巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #38 Blue sky summer

 

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 Blue sky summer/LizNoir


 夏をテーマに掲げたLizNoirの楽曲。音源は、単独でのダウンロード販売と、アルバム『IDOLY PRIDE Collection Album [未来]』に収録。他は、リリックビデオが公式チャンネルにて配信されている。

 LizNoirが主役になっているイベントストーリー『熱中☆ハプニングサマー』では、この楽曲の制作経緯が主軸となって描かれていく。

夏フェスに出演する事となったLizNoir。バレンタインフェスでは、こころと愛が新曲制作で頑張ったから、夏フェスでは莉央と葵が夏をテーマにした新曲を企画して欲しいと頼みつつ…二人は忙しいから無理じゃないかとこころが煽る。彼女の挑発に乗る形とバレンタインフェスで頑張った後輩達に負けるワケにはいかないとばかりに、新曲制作に臨んだ莉央と葵だったが…上手い事進まず行き詰まってしまった。

そんな惨状を見かねたこころと愛は、合宿と称して二人を無理矢理に沖縄へと連れ出す。しかし、そこでも様々なアクシデントが四人に降りかかる……莉央と葵はこの状況をどう打開して楽曲を完成へと導くのか?こころと愛の本当の想いとは?そして、莉央と葵の後輩達への想いは?このストーリーはそれらがキモとなって展開されていく。

 楽曲タイトルを訳すと『夏の青空』と言った所か。額面通り捉えるとそれこそ夏の青空を想起させる様な爽快感満載なサマーソングかと思いきや、イントロでそのインプレッションは見事に打ち砕かれる。怒涛のハードロックテイスト、ダイナミックかつハイテンポが特に印象的でヘッドバンキングしたい衝動に駆られてしまうアイプラ楽曲屈指の変態楽曲に仕上がっている。

夏の曲の定番とされるテーマは、ひと夏の恋愛、海、花火、夏祭りというモノを組み込んだ楽曲が多い。しかし、この楽曲とLizNoirの考える夏は違っていた。イベントストーリーの葵のある台詞がこの楽曲に魂を宿して血を流す。

 

 

 せっかくの夏なのにさ、恋するだけでいいの?

 
 他にもやること、あるんじゃない?って

 

 

 夏の解放感に任せ、ハイテンションで楽しんでただ遊ぶだけが夏の真髄ではない。それで刻を浪費するだけで良いのか?と、リズノワは世に蔓延する夏の過ごし方の多数派にアンチテーゼを唱えていく。ハードロック調のテイストに変態性、そして、多数派へ真っ向から異を唱えていくアンチテーゼ的要素は、『Darkness sympathizer』の系譜に連なる楽曲であると言っても過言ではないだろう。

恋したり、遊んでいる暇なんて無い。何もそこまでしなくても…と思うだろうが、彼女達はそれ以外の生き方を知らない。いや…捨てた。何故なら、それらを犠牲にしてまでも叶えたい大切な夢と、貫き通したいPRIDEが彼女達にはあるから。だからこそ、この楽曲からは悲壮感といった負の要素は全く感じられない。

タイトルに銘打った『Blue sky summer』の訳である『夏の青空』には、四人の振り切った清々しい潔さみたいなモノも含まれていて、トップアイドルの頂に立って見える景色という見立てでもあるのだろう。

 彼女達が信じているモノ以外には背を向け『夏の意味を決めるのは自分次第』と謳うその姿は、ただただ気高い。他者にも自分自身にも向けられる厳しさは、夢を叶える事は甘いモノではない事を痛感しているからだろう。四人にとっても『勝ちたい』気持ちは偽り無い本気の想い。目標を見失わず己の信念とPRIDEを貫き通して四人が信じた軌跡を往く。

変態性のある激しいメロディは、彼女達に降りかかって来る困難を模していて、四人はその激しいメロディに負けない為に力強い歌声を響かせる。

 メロディの『熱』と、四人の歌声の『熱』がぶつかり合いによって、更に燃え滾る『熱』へと昇華していく。その熱の凄まじさはリスナーの身を焦がす様な熱気を帯びていて、激熱でドラマチックな、滾って制御不能な溢れ出して来る情熱と本能を解き放つ。まさしくエモーショナルの“暴力”と称すのが相応しい『戦いの謳』である事を強烈に思い知らされるのだ。