巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

RGR楽曲ライナーノーツ#16 無限大ランナー

 どうも。RGR楽曲ライナーノーツシリーズのお時間です。


 いきなりですが、今回書き殴っていく楽曲のファーストインプレッションは……


左の頬をエモーショナルの暴力で殴られ、更に左頬も殴られた挙句……最後の一撃は顎に強烈なエモーショナルの暴力でぶん殴られ完全にKOされてしまった楽曲。

そんなエモーショナルの暴力の権化と評されたこの楽曲の魅力をどれだけ言語化していけるかは分からないが……やってみなくちゃ分からない。分からなければやってみよう!の精神で限界の向こう側に立ち向かってみようと思う。

 

 

 

 

  無限大ランナー

 

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 8thシングル『ドリーミング☆チャンネル!』カップリング楽曲。
原初の楽曲『カケル×カケル』、ターニングポイントとなる『ランガリング・シンガソング』の系譜に連なる軽妙でいて春の時期に似合う爽快な疾走感満載のバリバリのロックチューン。

…ではあるが、『カケル×カケル』や『ランガリング・シンガソング』とは異なり、イントロからかなり激しめでこの楽曲は攻撃的な楽曲なんだよッ!!!と牙を剥くかの様な勢いと獰猛さである。一言で評するなら、高性能過ぎて普通には扱いづらいという意味の『ピーキー』が最も自分の中ではしっくりきてしまった。ここまで振り切った楽曲はRGR楽曲では類を見ない。
ある意味縛られる要素の薄いノンタイアップ楽曲だからこそ、ここまで攻められたのかもしれない。

 


 きっと 立ち向かってみたいのは 

 ジブンのこと 鮮明にしたいから

 曖昧模糊だったあの日 振り返るのまだ早いね

 きっと立ち向かってみたいんだ

 見つめたいモノ 胸にひしめいている

 Brand new life 駆け出せ無限大ランナー

 踵を蹴って(Run and Run!) 夢に向け(Run and Run!)

 新しい道の先へ


 ―Run Girls, Run!『無限大ランナー』より引用

 

 この楽曲を歌うにあたって、森嶋さんは上手く歌おうとするのではなく感情を優先しぶつける様に歌い、厚木さんもメロディが持つ疾走感を優先していく方向ではなく彼女も感情を優先して歌ったという。特に、林さんの伸びがあって晴れやか歌声とロックチューンとの親和性が抜群に際立っていて林さんの歌声がこの楽曲の『要』となっている。

三人のエネルギッシュな歌声とストレートな歌詞が魂に突き刺さってサビは三人の感情が爆ぜるかの様な盛り上がりを響かせ『自分』らしさを確立させ証明する為に、これまでは遥か彼方にあった障壁に近づけて立ち向かえる嬉しさにも捉えられる。

 

  

 (Runner! Let's Go!)

 挑め Here we go! Here we go!

 キミと走る Wonder! 壁壊して Up to you…

 掴め未来を

 挑め Here we go! Here we go!

 キミと走る Runner! 上がれ Speed! Speed!

 行けるとこまで


 ―Run Girls, Run!『無限大ランナー』より引用

 

  

 2サビの直後のパートでこの楽曲が盛り上がりの臨界点を超える。
この楽曲の核を担う箇所と言っても過言ではないと思っている。それほどまでに強烈なインパクトを与えたのだ。

魂が滾り、最高速で駆けているが、爆ぜる感情がフラッシュオーバーして加速に限界を超えたブーストをもたらしてまた更に加速させるかの様である。いずれ制限という枷が外れた刻においてのライブで観客の声でシンガロングというブーストが加味されたらこの楽曲は真に血が流れてもっと化ける可能性を存分に感じられるのだ。

いずれ来る刻と機の為に、あえて声が加わる事を意識してこの楽曲は生まれたのだと…そう思えてならない。

 

 そして、この系譜に欠かせない要素としてあるのが、前向きな要素だけではなく彼女達が未知の領域だったり、現状に対して感じている不安や劣等感などに苛まれるネガティブ・負の感情もテーマに盛り込んでいる事。この落差がある事によってより楽曲の説得力が増して沁み入って来る。

 

 頬っぺたを撫でていく未知数の 

 空気に緊張してしまうけど


 ―Run Girls, Run!『無限大ランナー』より引用


 

 ピアノソロが印象的なDメロのこの箇所は、詞がネガティブ要素を醸し出しそれに合わせる様に曲調もこれまでの荒々しく激しいテンポがゆったりとした落ち着いたシンプルな構成になっている。

シンプルな音の構成と、この楽曲においては繊細かつクリアなピアノの音色、そこに厚木さんの歌声が素晴らしくマッチしている。感情の振れ幅の落差になぞらえたパートの構成について、厚木さんは未知の知らない事へ緊張する事のリアリティがあって共感したという。

厚木さんのソロから、溌剌な森嶋さん、伸びやかで力強い林さんのソロへと流れていく模様は、ネガティブなインプレッションから再び明るく晴れやかなインプレッションへと変化していく。それは未知の領域へと一歩踏み出す勇気を表現しているかの様である。

 

 

 そして、曲題に冠されている『ランナー』。これは3つの意味があると考えている。


まず、一つ目は走る者という意味のランナーで、RGRの三人の事を指している。
『ランガリング・シンガソング』に『夢へのバトン』というワードがある。言うまでもなくバトンは陸上競技のリレーでランナーが走る際に持ち、次のランナーに渡す短い棒の事だ。

過去のRGRからバトンを受け取って現在のRGRはバトンを持って駆けている最中。未来のRGRに出来るだけ理想のいい形=理想の自分にバトンを渡す為、懸命に現在の刻を駆けている。バトンは『無限大ランナー』には関連の無いワードだが、楽曲の系譜として繋がっている事でバトンを持って走るランナー(RGR)という事なのだろうかと思わされる。


 二つ目は、RGRファンの愛称であるランナー。
前述でも触れたがランナーというのはRGRそのものと言ってもいい。彼女達の別の名称だけれどファンの愛称でもある。名前を分け与えるのは軽々しい行為ではないしある意味契りと言ってもいい。そういう特別な想いにファンを囲ってくれるのは純粋に嬉しく、闘いの謳の系譜でもあるこの楽曲の題に入れてくれた事も胸が熱くなる。


 最後は、彼女達が初めて巡り逢い魂を吹き込んだ”もう一人のRGR“の存在。


それは、速志歩(CV:林鼓子)、守島音芽(CV:森嶋優花)、阿津木いつか(CV:厚木那奈美)の存在。キャラクターの魂もまた現実のRGRの傍らに今もなお寄り添って共に軌跡を駆けているランナーでもある。そして、『カケル×カケル』は歩達にとっても原初の楽曲であるのだから。

コレに関しては、自分の完全な私見であり、ある界隈の原理主義者にとっては非難承知の上で書いてる。でも、外せない要素だと思ったから書いた。

 

 

 刻を経て変化した闘う姿勢と共に駆ける存在への感謝の想い。ままならない現状ではあるがポジティブな気持ちでまた駆け出して高みを目指した原初の魂を呼び覚ます。


 過去に彼女達は、カップリング楽曲にこそRGRらしさを出していきたいと語っていた。攻撃的かつ獰猛さの正体は止まらず駆け抜けようとするアイデンティティに本気の姿を魅せ付け認めさせようとする意志だと感じた。

自分がこの楽曲を『カケル×カケル』と『ランガリング・シンガソング』の系譜に連なる楽曲と評しているのは……胸に秘める熱い本気の想いとなりふり構わない泥臭さの様なモノ。MVにて思うがまま好き勝手暴れる様に躍動している三人の姿は今の刻を懸命に生きて駆けようとする強い意志と信念を表していると思える。

刻は限られているが、彼女達が秘めている可能性と刻の使い方は無限大。
そういった覚悟と決意が滾る『Run Girls, Run!』が自信を持って世に出した新たなアンセム


 『無限大ランナー』は突然降って湧いた楽曲ではなく『Run Girls, Run!』が駆けてきた三年の刻と彼女達の生き様が生んだ必然の産物だった。その新しい道(未知)の先へ駆け抜ける未来の刻に期待したい。