続けている心情が綴られているのが読み取れると思う。それこそが、朝倉社長の云うアイドルの物語。即ち、TRINITYAiLEにしか紡げない物語なのだと。この物語が成立しているからこそ歌詞のみならず、高潔で軽妙洒脱な曲調が映える。



 だからこそ、この楽曲はTRINITYAiLEにとって、彼女達のアイドルとしてのアイデンティティとされる『アイコン』(象徴)。彼女達からファンへ、または、彼女達自身へのエール(応援歌)でもあり、そして……TRINITYAiLEとしてのPRIDEを証明する『アンセムとしての強さを醸し出しているのだと言っても過言では無いと思える。