巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

異端者による 『Wake Up,Girls!新章』独自考察【人物編6~白木徹編】

今回の記事を書き殴るのにあたって、予めお断り致しますが…
人物編の独自考察でありながら今回は考察にならない可能性が多分にあります。

(いつもの事じゃねぇかという指摘はごもっともですがww)

前回記事に書いた早坂さんと同様に、今回扱う白木徹という男もまたWUGの物語における『ブラックボックス』と称していい存在だからであります。
物語を経ていくごとに深みを増していく彼の魅力を自分の解釈で紐解いていきたいと思う。

 

 

 

 

"情"深いが故の"非情"と揺るがない"信念"

 


白木徹という人物を一言で称するなら『非情』という語句が最適で最も相応しいと思える。

『人間である前にアイドルである』と言う信念を持ち、そこに個の人間としての感情は不要とされ、そして、軍隊の様な強固な戒律でグループを束ねている。それに従えない者は例え優秀な者でも容赦なく斬り捨てる事の出来る非情さを持ち、I-1センターであった島田真夢も例外ではありませんでした。I-1メンバーに個の人間としての感情を捨て去る事を課すとともに彼自身も冷徹な佇まいを見せる。

しかし、彼の過去を知る丹下さんからは、アイドル好きというだけでさしたるとりえがない男だが情熱は並ならぬモノがあったと称されており、昔の彼は非情・冷徹一辺倒という人物ではなかったとも言えます。


そして、白木さんの信念の根幹を成していると思われるのはアイドルとエンターテイメントショーの持つ力の可能性と強さではないでしょうか。
I-1のCDセールスミリオン記録が途切れた時には普段の冷静さをかなぐり捨てて激昂し奮起を訴えるなど激情的な面を覗かせた。おそらくこの時に覗かせた彼の激情=情熱が彼本来の性質なのかと思える。

彼が旧章の最終話で描かれたアイドルの祭典のスピーチで語っていた彼なりのエンターテイメントショーの真髄……普通は、平穏な刻にショーを開催する考えが一般論でしょうが、白木さんが信じているのは平穏の象徴であるエンターテイメントショーを如何なる事があっても続け、途絶えさせない事で人々に希望を与える。

そのエンターテイメントショーを支えるとされるのが希望の象徴となるアイドルの存在。彼の中においては最も神聖で尊い存在である事を頑なに追い求めている様に思えるのです。I-1clubが最も大事な存在なのは改めて書く事ではないが、白木さんはアイドルという存在自体にその希望の光を見出していてどのアイドルも大好きなのではないでしょうか。

アイドルの祭典を催したのもI-1のライバルと成り得る存在を見い出すだけじゃなく、それぞれのアイドルが最も輝ける想いと魂を解き放てる闘いのステージを設けてやる事が白木さんの秘められていた想いだったのではと自分は思えてならないのであります。


で…コレはどうなのかとも思えなくないが、俺の中で彼を紐解くのに重要な要素でもあるので書かせてもらう。

I-1のメンバーは大人数で構成されているので統括する意味合いもあるのだろうがメンバーに番号が各自振り分けられている。白木さんが個人で会う際はどう呼称しているのかは不明ですがメンバーの名前では呼んでいないんですよね。私見の域ですが、人数が多すぎるのも要因だがおそらくは彼は全員の名をきっちりと覚えている。それでもあえて呼ばないのは白木さんの中での線引きもある。

だが、俺が勝手に思っているのは、普段から名前で呼ぶと"情"が移ってしまうと…白木さんは思っているのかもしれない。

かつて彼のプロデュースした『セイント40』に所属していた丹下さん曰く『当時の自分達は我侭にやり過ぎた』と白木さんとの対話で語った。白木さんもまた大事に保管していたアイドル時代の写真を渡し、終焉の花道を用意できなかった事を詫びWUGへの助言を与えた。だが……現在の白木さんは昔のやり方では売れ続ける事は出来ないと考え"情"を圧し込め徹底的に管理・統制する"非情"の軌跡を歩む。

だが、かつて叛意を翻した真夢に一対一で会う為に僅かだが時間を割いたり、上述での丹下さんとの対話での接し方。そして最たるのがI-1を去る決断を下した岩崎志保にネクストストームの全権を餞別代りとして与えた事。彼女に対しては博多シアター閉鎖の件での身の振り方を考えさせる猶予の刻を与えている。

白木さんは"情"を圧し込め数多のモノを犠牲にして来たが、自分と関わりあった人達との『縁』は捨てきれずに大事に彼の心の奥底に潜ませているのではないだろうか。

 

 

 

相容れる事の無い二つの信念

 

 

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彼を語っていくにあたり、避けてはいけない人物である"彼女"島田真夢の存在。
劇中にてWUGの存在がI-1に知れ渡った頃、WUGを過小評価しなかった人物が二人いました。(あくまでも俺の勝手な見立てだが…)一人は真夢の最大の宿敵である岩崎志保。そしてもう一人が白木徹。

二人がそう感じたのは真夢がWUGに在籍している事。ただそれだけですが間近で競い合い研鑽して来たからこそ志保は感じた真夢の強さを誰よりも痛感している。
長い事エンターテイメントの業界に身を置いていた白木さんにとって真夢の存在というのはおそらく彼の抱き追い求めていた"理想のアイドル"そのものであったと思います。そして彼はI-1のセンターという重責を彼女に託した。彼女ならI-1を遥か高みへと導ける者と信じて。袂を分かつ形にはなったが、未だに白木さんの中における"真のセンター"="理想のアイドル"と称するに相応しいのは島田真夢唯一人なのでしょう。

ですが、彼の抱いている個の感情を排斥し役割(アイドル)を全うすべきという信念と、真夢の抱いている個の感情を重んじながらも役割(アイドル)を全うする信念は互いに歩み寄る事はなかった。

どちらの信念も正解じゃないが間違いでもない。かつては白木さんも真夢と同様な信念を抱いていたと思われます。だがその信念では売れ続ける事は叶わず誰も幸せにはなれなかった。

白木さんも真夢も見ているモノ=人の心の光を信じる事は同じ事の様に自分は思います。やり方や歩む軌跡は違えども互いに自分の信じた信念を貫く。
相容れない存在は即座に斬り捨ててきた白木さんだが、島田真夢という存在に対してはそうシンプルに割り切れない特別無二な感情が渦巻いて、もしかすると違えた軌跡が再び交わる刻≒真夢と同じ軌跡を歩む刻を彼は心の片隅で信じているのではないだろうかと思えなくもない。

 

 

 

人の心の光が見せた"答え"

 

 

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長期的な人気低落傾向をなかなか食い止められず、地方シアターの閉鎖・統合と言った施策を進めている。それは人材面においても断行されました。
メンバーを束ねるキャプテンを黎明期より務めていた近藤麻衣を外して後任に吉川愛を据えた。そして、博多から岩崎志保を急遽招集して新たな選抜メンバーを軸としたユニットを結成し時勢の波の舵取りを目指した。

そんな折、彼の後ろ盾となっていた『達磨の翁』(この表記は俺が勝手に付けたものです)がマキナXへの出資している事を白木さんは知ります。
更には、I-1の東京ドーム公演で新ユニットのセンターが決定する流れとなりましたが、そのプレゼンターにマキナXの出演も『達磨の翁』の意向によって告げられる。

勿論、コレは自分の庭を土足にて荒らし回るあってはならない行為。当然ながら白木さんの腸は煮えくり返っているでしょうが迂闊に叛意を示す事も出来ない。
彼が唯一の望み≒叛意の狼煙としたのは…早坂さんから提案された"ちょっとした悪戯"の提案だったのではないでしょうか。WUGが発起し呼応し決起して各地のアイドルが繋がったWake Up, Idols!は人々に心の光を灯す。白木さんがアイドルの祭典を立ち上げた理念だと思われるアイドル達の想いと魂を解放した闘いの場がクリスマスイブの刻で再現された。

その模様は東京ドームのI-1も同様で映し出されたWUG、ネクストストーム、なまはげーず……各地のアイドル達が『Polaris』を合唱する姿を見て、絶望の淵に立たされた鈴木萌歌に『心の光』を灯させた。

あってはならないアクシデント≒悪戯だが、白木さんは失った王座を取り戻す闘いに挑む"答え"としてアイドルの祭典を復活させる事を宣言しました。
それは、時勢の波に容易く呑み込まれない確固たる希望の象徴である存在を勝ち取る戦いであり、エンターテイメントに寄り添う理想のアイドルであり続ける事でもあると思います。

自らの信念とは相容れなかった存在の真夢が彼に見せた『心の光』が白木さんにこの決意を導かせたと自分は思えてなりません。

 

 

 

 と、言う事で……WUG新章人物独自考察白木徹編でした。

当然ながら、この記事で彼の全てを書ききったとは言えないですが…単なる冷淡で非情な人物ではなく、情が深い情熱的な人間くさい人物である様に思えなくもありません。
アイドル達だけでなく回りの大人達にも焦点を当て決して万能ではない大人の生々しい描写は、Wake Up,Girls!の物語にまた魅力を加味させる要素だと思います。


さて…グダグダと続けてまいりましたWUG新章独自考察シリーズも次回で最終回。
Wake Up,Girls!』七人の新章の物語です。

七人の個性=7 Sensesが新章での彼女達の物語を紐解いていくキーワードであると思えます。
その辺りの考察をきっちり書き殴ればと思っておりますので、次回も読んで下されれば幸いであります。

 

今回も暴論による駄文を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。