巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

『今』を楽しんだもん勝ち!~GIRLS LIVE STREAM -2020 AUTUMN SP-所感

 先週の日曜。配信ライブ『GIRLS LIVE STREAM -2020 AUTUMN SP-』を観た。

 

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 そのライブは、無観客の配信による形式で開催された対バンライブ。
何故、自分がこのライブを観ようとオンラインチケットを購入したのかは、先日記事にした『ガールズフィスト!!!!』がこのライブに参戦する事を急遽知ったからと、時間の都合も合ったからだ。


大袈裟な話になってしまうが…何か引き寄せられる妙な予感がしたからでもあったんだ。


 で、このライブは、『ガールズフィスト!!!!』の他に二組のバンド『ぴんく!しゅがー!しろっぷ!』、『TOXIC LAGUS』によるスリーマンライブ形式。俺は、『ガールズフィスト!!!!』以外のこの二組は当日名前を聞いただけで本当に未知の存在。ちなみに、『ガールズフィスト!!!!』も俺はそんなに知識があるわけじゃない。所謂にかわのカテゴリーにいる奴である。


 ただ、ロクに知らないのも逆を言えばより深く楽しめる要因でもある。
良い意味で予想を裏切ってくれる可能性と自分のアンテナが感じた直感を信じてこの未知の領域へと踏みこんでみたらだ……『とんでも無ぇモノを魅せ付けられた』


エモーショナルの暴力で徹底的にきっちりと打ちのめされた…そんなライブだった。


これからその模様を、出涸らしの記憶から引きずりだして書き殴っていこうと思う。

 

 

 


 ・ぴんく!しゅがー!しろっぷ!

 

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 スカ・パンクメロコアmixのカラフルパンクなバンドの謳い文句に違わない、ピンクを基調としたファッションのボーカル・ぽんさん。ライブで歌うのはは八か月振りだとか。

その派手なビジュアルと、前述のスカ・パンクメロコアmixという情報から、どんな変化球的なパフォーマンスで攻めて来るのかと思っていたが、いざ観ていくとそいつは穿った先入観と俺の浅見だというモノを痛感させられた。楽曲の軸となる要素は軽妙なスカテイスト。その要素は明瞭でいてこちらも楽しげな心持ちにさせて盛り上げていくモノ。

その軽妙かつ明瞭なサウンドに彩りの要素を加味させるぽんさんのいい意味でクセと尖った要素が無い…例えると、五角形のレーダーチャートに表すと綺麗な五角形になるような歌声の聴き心地の良さが印象深い。パワフルに響かせることも出来るし、じっくりと沁み入る様に傾聴させる要素も持っている。これは見事にやられたと唸るしかなかった。

ラストアクトに持って来た、明日は何があるか分からないから、今を精一杯生きようという楽曲。『Live is Life』(正式表記は不明だが……)これは圧巻だったと言っておきたい。

無観客の配信ライブとは言え公の場で久方ぶりに謳う事への喜び、鬱積とした現状に抗おうとする反骨の魂……いろんな感情を込めて歌うぽんさんの姿は画面越しにも伝わる本気の想いにこちらの魂も滾るモノが込み上げる。


 そして、ぽんさんは歌い切ってアウトロで叫ぶ。


 

 

毎日来る明日が不安でも、この世に希望が持てなくても、

あなたはあなたでしかないし、


今は今でしかないし、どうか生きて生き抜いて。

 

 


 今という刻を、溢れかえる情報の波に呑み込まれずに自我=自分らしさと自身を信じて、力の限り生き抜いてやろうとパフォーマンスに想いと魂を込めた。
オープニングアクトやトップバッターとなるアーティストが果たさなきゃいけない役割は、ライブが持つ方向性をきっちり定める事と、確実に火を点ける事(大小問わず)だと個人的には思っている。

ディスプレイという境界の向こう側にいる視聴者に全力全開の滾る想いと魂を伝える事。演者自身と視聴者の魂にきっちりと火を点けたという成果で見事にやりきった。

勿論、『ぴんく!しゅがー!しろっぷ!』のアクトが単純に素晴らしかったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 


 ・TOXIC LAGUZ

 

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 まず、この場で叫んでおきたい。


このバンド、おそらくハネる(ブレイクする)そう遠くない未来の刻で必ず来る。

 


…根拠が全く無いただのおっさんの直感&戯言だけれど、そう思わせて惹き付けられてしまうモノをこのバンドがステージで魅せ付けたんだ。衝撃的だった。


 無骨でゴリゴリとしたテイストのヘビーなサウンド、それに負けない叙情的なERIKAさんのボーカルとの調和は、荒々しく攻撃的であらゆるモノをねじ伏せようとして来る勢いがあって、奇を衒わないスタンダードなロックを響かせる。

パンクロックのサウンドは、こうあるべきなんて定義は無い自由なモノだが
重厚でバリバリに低音を轟かせるこのバンドの闘い方を知った時は『あーコレコレ、聴き馴染んだテイストのロック!!』と安心感で膝を叩いてしまうんだ。

奇を衒わないという事は、よく見かける量産的タイプと言ってしまえばそうなのかもしれないが、前述の様にハネる・ブレイクするなどというインプレッションは易々とは抱かない。

最も気になったのが、ボーカルのERIKAさんの歌声の質なんだ。


シャウトを見事に響かせる事も出来るし、がなる様に低い音域も響かせる引き出しの多さと奥行きは楽曲陣に更な深みを加味していくモノでこれでも充分に凄いのだが……
特に惹き付けられて圧倒させられたのは、ハイトーンでの高音が凄く澄んでいるが、何か魂を削っている様な危うさもあるけども綺麗な歌声だ。
夢をテーマにした楽曲『夢見星』はその高音の綺麗さが如何なく発揮されて沁み入って聴き惚れてしまうのと同時に、戦慄させ痺れる凄みも感じさせられた。

この声質は本当に天性のモノなんだろうと感じさせ、本当に素晴らしいと言うしかない。

それと、『I never...』の様なアップテンポで激熱な楽曲を持っているのも、このバンドの強みだと思う。ライブで熱量の緩急を自在に出来る楽曲があるのは本当に強い。

盛り上がって滾っていくだけがライブじゃない。しっかりと魂に沁み入らせる様にグッと聴き込ませる懐の広さを感じさせられ、諸手を挙げて笑うしかできない程に圧倒させられ、『TOXIC LAGUZ』が放った『毒』に蝕まれた。この毒は解毒出来ない。完敗だ。

曲調やバンドの纏っている雰囲気が俺のストライクゾーンにドンピシャで、尚且つ今回が初見だったってのもあってかなりインパクト強かった。
 
あまりにハマってしまい、終演後にリリースされておるEPを購入してしまった。

 

 

 

 

 

 ・ガールズフィスト!!!!南松本高校パンクロック同好会

 

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 このライブは『ガールズフィスト!!!!』を観に来たと言っても過言ではない。
そんな存在がトリを飾る。個人的には滾って来る展開である。

登場し、これまでの二組とは違う独特のゆるいわちゃわちゃした雰囲気で和ませながら…いざ演奏が始まるとハードで激熱な盛り上がりへと雰囲気をシフトチェンジして畳み掛けていく。この瞬発的な爆発力が彼女達の名詞代わりと言わんばかりの生き様で、これまで貫いて来た闘い方なんだろうな。


緩急の差を持っているのは、前述で触れたが楽曲や人問わず本当に強い。


ここが攻め刻と言わんばかりに、アッパーソングを次々と披露していく。
その最中で目を引いたのは、自分が初めて三月に彼女達のライブを観た時同様に心底『楽』しんで『音』を奏でている変わらない姿があの場にはあった。

そして、変わった点もある。


変わった点は、言わずもがなパフォーマンスの質だ。ただ、演奏に関して俺がどうこうと言えるモノではないが…前に観た時よりも何か堂々と立ち振る舞った様に見え、浅見さんのボーカルはキュートさと凛とした要素をブラッシュアップし、力強い歌声を響かせ、天然の独特でフリーダムなワールドだったり、こちらの熱をしっかりと焚きつける煽りも見事だったと思う。

彼女達のこれまでを見ていないので、何とも言えないし最近知ったにわかが何言ってやがると思われるだろうが……このステージで魅せた成果は、彼女達が地道に必死に自分と向き合って、闘った賜物。

泥臭くて生々しく、愚直にただ上手くなりたい!という叩き上げの魂をこの四人から感じるんだよな。単純に携わっている役に寄り添っているだけじゃない懸けている本気の想いと魂が画面越しからでも伝わって来た。

そんなガールズフィスト!!!!の想いと魂が凝縮されていたのがラスト(アンコール)に持って来た楽曲『青春ガールズ』だったと思える。この楽曲の一節に下記の様な詞がある。



 今を楽しんだもん勝ちでしょ!?

 
 ―ガールズフィスト!!!! 『青春ガールズ』より引用



 自分としては、この部分に今回の対バンライブにおけるガールズフィスト!!!!の本気の想い=メッセージを示したと思えたのだ。

ままならない状況は未だ続いているが、そこで止まったままじゃ何も変わらない。
限られてはいるが出来る事や楽しめる事は必ず存在しているし勿体ない。青臭い主張かもしれないが、逆にその青臭さがストレートに響いて突き刺さって来るんだ。

前の二組のバンドとの魅せ方の違い=らしさを存分に魅せ付け遜色無いパフォーマンスをやってくれた事、ヘッドライナーとしてきっちりと締めくくった事は本当に素晴らしくガッツリと楽しめた。

 

 

 

 


 ・最後に


 配信でも充分以上にガッツリと滾って楽しめましたが、やっぱりこの三組は現地参戦して直にサウンドと歌声の波に身を預けて堪能して燃え滾りたかったのは正直なインプレッションでもありました。

まあ、その刻と機は今後必ず訪れる事を信じて待ちたいと思います。

三組のバンドが魅せてくれた輝きは、どれも素晴らしく優劣のないモノ。
観ている人がいるのが解かってながらも姿が見えずレスポンスの声が届かない中で本気の想いと魂を、奏でて歌う事は厳しかったと思います。


でも、そこに挑んで闘った姿を観たからこそ、感動して興奮した事実は魂に刻まれた。


未だ難しい状況が続く中に於いて、徹底した対策をして最高のパフォーマンスを魅せてライブを成功させてくれた三組のバンドと関係者に心からの感謝と賛辞を。

 

 

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