巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #8 成宮すず編

 どもども。あかとんぼ弐号です。



『IDOLY PRIDE』キャラクター独自考察8回目となる今回は、星見プロ随一のいじられ愛されキャラの成宮すずについていろいろ想いを馳せてみようと思います。

作中において、星見プロの中でストイックな者の名を挙げるとすると、琴乃と怜の名がすぐ出て来る事でしょう。自分もその認識でいます。

しかし、今回この記事を書き殴っていくにあたって、成宮すずについて考えを巡らせてみた所……コメディリリーフ的な面を数多く見せた彼女も、琴乃や怜に勝るとも劣らないストイックな面があった事に気付かされたのです。


 毎度の事ですが、この考察は自分の妄想&暴論によって書き殴ったモノですが…お時間がありましたら、読んで下さると幸いでございます。

 

 

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 名家の令嬢としてのプライド

 

 生意気で高飛車な態度(所属アイドル最年少でありながら、上司の航平を牧野と呼び捨てにするのが象徴的)が表立つお嬢様キャラ。ただ、彼女の生家は星見市ではかなり有名である名家でありキャラ付けではない生粋のご令嬢。

そんな彼女がアイドルの軌跡へと踏み込むに至った志望動機は、簡単にトップが取れそうだというモノ。その言葉を額面通り受け取ると、名家出身で優れた資質を持つ自分ならトップアイドルの座を勝ち取るのは容易くて、彼女の存在を広く世に誇示できるだろうという自信に満ちている物言い。普段から自信満々で堂々とした立ち振る舞いなのはそれが影響しているだろう。

すずの様な所謂お嬢様キャラでよく描かれるのは、前述の様な常に堂々としている振る舞いが主としてあるが、同時に横柄で傲慢。世間知らずから来る場の空気が読めない(読まない)我儘さが挙げられ、それらのネガティブな要素から受け取り側からすると単にヘイトしか抱かないキャラに仕上がってしまう。キャラとしては立たせやすいが扱いづらいモノもはらんでいる。


 では、すずの場合どうなっていたか……確かに、デカい態度やら生意気な物言いはあったが、それを横柄さや傲慢なモノではなく、思春期特有の背伸び型から来るモノにさせた描写にしていた様に感じられた。何度も言ってしまうが、すずの物言いの端々は生意気だけれども、全てが無礼ではない。

まだ星見プロに加入したばかりの頃、ただ基礎練習ばかりを繰り返す日々に不安を抱く面々。そんな面々の先頭切って、マネージャーの牧野に物申したのは最年少であるすずだった。年上かつ上司にあたる牧野に対しての態度は確かに無礼。でも、皆が抱える不安を意見としてきっちり伝えられた事に意味があって、コレは生意気かもしれないが無礼な事ではない。


(その前に、牧野がいろいろ準備できれば良かったのだろうが…)


 それと、すずはちゃんと場の空気を読んだ物言いや行動をしている。これも彼女が自分の中では好意的に見られる要因だとも思えた。


 アイドルを志した動機を尋ねた時に、好奇心ではなく琴乃に気を遣って麻奈の事を恐る恐る聞いた事や(3話)*1『NEXT VENUSグランプリ』本戦進出が叶ったお祝いパーティにて、食費か会費を金欠の為支払えなかった為に空腹に耐えながら必死に手を出すまいと堪える様子とか(8話)

我儘で空気読めない系のキャラなら、本戦出場は自分の活躍在りきとか何とか言って普通に食べていたのだろうが、すずは定められたルールをきっちり守って、自分は払えていないからと絶対に口を付けようとしなかった。3話の件では姉である麻奈を亡くしている琴乃を気遣った。それらを鑑みていくと、名家である成宮家の人間たる者は誠実でフェアであれという生き様は彼女が肝に銘じている事で、これらのエピソードはその証明なのだろう。


 そして、自分が成宮すずに好感を抱いた最も強い要素は、作中において彼女は誰かの悪口や見下す様な物言いをせず言い訳も無い所だ。彼女の中では自分は自分、他人は他人という線引きがしっかり成されていて、いちいち人と比較するのは無駄だという認識があるのでしょう。


それに、嘘がつけない素直で正直な性格。


 強気な物言いで発言するけれどあっさりボロやドジな面を出す。それは弱みではあるのだけれど、逆に人間味が溢れてやがて愛嬌へと変換される。勿論、そうなったのは正直で嘘がつけないパーソナリティが成せるモノで、彼女を愛されキャラへと昇華させた要因でもある様に思う。

 

 

 

 

 逃げるは恥だが役に立つ~雛が羽ばたく刻

 

 簡単にトップが取れそうだからと豪語したすずのアイドル志望動機。ただし、コレはほんの一部分でしかない。しかし、アニメにおいて彼女の口から本当の理由が告げられる事は無かった。でも、アイドルそのものを軽んじていたワケでは無かった。むしろ、本気でアイドルに向き合って努力を積み重ねてきたと言える。

前述でも触れたが彼女はお嬢様属性を持つ人物。そういう人物でよく描かれがちなのは、自分の思い通りにならない事態に遭った時その耐性が極端に弱くて脆い。それが引き金になってモチベーションを失くして道を外れたり辞める騒動を起こす事が物語として描かれる。

アイドルを題材にした作品だと、単にレッスンがキツイ事、グループを束ねるリーダーになれなかった時や一番注目を浴びるセンターポジションに立てない事にあたるだろう。すずの場合に当てはめて考えると『月のテンペスト』が結成された頃、リーダーの座には就けなかったがそれはそれとして潔く受け入れ、逆にセンターの座を狙うと宣言し、野心と闘志を滾らせる。

そして、『NEXT VENUSグランプリ』優勝を目指し、レベルアップの為に早朝から夜遅くまでレッスンメニューを提案していた所もあり、これも彼女の直向きな性格も影響していただろうし、アイドルの軌跡を駆け続ける事が簡単では無い事を充分に認識しているし、本気でアイドルに懸けている事を証明している様に思える。


荒れ放題の獣道を駆ける肚は括った。そうまでしてアイドルに懸ける理由がすずにはあった。


 すずのプロフィールの一文に、あるトラブルから逃げる様に星見プロの門を叩いたとある。
彼女は中学生。その年代が抱えるトラブル……問題で大きいとされるのは。家庭の事情、進路、親子間の問題が挙がって来る。血の繋がりに関する者達の対比もこの作品はテーマとしてある。おそらく、すずと意見が対立しているのは怖れを抱く者として挙げていた沙季との引き合いに出された母親だろう。

箱入り娘として大切にし、将来の道まで親御さんはすずの為に失敗しない生き方のレールを敷いた。そのレールにはすずが望んでいない事もあった。それは娘を想えばこそだ。


確かに彼女は子供だ。だが、子供じゃない。


大人(親)がああしろこうしろと強制するのは簡単。けど、人(子)の気持ちはそんな簡単にコントロール出来るモノじゃない。すずがそのレールを外れてまで往きたい軌跡が彼女の前に拓けていたからすずにとっては親の想いは受け入れがたいエゴとして認識し、反抗の意志を強固なモノとして逃げという一手を打つ。


でも、コレは逃げでは無い。すずが人生を懸けてまで闘う場所を見つけて決断したからだ。


今、彼女がいる場所置かれている状況を捨ててまで、アイドルに懸けたのはあの人物に惹かれて純粋に憧れを抱いたからだ。その人物は、『様』付けで呼ぶ程に信奉し崇拝の域までに至っている長瀬麻奈

麻奈を見てすずはアイドルに憧れて夢を抱いた。それは彼女の中でアイドルとして最も必要な理想とも言える。そして、彼女も麻奈の様に他人に夢を抱かせる存在になりたいと誓った。


 自分の居場所は自分で選ぶ。いわばコレはすずの親離れ・自立の一歩でもある。
家を飛び出して星見プロのオーディションを受けて、晴れて合格したものの……母親は当然認めていない。そして、勝手にアイドルになったからという事ですずのカードを止めてしまう。

勝手に家を飛び出した娘への怒りもあるだろうが、もう一つは親からの支援(経済的な)無しでどこまでやれるのか?と娘がアイドルに懸ける本気を見たいという事もあるのだろう。あくまでも私見の域だが、母親の方もすずを信じて子離れしようと踏み出した様に思えるのだ。


 今は、互いに分かり合えないかもしれない。ただ、すずの魂には成宮の名に恥じないよう誇りと感謝は持ち続けて直向きに頑張っていく。それは彼女の精神的な支えにもなっているのだろう。

 

 

 

 

 一念通天~根拠のない自信を持ち、ここから未来へ。

 

 

 麻奈様と比べる事なんて出来るワケありませんわ!


 ……ただ、貴女には貴女の良さがあるのも事実ですわ。



 

 さくらとなんやかんやあって、アイドルとしてのアイデンティティと目標を見失ってしまった琴乃を励まそうとすずが言った言葉。彼女の中において、麻奈の存在は遥か高みと遠くにいる特別な存在。今の自分の立ち位置で止まって見上げても意味が無い無駄な事だと彼女は言いたかったのだろうし、改めて彼女自身に言い聞かせる意味も含んでいたとも捉えられる。


圧倒的なカリスマがあっても、絶望を抱かせる絶唱を響かせても誰も“長瀬麻奈”にはなれない。


すずも長瀬麻奈の幻影を追う者ではあるのだけれども、麻奈の背中の先に広がる景色が見えている。見ようとしていなかった琴乃や、ハッキリとまだその先が見えていない神崎莉央とは違う。そこはすずの芯がブレていない事の証明であって、何物にも屈しない魂の強さに繋がっているのだ。

明確な彼女の目標と目指すモノ、共に戦う仲間の存在と応援してくれる人達がいてそういった背負うモノ……それらがあって受け止めて自分を強く持てる意思。そういう一つ一つの明確な意思の積み重ねによってそれを自覚していく事によって負けられない自分が出来上がっていき、それが成宮すずの魂を滾らせる最高の燃料になっている。

キャリア的にも、実績もまだ積み上げられていない小さな存在である『月のテンペスト』。それでも、自分達のパフォーマンスと絆で優勝出来ると根拠のない自信で戦った。その結果……同門の『サニーピース』と優勝を分かち合った。


 優勝を勝ち取った刻、すずは人目を憚る事無く感情を爆ぜさせ号泣した。
簡単にトップを取れそうと豪語した者は感情剥き出しにして号泣しないだろう。それは、彼女が本気の魂を懸けて努力を怠らず闘い続けたからだし素直な感性があるからだと思える。そして、自分の遥か前を駆ける偉大な存在である麻奈が成し得なかった優勝を成し遂げた歓喜の涙でもある。


 でも、すずは麻奈を越えたとは微塵も思っていないでしょう。
未来の刻で、もっとすずがアイドルとして輝けば遥か前を駆ける麻奈の存在もまた輝く。いずれは麻奈の通り名だった『星降る奇跡』を二代目として受け継ぐのか?新しい通り名で愛される存在になっていくのか?


 アイドル・成宮すずの新たな闘いは“第二章”へと移っていく。

 

 


 
 と、いう事で、成宮すずの考察は以上になります。


本稿でも触れておりますが、大言壮語を吐くが憎めないキャラとして描いたのではなく、夢を叶えようと真摯で正直に一生懸命頑張るストイックな面があった人物。

彼女が大袈裟に誇示するようにモノを言っていたのは、自分を追い込んで奮い立たせてる為。そして、必死に努力を重ねていく姿をちゃんと見せているから皆はすずの事を口だけじゃない子だと認めて可愛がった。そして、随一の愛されキャラとして昇華した様に勝手ながら思えます。

 

 

 

 

 

*1:琴乃が麻奈の妹であるという確認の意味で聞いた可能性がありそう