巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

自立の魂、そして反撃の刻へ!!!ーRun Girls, Run!4th Anniversary LIVE Run 4 You!!! 東京公演参戦レポ

 12月19日。代々木の山野ホールで開催された『Run Girls, Run!』の4周年記念ライブ
Run Girls, Run!4th Anniversary LIVE Run 4 You!!!』東京公演に参戦して来た。


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 自分にとって、現地参戦というヤツは大体1年半ぶりぐらいだったりする。
だから、今のこの状況下(コロナ過)で開催されるLIVEのレギュレーションで参戦するのも初めての経験であった。

公演中は、マスク着用というのは当然であり声を出すのも駄目。問診表の記入を済ませないと入場不可。勿論、入場の際には検温や手指への消毒。更には、チケットの半券は係員に見せて確認の後自分の手でもぎる等、本当に感染対策を徹底して行っていた。

これらの事は、何もライブ・イベント会場だけのモノじゃない。今のこの状況下で生きている人達はもう当然の事として生活の一部になっている。特に、エンタメ業界は何かと風当たりが強烈で悪者扱いされてしまっていたから、徹底した対策に心血を注ぐのは当然なのだと。

 ずっと耐え忍んで、黙々と続けてきていただけたからこそ、今こうやってライブやイベントに参戦して楽しめるのは、裏で戦っておられるスタッフの人達がいるからなんだなと改めて感謝しないといけないし、出来得る限り協力しないといけないのだなと襟を正す思いです。


 そして、この公演では(昼夜共に)今の状況下ではスタンダードになりつつある有料配信で観る事が出来る。それを観ながら現地参戦で感じた事を掘り起こしながら参戦レポを書き殴る事も可能ではあるが……本稿においては、その映像は一切観ないでこの参戦レポを書き殴っていく。

記憶違いとか多々あるでしょうが……参戦して、見て感じたインプレッションを余すところなくぶちまけようと思う。で、披露された楽曲の所感については昼夜観た時の総評的な感じで記述している。(片方のみで披露されたのは個別)


という事で、刻の経過に伴って薄れゆく残念仕様である自分の脳ミソの記憶の扉を叩いて感じたインプレッションを掘り起こしていこうと思う。これだけは書き残しておきたいという出涸らしをここに書き尽くしてとりあえず楽になっておきたい。

そんな動機で書かれているだけだから、読んでも大きな発見は無いだろうということだけは、予めご理解いただけると幸いであります。

 

 

 

 

 1. ドリーミング☆チャンネル


 オープニングアクトは、現時点でリリースされているシングルの最新楽曲。だが、彼女達にとっては最も縁深い作品となった『キラッとプリ☆チャン』の最終楽章でもある。

あくまでも、コイツは自分の勝手な解釈という事を先にいっておくが……プリチャンOP楽曲の系譜に連なる楽曲であり、最終楽章をこの4周年ライブのオープニングアクトに持って来たワケをこう解釈した。


RGRの三人から魂を吹き込んで軌跡を共に駆けて来た、桃山みらい、紫藤める、青葉りんかへの『ありがとう』という感謝の想いがあったからだと思えるのです。

 

 七色にキラッと弾ける! 眩しい花みたいに 

 誰だってきっとなれる そう鼓動が歌ってる


 リンクする Color 抱きしめる Smile 未来だって変えてしまうよ!



 ―Run Girls, Run!『ドリーミング☆チャンネル!』より引用

 

 これらはキャラクターとキャストのオーバーラップを強烈に訴えかけている箇所。
七色は厚木那奈美さんの読み方にかかり、眩しい花の花の字は森嶋優花さんの名の一字である花。鼓動の鼓の字は林鼓子さんの名の一字にあって、リンクするColor(カラー)では、青葉りんかを、抱きしめるは紫藤めるを、未来はそのまま桃山みらいを彷彿とさせる節。

だからなのかもしれない……自分はこのオープニングアクトを見た際に、何か込み上げて来るモノを感じて開幕早々に涙腺がヤバくなったのは。それは久々に現地参戦出来た事の嬉しさというのも加味されていたのだろう。けど、そこまで感情を揺さぶられるというのはこの楽曲では感じていないインプレッションだったりする。間違いなくこの感情は配信では感じられなかったインプレッションであり、彼女達の想いと魂がそうさせたのだと思えてならない。

それと、この楽曲は盛り上がれる要素が多分にあるので、単純にオープニングアクトとして組み込み易いというのもあったのだろう。だが、このパートでそれだけではないと感じてしまったのだ。

 

 想いは宇宙(そら)だって届く ココロから感情解き放てば

 ここにある現実(リアル) おこりうる仮想(バーチャル)


 『ワタシ』と『ミンナ』つないだら


 ―Run Girls, Run!『ドリーミング☆チャンネル!』より引用

 

 思い起こしてほしい。このLIVEの模様は期間限定だが有料配信化されていたという事。つまり、前述に挙げた歌詞の一部の様に現実(現地)と仮想(配信)が混在している状況でもある。

『ワタシ』=RGRの三人が全身全霊を懸けてパフォーマンスを魅せ、『ミンナ』=現地参戦勢&配信で観ている人達に届け、感情を解き放って応えて、最高の雰囲気を創造しようと繋がっていく。


そして…4周年ライブツアーのタイトルに掲げられた文言は『Run 4(For) You!!!』


まあ、4がForにかかっているという解釈は俺が勝手に思ってるだけだが……For Youの意味は、あなたのためという意味がある。RGRの楽曲において、その要素が最も色濃く反映されているのがこの楽曲だと思えるのだ。

オープニングアクトが果たす役割はいろいろあって解釈もそれぞれ違う。演者や会場全体の雰囲気を暖気するアイドリングでもあるし、一気に勝負を仕掛けて来る決戦仕様の心持ちだったりもする。このライブにおいては後者の一気に勝負を仕掛けるといったモノ。

 

林鼓子は伸びやかで力強い“魂の絶唱”を響かせ
 

森嶋優花は“ファンタジスタ”としての煌めきを解き放ち

厚木那奈美は“魅惑と魔性の領域”で観客を虜にして魂に楔を撃ち込む。

 

要するにだ。私達は最初から全力全開で突っ走るし、こんなモノじゃないからつべこべ言わずついてきやがれと。その代わり、凄ぇモノ魅せてやるからと。

 

 久々に観て、聴いて…知識として刻まれているのに感じられた。いや…思い知らされたんだ。有観客だが、観客は声を出せない。会場のボルテージは上昇させづらいのかもしれない。

でも、そんな事は微塵も感じさせず、彼女達のパフォーマンスは当たり前のようにそれぞれの内に秘めた滾るモノを引きずり出させた。昔から『Run Girls, Run!』を応援していた人、ちょいと離れていて今回参戦or配信で久しぶりに観た人、最近知った人(プリティシリーズとか他から知った人)もおそらく馴染みやすいという目算があって、この楽曲を初手に持って来た様にも思う。


言わずもがな、オープニングアクトとしては何の文句も無い素晴らしいモノであり、三人からの『宣戦布告』。そう、ライブとは『戦』なのだ。

 

 

 

 2. ルミナンス・プリンセス


 ライブの行き先を決めるのは、セカンド・アクト。つまり2番手に披露する楽曲。
これの良し悪しがライブの行方を左右すると言っても過言ではないと思っていて、ここでコケるとグダグダになり、逆にきっちり決まれば勢いづく。

この楽曲がリリースされて感じた事を所感を書いた時には、壮大でメロディアスな曲調で大人っぽい包容力を印象付けさせる様な作風で、作中のみらい達の成長とキャスト側であるRGRの成長とがリンクしている様でもあって、『ドリーミング☆チャンネル』と比較したら落ち着いている楽曲であると書いた覚えがあった。ライブで聴いてもそう変わらないインプレッションになるんだろうと思っていたワケなんだが……その偏狭なインプレッションは見事にぶち壊された。


 勿論、コンセプトである壮大さから来る大人っぽさは損なわれていない。この楽曲は太陽と月の対照的な輝きがモチーフとなっている楽曲。自分はどうやら誤解していて、壮大さを表す月の部分に強いインプレッションを抱いていたのだと。

 

 見つけた夢の向こう きらめこうよ 一緒に…

 
 踏み出していい まっすぐに信じて


 終わらない恋をしたんだ みんな

 
 どこまででも 行こう

 
 ―Run Girls, Run!『ルミナンスプリンセス』より引用

 

 一緒に煌めこうというのは、彼女達や魂を吹き込んだみらい達を指しているのは当然なんだけれども、ランナー諸氏もその括りに包み込んでくれたのかなと。『ドリーミング☆チャンネル』でもそうだったが、『みんな』というのはその事も含まれていたのかもしれない。都合が良すぎるかもしれんが……

どこまでも行こうというのは、見えない未知の領域へ進む事と同義でゴールなんてない。そして、どこまで強くなれるかって事でもあって、どこまで行きたいのかという事と関連している。

この楽曲はそういう謳で、RGR自身に対してでもあり、ランナー諸氏へ向けてのエールなのだろう。

 

 

 

 3. イルミナージュ・ランド


 この楽曲も、新しいモノを迎え入れる立場で謳った楽曲。前述でも触れたが、久しぶりにRGRのライブを観た人や初めて観た人も受け入れてパレードの列に加わろうよ的な。

久しぶりに来たり観たりされた方というのは、自分が知らなかった刻のRGRと向かい合わなきゃならない。ただ、急激に変化していなければすんなりとその雰囲気に馴染めたりもする。

が……初見の場合はそうはいかない。馴染めなかったらそれはただの苦痛でしかなくなってしまう。
この東京公演に限った話で、完全な私見になってしまうが、開幕から三曲の構成はプリチャンOP楽曲の系譜であり、リリース順から遡る形で披露して来た。おそらく彼女達はプリチャンもしくはプリティシリーズからRGRを初めて知った層が多くいるのだろうと感じて、セットリストを組んでいったのかなと思わせる。そして、東京公演では配信化されるからその層はより多いのだろうと。


 どうするのが正解というモノは無く、『プリチャンOP楽曲』の系譜でない他の楽曲を持ってきても何の間違いではない。でも、彼女達は意味のないセットリストにはしたくはなくて、伝えたい想いがここにあるんだという事を強調したかったのだろう。その一つに受け取り側への気遣いも含まれていた。


根拠は無く、単なる偏見だが……自分は勝手にそう感じたのである。

 

 

 

 4. キラッとスタート


 開幕の挨拶が済んで、LIVEは次の局面へと移行してここからは怒涛の『プリチャンOP楽曲』メドレー。初手に披露したのは『プリチャンOP楽曲』原初の楽曲であるこの楽曲から。イントロを聴くと『おっ、来たな♪』といった感じでまた違うテンションのスイッチが入って、ギアが一段階上がるんですよね。

この楽曲との付き合いは彼女達にとって長くもあり、掛け替えない存在だと思います。更に言えば、いくつかあるRGR楽曲の一つの系譜で、楽曲が増えていってメドレーが組めるようになったというのもこの四年という刻の積み重ねで得られた成果でもあるのでしょう。以前だったら楽曲が少なくてメドレー組めなかったんだから……


 新しい可能性と、楽曲のラインナップの底深さを示す。おそらく、彼女達はいろいろなテーマを掲げてこの四周年ライブに臨まれたでしょう。その一つがプリチャンOP楽曲の系譜で組むメドレー形式で披露する事なのだと。そして、彼女達と深い縁のある『キラッとプリ☆チャン』が終わりを迎えて、なおかつ今年はシリーズ10周年という節目の年でもあった。『ドリーミング☆チャンネル』の項でも書いたが、作品とキャラクターへの感謝もあり、シリーズへの感謝も織り込まれていたのだと。

 

 

 

 5. Go!Up!スターダム!


 この楽曲は、タイトルにある様にスターダムを駆け上ろう!というメッセージが込められている。
『私たちみんな小さな星、輝くために生まれてきた』という節があって、リリース当時はデビューして一年経った頃。小さな星というのは当時の彼女達と重なる部分でもあった。

圧倒的な強い輝きを放つ星ではないが、今の彼女達はもう小さな星ではない。悩んで考え、いろいろ試して自分にしか出せない唯一無二の輝きを目指す旅の途中だけれど、段々と自分にしか放てない輝きを魅せてきた。それもまた、この四年の軌跡で彼女達が育てて来た賜物なんだ。


でも、まだこんなものじゃない。もっと強く大きく輝けると。当人たちがそう思っているのは当然だろうし、見ていて応援している我々も未知の可能性を信じている。

 

 

 

 

 6. キラリスト・ジュエリスト


 『Go!Up!スターダム!』からこの楽曲に繋げたのは、エモーショナルと評するしかない。
というのは、この楽曲はプリチャンOPでは珍しく、ちょいとネガティブな感情を謳う楽曲。

個人的な所感だけれども、ライブにおいてインプレッションの落差を発生させる楽曲へ繋いでいくというのは重要な要素だと思っている。感情を激しく揺さぶっていくとも言い換えてもいい。

楽曲それぞれが持つテーマとメッセージ性という要素のみで楽曲を繋ぐ事により、また新しいインプレッションを受け取る事が出来る。これも楽曲が増えた事で出来る様になった事の証明でもある。

 

 

 

 7. ダイヤモンドスマイル


 イントロが流れた瞬間、声は出せないが会場に漂う空気が一変した。
その空気の質は心が戦いで、魂が燃え滾る衝動をもたらす類のモノだ。それほどまでにこの楽曲が持つ力は強いし、楽曲に対して高い評価をされているランナー諸氏が多い事の証明でもある。

だからこそ、オープニングアクトから繋いで来たプリチャン楽曲披露&メドレーのセミファイナルに組み込んだ。勿論、ラストに控えている前座的な扱いではない。楽曲が揃って来た今、ラストに近づけば近づく程その役割を果たせる楽曲は絞られてくるので、それ相応の力を持つ強い楽曲でなければならない。『ダイヤモンドスマイル』とはそういう楽曲なのだ。


 止まらないで駆けて来た次のステップは、高く舞い上がり大空へ飛び立つ事。
『超えてみせるから』と晴れやかで力強い林さんのソロパートで響かせた絶唱はエネルギッシュでパワフル。そう、俺はコレを聴きにこの場に馳せ参じたと改めて思い知らされたのだ。

 

 

 

 8. never-ending!!


 オープニングアクトから繋いで来たプリチャンOP楽曲の旅も、この楽曲で終わりを迎える。


 ※ライブはまだまだ続くが


 センチメンタルで沁みいる叙情的な曲調は、これまでの旅(披露して来た楽曲)を追想して懐かしんでいる様にも感じられる。それは思い出と称してもいいモノなのだろう。何度も言っているが彼女達の軌跡を共に駆けて来たみらい達への感謝も含まれていると思える。


 止まっちゃいられないというのは、Run Girls, Run!アイデンティティだと自分は感じている。
また、『やってみなくちゃわからない』は作中において重要な言の葉。そして、それはRGRを導き奮い立たせていく言の葉である様にも思える。常に寄り添って来たRGRとみらい達との関係は物語の終焉にて一旦途切れるのかもしれない。でも、共に駆けて来た過去は消えないし、また軌跡が交わる刻と機はまた訪れる。だからこそのnever-ending!!=まだ終わらないという事なのだと。


 一つの旅(物語)の終わりは、次の旅(物語)への始まりでもある。それは彼女達にしか歩めなくて描けない。その旅の物語はいい事だけが待っているとは限らないし悪い事だけでもない。でも、想いを込め謳う彼女達の純然かつ清廉な歌声は未来への希望を頑なに信じている気概溢れたモノに聴こえた。


どんな事も意味のないモノではない。それは、彼女達がままならないこの時勢下で抗って得られた答え。終わらないのではなく、終わらせない為への闘いへ三人は駆け出す覚悟を決めたのだと。

 

 

 

 9. (昼)サクラジェラート


 場内の熱気が良い感じに温まって来た頃合いで、場内に響く無機質漂うテクノポップ調のメロディ。
それは、もはやRGRの代名詞と称してもいい“RGR Season Song”の系譜に連なる、春の楽章『サクラジェラート』のイントロ。

言わずもがな、ライブの雰囲気はこのゾーンから一変する。この“RGR Season Song”の系譜が手札にあるのは、Run Girls, Run!にとって何よりの強みではないだろうか。


 何だろうな。この楽曲をライブで聴くのは初めてではないのだけれど、切なさと儚さというマイナス面なインプレッションはこれまであまり感じられなかったと思う。それが、今回のライブでそれを強く感じたのは会場の音の響き方が多分に影響していたのだろうし、何と言っても三人のパフォーマンスの質が向上されたのと相まって、楽曲が進化した事でより深みも増していった事による相乗効果がもたらした成果なのかもしれない。


サクラ(桜)は春の季語。ダンサブルで無機質感が醸し出す切なさと儚さは桜の散り際、もしくはまだ寒さに耐えつつ開花までの刻を待ち焦がれる様子になぞらえている様でもあるのだろう。

 

 

 

 10. (昼)水着とスイカ


 過ぎ去りし夏の終わりを想起させるノスタルジックかつセンチメンタルな曲調に相まって、楽曲の節々に織り込まれている物語の少女の心情を描写している独白(台詞パート)は、ライブで直に聴くと音源のみで聴いた時より深く、鋭く突き刺さっていく。

『サクラジェラート』でライブの雰囲気をガラっと一変させ、このアクトで更にマイナス…ダウナーな空気と観客の魂を誘う。そうさせるには、何に例え評すのが良いか分からないが……三人の芝居力と創り出す間が絶妙と言ったら良いのか……まあ、とにかくこの季節シリーズのアクトをただただ魅入られ惹き込まれたのだと。


そして、三人の切なくも叙情的な歌声がさざ波の様に伝播していく。そんな雰囲気を醸し出す。



『くそ、やりやがったな……』と言葉を零すしかない程に、打ちのめされた。

 

 

 

  9. (夜)秋いろツイード 


 昼に、『サクラジェラート』→『水着とスイカ』やっといて、夜この楽曲は必ずやるでしょと。まあ、セトリを決めるのはオタクではないので勝手な言い分なんですが……

夏の楽章は、少女の恋愛感情に一つの決着が付く結論で終わる様な形。
しかし、このライブで紡がれた四季の恋模様の物語は終わっていなかったのだ……という感じか。終わっていないという事は、心残り…未練が残っているという事だ。昼の季節楽曲ゾーンよりも、切なさと、内に秘めて滾っている少女の激情を三人は歌声とダンスの所作に込める。


 感覚的、主観的な話であって、今更ズレた事を言っているかもしれないが、季節シリーズの系譜を歌っている時の彼女達は、素の彼女達ではなくこの系譜の『少女』になりきって歌い踊っている。

演じるのはエネルギーが要る事だし、三人も簡単にそのスイッチを入れているワケではないのは重々承知しておるのだが、スッとそのスイッチを切り替えた様な自然さがある。勝手な思い込みかもしれないが、昼や夜の季節シリーズのアクトではそういう感覚を抱いたのだ。




 10. (夜)スノウ・グライダー


 “RGR Season Song”の系譜で最も切なく、儚く、重い楽曲。
ホールの壁に、プロジェクションマッピング(照明かも?)にて雪の結晶が映し出される演出がまた見事。ロマンチックとセンチメンタルが同居し、楽曲の持つ切なさと儚さがより助長される。

この世界観の雪模様がどんなモノなのかは分からない。絶え間なく降り続いているのか、深々と静かに降っているのか、はらはらと舞い散る様にふっているのか……ただ、どんな降り方をしていても積もれば真っ白で閑散とした景色を見せる。それは、記憶を真っ白に塗り替える事と言っても良いのかもしれない。


 当然ながら、彼女達の歌声も演出が創り出す雰囲気に負けない、沁み入る様な深みをもたらし、よりいっそう『少女』の心情描写(恋愛感情)を鮮やかに彩って、ただ単純に楽曲を聴いているのではなく、一つの『舞台作品』を観ている感覚に陥った。


正直、自分はこのアクトの詳細を記憶できていない。彼女達が降らせた『雪』という表現力によってただでさえ少ない自分の脳ミソのキャパシティにその雪が降り積もった……




 11. Darling Darling (森嶋優花ソロ)


 “RGR Season Song”ゾーンの余韻冷めやらぬままに、メンバーのソロ楽曲ゾーンへと畳み掛けていく。ソロパートの先陣を切るのは、RGRのリーダー・森嶋優花

音源には無い、ライブ仕様のイントロで観客の五感を超越した『ピクッ』となる第六感を刺激し、続けざまに森嶋さんの溌剌かつキュートな歌声が一気に場を支配する。そして、彼女のイメージカラーでもあるオレンジの光が客席を染め上げる様はさしずめ太陽が昇るかのようでもあった。


 この楽曲はラブソングの体を成している。詞の文脈もそのテイストで綴られているからそういう解釈で間違いないだろう。あくまでも勝手な私見だが、何も男女の恋愛感情に限った歌のみがラブソングの定義ではない様に思う。それぞれに違うもっと広い範囲で親愛の情を歌うのがラブソングではないだろうか。

森嶋さんが歌に乗せた伝えたい『愛』と想いのカタチ…即ち、彼女が貫きたい表現の形は、受け手側を置き去りにしていく一方的な表現ではなく、双方向への想いの循環を重視する事なのだろう。本来だったら、観客の合いの手だったリコールで盛り上がれる感じの楽曲だが、現在の情勢下でのライブは観客が声を出す事が叶わない事。にしても、この楽曲で思う様にはしゃげないのはある意味拷問だ……


 何よりも圧巻だったのは、その太陽の光(オレンジの光)に全く引けを取らない森嶋優花の歌い踊る姿。ステージを端から端へと立ち回り会場に馳せ参じたランナーや配信で観ているランナーに『愛』を振りまいて表情と動きの豊かさで魅せて惹かせる。

そして、彼女は頭が良い人。物事の本質を理解する力に優れているというか。
『こうしたら、人からこう見えてこういう反応が得られる』といったロジックを解析できる。それは彼女がこれまでいろんな経験をして来た中で得られた賜物なのかもしれない。

パフォーマンス出来る楽しさを、自分の限界を超えていく貪欲さを追求する。我々も楽しかったが一番楽しんでいたのはステージの森嶋さんだった。やっぱり、彼女はファンタジスタなんだって。


 森嶋さんが目指す『Darling Darling』という楽曲の到達点は、これからも歌う機会と刻を多くしてもっと楽曲が持つ表情を引き出し進化させていって強くする事。そして、我々の声もそれをなす為の重要なファクターであると。


この4th Anniversary LIVEで太陽は昇った。そして、最も高い位置まで昇ろうとする軌跡と刻で『Darling Darling 』がどんな進化を遂げていくのか楽しみでならない。

 

 

 

 12. 逆さまのガウディ(厚木那奈美ソロ)

 
 イントロを聴いた瞬間に血が燃え滾る様な感覚になる楽曲が存在する様に、その対極として身構えて戦慄してしまう楽曲も存在する。厚木那奈美が歌うこのソロ楽曲は後者だ。

何か物々しいワケではないし異常に荘厳な楽曲でもない。でも、本能がそうさせてしまう。それは、彼女が持つ“魅惑と魔性の領域”=Nanamiの領域がこの楽曲を進化させたと言ってもいいだろう。

それを成しているのが、厚木さんの不可思議なパーソナリティ。
彼女のスイッチというか引き出しの多さってのは正直よく分かってないし、何か踏み込む事を躊躇わせる部分をある。そっから先に行ったら現世に戻って来れねぇぞ的な。

柔和で淑やかさもあれば、堰を切った様にオタク語りしだしたり、各関節にマグネット・コーティングを施されてるかの様なキレっキレのダンスで魅せたり、天然であざとかったり……と、まあ彼女のパーソナリティは筆舌に尽くし難いモノなんです。

 

 

 で……夜公演で観たこのアクトが非常にヤバかったんですよ。



 自分の夜の部の座席が後方ブロックの最前列だった。そして、目の前には座席間隔を空ける為の通路が拡がってステージへと繋がっている。つまりは、視線を遮るモノがほぼ無い状態……言い換えると、矢嵐降り注ぐ城壁の上に立たされてるのと同様の状態なのである。何の映画かは忘れてしまったがそのシーンが俺の脳ミソにフラッシュバックしてきた。へっ?このライブってVR着用だったかと錯覚するほどに。


(どんな例えやwww)


 ステージに立つ厚木さんは、そんな一人のおっさんが動揺しまくりの状態なんざ勿論知るわきゃない。もう、爛々として歌い踊り出すんです。『not  nana meet to you not nana meet to you』の所の振りの所作で、彼女が自分自身を指差す所作が、とにかく可愛くて、クッソ可愛いんだけれども……
現地で直に、しかも視線をほとんど遮るモノの無い状態で観たらね……

 


あーもう、眼がヤバい。

とにかく厚木さんを直視出来ねぇ……

眼球そのものが逝く。

 


 それはあらゆる防御が無効であり、必中のクリティカル&特効付きで勿論距離なんざ関係ない。
このホールって、まあ縦長っぽい構造だったんです。厚木さんは本当に最後列の人にも出来る限り分かり易いというか観やすくしようと心配りされて、よりダイナミックかつエレガントに舞い踊ったんです。そこに彼女の柔和で繊細なボーカルが加わってこの楽曲に一分の隙は無くなる制圧力。

行かないようにって詞があるけど、逝かないようにって勝手に脳内変換されてしまうほどに厚木さんがステージで創造する魅惑と魔性の領域の世界に魂が囚われてしまった。そう、この領域に飛び込んだら考えるのではなくオタクの第六感で感じるしかない。


 手のひらで転がされるって言葉があるじゃないですか。『逆さまのガウディ』ってそういう楽曲。
相手の思うように完全に支配されている…つまり、我々の意志は存在してなくて100%厚木那奈美の手のひらで我々は転がされている。菩薩の様な柔和な微笑みを浮かべながらも、やっている事は結構エグいwwwもう成す術がない……完全に負けた。負けた壁の向こうで厚木さんが微笑んでる。(妄想…)バケモノ(最大級の賛辞です)は退治しなきゃいけないが、このバケモノは抗う事すらさせてくれない。リアルチートって本当にいるんだなって……


 厚木那奈美の存在が(いい意味で)本当にズルい。前にも同じインプレッションを彼女に抱いたが、改めて痛感させられたんだ……彼女の個のチカラと輝きの強さを。

 

 

 

 13. りんごの木(林鼓子ソロ)


 ソロパートゾーンのトリを務めるのは、RGRのセンターにして歌姫・林鼓子
彼女がステージ上に現れた瞬間、バリバリのビートを刻んだロックサウンドが聴覚へ鳴り響き、血を流した様に客席が彼女のイメージカラーの赤で鮮やかに染まり、そのド真ん中で佇む彼女を視覚で認識する。その二つの感覚がトリガーとなり、身体に震えが起こった。この震えの正体は、早く彼女の絶唱を浴びて血を滾らせたいという武者震いだ。早まる鼓動が抑えられない。高まる衝動が早く闘わせろと。


 この楽曲は前述の通り、まごう事無き純然なロックテイスト。諸説あるが、ロックとは己の生き様を謳う事が定義の一つだそうな。彼女の歌声ってやっぱりチカラが強烈なんだよな。(語彙力……)
その歌声は場の空気を振動させて客席へ叩き込む様な強さを抱かせてしまうほど強い絶唱”と称する『暴力』なんだ。リミッター解除したはやまるに恐れるモノは無いと言った所か。

 自分がもっと輝ける事を信じて己を見失わずに突っ走る。今よりもっと多くの人達に認められて表現の世界で居場所を勝ち取る為に。荒削りで無骨な叩き上げの魂を滾らせて林さんは謳う。
そんな彼女の血の流れる魂の絶唱を聴くのではなく身体で浴びる。そうすると、こちらの魂が戦いでビートを刻みだしてリズムをとって、拳を力いっぱい振り上げる。

 もう、実際に参戦する前から感じてはいたんだよ、『りんごの木』を現地で聴いたらこんなになるって。曲入りから彼女はフルスロットルなのよ。客席を絶唱で圧倒しに来ていた。それは、単に爪痕を残そうなんて優しいモノじゃない。魂ごと抉り取ってやろうという獰猛さが迸っていた。


そう、林さんは観客に真っ向からノーガードの殴り合いの喧嘩を吹っかけてきたんだ。

 


私を見ろッ!歌を聴けッ!!覚えて帰れッ!!!そして、忘れるなッ!!!!と。

 


 エモーショナルの暴力で右の頬を殴られ、続けざまに左頬も殴られ、止めに顎を撃ち抜かれて思い知らされたのだ。林鼓子は巧いんじゃない。強ぇんだと…… 

未来の刻で、彼女がこの楽曲を歌った際に、マイクスタンドを蹴り上げてターンさせたり、何か意味もなくシンバルがえらい高い位置にセットしてあってそいつを蹴り上げたりするかもしれないwww


それはそれで、めっちゃ面白そうなので是非観たいものです。

 

 

 

 14. Break the Blue!!


 三色で彩られたソロ楽曲の次に出てきたのは、若さを象徴する蒼(青)の魂を持つこの楽曲。
あの異常なまでに強力なソロ楽曲たちの次に出てきたら否応なく比較されるワケです。それでもし、会場全体のテンションとボルテージが落ちるようなことになっては負けなのだ。

彼女達三人も闘っているのと同様に、楽曲もまたそれぞれの闘いがある。ましてや、この『Break the Blue!!』は空戦を扱った作品のOPテーマ楽曲。闘って限界突破を果たす的な。


 Breakという言葉は『壊す』と訳される。何かを壊すという行為は何も物体に限った事じゃない。
一定の形として認識できないモノ…例えば、刻の流れとか人を取り巻く流れもそれに含まれているらしい。この楽曲のタイトルの『Break』は見えないモノを壊すという解釈なのだろう。

そして、蒼(青)を指す『Blue』は若さという意味でも捉えられる。変わりたいという想いを抱き、一歩踏み出す勇気。それは、彼女達が殻を破ってOTONAの軌跡を往く事にも繋がって。実際、林鼓子さんは来年成人を迎えるし。


 観た人だったらご存じでしょうが、これまでの楽曲に引けを取らない甲乙つけ難い見事な潔くも格好いいアクトを魅せてくれた。音源では突き抜けてない限界領域を衝動で突き抜けた。この謳も『闘いの謳』なんだ。蒼い大空へと羽ばたいて翔ける。彼女達の背中にはそれぞれの心の光で彩られた翼があって、どこまで行けるのか?どこまで高まるのか?それを試すように……

 

 

  

 15. 無限大ランナー

 
 音源で初めて聴いた時から、ライブで直に聴いたらリミッター外してブチ上がるって決めてた楽曲。火に油を注ぐ楽曲としてLIVEのセットリストに組み込める楽曲が存在し、それが出来るアーティストは強いアーティストであると勝手に思うんですよ。水樹奈々さんやWake Up, Girls!にはそういう楽曲があった。RGRにもないワケではなかったが、そこまで極端に振り切ったモノは無かった様に思う。

でも、そんな楽曲が遂に現れたんだ。RGR楽曲の軸の一つであるアンセムの系譜でも随一な、ピーキーで荒削りな叩き上げの魂を謳うこの楽曲がッ!!!イントロの瞬間から血が滾って『うおぉぉぉッ!!!』って吠えたくなる様な衝動が襲って来る。そうやって向かい合わないとこの楽曲に骨ごと喰われる。そんな獰猛でやんちゃな楽曲。

 


そして、今の刻のRun Girls, Run!の強さをダイレクトに象徴する『アンセム

 


 楽曲がリリースされてから、披露する機会はいろいろあったが彼女達はこの4周年ライブツアーまで大切にとっておいた。(…合ってるよな?)三人もそうだが、ランナー諸氏もこの楽曲の限界領域をまだ掴めていない。だから……彼女達は『限界までアゲていく。どこまで踏み込めるかは任せた』という突き付け方をした。

それを受けたランナー諸氏は、もう踏み込むしかなかった。行きつく所までかかって来いと挑戦状を渡されたのだからこちらも限界を攻めようとする。止まってなんかいられないのだ。そんなメッセージを込めてこの楽曲は謳われるのだ。

 

 (Runner! Let's Go!)

 挑め Here we go! Here we go! キミと走る Wonder! 


 壁壊して Up to you…掴め未来を 


 挑め Here we go! Here we go! キミと走る Runner!


 上がれ Speed! Speed! 行けるとこまで


 ―Run Girls, Run!『無限大ランナー』より引用

 

 身体でサウンドを感じてビートの鼓動を刻み拳を振り上げる。更には、滾る熱が鎮まらずに激しくヘッドバンキングまでしてしまう。そこまでしないとこの楽曲と彼女達の暴れっぷりに負けてHIGHから一気に灰になって燃え尽きてしまうんだ。(実際、終演後は首がちょいとヤバかったwwww)

これを感じたかった。何か色々脳ミソの中を渦巻くあらゆる鬱積したしがらみを忘れて没頭してただはしゃぎたくて暴れたかったんだと。(勿論、周りに迷惑の無い様に)


 彼女達の今を象徴している最高な楽曲とパフォーマンス。そして、この楽曲がもっと進化する未知の可能性。そして、彼女達がこの世界で生きる事を諦めない姿勢を貫く事でこの楽曲に新しい血が流れる。それが、RGRの生き様の証なのだと。


 


 16. My Best Shine!!


 ファンへの感謝と、一緒になって盛り上がれる事を願った楽曲。
『無限大ランナー』とはまた趣きが異なっていて、Theアイドルソングと称するに相応しい可愛らしさにステータスを全振りした極端な楽曲。この楽曲もまた、Run Girls, Run!の新しい引き出しだ。

どの戦場で出しても充分にRGRのパフォーマンスを魅せ付けられる質の高さがあるし、どの順番で出しても大丈夫な汎用性がある。

 

 もっと遠くまで 届けたい歌があるから

 
 だから繋がっている (今に繋がっている) 

 
 楽しいときも 嬉しいときも

  
 これからも いつだって


 
(Make You happy!! It's Happy Time!!)

 

 ―Run Girls, Run! 『My Best Shine!!』より引用
 

 かつて、彼女達は『ライブがしたい!!!』と高らかに吠えた。(3周年の頃)
その頃はヤツの所為で、まともに出歩けない自粛だったり、ライブやイベントなんてもっての外。
でも、そんな中でも彼女達は駆ける事を止めなかったし、いろいろファンの為に様々な試みに挑戦された。そして、刻が経ち……ようやくライブが開催できるまで情勢がいったん落ち着いた。

みんなが逢いに来てくれてライブが成立する。無観客の配信ライブを経験された彼女達にとって、有観客で歌える事の喜びはひとしおだっただろう。上記の詞はその刻が必ず訪れる事を信じて諦めない想いに溢れている。


あなたを幸せにする。それは幸せな刻なんだと……彼女達は信愛の情を持って歌声を響かせる。


我々もまた、直接だったり画面の向こう側から、ステージに立って歌う彼女達へ想いと魂を…例え声が出せなくても、声が届かなくても届けられる。今まであった当たり前が当たり前じゃなくなったこのふざけて狂った世界が、想いと魂を直接伝えられる事の尊さを教えてくれた。


 逢えない刻も彼女達にとっては必要な刻だった。そんな刻があったから大事なことに気付けた。意味の無い刻ではなかった。そんな苦難も彼女達は自らの燃料として駆け続けた。


あまりにも眩しい極上の輝き。そこには自分がまだ知らない『Run Girls, Run!』がいた。

 

 

 

 17. ランガリング・シンガソング


 最後に披露する楽曲は、グループの愛称が曲名に冠されたこの楽曲。


リリースされてから、現地参戦してコイツを直に聴けるのをどれだけ待ち焦がれた事か……それがようやく叶った。こんなに嬉しく滾るモノはない。

叩き上げの魂と彼女達の生命の音を燃やす『闘いの謳』であり『アンセム。剥き出しの生の感情を曝け出しただ直向きに歌い舞い踊る。そんな彼女達の姿を直に観て燃え滾らない理由はない。この4th Anniversary LIVEで、彼女達が終始魅せ付けたのは、何が何でも未来の刻を勝ち取る事と、表現の世界で生き残ろうとする強固な意志とPRIDE。執念と言ってもいい。


そんな彼女達の生命の音を燃やした謳を聴きながら、4周年ライブの開催を発表した刻の彼女達の誓いの言葉がふと脳ミソをよぎったんだ。

 

 林鼓子さんは、絶対にぜったいに、アツいライブになる!!!と。


 森嶋優花さんは、みんなと過ごせるライブ、ぜったい楽しんでもらえるライブにします!!と。


 厚木那奈美さんは、ランナーさんからいつも走る勇気をもらっているので、4周年はそのお返しができるように、パワーを届けるLiveにしたいと。

 

 熱く滾るライブだった。凄ぇ楽しいライブだった。めっちゃパワーを感じて魂に届いたライブだった。
強いRun Girls, Run!を魅せると誓った言葉に嘘偽りはなかった。待っていて本当に良かった。声は出せないが、魂の声張り上げてあのパートをシンガロングするんだ。それが彼女達の本気に応える唯一の行為と賛辞だから。

 

 好きだよ 好きだよ 叫んでいる

 
   (Run Girls, Run!!!)

  
 とどいて とどいて 熱い想い

 
 (のせて走れ!!!)


 ―Run Girls, Run!『ランガリング・シンガソング』より引用

 

 彼女達も、参戦された皆も、そして配信観て魂を飛ばされた方達も、境界を越えて繋がって未来の刻へと駆け出した。いつの日かもっと大きな会場で声が出せる様になったら、全身全霊の声で彼女達への深愛の情を思いっきり吠えたいものだ。


そんな未来の刻と機が必ず訪れる事を信じて止まない。

 

 

 

 EN1. プリマ☆ドンナ?メモリアル  


 この楽曲は、プリティシリーズの各作品からキラッとプリ☆チャンへと繋がる内容になっている。

縁への感謝を謳い、過去を蔑ろにせず、今の刻を懸命に生きて未来へ想いを馳せて進んでいく。
彼女達が先人達から受け取ったバトンを今度は後進(次の作品)へ想いと魂を繋げる。刻が経っていけば立場も自ずと変化していくもの。


でも、変わらない想いもまたあるのだ。


 『輝くわたしになりたい!』という詞は、シリーズに共通して受け継がれて来たワードで後の作品(ワッチャプリマジ!)にもその想いは継承されているのだと。勿論、現実のRGRにも当てはまるワードでもある。RGRと縁の深いコンテンツであるプリティシリーズは今年10年という記念の刻を迎えた。そんな記念(メモリアル)の年だからこそ、その楽曲は是非とも4周年ライブにて歌いたかったのだと。


 そんな彼女達のプリティシリーズへの縁の感謝と深愛の情が存分に詰め込まれたアクトになった。みらい達もきっと、RGRの三人に『謳ってくれてありがとう』と告げたのかもしれない。

 

 

 

 EN2. カケル×カケル


 Run Girls, Run!原初の楽曲にして、最も長い刻を共に過ごして駆けてきた“戦友”と称してもいい楽曲。本当に最後の最後でこの楽曲を歌うのは、原点回帰、もしくは常に初陣という心持ちを忘れない為なのかもしれない。

そして、コレになぞらえるのは、一種のアレルギー反応の様に受け入れられない人がいるかもしれないが……俺の中において、もう一人の彼女達の魂との繋がりは無視できないので触れていく。


 林鼓子森嶋優花厚木那奈美が初めて魂を共有して駆けてきた“戦友“である、速志歩、守島音芽、阿津木いつかへの巡り逢いの縁を謳う楽曲でもあるのだが、今の刻では彼女達との前向きな別れの楽曲という新しい表情へと昇華された。

 

 しばらく会えないかもしんない

 
 待っていて 忘れないよって

 ぎゅっと 何もない両手握る


 ―Run Girls, Run! 『カケル×カケル』より引用

 

 このパートの節々と『子供時代にさよなら』というのは、双方のRGRの事を示しているのかなと感じたのだ。現実のRGRが向こう側のRGRと関わりがあったのは消せない過去。でもその過去を否定して切り捨てるのではなく、前を向いて進んでいく為に必要な別れなのだろう。それが彼女らの信じる道であるのならば周りが何と言おうとその選択を後悔しないでほしい。それが正しいのかそうじゃないのかなんていう他人の物差しなんて関係ない。貴女たちの信念を貫いて欲しい。


 挑まない者のカレンダーに『何時か』という言葉はない。
また何時かの未来の刻で、また彼女達は再会できるのかもしれない。可能性はもしかしたら低いかもしれないが……そんな奇跡を信じている奴が一人ぐらいいたっていいんじゃないか。

 

 

 

 

 最後に……


 ライブが終演。規制退場して外に出ると冷え切った寒風が、ライブの興奮で火照った身体を急激に冷ましていった。それと同時に全身全霊を出し尽くした代償である疲労感が身体を襲う。久々に体感するこの感覚、そして、受け取ったインプレッションは膨大なのにすぐに言語化できない感覚もまた久しいもので心地が良い。


そんな最高のライブの余韻に浸りつつ、彼女達の締めの挨拶を思い起こしていた。

 

 厚木さんは、彼女が負ってしまった負傷で元々のライブの予定が延期した事を詫びた。まあ誰も、彼女の所為や不注意だと一方的に責め立てる輩は見当たらなかったし、当然そんなつもりも一切ない。ただ厚木さんが無事に復帰して最高のパフォーマンスで我々を魅了してくれたのは本当に素晴らしかった。


 林さんは、この1~2年の刻の中、自分が前に進めているのか?止まってしまっているのかという不安を吐露された。それでも彼女は見えない暗闇の中でも進む事を諦めなかったと思う。その証明が血の流れる魂の絶唱なんだ。不断の努力と自らの経験に裏打ちされた信念がそうさせたのだと。


 森嶋さんは、我々に誓ってくれた。もっと大きな会場に皆を連れて行ってまだ見た事無い景色を一緒に見よう!と。そして、今まで経験した様々な苦難がよぎったらしく感極まって涙を流した姿には胸が締め付けられる思いだった。この子が涙腺に押し戻した涙と黙って飲み込んだ苦しみが報われてちゃんと認められる世界であってほしいし、彼女の涙に応えてやらねばと魂に誓った。


 どのメンバーも、じっくりと月並みで無難な事を言うのではなくしっかりと熟考されて言葉にしたんだという事が分かるその子らしい言の葉に溢れていた。Run Girls, Run!がこれからもっと多くの人にちゃんと見つけられて、認められて欲しいと切に願う、それが出来るチカラは持っているのだから。

 


来年には、もう恒例行事となったバレンタインイベント&ホワイトデーイベント開催決定の報。

 

 

 

そして……初となるミニアルバムのリリースも決定した。

 

 

 イベント開催は勿論、何よりも新しい楽曲が増えていけばもっといろんな事ができるだろうし、新しく知る人も増えていくだろうし、もっと大きな会場でのライブ開催の機に繋がっていく。この報は本当に嬉しいモノだ。

 

 改めて、4周年記念ライブツアー『Run Girls, Run!4th Anniversary LIVE Run 4 You!!!』完走お疲れ様でした。


いい意味で予想を裏切って、期待にきっちり応えてくれた本当にいいライブだった。
Run Girls, Run!は見事にRun Girls, Run!を超えて、新しい感動を与えてくれた。その物語にはRun Girls, Run!とランナーの皆が絶対不可欠である事を、彼女達三人が自分達の言葉を歌とダンスに込めて本気の想いと魂を伝えてくれた。双方の絆と縁への感謝を感じられるような、ツアータイトルに冠されたRun 4(For) You!!!に相応しいライブだったと確信している。

 

 4周年の年を全力で駆け抜けた彼女達は、あらゆる想いを受け取って再び駆け出して行った。一つのゴールは、また新しい軌跡へのスタート。Run Girls, Run!の物語はまだ始まったばかりだ。未来はあるのか?という問いに、彼女達は未来を掴み取ってやると強い決意で答えを示した。

 

 



そう、『止まってなんかいられない』のだ。