巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

輝きの中へ駆けて行けーRun Girls, Run!FINAL LIVE~新しい道の先へ~参戦レポ

 『Run Girls, Run!』の解散が発表されて、五周年LIVEの千秋楽にて発表されたFINAL LIVERun Girls, Run!FINAL LIVE~新しい道の先へ~』の開催決定の報。

 残された刻の中のどこかで、解散興行的なワンマンLIVEの開催があったり、餞的な新曲のリリースがあるのかな……という一縷の希望を抱いていたがそのどれもが叶わぬ夢物語となってしまった……

正直な話を曝してしまうが……前述した供給が無いっていうのは、推すという事のモチベーションが維持、もしくは上げづらいモノと捉えていた。ワンマンLIVEだったり楽曲リリースが一切無かったっていうのは、LIVEと楽曲の方を重視している身からすると本当に堪えた。自分のこんなスタイルは間違った応援の仕方なのかもというのは自覚しているので言い訳は出来ない。

 ただ……四年前に解散した直系の先輩グループである『Wake Up, Girls!』の様に終焉(解散)の瞬間に華々しい軌跡や餞となる楽曲を贈られるグループなんてほんの一握りしかいない。いろんな数字とか現実を突きつけられ、『お疲れさん』と肩叩かれてそのまま終わっていくグループの方がずっと多い。本当の終焉を見送れる刻と場を設けられたのはまだ救いがあるのかなと。

 そんな悶々とした心情を抱きつつ……その答えを探しに、俺は終焉の地である山野ホールへと向かった。



 ※ここからLIVEレポ的なヤツになりますが……昼公演のみの参戦&出涸らしの記憶から引っ張り出して書き殴っておりますので、抜け落ちや色々違った部分が多々出て来る為、話半分で読まれると幸いであり全て個人の所感です。

 

 


 境界を超えて繋がった魂。全ての始まりとなる『アンセム


 このFINAL LIVEのオープニングアクトとなったのが、RGRにとって原初の楽曲であり、共にここまでの軌跡を駆けて来た戦友と称しでもいい『アンセム』の系譜である『カケル×カケル』

終焉の刻と場で、この楽曲を初手で聴ける事……本当に感慨深くもあり、思えば、彼女達を直に観た最初のLIVEになった『Green Leaves Fes』で魅せた三人の叩き上げの魂と本気の想いに打ちのめされて惹かれて応援していこうと思った切っ掛けになった楽曲。

そして……RGRの三人にとって、掛け替えの無い『縁』と『絆』で繋がった“戦友”であるあの子達の想いと魂を連れて来たと勝手に思ってしまったのだ。

 この『カケル×カケル』という楽曲。RGRの三人のデビュー作となった『Wake Up, Girls!新章』のキャラクターソングという面のある楽曲。まあ……現実の楽曲と向こう側の楽曲との繋がりはナンセンスという声があるだろうが……自分の解釈ではきっちりとした繋がりを持つ楽曲という認識だったりしている。林鼓子森嶋優花厚木那奈美が初めて魂を共有して駆けてきた“戦友“である、速志歩、守島音芽、阿津木いつかへの巡り逢いの縁と絆を謳う楽曲。

歩・音芽・いつかの姿は、勿論あのステージにはいない。背面にあるスクリーンの映像にも流れていない。でも、林さん、森嶋さん、厚木さんの傍らにきっと寄り添っていたはず……


林鼓子の傍らには…速志歩の想いと魂が。

森嶋優花の傍らには…守島音芽の想いと魂が。

厚木那奈美の傍らには…阿津木いつかの想いと魂が共に在ったのだと。


 キャスト側とキャラクター側の境界は閉じられたままかもしれないが、想いと魂は共に寄り添ってこれまでの軌跡を共に駆けて来た様に思えるのです。当然かもしれないが、三人のパフォーマンスはこれまでの軌跡を駆けて来た中で、強く、洗練されたモノに進化を遂げている。でも、彼女達の内に秘めて滾る叩き上げの魂は変わっちゃいなかった。

 ここまで、双方との繋がりを感じさせ、このアクトのエモーショナルな感情を揺さぶった答えが…入場して、客席へ繋がる廊下に飾られたある一基のフラワースタンドにある。

 

 貼り付けたツイートの写真の一番手前にあるスタンドの名義にある七人の名。
まゆあいりみなみよしのななみかやみゆ。WUGのメンバーだった、吉岡茉祐さん永野愛理さん田中美海さん青山吉能さん山下七海さん奧野香耶さん高木美佑さんからの贈り物だと言う。(久々にこの七人全員の名前を打ち込んだな……)

で……記載されている名が、フルネームではなく、名前のかな読みとなっているのには七人の粋な計らいと想いが込められていたからなのだと。


※コレについて言及されている方がいらっしゃったので、そのコメントから引用させていただきます。


 WUGとRGRとの繋がりは、共演を果たしたWUG新章からのモノ。現実と同様に、作中でも、RGRはWUGの直系の後輩という立ち位置にいる存在。細かい事を書いていくとクソ長くなってしまうので簡潔に書いておくが…作中の方のWUGメンバーの名前の読みは、キャスト側と同じ読み方になっている。真夢=茉祐(まゆ)、藍里=愛理(あいり)という具合に。ちなみにRGRメンバーの方は苗字の読みがキャスト側と一緒のモノになってる。(双方共に漢字は違う)

だから、あの場に贈られた花は……吉岡茉祐であると同時に島田真夢でもあり、永野愛理であると同時に林田藍里でもあり、田中美海であると同時に片山実波でもあり、青山吉能であると同時に七瀬佳乃でもあり、山下七海であると同時に久海菜々美でもあり、奧野香耶であると同時に菊間夏夜でもあり、高木美佑であると同時に岡本未夕から……RGRの林鼓子と速志歩へ、森嶋優花と守島音芽へ、厚木那奈美と阿津木いつかへと贈られた新たな門出を祝う想いだったのだと。この刻において、今のRGRの心情に一番寄り添えたのは同じ経験を経たあの十四人なのだ。

 ここから未来の刻へ駆け出していく為に……絶対に駆ける事を止めないという『Run Girls, Run!』のアイデンティティを示す為、そして…キャストとキャラのRGRとしての最後の戦いを完遂する為の『アンセム』として、この楽曲を開幕の火付けの楽曲として選んだ。そこに、三年の刻を経てようやく還って来た観客の歓声というバフが加わる。最後の戦いで全てが揃ったワケだ。イントロが響いた瞬間、もう何もかも忘れて全身全霊で楽しめる刻が確約されたも同然。あとは身を任せるだけだと。

 そんな楽曲と彼女達のパフォーマンスが弱いワケがなかった。それだけの説得力をRGRはここまでの軌跡でこの楽曲に血を流せて共に戦って来た賜物。RGRの『アンセム・オブ・アンセム』としての強さを遺憾なく発揮していた。言わずもがな、こちらの魂にきっちりと火を点けさせて血を滾らせてもらえた。オープニングアクトとしてはこれ以上無いモノだった。

 

 


 Run Girls, Run!らしさを貫いた謳のチカラ


 FINAL LIVEという事もあって、このLIVEのセットリスト構成は持ち曲のほとんどを謳い尽くすという三人の偽りの無い伝えたい想いと魂を存分に感じさせられた。

昔からこの終焉の刻まで応援し続けた人、刻と機が空いていた人、RGRに惹かれて間もない人……彼女達は数多の想いと魂を感じられて『誰も置いてけぼりにしないLIVEにする!!!』という強い想いを込めてセットリストを作ったのだろう。(そこから感じるインプレッションはRGRに惹かれたタイミングで人それぞれ違ったモノになっているので何とも言い難いが……)おそらく、RGRのLIVEでは最多になる楽曲を披露したんじゃないかと思う。

 彼女達がこの六年の刻で巡り逢った楽曲は実に多彩だ。叩き上げの魂と滾る血と情熱を謳う『アンセム』の系譜。RGR楽曲の代名詞と評しても過言じゃない『プリチャンOP楽曲』の系譜。楽曲ごとに魅せる表情が可変していく『タイアップ楽曲』の系譜。メンバーの個のチカラを遺憾なく魅せ付けられる『ソロ楽曲』の系譜。RGRとしての表現力を飛躍的に上昇させ、キラーチューンの域まで進化を遂げた『四季シリーズ』の系譜……

どの楽曲も本当に強い楽曲なのは、今更俺の口から言っても何の説得力は無いし周知の事実。リリースされた時点で完成されているのだけれど、それだけでは数多の人の魂の奥に響かせるまでに至らない。林さん、森嶋さん、厚木さんが、ちゃんと楽曲と向き合って魂で対話して血を流したからこれらの楽曲がもっと強くなっていった。


そう、楽曲もまたRGRと共に駆け続けて来たんだ。色褪せるワケが無い。

 

 


 逆境に抗い、戦い続けた者達の意地と『我』の開放


 林さん、森嶋さん、厚木さんがRGRとして駆けて来た六年の軌跡。過去にもこの怪文書Blogで書いたと思うが、彼女達の軌跡は逆境という荒れ放題の軌跡を駆けて来たと言っても過言じゃなかった。そんな中でも、三人は自分の弱さをちゃんと受け入れて向き合って戦って来た。止まって駆ける事を諦めたら死ぬという事を三人は充分過ぎる程に痛感されていたのだと。

RGRはいつだって目の前に大きな壁を用意され、我々の想像も及ばない所で歯を食いしばりながら、時に乗り越え、時にブチ壊しながら駆けて来たのだと。
 
それでも、戦い続けて挑み続けても、それが全部報われるとは限らない。実際、彼女達の戦いは世報わなくて世に認めてもらえなかった。爆売れ出来なかった。願って立ちたいと約束の地に定めた日本武道館ワンマンLIVEの夢も叶えられなかった。無礼は承知で言ってしまうが、売れる事=勝ち、売れなかった=負けという勝手なジャッジを下すとRGRは敗者なのだろう……悔しくないワケがない。

それでも諦めきれないモノが彼女達の魂にある。今という刻を確かに生きていたという楔を撃ち込んでやる!!!という意地と生き様をこのFINAL LIVEというRGR終焉の刻で彼女達は魅せ付けた。

 RGRの謳の根幹を担っていると称しても過言ではない、林さんの血の流れる魂の絶唱
彼女の歌唱力の凄さというのは、この怪文書Blogでも散々書いたし、直に絶唱を浴びた多くの人にとっては解説の必要はないだろう。特に、歌声そのものの張りや伸びは尋常なモノではないモノを元々持っていたが、このFINAL LIVEでは更に凄い領域へと昇華されていた。

途中、マイク放り投げて生の声で歌い出すんじゃないかって位なテンションと、林さんが放つオーラは声そのもので会場全体捻じ伏せんばかりの気魄が漲っていたんだ。そんな彼女の血が流れる魂の絶唱に、何度も鳥肌が立って治まらなかったし血が滾って熱狂させられるエネルギーを『謳』で我々の魂に直接叩き込んで来た彼女のチカラは途方も無いモノだったんだと……今もなお鮮明に思い出される。大袈裟かもしれないが、あの刻の彼女の絶唱は神懸った領域に昇華していた。

 RGRのパフォーマンスの中枢を担っているのが、リーダーである森嶋さん。
彼女が持つ徹底されて洗練された表現のロジックと、それを確実に成功させる為の入念な準備は、森嶋さんが表現者として生きていく上での最大の武器だと勝手に思っている。勿論、このFINAL LIVEでも遺憾なく発揮されていたのではないだろうか。

中枢と評した様に、森嶋さんの立ち振る舞いと存在感がRGR全体のパフォーマンスの核になっている。林さんと厚木さんがより引き立つ様に一歩引く所はきっちり引けるし、当然ながら自分がここだと嗅ぎ取った魅せ場では確実にモノにしていく。彼女がステージにいるという事だけで、林さんと厚木さんは思う存分パフォーマンスに集中出来て、活き活きと躍動されているのかと改めて思い知らされる。

魅せ方の拘りやパフォーマンスの質は初めて見た頃からもの凄い進化を遂げているのだけど、何と言っても、本当に心底楽しんでパフォーマンスをしているのがもの凄く伝わって来るのは、初めて彼女を見た2017年のお披露目の頃から何ら変わっちゃいなかった。やっぱり、貴女はファンタジスタだった。

 そして、この日も……RGRのNana様=厚木さんに最初から最後まで見惚れてしまっていた。
流麗かつキレのあるダンスに目を奪われるのは相変わらずなんだが、そいつに加えて厚木さんが創造していく魅惑と魔性の領域は、(いい意味で)非常にタチが悪いってのもこれまた変わらず……人が惹かれたり、惑わされたり、魅了されるであろう数多の要素が、厚木さんのパフォーマンスから感じさせられたと言っても過言じゃなかった。静と動のメリハリが効きまくって痺れた。

可愛らしかったし、凛とした格好良さもあり、流麗かつ優雅な立ち振る舞いに艶っぽさ、そして、何よりも、メチャクチャ綺麗だった……彼女が持つあらゆるモノであの場を制圧に来ていた。

書いていてアレだが…自分でも何書いてるのか分からんし、読んでいる人もコイツ何書いてやがると思われるだろうが、あの刻と場で躍動する厚木那奈美を称賛する最適で最高な言葉が俺の中には存在していなかった……魔性の女(←褒めてる)の真骨頂と評すべきか。


 自分もその中の一人だが、RGRの三人のパフォーマンスの凄さを知っているのは、あの場に参戦された人や配信でこのLIVEを観られた人、とにかく『Run Girls, Run!』に惹かれた人なら周知の事実。

だが、一番理解…いや痛感されているのは、出逢ってから最期の刻まで共に寄り添って軌跡を駆けて来た当の彼女達自身ではないだろうか。戦友でもあるけれど、最も凄い所を知る強大な敵(ライバル)でもあった。三人のパフォーマンスを直で見ていて(勝手に)感じていたのは、彼女達から何か漲る剥き出しで野性的な執念めいたモノ。あのステージで彼女達は互いに戦いを挑んでいたんじゃないかって。

この領域まで踏み込んで来れるのか?なら、こっちはそれ以上のモノを魅せ付けてやるからと、互いが限界を超えようと最初から最後まで全力のハイスピードで駆けていた。行きつく所まで行くしかないと。彼女達も、どこまで限界領域の先まで踏み込めるのかをただ知りたかったのかもしれない。互いに信頼もしていただろう。この子ならきっと応えてくれると。


 譲れない三者三様の想いと魂。それぞれにしか出せない唯一無二の輝き、貫いた信念と意地、未来の刻への誓いと希望……あのステージには全てがあった。

 

 

 

 最期の刻で血が流れた真の『アンセム


 詳細な言葉は忘れてしまったし確証も無いが……最後の楽曲披露の前にこう言っていたと思う。


 最後の曲になります……『ランガリング・シンガソング!!!』

 
 その言葉と楽曲名を聞いた瞬間、俺の中の何かのスイッチが音を立てて外れた。
それは、理性というストッパー。その瞬間に血が滾ってEXTRA BOOST MODEが発動する。ようやく、あのパートで全身全霊懸けて思いっきり吠えられる。おそらく、血が滾っていたのは俺だけじゃない。ランナー諸氏もそうだろうし、何よりも謳うRGRの三人も同様な想いを抱いていただろう。このFINALで一番聴きたかった楽曲でもあるから。

人類の歴史に残るであろう忌まわしい感染症によって、これまで披露はされたが観客の声は届けられなかった。でも、RGR最期の刻と場ではようやく声出しが解禁された。この楽曲は勝ち残って生き延びる為に彼女達がココロから引き抜いた『剣』。綻び、折れかけた事は数え切れないが、彼女達は熱を与えて叩きまくって鍛え上げた。ユニットの愛称が付けられた彼女達だけの彼女達による楽曲をより強くしようという気持ち。


 林鼓子の伸びやかで張りがある力強い絶唱


 森嶋優花の溌剌で低音域に秘められた凛とした歌声。


 厚木那奈美の繊細ながらも芯がきっちりされた柔和な歌声による三者三様の個の力。

 
まさに『Run Girls, Run!』の為だけに作られた楽曲。誰の為でもない、まごう事無く純然にRGRを輝かせる為のアンセム。謳う者に相応しい楽曲と、楽曲に相応しい謳う者。それがきっちりと一部の隙間なく揃った。そんな偽り無い本気の想いが詰まった楽曲が弱いワケがない『戦いの謳』

綺麗に締め括る為じゃない。ここから突き進む為に覚悟を持って肚を括った。
闘う準備は出来ている。過去から今、そして未来の刻に……全ての縁と時間軸に意味を持たせて止まらずに駆けるだけ。彼女達の眸は前を見据えて前に向かう為にある。

前述でも触れた様に、売れたとか夢抱いた約束の地に立てなかった事を鑑みると、彼女達は敗北者なのだろう……ただ、彼女達のこれまでの戦いは無駄なモノではなかったという事実がある。そんな彼女達の魂の燃料になったと思えるのが、RGRを続けていく事と戦い続ける=駆け続ける事への意地とPRIDEだったと勝手ながら思えるのだ。

 この楽曲のクライマックスとなるあの箇所に近づいていく度に、逸る気持ちを抑えきれない自分がいた……もうすぐ、全てを懸ける刻が間近に迫っている事実が更に血の滾りを加速させる。


 そして……その刻が来た。


 好きだよ 好きだよ 叫んでいる

 Run Girls, Run!


 とどいて とどいて 熱い想い


 “のせて 走れッ!!!”

 


 俺は、夜公演には参戦出来なかった。即ち、この昼公演のラストアクトである『ランガリング・シンガソング』がLIVEで聴ける『Run Girls, Run!』最期の楽曲。全てを出し切って思いっきり吠えた。HIGHになって灰になる覚悟が決まっていたから。限界超えた本気を思う存分ぶつける箇所でもあるから。

ただただ凄まじかった……『ランガリング・シンガソング』に血が流れる刻と場に居れた事の喜びと歓喜で魂の鼓動が治まらなかった。深愛の情をもってグループの名を吠え、未知の可能性と未来の刻の希望を込めて彼女達を送り出せた……

 『ランガリング・シンガソング』に血が流れて、真の『アンセムの域へ昇華したあの刻の感動はきっと忘れ得ぬ感動になって俺の魂に刻み込まれた。そんな瞬間に立ち会えて全身全霊を懸けられたのは何よりも素晴らしい事の様に思えてならない。

 

 


 終わりではなく新たな始まり~輝きの中へ……


 終演して退場し寒風吹く会場の外で、全てを出し尽くした疲労感に膨大なインプレッションで放心状態へ陥った……でも、なんだか心地いい感覚でもあったのは、何の未練も無く全力全開で楽しみ尽くせた充実感だったからだ。

本当に凄い三人だった。本当に強くなった……最後の最後まで我と意地を貫き通したんだって。さっきから言ってるが……確かに彼女達は勝利者ではなかった。沢山負けたかもしれない。でも、そこから目を背けないで何度でも駆け出した。三人は諦めるという選択肢を諦めて最後の瞬間までRGRがこの世界で生きていた証を刻み込もうと、続けていく戦いに身を投じてきたのだと。

 意味の無いモノなどこの世には無い。林さんだけが、森嶋さんだけが、厚木さんだけが気を張ってガムシャラに駆けた所でどうにもならなかった。勿論そう思っちゃいなかっただろうし。一人でRGRを引っ張っていこうというのはタダのエゴだから。時には彼女達が抱いている未来の希望や夢が呪いとなって彼女達を縛っていたかもしれない。現に、オーディションで勝ち残ったという事は、林さん、森嶋さん、厚木さんに夢と希望を打ち砕かれた数多の敗北者の姿がある。

今の彼女達は、言い方はアレだが……夢敗れし者達の躯の上に立っているのと同義なのだ。キレイなモノじゃない。でもそれがこの世の理であり人の性でもあるのだろう。

だから、ボロボロになっても、ギラついた双眸で未来を見据えて駆け続けたのだ。そんな彼女達の本気の想いと魂と生き様に俺は強烈に惹かれたのだと。あの小さな三つ星が数多の戦いを経て唯一無二の眩しい輝きを放つ星になっていた。


何度だって言ってしまうが……本当に凄い三人だ。


 最後に、林鼓子さん、森嶋優花さん、厚木那奈美さん。これから駆けていく貴女達の軌跡がどうか眩しい光に照らされた明るい未来であります様に……

 

そして、この怪文書を最後まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。