巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

異端者による 『Wake Up,Girls!新章』独自考察【人物編5~早坂相編】

 絶賛放置状態になっておる、異端者による『Wake Up,Girls!新章』独自考察シリーズ。
当初の予定では、昨年末にギリギリ全部書き上げれる見積もりだったのですが、予想外の出来事が色々重なってそれに関しての記事を書いてしまって現在、この有様であります……

そして、この独自考察シリーズもそろそろクライマックス。残り二回でラストを迎える事となります。


今回取り上げる人物は、WUGの物語におけるブラックボックス的な存在と自分が思っている人物である、早坂相。彼の根幹を成すモノや彼の『新章』の物語を色々と考えてみたいと思います。

毎度の如く個人の思考に過ぎませんが、ぜひお時間が許せばお付き合い頂ければ幸いです。

 

 


トリックスターが抱いた未知の存在への興味

 

 

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様々な意味のあるこの語句ですが、その中の一つの意味としてある『物語を引っ掻き回す役割』という捉え方をした際に自分の勝手な印象ですがこの"トリックスター"という語句が相応しいと思った次第であります。それを踏まえて彼の人となりと物語との関わり方を紐解いていこうと思う。


彼の行動理念というか一つの指針となっているのが、自身が面白いと感じ刺激を受ける存在に関わる事。I-1お抱えのサウンドプロデューサとしてI-1隆盛の礎を築くがもうインスパイアされるモノは無いと言い放ち、仙台で見たWUGに興味を抱き条件付き(WUGへの全権を自分に預ける=口出しさせない)で無償で彼女らのプロデュースを提案。彼にとって、強者≒I-1が当たり前に勝つ世界というのは面白くはなく刺激が無い。

おそらくはこのままの状況が続くのなら自分が腐っていく≒慣習化されてただ楽曲を創るだけの存在になってしまう事を思っていたのかもしれない。そんな時に訪れた仙台で見たWUGの荒削りで未完成なモノに何か惹かれるモノを直感的に感じ取ったのだろう。

その物語を引っ掻き回す役割だが、彼が林田藍里の表現者としての意識の薄さと技量不足による脱退勧告をし、他のメンバーにも藍里を斬り捨てるか全員解雇されるかの選択を迫った。

意識の薄さや技量が劣る者を即座に斬り捨てる手法はI-1が行っているやり方である。
枠が自分で見えないうちは壊す事が出来ない。早坂さんは自分は石を投じただけと言っていた。外から枠を壊す役を彼が請け負い彼女達がI-1と同じ道を選択するのか?逆に藍里を生かす選択をとるのか?結果として彼女達は藍里を連れ戻す選択をしたわけだが、もし残りの六人が藍里をあっさりと斬る選択をしていたら早坂さんはメンバーをクビにせずにWUGのプロデュースから身を退いたのでは…と暴論の域ではありますが自分には思えてならないのです。

 

何故なら…誰かを斬り捨てるという決断は、早坂さんの傷であり未だ癒えていない傷痕ではないだろうかと……

 

 

 

傷と傷痕に向き合う独りの男

 

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新章では早坂さんの過去が明らかになりました。若かりし頃『Task'ill』というバンドに所属していて人気もあったが1stアルバムが発売中止となり電撃解散したと作中では描写されている。

推測の域だが、メンバーの書いた歌詞を破り捨てる場面があった事から彼の求めているモノに対してメンバーが成果として応えられなかった。勿論それだけの問題ではないだろうしそこ(解散)に至るまでに様々な要因が積み重なったのでしょうが……『用済み』と言い放ち結論としては早坂さんの方からメンバーを斬り捨てる選択を当時決断したのでしょう。

ですが、それは早坂さんが負った傷であり未だ癒えていない傷痕となって彼の中で疼いておりました。

元々の彼の性質がどうだったのかは伺い知る所ではないのですが、何でも高い次元でこなせてしまえる事から彼は他人をあまり信用していない節が見受けられる。
『Task'ill』の全ての楽曲もおそらく早坂さんが作詞と作曲を手掛けていたのでしょう。

ですが、アルバムをリリースするにあたって作詞をメンバーに託した。早坂さんにとってこの決断は変わろうとする想いを秘めたモノだったのではないかと思えたのですが…結果として上述に書いた彼の思うようなモノが出来上がらなかった。愛想を尽かしたというよりは自分とは同じ軌跡を今後歩めない悲哀の念の方が強い様に思えるのであります。

 

 

人を超えた者と人で在り続ける者に見た可能性

 

早坂さんの新章の物語とは、完璧な存在の象徴として描かれたマキナXと不完全な存在の象徴であるWake Up,Girls!との対極な存在への関わり合い。

I-1とはまた違う完璧な次世代のアイドルであるマキナXへの楽曲提供。人ならざる者と自分の楽曲がどの様な状態変化をもたらすのか?単純にマキナXの存在は早坂さんの好奇心を擽り刺激を受けたのは間違いないと思えます。楽曲が完成しマキナが歌い踊り最先端のテクノロジーと稀代の天才が創った楽曲に多くの人々が酔いしれ熱狂した。

依頼主であるハインライン社もパーフェクトと絶賛するが
当の早坂さんは自分の想像を超える成果をマキナXからは得られなかった。言い変えるなら可能性≒心の光が見出せなかった様に思えます。

そしてほぼ同時期にグリーンリーヴスより、WUGの1stアルバムに楽曲提供依頼のオファーが舞い込んできます。(I-1からも依頼されていたがあちらの方は完全にスルーしていた様だ…)
彼の中ではその頃マキナXの方に興味を惹かれていたのか、WUGへの楽曲提供は乗り気ではなかったようですが…楽曲のデータを送信しある言伝をしました。
歌詞はWUGの七人が書く事。そして万が一、曲に相応しい詞が書けたならこの楽曲は好きにしていいと。

自分の楽曲に他人の手が関わる事を彼はあの日『Task'ill』終焉の刻から拒んでいた。WUGに作詞を委ねたのはもう一度何かを変えたい想いと覚悟、彼にとっての未知の領域への挑戦である様に思えてならない。

彼女達は書いた詞を何度も突っ返されながらも諦める事無く詞を書き続け彼に送り続けた。早坂さん自身もWUGならば自身の求めているモノを示してくれるだろうという期待があったのかもしれない。
結果、彼女達は早坂さんの納得出来る歌詞を書く事が出来て『Polaris』が完成した。

 

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及第点とは言っていたが、この時の早坂さんの何かを乗り越えた様な微笑みがまた何とも言えず良い。

 

 


信じていたのは人の可能性と心の光

 

『ただし人間の場合、一進一退して思惑通りには動かない。なのに彼女達は時に軽々とこちらの予想を超えてゆく。そこがたまらなく面白いとは思いませんか?』



最終話、白木さんとの対話での早坂さんの台詞。ここに彼の信じているモノと改めて気付かされたモノである『人の心の光』について語られていると自分は解釈しました。

窮地や限界を超えた時に発揮される予測不能な人間の底力。与えられた役割を完璧に近い高度なレベルでこなす事は出来るが
計算や予測では計る事の出来ない未知の可能性はテクノロジーにより造られたVドルには到達出来ない領域。

決着と時代を創っていくのは自分や白木さんでもなければ、達磨の翁やハインライン社でもない。現場にて本気の想いと魂を懸けて闘う者達が時代を動かしそれが歴史となると説く。

Polaris』を合唱する光景を回線に介入し白木さんに見せたのは彼が何かに囚われた現状を打破する切っ掛けと成り得るモノを掴み取って欲しかったのではないかと思えなくも無い。

 

『だってボクは君を照らすPolaris

 

WUGにとっての導きの光であった早坂さんの存在。でも、彼にとってWUGの存在もまた導きの光であったのではないだろうか。
そんな楽曲のメッセージと、WUGと早坂さんの関わり合いは決して無関係では無いと思うのです。

 

 

 

と、言う事で……独自考察・早坂相編でした。

正直、考察しきれたとは言い難いモノではありますが…現状ではコレが自分が書き殴れる限界領域であります。
彼の真意が今後余す所なく描かれる機があるのか、はたまた色々な解釈をさせようとあえて描ききらないのかは分かりません。
飄々として掴み所がなくしたたかであるが、それだけではなく一方では人の可能性を純然に信じている。その部分が人間味溢れていて魅力的な人物なのです。
自分が感じた魅力を上手く伝えられたかは分かりませんけども……

 

今回も暴論・妄想の駄文を読んで下さりありがとうございました。