巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #10 Shock out, Dance!!



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 Shock out, Dance!!/LizNoir


 バンプロダクションに所属する、神崎莉央(CV:戸松遥)、井川葵(CV:高垣彩陽)、小美山愛(CV:寿美菜子)、赤崎こころ(CV:豊崎愛生)の四人によるアニメ版(星見編)における、ライバル(ボス)グループの一角『LizNoir』の楽曲。*1

LizNoirの楽曲では、一番早い時期に発表されリリースされている。アニメ版では第3話の挿入歌であり、作中で当時の時間軸では、小美山愛と赤崎こころは当時はまだバンプロの養成所のアイドル候補生だった為、3話にて歌っているのは莉央と葵のデュエットになっている。*2

 LizNoir楽曲の系譜で、大きな特徴として挙げられるのは、アグレッシブな激情を謳うハードロックテイストとちょっとした影の要素を感じさせるビートが激しい変態性の強い楽曲揃いで、この二つの要素はリズノワ楽曲の主軸を担っている。

星見プロ、月スト、サニピ、トリエル……そして、長瀬麻奈の原初の楽曲は、そのグループや個人が持つアイデンティティを示す『アイコン』(象徴)として確立させていると感じられる。

グループの紹介文にある比類なきパフォーマンス(=Dance)で魅せる(=驚愕させるの意=Shock out)。楽曲タイトルの訳は違って来るが……リズノワ原初の楽曲とされるこの楽曲も他のアイドル達に違わずリズノワ楽曲の『アイコン』としての役割を担っているのだと。


 前述にもあった様にこの楽曲は、影の要素(=負の感情)を忌憚なく盛り込んでいる。
象徴しているのが、詞にある『痛み』という直接的な言葉に、痛みを想起させる間接的な言葉の羅列ではないだろうか。それを立証しているのが神崎莉央と井川葵が辿って来たアイドルの軌跡。



 Don't stop Dance 誰もが痛みを抱えてる

 もう会えない人に会いたがる 

 No no! さあ心を闇から取り戻せ

 新しく始まれ 生まれ変われ My dream!


 ―Liznoir 『Shock out, Dance!!』より引用



 ド直球なここの節に、この楽曲の真髄がある。受け入れ難い痛みを受け入れて前に進まなければならない。でも、それが出来ない。ここで示している痛みとは、作中で麻奈の他界という現実を受け入れられず、アイドルから身を引く決意を固めていた莉央の心情だったり、莉央が再びアイドルとして戻って来る事をただ信じて待ち続けていた葵の心情とリンクしている節の様に思える。

推測の域を出ないが、『もう会えない人に会いたがる』の会えない人というのは、長瀬麻奈の事なのだろう。もう会えない人と謳う時、莉央は麻奈への想いを込めて謳っているに違いないと。

そして、受け入れがたい痛みを受け入れ再起する心情も綴られている。莉央が再びアイドルの軌跡へ復帰した事だったり、愛とこころというLizNoirの新しい血が加わり四人のLizNoirとして、新しく生まれ変わる決意も込められているのだろう。これは、莉央の魂の再生を謳う楽曲でもある。

 

 

 

*1:愛とこころは結成当初からのメンバーではなく、アニメ最終話のエピローグにて加入。

*2:この楽曲の莉央&葵バージョンの音源はリリースされていないが、公式YouTubeチャンネルに莉央&葵verによるバーチャルライブがある