巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

異端者による 『Wake Up,Girls!新章』独自考察【人物編7~Wake Up,Girls!編】

 異端者による『Wake Up,Girls!新章』独自考察シリーズ。
これまで【物語編】に【楽曲編】そして【人物編1~6】と書き殴ってまいりましたが…遂にラストを迎える事となりました。

 


ラストは勿論…彼女達七人。Wake Up,Girls!をお届け致します。

 

 

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彼女達七人の新章の物語を紐解く『キーワード』となるのが、OP楽曲の題にある7 Senses』(七つの感性・個性)です。それぞれの個性と向き合い、そして変遷していく七人の心情を色々と書き殴っていこうと思います。


毎度ではありますが、この独自考察は著者の暴論&妄想で書き殴っております。
是非お時間と興味が湧きましたらお付き合いいただければ幸いでございます。

 

 

 

 

 

七人でどう在るのか?から七つの"個"がどう在りたいのか?

 

 

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話は、新章の前日譚を描いた『エターナル・センシズ』に遡ります。
2015年アイドルの祭典で優勝の栄冠を勝ち取ったWUG。絶対王者として君臨していたI-1clubを真っ向から打ち破った唯一のアイドルとして仕事のオファーが殺到するにまで至りました。

このまま軌道に乗るかと思いきや、丹下社長は仕事を選ぶと言い放ち仕事を減らす方向へと修正してしまいました。松田さん曰く『金の亡者』と称される丹下社長らしからぬこの決断ですが、丹下社長は以前の東京進出と同じ徹を踏まんとする為の決断であり、七人に問いかけました。


『あんた達はどうしたいの?』と。


現状の七人の心持ちでまた東京で勝負出来るのか?七人は返す言葉を失いました。真夢は『道は一つじゃない』とは言いましたが、彼女も東京で成果を出す事の難しさを知っている人物。

そもそも、彼女達が掴んだアイドルの祭典での栄冠も元を辿ってしまえば、東京で苦闘しているWUGに早坂さんがエントリーを促した事が起因でもあった。
良く言えば無我夢中で一所懸命。悪く言えば時勢の流れに流される感があったWUGのここまでの軌跡を七人は思い返しこれからどう在りたい、在るべきなのかを話し合う。

そんな中で、仙台での冠番組わぐばん!』やファンクラブイベント、更には仙台凱旋ライブと…I-1に仕事を押さえられながらも地道にキャリアを重ねて内省し
『WUGがどう在るのか』と『それぞれの個がどう在りたいか』をおぼろげながら見い出し、新章では個でのプロモーションに重視を置き、それに伴う形で七人を共同生活させました。

それが確固たるモノに昇華したのが新章6話で描写されていたバスツアーを通じて直に感じたワグナーの情熱、アイドルとしてどう在るべきか、応援してくれるワグナーの情熱を裏切らない為に自分達に何が必要なのか?彼女達が導き出した答えが、ユニットとしても、そして個々がより強くなる事である様に思えてならない。

アイドルの祭典で優勝すれば、東京に行きさえすれば何かが変わると七人は信じて疑わなかった。ですが、地道な活動やアイドルの祭典の不参加を決断して七人は不変のモノの中にも大切にしたいモノ…想いを届け、届けられる相互循環の尊さ。多くの人達に応えられる為にはそれぞれの個がより強く光り輝く事が必要だと。

早坂さんから曲を託されて七人が作詞した集大成の楽曲『Polaris』にもその想いの相互循環が反映されていて『繋がりあい』『導き逢い』『輝きあう』事。

それが『Wake Up,Girls!新章』での七人の描写の核を担っていたテーマでもあるのだと思うのです。

 

 

 


七瀬佳乃の"新章"

 

 

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WUGとして活動する前はモデルとして活動していた佳乃。
『エターナル・センシズ』にて皆の出来る事を語り合った時に、彼女はモデルだと答えた事から、佳乃の中ではいずれかの刻が訪れたらモデルとして勝負したい野心を持ち続けているのではないでしょうか。新章では彼女にモデルとしての仕事が多く舞い込んで来ます。

モデルとしてまた高みに挑める機を得たと意気揚々と仕事に挑む佳乃ですが、彼女に求められたのはモデルとしてではなくアイドルとしての立ち振る舞い方だった。思い悩む暇もなくまた彼女にモデルとして水着グラビアの仕事が舞い込んで来ます。そして…この仕事が、佳乃にとってのアイドルの立ち振る舞い方を気付かせる切っ掛けにもなりました。

緊張に加えて野外の寒さもあったのか、身体が思うように動かずに佳乃は躓いて転んでしまう。ですが、その時の自然な表情がカメラマンには好印象を抱かせ撮った写真の彼女の表情は作ったモノじゃなく心底楽しんだ佳乃の真の笑顔。形式に囚われるのでなく不器用で不恰好でも構わない。ありのままの姿で全力を出し尽くす。これまでに佳乃が見せて来た『闘い方』を変わらずに貫く事を彼女に気付かせたと思います。


WUGのリーダーとして彼女は新章でも常に真っ向から挑む姿勢は貫き通して来ました。1話でこれまで彼女達が着てきた衣装が劣化して処分という事になった際に、佳乃はその衣装を用い、絆を繋ぐ為のシンボルとして七人分のシュシュを作ります。七人の軌跡と共に在った衣装に感謝と労いの念を込め…新たな形(シュシュ)でまた未来の軌跡を共に往く。

7 Senses』の一節にある『過去と未来つながってる場所』はこのシュシュへの比喩の様であり、『Polaris』でもお揃いのシュシュという箇所は佳乃のパートになっている事を考えるとシュシュは彼女のリーダーとしての想いが凝縮されたシンボルの様に思えなくもありません。

そして、9話では『たった15秒のCMを観た人全員ツアーに呼ぶつもりでやる』と力強い決意を見せます。
勿論、途方も無い雲を掴む様な話だが動かなければ何も変わらない。諦めて立ち止まってしまったら、七瀬佳乃がこれまで貫いてきた闘い方に嘘があった事になってしまうのではないだろうか。

その姿勢は誰に対しても変わらず『Polaris』歌詞執筆での丹下社長との締め切り期限引き延ばしの交渉であったり、隠し事をしてしまっている島田真夢への憤り…
彼女は真夢に言った。『頼りないかもしれないけど何でも話して欲しい』と。しかし、真夢は自分の事(岩崎志保の件)でメンバーに余計な心配をさせまいとして『うっかりしていて遅刻した』と嘘をついてしまった。

更には皆を繋ぐシンボルとして佳乃が劣化してしまい処分される衣装から作ったシュシュを真夢がこの時紛失してしまっていた。真夢の気持ちがWUGよりI-1側に傾倒して自分らの事を蔑ろにされた怒りと同時に湧いてきた悲しみの感情……ですが、歩達が真夢のシュシュを探し当た事、そして…志保はかつて誰も味方が居なかった過去の自分の姿だと涙ぐんだ真夢を見て彼女の抱えていたモノを慮れる心情になり得たのではないのでしょうか。

志保がI-1を去る瀬戸際に立たされた際には志保と会う様に真夢の背を押してあげた。但し、その場に佳乃が同席する事が条件で。真夢を信用していないワケじゃない。自分にも何か志保の力に微力ながら助けになれるのではないかという想い。そしてかつて彼女からの借り≒恩義を返す刻が来たと佳乃自身が思ったのかもしれない。

WUGが初めてアイドルの祭典に出場した際に佳乃は本番前に足首を負傷してしまいました。ですが、彼女の足に応急処置の手配をしたのが岩崎志保でした。志保にしてみれば直に闘うわけではなかったが真夢と雌雄を決したかっただけなのだろうが、佳乃にしてみたらステージに立つ事が出来たのは応急処置の手配をしてくれた志保のお陰であり、この件は佳乃の成長を描写していた様に思えます。

 

 

 


林田藍里の"新章"

 

 

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自分を変えたいとアイドルの世界に身を投じた彼女が、仙台に関わる仕事がしたいと言い、仙台と共に大きくなって何かを発信していくアイドルになりたいと力強く誓う。

かつてプロ意識の薄さを指摘された彼女がWUGの活動と共に軌跡を歩んで来た仲間達の存在が影響を与え、自分がどう在りたいのかに対しての藍里なりの『答え』が上述の言にある様に思える。

新章での彼女の個人活動は仙台を中心に描写されておりました。仙台の情報番組でコーナーを任されそつなくこなすものの、それは向こうから求められた振る舞い方ではなかった。

どうすれば求められた成果で応えられるのかを彼女なりに模索し辿り着いたのが、藍里のイメージアニマルである鮫の被り物を着けた『シャーク林田』というキャラクターでした。

共演者のリアクションは驚愕に包まれるが当の藍里本人はむしろこっちの方が落ち着くと言う。この思い切った決断と行動は自らの枠を打ち壊し道を切り拓いた原動力となった。藍里の成長を最も分かり易く伝えてくれるエピソードであったと思えます。

俺の勝手な藍里への印象ですが、彼女に魂を吹き込む永野愛理さんと同様にWUGにおける『扇の要』『鎹』(かすがい)と称する存在だと思っています。

皆への新しい伝達事項の手段として交換ノートを作ったり、ツアーファイナル仙台公演で初陣を迎え緊張の極みに慄くランガに御守り代わりとして自分のシュシュを差し出したり…遡れば、真夢と出逢った当時誰もが腫れ物に触れるかの様に彼女に接した中、藍里は一人の人間としてきっちりと向き合い接して来た。真夢の魂が完全に朽ちなかったのは藍里の存在が最大の要因にも思えるのです。藍里が直向きに変わろうと努力を重ねる姿を見て、真夢の奥底に燻っていた原初の想いを呼び覚まし魂に再び火を灯した。

そして、真夢は『Polaris』の核となる二人組みのダンスパートの相方を藍里に頼みました。他のメンバーもこの真夢の提案に、今の藍里なら務まると賛成してくれている。
難度の厳しいパートであったが、パートナーに選んでくれた真夢の期待と背中を押してくれた皆にも応えたい想いと持ち前の直向きさで修練に励み、その成果を見事に本番で発揮した……

少しずつ成長していって、彼女の直向きな努力が報われた場面が真夢とのダンスシーンには凝縮されていて、変わりたい想いと覚悟をもった一人の少女がその軌跡で見せて来た物語にどうしても胸が熱くなり、湧き立ち込み上げて来るモノを抑え切れない衝動を抱いてしまうのであります。

 

 

 


菊間夏夜の"新章"

 

 

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メンバー最年長であり、WUGのサブリーダーでもある夏夜。
生真面目で気持ちが先走りする傾向のある佳乃をサポートし、俯瞰でグループを見つつ本当に壊れそうになった窮地には率先して動き、逃げる時はちゃんと逃げる選択肢を選べる人物。

その背景にあるのが、真夢に匹敵する傷と傷痕を持っている事。育った地が震災で甚大な被害を被り夏夜は逃げる様に仙台にやって来たと回述している。
Polaris』での彼女のパート『君と見た景色さえ 黒く塗りつぶされて』は彼女の傷と傷痕を象徴している歌詞である様に思える。

おそらく、あのまま留まっていたら彼女の魂は壊れてしまったのではないだろうか。目を背けたくなる様な現実といつの日かまた闘う機会の為本能的に逃げの一手を選択したと思えるのであります。

そして…WUGが東京進出し苦闘している時も、夏夜は仙台に戻り再起を懸ける提案を持ちかけたがその魂の奥には挑戦し続ける事の意義と変わりたい想いが確固たるモノとして存在している人物でもあります。


その立ち位置的なのか彼女の内面に深く切り込んだ様な描写はこれまであまり多くは語れてませんでした。
新章では実波と共に食レポ系の仕事をこなしていく事になったのですが、共演者が煽った一言『アイドルは太ったら命取り』という発言に発奮して実波に負けない見事な食べっ振りで応える。

彼女のこの食べっ振りが好評価となり、食レポの仕事がより舞い込む様になり、3キロ太ってしまう事態に陥ってしまった。啖呵を切っていた手前、ウエイトコントロールに苦心していたが、それを逆手にとって個人でブログを開設して記録を兼ねたダイエット日記を書き綴る事を始めました。未夕にはアイドルがダイエット日記を書いても大丈夫なのかと心配されるが、逆にアイドルだからこそやってみる価値があると彼女は言う。
アイドルとして夏夜がやってみたいと語っていたのは、具体的な目標はまだ分からないが何でも気合いでチャレンジしてみせると。

 

負けっぱなしで黙っていられない 弱さが集まれば 強い光に変えてゆけるから


―菊間夏夜(CV:奥野香耶)『Into The Light』より引用


夏夜の飾らない在りのままの姿を見せていこうという姿勢が共同生活という空間にて他のメンバーに伝わり各々が枠を壊そうと動き始めた。
夏夜のとったこの行動が七人の個の光を更に輝かせる起因となったのは間違いの無い事だったのではないだろうか。

かつて、『頑張りたくても頑張れない人の為に何かを頑張る』と彼女は語った。
菊間夏夜の本質は『闘う者』。傷痕ときっちり向き合い『本気』で挑戦し続ける事が彼女の矜持であり上述の言葉の様に、頑張れない人の背を押せる存在になりたいという夏夜の誓いの言の様にも自分は思えてなりません。

 

 

 

 

岡本未夕の"新章"

 

 

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グループのムードメーカーの役割を担うコメディリリーフ的な未夕。
新章でもその役割はきっちりと受け継いでおり、それが顕著に表れていたのが12話においてのツアーファイナルの会場がまだ決まらず気乗りしないメンバーに激を入れる場面での描写でしょう。

私達(WUG)を見て復帰したなまはげーずに、こんな意気消沈した今のWUGを見たら笑われると一喝します。かなり強い語気で彼女が熱弁を振るうのは珍しくもありますが、でもそれこそが未夕の成長の証でもある様に思えます。全国ネットのトークバラエティに菜々美と共に出演したが出演箇所はカットされてしまい、更には共演したI-1の相沢菜野花との差を見せ付けられてしまった。

丹下社長曰くバラエティの商品としてのレベルに達していないと指摘される始末…全国区のバラエティ番組で苦闘したのは今回だけじゃなかった。東京進出した時もそうだった。勿論これは未夕と菜々美だけの問題ではなく彼女達もその課題は痛感しており、克服に取り組んでいた筈だったがまだ時期尚早だったのでしょう。

思い悩む未夕を焚き付ける機となったのが、共同生活で同室の夏夜の存在でした。
間近で本気で変わろうとしている人間がいれば自分も刺激される。
未夕が起こした行動は、トークスキルを鍛える為に動画配信番組を立ち上げることにしました。自分の好きな事をひたすらに語り尚且つ視聴者の評価をコメントでもらえる。

自分に決定打が無いという弱点は未夕自身理解していたが、それを克服していく具体案を何としても見つけようとする負けん気や行動力が今までの未夕に欠けていたと思われます。この動画配信のアイデアは未夕が自分で立案し松田さんを説き伏せて実現させました。


上述に書いた様に活動を再開したなまはげーずとの再会が未夕のターニングポイントとなります。彼女達に刺激を受け自身の配信番組に招待する。
これが切っ掛けとなり、全国各地のアイドルを巻き込んだ一大企画『Wake Up,Idols!』を提案し率先して各地のアイドルを企画に巻き込むことでVドルへの反撃の狼煙を上げる。

当初は彼女が自身の弱点克服の為だけに立ち上げた配信番組という小さな種だった。でも、その小さな種が芽吹き様々な想いの花が咲き誇り繋がっていった…
繋がる切っ掛けとなった"種"を蒔き、芽吹かせ花を咲かせた未夕は紛れも無い"主役"と称しても良いと自分は思えます。

 

 

 


久海菜々美の"新章"

 

 

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幼少期からの夢だった光塚歌劇団への想いを断ち切り、アイドルを極めると豪語する菜々美。
周囲が自らの枠を壊そうとそれぞれが模索する中、彼女は歌に携わる仕事にその活路を見い出します。丹下社長にその旨を伝えるとミュージカルのオーディションがある事を告げられる。

だが、菜々美は乗り気ではありませんでした。ミュージカル=光塚への想いを断ち切ってアイドルに懸ける確固たる決意が菜々美の中にあったからと思います。
丹下社長が言い放った言葉の真意だと思われるアイドルだからという枠に囚われず自分の思う道をひたすらに突き進めという事を汲み取ってオーディションに挑んだ。

道は一つじゃなく過去は無意味なモノじゃない。菜々美の過去を否定してしまったら彼女が夢に向かってこれまでに重ねた努力までも否定してしまい今の菜々美の存在をも否定してしまうと思えるのではないでしょうか。想いを抱き続ける事は決してマイナスの要因には成り得ない。自分を信じる力は努力を重ねた力に比例して菜々美が過去を肯定する事に繋がっていく。

結果は落選してしまいますが、演じる事と歌う事の楽しさを呼び起こし何時の刻かまたミュージカルへの道を挑む事を固く誓いました。
落選したものの菜々美の表情は何かを吹っ切った清々しい笑顔で満ちていました。


彼女を語る上で欠かす事の出来ない要素が、片山実波との関係でしょう。
年齢が近い事もあり、更にはウマが合うのか一緒に行動している描写がこの二人は多い。ですがその関係性にある変化が訪れました。

契機となったのは菜々美が歌のお姉さんのオーディションに合格した後の話。元気いっぱいの子供達に翻弄されまくるなど仕事面の苦労を実波にこぼし、実波が菜々美を慮ったつもりで言った『楽しそう』という言葉がストレスによる心的余裕が欠けていた菜々美の逆鱗に触れてしまいました。

勿論、実波に悪意は無いが(あったらあったで大変な事態だが……)言葉というモノは時として凶器にも成り得てしまう。しかしこの時の菜々美にそれを冷静に受け止められる余裕はなく、実波の食レポに対して
『食べてるだけで仕事になるなんて気楽で良い』と彼女も言葉の凶器を実波に放ってしまった。互いに言われたくない事はあって悪意は無くとも拗れてしまう事となる。

完全に非があるのは菜々美の方です。おそらく本格的な喧嘩をしたのはこの件が初めてなんじゃないかと思えます。仲間でもあるしライバルでもある存在。これまでとは違っていて今は共同生活をして密が増している状況で衝突が起きない方が不思議な話である。いずれは真夢と佳乃の様にぶつかり合う刻が必ず菜々美と実波にも訪れる。この衝突でこの二人の関係がぶっ壊れたらその程度の関係だった。

結果として、二人は互いに慮り合い仲直りして周囲を安心させつつも呆れさせていたが…菜々美にとって実波の存在は掛け替えの無い戦友でありライバルでもあると思えます。

 

 

 

片山実波の"新章"

 

 

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実波と言えば『食いしん坊』キャラであるというのは今更俺がこの場にて改めて書く事ではない。
彼女は東北の震災で被災し住んでいた家を失い避難生活を経て石巻仮設住宅に住んでいます。

実波が拘る『食』というのは『生きる』事と直結した行為です。避難生活では制限された食生活を送っていたでしょうから、実波にとって食という行為は生きている事を実感するとも考えられます。

一期の8話で実波は冷めてしまったパンケーキに対して『冷たくなってかわいそう』と嘆いていました。その食物が美味しく食べられる最高の状態できちんと食べてやる事が彼女なりの食への最大の敬意であり感謝の念と実波の生きがいである様に俺は思えてなりません。

で、引き続き新章でも実波は食レポの仕事に励みますが、伝家の宝刀である『うんめぇ~にゃ!』のインパクトが弱い事を共演者に指摘されてしまいます。
そんな彼女も枠を壊す為に辿り着いた答えが歌も大切だと考え、食べた感想をこぶしを利かせた民謡調で歌い上げ、最後に『うんめぇ~にゃ!』で締める新境地に開眼しベテランぞろいの共演者を感嘆させました。

新章での実波の描写で自分が腑に落ちないというか疑問が浮かんでしまうのが、12話でのツアーファイナルの会場に決まった仙台空港の敷地に赴いた実波の『何にも無いね~』という台詞でした。

この後に何か前向きな台詞を言うのかと思いましたが特にはなかった…辛い事があったとしてもあの時その辛い事を乗り越えられた自分がいると…続・劇場版の台詞にあった心根の強さを感じさせる言を言った彼女が何も言わなかった事の違和感がどうしても拭えないのです。その後で真夢が『何も無いから自由に出来る』と続けはしましたが、自分としては実波がこの様な旨の台詞を言って欲しかった様に思います。

 

 

 

 

島田真夢の"新章"

 

 

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真夢の新章での物語の核となるキーワードは『過去』であると思えます。
その高いレベルと元I-1センターと言う経歴が逆にソロでの活動を難しくしており、丹下社長も売り込みに苦慮している様子が描かれました。

真夢の脱退の真相を知らない存在が圧倒的に多いので『島田真夢』の存在は諸刃の刃でもあるワケです。真夢自身は吹っ切れているが背負ってしまった"呪縛"は彼女の『枷』になってしまっていたのです。

ようやく訪れた飛躍の刻は意外な形で真夢に訪れました。それは最大の宿敵である岩崎志保とのドラマ共演でした。収録を経て行く内に二人は役にどんどんのめり込んでいき、それは互いに抜け落ちてしまった刻を補完していく"儀式"の様にも思えなくも無い。彼女達にオファーしたプロデューサー曰く最初は話題作りとしてしか見なしていなかったが、真夢達の演技に魅せられ評価を改める事となり彼女達にオファーして正解だったと真夢達を高評価しました。元I-1の島田真夢としてはなく、一人の表現者としての島田真夢として起用側の求めた期待値以上の成果で見事に応えた。

正当で最高の評価を貰えた事は真夢の『闘い』が報われた瞬間だったと思えます。



I-1の博多シアター閉鎖に伴う形で所属する『ネクストストーム』が解散すると知った真夢はI-1のメンバーとしての誇りとネクストストームの絆の板挟みで思い悩む岩崎志保の心情に触れます。

WUGの全国ツアーが迫る中、彼女にかまけている暇はハッキリ言って無いが今の志保にかつて味方が誰もいないで孤立していたI-1時代の真夢自身の姿を重ねてしまいます。
そして…少しでも迷いがあるなら考えろと志保に言葉をかけます。それは真夢が迷う事すら許されなかったという経験から来るものであり何とか状況を打破しようと真夢は動きます。白木徹に直談判の機を得る為に。

情を重んじる真夢の信念と情を捨て去り役割を全うする白木さんの信念は相容れる事は無い。勿論説得は失敗に終わった。おそらく真夢も白木さんも志保の件はどうにもならない事は互いに分かっていた様に思えます。ですが、僅かな可能性を信じていた様にも思え互いに動いたのではとも思えます。

 

これまで出会った大事な人達、色んな気持ちをくれた人達、

遠くにいても繋がってる人たち、

誰かを照らす光になれるなんて、もっと、ずっと先の事だと思ってた

でも、本当は、いつだって、お互い照らし合って進んで来たんだ



島田真夢の『真』なる『夢』…白木徹が信じているモノ、早坂相が信じる人の可能性
表現はそれぞれに違うモノだが、その根幹を成す要素は『人の心の光』である様に思えます。

 

ひと粒の瞬きがボクを導いてく ココロから憧れた世界 満天の星空になる日まで


Wake Up,Girls!Polaris』より引用


ここのソロパートは島田真夢=吉岡茉祐さんが歌っている。
ひと粒の瞬きと~満点の星空が自分には『人の心の光』の比喩である様に思えてなりません。

 

 

 


繋がる心の光と限界を超えた者達

 

 

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仙台公演で最後の楽曲『Polaris』を披露している際に降雪による音響トラブルに見舞われ徐々に届かなくなる七人の歌声。
その窮地に際し七人は互いに視線を交わし想いを一つに統一し…


そして……七人は一斉に、ステージから客席へと飛び立つ!!!!!!!


一人でも多くの人へ届けたい本気の想い、絶対に諦めない魂の強さ…無尽蔵に湧き立つエネルギーが…七人の意識が繋ぎ一つになり本能が彼女達を跳ばせた。


『何度転んでももう諦めない。迷わない。みんなと一緒なら、きっと明るい方へ歩いて行けるから』


『自分の可能性』を信じて『未来』に向けてそれだけを『信じて』、ひたすらに真っ直ぐに、がむしゃらに生きていくしかない。
Wake Up,Girls!の七人だけじゃない。I-1clubが…ネクストストームが…Run Girls,Run!が…マキナXが…丹下社長と松田さんが…大田組の面々や…早坂さんに白木さん。誰もがそれぞれの闘い方でこの刻を生きている。誰の心にも宿っている心の光を信じて輝かせる為のように自分は思えるのであります。

 

 

 

 


と、いう事で独自考察『Wake Up,Girls!』編でした。
そして…異端者によるWake Up,Girls!新章独自考察シリーズも終了となります。

 


毎度の暴論による、乱文でしたが最後まで読んで下さってありがとうございました。