巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

五人五様の生き様の証と決意ー日々荘3号館~#にちにちさんPlaylist~参戦レポ

10月7日。ヒューリックホール東京にて開催された『LAWSON presents We LIVE in 日々荘3号館 ~ #にちにちさんPlaylist ~』昼夜公演に参戦してきました。

 


 『鉄は熱いうちに打て』という諺がある。感動も同様に、その熱が冷めないうちに書き綴るのが良いはず。人にとって、忘れるという事は自然の理=当たり前のことであり、忘れる事によって魂の安定を図って生きていけるとされていると云う。そして、特権であるとも云われる。

 ただ、その自然の理と、人が逃れられない性にどうしても抗いたくなってしまう。それもまた人の性なのだ。いつか本当に何もかもを忘れてしまう前に、あの刻と場で感じた熱と感動に輪郭を与えておくべく、今こうしてPCのディスプレイを凝視しつつキーボードを叩いて、LIVEにて感じられた熱と感動を書き殴っていこうと思う。

 


 開演時刻が来て、場内の照明が消え……このLIVEの主役達となるミュージックレイン3期生である、相川奏多さん、橘美來さん、夏目ここなさん、日向もかさん、宮沢小春さんがステージIN。そして、あの楽曲のイントロが鳴り響いてこのLIVE(戦)の幕が切って落される。(この会場に幕なんてモノはなかったが……)

 オープニングアクトとして披露されたのは、最も縁深い作品である『IDOLY PRIDE』にて、彼女達が演じるキャラクター達のグループとなる『月のテンペスト』の楽曲である『月下儚美』。そして、記念すべき第一回目の『日々荘~春の親睦会』でも歌われた楽曲でもあった。

この楽曲と彼女達がここまで共に寄り添って駆けて来た軌跡は、一言で全てを表現はしきれない程に濃密なモノ。キャラクターソングという枠組みではあるけれども……それだけの枠に収まる関係性ではない。もう、切っても切り離せない『戦友』という関係性で称するのが自分の中では一番しっくり来る。

 IDOLY PRIDEのキャラクターとして臨むLIVEと、素の自分達で臨むLIVEってのはいろいろと違うモノなのだろう。特に、今回のLIVEは素の自分達でチャレンジして戦わなくてはいけないLIVE。そんなLIVEの初手だからこそ最も思い入れ深く、慣れ親しんだ楽曲で勝負を挑む。

 歌声とダンスに宿った彼女達の真剣な想いと覚悟は、ステージから茫漠な熱気となって客席へと放たれた。そんな熱にあてられ、こちらが燃え滾らないワケは無い。この五人の気概に全てを預けて委ねればいい衝動に駆られた。言わずもがな、最高なオープニングアクトになったのは言うまでも無かった。


 オープニングアクトが終わって、続いては五人がそれぞれソロで歌うパートへと進行。
ソロパートの初手は任されたのは橘美來さん。歌った楽曲は、前回のにちにちさんのリサイタルでも歌った、Buono! の『初恋サイダー』に、Vtuber・星街すいせいの『Stellar Stellar』。

 前回のにちにちさんでもそうだったが、彼女がこの『初恋サイダー』という楽曲を『大好き!』という偽り無い想いをこれでもか!というモノを存分に魅せ付けて来た。そんな彼女のパフォーマンスと熱に呼応するかの様に観客もガンガン盛り上がって…観客の熱を帯びた橘さんもパフォーマンスの質がどんどん増していってる。間違いなく、彼女は神輿にちゃんと乗せてあげると限界突破するタイプなんだなと改めて感じさせられた。

 『Stellar Stellar』という楽曲は自分の知らん楽曲だった……ただ、楽曲に対しての先入観や思い入れが一切ないから、ステージで謳っている橘さんの歌声に集中出来て聴く事が出来たワケだが。

あくまでも、現地で初めて聴いただけのファーストインプレッションになってしまうが……この楽曲は、ボーカルでぶち抜いていくタイプの楽曲だと感じた。ただ、メロディの方もボーカルを映えさせる為にしっとりと沁み入る様な構成ではなくて割とテンポは早くノリも良い。

 結構複雑で難易度の高い楽曲だと思ったが、橘美來の歌声はそんなモノ(複雑&高難度)など意に介さない程に、凛とした格好良さと力強さを帯びていた。特に圧巻だったのがサビで一気に解き放った様な絶唱だった。彼女の歌声から音の波となって身体を突き抜けた瞬間、身の毛が逆立って鳥肌がゾワっと来た。そんな橘さんの謳を聴いて…ただただ唖然とさせられてしまった。

 2番手に登場したのは、相川奏多さん。MCを一切挟まずにイントロが問答無用で流れてから、相川さんはステージIN。そして、歌い出した瞬間に度肝を抜かれた……彼女は英語で歌い出したのだ。相川さんが初手に持って来た楽曲は、『アナと雪の女王』の楽曲『Let It Go』の英語バージョン。コレは意表を突かれたってモノぢゃ括れない。

前にも書いたかもしれんが…本当に、相川奏多という人は肝の据わった度胸満点の人だなと感心させられる。歌うだけでも大変な楽曲なのは言うに及ばず、なおかつ全て英語の詞を自信満々で謳う。上手いだけじゃない、本当に強い人なのだと思い知らされたんだ。何よりも、心底楽しんで歌っているのが非常に印象深かった。

 で、2曲目は、前回も歌ったAdoの『踊』。前回のアクトも圧巻だったんだが、あっさりとその最高を更新していった相川奏多のパフォーマンスを称賛する相応しい形容詞が浮かんで来ない……きっちりとこちらの熱と焚きつけて爆ぜさせて滾らせた。彼女のVocalのステータスはカンストして振り切っているのだろう…ってな具合で、桁外れだったとしか壊滅しておる俺の語彙力では表現しようが無い。

意外性の規格を遥かに凌駕していた……ガード不可のモノをどれだけ持ってるのよ。いや、本当に凄ぇわこの子……

 そして、3番手に登場したのは宮沢小春さん。曲入り前のMCにて、前回歌った『花に亡霊』と、新たな自分を魅せたいという事で、『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』のOP楽曲である、ReoNaの『ANIMA』を歌うとの事。それを聞いた客席からはどよめきと期待に満ちた歓声が漏れた。

 『ANIMA』という楽曲は、力強く格好良い系統で、ダイレクトに歌う人の爆ぜる感情を剥き出しにしていく楽曲。宮沢さんに惹かれて推されている方にとっては、今更ながらという事だが……彼女のパーソナリティは、上品かつ清楚で淑やか。どこか不可思議でマイペースな人というインプレッション。勿論、これらは氷山の一角に過ぎないモノ。とは言え……この力強い楽曲と、宮沢さんとの組み合わせは未知数以外の何物でもなかったが……

 でも、宮沢さんが歌いだした瞬間、それらのインプレッションはいい意味で一掃された。正直驚きの一言でしかなかった。なんて表現して良いのか分からんが……歌声の芯の強さというのは、彼女が元々持っていたものなのだろうが、その芯が太くなってて重心がきっちりと根を張っている様なイメージか。

 そんな宮沢さんの歌声は、曲が進行していくに連れて力強さと熱が増していってた。歌声だけではその熱を発散し切れないのか彼女の所作までも激しくなっていた。それは、意外性という未知の貌を魅せたいという純然な想いが宮沢さんの身体と魂を突き動かして、あらゆるモノを解き放ったかの様な自由で清々しい歌声へと昇華するにまで至った要因なのかもしれない。

表情、所作、立ち姿に歌声……このアクトで魅せ付けた宮沢小春が持つ意外性に、圧倒されてただ息を呑むしか出来なくなってしまった。MCだったり、フリートークしている時の天然具合や可愛らしさとはまた違うギャップで見事に撃ち抜かれた。いい意味で存在がズルい人だwwwww

 で、『花と亡霊』。前回の昼の部では、極度の緊張からか、歌声が震え気味だったのが印象に残っていた。(夜の部では持ち直してたが)しかし、今回は昼夜共に安定した歌声を見事に響かせていた。それは、やっぱり前回の反省もあり、なおかつ、やりきった経験と掴めた自信が成し得たモノだったのだろう。儚げな中に秘めた力強い歌声に聴き惚れさせていただいた。

 宮沢さんが歌い終えて捌けていくと、イントロが流れて……4番手の夏目ここなさんがステージIN。このイントロは前回歌った『からくりピエロ』である。ジャジーでしっとりしたアンニュイな曲調と、夏目さんのハスキーかつ甘さを含んだ歌声が実に見事な調和を響かせ、そいつに聴き惚れるってのがこのアクトの真髄。

それに、彼女の思い入れの深い楽曲という点と、前回観客の前で謳ったという経験というエッセンスが加わって、夏目さんの真骨頂である(勝手にだが…)顔で謳える表現力が発動した事で、前回よりも謳にグッと感情が乗っかって楽曲に深みが増した様に聴こえて来た。

 続けて披露したのは、夏目さんが幼少期に聴いて振り真似をしていた思い入れの深い楽曲、アニメ『きらりん☆レボリューション』のOP楽曲『バラライカ』。

先程の『からくりピエロ』とはガラっとテイストが変わり、ノリが良くてテンポが早めなダンサブルな楽曲。ここでも、彼女の表現力の豊かさが見事に発揮されていた。やっぱり、夏目さんは自分が良く魅せる決め所の嗅覚だったり、それを理論化して落とし込んで実行できるモノを持っていると思う。

特に、目を惹いたのが、夏目さんのキレとしなやかさが両立されきっちりと同居した舞い踊る姿と所作だった。いい意味でのあざとい可愛らしさとエロ艶やかさ。そこに、彼女の独特な歌声が加わる事でこのアクトは一分の隙も無くなる。その手際は実に見事で、夏目ここなが創造した、魅惑の領域に落されたと言っても過言ぢゃなかった。

 ソロパートのトリを務めるのは日向もかさん。前回のにちにちさんのリサイタルでもそうだったが、曲に入る前へのMCで、盛り上げて欲しい所でのレクチャーを挟まれていた。自分と一緒にこの限られた刻と場を楽しみ尽くそうといった彼女の心遣いが実に有難い。

 まず最初に謳われたのは、アニメ版ポケモンのOP『OK!』。OP楽曲らしく、躍動的なロックテイストでパンチのある楽曲。あくまでも私見の域なんだけども、日向さんの素の声(所謂地声)って低音域が魅力的に聞こえて、ビートの激しめなパンチのある楽曲と相性がメッチャ合うだろうなと勝手に思っておったワケなんだ。

その(勝手な)予感は見事に的中した。思っていた通り、彼女の声そのものが実にエネルギッシュでパワフル。声色を使い分けられる器用さも持っているんだけども、そのパワフルさを存分に押し出した歌声がまた良い。完全な願望でしかないし、そもそも彼女がチョイスするかは未知数だが……ゴリゴリなヘヴィメタル系やシンフォニックロック系の楽曲を是非聴いてみたいものである。

 そして、前回も歌われた『ファンサ』。盛り上がるというテイストでは『OK!』と同系統なモノだが、パフォーマンスのアプローチが違ったモノ。こちらに求められるのは可愛いへと全振りしたテイスト。前回で聴いていたこともあってか、楽曲自体の雰囲気と日向さんが煽動して盛り上がった雰囲気にすんなりと入り込めて楽しめた。

 そして、何よりも脱帽させられたのは、日向もかの表現者としての幅と底の深さだった。テイストのまるで異なる楽曲を見事に歌いきってなおかつこちらが楽しみ尽くせる雰囲気も創造していった。彼女がここまで徹底して楽しめる事を追求していったのは、LIVEというモノが一期一会の尊い刻と場である事を実感されているからだろう。

同じ空は二度と出逢えないという言葉がある。そして、それはLIVEというモノにも当てはまる。日向さんは、その瞬間でしか出逢えない人を楽しませる為に全身全霊を懸けて挑んでいるのだと。


 ソロコーナーが大盛況に終わり、今回のグッズ紹介を挟んで、LIVEはいよいよ終盤戦へと突入し、ここからは3期生全員のLIVEパートとなった。

 その終盤戦の幕開けとなった一発目の楽曲は、『ドキッ!こういうのが恋なの?』。この楽曲は、昨年(11月)に開催された『いいこの文化祭』の際に五人で歌った楽曲。あの刻ではまだ諸々の規制が厳しい頃の開催だったので、観客は声を出す事が出来ない状況にあった。

ちなみに、この楽曲は、コールをとにかく入れてガッツリと楽しめる楽曲。その当時、自分も参戦していたがあの頃は最も過酷な苦行の刻だったと記憶している……歌う彼女達も何か物足りなさを感じられていたかもしれない。でも、今は声を出す事が叶った世界に我々はいる。もう遮るモノは何も無い。まあ盛り上がらないワケがなく、会場は見事な一体感に包まれたのは言うまでも無かった。

 興奮冷めやらぬまま、お次は3期生の直系の先輩グループであるスフィアの『MOON SIGNAL』!
元々は、開催中止になってしまったミューレフェスにて彼女達3期生がカバーする楽曲だった。で…今年の一月に開催された『一富士二鷹3号館』で披露されたが、自分はコレには参戦出来なかったので、ここで聴けたのは本当に嬉しかった。

 そして……もう1組の直系に当たる先輩グループ『TrySail』の楽曲である『ホントだよ』も披露。
自分はこの楽曲を知らんが……『MOON SIGNAL』とは異なり、可愛い系統の楽曲。他に格好良い系統の楽曲もあるのだが、ここは表現の落差をつけていく為にあえて対比を効かせる構成にしたのだろう。

 縁の深い先輩達の楽曲をカバーで披露するってのは、様々な界隈でよくあるモノで、賛否両論な意見も多くある。謳ってくれてありがとうと諸手を挙げて賞賛する意見もあれば、その逆で何でコイツらが歌うんだと憤りと不快に満ちた声もある。でも、その意見に正解や間違いの判定は下せない。

確かに…公演時間を埋める為の安易な手段である事は否めないのかもしれない……ただ、実際に歌う者達の楽曲や先輩(後輩)を尊ぶ想いや覚悟があるのも真実。おそらく、今後も何らかの形で先輩達の楽曲を謳う機会はあって、その都度賛否の声は上がって来るのは避けられない。それでも、3期生の五人はそいつを呑み込んで踏み込む覚悟をパフォーマンスに込めた様に感じた。


 クライマックスの前に……次回の日々荘の開催決定の報が告げられる。

 

 


 開催は来年の二月と間が結構空く事になった。そこで、前回に発表された橘さんのチャレンジされるニュースキルの披露があるのだろう。何にせよ、次回の開催が決まっているのは何よりの朗報だから。それだけではなく、3期生ベータのイベントやら、アイプラのZeppツアー、セカンドショットのイベントと……五人が出演されるイベントが多いのもまた嬉しい報だ。

 今回は全編LIVEって事で極力MCは最低限なモノに収めていた。でも、最後の挨拶では、いつもの様に五人がワチャワチャでグダグダ感満載なトークを繰り広げていたwwwwwでも、コレがこの五人にしか出来ないモノでもある。素の自分で勝負するという未知の領域の挑戦を見事に成し遂げた彼女達はやりきった良い顔をしていたと思う。中には、悔しいと洩らしていた子もいたが、その悔しさはきっとこの子達をもっと強くする最高の燃料になるから。

 そして、最後に披露したのが『月のテンペスト』の楽曲『裏と表』。
私見の域だが……この楽曲は剥き出しの感情で歌われる『戦いの謳』だと思っている。『今のままじゃ足りない』『勝ち取りたい 夢の続き』というフレーズがあるが、まさにこの戦いを終えた彼女達の胸の奥に秘めている反骨の魂ではないだろうか。

最後の挨拶でも言っていたが、このLIVEで出来た事や乗り越えられた事もあった。でも、出来なかった事や出し切れなかったモノもあったのだろう。余韻に浸っている場合ではない。五人はもう次の戦いへの準備が出来て踏み込んだ。色々な想いを彼女達はこの楽曲に余す事無くぶつけた凄みみたいなヤツが彼女達のパフォーマンスから漲っていた様に思えてならなかった。


 まずは、ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
月並みな総評になりますが……本当に素晴らしいLIVEだったと思います。3期生の五人は、素の自分としては初めて臨む未知の領域での『戦い』を完遂し、そこで得たモノを携え変わろうする強い想いと覚悟。誤魔化しが一切通用しない場で磨かれ、新たに覚醒された個の力と、無限の可能性を魅せ付けてくれたと勝手ながら思っております。

 おそらく彼女達はこれからも悩み枠や壁にぶつかっていくのでしょう。でも、それを壊して乗り越える事が出来る人達だと信じているし、乗り越えられる強かさやしぶとさもちゃんとある。だからこそ……ミューレ3期生にしか謳えない彼女達だけの楽曲と巡り逢える未来が一刻でも早く訪れる事を願って止みません。
 
 最後に……この最高のLIVEを魅せてくれた、橘美來さん、相川奏多さん、宮沢小春さん、夏目ここなさん、日向もかさん、五人を支えてくれたスタッフの皆様に最大の賛辞と敬意を表して筆を置かせていただきます。