巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #55 Hi5でピースサイン!

 

 

 

Hi5でピースサイン!/サニーピース


 初出は2023年7月15日に開催された『IDOLY PRIDE VENUS PARTY THE FIRST』DAY1。
『SUNNY PEACE for You and Me! 』から一年ぶりとなったサニーピースの楽曲。音源は本曲単体での配信リリースに、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [chronicle] 』に収録。 

 サニピ楽曲のアイデンティティになっている爽快で明朗な雰囲気が主軸になっているが、そこはかとなく漂っている切なさといった『陰』の雰囲気を併せ持った楽曲に仕上がっている。サニピの『アンセムであり、川咲さくらの本当の歌声で謳われた自立と新たな門出となる楽曲『EVERYDAY! SUNNYDAY!』を経て……新たな旅路を往く新たなサニピの『アンセムという解釈も出来ると思う。

 新たなサニピの『アンセム』と称した様に、おそらく今後のメインストーリー(星空編)におけるサニピにとって重要な位置付けになっていく楽曲だろうと自分は勝手に思っておる。曲調や歌詞からは、前述でも触れたそこはかとなく感じ取れる切なげな雰囲気。

サニピはとにかく前へ前へと突っ走って『BIG4』の座に就く事が叶った。彼女達の立場と環境が変化しても変わらずに前へと進んでいるが……大切な何かを置き去りにしてしまっている不安を感じていた。もしくはこれから痛感していくのかもしれなくてサニピは行き詰ってしまうかもしれない。おそらく現在展開されている『星空編』でサニピの挫折が描かれるだろうと思っておる。

そんな状況を踏まえて、一度立ち止まって自分自身を見つめ直し原点(初心)に立ち返り、魂が還れる楽曲になるのではないかと。本曲が『EVERYDAY! SUNNYDAY!』の系譜に連なっている事を強く印象付けさせたのは『始まり』『小さな花』という歌詞。この二つの詞がさくらとサニピの魂が原初に還るためには必要なPEACEだと思える。

 明言されていないが……この『小さな花』とはサニピにとっての絆の象徴であるネモフィラの花を指しているのだろう。『始まり』は言葉通りでサニピの『始まり』の刻。結成して走り出したけど…何かがズレてすれ違っていた頃、星見市の事務所近くの公園で咲き誇っていたネモフィラの花畑で肚を割って想いをぶつけ合って一つのグループとして足並みが揃った。そんな懐かしい日々を追想している様な歌詞とメロディ、そして五人の歌声が楽曲に血を流していく。
 
 サニピは『BIG4』の座に就き、今もなお輝きを増しているがその輝きによって見失うモノもあった。この切なさの正体は彼女達の強過ぎる光なのかもしれない。でも、そんな不安に抗って再び前へ突き進もうとする決意に満ち溢れる様な曲調と五人の歌声は大袈裟だが……未来への希望と魂が再生されていく模様を描写していると思えてならないのだ。

冒頭の(しょうもない…)四方山話でも語ったが、本曲の要になっているのは爽快で明朗な雰囲気はありながらも主張し過ぎていなくて、どちらかというと切なさを感じさせる雰囲気の方がやや主張している気はする。しかし、どちらの要素もバランスが崩れると本曲にちゃんと血は流れない。そのバランスの均衡をきっちりとキープさせているのはただ唸るしかないほどに見事。

 さくら、怜、遙子、千紗、雫の関係性は今更ながらだが…もうずっと傍で寄り添っているのが当たり前になっている。おそらく、どんなに引き裂かれようともまた縁と繋がりを取り戻せるのだろう。

川咲さくらは自分の目に入る人の手を絶対に離さない諦めの悪さがある。そして、怜、遙子、千紗、雫もそう。五人はこれまでもどんなに不遇の刻でも諦める事はなかった。そんなグループが自分達の輝きに呑み込まれて消えるワケが無い。誰か一人が置き去りになってしまっても強引にでも手を繋いで引っ張ってまた駆け出していく。それがサニピの意地とPRIDE。

 サニピが持ち合わせている『陰』の要素もまたサニピの明るさを引き立たせる要素。
何度行き詰って躓いても絶対に諦めない。迷わない。この五人なら真の光が差す明るい未来へ往く事が出来ると信じている。

本曲は、そんな純然な願いと決意をもって謳われるサニーピースにしか謳えないサニーピースだけの新たな『アンセムであると思い知らされたのだ。