巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

"今"貫きたかった『我』が紡いだ"奇跡の刻と物語"

 普通なら、自分が参戦出来なかったライブの所感なんてモノは書こうとも思わんでしょう。Wake Up,Girls!のファイナルツアーに限定するならば、俺が参戦出来なかった
7月の座間の1日目と10月の大阪の参戦レポは書いておりませんしまず書こうという気にもなりませんでした。で、先日の岩手公演についてもそれは同様なモノで終演後の参戦勢の感想を散見しても変わらないだろうと思っていた。
俺が参戦出来なかったライブの所感を書くのは3月に開催された
WUGのソロイベント青山吉能さんと吉岡茉祐さんの公演の所感で終わりなのだろうと…

 


だが…昼公演終了後の参戦勢の感想を散見し、その感情は見事打ち砕かれた。
上手く表現が出来ないのだが…これは又聞き状態でもいいから拾い集めていつか本当に何もかもを忘れてしまうその前に、真に伝えたかった本気の想いを形にするべくPCのモニターとキーボードに差し向かっておる。これはそういう奴が書いた暴論と私見による所感であります。

 

 


 所感を書くにあたりまず俺は、見たくはなかったWUGチャンネルの解散特番での
"彼女"…奥野香耶さんのコメントを再び観た。
これは参戦出来なかった俺がこの岩手公演の所感を書くにあたって奥野さんの想いをどうにか汲み取る為に必要な事だった。


―もっとWUGとしてやりたかった事は沢山あります。でもその気持ちをこれからはじまるツアーとか来年の三月まであるWake Up,Girls!の活動で皆様にお伝えしていきたい―

伝聞での事だが…彼女は三月のバスツアーの際に開催された五周年ライブで
『ここまで七人誰も欠ける事無く来れてよかった』と言っていたと聞く。
あくまでも自分の印象ですが彼女は抱いている想いを分かり易く表には出さない方。
ですが…あの日の彼女は明らかに違う、悔しさや抗い様のないモノへの怒りの様な感情
そして、今後の展開が見えなくともまだ何かが見つかるのではないかという想いを遂げられない無念さが混在し抑えきれずに感情が溢れ出してしまったのでしょう。


あの日の彼女が見せていた悔しさを滲ませながらも限られた終焉の刻にきっちりと向き合い、我々への感謝を表す言葉を述べた。
受け入れ難い現実を突きつけられ、悩み熟孝した末に掴んだ答えを携え、自身の故郷・岩手公演にて企画コーナーのプロデュースに臨んだのだろう。
遡る事……今年の3月。奇しくも同じ岩手で開催された彼女プロデュースのソロイベントにて、奥野香耶という表現者はとんでもないモノを魅せつけたと聞く。
昼公演では観た者を多幸感に包み込む演出であったが、夜公演ではまるで観た者の魂を粉々に握り潰したかの様な落とす構成を魅せた。
言うなれば、奥野香耶の(表現者としての)狂気の領域を魅せたというべきか……
自分が圧し込んでいた未知の表情を曝け出しても繋がる覚悟を問い、そして踏み込んでくれると信じているからこそ魅せたのかもしれない。
その彼女がこの岩手公演では企画コーナーをプロデュースするとの事で参戦勢は戦々恐々とされていたと思います。


ですが…奥野香耶さんが魅せてくれたモノ…それは"奇跡の物語"だったそうです。


 同郷の詩人・宮沢賢治の詞『雨ニモマケズ』をモチーフにした奥野香耶さんの独白から始まりWUGのオーディション当時の心情、故郷・岩手の風景と自然と風の匂い。そして自分と同じ境遇下にあるオーディションの受験者達。
その結果彼女は合格を勝ち取りWUGのメンバーとなり、ここまでの軌跡を振り返り、東北や故郷、家族、共に軌跡を往く仲間、ファンへの感謝が詰め込まれた奥野香耶さんの魂の言葉。そして……今後に向けての彼女の強い決意と覚悟を示す言葉であったとも伝えられている。

 


で、奥野さんの独白が終わると地元岩手県盛岡市宮古市、東京を拠点に活動する合唱団『イーハトーヴシンガーズ』が登場して、奥野香耶さんとの合唱が披露されたそうです。

 

 


披露された楽曲は昼公演は『イーハトーヴの風』で夜公演は『旅立ちの時』
望郷の念と愛が詰まった楽曲である『イーハトーヴの風』
未知の領域へ踏み出し歩んでいく勇気を押す楽曲『旅立ちの時』

企画コーナーの締めとして披露されたのが…このファイナルツアーでは初披露。
遂に歌われる事となった


『言の葉青葉』


楽曲というモノはここしかない!という出し所があると自分は思っております。
樹木の持つ生命力と人の持つ生命の強靭さを照らし合せた『生命の楽曲』である
この楽曲を東北の地で歌う事の意味と重さを奥野さんは熟知されている。
ファイナルツアーが東北で開催されるのはこの岩手とPart3千秋楽の仙台のみ。
勿論、他の開催地で歌っても何ら問題はないが、よりこの楽曲の力が増幅し心に沁みて響くのが東北で歌われた時だと自分は思えます。
そして、奥野さんは観客に一緒にある箇所を歌って欲しいと呼びかけたとの事。


がんばってねと かんたんに言えないよ


Wake Up,Girls!『言の葉青葉』より引用


言葉には出来ない。ただずっと一緒にいようという単純で純然な想い…


東北の地を襲った歴史的な天災から七年の刻が経った。負った傷と傷跡に向き合う人もいればその逆の人もいる。簡単に言える言葉じゃないが、覚悟を持って踏み込まないと何も変わらないのもまた事実なワケで…解散=終焉の刻にて終わってはしまうが樹木の葉が枯れて散っても季節が巡ればまた芽を出し覆い茂る。
決して散るためだけに存在しているワケじゃない。終焉の刻はあくまでも一つの区切りであると…奥野香耶さんは伝えたかったのかもしれません。
企画コーナーが終演した時、観客はスタンディングオベーションにて奥野香耶さんに感謝と賛辞の念で応えたそうです。

 


岩手公演の主役は今更言うまでもなく岩手出身の奥野香耶さんでしたが、俺は勝手ながらもう一人の人も主役に挙げたい。


その人は…WUGのセンター・吉岡茉祐さんです。


こいつは俺の完全な暴論で、尚且つ結び付けて良いモノかと悩みましたが…非難承知で書いていきます。
彼女は東北の震災を取り上げた舞台作品『希薄』で、岩手・大槌出身の人物『松岡未来』を演じられました。吉岡さんがこの岩手公演に懸けていた想いは分かりませんが、きっと並ならぬ想いを抱きこの公演に臨んだと思ってます。
"未来"を象徴する人物の魂と吉岡さんとの魂が繋がり奥野さんと同様に終焉後の未来を見据えている。伝聞だが、この日の彼女の"絶唱"はまた新たな進化と力強さが滾ったモノだったそうです。その領域まで押し上げたと思えるのは松岡未来の魂が彼女に寄り添っていたと勝手に思っております。そして…感極まって泣きそうになると洩らしていたそうですが、その要因の一つとなっていたと思われるのが岩手の地への想いだったのではないだろうか……

 

奥野香耶さんにとっても特別な公演、でも俺は吉岡茉祐さんにとってもこの岩手公演は特別な公演だったと思えます。

 

 

最後に……


表現者としてのエゴという『我』でなく、一人の人間である奥野香耶としての『今』抱いている本気の想いという『我』を貫いた。そこに詰め込まれた彼女の深愛の情
彼女は楽しめる構成や様々な解釈をさせようという構成にしなかった。
表現には正解の無いモノ。勿論上記の様な構成でも何ら問題はない。
ですが…奥野さんはその選択肢を捨て、余計なモノを極限まで削ぎ落としたシンプルで純然な感謝の想いを伝えたかったのではないだろうか。
彼女の魂を育んだこの岩手の地を参戦された方達に楽しんで愛してもらいたい。
Part1のパンフレット内のインタビューで奥野さんは言っておりました。


ー岩手楽しかったなって思い出が残るおもてなしの気持ちを込めたライブにしたい―

この所感を書くにあたり、現地に行かれた方のツイートも拝見させていただきました。
街の風景や地元の名産や岩手の風と雪景色。
吉岡さんの話になるが、彼女が出演された舞台『希薄』にも登場した大槌を訪れた方もいました。その土地でしか体感出来ない事や空気感を知り奥野香耶を育んだ地を知り・楽しむ事。奥野さんが大切にしていた深愛の情を参戦された方はありったけの情熱で応えたから奥野香耶さんの偽らざる本気の想いと魂が"奇跡の刻が紡いだ物語"へと昇華出来たのだと思われます。
参戦は叶いませんでしたが参戦された方々の感想を散見し、知って忘れない為にも文章という形式にて書き殴らせていただきました。

 

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 岩手の大地にて、奥野香耶さんの本気の想いと魂と深愛の情が起こした
奇跡の刻の物語とその物語を体験され感想を綴っていただいた参戦勢の方々に
礼賛と感謝の念を込めて本稿を締め括りたいと思います。

 

 

本当にありがとうございました。