巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #54 ひめごとリップ

 

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 ひめごとリップ/TRINITYAiLE


 初出は2023年7月15日に開催されたIDOLY PRIDE VENUS PARTY THE FIRST』DAY1。夏をテーマにしたTRINITYAiLEの楽曲でセンターは天動瑠依ではなく鈴村優が務めている。

現時点(2025年1月時点まで)で発表されたトリエル楽曲において、瑠依以外のメンバーがセンターに立っているのは本曲のみ。音源は3DLIVE映像と単独での配信。アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [chronicle] 』に収録されている。

 楽曲タイトルに銘打たれている『ひめごと』(秘め事)とは、隠して人に知らせない事柄、内緒にしておきたい事を意味する言葉。しかし、『ひめごと』の正体となる核は明確にはされていない。

ラブソング(ただし、禁断となるひと夏の恋的なヤツ…)としても成り立つし、本曲を題材にしたイベントストーリー『おしごとシークレット』にて描かれた大切な仲間にも隠し通したい秘密を謳ってる様にも解釈できる。あるいは、抱える秘密を暴こうとする者を手玉に取って翻弄させるあざとさも感じられる楽曲といった解釈も出来てしまう……ここまでに挙げたのはほんの一部だが幅広い解釈が出来る歌詞は秀逸だと思える。

 曲調の方だが、他のグループ(月スト・サニピ・リズノワ・スリクス)の夏曲と比較していくと、劇的に盛り上がっていく感じではなくややゆったりとした軽妙洒脱なデジタルサウンドのテンポの小気味よさ。一方で、あまり主張はしてこない要素ではあるが時折出てくる掴み所の無いミステリアスさもある。

これらのインプレッションは、センターである優のパーソナリティとの繋がりが深いと自分は捉えていて、トリエルの三人による楽曲というかは、優のソロ楽曲とまでは言わないが、彼女が主役の楽曲という特異性を本曲にもたらしている。メロディになぞって三人の歌声もA~Bメロでの沁み入る様な聴き心地の良さ、サビで解放される弾ける様な爽快感とのギャップ差が聴覚に纏わりつく中毒性を醸し出す。

 それは、センターに立つ鈴村優が創造した魅惑と魔性の領域。それに抗う事は無駄だと思い知らされ頭を抱えた……でも、その領域へ踏み込みたくなる衝動を抑えきれないのも人の業であり性だったりすると思えてならないのである。