巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

アイプラ楽曲ライナーノーツ #34 Bang Bang

 

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 Bang Bang/ⅢX

 
 VENUSプログラムのランキングの最上位『BIG4』の一角、ⅢX(スリーエックス)の楽曲。
『BIG4』の概要についてだが、それに触れると記事がまるまる一つ出来てしまうボリュームになってしまうので本稿では触れないモノとさせていただく。もの凄くざっくり説明すると、『東京編』にて星見プロのアイドルの前に立ちふさがるラスボスといった所。

センターは、世代を超えて愛されるトップモデルのfran(CV:Lynn)、中高生から圧倒的な支持を得る大人気モデル出身のkana(CV:田中あいみ)、第13回NEXT VENUSグランプリの覇者miho(CV:村川梨衣)によるグループ。ちなみにこの楽曲は、作中でスリクスが登場する際のBGM(インストゥルメンタル)として流れる楽曲でもある。

スリクスの三人は、ゲームリリース一周年記念の限定フェスガチャにてプレイアブルキャラクター化。それに伴い本楽曲がゲーム(3DLIVE映像)へ実装される。音源は、単独での配信とフル尺のMV、1stEP『それを人は"青春"と呼んだ』にも収録されている。

 過大評価や盛り過ぎと言われるだろうが……この『Bang Bang』という楽曲は、アイプラ楽曲のエポックメイキングと評して過言ではないと勝手ながら思っている。これまでリリースされた数多のアイプラ楽曲はどれも個性に溢れた魅力的な楽曲揃いだが、この楽曲はこれまでのアイプラ楽曲とは一線を画す程に楽曲の力が強烈。

K-POPを彷彿させる様なエレクトリカルなダンスチューン。剣呑とした妖しくも不敵かつ不遜な雰囲気を醸し出している重低音を主体に効かせた俗に言われる『治安悪い系譜の楽曲』。この不敵と不遜というダウナー的要素はこれまでのアイプラ楽曲では無かった要素だと思える。それは、スリクスの作中においての立ち位置から来ているモノだと考えられる。

 作・編曲を手掛けたハヤシベトモノリ氏曰く、この楽曲は、表面張力でギリギリのコップの水が弾けて溢れる瞬間と閃光をパッケージしたような楽曲と語る。

圧倒的な強者感を纏い、星見プロのアイドルに立ちはだかる最大・最強の『敵』。並ならぬクセの強さを各々が持っていて、それぞれの人となりは気に食わないが、私情を鑑みないで能率重視するビジネスパートナーというある意味ヒリ付いた危ういモノ。それはパフォーマンスにも反映されていて、強烈な『我』がぶつかり合った反発力がこの楽曲に滾る血を流していく。

fran(CV:Lynn)のクールで凛とした格好良い歌声が楽曲の主軸を担い、kana(CV:田中あいみ)の蠱惑的な甘さを纏いつつ強圧的な低音といった両極端な歌声が艶やかさという要素を加える。そして、miho(CV:村川梨衣)の低音の歌声は深みと底知れ無さを醸し出して楽曲を引き締めている。

三者三様の『我』がそれぞれ独立して突っ走っている様な歌声で、ついて来れないのなら置き去りにしていくという感じで不協和を響かせているが、楽曲の力で抑え込まれて程よい聴き心地の良さと中毒性への昇華に至っている。コレは本当に見事だと唸らざるを得ないという所か。キラーチューンと評しても過言ではないと思っている。

 言ってしまえば力業ではあるのだが……容赦無く強引に捻じ伏せる姿勢もまたⅢXの強さの一端であり、ⅢXの『アイコンソング』としての存在感と説得力がある。