巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

タマシイノコドウとココロノヒカリ

 どうも。あかとんぼ弐号でございます。


本稿は『Run Girls, Run! Advent Calendar 2020』の13日目の記事となります。

 

adventar.org

 

 ここまでに公開された記事はどれも素晴らしく情熱溢れたモノばかり。
三人の軌跡や、グループや個のチカラの魅力、ライブで魅せる輝き、参戦されたインプレッション、三人の現状での立ち位置…etc

繰り返しになりますが、どの記事も愛情溢れて興味深く拝読させていただきました。


この様な場を設けていただいたtkusanoさん、参加者の皆様ありがとうございます。


 RGRへの熱い想いがここまで12人のランナー諸氏によって綴られて
その想いが刻まれたバトンが、今、自分の手元に届きました。

とは言え、語彙力&文章力が壊滅しておる自分には重たすぎるバトン……

入れ込んだ所で、エモーショナルに満ち溢れた記事は書けないので、自分なりに彼女達に抱いている想いをなんとか形にしてこのバトンを繋げていきたいと思います。

 

 

 

 


 以前、自分はRGRの現在地について思う所を書き殴って記事にした。

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 今回はその記事で書き切れなかった事を盛った完結編的な感じの記事。
予めのご注意になりますが、本稿は決して『Run Girls, Run!』を非難、あるいは貶す目的で書かれたモノではない事。強い感じのインプレッションだったり、上から目線的な物言いをしてしまう部分が出てきてしまうかもしれません。

Run Girls, Run!』に並らなぬ情熱を抱いて本気で応援される方にとっては、不快感に感じる記述が無いと言い切れないので、ここから先を読み進む覚悟が出来る方以外は
今の段階でブラウザバックしていただけますと幸いです。

 

 


 

  三年の刻を経た座標軸

 

 改めて書く事ではないが、今年は『Run Girls, Run!』が結成して三周年を迎えた年。

 

ランナー(RGRファンの愛称)の層も千差万別。様々な時期や切っ掛けで、知って惹かれて推していくに至っただろう。歌唱やダンスパフォーマンスが良い、三人の個性・パーソナリティとギャップが面白い。未知の可能性に心躍らせたり……



あと、顔面が良い。とにかく良い。クッソ良いんだよ。



……まぁ、それぞれにRGRの良い部分は挙げられる。で、ここからは私見と暴論の域だがおそらくは、ランナー諸氏が共通で抱いているモノがあると思う。


それは、三人のパフォーマンスだったりキャラクターや楽曲が良い割りに世間からの評価はそう高いものじゃなく、想像より多くには認められてないのではないかという事。


 何事も無く、順風満帆にキャリアを重ねられているグループなんていない。
RGRも当然そうだ。あくまでも個人的な見解だが、彼女達は何かと風当たりがより厳しい様にこれまで見てきて思ってしまう。巡って来る運(=チャンス)に恵まれなく、きっちり見てもらえないといった感じにも捉えられる。


今の時代、個人の意見は簡単に公の場に出す事が出来る。そして、それを見る事も。


自分が惹かれて応援している存在に対して、ネガティブなインプレッションを抱く声を見聞するのは気分がいいモノではないし、普段ロクに見なかったり言及しない層の時勢に追従しただけの好き勝手にほざく適当な声は単純に悔しいものだ。


そう言われてしまっているのがRGRの今いる座標軸(基準)なのだ……

 

 

 

 このセカイで生きる為に……滾るタマシイを示せ  


 挙げていくとキリがないので本稿では割愛するが、現在、声優によるグループは本当に多く存在している。作品在りきのグループは勿論、レーベルによるアーティストとしてのプロモーション戦略だったり、高名なクリエーターのプロデュースとか……更には、グループだけではなくソロで活動される人もそこに加わりこちらも多種多様に存在していて、所謂群雄割拠の様相であり、良い表現ではないが声優アーティストのバーゲンセール市場…ファンの奪い合いという戦乱の世。


もはや、歌って踊れるのは備えていて当たり前のスキル、高名なクリエーターによる楽曲提供だけではグループとしてのアイデンティティにならない。
意外性という未知の可能性がアイデンティティとなっていくのだろう。


当たり前の要素+意外性+αの付加価値を見せて、客の魂をガッと掴んで
『こいつらになら、金と時間を費やす価値がある』と認めさせる。
その闘い方が出来ないとあっさりと消える。今はそういう時勢の波の中にRGRはいる。
更に言ってしまえば、今の彼女達に突飛な武器はない。


周りは曲者揃いの猛者。確実に勝つ保障はないけれど絶対に負けない方法はある。


それは闘わない事。


たが……闘わない=駆ける事をやめるのは、彼女達にとって諦める=死ぬ事と同義だ。
挑まない、闘わない者のカレンダーに何時かという日はない。ただ日々を過ごしているだけじゃ本当に強いヤツには勝てない。彼女達が叶えたいのは勝ちたいという願いだ。


突飛な武器が無い。欲しいと願えば降って湧き出て授かる都合のいいモノではない。


なら、どうする。どうやって闘って生き残る?
無いのなら、持っている当たり前の武器を徹底的に鍛えて磨くしかない。

 

 走るために生まれてきた でもまだ たりない たりない


 ―Run Girls, Run!『ランガリング・シンガソング 』より引用


 

 正当に認められないのは非常にキツい。やっている事が全て肯定されて評価される優しい世界ではなく、努力が必ず報われる保証や認められない世界がこの世の理で、彼女達の目の前にある軌跡は荒れ放題で駆けるには険しすぎる獣道。


グループ名にRun(走る)と冠した様に、走る事が三人のアイデンティティ


思い描く理想はまだ遥か彼方。何もかもが全然足りなくて至らないモノだらけ。
でも、諦めたくないと、やってみなくちゃ分からないと魂を奮い立たせ考えて動く。

 

f:id:Akatonbo02:20201212170629j:plain


 

 

 本当に勝ちたいのは誰だ?


 この程度だと蔑まれたまま終わるワケにはいかない。私達は挑戦者だ。


 三人の胸(魂)に在るタマシイが吠え、ココロのヒカリが燃え滾る。


 目醒めた野望と野生の翼を広げて時代の鼓動を刻む為に。


 闘う準備は出来ている。


 止まってなんかいられない!!!と。

 

 

 どんな時でも、参戦したイベントを全力全開で闘い、でも必ずしも上手くいかなかったり、特に今年は、時勢の波の影響で勝負を懸けようと意気込みながらもいろいろ諦めなきゃならない事もあって、悔しい思いは数え切れないほどしただろう。

二周年ライブの時に、厚木那奈美さんが『1stツアーが満員にできなくて悔しかった』と言った事。あれは、今もハッキリと俺の魂に楔となって撃ち込まれた言葉だ。


厚木さんの言、1stツアーに参戦されたランナー諸氏は痛感しているはずだと思う。
その事実はRGRの三人も痛感して思い知らされた『敗北』の記憶でもある。厚木さんの敗北宣言とも言えるこの言葉は、二周年ライブという晴れやかな記念の場でわざわざ触れなくても何の問題もない事。

でも、厚木さんはそれを言葉にした。林さんや森嶋さんも同じ想いだったのだろう。
言い訳や負け惜しみなんてない。ただただ悔しいと潔く自分たちの負けを認めた。


自分達の弱さを受け入れて、現状を変えようとする想いを抱いて走る事をやめなかったからこそ、いろいろと飛躍に繋がる機を掴めた。
動かなければ何も変わらない事は、彼女達三人が一番分かっている。

 


 見ている人はちゃんと見てくれるし、どこの誰かに見られてもいい様に入念な準備と修練を怠らなかった者にしか雄飛の機は訪れないし掴めない。挑んで、闘い、日頃から全力全開で妥協せずに貪欲に生きる者が一発を当てられる。

だが、それはすぐに訪れるとは限らないしその一発がデカいかどうか分からないという事。本当に成果が出ているか分からなくても、やり続けて走り続けなきゃならない。
妥協したり怠ると、武器は錆びつき見えない部分で差がついてしまう。


 だから、三人は走り続ける。この三人にしか魅せられないパフォーマンスを磨き上げて、言葉だけじゃ伝えられない熱く滾る本気の想いと魂をパフォーマンスに込めて。

 

 

 Road to ”BUDOKAN” ~三人の双眸が見据える約束の地

 

 

 『Run Girls, Run!』として、まだ何も成し遂げられていない。これは事実。

 


 でも、そこに望みと未知の可能性がある。

 

 

f:id:Akatonbo02:20201212170642j:plain

 

 日本武道館という場に辿り着く事が彼女達の眸が見定めた約束の地。
彼女達だけではなく、今までもこれからも多くのミュージシャンやアーティストにとっても立ちたいと願う約束の地。そこに立つ事が成し遂げた一つの確固たる証になるのではないだろうか。

目標、到達点、そして…終焉の地。意味はその状況によって違って来るが
現在に於いても特別な意味を持つ『聖地』

近年では、RGRと同じ声優グループが武道館やアリーナ・ドームクラスの大規模会場で単独ライブを開催する事は特別な事ではなくなっているが、やっぱり自分が情熱を持って推している存在が武道館のステージを踏みしめる刻と機が来る事を信じて待ち望むものだと思うし、そうなればと願う。


 しかし、彼女達の夢と目標を聞いてこう思う人はいるだろう。


 無理だ。身の程を知れと上から目線な物言いや、何言っちゃってるのと嗤う声。

 

 でも、俺はその目で見て来た。絶対に無理だという嗤い声を黙らせた人達を。


 ある人は、絶対無理だと言われた東京ドーム単独公演と紅白出場を叶えた。

 またある人達は、嗤われながらも、懸命に闘い続けて、
 さいたまスーパーアリーナでの単独公演を最後の最後という終焉の刻で勝ち取った。


 この人達が共に貫き通したのは、言い続ける事と挑戦し闘い続ける事を諦めず止めなかった事だ。そして、彼女達の滾る本気の熱に巻き込まれて乗っかった多くの人達が背中を押していった。

限界を超えようと踏み込んで闘う姿を見せ続ける。
周りを巻き込むほどの強いチカラと本気の想いが成果に結びつくモノだと。
だから、RGRの三人も言い続けて欲しい。諦めなければいつかそれが叶う刻が来る刻を勝ち取れる事を。


 
 

 

 最後に

 

 

 結成三周年を迎え、これからどんな世界へ導いてくれるのか。
全力で駆ける彼女達を追いかけた先に見える景色はどんなモノなのか。


予想を見事に裏切り、期待に応えてくれる『Run Girls, Run!』にもっと驚かされたい。


そして、彼女達の変わろうとする本気の想いと覚悟に負けたくない。

今は逢いに向かう事が限られて難しい。
だが、逢えない刻は、逢いたいという気持ちを研ぎ澄まして強くする。

その機と刻が叶ったら、爆ぜる想いと魂をぶつける。
この熱を今以上に滾らせて自分の出来る範囲で追いかけ続ける。


 物語は終わりじゃない。ここから始まるんだ。

 RGRはそんなヤワじゃねぇし、しぶとくて諦めが悪い。

 行く軌跡を塞ごうとする枠や括りつけようとする鎖なんざぶっ壊して駆けろ。

 


この先の未来に何が起こるか勿論分からんが、先の展開を想像してみるだけでドキドキしてワクワクしてくる。未知の可能性と三種三様の魅力的な個のチカラは今よりもっと凄いモノを魅せ付けてくれるだろう。彼女達ならやってくれる。


 ただ、先行きが厳しいモノを突き付けられているのも現実。


入口もまだそんなに多く広いモノじゃないが……でも、逆の可能性だってあって可能性は高くないかもしれんがそいつに懸けて信じてみたい。

 

f:id:Akatonbo02:20201212170618j:plain


 だから、いろいろな人に知ってもらいたい。
Run Girls, Run!』のパーソナリティや楽曲、三種三様の個性に触れてみてほしい。
このアドベントカレンダーに寄稿された記事が知って惹かれていく事の助けになる。


知ってもらえたら、きっと気付いてもらえるはず。
Run Girls, Run!』が面白くて魅力に溢れたグループである事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちじゃなきゃ駄目って曲が謳いたい~未来と今をツナグ終わらない『円と縁』の謳

 どうも。あかとんぼ弐号です。



本稿は『Wake Up, Girls! Advent Calendar 2020』12日目の担当記事になります。
一昨年、昨年に続いて、Wake Up, Girls! Advent Calendarへ寄稿致しました。今年もまた宜しくお願い致します。

 

 

adventar.org

 

 一昨年に書いたモノ

 

akatonbo02.hatenablog.jp



 昨年に書いたモノ

 

 

akatonbo02.hatenablog.jp

 

 

 

 『Wake Up, Girls!』関連の愛がある記事なら何でもOKという事が
『Wake Up, Girls! Advent Calendar 』のレギュレーション。

 今年も、持っている全部をまたぶつけるチャンスが与えられた気がした。
毎年、情熱滾る素晴らしい記事(俺の書いたモノは除外)ばかりだが、今年はその熱量が異様に違ってきていて、参加された方々のロジック&エモーションが溢れ出る素晴らしい記事揃いに慄くばかり……

語彙力&文章力のない自分が寄稿するのは甚だ場違い感満載であるが、自分に出来る限界まで踏み込んである二曲の話をこれから書き殴ってみようと思います。



その楽曲は『TUNAGO』と『Polaris』。


 

 これから書き殴る楽曲の解釈と考察については、あくまでも自分の主観によるモノ。
これが正しいというつもりは微塵もありません。

読まれる方の主観とは全く異なる可能性が大いにありますので、読まれる前にその点は予めご了承願います。

 

 

 

 

 

 私たちが架け橋となって たくさんのつながりができますようにと願い。

 

 

f:id:Akatonbo02:20201211214957j:plain

 

 

www.youtube.com

 

 そして……刻を越え、ずっと先の何億光年も輝ける思い出の様にと七人は誓う。

 

 

f:id:Akatonbo02:20201211214812j:plain

 

 

www.youtube.com



 約束の地で迎えた最期の刻で、手を差し伸べ肩を組み合って謳う七人の姿は
 どんな言の葉の賛辞をもって形容しても霞んでしまう程に綺麗だった。

 それは、燃え尽きる前に一瞬だけ爆ぜて燃え盛るモノではなく
 ずっと先の未来の刻へ燃え続ける為の希望の火のように。

 そして、そんな七人の傍らには、確かにもう七人の少女達の姿があった。

 

 血の繋がりよりも濃く固い縁で繋がった者達、全ての刻に意味を持たせるアンセム

 

 


 数多のWUG楽曲の中に於いて、彼女達七人を取り巻くあらゆる『縁』との繋がりに感謝の念とこの七人にしか謳う事が出来ないアンセムでありOnly oneの極致にある楽曲。
Only oneってなんぞや?と思われたら……島田真夢の劇中の台詞


『私たちじゃなきゃ駄目って曲が歌いたい』Only oneの極致だと思ってもらえればいい。


生命の謳である『Beyond the Bottom』や原初の楽曲にしてアンセムである
『タチアガレ!』もこのOnly oneの系譜に存在している楽曲だが、この二曲とはまた違うOnly oneの極致に存在する特殊で特別な楽曲が『TUNAGO』と『Polaris』だと自分は思っている。


 まぁ、Only oneだのアンセムだのと勝手に言っておるのは俺だけだが……


 『TUNAGO』はWUGに最も深い縁がある東北の地への想いが色濃く反映されている。
更にはそこだけには限らない望郷の念をテーマにしている楽曲。また、魂の拠り所や、巡り逢いと関わり合いの『縁』も故郷の一部である様にも捉えられ、季節の巡りを『円』という捉え方も出来る様に思える。

曲名がヘボン式ローマ字で7文字の『TSUNAGO』ではなく、訓令式ローマ字の6文字の『TUNAGO』となっているのは東北6県の『6』に因んでいる為であると
作詞された只野菜摘氏は言及している。

 

楽曲がリリースした2017年。この年はWUGにとって様々な繋がりのあった年でもある。
色々なその繋がりへの詳細な言及は本稿では省くが、アニメの新作『新章』へと至るのもその一つだ。但し、この楽曲とアニメサイドへの繋がりは全く無い。



 そして、『Polaris』。この楽曲の最大の特色が、詞をWUGメンバー七人が綴った事だ。

 

wakeupgirls3.jp


 この楽曲もメッセージ性の強い楽曲で、一方通行だけの想いだけじゃ意味の無い双方向へと想いを巡らせ行き来させる事。曲題のPolaris北極星とその近くで輝く北斗七星をWUGとファンとの関係性になぞらえ盛り込み、東北の地への想いや人の抱くネガティブな感情や性(さが)も詞に綴られているため、WUG楽曲の集大成と呼ぶに相応しい楽曲となった。


 楽曲のみで捉えた時、前述でも触れているが『TUNAGO』はアニメサイドのWUGとは全く繋がりの無い楽曲。
一方『Polaris』は『Wake Up, Girls! 新章』の挿入歌であり、後半の物語の核になる楽曲。更には、アニメ本編だけに留まらず、舞台二作目『青葉の軌跡』にも『Polaris』へ繋がる軌跡を匂わせる演出が織り込まれている。


これだけを見るとこの二曲の直接的な繋がりは濃いモノじゃない。
『TUNAGO』はアニメの楽曲ではなく、アーティスト・WUGの『貌』(かお)として謳った楽曲。


 でも、この二曲は濃い繋がりを持つ楽曲だと思っている。
繋げている要素は、前述にある東北の地への想いは勿論。縁への感謝の想いであると。
そして、巡り廻る刻の流れや魂、生命の繋がりにまでその想いは込められている。
WUGが見せた『貌』はそれぞれ違うが魂は失っていない。

彼女達は『Polaris』の一節にこんな言の葉を綴った。それがありとあらゆる繋がりを指し示す言の葉であると感じられるのだ。


その言の葉は『未来と今ツナグ』である。


これは二曲共通に出て来るフレーズ。今の瞬間の繋がりだけを謳うのではなく、未来の刻への想いと願いを込めた。いつかは終わってしまう事を七人は覚悟して、自らに諭す意味合いもあったのかもしれないと自分は勝手に思っている。


終わらせる事で凝縮された刻の輝きが尊いモノになる。

終わらせる事で新しい夢が生まれる。

七人はきっちり終わらせる事に意味があると信じて覚悟して決断した。


 Wake Up, Girls!の活動が終焉を迎えた今の刻。
でも、彼女達がその六年の軌跡で本気で繋いで来たモノに嘘は無い。
誰の替わりもきかないこの七人にしかできないパフォーマンスと絆があった。


『ふるさとがにぎわい広がっていく』と『TUNAGO』のサビの節にあり
『つながってみちびいて輝いて』の節にて『Polaris』は歌い終わる。私見の域ではあるのだけれど……これらの楽曲の系譜の根幹を成す要素であり、七人の夢と願いなのかもしれない。

『ふるさと』は東北を指す言葉なのは間違いない。だが、彼女達自身=WUGの事を指している様に自分はここ最近思えて来ている。更に言うと彼女達の軌跡にはこの『ふるさと』を守り、盛り立てようとする闘いの軌跡でもあったと思えるのだ。

 『TUNAGO』のサビの振付を皆で一緒に踊ろうと、4thツアーが開幕する前に呼びかけた。その呼びかけに応えてツアーを経ていく毎にその人数は増していって、更にはサビの一節を皆が合唱する事態にまで昇華した。

 楽曲というモノは成長するモノ。単純に歌う者の生き様だったり技量や経験でそれを成す事もあるが、観客を巻き込んで成長していくケースもある。『Polaris』も『TUNAGO』と同系譜の楽曲と評したのはもう一つの理由は、この楽曲も同じ経緯でもって成長を遂げた繋がりの楽曲だという事。特に、『Polaris』の場合それが顕著だ。


 最期となった『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME -』その全ての公演で謳われただけではなく、詞を紡ぐ過程をあの七人(真夢達)の魂を憑依させて、朗読劇という形式でこの楽曲の物語に更なる彩りと魂を込めた。間奏で七人は客席側ではなくそれぞれが向かい合って『円』となる。その円舞の中に七人の傍らに常に寄り添った真夢達の魂も円に加わっているのだろう。

最も特徴的なのは、ラスサビにてメンバー七人が横一直線に並んで肩を組んでシンガロングする所で観客も一緒に肩を組んで歌う所だろう。この暗黙的な流れも、ファイナルツアーを経ていく毎に定着し、それに伴う形として落ちサビを謳う吉岡茉祐さんのパートの所で、彼女のイメージカラーである赤にブレードの光を変えていく行為も定着していった。


相応しい表現ではないのは承知だが、個人的にこれは言い続けていく。


純白で輝く心の光が、吉岡茉祐”魂の絶唱で血を流したような赤の光に染まっていく。
それは、『Polaris』という楽曲が真に生命が宿った刻。

たら~ればの話だが、ステージを囲む様な座席の配置になっていれば……肩を組んだ繋がりが円になる。これも生命の繋がりと称していいと思えてしまう。

『円』と『縁』は切れなければ終わる事のないワルツの様なモノ。
巡り逢い、惹かれて、繋がる。バラバラで雑多な輝きの個を一括りの円と縁に繋げた。
それは客席にいた人達も同じ。だから、いろんなモノを導いて繋がって、輝かせたのだと。

 

 …まぁ、ここまで散々書き殴っておいてアレだけれども、ライブ<楽曲の物語・世界観の方向性で書いていこうとしたが、書き殴っていくうちに熱を帯びていってしまい結局の所はベクトルが完全に入れ替わった形になってしまったが……

ただ、ライブという特殊で特別な刻と場があって、想いと魂を共有して繋がろうと七人はその手を差し出し、ワグナー諸氏は、その差し出された手を払い除けるのではなく繋がろうと応えた偽り無い真実は何よりも尊いモノだと思えてならない。

 

 そして、その『ふるさと』=WUGへ導かれる広がりは終焉の刻を過ぎてもなお、新しい広がりを続けてこんな声をよく耳にする。

  

 『解散しちゃったけど、今更ながらWUGにハマった』

 『解散後、初めてWUGを観た』…etc



 続いていようが、終わってしまっていようが、良いモノは良いんだと声をあげて吠える。
それは異論を挟めるモノじゃない。でも、負い目や申し訳なさを感じるだろう、中には一部の心無いアホがほざく『今更知っても遅い』とか『いい時を知らない奴』なんて戯言なんざ聞く耳持たなくていい。そう、我慢せずに『好き』という思いの丈を吐き出せばいい。

散って枯れて、記憶から忘れ去られても、僅かな切っ掛けと巡る季節の刻を経て再び芽吹いてやがて花を咲かせ新たに円を形作り縁を繋ぐ。

 

 悩むときがある 答え見つけ出す

    紡いできた時間があるから

    包み込む力にできる


 ―Wake Up, Girls!『TUNAGO』より引用
 
 

アンフェアの理で満ちた世の中だが、あらゆるモノが絶対に逃れる事が出来ないフェアな理が存在している。


それは、刻(季節)の巡りは平等に存在している事だ。


WUGメンバーではなく、新たな軌跡を一人の声優・表現者として日々を生きているあの七人。そして、WUGが存在していない今を生きる我々。変わった事はあるけども、季節の巡りは淡々と何事も無かったかのように変わらずに流れている。


永遠不変なモノはなく全てのものは移り変わって、あらゆるものは思い通りにならない。


けど、七人が残したあらゆるモノは『アーカイブ』として今も尚在り続けている。


それはきっと、これから未来の刻で新たに知り、惹かれていく人は増えていくのだろう。

 
楽曲からか、ライブ映像なのか、人に薦められたか、七人の誰かが出演している作品や番組だったりを観てという分かり易い要素からか。また、何か見えないモノに引き寄せられるオカルトチックな要素なのか……

何の要素が切っ掛けになってWUGという『円』の中へ導かれて辿り着いたのかは人それぞれ。人が巡り出逢える『縁』は限られたモノだと思う。それに繋がれるという事は奇跡でもあり、当たり前の事じゃない。それは声高らかに吠えて誇っていい。


踏み込んだ先は、アウェーじゃない。それぞれの『ふるさと』=『HOME』。


どこから始まろうと遅いなんて事はない。いつだっていい。WUGはまだ間に合うのだから。


 

 これまでのワグナーとの繋がりが広がったものがあったからこそ
『点と点が結んだ場所が繋がって輝く一つの絵になる』と七人は謳った。

WUGの何かに触れて感じたそのままの想いがその人にしか表現できない『絵』となる。
それは『絵』という言葉に拘らずどんなカタチでもいい。解き放ってみて下さい。
難しい事ではあるけど、それが物語が続いていって未来の刻で新しく知ってもらえる事に繋がっていくのだと。

自分も完全に書きたい事が尽き果てるまでWUGについて書く事はやめない。

これまでBlogに書いて来た記事は色々ある。作品や楽曲の所感や考察。
参戦したWUGライブのレポ。メンバーの魅力について書き殴ったモノ……etc

現に今ここに書き殴った楽曲の独自考察は、過去に記事として挙げたヤツだ。

別の角度や今の刻で新しく感じた要素に焦点を当てて、再考して導き出されたモノがあった。一つの結論に捉われず、様々な視点と感性で向かい合ってまた考えるのは本当に大事で面白いものでそれは作品に深みが広がっていく。これに気付かせてくれたのもWUG。

この駄文Blogに220記事以上もWUGに関する記事を書き殴っておいてまだ尽きないのかと辟易されるでしょうが……(苦笑)終わった今だからこそ動いて伝え続けるべきだと勝手ながら思うのです。まだまだ彼女達が世に遺したものについて語り継ぎたい。
様々な視点で触れて…ドキドキして、ワクワクしたい。


 ただの自己満足とエゴなのは承知の上だ。終わったモノに未だに縋っている見苦しいヤツだと嗤いたきゃ嗤えばいい。嗤っているだけで何もしてないお前らの為に書いてるワケじゃねぇ。書きたいから書いておるだけだ。

一つの作品でここまで書き殴ったのは『Wake Up, Girls!』が初めてだ。
そこまで書く事へのモチベーションを突き動かされたのは、WUGが人の何かを変えて実際に動かせる程の力を持つ作品だからなのだろう。それは今も続くモノだ。

それを発信して証明したい。あの七人が残してくれたモノ、自分の中の色々なモノを繋げてくれた対象への感謝を叫び続けたい。それが今なお続く俺の第二章の闘いなのだ。


少しでも…この小さな場所から一人でも多くの方に『Wake Up, Girls!』を知って欲しい。
そんな一心で執っている行動で円と縁が広がってくれるのならこんなに嬉しい事はない。

 

 

 

 あとがき


 
 今年の記事も、何とか無事に書き終える事が出来ました。

(内容の出来については知らん。ボロクソに叩かれる未来しか見えないwww)

今年も、前の二回同様にLIVE会場で聴いたWUG楽曲へのインプレッションを書き殴ろうか?あるいは、五年前のこの日に開催された
WUGフェス2015『Wake Up, Girls!Festa. 2015 Beyond the Bottom Extend.』に思いを耽る的な記事を書き殴ろうかと考えておりました。


(12/12に寄稿エントリーした理由はその為だったりしている……)


 ただ、毎回同じテイストの記事ばかりになってしまう事と、冬の幕張に関しては一昨年のAdvent Calendarの中に書いてもいるし、色々と考えた末にそれが本当に今の自分が書きたいモノではない答に辿り着き、今のWUG界隈の状況を思わせる様な二つの楽曲『TUNAGO』と『Polaris』の新しい解釈を形にして今回はそれを世に解き放ちたいと思い筆を執らせていただきました。


 ロジックやエモーションの欠片も無い、ただただ熱苦しく見苦しい駄文ではありますが……最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

RGR楽曲ライナーノーツ#8 Share the light/キラリスト・ジュエリスト/スノウ・グライダー

 どうも。RGR楽曲私的ライナーノーツシリーズのお時間です。


今回は、6枚目のシングル『Share the light』の収録楽曲について色々書き殴ろうと思う。
相変わらず、フィーリングで楽曲を聴いておるので、感覚的な表現が多くなっております。

聴いた当時の率直なインプレッションを思い返しそのまま勢いで文字にしているので読みにくい箇所だらけだと思います。
更に、制作者や歌手の意図とは異なる所感を述べている可能性があります。
あくまで一人の聴者が感じた個人的な所感として捉えていただけますと幸いです。

 

 

 

 

  Share the light

 

f:id:Akatonbo02:20201123180818j:plain

 

www.youtube.com



 テレビアニメ『アサシンズプライド』OPテーマ楽曲。
更には、2020年1月~10月までFm yokohamaで放送されたRGRがパーソナリティを務めたラジオ番組のタイトルにも付けられていたりする。

作詞を只野菜摘氏、作曲はMONAKA所属の作曲家によるスタイルはこれまでのRGRの系譜通りだが、RGR楽曲では初めてになる田中秀和氏が作曲している。

近年、注目されている電子音を中心としたサウンドが特徴とされるジャンル、フューチャーベース系統の曲調がこの楽曲の大きな特徴だといわれ、更にストリング(弦)の音も加えており、田中氏の新境地となる楽曲とも評されたりもする。

音楽知識の欠片も無い自分でも、この楽曲は音の構成が複雑で難しいインプレッションを抱くのだから、実際に歌う彼女達は自分が勝手に抱いた以上のモノを感じてるのだろう。


 初聴時に抱いたインプレッションは、RGR楽曲では稀有な静と動の変化の振り幅がかなり大きい楽曲で、三人の歌声もメロディの強弱に寄り添っていてインパクト重視ではなく時間経過を経ていく度に何か浸食する様に沁み込むスルメ曲的な中毒性のある楽曲だと感じられた。盛り上がるよりは醸し出している雰囲気に浸る……そんな方向性の楽曲だと思える。

CDジャケットやMVで彼女達が着ている青と黒を基調とした衣裳の様な妖しい艶やかさ。
この艶やかさと大人っぽさこそがこの楽曲のキモで、RGRの新たな魅力でもあるのだけれども、キュートさを効かせる部分やしっとりと傾聴させる要素まであって、前述の振り幅の大きな変化はこれらの要素へと繋がっていて、尚且つ、作中のヒロインであるメリダの揺れ動く思春期の心模様も描写していると思う。


 胸の蕾はもう 昨日よりもひらいた

 気づかないでしょう?


 ―Run Girls, Run! 『Share the light』より引用



 胸の蕾とは、自分の中に秘めている才能と可能性を例えた言い回しだろう。
僅かな刻の流れでも、人は変われる事をここの節では問いかけて来るのだ。

ここの節は厚木さんのソロパート。音源のみでも彼女の歌声の艶やかさは存分に表れてはいるのだが、ここは是非ともMVの厚木さんが歌い切った後の表情を見ていただきたい。

変われた事を勝ち誇ってる様でもあるし、それを気付いていない相手に対して煽っている表情にも見える厚木さんの微笑みが妖しくてエロ魔性の艶っぽさを醸し出している。
表情のみでも見る人を殺せる魅了してしまう厚木那奈美の強かさがここに凝縮されてると個人的に思い知らされた……

……ここに書いた駄文ではこのパートと厚木さんの魅力は伝えきれていないので
興味を持った方はMVを観る事をお薦めしておく。


 これまでのRGR楽曲は、聴き終わった後に清々しいモノを感じる事が多いのだが
この『Share the light』は違ったモノ……それは、五感にまとわり付いて来る的なモノ…余韻深いモノを強くこの楽曲からは感じられる。

 

 

 

 

 キラリスト・ジュエリスト

 

www.youtube.com

 

 

 テレビアニメ『キラッとプリ☆チャン』2019年10月からの新主題歌。
これまでのプリチャンOP楽曲の系譜をきっちりと受け継いだ明瞭な可愛らしい楽曲。

軽妙でポップなバンドサウンド、詞には合いの手調のフレーズがあってライブ映えは必定。そう思わせる程にこの楽曲のポテンシャルは高いモノだと思える。

インタビュー内で林さんが語られていたが、歌う時には明るい要素を強く押し出す事と、言葉がハッキリと聴こえる様に母音を意識して歌っているとの事。私見だが、これはこの楽曲だけに限らずプリチャンOP楽曲では、作品のメインターゲット層である女児が聴き取りやすく歌う事を常に意識されて歌われていると思うし、詞の紡ぎ方もシンプルだ。

 
 そして、この楽曲は応援ソングとしてのテイストも受け継ぐ楽曲。
OPのシーンで、この楽曲に合わせて桃山みらい達が躍動している姿に、縁と魂の繋がりを強く感じると三人は語る。

彼女達からリスナーへの応援ソングであるが、キャラクター達から彼女達への応援ソングでもあって互いを励まし合っていく想いの相互循環はエモーショナルな要素がある。

私見の域だが、応援ソングがより響いて深みを増す要素は、ネガティブでマイナスな心情描写を詞の中に落とし込められるかだと思う。

これまでのプリチャンOP楽曲では、ダイレクトなマイナス感情を示す要素は無かったとされる。今作では『不安』『見えなくなった』『真っ暗』といったマイナスなワードが出てきている。物語が続いて来て、更に踏み込んで深みを持たせる為とこれまで歌い継いで来た系譜にも深みを持たせていく。OP楽曲も作品の彩りには不可欠な要素である事の証明だと感じさせられた。


 散りばめた憧れたち 一生懸命が軌跡になる
 
 ねっ 夢 奇跡うまれる その瞬間 間にあいたいの


 ―Run Girls, Run!『キラリスト・ジュエリスト』より引用


 この楽曲で最も印象深いインプレッションは、韻の踏み方(特に脚韻)だと思う。
上記に挙げた箇所は自分が特に強いインプレッションを抱いた箇所。
『軌跡』と『奇跡』の掛け方はシンプルだけれども、シンプル故にダイレクトに響いてくる。

曲題の『キラリスト・ジュエリスト』からそれは盛り込まれている。
ファイナリスト、リスペクト、カラフル、チャンネル…etc単体ではなくパートの中できっちりと落とし込んでいて、それが聴き心地と響きの良さを作り出して明解。こういった点が只野氏の用兵の妙であり多くの人を惹き付ける所以だと思える。


 この楽曲は、個性を尊重して輝く事がもう一つのテーマであると林さんは云う。
そして、それは子供だけに限った事ではなく様々な年齢層の人に聴いて欲しいとも云った。前述に挙げたパートの詞『一生懸命が軌跡』も幅広い年齢層に訴え掛けるワードだ。

日々を懸命に、疎かにしない者にしか好機=奇跡はやって来ないし掴めない。
走り続ける事をアイデンティティにしている彼女達が謳うからこそ、この楽曲は説得力があって響くのだろうと感じる。

 

 

 

 

 スノウ・グライダー

 

www.youtube.com

 

 “RGR Season Song”の冬の章にあたる楽曲。
曲題にあるグライダーは、動力(エンジン・プロペラ)が無く上空の気流を利用して滑空する航空機の事。スノウは英語で雪を意味するワード。

さしずめ、雪が降りだしそうな空を滑空しているグライダーがイメージとして浮かんで来る。

 

ダンスの振付は厚木那奈美さんが担当されていて、ここまでのRGR Season Song”をオマージュし、動きを多くする様にされたと語っている。


 さて、“RGR Season Song”でキモとなっておるのは、揺れ動く少女の恋慕の情の描写。
その系譜にあるこの楽曲もそれに外れず、もどかしさや切ない感情がキモになっている。
だが、この楽曲はマイナス方向へのベクトルが異常に振り切れて墜ちる所の極致まで墜ちた…そう思わせる凄みすら感じさせられる。

しかもだ。明瞭なテクノポップ調のメロディが、詞とのアンバランスな落差が気流の力のみで空を滑空するグライダーになぞらえているようであり、少女の感情だけではもうどうにもならない葛藤、儚さ、繊細さ、壊れやすさ等を描写してる様にも捉えられなくもない。

マイナスのベクトルへ振り切った詞、ポップで明瞭なメロディ、浮遊感を醸し出すRGRのボーカル。三つのアンバランスな要素が絶妙に絡み合った結果、楽曲の雰囲気が見事に決まる。


 『スノウ・グライダー』の世界観の要となっているのは、詞の所々にある『もういいの』というフレーズだろう。この五文字は物語の主人公である少女の心情が凝縮されたフレーズ。この部分の表現はレコーディングの際苦戦したと三人は語る。

切なく、儚げに語りかけたり、強がりを隠す言い方だったり、爆ぜる感情を解き放つ伝い方をそれぞれの箇所にて謳う。自分が最も印象深かったのが以下の箇所にある。



 誰よりもね きみの 理解者でいたいよ
 
 恋人より近い存在に 自分にいいきかせて 

 涙をごまかして 許していけるはず もういいの


 ―Run Girls, Run!『スノウ・グライダー』より引用

 

 

 前述にある爆ぜる感情を解き放った『もういいの』と謳うのがここの箇所。
ここは、厚木さんが爆ぜる感情を絞り出すように歌い上げているところに意外性という強烈なインプレッションを抱いた。

あくまで、コレは自分の勝手な所感でしかない事を先に書いておくが……
林さんと森嶋さんの声質は太い部類だと思っている。一方の厚木さんの声質は二人に比べると細い。

勿論、声質が太いから良い。細いから駄目なんてモノはない。

しかし、この楽曲のこの箇所では厚木さんの細い声質が少女の爆ぜる感情を表すのに最も適していたと……勝手ながら思ってしまうのである。


 RGR楽曲の中でも随一のネガティブで切なく儚い楽曲。
救いがない様に思えて来るが、ほんの少しだけ救いがあるワードがある。
それは、雪の色でありイメージの一つでもある『真っ白』だ。

これも、少女の心模様を表すワードで、ポジティブ=救いの要素だと思える。

白紙に戻してなかった事にする。逃げの様にも思えるがそれは未来の刻へ進む事でもある。故に、この楽曲は哀愁だけの楽曲じゃない。救いもあったのだと。

 

 

 

 

 結成二年、CDデビューから一年の刻が経った『Run Girls, Run!』がこれからの軌跡をこれまでと変わらず走り続ける事と、未知の領域にも果敢に挑む気概が込められたメッセージ。

表題曲の『Share the light』に、C/W『キラリスト・ジュエリスト』&『スノウ・グライダー』という形式ではあるが、トリプルA面として評しても何も問題がない楽曲それぞれの強さと貌は説得力がある素晴らしい名盤だと自分はこの作品から感じたのである。

 

 

 

 

 

RGRの現在地、枠を壊して進むこれからの軌跡。

 どうも。あかとんぼ弐号です。

 

世間がどうだか知ったこっちゃないが、3年、5年、10年はひと区切り的な節目の年として捉えられている。


以前にも書いたが、今年は『Run Girls, Run!』結成三周年を迎えた年。
遅くなってしまい申し訳ございませんが、結成三周年おめでとうございます!


今、彼女達を見てランナー諸氏はどのようなインプレッションを抱いているのだろうか?


目覚ましい成長に心躍り、更なる雄飛を期待している人。

一方、まだ突き抜けられない靄の様なモノを感じて歯痒く思う人。

あるいはその両方のポジティブとネガティブな想いが同居している人。


俺が彼女達に抱いているインプレッションは、ズルいスタンスになってしまうだろうが…ポジティブな要素とネガティブな要素が混在しているモノ。こいつはおそらく何か今後でもっと強烈なインパクトを魅せ付けられるまで抱き続けるモノだと思う。

自己弁護になるが……RGRの三人にそれぞれが抱く現状のインプレッションはどれも正解で、自分とは違うインプレッションを抱いている人を非難してはならないと思う。

 


 で、この三年の軌跡と刻、当の彼女達三人はどう感じ想いを馳せているのだろうか。
幼い頃より憧れ夢抱き、自ら動いて挑んで勝ち取った表現者への道。

楽しく、魂が爆ぜる様な快感もあっただろうが、それ以上に容赦なく突き付けられる現実に打ちのめされて、自信を粉々に砕かれる事の方が多かっただろうと勝手ながら思ってしまう。

頑張るのは当たり前。努力した分だけ必ず報われる保証なんて無く、回り道はいくらもあるけど近道は絶対に無い。この世の理はフェアなようでいて実はアンフェア。特に表現者の世界はそれが色濃い世界。


自分達がまだ小さい存在である事を自覚して受け入れて現実と向き合って走る。
纏わりついてくるネガティブな影を払拭してもっと輝ける様にと。


でも、その影はしつこく纏わりついている厄介な代物。
その影こそが、何かの枠や殻だったり限界領域を突破して突き抜けられない要素の正体なのかもしれない。


何か煮え切らないモヤモヤしたモノを一番痛感しているのは当の本人達でもあった。
先日、RGRの配信番組『Run Girls, Run!の3人4脚自由形』で、林鼓子さんはこんな心情を吐露する。


 

 

ただの大人しいいい子達にしか見えない。真面目なのはわかるがそれしか無い。


 パフォーマンスにもそれが表れていて、上手いがそれ以上のぶつけて来る熱量が弱い。

 

 

 

 これは、周りのOTONA達が彼女達を評した言葉だと云う。
確かに、三人を見ていると仲の良いグループである事が伝わって来る。だが、仲の良さというのは、競争心の薄いなあなあの慣れ合いといったマイナスの要素もはらんでいたりするものだ。言う方もいろんな表現者を見て来たプロの人達。その視点でしか分からないモノがあるのだろう。

前述にあるが、三人もそれは痛感しているし、その枠を壊したくて変わろうとする想いを抱いている。

でも、周りにこういう厳しい事を言ってくれる人がいる事は良い事。
可能性を信じているからこそ厳しい事を言う。厳しい事を言われ不貞腐れるだけの者に巡って来た好機は掴めない。こういう事書くと時代遅れかもしれないが、『なにくそ!』や『今に見てろ』的な悔しさから来る反骨精神を焚き付けていくのは、アンフェアな世を生きていく上では必要なモノだと思える。


そして、枠を打ち壊す為のヒントをこれまた彼女達に縁深い人達から贈られる。


 三人と同じ経緯で表現者の道を行き、その背中で彼女達を導いてくれる者。
直系の先輩グループ『Wake Up,Girls!』あの七人も今のRGRと同じ経験や苦悩を抱いた人達。青山吉能さんと山下七海さんは前述の配信番組にゲストで出演してRGRに枠を壊して雄飛する為の言の葉を贈った。

青山さんは、グループを続けていく事の大切さと、各々が苦しくなった時に解放出来る場を三人が紡ぎあげる事の大事さを語り……

山下さんは、外の場を見て感じる事で感じたモノやそれをホームである場に還元させる事。
それぞれがファンを引き連れて来てRGRを盛り上げる事に繋がって、ホーム=三人にしか作れない居場所を守る闘いにも繋がると。

また、高木美佑さんは自ら出演されたDJライブにてRGR楽曲をかけてくれる。

永野愛理さんは、WUG楽曲のダンスの振りを伝授したり。

吉岡茉祐さん、田中美海さん、奧野香耶さんもそれぞれにRGRへの想いはあるのだろう。


 あの七人はしぶとく生きる事の執念を説く諦めの悪い人達だ。その背中を見て追っている三人もそいつが身について来ていると思える。

これからもうまくいかない事は多くあって厳しい状況だろうが……
道を外れたとしても全力で引きずり戻してくれる人達がちゃんといるし、三人もしぶとくて諦め悪い。誰が引っ張っても反発してぶつかったっていい。その反発する途轍もないエネルギーは、きっと三人の駆ける為の燃料になる。


本当に、RGRの三人は人の良き縁に恵まれたと思う。


 『Run Girls, Run!』の名の通り、これからも全力で駆け巡ってくれ。
小さくまとまって、このままでいるワケが無い。枠なんざぶっ壊して駆けろ。


止まったら死ぬ事の怖れを抱くこの三人ならやってくれる。


根拠はないが、その可能性はバチバチと感じるんだ。

 

 

f:id:Akatonbo02:20201114233605j:plain

 
 相変わらずまとまりのない駄文で申し訳ないが、『Run Girls, Run!』の今後が幸多き縁の巡り逢わせに恵まれる事と、林鼓子さん、森嶋優花さん、厚木那奈美さんの今後の更なる雄飛を切に願い、筆を置く事に致します。

 

 

 

 

 

 

其れは反逆の拳への巡り逢い~ガールズフィスト!!!! に惹かれて。

 ”彼女達”は叫ぶ。


 ”RAISE YOUR FIST!!!!”拳を上げろ!!!!と。

 

 

 

f:id:Akatonbo02:20201107173213j:plain

 

シンプルではあるが、魂を撃つその言葉に胸が熱く滾る衝動が湧き上がる。
拳は最も原始的な闘争手段、武器の一つ。また、固く握られた拳は抵抗の意志を示し、突き上げた拳は抵抗の象徴としても用いられる。


『ガールズフィスト!!!! 南松本高校パンクロック同好会』のライブ、後日楽曲を一通り聴き、前述の様な胸が熱くなる衝動が湧いて来たのである。


…普通なら、惹かれた経緯から書いていって、楽曲所感、ライブ所感の順に記事に書くのだろうが、当Blogの執筆者である俺が異端者なので、今更ながら『ガールズフィスト!!!!』に惹かれた経緯についてこれから書き殴っていこうと思う。


 


 ガールズフィスト!!!! の名を初めて知って惹かれるまで

 

 まず、この名前を初めて知ったのは、自分のツイッターのタイムラインだった。
何でも、秋葉原ゲーマーズのイベントスペースで公開練習と称した定期的なイベントをやっているとの事。これ以降度々この名を現在に至るまで目にしていくのである。
ただ、この時期で自分に刺さって来る事はなく、興味のアンテナも感知せずに刻は流れていったのである。


刻は流れて今年の三月の春の日。


忌々しい新型ウイルスの奴の感染拡大によってありとあらゆるイベント・ライブが感染対策によって開催自粛を余儀なくされたのは、現在の世に生きる皆様ならご承知の事実。
だが、エンタメの炎は完全には消えちゃいなくて燻ぶっている。

過去のライブ映像を動画配信で提供したり、対策を徹底して無観客にてライブを行いそれを配信するスタイルが次々と提供されだしたのもこの頃だ。

そんな時勢の波にこの『ガールズフィスト!!!!』も乗っかって無観客配信ライブを開催するという。確か、無料で観られた(…はず)ので、視聴する事にした。

最初はBlog記事執筆のBGMになればいいかなと軽い気持ちで、PCで観ていたのだが…
全く執筆が捗りゃしねぇので、執筆を一旦止めて彼女達のライブをじっくりと観る事に切り替えた。興味のアンテナがこのライブを観ろと訴えて来たのだ。

シンプルでストレートな曲調と、勢いのある粗削りなサウンドとボーカル。
良し悪しは分からんがそれは拙いモノのなのかもしれない。でも、彼女達はそれすらも楽しんでこのライブで進化してやろうという気持ちが漲っていた。


しかし、この段階で完全に惹かれてはいなかった。でも、面白い存在だと感じた。


で……つい先日『ガールズフィスト!!!!』が出演した
『GIRLS LIVE STREAM -2020 AUTUMN SP-』で完全に惹かれたのだ。


 あのライブから刻が経ち、興奮して煮だった脳ミソが冷め切った所で
『ガールズフィスト!!!!』の何に感動して燃え滾れたのかを考えておった。

 

 

 

 

 楽曲が凄く強い。

 

 

ネルギッシュでパワフルな『Ready and Rarin' to Go!!!!』『Re:スタート』『Tic×Tic=Tac♪』
一方で、真逆のじっくりと沁み入る様に傾聴させる趣きの『Full of Lies』『孤独の月』……etc


ただ強い(=いい楽曲)だけじゃない。すごく強いのだ。


ライブで聴いての強さは言うに及ばず、音源で聴いてもその強さは変わらない。
強い楽曲を携えてるという事実は、彼女達にとって何よりのアドバンテージであり、武器でもある。


だから信じていい。


しかも、まだ未知数の可能性を秘めている存在だ。これからもっと強い楽曲が出て来るはず。
その未来の刻を想像するだけでもワクワクしてドキドキしてくるじゃないか。

 

 

 

 


 叩き上げの魂が紡ぐ『物語』。

 

 

 楽曲が強くても、それを成長させて活かす事が出来るのは人の力無しでは叶わない。
『ガールズフィスト!!!!』のメンバー達が紡ぐ物語が、楽曲に魂と血を通わせる。


 ガールズバンドを題材にした作品とリンクして、出演されているキャストで2018年の秋に実際にバンドを結成して、オリジナル楽曲のリリース、イベントやライブで演奏して歌う。

メンバーは、ボーカルに奈川芳野役の浅見春那さん、ギターに坂ノ下奏恵役の奥村真由さん、ベースに藤森 月(るな)役の古川由利奈さん、ドラムに白瀬双葉役の内山つかささんの四人構成のフォーピースバンド。


※結成当初、ボーカルの奈川芳野役は加藤あつこさんという方が担当されていましたが、体調を崩してしまい降板されたと。その後、浅見春那さんが加入したとの事。


 で、楽器に触れるメンバー達だが、ドラムの内山さんが学生時代に叩いた事があるが、他のメンバー達は、その楽器に触れる事が初めてのビギナー。

(古川さんはピアノ。奥村さんは吹奏楽経験者だそうで、全くの音楽未経験者ではないという。)

しかも、浅見さんに至っては加入当時は声優デビューしたばかりの新人。


未完成で未知の可能性を秘めている存在、地道にコツコツと努力を重ねていく姿。
楽器経験者で彼女達を推される人の中には、かつての自分が歩んで来た演奏が上手くなりたい姿を重ねてメンバー達の上達ぶりに目を細める人もいるという。育っていく物語がインディーの叩き上げの魂を彷彿とさせて熱を帯びて物語に彩りを与えていっているのだろう。


そして、自分が目を奪われたのは本当に楽しんで演奏して歌う姿だ。


何が良くて、どこがまだ不完全で拙い部分なのかは自分には分からない。
見る目のある人が見たら全然未熟な存在なのかもしれないが、そんな評価はどうだっていい。求めているのは完璧でそつないモノじゃない。その要素を『どうでもいい』と思わせてしまう程に、『ガールズフィスト!!!!』のがむしゃらで直向きな本気の音楽はその要素を見事に壊したのだ。

 

 

 

 

 闘い方。

 

 前述にもあるが、彼女達はコツコツと地道にその軌跡を歩んでいる。


YouTubeに公式の動画配信チャンネルを立ち上げて、番組や個人の自主練習の模様をアップしたり、現在は感染症対策で開催されていない模様だが、公開練習と称した無料の定期イベントを開いたり、単独ライブだけではなく、武者修行の如く様々なライブへの参戦も精力的に出向いている。

バンドを題材にしたメディア作品は、そう目新しいモノではなく新鮮さや意外性もない。
勝手な推察の域だが、『けいおん!』や『BanG Dream!』の二番煎じ的なモノとして揶揄する声もあったと思う。

ただ、プロモーションの方向性は違うモノだと思える。

実際に彼女達が演奏練習をする光景を直に見られる機会を多く設けたり、アニメ系のライブイベントのみではなく、カテゴリーを問わないライブに参戦してこれまた多くの人の目に触れる機会を積極的に増やす。

まずは、知られなければ話にはならない。だから動く。

その姿勢はライブで彼女達が演奏する楽曲にも表れていく。

彼女達は、カバーソングを歌う事があるが、そのチョイスは国内・海外のパンクロックバンドの楽曲をカバーしていくスタイルをとる。コレは、同じ市場でファン獲得を争うのではなくアニソンファン以外から流れて来るであろう層へのアピールが狙いなのではと勝手ながら思えている。それは、彼女達のスキルアップやステージ経験を重ねる事にも繋がる。


自分が心揺さぶられて肌が粟立つ”叩き上げの魂“を感じた。


早急に成果が表れる事ではないが、今の活動の様に丁寧に地道に努力を重ねて続けていく事で、何かが未来の刻で劇的に変わるかもしれないし、事実そうなって欲しいと願っている。

勿論、その未知の可能性を存分にこの『ガールズフィスト!!!!』から感じたのも事実だ。

だから、『ガールズフィスト!!!!』の楽曲やライブを観て、心が戦いで魂が爆ぜたのだと。

この四人が未来の刻で、どこかのドデカい会場のステージで楽しく賑やかなサウンドを響かせる刻と機がきっと訪れるはずだろうし、その未来が来る事を信じてみたい。


 想いを書き殴り、公に曝したからには本気で応援する覚悟が固まったという事。
これからの『ガールズフィスト!!!!』の四人に幸多からん事を切に願い応援していきたい。

 

 

 

 

『今』を楽しんだもん勝ち!~GIRLS LIVE STREAM -2020 AUTUMN SP-所感

 先週の日曜。配信ライブ『GIRLS LIVE STREAM -2020 AUTUMN SP-』を観た。

 

f:id:Akatonbo02:20201025162117j:plain

 

 そのライブは、無観客の配信による形式で開催された対バンライブ。
何故、自分がこのライブを観ようとオンラインチケットを購入したのかは、先日記事にした『ガールズフィスト!!!!』がこのライブに参戦する事を急遽知ったからと、時間の都合も合ったからだ。


大袈裟な話になってしまうが…何か引き寄せられる妙な予感がしたからでもあったんだ。


 で、このライブは、『ガールズフィスト!!!!』の他に二組のバンド『ぴんく!しゅがー!しろっぷ!』、『TOXIC LAGUS』によるスリーマンライブ形式。俺は、『ガールズフィスト!!!!』以外のこの二組は当日名前を聞いただけで本当に未知の存在。ちなみに、『ガールズフィスト!!!!』も俺はそんなに知識があるわけじゃない。所謂にかわのカテゴリーにいる奴である。


 ただ、ロクに知らないのも逆を言えばより深く楽しめる要因でもある。
良い意味で予想を裏切ってくれる可能性と自分のアンテナが感じた直感を信じてこの未知の領域へと踏みこんでみたらだ……『とんでも無ぇモノを魅せ付けられた』


エモーショナルの暴力で徹底的にきっちりと打ちのめされた…そんなライブだった。


これからその模様を、出涸らしの記憶から引きずりだして書き殴っていこうと思う。

 

 

 


 ・ぴんく!しゅがー!しろっぷ!

 

 f:id:Akatonbo02:20201025162141j:plain

 

 スカ・パンクメロコアmixのカラフルパンクなバンドの謳い文句に違わない、ピンクを基調としたファッションのボーカル・ぽんさん。ライブで歌うのはは八か月振りだとか。

その派手なビジュアルと、前述のスカ・パンクメロコアmixという情報から、どんな変化球的なパフォーマンスで攻めて来るのかと思っていたが、いざ観ていくとそいつは穿った先入観と俺の浅見だというモノを痛感させられた。楽曲の軸となる要素は軽妙なスカテイスト。その要素は明瞭でいてこちらも楽しげな心持ちにさせて盛り上げていくモノ。

その軽妙かつ明瞭なサウンドに彩りの要素を加味させるぽんさんのいい意味でクセと尖った要素が無い…例えると、五角形のレーダーチャートに表すと綺麗な五角形になるような歌声の聴き心地の良さが印象深い。パワフルに響かせることも出来るし、じっくりと沁み入る様に傾聴させる要素も持っている。これは見事にやられたと唸るしかなかった。

ラストアクトに持って来た、明日は何があるか分からないから、今を精一杯生きようという楽曲。『Live is Life』(正式表記は不明だが……)これは圧巻だったと言っておきたい。

無観客の配信ライブとは言え公の場で久方ぶりに謳う事への喜び、鬱積とした現状に抗おうとする反骨の魂……いろんな感情を込めて歌うぽんさんの姿は画面越しにも伝わる本気の想いにこちらの魂も滾るモノが込み上げる。


 そして、ぽんさんは歌い切ってアウトロで叫ぶ。


 

 

毎日来る明日が不安でも、この世に希望が持てなくても、

あなたはあなたでしかないし、


今は今でしかないし、どうか生きて生き抜いて。

 

 


 今という刻を、溢れかえる情報の波に呑み込まれずに自我=自分らしさと自身を信じて、力の限り生き抜いてやろうとパフォーマンスに想いと魂を込めた。
オープニングアクトやトップバッターとなるアーティストが果たさなきゃいけない役割は、ライブが持つ方向性をきっちり定める事と、確実に火を点ける事(大小問わず)だと個人的には思っている。

ディスプレイという境界の向こう側にいる視聴者に全力全開の滾る想いと魂を伝える事。演者自身と視聴者の魂にきっちりと火を点けたという成果で見事にやりきった。

勿論、『ぴんく!しゅがー!しろっぷ!』のアクトが単純に素晴らしかったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 


 ・TOXIC LAGUZ

 

f:id:Akatonbo02:20201025162129j:plain

 

 まず、この場で叫んでおきたい。


このバンド、おそらくハネる(ブレイクする)そう遠くない未来の刻で必ず来る。

 


…根拠が全く無いただのおっさんの直感&戯言だけれど、そう思わせて惹き付けられてしまうモノをこのバンドがステージで魅せ付けたんだ。衝撃的だった。


 無骨でゴリゴリとしたテイストのヘビーなサウンド、それに負けない叙情的なERIKAさんのボーカルとの調和は、荒々しく攻撃的であらゆるモノをねじ伏せようとして来る勢いがあって、奇を衒わないスタンダードなロックを響かせる。

パンクロックのサウンドは、こうあるべきなんて定義は無い自由なモノだが
重厚でバリバリに低音を轟かせるこのバンドの闘い方を知った時は『あーコレコレ、聴き馴染んだテイストのロック!!』と安心感で膝を叩いてしまうんだ。

奇を衒わないという事は、よく見かける量産的タイプと言ってしまえばそうなのかもしれないが、前述の様にハネる・ブレイクするなどというインプレッションは易々とは抱かない。

最も気になったのが、ボーカルのERIKAさんの歌声の質なんだ。


シャウトを見事に響かせる事も出来るし、がなる様に低い音域も響かせる引き出しの多さと奥行きは楽曲陣に更な深みを加味していくモノでこれでも充分に凄いのだが……
特に惹き付けられて圧倒させられたのは、ハイトーンでの高音が凄く澄んでいるが、何か魂を削っている様な危うさもあるけども綺麗な歌声だ。
夢をテーマにした楽曲『夢見星』はその高音の綺麗さが如何なく発揮されて沁み入って聴き惚れてしまうのと同時に、戦慄させ痺れる凄みも感じさせられた。

この声質は本当に天性のモノなんだろうと感じさせ、本当に素晴らしいと言うしかない。

それと、『I never...』の様なアップテンポで激熱な楽曲を持っているのも、このバンドの強みだと思う。ライブで熱量の緩急を自在に出来る楽曲があるのは本当に強い。

盛り上がって滾っていくだけがライブじゃない。しっかりと魂に沁み入らせる様にグッと聴き込ませる懐の広さを感じさせられ、諸手を挙げて笑うしかできない程に圧倒させられ、『TOXIC LAGUZ』が放った『毒』に蝕まれた。この毒は解毒出来ない。完敗だ。

曲調やバンドの纏っている雰囲気が俺のストライクゾーンにドンピシャで、尚且つ今回が初見だったってのもあってかなりインパクト強かった。
 
あまりにハマってしまい、終演後にリリースされておるEPを購入してしまった。

 

 

 

 

 

 ・ガールズフィスト!!!!南松本高校パンクロック同好会

 

f:id:Akatonbo02:20201025162013j:plain

 

 このライブは『ガールズフィスト!!!!』を観に来たと言っても過言ではない。
そんな存在がトリを飾る。個人的には滾って来る展開である。

登場し、これまでの二組とは違う独特のゆるいわちゃわちゃした雰囲気で和ませながら…いざ演奏が始まるとハードで激熱な盛り上がりへと雰囲気をシフトチェンジして畳み掛けていく。この瞬発的な爆発力が彼女達の名詞代わりと言わんばかりの生き様で、これまで貫いて来た闘い方なんだろうな。


緩急の差を持っているのは、前述で触れたが楽曲や人問わず本当に強い。


ここが攻め刻と言わんばかりに、アッパーソングを次々と披露していく。
その最中で目を引いたのは、自分が初めて三月に彼女達のライブを観た時同様に心底『楽』しんで『音』を奏でている変わらない姿があの場にはあった。

そして、変わった点もある。


変わった点は、言わずもがなパフォーマンスの質だ。ただ、演奏に関して俺がどうこうと言えるモノではないが…前に観た時よりも何か堂々と立ち振る舞った様に見え、浅見さんのボーカルはキュートさと凛とした要素をブラッシュアップし、力強い歌声を響かせ、天然の独特でフリーダムなワールドだったり、こちらの熱をしっかりと焚きつける煽りも見事だったと思う。

彼女達のこれまでを見ていないので、何とも言えないし最近知ったにわかが何言ってやがると思われるだろうが……このステージで魅せた成果は、彼女達が地道に必死に自分と向き合って、闘った賜物。

泥臭くて生々しく、愚直にただ上手くなりたい!という叩き上げの魂をこの四人から感じるんだよな。単純に携わっている役に寄り添っているだけじゃない懸けている本気の想いと魂が画面越しからでも伝わって来た。

そんなガールズフィスト!!!!の想いと魂が凝縮されていたのがラスト(アンコール)に持って来た楽曲『青春ガールズ』だったと思える。この楽曲の一節に下記の様な詞がある。



 今を楽しんだもん勝ちでしょ!?

 
 ―ガールズフィスト!!!! 『青春ガールズ』より引用



 自分としては、この部分に今回の対バンライブにおけるガールズフィスト!!!!の本気の想い=メッセージを示したと思えたのだ。

ままならない状況は未だ続いているが、そこで止まったままじゃ何も変わらない。
限られてはいるが出来る事や楽しめる事は必ず存在しているし勿体ない。青臭い主張かもしれないが、逆にその青臭さがストレートに響いて突き刺さって来るんだ。

前の二組のバンドとの魅せ方の違い=らしさを存分に魅せ付け遜色無いパフォーマンスをやってくれた事、ヘッドライナーとしてきっちりと締めくくった事は本当に素晴らしくガッツリと楽しめた。

 

 

 

 


 ・最後に


 配信でも充分以上にガッツリと滾って楽しめましたが、やっぱりこの三組は現地参戦して直にサウンドと歌声の波に身を預けて堪能して燃え滾りたかったのは正直なインプレッションでもありました。

まあ、その刻と機は今後必ず訪れる事を信じて待ちたいと思います。

三組のバンドが魅せてくれた輝きは、どれも素晴らしく優劣のないモノ。
観ている人がいるのが解かってながらも姿が見えずレスポンスの声が届かない中で本気の想いと魂を、奏でて歌う事は厳しかったと思います。


でも、そこに挑んで闘った姿を観たからこそ、感動して興奮した事実は魂に刻まれた。


未だ難しい状況が続く中に於いて、徹底した対策をして最高のパフォーマンスを魅せてライブを成功させてくれた三組のバンドと関係者に心からの感謝と賛辞を。

 

 

f:id:Akatonbo02:20201025162157j:plain

 

 

 

 

嘘だらけの世界で叫ぶ本能の魂 ~ガールズフィスト!!!!『Full of Lies』

 興味へのアンテナをこれまでとはちょいと違う方向に向けると、予期せぬ巡り逢いの予感を感知する。

感知して僅かに隙間が空いている扉を叩いて、一歩踏み込んで興味のアンテナが察知し
たモノに触れる。それは刺激となって己の魂へと突き刺さってゆく。
その刺激が自分にとって有益なモノなのか?害にしかならんモノかは踏み込んで触らないと分からない。

今回記事にする題材は、俺にとっては有益で面白い巡り逢いになったある楽曲の話。
この楽曲に出逢ったのは約半年前の配信ライブ。そのライブで最も強烈なインプレッションをこの楽曲に抱いたのであった。


…ただのおっさんが、これから好き勝手に拙く見苦しい文章を書き殴っていくが
個人の勝手な解釈が入っておりますので間違った事を書いているという可能性を先に伝えておきます。

 

 

 

 

 

 Full of Lies/ガールズフィスト!!!!

 

f:id:Akatonbo02:20201018124940j:plain

 

www.youtube.com

 

 

 コミック作品『ガールズフィスト!!!!』に出演されている浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、古川由利奈さんによる声優ユニット『南松本高校パンクロック同好会』による楽曲で、2ndシングル『D.A.S.H!!!!』(TYPE B) に収録されている楽曲。作詞は坂ノ下奏恵役の奥村真由さんが担当したとの事。


 このユニットの楽曲全てを聴き込んでいないのであくまでもコレは自分の浅いインプレッションでしかないが……パンクロックバントという事から、全体的に楽曲の雰囲気はノリ易く明朗な雰囲気の楽曲が多いという印象。しかし、この楽曲はそれらの楽曲陣とは一線を画した異質なモノ。でも、この異質な要素≒温度差こそがこの楽曲の魅力なのだと自分は感じたのである。

切なくて哀愁感のあるノスタルジックなメロディと歌い出しに『茜色の空』というワードが黄昏の刻(夕暮れ)を強烈にリスナーに対して植え付けていく。それと同居している疾走感は変わろうと願って抗う心情を描写していると感じられる。

哀愁感のある楽曲の世界観について、作詞された奥村さんは登場人物達の心の傷の部分を書く事とメロディを聴いた際に、茜色の空=黄昏の刻の情景が浮かんだと語った。
人間は、生きていく中で様々な顔(仮面)を持つもの。
職場や学校での顔、プライベートでの顔、限定的なコミュニティで見せている顔だけにはとどまらず、状況や心情に応じて見せる表情もまた嘘の仮面であると言える。
『Full of Lies』=嘘だらけ……詞にある『心の仮面』は嘘の象徴であり人の性・理だと思える。

 

 いい子の仮面被って 本当の私閉じこめて

 今になって気付いたの 誰よりも嘘つきは私だったんだ

 ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 仮面の表側しか取り繕わない見せかけだけの付き合いに辟易していた奏恵。
けど、彼女自身もいい子という嘘の仮面で取り繕っていた事に気付く。
それは、彼女の弱さを受け入れて認めた事であり探していた『答え』なのだろう。


 茜色した空目掛けて 心の仮面投げ捨てたら

 嘘だらけだったこの世界も ほら 本物が見えて来るよ
  
 ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 サビでは歌い出しのフレーズを流用しているが捨てたの後に『ら』が付いた事で、心情の変化、変わろうとする想い=本物が見えるを表現していると思える。その『答え』を携えて前へ踏み出すかの様に、サビへ突入して力強い叩き上げの魂を解放する純然で混じりっ気の無い歌声とメロディを響かせている。この楽曲が単純な切なさだけを歌っていない事の証明ではないだろうか。

 

 茜色した空目掛けて 心の声を叫んだなら

 引き出しの奥にしまい込んだ 本当の私に出会えるのかな

 怖がらないで 踏み出そうよ

 輝ける明日へと


  ―ガールズフィスト!!!! 『Full of Lies』より引用


 叫ぶとは、本当の自分をさらけ出す行為の一つでもある。
坂ノ下奏恵と彼女同様に心に傷を持つ他のメンバー、そして奥村さん自身の心情や魂も詞に存分に込めて、奥村さんが言う前向きな傷を抱えつつも前を向いて歩いていく4人をイメージしてリンクさせたアンサーソングとしての『要』がここのフレーズには込められているのだろう。夕暮れの刻をイメージして世界観を紡いだと奥村さんは語ったが、茜色自体は夕暮れ刻だけじゃなく夜明けの朝焼け刻を指す意味でもあり、ラストフレーズの『輝ける明日』は、昇る朝日であり四人が高く振り上げた反逆のシンボルである『拳』(フィスト)にも繋がっている様に思えてならないのだ。


 自分が、この楽曲をライブで聴いて最も強烈なインプレッションを抱いて惹かれたのは
浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、古川由利奈さんの偽り無い叩き上げの魂と本能を不格好ながらも全力で真っ向からぶつけて来る姿勢だったのだと思えてくるのだ。


 いい楽曲、沁みる楽曲…etc。楽曲への賛辞の言葉は色々溢れておるが
この楽曲にそんなテンプレートな賛辞はこの楽曲には似合わないと個人的に思う。
バンドの魂と生き様が切々と語りかける言の葉と奏でる楽器の音色。まごう事なき名曲だと。

楽曲のみでのインプレッションを書き殴っただけで、コレを読んで下さった『ガールズフィスト!!!!』ファンの皆様よりは詳しくありませんが……『Full of Lies』が成長していく軌跡だけではなく他の楽曲にも踏み込んでいきたいと思わせる存在に巡り逢ったのは、自分にとってこの出逢いは素晴らしい縁の奇跡。

 


 楽曲は生き物で成長していくモノ。彼女達に歌い続けて、愛して、
『Full of Lies』という楽曲を育てていって欲しいと切に願う。

 

f:id:Akatonbo02:20201018124952j:plain