『リトル・チャレンジャー2015』という楽曲がある。
この楽曲は、同名の別アレンジ版という位置付けにあたり、更には二つのバージョンに分かれた楽曲である。
オリジナル版の『リトル・チャレンジャー』では、島田真夢、岩崎志保、近藤麻衣、吉川愛による四人曲。作中でリリースされた時期のI-1でのセンターとキャプテン(リーダー)を含めたエース格にあたる四人でもあった。
作中での描写にもあるが、この楽曲のヒットを契機にして、I-1はトップアイドルへの軌跡を駆けあがる事となり、I-1の『アンセム』となった楽曲であるとも言える。
刻は流れ、色々な経緯があって……I-1隆盛の礎を築いた島田真夢は脱退したわけだが、
過去は消せないし遺されたモノとして、彼女が去った後でもI-1の代表曲としてメンバーによって歌い継がれていったと考えられるのが自然ではないだろうか。
曲題にある2015とは西暦2015年の事。この年はI-1 clubにとっては変革の渦中にあった。
これまで続いて来た100万枚の売り上げ記録がこの年にリリースされた最新曲で途絶えた事を契機として、世代交代を名目としたセンター争いが勃発。
岩崎志保をセンターとした『Team S』と、次世代センター候補の最有力とされる鈴木萌歌をセンターに据えた『Team M』による二つのバージョンの新曲『運命の女神』をリリースして巻き返しに打って出た。これが続・劇場版で描かれたI-1の物語である。
で……『運命の女神』のカップリングに収録された『リトル・チャレンジャー2015』もまた、前述の二チームによって歌われた楽曲。
そして、このバージョンでは『要』となる人物が各チームに一人ずつ存在している。
前書きが長くなってしまったが……今回は『リトル・チャレンジャー2015』における要となる二人の人物について妄想を垂れ流そうと思う。
『運命の女神』のCDジャケットには、トランプの絵柄にメンバーが描かれている。
ここで注目したいのが、『Team M』盤のジャケットには、鈴木萌歌、鈴木玲奈、小早川ティナの三人と、『Team S』盤には描かれてないジョーカーのカード。
そう、『Team M』バージョンの『リトル・チャレンジャー』はこのジョーカーが要となっている。
トランプにおけるジョーカーの役割は多様だが、このジャケットに描かれた意味は
『切り札』としての意味ではないだろうかと考えている。そして、その人物が島田真夢が歌っていたパートを担当しているのである。ちなみにその人物は『運命の女神』では歌っていない。だからこの人物の姿はカードに描かれずジョーカーのままだった。
で、その人物の正体は……I-1clubの第5期生、高科里佳であると自分は思っている。
『Wake Up, Girls!』のスピンオフコミック『リトル・チャレンジャー Wake Up, Girls! -side I-1 club-』の主人公である彼女が島田真夢のパートを歌う。単にスピンオフ作品の主役という要素のみで里佳がこのパートを歌っただけとは思えない。次期のセンター候補の鈴木萌歌ではなく、この中で最もキャリアが浅い高科里佳が真夢のパートを歌う意味があるが故の抜擢だったと。
里佳と萌歌が駆けて来たアイドルの軌跡は対照的だ。
加入間もない頃からフロントメンバーに名を連ね、前述の通り、エリート街道まっしぐらで次期センターの最有力候補と評される逸材である萌歌。
一方、里佳の駆ける軌跡は対照的で、I-3(所謂三軍)に所属し、地道な下積み活動をしていた。
他の楽曲(真夢が在籍していた頃までのI-1楽曲)ならば、萌歌が真夢のパートを受け継ぐのが、自然であり世論も違和感を抱かないのだろう。
だが、『リトル・チャレンジャー』という、叩き上げの魂を謳う楽曲においては、萌歌の才能と順風満帆なキャリアが当時の島田真夢のパートを活かせず、楽曲を殺す事になりかねないと白木徹の本能が感じ取ったのだろう。
ただし、エリートと評される人物が、真夢のパートを歌っては駄目だというモノではない。
楽曲の力を引き出す一つのファクターは歌う者の生き様。叩き上げの魂を謳う『リトル・チャレンジャー』においては、萌歌、玲奈、ティナではなく、未熟で荒削りな叩き上げの魂を持った
里佳が真夢のパートを歌った方がより楽曲の力をもっと引き出せると。
白木さんは、高科里佳という存在におそらくは何か特殊なモノと未知の可能性を本能で感じたのだろう。でなければ、岩崎志保に背格好が近いというだけで志保のアンダー(代役)には抜擢しなかった様に思ってしまう。(根拠は無い)
そんな勝手な妄想をしつつ…今一度『リトル・チャレンジャー2015 -Team M ver.』を聴いてみようと考えておる今日この頃である。
……Team S ver.の方については、日を改めて書き殴っていこうと思う。