SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース
星見プロダクションに所属する、川咲さくら(CV:菅野真衣)をリーダーとし、白石千紗(CV:高尾奏音)、兵藤雫(CV:首藤志奈)に、マネージャー(牧野)がスカウトした一ノ瀬怜(CV:結城萌子)と、四人よりも先にアイドルデビューしていた佐伯遙子(CV:佐々木奈緒)によるアイドルユニット『サニーピース』のデビュー楽曲。
アニメでは、デビューLIVEを描いた6話、7話、『月のテンペスト』と殴り合った競い合った『NEXT VENUSグランプリ』の決勝を描いた最終話(12話)の挿入歌。
『サニーピース』のコンセプトになっているのは、太陽のような眩しさで観客を自然と笑顔にする、光溢れるアイドルグループ。そのコンセプトと楽曲名に違わない、五人のポップでキュートな歌声のハーモニーを響かせる直球的かつ王道なアイドルソングで、実際のLIVEにおいてもマストになる楽曲。
現在の情勢下ではまだ叶わぬ事ではあるが……コールを入れてくれと言わんばかりの構成になっていて、同じ星見プロに属する『月のテンペスト』の『月下儚美』とは対になる趣向ではないだろうか。
そして、この楽曲を語る際に触れなくてはならないのは、川咲さくら(CV:菅野真衣)の歌声。
音源であるモノのレコーディングや実際のLIVEにおいては全てさくらの歌声で歌っているが、アニメ6話の『SUNNY PEACE HARMONY』に関しては、長瀬麻奈(CV:神田沙也加)の雰囲気に寄せた歌声にして歌ったと菅野さんはインタビューにて語られている。本編のストーリーと重なっているというのもエモーショナルなインプレッションを抱かせる。
デビュー楽曲、つまりはグループにとっての原初の楽曲であり『初心』と称する事も出来る。
前述にて、Theアイドルソングの王道を往く楽曲だと評したが、可愛らしい明るく楽しいというだけの単純な楽曲には仕上がっていない。『IDOLY PRIDE』というコンテンツのテーマとされる表舞台の華やかさのみならず、葛藤や苦悩を乗り越えようとする裏のテーマもきっちりと楽曲に盛り込まれている。
ここでの詳しい言及は避けるが……アニメの5話で描写されたメンバーの心情模様と歌詞からもたらされるインプレッションが単純な明朗快活なアイドルソングには収まらないモノと解釈している。
胸の鼓動(=本能)の赴くままアイドルの軌跡に足を踏み入れた者(さくら)、真に認めさせたい相手(父親)を認めさせる為(怜)、ラストチャンスに懸ける者(遙子)、変わりたいという想いと覚悟を抱く者(千紗)、勇気を振り絞って憧れへの扉を叩いた者(雫)
形も大きさもバラバラな雑多な五つ……いや、十個のピース(欠片)。この十人がそれぞれの想いと魂を胸に秘め、歌声を重ねてHARMONYとなって響かせていく。
曲題にある『HARMONY』とは、複数のものが対立することなくまとまっている状態という意味がある。ここで言う複数のモノとはキャストとキャラクターの境界を越えるという事も含まれている。更には、サニピとファンとの境界も。
ゲーム版・東京編2章のクライマックスで、サニピとファンとの境界を越えるシーンが顕現した。
場所は、I-UNITYファイナルのステージ。この楽曲を披露する事になったが、姫野の奸計によって機材トラブルが仕組まれ曲が流れないトラブルに見舞われたサニピ。
だが、さくらの終わりたくない、終わらせたくないという想いと魂が彼女を突き動かし、アカペラで歌い出す。そんなさくらの意図を察知して雫も歌い出し、怜、遙子、千紗はファンの近くに歌を届ける為にステージから客席に降りて歌い始める。そして、五人の姿に心打たれて観客も一緒に歌い始めて、会場は一つになり、極光の心の光を放つHARMONYとなって響き渡った。
みんなで!サニピ!(サニピ!)
―サニーピース 『SUNNY PEACE HARMONY』より引用
サニーピースの五人の歌声が重なり合って響くHARMONY。キャラクターとキャストの双方の歌声がシンクロするHARMONY。サニピとファンの想いと魂が交わって響かせるHARMONY。
単純に一つの意味だけではない。声を合わせて、想いと魂を合わせた誰もが、太陽(SUNNY)の輝きを秘めた欠片(PEACE)を持っている。そんな者達が響かせるHARMONYなのだと。