巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

青き原初の謳ー 青いリフレイン&名もなき青のハルモニアを斯く語る

 その報はまさしく『青天の霹靂』と言っても過言じゃなかった。
良くも悪くも、予期せぬ突然の出来事の意味を持つ言葉だが、今回の報に対してはいい意味での事だった。

 

 

 昨年(2023年)に実施した『モノコン2023』空想アニメ賞の大賞作品からインスパイアされた楽曲(計3曲)を収録したミニアルバム『~まだ見ぬ青を探して~時々カルテット』に、ミュージックレイン3期生五名の歌唱参加が決定したとの事。この報に胸が熱くなる衝動を抱き……魂が震えた。そりゃそうだろう。ミューレ3期生にしか謳えない彼女達だけの楽曲がリリースされるのだから。

デビューしてからここまでの軌跡で、彼女達は様々な楽曲を謳って来た。キャラクターソングだったり、世に溢れる数多の楽曲をカバーしたりと。どの楽曲を謳っていてもいいモノではあるのだけれども、やっぱり求めてしまう……ミュージックレイン3期生にしか謳えない五人だけの謳を。それが、ようやく叶った。クドい様だが…本当に胸が熱くなったのだ。

 で、この作品『~まだ見ぬ青を探して~時々カルテット』(著・舟津湊)は、似た者同士の少女4人が織りなすポップでリアルな音楽×青春ストーリー。物語の作中に描かれる少女たちの青さや生き生きとした表情を、オープニングテーマ、エンディングテーマ、挿入歌として三曲の楽曲に落とし込んだ。3期生の五人は、OP楽曲『青いリフレイン』とED楽曲『名もなき青のハルモニア』の二曲を謳った。


ようやく叶った、この五人にしか謳えない謳である二曲の所感をこれから書き殴っていこうと思う。ちなみに、作品の方には一切触れず楽曲のみを聴いた薄~いインプレッションなのであしからず……

 

 


 青いリフレイン

 

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 フレッシュな清々しい風が軽やか吹き抜けていく清爽な雰囲気と、奇を衒わない素直なメロディ構成は、王道を往くOP楽曲テイストだという主張をイントロから強烈にして来て、ラストまでその勢いのまま駆け抜けていくテンポの良さ。そして、相川奏多・橘美來・夏目ここな・日向もか・宮沢小春の歌声が、潔いメロディと歌詞に更なる彩りを添えている。

 力強さと明瞭な声質を活かし、弾んで跳ねる様な歌い方をしている橘さんと相川さん。アップテンポでシンプルな曲調と、発音がハッキリしている彼女達の歌声の親和性は本当に見事。一方、飾りっ気の無い純朴さを出している夏目さんと日向さんの歌声からは、未来への希望をひたすらに信じているエネルギーを感じた。そして、四人と一線を画していたのが宮沢さんの歌声。透き通る様な繊細さと芯の強さを併せ持った彼女の歌声は、独特の深みになっていて清々しさの要素を際立たせていく。

 メロディと五人の歌声は奇を衒わない、潔いと評した様に、歌詞もまたOP楽曲らしくポジティブな方向性の言葉で綴られている。詞の世界観をもの凄くざっくり言うと…直向きに夢を追い求めて、好きな事に情熱を燃やしていたあの頃。置き去りにした当時の情熱を呼び醒まして今の刻を生きる為の燃料へと変換させたいエネルギーを求めている的な感じか。

タイトルに銘打たれている『リフレイン』は、楽曲や歌詞を繰り返すという意味の音楽用語だが、思い出や心情を繰り返して思い起こす意味も含まれている言葉でもあるとの事で、そちらの意味でも解釈出来る詞になっていて、ここで謳われる『キミ』は、仲間でも良いし、過去の自分という捉え方も出来る。

 この楽曲をフルで聴き終わって感じたファーストインプレッションは、いい意味の青臭さ全開な楽曲というモノ。そもそも『青』自体が本作品の根幹になっているテーマであり、楽曲も奇を衒わない構成で作られている。そして、物語の登場人物と謳っている五人も若い世代の表現者ってのも大きな要因。これでもか!って位に青を主調されるとかえって気持ちが良く、本曲を優秀な青春ソングへと昇華させている。

 本当に、一度聴けば、この楽曲がどういう楽曲なのか一発で分かる楽曲になっていると思う。そういう意味で、難解さも無いストレートな楽曲なので伝わりやすいなのかと思える。

 

 


 名もなき青のハルモニア



 『~まだ見ぬ青を探して~時々カルテット』のED楽曲といった位置付けの楽曲。
『青いリフレイン』がOP楽曲の王道を往くテイストだったが、この楽曲はED楽曲の王道を往くテイストの楽曲へと仕上がっているというインプレッション。

タイトルの『ハルモニア』は、英語の『ハーモニー』のギリシャ語読みだそうな。
調和するというのは、英語のハーモニーと同じ意味だが語源になったギリシャ語では、『繋ぎ合わせる』『結びつける』という意味とか。そこから調和という意味になったらしい。

EDテーマという事なので、一つの物語の締める役割を担っている。(まだ読めてないが…)物語の登場人物達が、ここまでの刻で体験した事や葛藤を受け止めて出て来た言の葉を楽曲に落とし込んでいる作りになっている様に感じた。OP楽曲『青のハルモニア』よりその傾向が強い楽曲なのかとも思える。

 さざ波の音から始まって、柔和な『静』のリズムと歌声から徐々にテンポが『動』のリズムと歌声へと進行して盛り上がっていく。ただ、明朗な雰囲気一辺倒ではなく、しっとりとした中にある芯の強さを謳っている様に聴こえて来る。彼女達の歌声は明瞭過ぎでもない。かと言ってしっとり過ぎてもいない絶妙なバランスのハーモニーを響かせて聴き心地の良さを醸し出している。

複雑なハーモニーへの昇華は、彼女達の魂がそれぞれ違った想いを抱きつつ…音楽でもって繋がって結びついている事を思わせる。この楽曲では、誰の歌声が主軸を担い、目立った聴き所といった感じは無い。楽曲タイトルに『ハルモニア』(ハーモニー)と冠された様に、五人の歌声が一つになった、どこかノスタルジー感ある切なくも優しくて力強い歌声が、こちらの魂へと沁み入るままに任せる楽曲なのだろう。

 


 
 終わりに


 かなりの駆け足だが……ミュージックレイン3期生にしか謳えない五人だけの謳についての所感を書き殴ってみた。

彼女達の謳については、『IDOLY PRIDE』や『日々荘3号館』のLIVEパートにて聴かせてもらって来たのである程度理解している。3期生の五人名義として、原初の楽曲となったこのミニアルバムに収録された二曲を聴いてまず思ったのは安心して聴けた事だろう。コレはやっぱり大きな要素。

その安定感をもたらした要因は、これまでの経験の賜物なのは、この怪文書で自分が一々書かなくても皆さんは充分に理解されている事だろう。

 気の早い話ではあるのだけれど……ようやく叶った五人にしか謳えないこの二曲をLIVEやイベントにて聴ける機と刻が訪れる事を切に願って待ち望みたい。おそらく、音源で聴いた時以上にエモーショナルな感情を揺さぶってまた新しいインプレッションを刻んでもらえるはず。


 それだけのポテンシャルをこの二曲は秘めているのだから。