巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #12 Daytime Moon

 

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 Daytime Moon/月のテンペスト



 TVアニメ第8話エンディングテーマ。


 月ストの二曲目となる楽曲。原初の楽曲『月下儚美』とは一転した、明朗かつポップな曲調が印象的で、曲題の『Daytime Moon』=昼の月と称すのに相応しい楽曲。原初の楽曲『月下儚美』のスタイリッシュでクールな雰囲気から一転させた楽曲を二曲目に持って来るというのは、サニピの二曲目『Shining Days』と同様。


 この楽曲を語っていく上で、まずは8話の内容に触れておく必要がある。
デビューを果たした月ストとサニピは共に、『NEXT VENUSグランプリ』の予選を通過して本選出場が叶った。そんな中、麻奈にそっくりな歌声を持つさくらを、世間は『長瀬麻奈の再来』と話題にし始め……琴乃とさくらの関係に軋轢が生じてしまい、更に、琴乃はグランプリに出場する事の意味とアイドルとしての存在価値を見失う。

そんな思い悩む琴乃の魂を救う為に、渚、沙季、すず、芽衣が動く。
渚が言った『みんなね、琴乃ちゃんの歌声が好きなんだよ。麻奈さんの事は関係なく、琴乃ちゃんと一緒に歌いたい』というこの言葉に、渚、沙季、すず、芽衣が琴乃を想う信愛の情が溢れている。

琴乃も仲間達の信頼に応えたいと願い、変わろうとする一歩を踏み出し本戦へに臨む。直接の描写が無い為、個人の妄想の域であるが……本戦にて歌ったのがこの楽曲だと自分は考えている。ざっくりしているが、ここまでの流れが8話で描かれた物語。


 詞を読み進めていくと、この楽曲は近しい存在にある人物を想う絆の謳。その近しい存在にある人物は、言うまでもなく長瀬琴乃ではないだろうか。公式での設定及び描写が無く、これもまた個人の妄想の域でしかないが……この楽曲の詞を書いたのは渚ではないかと思っている。

伊吹渚という人物は、他者と触れ合って繋げる『鎹』の様な人物。親友としてずっと琴乃を見ていたし、月スト全体見ていた。詞に綴られた言の葉からは、包み込む様な優しさに溢れたモノとなっている。

昼間にあっても月が見えるのは、月の光そのものが強くあり、太陽の光を反射して輝いているから。そして、地球から近い星であるからとも言われる。それらの関係性は琴乃自身の輝きであり、渚と琴乃の縁の繋がりの暗示であると考えざるを得ない。


 1・2番共に、琴乃のソロから始まり、メンバーがそれに追随していく形でソロパートは進行していく。
琴乃が苦悩している心模様を、渚、沙季、すず、芽衣が琴乃を肯定する想いを込めて歌声を繋ぐ。夜の闇に輝くだけが月の存在価値ではない。

昼に見える月にも存在価値がある。ネガティブな要素を謳いながらも、前に進む為に違った輝きを受け入れようとするポジティブな要素へ変換する謳になる。

それは、仲間との絆の再確認と、新しい輝きの在り方に気付いて魂が新生された琴乃とリンクしている様でもあり、そうなって欲しいと願う渚の想いが織りなした楽曲なのだと。

 出逢ってからここまでの刻、最も長く琴乃を見て寄り添った渚だからこそ、紡げる言の葉があっただろうし、伝えたい言の葉があったのだろう。この楽曲を聴くとそんなインプレッションを抱かずにはいられないのである。