巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

譲れないPRIDEと誓いの刻。-IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2023“未来”参戦レポ

 2月18日。パシフィコ横浜国立大ホールにて開催された
『LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2023“未来”』昼夜共に参戦して来ましたッ!

 

 

 今回のLIVEタイトルに冠された“未来”という言葉。この言葉に対して抱くインプレッションで多いとされるのは、希望であったり明るく輝かしい展望が開けているポジティブな方向にベクトルが行ってるイメージではないだろうか。そこには『IDOLY PRIDE』というコンテンツや関わっている人達にも通じるモノだろうし、惹かれて応援する数多のファンも同様の想いがあるのだと。

 ただし、希望を夢見るだけでは未来を勝ち取る事は叶わない。『未来』だの『先』だのを語る前に、『今』という刻をきっちりと動いて戦えているのか?仮に、勝ち取れたとしてもそれが望んだモノである確証もない。だからこそ強く願い今を全力で戦わなければならない。そうしたら見えて来るかもしれない。このLIVEは、その覚悟や決意が問われる『戦い』の意味を含んでいるLIVEだったのではないかと、終演してしばらく経ってから率直に湧き上がってきた所感だった。


 そして、このLIVEにおいて大きな出来事と言ったら、アイプラLIVEでは初となった観客の声出し解禁だろう。ようやく叶った待望の機会ではあるけれど……同時に危機感を抱く声も少なくなかった。レギュレーションが緩和されると、節度と場の空気が読めないアホが出て来る可能性を危惧しているから声出し解禁を喜べないといった所だろう。最悪の場合今後のLIVEで二度と声出し不可になる事も有り得ない事では無い。

でも、終わってみれば、そういったアホは出て来なかったみたいだし(MCとかで時折大声で入ってたがアレは全然許容できるモノ)やっぱり声出し有りのLIVEはクッソ楽しくて全身全霊を出し尽くせるモノだったんだなと……この数年で失われたモノがこの刻と場にて一気に還って来た事を実感させられたLIVEでもあったのだと。


 と、まあ……四方山話はこれまでにして、ここからはLIVEで披露された楽曲についての所感を書き殴っていこうと思う。例によって出涸らしの記憶から無理矢理引っ張り出して書いていますので細かい所は違っている所だったり、熱が暴走したりして非常に頭の悪い怪文書になる可能性が多分にあります。もし、この参戦レポを読まれる際には、この怪文書は数多ある参戦レポの一つの形なんだなといった生温かい目で捉えてもらえると嬉しく思います。

 

 

 1.裏と表/月のテンペスト


 Overtureが終わり、未だ暗闇の中のステージだが、着ている衣裳のシルエットから月のテンペストの五人だと視覚が理解した。初手で持って来るのは月ストのアイコンソングである『月下儚美』かなと高を括っていたら……この変態楽曲&戦いの謳であるイントロが流れた。

この数年のLIVEでは、驚いていても声を出す事を止められたが、このLIVEでは違う。声を出して良いのだ。だから本能の赴くままに叫んだ。



??!!!うおおぉぉぉぉぉッ!!!!!って。



 声を漏らした…じゃない。当たり前だが吠えたのは俺だけじゃなかった。あの刻と場にいた観客全員がそうなった。正直な所、開演前まで疑問に思っていた。久方ぶりというにはこの数年で出来なくなってたLIVEで声出す事が解禁になった瞬間これまで通りに出来るモノなのかと……

けど、前述した様にイントロ流れた瞬間そんな疑問は一気に晴れて無意識で声出して吠えてた。会場の盛り上がり方は尋常じゃなかった。直前にこの楽曲が収録されたアルバムがリリースされたのも大きい。

自分の中ではイントロ聴いた瞬間、血が滾って『おおっ』ではなく『うおおぉぉぉっ!』と吠えたくなる様な衝動に駆られる楽曲がいくつか存在している。アイプラ楽曲ではそういう楽曲が多く、この楽曲もその仲間入りを見事に果たした。

 この『裏と表』。変態楽曲&戦いの謳と称した様に、月ストの叩き上げと反骨の魂がもたらす激情がメロディに乗っている楽曲。そんなピーキーな楽曲を初手に持って来たのは、月ストの五人の覚悟と決意が込められていた様に思えるのです。琴乃達と同様に、キャスト側の五人もここまでの刻で良い事もあったし悔しい思いをして乗り越えたモノがあった。

そういった想いと魂を持っていたであろう彼女達のパフォーマンスは本当に凄かった……場の雰囲気を徐々にアイドリングしていこう的な優しいものじゃなかった。いきなりリミッター解除して、初手から全開で攻めて仕留めてやろうというある種の殺気とも称していい姿勢。奇を衒わない偽りの無い本能を魅せ付けようと、橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんの身体から見えないんだけど何か気みたいなヤツが漲っていたのだと。

 彼女達にとっても、声援有りのLIVE出演というのは未知の領域。これまでのLIVEではゲームで言えばデバフが掛かって状態異常になっていた。けど、このLIVEではデバフから解き放たれた五人のパフォーマンスがより際立った。

凛とした佇まいに瑞々しく力強さのある橘さんのボーカルに切る様な鋭さを纏わせつつ、芯がハッキリして聴き心地の良い相川さんのボーカルは、月ストの屋台骨と評しても過言ではない安定感がある。

ただ、このアクトにおいて、自分に与えたインパクトがより強烈だったのは橘さんと相川さんじゃなかった。夏目さん、宮沢さん、日向さんのパフォーマンスの質が異次元方向へブーストが掛かっていたのよ……(勿論、橘さんと相川さんのパフォーマンスも負けず劣らず素晴らしかったのは言うまでもない)

 夏目さんの歌声は、甘々かつ柔和な要素がありながらハスキーなアクセントが加わって、結構クセのある声質。クールでスタイリッシュな曲調と彼女のギャップがこの楽曲に格好良さというエッセンスとなって彩っていく。で、LIVEではそれがモロに出ている。夏目さんが歌うソロパートはどこもメリハリの効いた低音域が格好いいんだが、特にCメロの『月の裏で愛を語るより~』からのソロがバキバキで段違いに格好良すぎて鳥肌が治まらんかった……

 歌声という点では、宮沢さんの歌声もまた凄かった。彼女だけではないが、この楽曲では他の楽曲よりも情感を曝け出して歌っていて、宮沢さんに関してはその中に漂う色香がまたヤバい……(語彙力の壊滅……)特に!!!彼女のソロパートになる『もっと見てよね』での吐息を残す様な歌声がエロ過ぎて魅了された……宮沢小春さんも『魅惑と魔性の領域』の持ち主だったんだなと痛感させられた。

 で、日向さん。彼女は、夏目さんの格好良い歌声と宮沢さんの情念と色香漂う歌声を、ダンスの所作や表情の魅せ方にフィードバックさせた様な、野性味あるしなやかなパフォーマンスで魅せ付けた感じに見えた。それでいて歌声はちょいと甘々なテイスト。そのギャップで視覚と聴覚がぶん殴られた……芽衣ってそういう極端な部分を持ってると思うのです。芽衣の想いと魂が日向もかに完全憑依してたのだと。

 印象は違ったモノになってるけど、五人に共通していたのはそれぞれが限界領域を超えたパフォーマンスで魅せ付けた所なんだと。で、彼女達の枠を壊す最大の要因になったのは、我々の魂の叫び(=声援)だったのかもしれない。彼女達にとっては声援浴びる中で歌い踊るのは初めてになるからなのか、五人は本当に楽しそうにパフォーマンスされてたのが印象深かった。

 このLIVEは私達月ストが引っ張る。そんな気概と変わろうとする覚悟を、橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんが示した。そんな彼女達の剥き出しになった本気の想いと魂を近くで感じて燃えないワケが無い。言わずもがな、オープニングアクトとしては最高のモノになった。

 

 

 2.クリスマスには君と/月のテンペスト


 オープニングアクト『裏と表』のクールでスタイリッシュな雰囲気とはガラッと変わり、クリスマスのイルミネーションを彷彿させる煌びやかさに、クリスマスが誕生日となる長瀬琴乃への純然な深愛の情を謳う楽曲。月ストのパフォーマンスもそんな楽曲のテイストを纏って、叙情的な歌声のハーモニーを響かせキュートさのあるダンスを舞う。

『大好き』という親愛の情と、詞にもあった『生まれて来てありがとう』という祝福の念を伝える為に、体と魂から発せられた偽り無い純然な想い。それは、渚だけじゃなくて、沙季、すず、芽衣もそうだし、祝われる対象の琴乃も彼女達の純然な想いと魂を感じて嬉しく思っているはず。

巡り逢ってからここまでの軌跡を共に駆けて来て、いろんな事を乗り越えたからメンバーの大切さを知る事が出来たのだろう。この楽曲はそんな慈愛に満ちてる謳なのだと。

 タイトル通り、クリスマスソングではあるのだけれど、どちらかと言えば琴乃の誕生日を祝う『祝福の謳』といった感じが強い。この楽曲のボーカルの主軸を担っているのは渚(夏目さん)だと思っている。琴乃への想いを込めて大切に語りかけている様に謳っている夏目さんの歌声がエモーショナルな感動をもたらす。どう例えれば良いのかは分かりませんが…歌い方が深かった。夏目さんはこういう歌い方も出来るのかといった新しい驚きがあった。

ギリギリまで気持ちを込めて音をなぞって歌いきる。それから次のフレーズに移ると言ったら良いのでしょうか。その歌声は残響となって空間に在る様に、次のフレーズを歌い出してもまだ残っている様に。落ちサビで渚が謳う『止まらない想い』というフレーズはそんな残響の比喩なのかも。

 『裏と表』で滾った熱が変化して、包み込まれるような温かさの熱になった。
LIVEにおいてエモーショナルの落差をつけられる楽曲があるのは何よりの武器でもある。この楽曲には相応しくない例えではあるが……この楽曲に血を流したのは紛れもなく月ストの五人のチカラ無くしては出来なかった事。

 

 

 3.Daytime Moon/月のテンペスト


 明朗かつ爽快感のある曲調に五人の純然な歌声が映え渡る。その純然さの根幹を成していたのは月スト五人の絆に他ならない。その絆が強固なモノである事、それぞれの胸に在る心の光を信じて未来への軌跡を駆けようと。

 キャラクター(琴乃・渚・沙季・すず・芽衣)もそうだし、キャスト(橘さん・夏目さん・宮沢さん・相川さん・日向さん)もまた、嬉しい事ばかりではなく悩み苦しむ事はあっても支えてくれる人々に感謝して、新しい自分(=理想の姿・叶えたい夢)になると宣言している様にも聴こえる謳。

未来への希望と不安を胸に秘めて、軌跡を駆けて来た少女達が今の刻を大切に生きこれからも力強く駆けていこうと宣誓する。ここから未来へ!ここから宇宙へ!!私たちの頂上目指して!!!(←ここはこの楽曲の詞ではないが……)といったPRIDEと決意を謳に乗せた。

そこに観客の声援というバフというブーストが付加され、この楽曲に新たな血が流れた。それはこれまでLIVEで聴いて来たモノとは明らかに違った……いや、進化したのだと。初めて聴いた時からこのLIVE前まで俺は『Daytime Moon』という楽曲に力強いというインプレッションは抱かなかった。

ただ……その力強い要素は、単純に彼女達の興奮や血の滾りから声を張り上げたというモノじゃなかったと思う。できるだけ通る歌声で遠くへと……朗々と響き渡る歌声に乗っていたのは始まりの予感。再起でもいい。それが伝わったのだと。そして、この五人でしか出せない強烈な『チカラ』と『一体感』を感じた。彼女達がステージで魅せ付けたパフォーマンスは現実のあの刻と場でしか出せない説得力があった。

 それは、メンバーそれぞれがここまでの刻で戦って磨き上げて来たモノが、感覚となっていろいろな想いと感動が込み上げて来る様なアクトだった。

 

 

 4.ココロDistance/一ノ瀬怜×早坂芽衣


 月ストがステージから立ち去って、お次はサニーピースかなと……思っていたら、ボイスドラマが流れた。声の主はサニーピースの一ノ瀬怜と先程月ストのアクトを終えた早坂芽衣


……?!こ、この展開はまさかッ!!!!


 なんやかんや言葉を交わす怜と芽衣(著者の勝手な都合でボイスドラマの詳細は省かせていただく)すぐにステージに出れるの?と芽衣に問う怜。すぐに行けると元気溌剌に答える芽衣。この二人が出るって事は歌われるのはもうあの楽曲しかない。

ようやく現地でこの楽曲が聴ける場と刻が来たのだと……感慨に震え、魂が戦(そよ)いで背筋がゾクって来ているのが分かる。星見プロダンス部門のツートップ・一ノ瀬怜(結城萌子さん)と早坂芽衣(日向もかさん)によるグループの枠組みを超えたユニット『MACARON DONUTS』がステージに見参。もう、結城さんと日向さんがステージに登場してイントロ流れた瞬間から場内のボルテージが上がっていく。勿論、俺のテンションも一気にアガる。

 お洒落かつスタイリッシュなEDM調のメロディは、ホールの地形効果も相まって凄まじい音圧になっており、んで、その音圧を纏ってステージに立つ結城さんと日向さんがバチクソに格好良い上に、とにかく美しいッ!!ビジュアルがバグって圧倒的に画になる。特に、静から動へのメリハリとキレ具合がとにかく痺れる程に格好良すぎて、なおかつ、色香を纏った艶やかさもありそれが楽曲に情熱的な魅力を加える。

そして、この楽曲はダンスパフォーマンスに目を奪われてしまうが、結城さんと日向さんのボーカルもダンスに負けず劣らずに素晴らしかった。特に、相性抜群の歌声から響かせる二人のハーモニーは至高で喉からCDどころかそれ以上で決めてくれた。切なさと、内に秘める激情、迸って来るエロさ……それらがサビのボーカルで一気に解放されていく様は圧巻という言葉しか出て来なかった。まあ、格好良くならないワケがなかったのよ。

 結城さんと日向さんは、どこまで怜と芽衣の動きへ近づけられるのか?二人の戦いは限界領域を超えた向こう側へ挑むのと同義なのだ。この楽曲の音源を初めて聴いた時、LIVEで歌われる際にお二人がきっちりとダンスを魅せ付けて見惚れさせる事が出来るのか?という疑問が付きまとっていた。

でも、蓋を開けて見たら、さっきから何度も言ってしまうがダンスはやっぱり凄かった。サビ前から歌い終わり部分のパートは、まさに歌詞通りに『私を見て』と言わんばかりで何度も度肝を抜かれ見惚れてしまった。結城さんと日向さんはあのステージにちゃんと怜と芽衣を連れて来てくれた。そして、お二方のキレまくりのダンスが観たいので円盤リリースを何卒ッ……


 

 5.つながる心Binary/白石沙季×白石千紗 


 『ココロDistance』の余韻冷めやらぬまま、間髪入れずイントロが流れ、宮沢小春さんと高尾奏音さんがステージに登場して来たのを視覚で認識出来た瞬間……


俺の膝と腰が逝って見事崩れ落ちました……尊いと。


 結城さんと日向さんのデュエットが創造した滅茶苦茶に痺れて格好良い雰囲気から一転して、宮沢さんと高尾さんは清楚な可愛らしさをもって場を塗り変える。いや、塗り変えるなんて優しいモノじゃない……アレは制圧しにかかってたといっても過言じゃなかった。

白石姉妹が揃って『共演』したアクトでもあったし、お互いの良さを引き出そうとする『協演』でもあった。そして、二人がより前に出られて限界を超えようと競いながら突っ走る『競演』の意味を持つアクト。デュエットなので当たり前の話だが、ステージの上に立っているのは宮沢小春と高尾奏音の二人だけ。守るモノなど何にもない状況に立ち向かうには、行きつく所まで突っ走るしかないと肚括ってパフォーマンスしていくしか無かったのだろう。

だからなのだろう。このアクトを観て、純然で清楚な可愛らしさという言葉だけでは収まらなかったのは。その言葉は頭痛が痛い的な重文と同じでこのアクトを総評するには相応しいモノとは思えない。

 純然で清楚な可愛らしさは当たり前にあって、過度にあざとくも無い。特に、千紗の立ち振る舞い方はアプローチを過剰にするとあざと過ぎる感じに見えてしまう(個人の偏見による主観だが…)でも、高尾さんの立ち振る舞い方からはそれを感じられなかった。それを成し得たのは高尾さんの持っている表現のロジックと計算の妙から導き出されたモノなのかもしれない。

そこに、宮沢さんの溢れ出る自然で上品な可愛らしさが付加される事で、この楽曲が更に強いモノ……少女達の謳に血が流れた。艶やかさと一緒で自然な可愛らしさってのも計算して出せるモノではないから。

 この楽曲をテーマにしたゲームのイベント『心紡ぎ合う輝きの競演』で、沙季と千紗が言ってた『今までとは……一味違いますから』の意味を痛感させられた。宮沢さん(沙季)と高尾さん(千紗)は『落し』に来てたと思う。感情を剥き出しにする楽曲ではないけれども、白石姉妹の絆だったり限界を互いに超えようとする本気の想いと魂……といった生々しい感情と人の温度が入っている。

それは、音源のみを聴いただけでは体験できなくて、現地でしか体験出来ない感覚なのだと。そういった要素を全部ひっくるめて昇華して自然と出て来る言葉が尊いという言葉であり、このアクトを評するに最も適した言葉だと思わずにはいられない。

 その尊さが結集していたのが……当たり前の奇跡と姉妹の確固たる絆を象徴している指切りの所作や、歌いきって捌けていく際に手を繋いで去っていく後ろ姿だ。あんなの見せられちゃ客席が沸くのは当然だ。これらの場面をちゃんとカメラで追ってスクリーンにアップで映し出したのは、満足と感謝しかない。その功績で映像周りのスタッフ陣に特別ボーナスを弾んでやって欲しい。

 

 

 6.SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 公式動画チャンネルにてアップされている『The SUN』が音声のみで流れる。
ちなみに、動画内ではある楽曲が流れているのだがそれも無い。さくら、怜、遙子、千紗、雫が苦悩と葛藤といったネガティブな感情を吐露していく。

そして……変わろうという想いと決意に満ちたポジティブな言葉を発していく。暗い道を歩んで来た五人の少女達は縁の奇跡に導かれて巡り逢ってここまで駆けて来た。そんな五人だからこそ謳える……いや、この五人にしか謳えない謳がある。限界領域の向こう側に辿り着いた彼女達にしか謳えないこの楽曲を……!!!!!

 もう歌い出しの『Wow Wow You & Me Wow Wow』で、魂が戦いで一気に血が滾って来てるのが分かった。それは、自分が前回現地でこの楽曲を聴いた『アイプラLIVE 約束』以上の滾り方だ。そうなった大きな要因はやっぱり声出し可能の要素が大きすぎるからに他ならない。

もう、分かってるんだ。この楽曲でMAXの本気を叩きつける箇所であり、今回のLIVEでここは絶対外せない一番の決め所であり重要な所。それは、ステージでさくら達の魂と共に謳っている、菅野真衣さん、結城萌子さん、佐々木奈緒さん、高尾奏音さん、首藤志奈さんも分かっているはず。見えないけれども……彼女達は本気で客席へ手を伸ばしていた。みんなのピース(本気の声援)を見せろと。(オタクの妄想全開)

彼女達が客席へ本気の想いで差し出した手。もう、何も邪魔するモノはない。その繋がる瞬間の刻へと段階を踏みつつ歌い継ぐ。そうして辿り着いた一つの到達点ッ!!!!!



 この指とまれ\と・ま・れッ!/

 SUNNY PEACE for You and Me!\You and Me!/



 パシフィコ横浜の天井を突き破らんとする勢いと気迫に満ちた魂の咆哮が響き渡る。ハーモニーと称すには、雄々しすぎて荒々しいが……それでいいんだよ。ようやく……ようやくだ。彼女達が本気で差し出した手を掴めたのは。それは、この楽曲に必要不可欠だった、観客の声援というラスト・ピースが戻って来てガッチリと一部の隙間なく嵌った瞬間。魂で繋がったんだ。

決め所をきっちり決めた会場の雰囲気はもの凄い事になった。サニピのメンバーは勿論の事、観客の想いと魂が相乗効果を発揮してパフォーマンスの質に2段階目のブーストかかった様に感じた。自然と熱を帯びて激しくなるサニピのパフォーマンスに熱狂する客席。お互いがお互いを高めながら……さしずめ、太陽が昇っていくかの様な滾りと昂りがこのアクトにあった。

 『SUNNY PEACE for You and Me!』に血が流れて、サニーピース楽曲の揺ぎ無い『アンセム・オブ・アンセムの域へ昇華した瞬間でもあった。それは、奇跡の刻であり、信じて果たされた約束でもあり、未来の刻への決意と誓いでもあったと。そんな瞬間に現地参戦出来て共有出来た事が何よりも素晴らしく貴重な体験だった。

 

 

 7.SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース


 この楽曲の音源を初めて聴いた時から思っていた。声出し解禁のLIVEでやったら全力でこの楽曲を楽しむと。楽曲は進化していくモノ。歌い手の成長や客席のチカラも加わる事で可能性は無限に拡がっていくのだから。『SUNNY PEACE HARMONY』は未知数の可能性を秘めた楽曲。

あくまでも自分の勝手な意見でしかないが、声援が加わったらこの楽曲、水樹奈々さんの『POWER GATE』やWake Up, Girls!の『7 Girls war』と同等の域まで進化出来る可能性があるって感じちゃったのよ。

 まあ、予感してた通り声援が加わって盛り上がらないワケがなかった。サニーピースの五人の歌声が重なり合って響くHARMONY。キャラクターとキャストの双方の歌声がシンクロするHARMONY。そこにサニピとファンの想いと魂が交わって響かせるHARMONYが加わってサニピの強さを誇示するファンファーレになった。

五人の輝きに負けじと、客席全体からコールが巻き起こるも、臨界点を超えて輝く彼女達の勢いに先行され、絡みついていく様に会場の熱量が上がっていく。

全身全霊で吠えたサビの『サニピ』コールでは、あの場と刻にこの身体と魂がある事に溢れんばかりの喜びを感じた。ステージで謳うサニピだけではなく、会場全体の誰もがあの瞬間に全てを出し尽くそうと血を滾らせて生きる熱さと魂の輝きを感じられたのではないだろうか。

 この楽曲は、LIVEにおいてサニピの鉄板楽曲というか、サニーピースの原点にしてテーマソング的な立ち位置にある楽曲。ほぼ確実に歌われる1曲になっているが、やっぱりこの楽曲をLIVEで聴けると何とも形容し難いエモーショナルな衝動に駆られるし、サニピが変わらずにこの楽曲を大切に想い歌い続けているんだと安心出来る所でもある。

それらは、詞にもある『変わらないまま変わっていこう』を体現している事に繋がってもいて、『SUNNY PEACE HARMONY』にこそサニーピースに惹かれ、共感出来る要素が詰め込まれている。原点にして本質でもあるアイコン楽曲の強さを魅せ付けられて思い知らされたんだ。

 

 

 8.全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 『ちょっと疲れた?じゃあ落ち着こうか』なんて優しい世界なんてモノは無い。『もう無理? いやまだいけるでしょ♪』とさくら達は言ってるんだろうとwwwwwそう。先人(水樹奈々さん)曰くLIVEとは戦いなのだ。さくら達は我々にオープンな殴り合いを吹っかけて来たとも言える。声出し解禁という最後の封印を解かれてこの楽曲は骨ごと喰らう楽曲へと進化してしまったと。

『SUNNY PEACE for You and Me!』から始動し、『SUNNY PEACE HARMONY』に繋げて、止めと言わんばかりのこの楽曲でもってサニピゾーンの締めとなる鮮やか過ぎるコンボが完成してしまった。LIVEのセットリストはいかにしてコンボを繋いでエモーションを盛っていけるのかと気付かされた。

 さて、この楽曲……過去のLIVEで声出し不可というデバフが掛かっていた状態にも関わらず、クッソ楽しかったアクトだったという実績がある。『奇跡』の参戦レポに、この楽曲もいつか思いっきり声出して盛り上がりたい一曲ですな~なんて能天気な事を書き殴っていたが、その刻と場が遂に訪れたのだと、興奮すると同時に未知への領域へ踏み込む事への恐怖もあって膝が言う事を聞きやしなかったww

もう、腹は括った。どうにでもなれと。(勿論、周りの人の迷惑にならん様に……)あるんだか、そもそも無いのか分からん俺の脳ミソのネジを余す所無く緩めまくって全力で楽しんでやろうと。まあ、楽しみ尽くす為にこの場に来てるんだし。

で……我々に対して殴り合い吹っかけた彼女達。歌いながら立ち位置が目まぐるしくチェンジしながら舞い踊るのは言わずもがなハードなんだが……キレッキレで尋常じゃない動きをしてたし、歌声もブレていない。限界領域を超えてHIGHになった彼女達はステージから会場を制圧しにかかっていた。それは、問答無用なパワープレイ。細かい理屈抜きの力任せで殴りかかって来る。コレ、そういう楽曲ぢゃねぇんだけどwww五人の気迫がそう思わせたのだと。

ゲームのストーリーの話になるんだけど、このアクトは東京編のクライマックスにて『SUNNY PEACE for You and Me!』を謳った時とサニピは同じ事をしようとしたと勝手に思っている。この『全力!絶対!!カウントダウン!!!』も、リミッター解除してゾーンに突入してこそ更に真価を発揮する楽曲。そりゃ、LIVE後に音源だけで聴いても参戦して感じた熱と興奮には至らないワケだ。

 まあ、笑いが止まらんかったよね。この笑いはゲラゲラと笑うというヤツじゃなく、乾いた笑い。
何か例えようが出来ない程に打ちのめされた脱帽の意味を持つヤツ。完敗でした。ステージ上の彼女達よりも楽しみ尽くしてやると臨んだが、誰よりもサニピの五人があのステージで楽しんでいた。

 

 

 9.(昼)最高優美ロンリネス/LizNoir


 サニピの時と同じ様に、ボイスドラマが流れた。その声の主達は、神崎莉央(CV:戸松遥)、小美山愛(CV:寿美菜子)、赤崎こころ(CV:豊崎愛生)によるモノ。聞いて驚きを隠せなかったし会場が一気にざわつき始めた。いやいや、まさかんなワケねぇだろ……どうせ声だけ出演的なヤツでしょ?と高括っている部分と、いや……この流れは(サプライズ)あるんぢゃないの?前科前例あったし。って期待してる部分あって、もう情緒が忙しい!!!


こころ『サプライズです!!!』(注:正確な台詞は忘却の彼方……)


 こころがそう言い放った瞬間会場全体が歓声で轟く。そして、戸松遥さん、寿美菜子さん、豊崎愛生さんがステージに本当に見参。葵(高垣さん)は参戦が叶わなかったが、このサプライズジャックに沸かないワケが無い。まあ……相変わらずこのお姉様方はやる事がエグいwww

そして、激熱さとクールでスタイリッシュ感満載なLizNoir楽曲の真骨頂とされる変態的なテイスト(褒めてる)なイントロが響き渡った瞬間、自然とヘッドバンキングしてた。

 サプライズジャックを託された者が果たす役割は一つしかない。圧倒的なパフォーマンスを魅せ付けて観客のエモーションを完全制圧する事。とは言え……葵抜きのリズノワさんは75%状態と言ってもいい不完全な状態。なおかつ、初手で披露する『最高優美ロンリネス』は新曲で声援解禁のLIVEでどれだけ盛り上がるのか?といったデータもない。今のリズノワさんは逆境の真っただ中に身を置いている。

でも、あのステージに立つリズノワさんはマジで強かった。その程度は逆境の内には入らないと言わんばかりに圧倒的なパフォーマンスを魅せ付けていった。逆境を打破して観客を魅了して制圧し、賑やかしで来たんじゃなく真剣にこの場と刻に向き合う為に、強いから戦うのではなく、戦い続けて来たからこそ強くなれた者として、この楽曲とLizNoirを甘く見るな!といった気魄を歌とダンスに込めて戦う。

 そんなの魅せ付けられたら興奮して我を失うってもんですよ。『凄ぇ』としか言葉が出て来ない程に圧倒された。でもその感覚が自然な人の性かもしれないと自己弁護しておくwww

ただ、莉央、愛、こころでの『最高優美ロンリネス』は前述した様に75%のチカラしか発揮されていない。やはり、葵(高垣さん)が入って四人全員が揃ってこそ、完全に真価が発揮されるモノだから、未来の刻でそれが叶う機会を待ち望みたい。

 

 

10.(昼)Shock out, Dance!!/LizNoir


 昨年の『奇跡』では四人全員の完成形。昨夏の『約束』ではサプライズで愛とこころverの披露。で、今回は莉央・愛・こころの三人verとして披露された。

リズノワさんの原初の楽曲にしてアイコンソングを締めに持って来たのは、原点回帰だったり、常に最新、常に前を向くといった意味合いなのかなと勝手に解釈させてもらった。走り続けるのは強くあり続ける為。莉央と葵はそうやってここまでの軌跡を駆けて来て、その背を見て追いかけてる愛とこころもそうなのだと。

 格好良い姿=強さを魅せ付けるという事。リズノワキャスト側の皆さんがどう思っているのかは分からないが、やっぱりLizNoirの楽曲を歌う以上は絶対に格好悪い所は見せられないという危機感や意識はある様に思うんです。月ストより、サニピより、トリエルよりも格好良くて強くなければならない。そこは絶対に譲れないLizNoirのPRIDE。

月ストとサニピは素晴らしいパフォーマンスで成長の証を刻み込んだ。頼もしいといった心情もあったでしょうが、まだまだ私達の背中は遠いぞという所も示さなきゃいけない。気合が入らないワケがなかった。前述した様にサプライズジャックした者の役割として、LizNoirのステージが圧倒的に凄かったという楔を撃ち込まなきゃいけない。

 力強くて激熱、艶やかさを含んだ歌声。聴く者全てにあぁ、リズノワがこの場にいると実感させる説得力。さも当たり前の様にやっているが、当たり前ではないのだろう。一回り、二回りと進化した成果なのでしょう。完敗でした。極上の挫折を味わってしまった……


 

 9.(夜)Top of the Tops/ⅢX


 サニピがステージから捌けていって暗闇に覆われたステージ。しばらくすると、モニターには妖しく光るネオンイエローで彩られたあのグループのロゴが映し出された。一気に堰を切ったかの如き勢いで巻き起こる歓声が凄まじかった……そして、響き渡る不敵で不穏な重低音を効かせた治安の悪さ全開なイントロがEmergency感満載でそこもまた痺れる。こんなイントロの楽曲を持ってるのはあのグループだけだ。



 ⅢXの襲来である。

 


 ボイスドラマを挟まずに、楽曲のイントロでカチコミかけて来る辺りは、ⅢXの大胆不敵さを象徴する様で痺れる程に格好良かったし、圧倒的ダーティなヒール感も堪らない。(あくまでも雰囲気の話で、作中の三人は正々堂々としてる。ただクセが強烈過ぎるがwww)

Lynnさん、田中あいみさん、村川梨衣さんが放っているオーラ(気)の圧が圧倒的過ぎた……ガンダムでいう所の『何だ、このプレッシャーはッ!!!』的なヤツ。(←伝わんのか?コレwww)

キャラクターも強烈だが、この楽曲も特異で尖りまくっておる変態楽曲。滾ってブチ上がってんだけども、初めて披露されるってのもあったんだろうが、コールを挟む余地が見当たらない感じ。いや、そうじゃなかった……三人が放つプレッシャーがそうさせなかった。私達のパフォーマンスは誰にも邪魔はさせない。黙って見惚れていろって。絶望すら抱かせてしまうボスグループとしてのPRIDEを誇示していく。

 楽曲に深みと安定感をもたらす村川さんの低音の歌声。甘く妖しい色香のある小悪魔感満載な田中さんの歌声、芯があって力強く瑞々しいLynnさんの歌声。ぶつかって取っ散らかりそうな三人の歌声だがそれぞれの良さがちゃんと際立つ。LIVEという場だとそれがハッキリと感じられた。

それに、痺れる格好良さと蠱惑的な妖しい色香を纏った迫力満点のダンスが視覚へ武力介入して来る。これらの情報が視覚と聴覚を通して脳ミソに情報として伝わって興奮へと誘われる。

 この世界観、楽曲のワールド、スリクスのゾーンは、これまでのアイプラLIVEとは一線を画す程に異質で強烈なインプレッションとして脳ミソに叩き込まれた。何もさせてもらえない完全敗北だった……


 

 10.(夜)Bang Bang/ⅢX


 引き続きスリクスさんのターン。この楽曲も振り切った中毒性のある変態楽曲。
初手の『Top of the Tops』がクリティカルヒットしてほぼ瀕死状態の所に、更なる強烈過ぎる一撃が客席を襲う。さしずめ、RPGのボスキャラの固有スキルとなる同一ターン二回攻撃と言った所かwww

ちなみに、こちらは行動不能(この楽曲も今の所コール挟める余地が無い)のデバフが掛かったままだ。ただ、コレはおそらくコンセプトとして、スリクスの楽曲にそういったモノ(コールの類)は似合わないというモノがあるのかもしれない。そうする事で他のグループとの差別化を図ったのかと。

スリクスにとっては、外部からのコールで干渉されるのは無駄なモノなのだろう。自分達の純粋なチカラだけで完全勝利とトップを目指す。そこにスリクスのアイデンティティが詰め込まれて演出になってる。不敵な格好良さと、内に秘めて青く燃え滾る炎の様な激熱さをスリクスはアクトのパフォーマンスに込めてた。見事だと膝を叩いて頭を抱えるしか出来ない……抗うのではなくただ振り回されるのが最善策なのかもしれん。

 ただ上手く歌うだけじゃ駄目、上手く踊れても駄目、それだけじゃこの楽曲はスリクスのステージとして成立出来ない。なら、何が出来るか?どうしたら徹底的に圧倒できるか。fran、kana、mihoの魂を感じられるのか。その成果がステージのいたる所に散りばめられていた。初めて見たからこそ、それらが色鮮やかに見えたのだと。

 ⅢXがアイプラLIVEに参戦するのは今回が初めて。その戦いは他のアイドル達とは明らかに違うボスグループとしてのシンプルだけれど圧倒的な強さを魅せ付けて魂に爪痕をきっちり刻み込んでいった。色んなインプレッションが脳ミソでぶわっと繋がっていって興奮になってたんだが、鳥肌が治まらなかった……
 

 

 11.パジャマパーティー/ぱじゃパ!


 『ぱじゃパ!』は、こころ×すみれ×千紗×すず×雫による越境グループ。それぞれの衣裳の上にパジャマの上着を羽織ってステージイン。立ち位置から察するにすみれ(夏川椎菜さん)がセンターという解釈で良いのかなと。

登場した五人(首藤さん、高尾さん、夏川さん、相川さん、豊崎さん)を目で追って、豊崎さんの姿に一番目を惹かれた。豊崎さんだけ上着の羽織り方が違っていて、肩を出す様に羽織っていてだな……エロ艶っぽかったのよ。

ただ、コレはこころのあざといモノ(※著者の偏見)を出そうとされていたのでなく、こころのリズノワ衣裳は肩部分に大き目な装飾があって、それを痛めない為に肩出す様な羽織り方をされてたのかなと。

 可愛らしさからもたらされる癒しにステータスを全振りしたこの楽曲。昼のLizNoirや夜のⅢXが魅せ付けた格好良さとの温度差が激し過ぎる。何だろうな。興奮して煮えた脳ミソを優~しく蕩けるまで揉みほぐされていく様な感覚に落とされる……コレは音源で聴いただけではそこまで落とされる感覚にはならない。実際に観て聴く五人の柔和でキュートな歌声とダンスが組み合って落とされる領域に誘われる。また、フューチャーベース調のメロディが沁み入る。

 ただ、可愛さを過度に出すと、盛り過ぎ感から逆に興醒めしてしまうし、単純な癒しの雰囲気を出し過ぎると物足りないインプレッションになってしまう。勿論、それらの演出で成立するアクトはあるんだけれども、ぱじゃパ!のパジャマパーティーというアクトではバランスを考えて立ち回らないと成立出来なくて観客のエモーションを揺さぶられないんだが、実際に体験すると……

ああ、可愛い。癒される。とにかくいい……とインプレッションの語彙力までも揉みほぐされて無力化された言葉を反復して五人の舞い踊る姿にどっぷり浸りきっていた。そうなれたのは、ぱじゃパ!の五人のパフォーマンスが絶妙な塩梅でもって魅せられたからなんだろう。

 終わった直後は、魂の浄化と言った方が正しい様な多幸感をこの身で享受していたのでこのアクトの詳細は憶えていない。前述の通り憶えていたのは、五人がただただ可愛かったという事しかない……

 

 

12.(昼)未来模様/長瀬琴乃


 この楽曲は、LIVEで聴いたら涙が流れるか、グっと込み上げて来るモノを感じながら聴くのかなと予想していた。でも、そうはならなかったんですよね。自分の感覚が麻痺して鈍くなってたワケでもない。イントロのピアノの旋律で、ヤバい!何か込み上げて来てるって感覚が沸いて来たし、何なら歌い出しの橘さんの声も切ない感じだった。

でも、『未来模様』を聴いている間は、泣けるような感情が沸き上がって来る事は無かった。それは、このアクトが物足りないインプレッションだったからかと言うとそうでもない。コレは、あくまでも自分の解釈でしかないが……そもそも、この楽曲は泣かせようという性質を持っていないという結論に辿り着いた。

  辛い現実に立ち向かい、乗り越える為の一歩を踏み込んだ悲壮な決意を胸に秘めた琴乃。
それがこの楽曲に込められたテーマだと自分は音源聴いた時から思い込んでいた。琴乃の内面、あるいは過去の琴乃との対話に焦点を当てた楽曲。歌い方のアプローチを間違えると前述した様に悲壮な歌に聴こえてしまう。

ところが、LIVEで聴いて感じられたのは琴乃の内側=過去の琴乃が見えてこない。それは、橘さんの意識がもう一人の琴乃(過去)に向いていなかったのだろうと。どちらかと言えば、今の琴乃と境界を超えた魂の対話を橘さんは謳で伝えていった様に思えてならない。橘さんと琴乃はステージで内側じゃなくずっと遠くの世界……未来を見据えていたんだと。

『未来模様』は悲壮な覚悟と決意を謳う楽曲じゃない。喜びと希望の謳。だから泣かせようという性質は待っていない。橘さんは信じている。琴乃が橘さんの手を握り返してくれる事を。だからこの楽曲は未来の希望と期待に満ちていなければならなかった。何度涙を流しても拭い去って。それはこの楽曲の意志なのだ。

 橘さんの歌声は素晴らしかった。濃密で熱く滾る血が楽曲に流れていた。更に、見えないんだけど隣に琴乃も居て一緒に謳っていた。最初から最後まで音源のみで聴く『未来模様』を完全に凌駕していた。何度でも言うがこの楽曲は悲壮感を押し出した楽曲じゃない。クソ真面目で強情で不器用で危なっかしい……でも、思い込んだら一途な強さを持つ長瀬琴乃の過去と今……そして未来へ向かう決意がある。

 だからだろう。歌っている橘さんの顔が終始凄く晴れやかで楽しそうだったのは。橘美來から長瀬琴乃へ、長瀬琴乃から橘美來への『song for you』でもあったと。ステージから橘さんと琴乃が見えた無数の青く光る心の光の先は無限の可能性と未来が続いている。

 

 

 12.(夜)もういいよ/川咲さくら


 サプライズジャックしたⅢXも凄かったが、夜公演はこのアクトが全部持ってったと言っても過言じゃなかった。川咲さくらがバケモンたる所以を思い知らされたと言ってもいい程に圧倒された。

この『もういいよ』という楽曲は、さくらのポジティブな部分とネガティブな部分が魂の対話を経て昇華して未来の旅路に踏み出す楽曲。それと同時に、川咲さくらと菅野真衣との魂の対話をしている楽曲でもあった。キャストとキャラクターの境界を曖昧にしてステージで魅せるってのは昼の部の『未来模様』と同質だがこのアクトは違った。

先の項でも書いた様に『未来模様』では、橘さんの隣に寄り添う琴乃と一緒に歌っていたと。しかし、このアクトでは、川咲さくら=菅野真衣だったし、菅野真衣=川咲さくらの魂が完全にシンクロして謳っていた。演じる役に魂が引っ張られるって話があるがまさにそれだった。

おいおい……コイツとうとうおかしくなったか?と思われるでしょう。うん、今これ書いてる俺も自分でワケ分かんねぇ事書いてんなって自覚は大ありだ……

 妄想と暴論の域でしかないが……その領域を引っ張りだした要因は、菅野さんの意識が、『さくらの謳を謳う』から、『ステージにさくらとして立って謳う』決意をもって立っていた。演じるのではなく、川咲さくらの人生と魂を背負って添い遂げる菅野さんの覚悟でもあるのだろうなと。そんな決意と覚悟を持った人が歌う謳。昼の橘さんのソロを見ていて彼女も何か思う所もあったのでしょう。

 歌い始めから何かがおかしい。見えないんだけど……もう菅野さんから何かが出てたんだ。
このアクトを総評すると、尻上がりに歌声に力が出ていて、後半の盛り上がり方が尋常じゃなかった。1番は音源と大差ない感じの聴こえ方だったんだけど、サビに差し掛かった時、スイッチがいっぺんに全部入って、音源での歌から完全に逸脱して、何だ!コレッ!!!っていう迫力が歌に宿り…


血が流れる魂の絶唱の域まで昇華してた。


 歌声の音圧でぶん殴られた的な衝撃を感じた。血が滾ったし、身の毛がよだって鳥肌が立って治まらなかった……アニメ9話でさくらが歌った『song for you』の画が脳ミソによぎってた。でも……このアクトの最高潮になったのはコレじゃない。Dメロ(落ちサビ?)で一瞬無音になる箇所があるんだけどここでの間の溜め方が神懸かっていた。

音源だと、この箇所の無音は1秒~2秒程なんだが、あのアクトではなかなか菅野さんはラスサビを歌い出さなかった。で、客席も息を飲むかの様に押し黙って静寂が会場を支配する。ちなみに、この無音を長く設ける演出の提案は菅野さん自身によるモノだと仰られていた。

測ってたワケじゃないからどの位かは分からない……いや、測るなんて無粋の極みだ。その無音で、おそらく菅野さんとさくらは魂の対話をされていたのだろう。それは、何人も割り込んではならない神聖な儀式。巡り逢いの縁と出逢いに感謝してこれからの軌跡を共に駆けていくといった言葉を交わしたのかもしれない。それは、さくらと菅野さんにしか分からないモノ。


そして……無音の終焉が訪れ、彼女の吐息からの魂の絶唱が響き渡る。


 この短い時間で更に限界領域を超えて2段階目のブーストを発動させた。それは、ありとあらゆるしがらみから解き放たれたかの様に晴れやかで温かさすら感じられる魂の絶唱。そんなの聴かされちゃどうにもならない……ただこの人凄ぇなって言葉しか出ない。

持てる真価を全て出し尽くすかのようなエモーショナルな絶唱。会場全体を支配してコントロールする力に圧倒されて、アクトが終わった直後は胸の中がもぬけの殻になるほど燃え尽きた。

 川咲さくらもバケモンだが、菅野真衣もバケモンだった事を思い知らされた極上のアクトだった。

 

 

 13.les plumes/TRINITYAiLE


 満を持して、パシフィコ横浜のステージに降臨するTRINITYAiLE。
初手に切って来たのは、アイコンソングにしてアンセムである『Aile to Yell』ではなく、瑠依・優・すみれの絆と未来の刻への希望を謳う楽曲。この選曲は意外に感じたが、おそらく今回のLIVEのタイトルに銘打たれた『未来』を最も体現している楽曲だからチョイスされたのかなと。

そんなに見て来たワケじゃないけれど、何と言うかトリエルさんのパフォーマンスは安心感を抱いて観ている。この楽曲のテイストも相まっているからってのもあるのだろう。『約束』の参戦レポでも書いたが、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんの清廉なハーモニーの聴き心地が堪らなくいい。瑠依、優、すみれが最も三人の息が合う楽曲を評した様に、キャスト側の三人もやりやすい楽曲なんだろうな。

 劇的で激熱な楽曲ではないんだけど、違うベクトルでもって熱い想いを沸き立たせてもらえる楽曲。この楽曲も、音源とLIVEで聴いた時の差がいい意味で大きい楽曲。奏でられて会場を漂う音に身を任せてドライブ感を体験出来る。

で、トリエルさんはやっぱり凄かった。素人の戯言でしかないが……この楽曲、難易度が特に高い部類の楽曲だと思うんです。早いテンポに感情の揺らぎをどこまで乗せられるかがキモになってる。それを掛け違うと淡々とした聴こえ方になると思う。それこそ、ちゃんと大空を翔けているドライブ感は創造出来ないし彼女達も翔べない。でも、見事に感情を乗せて翔んでいる。

 飾り気がなく、どこまでも真っ直ぐ。余計なモノは要らない。
彼女達の謳とダンス、それらの表現力で楽曲も世界観を見事に体現したステージ。それは、瑠依、優、すみれが、自分達の道を自らのチカラで切り拓いて翔けていくんだといった意志を刻み付けるモノだった。

 

 

 14.Magical Melody/TRINITYAiLE


 解釈はいろいろとあるでしょうが、このTRINITYAiLEver.はこれまでのTRINITYAiLE楽曲の集大成となる楽曲ではないだろうか。特に、巡り逢いの縁の奇跡に感謝を示す謳だと。

スピーカーを通じて低音が空間を揺らして、トリエル楽曲の真骨頂であるデジタルサウンドと相性抜群な、凛とした清涼感のある雨宮さんの歌声と、麻倉さんの甘さを効かせた柔和な歌声に、素直で伸びやかさのある夏川さんの歌声が折り重なっていって、一体感と高揚感を創造していく。

 誰の声も負けてない。勿論、いろんな加減はあるんだけども、三人全員全力出しても歌声が喧嘩せず三角形として成立する絶妙なバランスを醸し出している。ステージに視線を釘付けにして魅入ってしまいたい気持ちと、音に身を任せて踊らせたい気持ちとのせめぎ合いで、『どうすりゃいいんだコレ!!!』って頭抱えて悶えそうになる衝動を抑えたwww

間奏~ラスサビにかけて畳み掛ける様な三人の歌声。ここが突き抜けて羽ばたく様なイメージが湧いて来て堪らなく格好良かったのよね。ラスサビのパートはメロディが鳴り響いている中、三人のボーカルが冴えていてメロディに全然負けていない。むしろ、ボーカルがガンガンに主張している感じが痺れる。歌いたい謳がある。この三人にしか謳えない謳があるんだって。

 綺麗な音と歌声だった。でも、三人のパフォーマンスからは、譲れないPRIDE、退けない想いと魂が滾ってダダ洩れしていた様に思えてならない。音源ではそういった生々しい要素は出てないんだけど、このLIVEではそれを感じられた。それは楽曲が進化した事の何よりの証。


 それは、三人の想いと魂が魔力となり、謳に宿った奇跡。

 

 

 EN1.Gemstones/星見プロダクション


 星見プロ10人楽曲では、久しぶりとなる新曲。楽曲名の訳は、宝石へ加工する前の原石。
どこか落ち着いてしっとりとした沁み入る様な優し気な曲調。歌う10人も横一線に並んで、最初の立ち位置からほぼ動かず、紡がれた歌詞を噛みしめながら、語りかける様に歌っている姿が印象深い。

歌詞を深く読み捉える事が出来なかったが、穏やかだけど、背中を押してくれる様な決意と誓いの謳なのかなと思える。楽曲に銘打たれたGemstones=原石は星見の10人の事を指しているのだろう。彼女達はまだ宝石として輝いてはいないけれども、磨き方や加工次第で未知の輝きを放つ可能性に満ち溢れていると。

 曲後のMCで、佐々木奈緒さんが語られていましたが、この楽曲は麻奈に縁の深い楽曲だと。それを踏まえて見ると、原石という意味では麻奈もまだそうだったのだという解釈も成り立つ様にも思える。麻奈の日記にある楽曲について綴った項目があるが、その記述の中で、いつかたくさん後輩が出来たらこの楽曲はみんなで歌いたいという願いを綴っている。


琴乃はあるストーリーで、こう語った。


 麻奈は成仏してもステージにいてその存在を感じられると。そして、ステージで謳えばきっと麻奈に想いは届くと信じている。

 この楽曲がその楽曲がどうかは今の時点では分からない……仮にその楽曲だったなら、一緒に歌うという願いは叶わなかったけれど、意志と想いを継ぐ子達が謳ったあの刻は本当に尊くて素敵な瞬間ではないだろうか。

 そして、この楽曲もまだ真に完成してない未知の可能性を秘めた原石。ここから歌い継いでいってちゃんと血を流して輝かせられるのはこの10人にしか出来ない。5月に音源がリリースされた際には聴き込んで考えを巡らせようと思う。

 

 

 EN2.Pray for you/星見プロダクション


 ラストを飾るのは、祈りの謳であり、未来への希望と決意を謳うこの楽曲。
そんな謳を彼女達10人はどこへ伝えたかったんだろうか。麻奈の想いもあるだろうし、漠然な未来の刻への希望なのか。『IDOLY PRIDE』という存在なのか。多分、正解は彼女達の中にしか無いんだろうな。

 『私なりのプライド 魅せてやる』の箇所で拳を握って前に突き出す振り。あれ、いいんだよね。だからこそ試す。何一つままならない世界だからこそ、どこまで己のPRIDEを貫き通せるか。

…どこまで自分を信じて前に進んでいけるか。どんな未来が待っていても、今この瞬間に抗い続けて生き様を貫き通す覚悟や決意に満ちてて、生身の感覚がギュっと詰まっている。10人の生き様とPRIDEがちゃんとあるのを感じられなきゃ響いて来ない楽曲。だからこそ謳に血が流れて何かが宿るのかもしれない。器用で利口に何かをやろうとしなくてもいい。全身全霊を懸けて力の限り謳えと。

それもあって音源のみとは違った強さを現地で感じられたんだろう。アイドル達が持つ物語が増えて臨在間が増していく事で、詞の持つ意味が鮮やかに彩られていく。世界が彩られると言うべきか。

 彼女達が辿り着く先はどこなのか。ここから未来の刻ではどんな景色が待ち受けているのか。予想がつかない事もまた楽しみなのだと。

 

 

 あとがき


 終演して一気に疲労感が襲って来た。でも、それが滅茶苦茶に心地良かった。久しぶりになる声出し解禁となったLIVEは本当にクッソ楽しかったの一言に尽きる。失われていたモノが一気に還って来た嬉しさもある本当に素晴らしいLIVEだった。次のLIVEの開催が決定した事も発表されたのも喜ばしい事だ。

 

 

 

 最後になりますが……出演者の皆様、運営スタップの皆様、マナーをきちんと守って最高に楽しい空間を作り上げたマネージャー諸氏(参戦されたファン)に感謝を賛辞を。そして、この20000字越えのクソ長い怪文書を最後まで読んで下さった方……本当にありがとうございました。