巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

RGR楽曲ライナーノーツ#15 ドリーミング☆チャンネル!

 どうも。RGR楽曲ライナーノーツシリーズのお時間です。

 


 原点にして頂点。今回紹介していく楽曲を評すのにこの言葉が最も相応しいモノだと自分は思える。それは彼女達の軌跡に於いて一つの系譜として連なってきたからだからだと考える。

一つの夢の終焉ではあるが、同時に新たな夢への道標と起点となる集大成的な楽曲。更には作品の中の刻のみに留まらず現実の刻を生きてきたRGRの刻も描写されている。

そんな彼女達の自信と想いが存分に詰まった楽曲へ、じっくりと想いを馳せながら言葉を尽くして語っていく為に筆を執る事をご容赦願います。

 

 

 


  
 ドリーミング☆チャンネル!

 

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 『Run Girls, Run!』の8枚目シングル。TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』の8番目オープニングの主題歌となっていて、最終シーズンの最後のオープニング曲であることもあり、歌詞などに『キラッとプリ☆チャン』及び『プリティーシリーズ』の集大成を体現する曲となっている。
152話では挿入歌として用いられ、22人のキャストによってカバーされたバージョンで披露。


 『プリ☆チャン』楽曲の系譜は、RGR楽曲に於いての屋台骨と称しても差し障りが無いものだと自分は感じている。RGRとしても、また一人の声優としてこの作品とコンテンツとの縁と刻の巡りは掛け替えないモノだろう。

冒頭の四方山話にて、この楽曲は原点でもあり集大成的な位置付けな楽曲と評した。
それを裏付けしていると自分が感じているのがメロディラインの構成に『プリ☆チャン』原初の楽曲である『キラッとスタート』に似ている雰囲気・インプレッションであると解釈している。

最後という事で荘厳な方向にするのではなく、かといって別れをイメージ付けさせるのでもない。OP楽曲とは斯くあるべきとするド直球な王道テイストで本当に分かり易い楽曲に仕上げている。そして、三人の歌い方もメインリスナー層である子供が聴き取りやすいハッキリとした発音や歌唱となっている。これもOP楽曲の系譜をきっちりと受け継いだものであるだろう。


 で、厚木さんがプリ☆チャンOP楽曲で初めて歌い出しを飾る点はサプライズだった。


(他のRGR楽曲では厚木さんが歌い出しを飾る楽曲がいくつかある)


これについては、最初の緊張している表現が一番上手くできるのが厚木さんであるから彼女に託したという事がインタビュー記事にて明らかにされている。

厚木さんは歌詞にちなんで『初めてのこと』に繋がる自分の過去のドキドキを思い出して歌い『プリティーシリーズ』のアフレコにりんかとして参加する時や、実際のライブでりんかとしてソロで立ったときの気持ちを思い出したと語っている。彼女の繊細な歌声とこれまでの経験が交わる事で楽曲に新しいエッセンスが加わり深みが増す。他のパートも含めてこの歌い出し部分に関しては詞と歌声のニュアンスに拘り形となったと自信を持って語った。


これは、厚木那奈美がこれまでの軌跡で掴んだ自信でもあるのだろう。


一つの終焉を飾る最終楽章でもあるが、その先の未来への刻の始まりも感じられる。
この楽曲に作品と共に在って軌跡を共に駆けたRGRが血を流し魂を吹き込む。
そして、みらい達キャラクターと、キャストであるRGRとのオーバーラップしていく箇所があり、双方の境界線が曖昧になっていくところに大きな魅力を感じられる。

 

 七色にキラッと弾ける! 眩しい花みたいに 

 誰だってきっとなれる そう鼓動が歌ってる


 リンクする Color 抱きしめる Smile 未来だって変えてしまうよ!


 ―Run Girls, Run!『ドリーミング☆チャンネル!』より引用


 

 前述のキャラクターとキャストのオーバーラップを強烈に訴えかけている箇所が上記に挙げた節々である。

七色=厚木那奈美さんにかかり、眩しい花の花は森嶋優花さんの名の一字である花。
鼓動の鼓の字は林鼓子さんの名の一字にあって、リンクするColor(カラー)では、青葉りんかを、抱きしめるは紫藤めるを、未来はそのまま桃山みらいを彷彿とさせる。


余談だが、青葉りんかのキャラクターソングである『キラリ覚醒☆リインカーネーション』にも
りんかの名が入った言葉『リインカーネーション』を曲題にあてている。生まれ変わるという意味を持ちりんかの変わりたい想いを謳う楽曲。この楽曲との繋がりも連想されている方もいらっしゃるでしょう。楽曲制作陣は違えどその魂は継承していく様な……偶然ではないのでしょう。


 更に『変えてしまう』という言葉は『プリ☆チャン』の物語に於いて根幹となるテーマである『やってみなくちゃ分からない!分からなかったらやってみよう!』に通じるモノだ。動かなければ何も変わらないし刻は先にしか進む事は出来ない。

みらい達が一歩踏み出す勇気を出して成長していった様に、RGRもまた縁の関わりの中で成長していった……その要素に互いの感謝を伝えている様に感じられる。


 ただし、当然ながらキャラクターとキャストとの境界が曖昧になってリンクしていく描写だけで集大成という評は成り立たない。この楽曲は『キラッとプリ☆チャン』の最後のOPテーマで物語を飾る楽曲でもある。詞の中にこれまで歌ってきたOPテーマのフレーズやプリティシリーズシリーズ全体をオマージュする言葉がいたる所に散りばめられている。

挙げていくと…『Dream!×Jewel!×Power!』は、キラリスト・ジュエリストの『夢 宝石 パワー』からだったり、物語の軸にもなっている『いいね』という言葉であったり…『物語は終わらない』は『never-ending!! 』の一節。『Color』(色)はメインキャラクターの名の一字に入っている。

 更には『Rhythm!×Paradise!× Bright!』では『プリティリズム』『プリパラ』そして『キラッとプリ☆チャン』(Bright=輝く=キラッと)を連想させる言葉まであるのは、リリースされるこの年である2021年が『プリティシリーズ』10周年になる節目の年である事も加味されて詞に取り入れたのだろうと。シリーズ全体としての集大成として捉えてもいいだろうし、『プリ☆チャン』OP楽曲だけという括りという捉え方でもいい。そこはリスナーの感性に委ねられて尊重されるモノだ。



 想いは宇宙(そら)だって届く ココロから感情解き放てば

 ここにある現実(リアル) おこりうる仮想(バーチャル)

 『ワタシ』と『ミンナ』つないだら


 ―Run Girls, Run!『ドリーミング☆チャンネル!』より引用



 Dメロのこの箇所があらゆる境界が曖昧になってリンクしていくという要素の核を担う部分であると考えられる。林さん曰く、『ワタシ』と『ミンナ』という歌詞の表記に鍵括弧が付いた事により特定の存在ではなく誰でもいいという解釈が出来るモノであるという事を意識して歌ったという。これは自分の考えだが…現実と仮想というワードも刻の流れ…現在(現実)と仮想(未来)であり、『ワタシ』≒現実(現在の刻)『ミンナ』≒仮想(未来の刻)という捉え方もできてしまうというのは暴論である事は自覚済みであります……



 気をとりなおして……ラストはこの言の葉で締められる。

 


 やってみなきゃ はじまらないよ!
 
 やってみたら? 夢は終わらない!

 ―Run Girls, Run!『ドリーミング☆チャンネル!』より引用

 


 これは、みらい達からRGRへの、そしてRGRからみらい達へのエールなのでは?と自分は捉えている。この楽曲は応援ソングとしての役割を持ちつつ、互いの存在を褒め称える“賛歌”でもあるのだと。RGRに巡り逢い魂を吹き込まれ存在しているみらい達と、みらい達の存在のおかげで挑戦する事が出来たRGR。

そんな両者の互いの存在にとっての『賛歌』としても成り立っている。長い歴史を刻むコンテンツと関われる事は表現者として素晴らしい事で、そうした縁を引き寄せられる運を持っている事も天賦の才ではないだろうかと思えてならない。


 やってみなくちゃわからない!わからなきゃやってみよう!『キラッとプリ☆チャン』という作品が貫き通したテーマ。そして、RGRの三人の魂にしっかりと刻まれた言の葉。それを想起させる言の葉で集大成・最終楽章を締めるのは何とも粋でエモーショナルなメッセージ。

単なる曲題に留まらず現実の刻を生きていく彼女達はこの言の葉を胸に刻み新たな夢への道を往く……

 


 『Run Girls,Run!』が未来に踏み出す領域こそが『ドリーミング☆チャンネル!』なのだ。