巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

DayRe:楽曲ライナーノーツ#10 ヒトリ狼

 

 ヒトリ狼/DayRe:


 2ndEP『刹那的ロマンティック』の2曲目に収録されている楽曲。


 本曲のタイトルに銘打たれた『狼』が荒野を疾走している情景が浮かんで来る様な、エキサイティングでアグレッシブなイントロで幕を開ける。イントロの時点からもう『格好良い』系統の楽曲なんだろうなという予感を抱かせる。ジャンルで言うなら、デジタルロック調になるのか。(と、いうインプレッションで本稿を進める。)

格好良い系統の楽曲であり、全体通して疾走感満載のテンポ。所謂、(テンションが)アガれるテイストの楽曲ではあるが…単純にアガれるテイストに落ち着いていない様に感じられた。これらの要素よりも強烈に本曲から感じられたのは野性味溢れる無骨さ。それを出しているのが五人の歌声ではないかと。

 メロディは洗練された格好良さを纏っている。だが、五人の歌声からは、メロディを忠実にそのままなぞって歌っていくのでなく、生の感情やら湧き上がってくる衝動を叩きつける様な歌い方をしていると感じた。そうしないとメロディの勢いに歌声が負けて埋没してしまうのだろうか。

そして、本曲は五人全員や複数でのユニゾンが一切無い。これまたタイトルに銘打たれた『ヒトリ』に関連しているのだろう。五人それぞれの『個』にクローズアップして惹き立たせていく狙いがあるのかなと。

 その野性味やら無骨さのキモになっているのは、中・低音域での歌声かと思っている。俗に言われるパンチを効かせる的な歌い方。情念を宿すでもいい。スタイリッシュなメロディと彼女達の歌声のギャップがいい相乗効果をもたらして楽曲に深みが出てくる。サビではどうしても高音域が際立つが、それでも過度に張り上げて歌う形では無いのがまた良い。


 楽曲タイトルの『ヒトリ狼』。別の言い方をすれば一匹狼とも捉えられる。ただ、本曲の世界観の基になっているのは人についての比喩としての一匹狼。集団の同調圧力に屈しない気高い姿勢に魅せられた者が『決意』『覚悟』を歌う『戦いの謳』。だとすれば…野性味のある歌い方をしているのは納得が出来る。(※あくまでも個人のインプレッションだが…)

歌詞を構成しているワードを見ていくと、攻撃へと全振りしたアグレッシブさが宿る。しかし、圧倒的な強さはまだないが…自分の弱さをちゃんと受け止めてどうにか抗おうとする強固な意志表示になっていく。弱いからと嘆いて何も動かないのでなく、弱いからこそ動き続けて戦うべきだというメッセージにも捉えられる。

その未来への戦い方は決してスマートでスタイリッシュじゃない。どんなに無様で不格好で傷だらけでも生き残って最後に勝利者として立つ。その決意と覚悟からは並ならない野心と意地が溢れている。この要素も彼女達の歌声に血を流していく大きな要因なのかもしれない。


 歌詞に出てくる『僕』の決意と覚悟に触れてみると、どうしてもDayRe:の五人の生き様がオーバーラップして来る。特に、自分の弱さを認めて受け入れて戦う意志を貫こうとする姿勢は歌詞に添っている部分だと思う。

彼女達の見据える未来の軌跡は、真っ暗闇かもしれない。または、荒れ放題の荒野なのかは分からない。ただ、それでも……五人の双眸からはギラついた輝きを放って未知の領域へと踏み込んでいくのだろう。何故なら、彼女達はそうやって生きて来たから現在の刻があるのだ。