巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

嘘だらけの世界で叫ぶ本能の魂 ~ガールズフィスト!!!!『Full of Lies』

 興味へのアンテナをこれまでとはちょいと違う方向に向けると、予期せぬ巡り逢いの予感を感知する。

感知して僅かに隙間が空いている扉を叩いて、一歩踏み込んで興味のアンテナが察知し
たモノに触れる。それは刺激となって己の魂へと突き刺さってゆく。
その刺激が自分にとって有益なモノなのか?害にしかならんモノかは踏み込んで触らないと分からない。

今回記事にする題材は、俺にとっては有益で面白い巡り逢いになったある楽曲の話。
この楽曲に出逢ったのは約半年前の配信ライブ。そのライブで最も強烈なインプレッションをこの楽曲に抱いたのであった。


…ただのおっさんが、これから好き勝手に拙く見苦しい文章を書き殴っていくが
個人の勝手な解釈が入っておりますので間違った事を書いているという可能性を先に伝えておきます。

 

 

 

 

 

 Full of Lies/ガールズフィスト!!!!

 

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www.youtube.com

 

 

 コミック作品『ガールズフィスト!!!!』に出演されている浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、古川由利奈さんによる声優ユニット『南松本高校パンクロック同好会』による楽曲で、2ndシングル『D.A.S.H!!!!』(TYPE B) に収録されている楽曲。作詞は坂ノ下奏恵役の奥村真由さんが担当したとの事。


 このユニットの楽曲全てを聴き込んでいないのであくまでもコレは自分の浅いインプレッションでしかないが……パンクロックバントという事から、全体的に楽曲の雰囲気はノリ易く明朗な雰囲気の楽曲が多いという印象。しかし、この楽曲はそれらの楽曲陣とは一線を画した異質なモノ。でも、この異質な要素≒温度差こそがこの楽曲の魅力なのだと自分は感じたのである。

切なくて哀愁感のあるノスタルジックなメロディと歌い出しに『茜色の空』というワードが黄昏の刻(夕暮れ)を強烈にリスナーに対して植え付けていく。それと同居している疾走感は変わろうと願って抗う心情を描写していると感じられる。

哀愁感のある楽曲の世界観について、作詞された奥村さんは登場人物達の心の傷の部分を書く事とメロディを聴いた際に、茜色の空=黄昏の刻の情景が浮かんだと語った。
人間は、生きていく中で様々な顔(仮面)を持つもの。
職場や学校での顔、プライベートでの顔、限定的なコミュニティで見せている顔だけにはとどまらず、状況や心情に応じて見せる表情もまた嘘の仮面であると言える。
『Full of Lies』=嘘だらけ……詞にある『心の仮面』は嘘の象徴であり人の性・理だと思える。

 

 いい子の仮面被って 本当の私閉じこめて

 今になって気付いたの 誰よりも嘘つきは私だったんだ

 ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 仮面の表側しか取り繕わない見せかけだけの付き合いに辟易していた奏恵。
けど、彼女自身もいい子という嘘の仮面で取り繕っていた事に気付く。
それは、彼女の弱さを受け入れて認めた事であり探していた『答え』なのだろう。


 茜色した空目掛けて 心の仮面投げ捨てたら

 嘘だらけだったこの世界も ほら 本物が見えて来るよ
  
 ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 サビでは歌い出しのフレーズを流用しているが捨てたの後に『ら』が付いた事で、心情の変化、変わろうとする想い=本物が見えるを表現していると思える。その『答え』を携えて前へ踏み出すかの様に、サビへ突入して力強い叩き上げの魂を解放する純然で混じりっ気の無い歌声とメロディを響かせている。この楽曲が単純な切なさだけを歌っていない事の証明ではないだろうか。

 

 茜色した空目掛けて 心の声を叫んだなら

 引き出しの奥にしまい込んだ 本当の私に出会えるのかな

 怖がらないで 踏み出そうよ

 輝ける明日へと


  ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 叫ぶとは、本当の自分をさらけ出す行為の一つでもある。
坂ノ下奏恵と彼女同様に心に傷を持つ他のメンバー、そして奥村さん自身の心情や魂も詞に存分に込めて、奥村さんが言う前向きな傷を抱えつつも前を向いて歩いていく4人をイメージしてリンクさせたアンサーソングとしての『要』がここのフレーズには込められているのだろう。夕暮れの刻をイメージして世界観を紡いだと奥村さんは語ったが、茜色自体は夕暮れ刻だけじゃなく夜明けの朝焼け刻を指す意味でもあり、ラストフレーズの『輝ける明日』は、昇る朝日であり四人が高く振り上げた反逆のシンボルである『拳』(フィスト)にも繋がっている様に思えてならないのだ。


 自分が、この楽曲をライブで聴いて最も強烈なインプレッションを抱いて惹かれたのは
浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、古川由利奈さんの偽り無い叩き上げの魂と本能を不格好ながらも全力で真っ向からぶつけて来る姿勢だったのだと思えてくるのだ。


 いい楽曲、沁みる楽曲…etc。楽曲への賛辞の言葉は色々溢れておるが
この楽曲にそんなテンプレートな賛辞はこの楽曲には似合わないと個人的に思う。
バンドの魂と生き様が切々と語りかける言の葉と奏でる楽器の音色。まごう事なき名曲だと。

楽曲のみでのインプレッションを書き殴っただけで、コレを読んで下さった『ガールズフィスト!!!!』ファンの皆様よりは詳しくありませんが……『Full of Lies』が成長していく軌跡だけではなく他の楽曲にも踏み込んでいきたいと思わせる存在に巡り逢ったのは、自分にとってこの出逢いは素晴らしい縁の奇跡。

 


 楽曲は生き物で成長していくモノ。彼女達に歌い続けて、愛して、
『Full of Lies』という楽曲を育てていって欲しいと切に願う。

 

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