巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #57 CHOOSE ME CHOOSE ME

 

 

 CHOOSE ME CHOOSE ME/fran

 

 初出は2023年7月16日に開催された『IDOLY PRIDE VENUS PARTY THE FIRST』DAY2。
音源は本曲単体での配信リリースに、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [chronicle] 』に収録された『ⅢX』のセンター(リーダー)・fran(CV:Lynn) のソロ楽曲。

いつかは彼女(山d…ぢゃなくfran)のソロ楽曲が来るだろうとは思っておったが、またもやTRINITYAiLEの天動瑠依とLizNoirの神崎莉央を差し置き、franのソロ楽曲が先に発表された事は本当に予想外で驚きを隠せなかった。

 曲調は、彼女(fran)が所属するスリクス楽曲を彷彿させる低音域を効かせたダンスチューン系の楽曲。加えて行進曲(マーチ)の様な力強さや勇ましさも感じられて、シンプルに評すると『格好いい』楽曲に仕上がっている。

山d…もとい、franを演じるLynnさんは演じていての発見やより好きになったところについてこう語っている。

 

 

 franちゃんは見た目の雰囲気から「何でもできる、完璧な人なのかな」と最初は思っていたんですが、苦労して、失敗して、そこからはい上がってきた分、泥臭い部分もあって。

演じていくうえでもギャップがどんどん出てきて、最初の印象よりも「なんだ、この子、かわいい子なんじゃん」と私自身も思うようになりました。

マネージャーさんたちもきっとそういう一面を見て、徐々に親近感が湧いているのかなと思います。


 出典:LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS PARTY The First パンフレット

 

 

 Lynnさんのコメントにもある様に、franのパブリックイメージとして目立つのは『完璧でいて隙がない強い人物』といった所か。歌詞にある「完璧でいたいモノ!どんな時も」や「曖昧で居たくないそんな時も」はfranの貫き通す『我』とPRIDEが表れている様に感じられる。

一方で、ストーリー本編やカードストーリーなどで描かれる彼女の実直で潔く正直な性格も歌詞に反映されている様に思える。それを含めてfranの言ういついかなる時でも「完璧」であり「曖昧で居たくない」に結びつくのだと。

 そして、本曲の歌詞で自分が面白いと感じたのは、franが感じた表現の世界に対するインプレッション。成程、彼女には表現の世界がこう見えてるのかと唸って膝を叩いた。

インパクトが強かったのは「簡単にいなくなっちゃう」「簡単に終わってしまう世界」という詞と、「天才と謳う世界で誰もが戦い足掻いて」という詞である。これらの詞からは彼女が過去から現在という刻の経過で見て来た表現の世界の無情で理不尽な部分を色濃く表しているのではないだろうか。

おそらくfranは、これまでで多くの『天才』と称されるバケモン人達を見て来たり、競い合ってきたと思う。そんな中、彼女を含め生き残った者もいれば逆にフェードアウトして忘れ去られた者もいる。『天才』だからといって絶対に生き残れる確約が無いのも表現の世界にある理なのだと。そういう世界で戦ってきたfranにとって失敗からの敗北というのに敏感で並みならぬ恐怖を抱く。でも、その恐怖を受け入れ前と上だけを真っ直ぐに見据えて彼女は今もなお戦い続けている。

 Lynnさん曰く、本曲は自分を高める強強曲との事。
その言葉を証明する様に本曲は聴く人の背中を押して魂を奮い立たせる様な『決起の謳』でもあり、franが道を切り拓いて導いていく強さもあり、更には負の感情に苛まれ道を見失いそうになるfran自身を鼓舞する『対話の謳』でもある。

その燃料になってるのは彼女の抱く『夢』と『野心』が血肉になって現在のfranの姿になっていって……スタイリッシュ&クールでアグレッシブなメロディに、Lynnさんの凛とした格好良さと情熱的に歌い上げていく歌声と叩き上げの魂が本曲に血を流していく。
 
 タイトルの『CHOOSE ME CHOOSE ME』は、「叶えてよ」「曝け出せ」「夢見せて」と彼女のありのまま全ての想いと感情を解き放って「私を選べ!」と高らかに吠える。それは偽りの無い本心からの魂の叫びであり、何としても生き残ってやるという執着も楽曲へ宿っている。

表現の世界で生きると決意してから、ずっと彼女はこうやって叫び続け戦って来た様に思えてならない。それは何もせずただ黙って見てる者をすくい上げてくれる…そんな世界なんてどこにもない事を痛感していて、心の蓋を外し意志を示す為に『我』を貫き狂奔してfranが信じる道を往く。それが、彼女の自信とPRIDEへと繋がっていって、最も価値のある強さだと思えるのだ。