巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #45 パジャマパーティー

 

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 パジャマパーティー/ぱじゃパ!


 『IDOLY PRIDE Collection Album [未来]』に収録されたグループの枠を超えて結成された越境ユニット楽曲シリーズの系譜に連なる楽曲。ただし、本曲はこれまでリリースされたユニット楽曲とは異なり、デュエットではなく五人構成のユニット楽曲になっていて、メンバーは、月のテンペストの成宮すず。サニーピースの白石千紗と兵藤雫。TRINITYAiLEの奥山すみれ。LizNoirの赤崎こころによるユニット。

 本曲に関わるイベントストーリー『ぱじゃまパーティー!~夢見る少女と眠り姫~』では、ぱじゃパ!結成へ至り、お披露目LIVEまでの経緯が描かれていく。ちなみに、このユニットをプロデュースしているのは牧野ではなく、彼の後輩である橋本さとみがプロデュースしている。

牧野からユニットプロデュースを提案された彼女。しかし……完全に行き詰まって途方に暮れていた所に、すず、すみれ、こころと遭遇し彼女達にも手伝ってもらう事になった。そこに、アイドルへの知識が豊富な雫と、雫に頼まれてブレーキ役の千紗も巻き込まれて……という感じでストーリーが展開されていく。

普段とは違って、髪を下ろし眼鏡をかけている雫が楽曲ジャケットに描かれている。しかし、彼女はセンターではなく、すみれがセンターを務めている。さとみ曰く、すみれが選ばれた決定打は、ありのままの可愛らしさと飾らない素の魅力を最も体現していたのがすみれだと語っている。それは、ぱじゃパ!の核にも繋がっている。

 ようやく楽曲の話へ入る。タイトルにそのまま銘打たれた『パジャマパーティー』の通りに、可愛らしさの方向へステータスを全振りしたファンシー&キュートさ全開で、脳ミソを優しく柔らかく蕩けるまで揉みほぐされていく様な究極の癒やしソングと評しても過言では無く、ここまでヒーリング感全開へ振り切った楽曲はアイプラ楽曲では異彩を放っている。

曲調の根幹になっているフューチャーベース調のミドルテンポ感が、夜のまったりとした雰囲気と少女達(すみれ、すず、こころ、雫、千紗)が楽しく語らう雰囲気との調和が見事に取れていて、夏川さん、豊崎さん、高尾さん、相川さん、首藤さんによる柔和で甘々テイストなボーカルとの相性とも見事に合わさった結果、リスナーの聴覚はえげつない多幸感へと誘われ……尊さの暴力によって打ちのめされる。

夜特有のまったりとした癒やし効果抜群の楽曲ではあるのだけれど、曲自体のテンポは遅すぎず早過ぎない絶妙な領域を攻めた感じ。更にA・Bメロ(だと思う……)で差し込まれるヒップホップ調がまたいいアクセントになって効き、五人の滑舌もさる事ながら韻の踏み方が素晴らしい。

 そして、サビの構成も絶妙な塩梅でもって攻めている。とは言っても劇的に盛り上がっていくモノではない。サビまでに至るまでに構築されて来た『静』に振り切るワケでもなく、『動』へ振り切るワケでもない。その中間を維持してリズムとのバランスを取っていく要素が、曲調にノリながらも沁み入る様に聴き惚れていくカタルシスへ至る。

くどい様だが……本曲は強烈なインパクトでもって惹き込む楽曲ではない。だが、えげつない癒やし要素満載なメロディと五人のキュートな歌声がもたらす変態性(言葉を選べ……)が、中毒性となって魂が囚われてしまう……この中毒性の高さもアイプラ楽曲随一だと思っている。