巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #4 伊吹渚編

 どうも。『IDOLY PRIDE』のキャラクターを斯く語るお時間です。


 4回目にして、早くもヤマ場を迎えてしまいました……と、言うのも、今回扱う伊吹渚は、星見プロのアイドルの中でもブラックボックス的な存在と評してもいい存在だと思うからです。

それを開けて中身を解明する為には、妄想と暴論をフル活用していくしか道はありません。


(まあ、当Blogでは通常運転だったりするがwww)


ですから、これから書き殴っていくモノは、考察の名を借りた妄想と暴論にまみれた怪文書。異論・反論は大いにあるかと思いますが……良ければ最後まで読んで下さると嬉しく思います。

 

 

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 強かな『鎹』(かすがい)としての顔

 

 渚のパーソナリティを評するならば、他者の想いを慮って寄り添える人物。彼女と最も縁の深い長瀬琴乃とは真逆の特性を持っているという事になる。その特性は、アニメ版の物語において遺憾なく描写されていた様に感じた。口下手で誤解されやすい琴乃をフォローする言を度々見せている。

尺の都合という割りを食ったという事もあるが……大きなトラブルや悩みの種を抱える事無く、一歩引いた立ち位置だったり、時には一歩踏み込んだ立ち位置で、その時々に適したポジションで琴乃や『月のテンペスト』の活動を支えてきた。それは、渚の特性でもある絶妙な俯瞰の目とバランサー能力の高さ、コミュニケーション能力の高さが成し得るモノ。

我を調整しながら周囲の子達に上手く溶け込むのは、この世代の女子にとって大切なコミュニケーションスキルだと思う。勝手な持論だが、グループを上手い方向に持っていく為にはこういった縁の下の力持ちや『鎹』的な特性を持つ人物は必要な人材。沙季の様に生真面目でちょいと融通が利かないワケでもなく、芽衣が牧野の部屋に入り浸っている様子を隠れて喜々として見ていた時の様なゴシップ好き的ノリの良さもある。


 特に、顕著に表れたのが3話で星見プロに加入して他のメンバーと初めて対面した際、さくらに琴乃がさくらの事を色々話していた事を伝えた。そうしたのは琴乃がさくらにきちんと抱いている印象を話していないだろうと見越した上で。彼女の推察通り、琴乃はさくらに対して話しておらず想いをきっちり伝えないのは駄目だと琴乃を諫める。

渚にとって、突如現れ彼女と琴乃の間に割って入った存在であるさくらはハッキリ言ってしまえば親友の関心を奪った面白くない異物。おそらく大映ドラマだったら、嫉妬の炎を滾らせた渚はさくらをいきなり引っ叩いただろうwww

ただ、さくらに対して渚が嫉妬の念を抱かず好意的に接していったのは、彼女自身が川咲さくらという人物に興味があった事と、彼女の中に確固な琴乃への共に過ごした刻で築かれた信頼と情愛があって依存しきっていないという自負があったのと、彼女が持つ社交的で懐の深い性格があってなのだろう。


 自分の一時の感情に流される事無く、過度に出しゃばらずに人が衝突しない様上手く引き立てて盛り上げる事。そんな彼女は人と人との縁と関わりを繋げる『鎹』という人との関わりを繋ぐ存在なのかと感じてしまうのだ。

 

 

 

 

 引力に魂を惹かれ“我”を出す

 

 (クソ)真面目で、前向いたらそこへ真っ向勝負しかできない不器用でどこか危なっかしい琴乃。そんな彼女が直向きに頑張る姿を見て、他者の想いを汲み取れる能力が高く、尊重出来る渚は琴乃の力になりたいと感じて寄り添う。


やがて、琴乃の不器用で真っ直ぐな想いが渚をアイドルへの軌跡へと導く事になる。


 自分の近くで本気の魂懸けて頑張っている人間がいれば、自分も刺激される。渚もそうだったのだろう。琴乃に感づかれない様に、秘かに努力を重ねていきオーディションを受けて合格している。

アイドルになるというのを琴乃に話さなかったのは、単に琴乃を驚かせたかったのは勿論あった。でも、打ち明けてそれ以上に余計な気遣いをさせたくなかったというのもあっただろう。琴乃の性格を慮れば言ってしまう事は得策ではないと。


 渚がアイドルを志した動機は、琴乃の夢を親友として一緒に叶えたい、その為の力になりたいという想いからだ。そんな動機で?と首を傾げる人は少なくないだろう。

特に、この作品のアイドル達の志望動機は幅広く、しかもキレイなモノだけではない。
怜の様に誰かを見返して認めさせるというモノだったり、莉央はとにかく有名になって富を稼ぐ事だったり。ただ、それも立派な動機である。

その人にしか描けない、思い描く理想に向かって動く事が大事だとこの物語は伝えたいのだろう。


 渚にとっては琴乃の存在そのものが一般的にいわれる輝きと憧れの象徴である“アイドル”だった。そして、琴乃との出逢いこそが、大袈裟な話だが渚の人生を変える程の転機で、大切な親友でもあり自分の中の理想のアイドルになっていった。

琴乃が認めてくれて近くにいてくれる事。そんな存在が未来を見据えてどんどん遠くへ行こうと本気で駆け出した。それは渚にとって嬉しい事でもあり不安でもある。その不安を打ち消す事と喜びを共に近くで分かち合いたい、どこまでも遠くに行くのなら一緒に肩を並べて軌跡を駆けていきたいと願って渚は踏み出した。


 辿り着きたい景色は違うが、渚と琴乃は似た者同士なのかもしれない。二人共、自分の為というかは、他人の為にアイドルを志した部分が重なり合う。
姉・麻奈の為にアイドルを志した琴乃、そんな琴乃を応援して支えたい一心でアイドルを志した渚。口には出していないが、琴乃は他者との関わりを断ってまでも、ずっと変わらずに傍にいてくれて応援して支えてくれた渚には多大な感謝を抱いているはず。渚がもし傍に寄り添っていなかったら、琴乃はもしかしたら潰れてしまっていたかもしれない。


だからこそ渚は許せなかったのだろう。彼女…神崎莉央が琴乃に放った『麻奈の劣化コピーでしかない』という言葉が。(8話)

 

 
 琴乃ちゃんの何を知っているんですか?


 琴乃ちゃんがどんな気持ちでアイドルをやっているか、貴女に分かるんですか?!!

 

 

 親友を単に愚弄された事もそうだが、何にも知らない奴が好き勝手言う事への怒りも当然あった。それと同時に渚自身の全ても理不尽に否定された事への怒りも湧いて来たのではないだろうか。他のメンバー達が場の雰囲気に萎縮している中で、朗らかで優しい性格の渚がここまで感情を荒げ、敵意を剥き出して怒る場面はここの場面だけ。

だが、彼女の莉央に食ってかかる行動は、感情に流される事無く場の空気や他者の心情を尊重して立ち回ってきた彼女らしからぬバランサーとしてのプライドから反する行動。でも、理屈で抑えられない爆ぜようとする感情と血が沸き滾る様な怒りが莉央の言葉の刃によってもたらされた。

 おそらく、アイドルをやっていなかった頃の渚は、ここまで激しい怒りの感情…即ち、強烈な『我』を出す事は無かったのかもしれない。そこには、アイドルをやった事によって明確に渚の成長が描写されていた様に感じられたのである。

 

 

 

 

 君だけの心の光

 

 予選での激闘を勝ち抜き、月のテンペストとサニーピースはNEXT VENUSグランプリ本選への切符を手にした。当然ながら彼女達の知名度や認知度もデビュー当初とは異なってきた。


そして、世間の声は彼女達に決して優しいだけのモノではなかった。


それが影響して、琴乃とさくらとの関係が微妙な歪みへと変わってしまう。ただ、どうにかしたいという想いは琴乃とさくらにはあって話し合うがどうにも上手くは収まらなかった。


 そんな悩める琴乃の心をすくい上げたのは、親友である渚だった。
明らかに琴乃とさくらの様子はおかしいが、問題が問題なだけに迂闊に踏み込む事も難しい。唯一踏み込めるとしたら、人に対して絶妙な踏み込みと距離感を持つ渚しかいない。


彼女も自覚していたのだろう。ここは自分が動く刻だと。
 

 麻奈の遺志を継ぎ、トップアイドルになる事が琴乃の夢。でも、どう頑張っても麻奈の様に歌う事は出来ないと痛感している。そして、麻奈の歌声を継ぐさくらの出現によって琴乃のアイドルとしての存在価値と理由を見失ったと吐露する琴乃。

そんな琴乃の言に『琴乃のしたい様にすればいい』と渚は琴乃自身を肯定する言葉をかけた。琴乃の心情は渚だけではなく皆が充分理解していると。そこで皆が心配しているという事も巻き込むように伝えて、琴乃の孤独感を和らげようという気遣いもあったのでしょう。で、偶然居合わせ陰で聞き耳立ててた感じになっていた沙季、すず、芽衣はおそらく渚の策で彼女が呼んでいたと思っている。

 

 みんなね、琴乃ちゃんの歌声が好きなんだよ。

 
 麻奈さんの事は関係なく、琴乃ちゃんと一緒に歌いたい。

 

 

 物言いは優し気で琴乃に気遣ったモノであるが、渚の本心は、過去(麻奈)に囚われず、未来に怯えず、今の刻を全力で生きろと伝えたかった。麻奈の幻影に囚われその先を見る事が出来ない琴乃の手を渚が取って引いて導く様な想いに溢れている。


長瀬麻奈の替わりじゃない、お前……長瀬琴乃が必要なんだと。


彼女が琴乃の頑張る姿に刺激を受けてアイドルを志した様に、今度は目的を見失った琴乃を渚が励ます。彼女の人生を変えた大切な親友が本当に願っている事を叶えたいと感じたからこそ渚は動いたのだと。


 そんなこんなで結束を深めた月のテンペストはグランプリ本戦の初陣に挑む。
この時に歌った楽曲についての描写が一切ないので、ここからは妄想で書き殴ってしまうが……自分は、8話のED楽曲で月のテンペストの楽曲でもある『Daytime Moon』を歌ったと考えている。


そして、この楽曲の作詞をしたのが渚、もしくは月のテンペスト全員だとも思っている。


 作中において、アイドル達が作詞を担当したという描写は存在していて、麻奈の『song for you』やサニーピースの『EVERYDAY! SUNNYDAY!』がそれにあたる。故に、月のテンペストのメンバー達が作詞を担当した楽曲があっても何らおかしいモノではない。

『Daytime Moon』の詞の内容に目を通すと、その内容が渚と琴乃の関係性と非常に合致しているという事。渚の琴乃への親愛の情や深い想いが詞に込められている様に思えてならない。勿論、この説は根拠の全くない暴論まみれのモノだが……渚作詞説を有力なモノとして考えられるのだ。

 

 

 


 と、いう事で、伊吹渚編でした。


予想していた通り難産でした。正直、コレ読んで面白いと思えないが……現時点で彼女に抱いているインプレッションは出し尽くして書き殴ったつもりです。

冒頭でも書いてますが、コレは妄想&暴論100%による独自考察。読んで下さった方達の違った意見も伺ってみたいものです。

 

 

 今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。