巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

果たされた約束。未来への旅路へ!-IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “約束”参戦レポ

 7月2日。TACHIKAWA STAGE GARDENにて開催された
『LAWSON presents IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “約束”』昼夜公演に参戦してきました。



 今年の初参戦となったLIVEが、2月に開催された『IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 “約束”』。で……下半期初参戦になったのも『IDOLY PRIDE』のLIVE。別に、こうなる様に意図的に調整やら仕向けていったワケではなく自然とそうなっただけである。


……う、噓ぢゃない。信じてくれッ!!と、まあ……真犯人の疑惑を掛けられ狼狽える様な茶番はさて置いて、一言でこのLIVE全体の所感を述べさせていただくと……


期待にきっちり応え、予想を見事に裏切った胸熱なLIVEだったと評すしかない。


 ちゃんと闘えていたし、ただひたすらに強かった。そう形容するしかない圧巻のステージパフォーマンスを魅せていただいた。正直な話、数日経ってもその激熱だったLIVEの余韻は冷めていない。エモーショナルの暴力によって徹底的にきっちりと打ちのめされた者の成れの果てと言うべきか……

今、こうしてPCのモニターと対峙して、あの場と刻で感じたインプレッションをとエモーションをどうにかして言語化し、参戦レポとして残そうと懸命に抗っている。


 そんなこんなで、ここからLIVEの所感を書き殴っていきますが、前述した通りエモーショナルの暴力で殴られ過ぎたので、記憶が飛び飛びになっているのを無理やりに引きずり出し書き殴っておりますので、いろいろ間違いやら解釈違いが多分に含んだモノになってしまいますが……それもまた一個人の感想として、温かい目で読み進めていただくとありがたく思います。

 

 

 

 

1.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 星見プロ10人全員による楽曲披露が、アイプラライブにおけるオープニングアクトのスタンダードだったと思うんです。けど、その慣例みたいなモノを今回のLIVEでサニーピースが見事にぶっ壊した。ユニットの一つがオープニングアクトを任されたのはおそらく初めてではないかと。
しかも、『SUNNY PEACE HARMONY』じゃなく、サニピ楽曲の『アンセム ・オブ・ アンセム』であるこの楽曲で。


待て、待て、待て。初手でこの楽曲は非常にマズイ…俺の涙腺を決壊させる気かwww

 

今回のLIVE、オープニングアクトにどの楽曲を持って来るのか?これまで通りの慣例に従って星見プロの楽曲を持って来るんだろうとなと高を括ってたところに、この楽曲のイントロが流れた瞬間、腰砕けそうになって頭抱えて膝から崩れ落ちそうな感覚に見舞われた……見事過ぎる奇襲攻撃だ。


長瀬琴乃がIDOLY PRIDEの“一問一答”で言ってましたね。『さくらには、いろいろと驚かせられる事が多い』と。この奇襲はまさしくそれを体現したのだと。


 会場の雰囲気作りだったり、演者や観客の熱を暖気(アイドリング)していくのがオープニングアクトに与えられた一つの役割。前述の様に慣例とも言えなくもない。

ただ、その慣例をぶっ壊していく意外性もまた……全体の熱量を滾らせる最高の燃料だったりするのよね。その奇襲が見事にハマれば一気に場と人の雰囲気は急激に盛り上がれるけれども、外してしまうとその盛り上がりは微妙なモノになってしまうハイリスク・ハイリターンな賭けだったりもする。

でも、この楽曲はそんなリスクをものともしない強さに溢れた楽曲。じゃなきゃ、サニピの『アンセム』とは称したりしない。これが、『IDOLY PRIDE』のLIVE!そして、サニーピースの魅せるLIVEなんだ!!と。そんな気迫を迸らせた、菅野さん、結城さん、佐々木さん、高尾さん、首藤さんのパフォーマンスが彩っていく。国宝指定されたMVでさくら達の双眸にそれぞれの魂の色(イメージカラー)が宿る様に。


 で……前回のLIVE(奇跡)の参戦レポにも書いたが、『EVERYDAY! SUNNYDAY!』の要になっていると自分が思っているのが、菅野真衣の“魂の絶唱なんだ。

演じる役に魂が引っ張られていく話ってあるんだけど、川咲さくらと菅野真衣さんはそんな強い結び付きの関係性があると思う。それは演じる刻が経てば経つほどその密度は増していく。サニピの縁と絆を謳う楽曲なんだけども、菅野真衣から川咲さくらへの縁の繋がりや感謝も同時に謳ったのだと……で、クラップを煽っていく菅野さんがまた良いんだわ。


……あの子(菅野さん)オタクの仕留め方心得ておるぞwwww


 エモーショナルな感情と感動を揺さぶって、LIVEの雰囲気に観客の魂を見事惹き込んだ。
言わずもがな、オープニングアクトとして最高なモノを魅せてもらえた。何もかもを忘れてこの場と刻に身と魂を委ねてただ楽しむ最高の刻の幕開けを告げた。

 

 

 

 2.サマー♡ホリディ/サニーピース


 『EVERYDAY! SUNNYDAY!』の興奮冷めやらぬ間に、間髪入れずにLIVE初披露となるサニピの『夏』楽曲のイントロが響き、夏のビーチと開放感をイメージさせるノリノリなアッパーチューンで、打ち上げ花火がバカスカ上がる様にテンションが滾りまくる。まあ、夏開催のLIVEだし前回のLIVEでは披露しなかったから、今回はやってくれるだろうという根拠の無い確信を抱いたワケであります。

音源で聴いた時から確信してました。めっちゃLIVE映えするしブチ上がれる楽曲だって。もう、夏のParty Timeの幕開けである。

このアクトのハイライトになっていたのは、メンバーの名前が詞に入っている箇所で披露されるソロのダンスパフォーマンス。ここは各々が独自で振りを考えたらしくキャラの個性がダンスに表れていてステージ上にはこのうえなく眼福な光景が広がって網膜が逝きかけに……


(特に、結城萌子さんがクッッッッソ可愛かった……)

 で、まあ(感情が行方不明……それも夏のせい)サニピ楽曲って、台詞パートがある楽曲が多いんですが、この楽曲はその箇所が他と比べると多く差し込まれているのが最大の特徴。音源で聴いた時は、各キャラクターのパーソナリティが出ている感じに聴こえたのだが、やっぱりLIVEで聴くとそのインプレッションはガラッと変化した様に感じたのです。

さくら(菅野さん)と遙子(佐々木さん)のパートは音源との差がほぼ無かった。雫(首藤さん)のパートも、若干の声の弾みみたいなモノはありつつも、明確な変化はなかった気がする。

音源と明らかに変化してたのが、怜(結城さん)と千紗(高尾さん)のパートだったのではないかと。良く言えばクールな感じ、ちょいと捻くれた言い方すると素っ気ない風に聴こえる怜の声が、どこか角が取れて柔和な感じに。千紗の方はポジティブな感情を弾けさせた様な歌声を響かせる。

まあ、それは気のせいだったのかもしれないが……そう感じられたのはLIVEの妙ではないだろうか。


 観客の声は出せなかったけれど、初披露であったり、そもそもノリが良くて盛り上がれる事確定な楽曲って事で、ものの見事に乗せられて盛り上がった。

 

 

 

  3.(昼) SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 昼の部のサニピゾーンのラストソングに持って来たのは……ゲームのメインシナリオ・東京編で、最強の敵・『ⅢX』に対抗するために作られた、さくら、怜、遙子、千紗、雫が悩み、導き出したサニピの『WHAT IS “IDOL”?』の答えをはめ込んで真に完成した楽曲。所謂『ゾーン』の領域に突入したサニーピースだけのサニーピースにしか謳えない最終決戦仕様楽曲。


ちなみに、フル尺はこのLIVEにて初披露だ。やりやがったな…クソwwww


 詞に『今までと これからが つながってる 今はそんな旅の途中』とある様に、この楽曲はサニピが結成されてから東京編のラストまでの軌跡をなぞった集大成的な楽曲であり……曲名に冠した『You and Me』(あなたとわたし)が差し示す、サニピとファンとの間で行き来する想いの相互循環を歌った楽曲。それは、さくら達の軌跡だけじゃなく楽曲の系譜にも繋がって来ている。

まあ、歌うだろうなとは思っておったんだけども、いざ本当に歌うのかってなった時はやっぱり驚くのよね。分かっていて打てない球投げられたのと同様な感覚と言ってもいい。

とは言え、ゲームの実装やらショートver.の音源のアップだけじゃ、この楽曲に血が流れたとは呼べない。LIVEで歌われてこそ『SUNNY PEACE for You and Me!』という楽曲に血が流れる。だが……さっきから何度も書いておるが、このLIVEで我々は声を出す事は御法度。
 
でも、想いの相互循環に必要なのは何も声に限ったモノじゃない。他に必要なモノを彼女達が指し示してくれたじゃないか。『皆のピースを見せて その両手で』って。途中、観客に手拍子を入れて欲しいと呼びかけたり、彼女達のピースサインピースサインで応えたり……



 この指とまれ(とまれ!)

 隣の笑顔 寂しい顔も 繋がれば ほら幸せ

 SUNNY PEACE for You and Me!(You and Me!)


 ―サニーピース 『SUNNY PEACE for You and Me!』より引用



 サニーピースと客席はあの刻で一つになった。それは、ただの錯覚なのかもしれない……
けど、そう思わされてしまった、菅野さん、結城さん、佐々木さん、高尾さん、首藤さんのパフォーマンスの説得力と物語が段違いの領域へと昇華して、我々もその領域へ没入させられたのだろう。琴乃が作中『サニピと一つになる感覚』と称していたがそれをリアルで体感出来たという所か。ここまで来た、でもこの先へ行くから一緒に往こうぜ的な。それは、誓いの儀式なのだと。


 コレ……開幕の3曲目で披露する楽曲ぢゃねぇぞwwwwwと、魂で叫んでこのLIVEがどういう展開を魅せるのか?と戦々恐々させられ圧巻のアクトを見せつけられたのである。

 

 

 

 3.(夜) 全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 サニピゾーン・夜の部のラストソング。前回のLIVE『奇跡』でも、サニピゾーンのラストソングに披露された。サニピ楽曲のスタンダードとされる皆で徹底的に盛り上がれるテイストはそのままだけれど、どこかフィナーレ感を強く感じる楽曲。おそらくは、今後もLIVEのクライマックスや締めの所でセトリに組みこまれていくのかななんて思ったり。

ゲームリリースから一年経って、まあ、一つの旅がひとまず終わったと称しても良いのでしょう。
この楽曲は、その軌跡の旅にて巡り逢えた数多の縁に感謝を謳う楽曲。そして、感謝を謳い次の旅路へと踏み出す為の決意表明という意味の楽曲だったのかもしれない。昼夜通してのセットリストの本当の最後にこの楽曲を持って来たのはそういう意気込みというか覚悟の証明。


 前のLIVE『奇跡』の時と同様、観客の声援不可というデバフがかかっているにも関わらず、合いの手だったり彼女達の煽り方が絶妙で客席もすんなりと乗っかって来ていた様な気がした。着実にアイプラLIVEの鉄板楽曲へと進化して来たし、まだまだポテンシャルを秘めている。サニピとLIVEの演出と構成次第で、どこに置いてもちゃんと闘える楽曲になる為には秘めた可能性を引き出す余地がある。

『満タン! 笑顔元気 君のせいだよ 大好き』って節があるけれど、そう想っているのはサニピの五人だけじゃない。同じ事想ってるのが客席にうじゃうじゃといるし、LVで観てる人達だって同じ想いを抱いていたはず。そっちの想いに負けねぇよみたいな感じで声は出せなくとも全力全開で楽しんだと思う。


 ラストだからと言って綺麗にまとまって感動させようという方向ではなく、賑やかでクッソ楽しい(最大級の賛辞)世界観を見事に構築して魅せた。これが、サニーピースのLIVEで、サニーピースにしか出来ないLIVEってのを徹底的に痛感させられた極上の刻だった。

 

 

 

 4.月下儚美/月のテンペスト


 夜の帳が降りる様に……一旦暗転したステージに、長瀬琴乃役の橘 美來さん、伊吹 渚役の夏目ここなさん、白石沙季役の宮沢小春さん、成宮すず役の相川奏多さん、早坂芽衣役の日向もかさんによるユニット『月のテンペスト』登場である。

そして、彼女達がオープニングアクトに持って来たのは、月ストのアイコンソングである『月下儚美』
バックのスクリーンにはこの楽曲のMVではなく、アニメの6話で描かれた月ストのデビューライブの時の映像が流れる。奇しくも、サニピ→月ストへと繋がっていく構成も踏襲されていて胸が熱くなって来る。


 あくまでも、コイツは自分が勝手に感じたモノで恐縮ですが……五人がステージに上がって来た瞬間、これまでのLIVEの雰囲気がガラっと一変した様に感じられたんですよね。何かピーンと極細だけれども張りのしっかりした糸を張り巡らせた様な……勿論、目で見えないんだけれども何か五人の身体から出てたんだよ。気迫が具現化した『気』みたいなモノが。その『気』って、おそらく『殺気』だったんじゃないかね。五人のパフォーマンスで観客をねじ伏せて制圧してやろうって。

そんな気迫が漲っている彼女達のパフォーマンスは、言わずもがな素晴らしかったし、前述の様にただ圧倒されたとしか言えなかった。ダンスのキレや迫力は勿論の事、何よりも五人のボーカルの重心みたいなモノが格段に違っていた様に感じた。


 ステージの上って逃げ場の無い場。極限状態に在った事で彼女達は何かが見えて感じた。
その見えて感じたモノの正体は我々には到底分からないモノなのでしょう。もしくは、彼女達にも説明が出来ないのかもしれない。

有り体に称されるステージの魔物or神なのか?それとも、観衆の期待というプレッシャーに真っ向勝負を挑む為なのか?とにかく、橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんはあのステージでそれらと闘ってねじ伏せようとオールレンジで喧嘩吹っかけてきた。

勝手な私見だけど……LIVEにおいてここは外せない急所みたいな箇所はいくつか存在している。このLIVEでは月ストのオープニングアクトがその局面の一つ。サニピから受け取った想いと魂を受け継ぎつつも、サニピに引っ張られ過ぎずに楽曲と世界観を構築する。感情剥き出しで殴りかかって来た彼女達のパフォーマンスはその証明だったって。


 侮ったり、軽く見てたつもりは一切ない。想像していた以上のエモーショナルの暴力でぶん殴られた……これが『月のテンペスト』の現在地なんだと思い知らされたのだ。

 

 

 

 5.恋と花火/月のテンペスト


 月スト楽曲……いや、アイプラ楽曲全体でも五指に入る変態楽曲。
前にも書いたが、この楽曲のインプレッションとして浮かんで来るのはノスタルジックさと儚さから醸し出す歌謡曲テイストなモノ。自分の中では、水樹奈々さんの夏曲である『夏恋模様』や『恋想花火』を彷彿させる楽曲。つまりは凄ぇ良い楽曲って事(語彙力……)

この楽曲をモチーフにしているイベントシナリオ『月夜に輝く恋の魔法』で芽衣はこの楽曲をこう評していた。



 
 ず~っと好きだったんだけど その想いを伝えられなかった女の子が……

 勇気を出して花火が消える前に 告白しようって決心するの!

 (中略)

 だから、同じような気持ちの子の背中を押してあげられる……

 そんな歌がいいと思って

 

 

 芽衣の言葉を象徴する様に、このアクトは楽曲のテーマである一瞬の輝きの儚さに少女の切ない恋模様と変わろうとする想いと勇気をなぞらえて謳う。このアクトで魅せ付けた五人が魅せるパフォーマンスと世界観も圧巻のモノでちょいとアンニュイで切なげなOTONAの色香を纏ってたと言うか……


まあ、ぶっちゃけて言うと滅茶苦茶エロかったのよ……


 一応、釈明させてもらうと……彼女達をいかがわしい目では観ていない。だが、そう感じてしまったのはどうしようもないワケで……ピンク系の照明の影響もあったんだけども、何よりも所作にもの凄く色気を纏っていたんだなと。それが楽曲に情熱的な魅力を加味させていた。これは出そう!って思って簡単に出せるモノじゃない。色気や艶やかさは物理的なモノではないからでしょう。


 その艶やかさや色香を感じさせた彼女達のパフォーマンスがそれだけ素晴らしかった事の証だし、表現の奥行きと深みを思い知らされたと言ってもいい。

 

 

 6.(昼)The One and Only/月のテンペスト


 月ストゾーン・昼の部のラストは、唯一無二の輝きを謳う『アンセム』であり『生命の謳』
ゲームの方で新しく描かれているシナリオでは『ⅢX』に負けて以降、絶不調の憂き目に在る月スト。

…と言うかは、琴乃が全部負けた責任を引っ被って拗らせてる。そんな琴乃を渚、沙季、すず、芽衣が琴乃の魂に寄り添って励ます。詞の内容が今の月ストの五人に寄り添ったモノに変化していると言うべきか。それを最大限に感じられたのが、歌い出しで五人が輪になって客席から背を向けてメンバー同士で向き合っている箇所だと思える。琴乃のいるべき場所は輪の外じゃないって。


 この楽曲は、語りかける様に叙情的に歌えるかが要だと思っている。そいつが出来ないとこの楽曲にちゃんと血を流せない。現在の刻においては、輝きが翳って道を見失ってしまった琴乃に対して四人がいつになく優しく導くかの様な語り口で謳っている様に聴こえる。以下の節はそれを象徴している様に感じられたのだ。



 抱え込んだ昨日も愛せばいい

 どうしようもないほど 泣いたっていい

 正しさなんて一つじゃない 全ては 心が 導くまま

 一番側にいた 君がいてくれた

 迷いない笑顔の理由 月の光


 ―月のテンペスト 『The One and Only』より引用

 


 大袈裟に言うと、琴乃の『Soul of Rebirth』=魂の再生という意味で歌われるこの楽曲は『アンセムであり『生命の謳』なのだと。そして、空回りする現実と敗北という傷跡が疼いても魂を呼び醒まして唯一無二の輝きを取り戻せという唯一無二の親愛の謳でもあったのだと……この節はそんな親しみと、深さと、真剣な愛情に溢れていると感じられたのだ。


 ラストの『La la la……』で響かせた五人…いや、十人の魂が一つになった純度の高いハーモニーが沁み込んでいく様な心地良い雰囲気を創造していく。

 

 

 

 6.(夜)裏と表/月のテンペスト


 『聴いて下さい……新曲です。』


 と、宣告された直後。場の雰囲気は一変し会場のいたる所で声が漏れ出てどよめいた。


夜公演最大のサプライズ。もう、夜公演はコイツが全部持ってったと言っても過言じゃない。
月ストのほぼ一年振りになる新曲で、まだゲームにも実装されていないし、勿論、LIVE当日まで何の情報も無かった……この解禁は完全にやられましたね。この機でぶっ込んで来るのかってマジで頭抱えるレベルだ……


 ストリングス&ピアノから始まるメロディは、月ストの変態楽曲『恋と花火』を想起させるかのような進行で、この楽曲もその変態楽曲としての系譜に連なる楽曲だなと思わせた。

で……問題はこの変態楽曲を謳う五人。曲題の『裏と表』が示しているのは相反するモノの象徴だと考えられる。そして、それは『IDOLY PRIDE』という作品の大きなテーマの一つでもあると。言い換えると、負から正……つまりは、月ストの反逆の魂を謳う楽曲。

アップテンポなんだけどもどこか翳りや儚さを感じさせる曲調。でも、悲壮感や哀愁といった要素は感じられない。そう思わせたのは五人の爆ぜる感情を包み隠さずにボーカルに全部纏わせたからなのだと。


 そう、この楽曲はまごう事無い『闘いの謳』なんだって。


 完全な私見だし記憶違いかもしれないが……ステージでこの楽曲を謳う五人は綺麗にまとまって、素直に音をなぞって歌い上げればいいなんて歌い方をしていなかった様に感じられた。でも、好き勝手に歌っていたワケでは無い。そうなってしまったらアクトとしても楽曲としても成立出来ないから。

ただ……どこまで限界ギリギリまで踏み込めるか?という闘いをそれぞれが仕掛けていたと。さしずめ、『どこまでも突っ走る。着いて来れなきゃ置いてくから』と突き付けた。

怖くないワケが無い。誰かが置いてけぼりになったらこのアクトは死ぬに等しい。それぞれが限界を見誤ったら終わる。でも、踏み込まないワケにはいかない。行きつく所まで行くっきゃないって肚括ったのだろう。裏返ってしまったモノをひっくり返すのはそれだけの覚悟とパワーが必要なんだ。

で……このアクトで、最も強烈なインプレッションとして刻まれたのが、宮沢小春さんの歌声だった。ステージで歌う宮沢さんに白石沙季のあの姿がダブって見えたんだよね。

 

 

 ゲームで登場する☆5のキャラ“胸に秘めていた情熱 白石沙季”の姿がッ!!!


 押し込んだ『我』は『裏』でもある。そいつを解放して全部『表』に曝け出せと沙季は宮沢さんの魂に訴え掛けたのだろう。『もう限界?まだまだいけるでしょう?!』って。宮沢さんは沙季の本気の魂にちゃんと応えた。だからこそ、彼女の力強く情熱的な歌声は絶唱”の域へと昇華出来たのだ。

 

 

 

 7.星の海の記憶/莉央&琴乃ver.


 ボイスドラマの後曲が流れて、ステージはスクリーンのみにスポットライトが当たってこの楽曲のMVが流れる。聴こえてくる歌声はアルバム【約束】に収録されているバージョンである、琴乃と神崎莉央が歌っているモノ。そして、沸々と長瀬麻奈のイメージカラーであるピンクの光が灯る。

このままショートバージョンで流すだけか?橘さんだけが後から出て来て戸松さんのパートは音源で流す形にするのかな~なんて思ってたらだ……二番に入った所で、ステージ全体が照らされる。その光景を観て唖然としたんだぜ……ステージ左サイドに橘さん。そして……右サイドに戸松遥さんの姿がそこにあるんだから。


いやいやいや。なんで貴女が(戸松さん)いるの???!!!!!


 開いた口が塞がらないとはまさしくこの事。いや、まあ、あの楽曲があるから戸松さんがシークレットで登場するだろうとは思ってはいたんだけど、まさかこのタイミングで登場するとは思わんかったし、披露するなら『First Step』(さくらソロor琴乃&さくらver.)って思い込んでたから。頭抱えて膝から崩れそうになるわ!!

でだ……終始ステージの真ん中は意図的に開けて橘さんと戸松さんは歌ってたと記憶している。これってやっぱり、麻奈への敬意と深愛の情があるからなのだと。その心意気はエモさの塊だ。ここは『エモーショナル』よりは『エモい』って書いた方が伝わると思う。

琴乃と莉央は巡り逢うべき縁で結ばれた因縁めいた関係。麻奈の最大のライバルだった莉央とその妹である琴乃が彼女の遺したこの楽曲を謳う。届けたい謳があるとありったけの想いと魂を謳に込めて天高く煌めく星(麻奈)に届けと。


でも……麻奈と神田さんLIVE観に来てたんじゃないかな。迎え火じゃないけど、灯ったピンクの心の光に導かれて。


 琴乃が東京編の最終回で言ってたじゃないですか。『お姉ちゃんなら、成仏してたって何度でも戻って来そう』だと。麻奈が神田さんの腕掴んで『琴乃達のLIVEに行こうよ!!』って光景がなんか想像出来て前述の通り観に来てたと思うし、何なら琴乃と莉央に混じって歌ってたかも。


 長瀬麻奈の遺した楽曲をどんな形でもいいから歌い継いで欲しいと、この作品を知る人は願った。
それはファンが勝手にした一方的な約束だったかもしれない。でも、ちゃんとその約束を果たしてくれたんだ。

こんなに嬉しい事は無いと……ただただ胸熱だったし運営サイドの本気に対して感謝と尊敬の念を抱かずにはいられなかった。


 謳ってくれて、ありがとう。

 

 

 8.Shock out Dance!!/こころ&愛ver.


 『星の海の記憶』の余韻冷めやらぬまま、LizNoirによるボイスドラマが流れる。
莉央のサプライズを見て、こころが『私もサプライズしたい』と駄々をこねる。そこで、莉央と葵が、だったら愛とこころだけで行ってやって来いと送り出される。


 ??!!待て。その流れは……おい、聞いてねぇぞ!それがLizNoirのやり方かッwwww


 と、いう事で……ステージには、小美山愛役の寿美菜子さんと、赤崎こころ役の豊崎愛生さんが本当に登場。これもシークレットでこのLIVE全体通して最大のサプライズである。

立て続けに見舞って来るサプライズの嵐に脳ミソが受け止められるエモーショナルの許容値を遥かに超えてしまって、思考するという事を完全に放棄した。もう、どうにでもなれってwwwwいや、まさか……豊崎さんと寿さんまで来るとは思わんだろ。ホントに、このお姉様達はやる事がエグいwwww


 LizNoirのいくつかの楽曲は莉央と葵のデュエットverが存在する。しかし、愛とこころのデュエットバージョンは音源として一曲も存在しない。だから、このバージョンはこのLIVEでしか聴けないレア・オブ・レアなモノ。そりゃ…激熱なモノになるって話よ。(後に音源化しそうではある)

豊崎さんはこころのふわとろボイスで歌い、寿さんは素直で直情的な張りのある愛の声色で歌う。
メタル・ハードテイストな曲調と、二人の歌声との組み合わせはちょいと異質なモノに聴こえるが、嫌な違和感は感じられなかった。きっちりと別の血を流せた感じで、それを成し得たのは流石だなと膝を叩いて唸るしかなかった。

 

 

 

9.The Last Chance/こころ&愛ver.


 莉央&葵ver.は、クール&ハードの要素が際立つテイスト。一方のこころ&愛ver.は、先輩達とは違うんですよ的なポップ要素を強く出してる様に聴こえる。こころはそういう事言ってそうだし、実践するんだろうなって。愛もこの楽曲には多大な思い入れがある。

リズノワ・後輩コンビの勢いは止まらないってな具合に激しいビートを刻む。『Shock out Dance!!』の時と同様に、こちらもこころと愛の歌声が新しい血を楽曲に流す。

リズノワさんの楽曲って変態楽曲しか無いんですよ……(褒めてる)イントロ聴こえた瞬間からヘッドバンキングしてしまう。条件反射なのか、パブロフの犬の様に調教された故なのかは知らんが、とにかく頭を振らずにはいられない衝動に陥ってしまうのです……


 まあ、盛り上がらんワケがなかったですよね。前述の通りポップなテイストを新しく加えながらも、この楽曲の根幹になってる格好良さは損なわれていない。なおかつ、ステージを大きく使ってダイナミックに端々まで動き回ってエネルギッシュなパフォーマンスを魅せ付ける。直で観ると本当に凄くて一瞬も目が離せなくて……こちらのハート(魂)をガッツリと鷲掴みされてしまった。


 
 

 10.Aile to Yell/TRINITYAiLE


 満を持しての登場……いや、降臨と称すのが相応しいか。三人が降臨して来た瞬間この画が網膜に飛び込んで来たのよね。

 

 

 トリエルの三人(雨宮さん、麻倉さん、夏川さん)がアイプラライブに出るのは、2020年11月に開催された『IDOLY PRIDE-VENUS STAGE/RE:BEGINNING』以来だそうな。自分もそうだが、直にTRINITYAiLEのステージを今回初めて観る人は多かったのではないだろうか。

そこから二年という刻のブランクがあって、どういうモノを彼女達は魅せつけられるのか?って、朝倉社長みたいに眉間にシワ寄せながら腕組んで見定めようと……もう、穢れまくって捻くれたそんな心持ち。


 そんなトリエルが初手に持って来たのは、TRINITYAiLEの『アンセムである『Aile to Yell』


 お洒落なダンスミュージックテイスト、特に会場全体に轟く様に聴こえてくる重低音が滅茶苦茶に心地いい。そこに清廉で気高い聴き心地の良い三人のハーモニーが乗る事でこの楽曲を更に映えさせる。で、ただでさえこの楽曲が強いのに、追い打ちの様に場内を染め上げる白色の光は空に舞う羽を彷彿させて本当に綺麗な光景が広がっていく。


視覚と聴覚を同時攻撃された……マジか?コレ??!!ってなって、腕組んで傍観しておる場合じゃねぇ!!!と。


 ト、トリエルッ……!!!って……雫がアニメの10話で目をかっ開いて拝んだ心情がもの凄く理解出来た。直に観てあんなの聴かされて魅せられたらああなるって話よ。一寸の隙も無かった。

完敗……脱帽でした。TRINITYAiLEさんとんでも無ぇ!!!コレ、ヨイショでも何でもない率直な感想。で、天動瑠依はこう言うんでしょうな。
『二年のブランクなんて関係ありません。完璧なTRINITYAiLEのステージを魅せますから』って。『アンセムとしてまごう事無き強さを発揮した。


 オープニングアクトの一撃で見事に会場をTRINITYAiLEの世界観で支配したと言い切ってもいい位の説得力とPRIDEがステージにはあった。自分は『TRINITYAiLE』を『LizNoir』と同様、星見編(アニメ版)におけるボスグループであると評しました。そのインプレッションは間違いじゃなかった……

中の人達の、雨宮さん、麻倉さん、夏川さんは、現実でも同じグループ(TrySail)に属していて、なおかつそれぞれがソロでも活躍している。様々な場数を踏んで来られた人達だって事も勿論あるけれども。ちゃんと、この立川の地に、瑠依、優、すみれの想いと魂を連れて来てくれたから『TRINITYAiLE』のアクトが素晴らしいモノになったんじゃないだろうか。

 

 

 

 11.(昼)les plumes/TRINITYAiLE


 瑠依、優、すみれが、『一番息が合って目を閉じていても互いの動きが最も分かる』と評し、三人の絆と、未来の刻への希望とそこからの軌跡を自らの手で遥か高みへと切り拓く意思の強さを謳う楽曲。

この楽曲のMVでは、雲の上を三人が何も描かれてない旗を掲げて大空を翔けるという描写になっている。『Aile to Yell』で見事に染まった白の光は雲の絨毯へと変化し、その空間をトリエルの清廉な歌声が響き渡ってそのまま浄化されて逝ってしまえるぐらいに純然が極まってる。

MVの世界観をそっくりそのままにステージングで再現したと言うべきか……散々書いて来ておるが、このLIVEでは声出し厳禁なので、聴覚へ響いてくるトリエルさんの歌声&メロディに、所謂横揺れ状態になって身を委ねる。

どこまでも高く翔ぶ。それが瑠依……優や、すみれ、ひいてはトリエルさんのアイデンティティであり真に目指す所。MVで雲の上を翔けるのはトリエルさんの理想郷とも言えるだろう。
でも、現実はそう上手くはいかない。作中(東京編)でトリエルさんは散々な目に遭わされた。

裏切られ、貶められたり……それでも、貫き通したPRIDEが三人にはあったんだと。どこまでもピュアでイノセントな三人の絆と魂がそれ(PRIDE)で、パフォーマンスに全部乗っけたと。


 『Aile to Yell』の所でも書いたが、ステージに立っているのは三人だけじゃない。そもそもこの楽曲がそういう楽曲なのだから。『君』であったり、『自分だけじゃ辿り着けない場所があったんだ』という歌詞はこの楽曲の要を成している部分ではないかと。キャストとキャラクターの境界が曖昧になって高い次元でシンクロしていく様な……そんなインプレッションを抱かずにいられないアクトになった。

 

 

 

 11.(夜)réaliser/TRINITYAiLE


 TRINITYAiLE楽曲の真骨頂、集大成、そして……彼女達の経て来た全ての時間軸に意味を持たせる『生命の謳』。ノスタルジック感あり、センチメンタル感もある。更にはイノセント感までも内包している。とにかく、明確に『こういう楽曲だ!』と一言で称する事が難しい楽曲。

LIVEで、このとんでもない楽曲をどう謳って魅せていくのか?は、本当に楽しみにしていた部分でもあったし、その世界観に自分の魂がどう捕らえられてしまうのか?という戦々恐々するモノもあったり……

まあ、実際にあの場と刻で、この楽曲のイントロが響き渡って見事に固まった。あっ、コレヤバいのが来たって。変わろうとする想いと覚悟。良い事も悪い事も全てに意味があるモノ。たとえ、負けても貫き通したいPRIDEがあった。共に寄り添う縁と魂がある……etc

謳い、舞い踊りながら……瑠依・優・すみれはこう言っていたのかもしれない。


 私達に、今出来るのは全身全霊を懸けて謳う事だけ。一人でも多くの人に届く様に!!!と。


 曲名である『réaliser』とは、フランス語で成し遂げるという意味の言葉。
彼女達は敗れても尚、諦めきれない想いと魂があった。だからこそ、この三人なら、最高の景色が見られる場に辿り着けると信じている。

純然で気高く、あの場と刻においては、彼女達三人しか世界に存在していない様な錯覚。圧倒的な場と刻を支配しつつも、どこか優しく包み込まれるような感覚も抱いてしまう。それは、TRINITYAiLEにしか紡げない物語があって、その堂々とした生き様をステージできっちり魅せつけた……昼の『les plumes』が最高到達点ぢゃなかったって頭抱えるしか出来なかった……


 TRINITYAiLEの『勝利への謳』であり『切り札』という解釈が新たに加わった。おそらく、ライブを重ねるにつれて曲と歌詞の解釈が変わってくる曲であるのだろう。

 

 

 

 12.IDOLY PRIDE/星見プロダクション


 菅野さん、結城さん、佐々木さん、高尾さん、首藤さんが、サニーピースで魅せた輝き。橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんが月のテンペストで魅せた煌めき。

そんな質の違った輝きと煌めきが交わる刻……実際問題、そいつは相容れない輝きなのかもしれない。それでも、この十人ならそんなのは関係ないと思わされる親和性を創り出せてしまえるんだなってこのアクトを観て改めて感じさせられた。

だからこそこの楽曲が、この作品全体におけるアイコンソングである事の証明なのだろう。まだ浅いかもしれないが、ここまでの刻と場を経てこの楽曲が進化して来た事でもある。


 それぞれの輝きは十人十色の雑多な輝き。それをこの楽曲にて一つにまとめる。
歌声の質だって違うし、よく分からんけれども……ダンスの細かいステップやらクセも違う。だからいろんなモノを引き寄せて力に変える謳だと。

二月のLIVEで聴いた時よりも、何か歌声に力強さが漲った様に思えた。いや、あの刻と同じく剥き出しの叩き上げの魂が滾っていた。いろんな人の想いと魂に、琴乃やさくら達の想いと魂も乗っかった『IDOLY PRIDE』。過去の時間軸にいる琴乃やさくら達からバトンを受け取ったってのも影響しているかもしれない。

 

 ねえ 絶対だよ この街で瞬き合うこと

 共に行けば 強くなれる 重なり合って 歌おう

 ねえ 涙しても 何一つ失わないように

 ずっと未来を見て 歩み続けていく


 ―星見プロダクション 『IDOLY PRIDE』より引用



 高らかに歌い上げた10人の双眸に宿った輝きは、そんな未来の刻への希望に満ちていた。それぞれが違う輝きを放っても帰って来れる場と楽曲がある。それは、何よりも尊くて素敵な事なのだと。

 

 

 

 13.(昼)Shine Purity ~輝きの純度~/星見プロダクション


 前にも書いたが……この楽曲のイントロが流れると、『おおっ』ではなく『うおぉぉぉッ!!』と全身の血が滾る様な感覚になっていく。また現地で聴けたのは本当に嬉しいモノだった。

『IDOLY PRIDE』における原初の楽曲であり『アンセム』。この楽曲をクライマックスに持って来た真意みたいなモノとして推察されるのは……原点回帰であり、またここから新たな気持ちでリスタートしていこうという感じだろうか。


いや、リスタートなんてキレイな物言いじゃなかったかもしれない。次のステップである二次と三次という境界を挟んでの新しい闘いのスタートを切った……と称すべきか。それぞれの叩き上げの魂をぶつけあって殴り合う領域に変化したみたいな。


 琴乃やさくら達は物語を経ていく中で成長していった。そして、演じるキャスト側の十人も同様に成長を遂げて来た。互いに寄り添える関係性ではあるけれども、自分が成長していなければ魂をシンクロさせる事が叶わないし資格すら無いと考えているのかもしれない。

だから、仕掛ける。攻める。惹き込む。どちらがこの闘いを始めたのかは知る由もないが……互いにここから逃げられない上に負けられない闘いへ踏み出したと。

強さはあるか、覚悟はあるのか。叶えたい事があるか。そこから前に踏み込めるのか。全てを懸けて、限界を超えて挑んで来いと。ある意味でもう一人の自分と闘う様なモノで、もう、行きつく所まで踏み込むしかなくなった。過去を振り返り、今を楽しみ、未来に想いを馳せるなんて優しく温かいモノじゃない。本気をぶつけろ!って。


 何が何でも、胸を熱く滾らせて貫いてやると。抉じ開けてでも響かせてやるという意志のチカラ。
音源では感じにくい部分というか滾る熱量を、十人vs十人の本能と本気がぶち抜いてった。この楽曲が『闘いの謳』であり『アンセムだから形振り構わずリミッター解除してこそ真に血が流れるんだって徹底的にきっちりと魂に刻まれてしまった。

 

 

 

13.(夜)Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション



 明朗快活で天真爛漫に『攻めちゃうんだミライ Fight oh!』と歌い上げる早坂芽衣(日向もかさん)。彼女の声が響き渡った瞬間、それ即ち戦闘開始の合図であるwww

それは、ステージで歌うキャスト陣だけではなくて、客席にいる我々にも告げられるモノ。おそらく、アイプラ楽曲随一を称されてしまう程のポジションや歌割りが目まぐるしく変化していく忙しい事この上ない楽曲。骨…いや、魂ごと喰らう変態楽曲の名は伊達では無いという事かwww


 開幕からのエモーショナルの暴力とサプライズの衝撃によるコンボで、こちらのHPは瀕死寸前なのよ……魂が逝きかけておるのに、そんなのはお構いなしで許してはくれない楽曲でもある。まあ、そんな状況でも楽しみたいのが人の抗えない性ってヤツ。だから、魂のEXTRAブーストに再び火が点いちゃうのよね。

楽曲の最中は、開幕から逝ってる&いろいろと盛り上がるのに忙しい&楽しすぎるというフルコンボが炸裂しており、脳ミソが煮え滾って記憶がないwwww

この部分(だけじゃないが……)レポとしてはダメなモノだろうが、レポ書く為だけに参戦しておるワケじゃねぇんだわ。全身全霊でガッツリ楽しみたいから参戦してんだって。そりゃ、記憶だって曖昧になっちまうわwwwww


 ただ、コレだけはハッキリと言える。声出しが可能になったら冗談抜きで逝ける楽曲へと一気に進化するぞ。

 

 

 

 14.(EN1)それを人は“青春”と呼んだ/橘さん×菅野さん×雨宮さん×戸松さん


 二月のLIVE後に告知された、四つのグループ(月スト・サニピ・トリエル・リズノワ)のリーダーズによる、ゲームリリース一周年を記念してのスペシャルコラボソング。このLIVEにおけるセットリストの一番の太い要になっている楽曲だったのではないだろうか。


 音源聴いた時から、本当にいい歌だなっていうインプレッションを抱いた。そして、ここからもっといい楽曲へと進化してくだろうなという予感というか確信まで抱いてしまう本当に強い楽曲のチカラも感じさせられた。

橘さんのフレッシュでエネルギッシュなボーカル、菅野さんの朗らかで温かいキュートなボーカル、雨宮さんの清廉で気高いボーカル、戸松さんの凛としつつも深みのあるボーカルが絶妙なバランスのハーモニーを奏でていく。

曲や詞の展開していく世界観も、ただ清々しいモノだけではなくて、理不尽なモノに翻弄されたり、葛藤を想起させる負の要素もちゃんと織り込まれていて、そこから運命に抗おうとする意志の強さや四つのグループのアイデンティティとPRIDEもあり、そして……四人と縁深い長瀬麻奈への想いもちゃんと織り込まれて、生きた感情と流れる血の温度を感じさせる。

琴乃、さくら、瑠依、莉央の生き様を感じられなければ絶対に響いて来ない楽曲。そういう楽曲なのだと。その生きた感情と流れる血の温度を一番感じたのが、橘さんが謳う落ちサビの入りではないかと。

 

 伝えさせて この歌に込めて


 ―長瀬琴乃(CV:橘 美來)×川咲さくら(CV:菅野真衣)×天動瑠依(CV:雨宮 天)×神崎莉央(CV:戸松 遥) 『それを人は“青春”と呼んだ』より引用 

 

 この楽曲についてのインタビューにて、橘さんはレコーディングの際に最もこだわってこのパートを歌ったと語られていた。琴乃を支えてくれる多くの人達への感謝の想い、最愛の姉である麻奈への想いを詰め込んで謳ったと。この節は琴乃にしか謳えないし、琴乃が謳わなければ真に血が流れない。

私達が届かなきゃ駄目。私達が届けなきゃ駄目なんだって。だから歌声が違った。解き放たれたと言ってもいい。客席に、LVのスクリーン越しの向こう側に。そして、長瀬麻奈の魂にも。そんな琴乃と橘さんの想いと魂がシンクロして血の流れる魂の絶唱の域へ昇華した。あれは、現地で聴いてて鳥肌が治まらなかった……


そして……琴乃、さくら、瑠依、莉央だけじゃない。他のアイドル達のPRIDEと生き様も加味していって、楽曲の世界がより鮮やかに彩られて輝いていく。いずれは皆でステージに集まってシンガロングしたら面白いだろうなって。


ここから先の未来の刻で、もっとこの楽曲は強く輝くかもしれません。

 

 

 

 15.(昼 EN2)The Sun, Moon and Stars/星見プロダクション


 星見プロの10人が再びステージに登場。漠然と10人曲である『Pray for you』かな~なんて思っておったら、この楽曲だったので膝から崩れ落ちそうになってしまった。アニメ版のEDテーマ楽曲を昼の部のラストに持って来る用兵の妙。言う事を聞かない膝を叩いてただ感嘆するしかない。

静の要素に振り切って沁み入る様に響いてくるメロディと歌声が、何とも心地良い感覚へと誘われる。昼から夜へと繋いでいくという意味も持たせた事も、沁み入って聴き惚れた要因でもあった。

LIVEってのは、共演でもあるが競演という闘いの場でもある。サニピにしか魅せられないパフォーマンスと月ストにしか魅せられないパフォーマンスをそれぞれがきっちり魅せつけてくれた。柔和な曲調で歌う彼女達は、ここまでの互いの健闘と輝きを称え合っている様にも感じられた。


 言わずもがな、歌も本当に素晴らしかった。『別の光 同じ気持ち 繋がれ』が特に澄み切ってて綺麗なのよね……フレーズを一言一句大切にして噛みしめる様に歌声に乗せる想いが十人の歌声から伝わって来た。

 

 

 

 15.(夜 EN2)サヨナラから始まる物語/星見プロダクション


 グランドフィナーレとして歌われるのが定着したといってもいい程の存在感と説得力がこの楽曲には備わっている。イントロが流れる、胸がアツくなって滾って、それに伴う様に会場全体のムードが一気に昂っていく。

どんなモノにも必ず『サヨナラ』という終焉の刻ってのは来てしまうのです。それは避けられない自然の理。それを踏まえながらも、しっかりと前向いて明るく元気溌剌に歌う十人の姿に心揺さぶられるワケなんです。

遠く(三階席)で観てても、目まぐるしく躍動する十人の姿を視覚で追うのは困難を極めるwww
ステージ上で実際にパフォーマンスを魅せてるキャストだけじゃなく、脳内では琴乃やさくらたちもパフォーマンスを魅せてる光景が浮かんで来るし……まあ、とりあえず観ようと意識するのはやめだ。今という刻と雰囲気に浸ってただ楽しもうとしてた。


 『駆け出したら いつでもそこがスタートライン』の箇所で、ビシッと彼女達が対面を指す所作は、『私は、あの場所へと突っ走る!』的な決意と覚悟が漲っている。だからこそ、この楽曲は『決起の謳』でもあり『始まりの謳』でもあるんだなって思い知らされるのですよ。


 一つの終わりは、また新たな旅路へのスタートライン。その旅路で何を魅せて楽しませてくれるのか?そんな希望を存分に感じられた最高のアクトが観られた。そんな十人の姿と顔は青春を謳歌している最高のモノだった様に思えてならない。

 

 

 

 あとがき


 LIVE参戦後の余韻冷めやらないうちに、書き始めたこの参戦レポも二週間ほど掛かってようやく終わりを迎えます……ここまで約18000字。当Blogで書いて来たいろんな参戦レポの中では上位に来る文字数になってしまいました。ここまでこの怪文書を読んで下さった方、本当にありがとうございます。


 二月に観た『奇跡』は本当に素晴らしいLIVEでした。でも、今回のLIVEではその最高値をあっさりと塗り変えたと評せる素晴らしいLIVEだったのではないでしょうか。

演者の成長は勿論の事、演出や構成も細部にこだわっていたのが伝わって来た。更には、怒涛のサプライズ攻勢もまた見事と唸るしか出来なかった。前よりもグレードアップしたモノを魅せつけるという約束、長瀬麻奈の楽曲を歌い継ぐという約束を果たしてくれた事もその要因だと思います。

予想をいい意味で裏切り、期待にきっちり応える。それがちゃんと出来るコンテンツは信用出来ると自分は勝手に思っています。本当に『IDOLY PRIDE』に巡り逢えた奇跡には感謝しかありません。

 

 秋には、New Albumのリリースがあって。

 

 

 そして……

 

 

 

 来年になってしまうが……LIVE開催が決定しましたッ!

 

 まだ歌われていない楽曲だったり、増えていく楽曲もある。歌われていない楽曲が多くあるおかげで、また次のLIVEに参戦したいという想いが膨らんでいく。早すぎるかもしれないが本当に今から待ち遠しいモノです。

 


 最後になりますが、星見プロダクション、TRINITYAiLE、LizNoirのキャスト陣、スタッフの皆様、参戦されたマネージャー(ファン)の皆様、LVにて参戦されたマネージャーの皆様と、今回参戦叶わずとも魂を飛ばして下さったマネージャーの皆様へ感謝と最大の敬意の念を込めて、このクソ長くなってしまった参戦レポの締めとさせていただきます。

 

 

 

 

 

ガールズフィスト!!!!GT 南松本高校パンクロック同好会 ワンマンライブ Not Lonely!!!! Vol.1ー参戦レポ

 6月25日。秋葉原 CLUB GOODMANにて開催された『ガールズフィスト!!!!GT 南松本高校パンクロック同好会 ワンマンライブ Not Lonely!!!! Vol.1』に参戦してきました。

 

 

 今回の単独ライブには、様々な意味と想いが込められていると言っても過言ではないと思う。
まず、二代目・藤森 月役の井上杏奈さんが加わって新体制『ガールズフィストGT』となって初めてになる単独ライブであり、井上さんにとっても初めてとなるガールズフィストとしての単独ライブ。

それと……『ガールズフィスト』にとっても有観客ライブの開催は二年半ぶり。この刻がまた訪れる事をただひたすらに願い、信じて待ち続けたという人は多かっただろう。その想いは、知って刻が浅く単独ライブの現地参戦を果たせていない自分には到底計り知れないモノだから。

更に、会場となる秋葉原 CLUB GOODMANは、ガールズフィストとは何かと縁の深い会場でもある。自分が初めて観た配信ライブもこの会場だったし、中止になってしまったライブの会場もこの会場。秋葉原 CLUB GOODMANはコロナ過の影響で、事業継続の目途が立たず、閉店という苦渋の決断を下した。でも、再始動を諦めない数多の人の想いと動き続けた結果、再始動出来たという経緯がある。先代の藤森 月役を務めた古川さんのラストライブもここから配信された。

そんな会場で、新体制一発目のワンマンライブが開催される。そんなLIVEが楽しくて激熱なモノにならないワケがなかった。一日経って幾分か冷静になってそれを実感出来た。


 そんな楽しくもあり、激熱だったLIVEの所感を出涸らしの記憶を無理やり引きずり出してこれから書き殴っていこうと思います。

 

 

 

 

 叩き上げの魂で謳う“アンセム


 オープニングアクトに持って来たのが、現時点においての新曲である『さよなら MY LONELINESS』
GT体制になっての最新曲であり、曲名に冠された『LONELINESS』とライブタイトルに冠された『Lonely』との繋がりを考えると、この楽曲を最初に持って来たのも頷けるモノだと。

芳野の変わろうとする想いと覚悟を謳う楽曲であるけれど、この数年において芳野役の浅見春那さんが感じた事……特に鬱積とした感情に対しての憤りみたいなモノを浅見さんは詞に込めたと、自分は解釈している。サビ前のこれらのフレーズはその事を強烈に感じられるのだ。



 降り出した雨に溶けてく 『こんなはずじゃないのに』

 でも 信じる気持ちだけは ずっと失くしたくない


 いつもの場所 一人きり 『どうすれば抜け出せる…?』

 でも胸の奥の奥 止められないものが今も


 ―ガールズフィスト!!!! 『さよなら MY LONELINESS』より引用



 こんなはずじゃなかった。この状況をどうすりゃ抜け出せるのか?それは、この世界に今生きている者が抱く共通意識。詞に込めた想いを彼女達は演奏や謳で表現していく。初手から全力全開で一斉に攻めかかって来るその姿勢はこちらのスイッチに火を点けさせられ、自然と縦ノリのヘッドバンキングしていた。サビの『ぶち上がれ AUDIENCE』の詞の通りになったというところか。

そう、このバンドは楽曲を直に聴いたら自然と血が滾って身体が動かざるを得なくなる感覚に陥られる。そう感じられたからこそ自分は『ガールズフィスト』に惹かれたのだと実感させられた瞬間でもあったし、その直感が錯覚ではなかったってのも嬉しかった事でもある。


 イントロが爆音で響いた瞬間、観客の声は出せなくても感じられた現場の熱の上がり方はいい意味での異常な空間。一気にその場の雰囲気が開けてグワってなる的な。

所謂、LIVEにおける起爆剤の役目はきっちりと担っていて、なおかつ、パンクロックの反骨の魂と彼女達の叩き上げの魂が、『さよなら MY LONELINESS』をアンセムの域まで昇華させたのだと思い知らされた。


 信じていい。この『アンセム』はもっと強くなって、未来の刻で『ガールズフィスト!!!!』のアイコン(象徴)となる可能性に溢れている。

 

 

 

 

 “音を楽しむ”という事。

 
 ガールズフィストというバンドのアイデンティティというかスタンスは、前に観た配信ライブだったり公開練習を直に観て感じさせる、ボーカルの浅見春那さん、ドラムの内山つかささん、ギターの奥村真由さん、ベースの井上杏奈さんが本当に楽しんで演奏や歌唱をされている事だろう。

それは、自分の様な奴が改めてここに書かずとも、ずっと長い刻で彼女達を応援して来た人なら周知の事実。


 勿論、このLIVEでもそれは何も変わらずに、四者四様で本当に心底楽器を奏でる事と歌う事を楽しんでいた。まあ、当然な話だけれども、有観客LIVEの開催を待ち望んでいたのはファンだけじゃなかった。彼女達も本当に待ち望んでいたんだと。

歌は嘘がつけないってよく言われるし、聞いた事がある人もいるでしょう。楽器の演奏も人の手で成されるモノなので、奏でられる音も嘘がつけないモノで、奏者の感情がダイレクトに反映されると思っています。直に会場で聴いたってのもあったのでしょうが、よりアグレッシブで殴りかかって来る様なビートを刻んでいたのが凄く印象深かった。


 自分が観てた位置は二列目の所で、ライブハウスって事もあってステージが近いし目線もほぼ演者とそう変わらない。だから、ギターを奏でる奥村さんやベースを奏でる井上さんの手元、内山さんの力強いドラミングに自然と目を惹かれる。それはホールのLIVEでも席によっては観られるものだけれども、より鮮明に観られるのはライブハウスの特性でもあるのかなと。

ガンガンに盛り上がっていながら、奏者の渾身の演奏にも目を奪われ感嘆の息を漏らす。そこに、『顔』で謳える浅見さんのボーカルが加わる。彼女のボーカルもその演奏に刺激を与えられて、より力強く、艶やかさも増していた。

どの音と声が欠けても、ガールズフィストの音楽は成立しない。でも、この四人の音と声が掛け合わさるからこそ、ガールズフィストの音楽は魂に突き刺さって血を滾らせる。オリジナル楽曲でもそうだし、カバーされた数多のパンクロックの名曲たちは元のテイストを感じさせながらも彼女達の色もきっちり出せたのも見事と言わざる得ない。


 ただ単に、素晴らしいという語彙しか残らない程に圧倒されて打ちのめされた。完敗でした。

 

 

 

 

 継ぐ者の覚悟と闘い


 先人曰く(水樹奈々さん)LIVEとは逃げ場のない闘いの場であると。


ここで言う継ぐ者とは、今年の一月に、二代目・藤森 月役となった井上杏奈さんの事である。


井上さんの加入というのは本当に喜ばしいモノ。その報によっていろいろな展開が一気に広がったってのもある。新曲のリリースや公開練習の復活、このワンマンライブだってそうだ。まあ、一連の情勢がちょいと落ち着いたってのもあるが。

とは言え、次代を継承した人ってのは嫌が応にも比較されるモノ。ダイレクトに口に出す事もあれば、それぞれの心中に留めたりと。歓迎の意は勿論あるけれども、どこまでやれるのか?ってのも同じ位抱いていたのではないだろうか。このLIVEのキモになってる一つは、井上さんがきっちりと最後まで闘えるか否かだ。

勝手な推測の域ですが……井上さん自身もそう見られる(比較される)のは覚悟して踏み込んだと思います。そして、筆舌に尽くし難いもの凄い努力をして来たのでしょう。おそらくその成果は公開練習やこのLIVEを観られた人なら共感出来ると思います。ベースを弾いてる立ち振る舞い方が格好いいんだわ。


 それと、上手く説明できないのが心苦しいのだが……井上さんを見る時の浅見さんの眼差しが、何か見守ってる様な優しい感じのモノに自分は感じられた。

思い返せば、浅見さんも二代目・奈川芳野役とボーカルのパートでバンドに加入された経緯がある。誰よりも、今の井上さんの心情を理解できているだろうし最も寄り添えられるから……井上さんも、浅見さんのそんな眼差しを見て安心出来て勇気が湧いたかもしれない。なんて勝手に思ったり。勿論、内山さんや奥村さんも浅見さんと同様に、井上さんを見守ってくれたのかなと。

 

 で……話を戻して、井上杏奈の覚悟を証明したのが『孤独の月』の披露だろう。


 『孤独の月』という楽曲は藤森 月が作詞をした楽曲。即ち、先代の藤森 月役の古川由利奈さんが作詞した楽曲でもある。

この楽曲を二代目の井上さんによって披露する事は賛否両論あると思います。自分の意見としては、この楽曲を埋もれさせたくない。大袈裟に言うと死なせたくはないという想いから、彼女は謳う事を決意されたのではないかと。もしかすると提案されたのかもしれませんが。とは言え、単に役やパートを受け継いだってだけで歌える、歌っていいという問題じゃないし、井上さんもそういう感覚ではなかったはず。


 実際、現地でコレ歌い始めた瞬間『うわ、マジか……』って声が漏れた。正直、聴けるとは思っちゃいなかったから。それと同時に、井上杏奈の退かない覚悟を示す闘いなんだってのを魅せると。

更に言うと、CLUB GOODMANは、古川さんがガールズフィストのメンバーとして最後に立ったステージでもあった。あの刻でも『孤独の月』は歌われた。藤森 月の止まってしまった刻を、受け継いだ井上さんによって歌われる事で月の刻もまた動き出すと……勝手な推測&妄想の域でしかないが、自分はそう思えてならなかった。だからこそ、この闘いは逃げちゃいけなかったし、この楽曲を迎え入れられるのはこの世界において井上杏奈ただ一人だけ。


 月がモチーフになっている楽曲という事もあり、沁み入る様に聴かせるテイストの楽曲だけれども冴える月光の要素も感じられる複雑な楽曲。しかし、現地で聴いた感覚だと音源より内に秘めた力強さの方が全面に押し出されたインプレッションを抱いた。これは、LIVEならではの妙ではないだろうか。


 これまた勝手な持論になるけど、LIVEのセットリストには幾つかの外せないポイントが存在している。バッチリ決まればその後も上手い事いけるし、逆に外してしまうと一気にガタついてしまうリスクもある。このワンマンライブにおいては、井上さんによる『孤独の月』披露がその一つを担っていた。

楽曲というモノは、歌う者や演奏する者で様々な『顔』を覗かせる。『孤独の月』という楽曲が秘めた表情を引き出せたのは、紛れもなく井上さんがきっちりと闘えたからだと。


 本当に『孤独の月』をあの刻と場で歌ってくれた事に、ただ……ありがとうと言いたい。

 

 

 

 

 叶った刻と場で聴けた“あの楽曲”


 終わった今だから言ってしまうが、このLIVEのチケット代の半分はあの楽曲を現地で聴く為に払ったと言っても過言ではない。これは冗談でも何でもなくマジな話だ。

 


 その楽曲は……『Full of Lies』!!!!

 


 自分がガールズフィストの楽曲で、最も好きな楽曲が『Full of Lies』なんだ。
初めて配信ライブで聴いて一発で魂を惹かれた楽曲。それが現地で直に聴ける刻がようやく叶った。

イントロが鳴り響いた瞬間、膝から崩れ落ちそうになるし、感動によって刺激されまくりの涙腺が決壊しそうになるのも必死に堪えて、楽曲を聴く事とアクトを網膜に焼き付けようと。もう、こんなに嬉しいモノは無い。

それと同じくしてサイリウムや発光ブレスレッドをつけていた人が赤い光を灯す。詞にある茜色の空をイメージしたモノであるし、奥村真由さんのギターの色や彼女が演じる坂ノ下奏恵のイメージカラーも赤。客席のこの光景は当然ながら配信ライブでは観られなかったモノ。それも相まって涙腺が刺激されてしまったってのもあった。


 ガールズフィスト楽曲では、ちょっと異質な趣きのあるセンチメンタルでノスタルジックなテイストのこの楽曲は、ここまでに上がりきったボルテージを下げていくモノ。でも、その落差がある事によってこの楽曲はより深みを増してエモーショナルな衝動に心揺さぶられてしまった。

分かっちゃいたのよ。この楽曲を直に聴いたらエモーショナルな感覚に絶対なるって……そういう楽曲でもあるし。もの凄い偏見込みなのは承知で言ってしまうが、自分の様なおっさん世代にはより魂に突き刺さって来る楽曲ではないだろうか。

その要因は、この楽曲の詞からもたらされるのだろう。本当の自分を嘘という仮面で偽るってのは現代の世情とリンクした風刺的な意味合いが含まれている。それはパンクロックの定義とされる要素の一つでもあったりするんだよな。


 そして、この楽曲で真に伝えたい本気の想いは、変わろうとする想いと一歩踏み出す勇気。
今回のワンマンライブは新体制になって初めてのLIVE。ここから先の領域って踏み出さないと何も分からない事だらけ。そこに踏み込む事は誰だって怖いモノでもある。ただし、踏み出さなきゃ、動かなきゃ何も変わらない事を彼女達はこの数年の刻で思い知らされただろうし学んだと思うんです。

未来への希望を願う想いと共に、ラストフレーズの『輝ける明日へ』というフレーズ、これが音源で聴いた時よりもハッキリと伸びやかで力強く謳われている様に感じられ、聴いていてグっと深く沁みて来た。


 楽しく盛り上がれるだけじゃなく、一人一人の魂に沁み込んでいく。そういうLIVEが出来るんだよとステージに立つ彼女達が提示していた様な気がした。この楽曲は本当に生で聴きたかったし、聴けて嬉しかった。もう、感無量だった……

 

 

 

 

 最後に。


 新体制として初のLIVEだったワケだが、奇を衒う演出だったりとかは無くて、自分がこれまでに配信ライブで観ていたあのLIVEの雰囲気そのままのLIVEだった。普段通りのLIVEを普段通りにやって心底楽しみ尽くして終わる。人は変わったけれどもこれまでに培って来たモノは変えずに、いつも通りの『ガールズフィスト!!!!』のLIVEを魅せ付けるって方向性のLIVEだったと思います。

オリジナルの楽曲や、過去のパンクロックバンドの名曲のカバー、フリーダムでわちゃわちゃした掛け合いのMC……それら全てをひっくるめて『ガールズフィスト!!!!』のパンクロック。


 今の刻が一番いい。そう感じさせる最高のLIVEでした。


 Not Lonely!!!!=孤独じゃない。二年半振りに開催された今回のLIVEに冠された言葉だ。
ガールズフィスト!!!!に縁のある人や惹かれた人達。誰一人として諦めずに信じて動き続けたからこそこの最高な刻と場が還って来たのだと。

浅見春那さん、内山つかささん、奥村真由さん、井上杏奈さん、関係者の皆様、スタッフの皆様、素晴らしいLIVEを楽しませて下さった事に感謝と賛辞の念を。

 

 長くなった上に、感情と情緒を爆ぜて書いた怪文書をここまで読んで下さりありがとうございました。
今後も自分が出来得る範囲で『ガールズフィスト!!!!』の現場に馳せ参じたり、楽曲の所感などをこのBlogに書き殴っていきたい所存であります。

 

 

 

 

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #14 ⅢX編

 どうも。IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語るお時間の復活でございます。

 


これから書き殴っていくのは、アニメ版(ゲームでは星見編)の続編となる『東京編』に登場して来る新しいグループであり、ボスグループでもある『BIG4』の一角


『ⅢX』(スリーエックス=スリクス)編!!!

 

 



 前に書き殴った当Blogの記事においての『東京編』所感でも触れておりますが、ライバルグループという特性の為か、深い部分までは描けていなかった様に思えました。

そんなつい先日、ゲームの方で『ⅢX』のサイドストーリーが解禁。更には、公式のYouTubeチャンネルでも期間限定でそのサイドストーリーが観られるという。

あるキャラの影が薄いだの、言動の端々に小物臭を感じるだのと……散々、記事の中でブーブーと文句たれておった自分でありますが、サイドストーリーの解禁&期間限定配信という運営サイドのアクションの迅速さには、いい意味での頭のおかしさに対し称賛の念を抱いた。

 

 

 

 彼女(fran)の言については、自覚があって自嘲しつつ頷くしかないワケであるwww


 と、まあ……おっさんの手のひらの回転はどうでもいい。ただ単純に、対応の早さだけで称賛の念を抱く程ちょろい人間ではない。キャラクターのバックグラウンドや心情。それらが基になってのメインストーリーへの補完がきっちり成されたからこそ称賛の域に達したのであります。


 このサイドストーリーにて描かれていくのは、スリクスの結成から東京編の後日譚まで。
ここから書き殴っていくのは、あくまでも個人のインプレッションから導き出した所感。スリクスがどのような立ち位置でストーリーに関わったのか?彼女達がその刻においてどんな生き様とPRIDEを貫いたのか?という点にフォーカスしてみたいと思います。

それから、自分の主観と偏見が多分に含まれておりますので、その点については予めご容赦下さるとありがたく思います。

 

 

 

 

 

 ずば抜けて秀でる者達の軌跡~絆などないひりつく関係性


 『ⅢX』というグループ名の由来になっているのは、ダイヤモンドのカットグレードにおいて最上級のランクとされる『3EX』(トリプルエクセレント)がモチーフになっているとの事。メンバーが三人というのもそこから来ているのだろう。更に言えば、メンバーの経歴も華やかな経歴に彩られたモノ。

パリコレへ出演した経歴を持つトップモデルのfran(本名山田さん)に、小学生の頃から数々の雑誌の表紙を飾っていてこちらも大人気モデル出身のkana。第13回NEXT VENUSグランプリの覇者だが、BIG4に手が届く寸前で突如解散した人気二人組アイドルのメンバーだった過去を持つmiho。

この三人がプレタポルテに集められて、グループを組んでアイドル界の頂点を目指すという所から彼女達の物語が始まる事になった。


 この作品のどのグループ(月スト、サニピ、トリエル、リズノワ)でもそうだったが、いきなり集められてグループ組んでまとまっているなんて上手い話にはなっていない。それは、スリクスも例外じゃなかった。って言うか、これだけの経歴持ちだけあってクセの強さも一筋縄じゃない。言ってしまえば仲悪く、あの姫野さんがドン引きするほど。

アイドルとしての情熱を持ち続けているmiho以外の二人は、そもそもアイドルに対してのモチベーションが高いワケじゃない。franとkanaにとってのアイドル活動は自分が成り上がる為の一手段でしかないからでしょう。アイドルだけに固執してないのは強いでもあるのだろうが、見かけは立派でも中身がそれに釣り合っていない危うい状態でもある。

でも、そんな状態はお構いなしと言わんばかりに容赦無く、スリクスのデビューライブへと刻を刻んでいくが……メンバーの高い知名度と、プレタポルテの資金にモノ言わせた広告戦略が上手くかみ合った結果、デビューライブは成功するワケです。出だしで上手くいってしまった。その事実は、変わろうという選択肢を失うという事でもある。前述の様に、危うくヒリついた関係性のままではあるものの……彼女達は快進撃を続けていく。


 そんな頃、スリクスに『VENUSグランプリ』のエントリーが決まる。これはVENUSプログラムの上位のみが参加出来る大会。そこでも勝ちを重ねていくが……セミファイナルで、当時のBIG4の一角『STROBOLIGHT』に初めて負けた。


(余談だが、mihoの言によるとBIG4の一角はソロアイドルらしい)


 鼻っ柱を見事に折られたのが堪えたのか、三人は腹割って話し合う流れになるワケですが……普通はそこで上手い事まとまって、絆がどうとかの話になってくが、コイツらはそうならないのがまた良い。それぞれの人となりは気に食わないが負けるのだけは嫌だと。叶えたい目的の為には利用できるモノは何でも利用しようという意識だけで繋がった関係。私情を鑑みないで能率重視するビジネスパートナーとしてしか互いを見ないと。

それは、絆を重視している星見プロのアイドルグループとは一線を画す存在であり、ボスグループならではの強かさやダーティな部分を醸し出す要素で、『ⅢX』をより魅力的なグループとして成立させたモノだと思うのです。

 

 

 

 稼ぎたい者、見つけて欲しい者

 

 見出しに付けたこの二つのワードは、第一弾のプロモーションムービー内でも出て来たワードであり、作中に登場するアイドルの魅力に繋がる要素でもある。動機や夢と称されるモノは決してキレイなモノだけじゃないと思うのです。この作品はそれを忌憚なく盛り込んでいるのが魅力だと思っています。


その二つにスリクスで該当するのがfranとkana。まずは、franの事から触れていこうと思います。


 
 franのプロフィールに、ある理由から極端に金に執着しているとある。金を稼ぐ事に執着しているのは、星見プロで挙げると神崎莉央と奥山すみれの二人。莉央は故郷の母親が経営している喫茶店を援助する為。すみれは兄の夢であるピアニストになる為の留学支援だったりする。

で、franが金に執着する理由だが、過去にブランドを立ち上げたが一億の負債を抱えてしまってその返済の為という結構ヘビーなモノ……まあ、そりゃとにかく早い事稼がにゃならんという具合になるのは必然だろう。

ただ、彼女は金にダーティな人間ではなかった。自分のブランドを立ち上げたのも抱えていたコンプレックス(金髪碧眼)を武器に変えてくれたファッションへの恩義というかそういう純粋な想いからでしょう。しかし、経営の知識と経験が無くてしくじってしまった……言い換えると、負けたと言ってもいい。

パリコレ出演の手段は様々あるらしく、ブランドからの推薦やオーディション等を通して選出されると聞きますが、共通しているのがそれらの競争に勝てないと出演は叶わないという事。そういう世界で闘って生きて来たfranにとって、失敗=負けるという事に最も敏感で誰よりも恐れを抱くのは必然なのでしょう。

 


 もう一つのワードである見つけて欲しい者というのはkanaだろう。彼女は、承認欲求が強いとある。彼女自身が単純に一番目立つ存在でありたいってのもあるだろう。それは、東京編やこのサイドストーリーにおいて胸の内に抱える本心が明らかになるまではそう思っていた。

彼女の曲者感やヒール感満載の煽り方やら毒の吐きっぷりを鑑みるとそういうインプレッションを抱いたのは自分だけではないでしょう。ただ、kanaも自分のねじ曲がった性悪な部分があるというのを自覚はしている。

そうなってしまった原因は彼女を育てた祖父だと言う。クソジジィと言う時の彼女の怒気がこもった声色と、ほぼ縁を切った状況である事から、彼女とこの祖父さんとはいい関係ではないのが伺える。

父親と無理矢理引き離し、モデルとなった彼女の名を散々利用して楽して金稼ごうとしてたという。業界のOTONA達もそれを知っていた事から、彼女の仕事場にもくっついて来ていろいろ介入してたのだろう。


 で、kanaが本当に見つけて欲しいと願っている人。それは引き離された父親だった。
祖父さんに憎悪を抱きながらも、一刻も早く有名になって名を多く知られ、やがては父親に知れ渡るまでに至る事をただ願って。

だからこそ、彼女はライブバトルにおいて、圧倒的な差を魅せ付けて勝つ事にPRIDEを持つ。勝ち続けなければ……輝き続けていられなければ真に見つけて欲しい人に見つけてもらえないから。


 ねじ曲がった先にある本質は、純粋で正直な魂を持つ子なのだろう。ただ、あの口の悪さと血気盛んさから来るエキセントリックさも彼女の本質なんだろうと思うwww

 

 

 

 

 

 死人の魂に縛られてしまった者。そして……取り戻した原初の魂と魔法。

 

 スリクスのサイドストーリーでは、franやkanaのバックグラウンドが描かれた様に、mihoのバックグラウンドもきっちり描かれた。


 話はmihoの高校時代まで遡る。高校時代、彼女は藤代 葉という少女と出逢い親友となった。
アイドルに憧れを抱く葉と一緒にアイドルオーディションを受けて合格して、mihoはアイドルへの軌跡を踏み出し、葉と一緒に『sundance』というグループでデビューを果たす。


そして、NEXT VENUSグランプリ優勝も勝ち取るまでに至った。


 ちなみに、つい最近知ったのだが……次のNEXT VENUSグランプリで、麻奈と対戦して敗れている描写が本編の前日譚に当たるコミック作品『IDOLY PRIDE Beginning of Lodestar』2巻にある。そこで描かれた黒髪の少女はmihoで間違いない。で、その傍にいたもう一人の子が葉なのだろう。

麻奈に敗れはしたものの、前回大会の覇者という肩書もあってか、sundanceはBIG4への昇格がほぼ決まりかけてたが……葉は病に倒れてしまい亡くなってしまい、話は立ち消えグループも解散。何の因果か麻奈が事故で亡くなる数日前でもあった。

世間や報道では、圧倒的に麻奈が亡くなった事への哀悼の声に溢れていた。一方で、同じ時期に亡くなった葉に対しては亡くなった事という事実が無かった様な有様になって、誰も彼女が亡くなったという話もしていない。

麻奈に負けたとは言え、NEXT VENUSグランプリを制してBIG4へと昇ろうとしていたアイドルが亡くなった事に触れていない事への憤り、近くで見て同じ刻を過ごした親友を悼む声が無いというのは、mihoにとっては堪らなく辛くて寂しいモノだっただろう。言い換えると人々の記憶から抜け落ちてしまった葉は二度死んだ事に等しい。

mihoが麻奈の生きた痕跡を跡形もなく消し去ろうという執念の根幹となる要素は、この頃に芽生えてしまった様に思えてしまう。それは、葉の死に対して無関心となった世への怒りもあったのでしょう。葉が心残りとして抱く麻奈に勝ちたかったという最期の言葉を胸に秘めて。


 何やかんや刻が経ち、麻奈の妹・琴乃と、麻奈の心臓を移植されたさくらがデビューする。
そして、邂逅の刻。mihoの心中は穏やかじゃなかったはず。この子達を倒さないと麻奈に勝った事にはならない。完全に復讐というか執念で凝り固まってしまっている。

でも、麻奈の幻影を消し去りトップアイドルになる事が葉の本当に叶えたかった願いじゃない。執念とは違ったベクトルの先にあるものこそが葉と交わした真の約束であり、置き去りにしてしまった原初の想い。


 それを取り戻す切っ掛けになったのが、sundance時代から変わらずmihoを応援してくれる一人のファンだった。


 そのファンの男性は、葉が亡くなった事もちゃんと知っていて残念に思っていた。mihoにとっての彼の言葉は何よりも嬉しかった。そして、葉を悼んでるのは彼だけではないはず。もっと多くのファンが葉の死を悼んでくれている。見てくれていた人はいたんです。

mihoは悲しみにくれるあまり、その事に気づけなかったのもあったし、もっと見ようと聞こうと出来なかったのでしょう。でも、彼の一言によって置き去りにしてしまったモノを取り戻せた。

 

 

 『魔法少女みたいに、私達もステージで誰かを幸せな気持ちに出来たらいいね。』


 ……ああ、そうだ。 約束を守らないとってずっと思っていた。

 でも、ごめんね。 一番最初の約束を忘れていたんだわ。

 ステージで、誰かを幸せに…… ステージを、観てくれた人達を幸せに

 トップに立つのはもう少しかかりそうだけど

 
 ……この約束だけはずっと守るからね、葉ちゃん。

 

 

 

 
 葉が、病床で言ってた『一度ぐらい長瀬麻奈に勝ちたかった』という言は、本心でもあったけど建前だったのかもしれない。死期を悟り、もう先は短い事を彼女は覚悟を決めて受けいれた。

でも、葉の本当の想いは純粋でシンプルな親愛の情に溢れたモノだった様に思えるのです。死人(葉)に囚われないで、アイドルを続けてステージから誰かを幸せにしてもらいたいと。そして、mihoなら必ず出来ると信じていたしmiho自身が幸せになる事を誰よりも葉は願っていた。


 誰かを幸せにする事は、自分も幸せになる。全身全霊懸けてステージを自分達だけが楽しむだけじゃなくファンが楽しむだけでもない。ファンの幸せな想いを受けとめて、パフォーマンスに込めて返す想いの相互循環という幸せのカタチ=魔法。それがsundanceが貫いて来たPRIDEだった。

葉と交わした原初の唯一無二の約束。どこかに置き去りにしてしまった気持ち、デビュー当時の純粋な想いを取り戻せたという事実は、mihoが救われたと言っても過言ではないと思えてならないのです。

 

 

 

 

 

 打算という『絆』で繋がった者達の再動

 

 I-UNITYの裏で姫野さんが勝手に仕掛けた場外戦(不正のオンパレード)が明るみになり、彼女は逮捕された。ただ、一連の不正に関して、プレタポルテとスリクスとは無関係だがイメージは完全に落ちた。結果、プレタポルテはアイドル事業からの撤退を決定する。

そして、スリクスもこのまま続けても意味が無いとして、解散する流れになったものの何やかんやあって、事務所を去りフリーとしてアイドル活動を継続する事に。まあ、上手くまとまって仲良しこよしではなく、互いが互いを気に入らないってのは変わらず。コイツらといれば何かと自分にとって都合がいいから、これまで同様にヒリつく関係性のまま。


 サイドストーリーの最終話では、スリクスが星見プロに呼び出され誰かと会う所で幕引きとなる。
その相手は一体誰なのか?いやが応にも妄想が捗ってしまう。ここからは、自分の妄想で予想を立ててみようと思います。


 一番有力だと思っているのは三枝さんか朝倉さんだと思っている。勿論、星見プロへの移籍話ではない。彼らが間に入って、トリエル&リズノワが抜けたバンプロへの移籍という流れは結構激熱な展開ではないかと勝手に思っておる。やっぱり、この三人は星見プロのアイドル達とは絶対に相容れない関係であって欲しいってのがある。

それと、もう一人の有力人物と考えているのが、姫野さんの不正を暴く為に三枝さんに力添えした人物。この人は三枝さんや朝倉さんとは旧知の間柄かもしれない。BIG4の誰かが所属している事務所の人間なのかバンプロの人間かもしれない。三枝さんが本編のラストに電話で話してたのはこの人ではないだろうか。



 まあ、要約してしまうとだ……スリクスさん。バンプロに移籍してくれってことなんだわwwww

 

 
  

 という事で、ⅢX編の独自考察となります。
ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。

 

取りあえず楽しんでいただけたなら嬉しく思います。個人的な解釈や所感を多分に含んだ考察になっているので、別な意見やもっと掘り下げた話がありましたら教えていただけると有難い限りであります。

 

 

 

 

 

アイプラ楽曲ライナーノーツ #4 Fight oh! MIRAI oh!

 

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 Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション


 アニメの方では一切披露されてなく、ダウンロード・ストリーミング配信とMV、CDアルバム【奇跡】、アプリゲームに収録されている。


 イントロの時点から、もうアクセル全開で突っ走って『攻め』に特化しているアッパーソング。
明朗で溌剌なメロディとテンポの良さに、多人数で歌うメリットを最大限に活かす為に、台詞調な言い回しと賑やかな掛け合いを表現すべく圧倒的な文字を詰め込んだ歌詞。それらが組み合わさることによって、この楽曲は『楽しい』モノと強烈にリスナーへ印象付けさせる。

初めて聴いても楽曲からもたらされるインパクトの強烈さで印象に残る楽曲でもあるし、何度も聴きたいと思わせるトリッキーな中毒性も持ち合わせている。そのキャッチーさ&トリッキーさが絶妙なバランスで混ざり合った結果……

 


この楽曲は、骨ごと喰われる変態楽曲だというインプレッションを抱いたのだ。

 


 しかし、キャッチー&トリッキーに振り切れているだけの楽曲ではない。作品が真に伝えたい想いの根幹にあるのはアイドル達の成長譚。曲題と歌詞を見ていくと、星見プロのアイドル達の作中での立ち居振る舞いが浮かんで来る様に感じる。

曲題にある『Fight oh!』は、スポーツの応援や人を励ますときの言葉にも使われる『頑張って!』という意味になるし、英語圏での意味である『闘え!』という意味合いもあるのだろう。詞に使われているワードも、頑張る事だったり何か奮い立たせるような力強いワードがふんだんに盛り込まれている。『チャチャチャ』というフレーズや三三七拍子を彷彿させるリズムになっているのは、エール(応援歌)としての面を持つからだと思える。

 


 コールを打ち、掛け合い箇所を一緒に歌いやすい楽曲。なおかつ、底抜けに明るく楽しい曲調の為、歌う10人の演者達はステージで躍動して会場全体がお祭り騒ぎ出来る楽曲。現在の情勢ではまだ不可能な話ではあるが……今後、観客の声出しが解禁される刻が来たら、とんでもない楽曲へと進化していく可能性に溢れている。

 


 つまりは、もっと盛り上げたければコレを歌えという事なのだ。ライブ映えして皆で盛り上がれる事も、エールとしての要素を感じられるモノなのだろう。

 

 

 

 

アイプラ楽曲ライナーノーツ #3 The Sun, Moon and Stars



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 The Sun, Moon and Stars/星見プロダクション


 アニメ版EDテーマ楽曲。(2話、5・6話)


作曲と編曲を担当された沖井礼二氏は、作品のエンディングテーマである事を強く意識されて、落ち着いた雰囲気を醸し出しているしっとり感を感じさせ、オープニング楽曲とは違ったインプレッションを与える事を意識されて楽曲制作されたと言う。

そして、作詞を担当された利根川貴之氏も、EDテーマはストーリーの側面を見せるべきであるとして、星見プロの10人がステージに立つ姿とは違う日常に寄り添った要素を詞に綴ったと。


 アップテンポな楽曲が多いアイプラ楽曲陣の中でも、この楽曲は他とは一線を画していて『静』の方面に振り切り、沁み入る様に聴き入らせていく幻想的な楽曲になっている。MVで描かれている世界観がその幻想的な雰囲気を助長させているのもあるだろう。

ただ、その幻想的かつ沁み入る様なテイストとは違い、曲のテンポの方は割と早い印象を受ける。それと、10人のボーカルがいい意味での脱力感と柔和で優しげな雰囲気が重なる事で見事な塩梅となる。文面で捉えるとアンバランスなインプレッションになるが、実際の曲を聴くときっちりとメロディとボーカルとのバランスが絶妙で聴き心地が良いのである。

 
 で……曲題がまたエモーショナルな衝動を湧かせるのがいい。Sun(太陽)Moon(月) Stars(星)。
どうしても、さくら(陽)と琴乃(月)、そして、麻奈(星)を想起させてしまう。この三者の縁と関係性は『IDOLY PRIDE』における重要なテーマでもある。



 煌めきの中へ Into the shinin' star

 日差しの暖かさ包まれて 輝きの中へ Into the shinin' smile

 月夜にも凛と咲け 別の光 同じ気持ち 繋がれ Shinin' Star


 ―星見プロダクション 『The Sun, Moon and Stars』より引用 



 サビに『別の光 同じ気持ち』というフレーズは、アニメ5話でのサブタイトル。
この5話の冒頭で、琴乃は『月のテンペスト』のリーダー、さくらは『サニーピース』のリーダーとなっている。そのエピソードは、琴乃とさくらにおいては分水嶺となるモノだと思える。彼女達が、星をモチーフとしている存在である長瀬麻奈を乗り越えようと示唆している様にも捉えられる。サビのフレーズはそれらの暗喩なのかもしれない。



 実を言うと、この楽曲を初めて聴いた時、自分にとっては印象が薄い楽曲だった。
EDテーマ楽曲らしさがあって奇を衒わないモノではあるけれど、落ち着きすぎてしまって味気ないと感じてしまった。

しかし、聴いていく程に、前述でも触れている10人のボーカルの柔和でいい意味な脱力感と、お洒落感と幻想的な雰囲気との絶妙な塩梅がクセになる中毒性の強い楽曲だった。そのインプレッションへと変化した時、自分の聴覚が腐っていた事を痛感させられ打ちのめされた。



 そして、『静』の雰囲気纏った変態楽曲という裏の貌に気が付いた瞬間でもあった……

 

 

 

 

 

Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!開催決定の報に寄せて……

 6月4日の晩、YouTubeにあるRun Girls, Run!公式チャンネルにおいて、重大発表と題された生配信放送があった。


その配信内にて告げられた重大発表とは、5th Anniversary Live Tourとなる
Run Girls, Run!5th Anniversary Live Tour Get Set, 5!』開催決定の報!!!

 

 

 


 この結成五周年記念ツアーの報について、多くのランナー諸氏は予想に難くなかった様に思える。
自分も、ここまでの傾向からいくと周年LIVEの開催はある種の恒例イベント的なモノとして捉えているのでこの報については最も可能性が高いだろうと予想はしていた。

でも、そうは言っても……やっぱりRGRのLIVE開催というのは単純に嬉しいモノなんだ。開催地は、宮城(仙台)、大阪、東京の三か所でどこも昼夜2公演となっている。この開催形式は、1stと開催中止になってしまった三周年ツアーと同じ構成。

五周年LIVEで初めてRGRのLIVEに参戦される方もいらっしゃるでしょうし、四周年の時は参戦出来なかった方や久々に参戦してみようという方だっていらっしゃる。多くの人達が五周年LIVE開催の報は本当に嬉しいモノなのは間違いないだろう。開催地が四周年LIVEから増えたのもまあ……喜ばしい事である。


 ただ、嬉しい報なんだけども……何か引っかかってしまうモノも同時に湧き上がった。

 


*以下、本音を書き殴っていくので捉え様によっては不快なインプレッションを抱く可能性が大いにあります。本当に興味のある方だけ読んでいって下さい。

 
 

 

 


 五周年というのは、まあ節目の年と一般では称されるじゃないですか。
あくまでも個人の勝手な想いでしかありませんが、この節目の年で何と言うか、攻めの姿勢を示して欲しかったってのはあるんですよね。

LIVEツアーを開催するのは勿論嬉しいんですが、その開催地をもうちょい増やせなかったモノかと思ってしまうのですよ。

当然ながら、現状がまだ完全に手放しが許されない状況を鑑みた決断でもあったでしょうし、単に場所増やして興行としての利益が出ないリスクも熟考された事でしょう。それでもだ。無礼千万なのは承知で言わせてもらうが……



動かなきゃ変わんねぇし、座してる余裕も無ぇだろうが。

 

 

 持っている楽曲が強い。三人のパフォーマンスも素晴らしいモノがある。いろいろなフェスに参戦してアピールもしているし、メンバーが個人でも頑張ってアピールも欠かしていない。ただ、それがRGRのホームに客をそこまで呼び込めていない様な気がしている。それは先の段階でもっと増えるとは思うし、結果を求めるのがまだ早いのかもしれないが。でも、彼女達のLIVEを観たいって人はおそらく多くなって来ている。


 集客論の一つに、環状線理論という考えがある。これはあくまでも自分の勝手なインプレッションでしかないという事を言っておくが……現状のランナー諸氏は輪っかの中にいるのと同義な存在。(自分も含めて)でも、その輪に入って来る人もいないワケではない。

ただ、結成してデビューして五年の歳月が経つワケだ。これから必要になって来るのが間口をもっと広げて輪の外にいるRGRに興味が薄い層を呼び込むかが重要なウエイトになる。それは、彼女達三人の外へのアピールがもっと必要だし、運営サイドのOTONA達もそうだ。(寧ろ、OTONAがやるんだよ……)

やっているのだろうが、どうもそいつを感じにくいのが所々見受けられる。その興味が薄い、無い人達を呼び込む為には、ある程度の仕掛けだったり情報を出さないと来てはもらえない。それは話題性だったり強烈なモノでファンをも巻き込むほどに。今のRun Girls, Run!はそういう立ち位置に置かれているのだと。それは、ファンの人達にも言えるかもしれない。(俺も出来てるとはとても言えない……)


 座したままじゃこのまま死ぬってのは、彼女達が最も痛感しているだろう。
んな事は、俺如きが上から目線で言われたか無いだろうし、あの三人なら五周年LIVEの晴れ舞台できっちりと魅せ付けてくれる。彼女達が配信後のツイートに綴った意気込みは偽らざる本気の想いなのだと。

 

 

 

 


 
 前述でちょいと触れたが、今回の開催地になってる仙台・大阪・東京は、中止になってしまった三周年LIVEと(会場が違う所はあるが)同じ地での開催。これはリベンジでもあり、ここから未来の刻へ駆け上がっていく為に必要な儀式なのかもしれない。

 


このLIVEが無事最後まで完走出来なきゃ意味がないし未来も拓けないのだと。

 

 

 

 

 

アイプラ楽曲ライナーノーツ #2 IDOLY PRIDE

 



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 IDOLY PRIDE/星見プロダクション 

 

 TVアニメ版のOP楽曲であり、アプリゲームのタイトル画面でも流れているプロジェクト名を冠した楽曲。原初の楽曲となっている『Shine Purity〜輝きの純度〜』とはガラリと趣きが変わって、こちらの楽曲は、オーソドックスで王道的なアイドルポップスに仕上がっている。

『Shine Purity〜輝きの純度〜』がこの作品における『アンセムとするならば、プロジェクトの名をそのまま冠しているこの楽曲は、象徴という意味での『アイコン』と称する楽曲ではないだろうか。


 自分の解釈としてこの楽曲は、原初の楽曲となる『Shine Purity〜輝きの純度〜』の続編にあたる系譜だと考える。Shine Purityのジャケットに描かれている琴乃とさくらの間に僅かに光が差す構図になっていて、Shine Purityでは不安や苦悩を抱えながらも光差す方へと目指す世界観。『IDOLY PRIDE』(楽曲)では、その差し込んだ光に踏み出した後の世界観を描写している様に思う。



 ねえ 約束だよ かけがえのないステージを


 ―星見プロダクション 『IDOLY PRIDE』より引用



 頭サビで始まって、アニメのOPでは10人がステージで歌い踊る模様が描かれている。詞にある『かけがえのないステージ』というのが光差す向こう側の景色。そのステージで十人十色のPRIDEを貫いて魅せ付ける……

単に明朗なアイドルポップではなく、この作品で盛りこまれている『陰』の部分でもある生々しい感情や叩き上げの魂的なモノも、オープンではないにしろ感じられるのもこの楽曲が持つ魅力であり、その要素も作品全体が持つPRIDEを象徴させている様にも思えて来る。曲調やMVが醸し出すポップな雰囲気とのギャップがまた良い。



 メロディのテンポが早すぎる事もなければ遅すぎる事も無い軽快で絶妙なバランスは、同時に聴き心地の良さをもたらしている。それは、歌う星見プロのキャラクター達が醸し出している初々しさと清廉さというインプレッションへと結びついて、物語がこれから始まっていくという高揚感と期待感を抱く。ライブでの披露においても、この楽曲が果たす役割は非常に大きくマストになる楽曲だと思う。