巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #5 First Step



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 First Step/長瀬麻奈(CV:神田沙也加)



 この作品においての『スペシャル・ワン』と称される伝説となったアイドル・長瀬麻奈のデビュー楽曲であり、代表的なアイコン・ソング。

作中でもこの楽曲の存在感は大きいモノで、川咲さくらが歌うカバーバージョン(IDOLY PRIDE Collection Album [約束]に収録)アニメ2話で、レッスンの一環として星見駅の前で長瀬琴乃と川咲さくらがデュエットで歌ったり、ゲーム版・星見編の最終話では、星見プロ十人全員で歌ったり……とにかく作中登場機会が多い楽曲。


本稿では、長瀬麻奈(CV:神田沙也加)のオリジナルバージョンと、川咲さくら(CV:菅野真衣)によるカバーバージョンに焦点を当てて書いていこうと思う。


 作詞はPA-NON氏、作曲&編曲は田中秀和氏。おそらく『IDOLY PRIDE』という作品自体は知らなくても、田中秀和氏が手掛けた楽曲『First Step』は耳にして楽曲だけは知っているという人は多いのかもしれない。
  
自分は、コード進行とかは全く疎い人間なので解説不可能ですが……世の声によると『進行がおかしくて変態的』や『天才の所業』などという賞賛の声を目にした。この楽曲のBPMは223と速い楽曲という分類になるけれど、聴いている感覚ではそう速くは感じられないが、ラストに差し掛かった辺りで速さを感じる事が出来たので、そこに至るまでにいろいろと仕込んであったのだろう。


 そして、この変態楽曲に血を流した神田沙也加さんの歌声がまた絶妙かつ見事なモノ。
曲調と彼女の歌声との親和性は、鍵と鍵穴がガッチリと一部の隙間もない程に見事にハマって、前述でも触れている全体的に速いテンポの楽曲なんだけれども、その速さを感じさせず、むしろゆったりしたミドルテンポの楽曲だという錯覚をリスナーにもたらしている。その差分が不協和音ではなく非常に聴き心地の良いモノになっているのは脱帽の一言に尽きる。

田中さんが神田さんならこう歌うだろうという計算されたのか?神田さんがこういう風に歌えばこの楽曲にきっちりと血を流せる歌い方に寄せたのか?それとも、完全な双方のフィーリングが高いシンクロを果たせた結果こうなったのかは分からないが……作中において『スペシャル・ワン』と称されるアイドルの楽曲に相応しく強い楽曲を評するしか出来ない。



 で、川咲さくら(CV:菅野真衣)によるカバーバージョンでは、PA-NON氏が綴った詞の内容とさくらの生きた軌跡をなぞるかのようなインプレッションを抱かせる。それは、同じくPA-NON氏が詞を綴った麻奈の幻の楽曲『song for you』の世界観と一致していると勝手ながら感じてしまう。

 

完全な私見の域だが、『First Step』と『song for you』は繋がりが密接な姉妹曲という見方も成り立つ様に思えなくもない。

 

ただし、このカバーバージョンでのさくら(菅野さん)の歌い方は麻奈をなぞった歌い方では無いと言う。それは、様々な経験や苦悩を経てさくら自身が感じて掴み取ったアイドル・川咲さくらにしか出せない歌声で歌われる、リスタートの意味を含んだ『First Step』始まりの一歩なのであると。

柔和かつ快活で、前向きな未来の刻への希望を感じさせる菅野真衣さんの歌声は、神田さんが歌われるオリジナルバージョンと遜色ない見事なインプレッションを抱かせる。



 変態楽曲の宝物庫(※著者が勝手に命名と称されるアイプラ楽曲だが……この楽曲がその始まりなのかもしれない。そういう意味も含まれての『First Step』なのだと(絶対違う)