巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #32 SUNNY PEACE for You and Me!

 

 

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 SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 メインストーリー『東京編』のクライマックスを飾るサニーピースの決戦仕様楽曲。 
音源は、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [未来]』に収録。ゲーム内の3DLIVEにも実装されている。

私見の域で恐縮だが、サニピのアイコンソング『SUNNY PEACE HARMONY』と、アンセムである『EVERYDAY! SUNNYDAY!』アンサーソングであり、楽曲の系譜とサニピの活動としても集大成の位置付けにある楽曲だと思っている。

 東京編の後半では、最強の敵として立ちはだかった、BIG4の一角である『ⅢX』(スリーエックス)に勝つ為に、サニピが目指すアイドルとしての在り方を模索して一つの答えを導き出した。その答えと、サニピの想いと絆……そして、新曲と新衣裳の全てのピースが揃ってやっとスリクスに届くと訴え掛ける。そんなサニピの強い決意と熱意を汲んだマネージャーは、新曲制作へのGOサインを出した。

作中では、この楽曲の作詞を、さくら、雫、遙子が、衣裳のデザイン案を千紗が、ダンスの振りは怜がそれぞれ担当する事に。イベントストーリー『導きのファンファーレ』では、さくら達がこの楽曲の作詞に苦心した過程が描かれていく。

 どうにか完成した新曲を引っ提げ、サニピはスリクスの決戦へ臨む。仕掛けられた卑劣な奸計(音響トラブル)にも負けず…ようやく巡って来た披露の刻。自分達が楽しみ尽くす事、それを観た観客も楽しんでもらいたいという純然な想い、月スト・トリエル・リズノワの想いと魂も背負ったサニピは限界を超えたゾーンの領域のその先へと踏み込んだ。

そのパフォーマンスの質は凄まじかったが、反動も凄まじく、一曲歌っただけでサニピは疲労困憊な状態に陥ってしまった。その領域の先に踏みこめたラストピースになったのは……メンバーの想いは勿論の事、前述した月スト・トリエル・リズノワの想い…そして、ファンの想い。更には…戦う相手のスリクスまで巻き込んだのだと。数多の人の意志を力に変え膨大なエネルギーを得てサニピが謳ったが故のモノなのだろう。

 サニピを観た琴乃は『怖いぐらいに凄くて、観ているだけで心が持っていかれそう…さくらとサニーピースとまるで一つになった感覚』だと語った。そして…相対したスリクスもサニピのパフォーマンスに影響されてパフォーマンスの質が格段に上がっていたというのは理屈や人智を超えた力としか言い様が無い。

 この戦いの結果、サニピが見事スリクスに競り勝って『I-UNITY』の優勝を飾り、更にBIG4の一角となった……という所で東京編は無事に幕を下ろした。

 ようやく楽曲自体の話になるが……冒頭でも言及した様に、この楽曲は『SUNNY PEACE HARMONY』と『EVERYDAY! SUNNYDAY!』の系譜に連なる楽曲で、集大成であり、アンサーソングとしての位置にある楽曲であると自分は考えていて、そう捉えている大きな二つの要素がキモとなっている。

一つ目は、明朗快活な曲調となるバンドサウンドが主軸になっているが、ちょっとしたセンチメンタル感というかしっとりしたモノがエッセンスになって楽曲に深みをもたらしている点を継承している事。楽しい雰囲気を感じるけれど、その明るい中にもどこか陰の要素を感じさせるのがサニピ楽曲の真骨頂なのかと勝手ながら思っている。(陰の要素についてはEVERYDAY! SUNNYDAY!の項を参照)

 Aメロでは、サニピの五人が抱えている不安や葛藤といった『負』の感情を表すかの様なセンチメンタルな曲調で構成されていて、この『静』の要素は起承転結の『起』になるモノ。続くBメロは、『負』の感情を踏まえつつ…奮起していく心情が展開されていく。ここから歯車が噛み合って徐々に勢いが増していく様にテンポ感も増していき、サビで一気に『動』と『陽』の雰囲気を纏って盛り上がっていく。

 二つ目は、言わずもがな、この楽曲の世界観を構築している歌詞。
大方のテーマになっていると感じたのは、『今までと これからが 繋がっていく 今は そんな旅の途中』という詞が示すサニピのアイドルとしての軌跡そのものではないだろうか。そして、詞の一節に『EVERYDAY』『SUNNYDAY』『ハーモニー』(SUNNY PEACE HARMONY)といった系譜としての繋がりも『旅』で得た大切なモノの一部でもあった。

過去から現在の刻、未来への刻へ……巡り逢いの縁という奇跡、良い事も悪い事も全てに意味があってその旅路を彩って来たモノ。それは、キャラクター側のサニピもそうだし、キャスト側のサニピのメンバー達にも通じるモノと言っても過言ではない。当然な話だが、菅野真衣、結城萌子、佐々木奈緒、高尾奏音、首藤志奈の想いと魂もピースの一つとしてきっちりと存在している。

だからこそ、サニピの歌声が融合して楽曲に血が流れて生命が吹き込まれた。集大成であり、全てと繋がるこの楽曲では、キャラクターのとキャストの境界をも超えて繋がる力まで宿らせるに至ったと思っている。

 サニピを取り巻くあらゆるピースを寄り集め、一つの絆としてまとめる力…それを担っているある言の葉こそが、この楽曲及びサニピの軌跡の象徴であり最大の『キモ』になる。
 

 この指止まれ!

 隣の笑顔 寂しい顔も 繋がればほら幸せ!

 SUNNY PEACE for You and Me!

 ―サニーピース『SUNNY PEACE for You and Me!』より引用


 『この指止まれ』子供が遊び相手を集めたい時に、人差し指を立てて空に掲げて言い放つ言の葉。単純明快だけれども、力があり胸を打つ言の葉。さくらがずっと悩んで埋まらなかったラストピースでありフレーズだった。掲げた人差し指の下に続々と集まって沢山の笑顔がそこにあり一つに繋がれる。サニピが目指す『WHAT IS “IDOL”?』の答え。そんな力のあるフレーズから突入する決め所のサビが盛り上がらないワケが無い。

人が集って、魂が一つになって想いが繋がる……それは、現実のLIVEでも顕現した。

 2023年2月18日に開催された『LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2023“未来”』でこの楽曲は謳われた。このLIVEは待ち望んだ観客の声出しが解禁されたLIVE。サビを謳う彼女達の歌声と共に、一斉に会場に響き渡った観客の勢いと気迫が宿ったコールの凄まじさは、まさに琴乃が作中で言っていた『サニーピースとまるで一つになった感覚』と称しても過言ではなく、あれから刻が経った今もなお、自分の記憶に強く焼き付いている。

 さくら、怜、遙子、千紗、雫だけが『サニーピース』じゃない。応援してくれるファンも含め『サニーピース』なのだとさくらは言う。この楽曲のジャケット画像に描かれるさくらは、こちら側に手を差し伸べている。彼女は本気で皆と繋がれると信じて疑わない。怖いぐらいに純粋に……

とは言え……素直に全員がポジティブに繋がれるワケではない。それでも、さくらは手を差し伸べ続けるだろう。誰も置いてけぼりにはさせない。手が届かないのならわざわざ降りていってまで強引に手を繋いで一緒の旅路へと導くのだろう。

 川咲さくらは誰も見捨てない。そもそも諦めるという文字がこの子の辞書には存在してない。それは、病魔に侵されながらも生きる事を絶対に諦めなかった者として貫き通した意地とPRIDEが揺るがないモノとして存在しているからだと思えてならないのだ。


 そう願って動くのは、さくらにとって自然な事なのだと。