巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

再生と破壊の向こう側ーBIG4編・36話~45話を斯く語る

 ―彼女達も『呪縛』に囚われた子達だった。

 


 この物語……それは、先日追加された『IDOLY PRIDE』メインストーリー・BIG4編の36話~45話を観終わって真っ先に浮かんで来たインプレッションがそれだった。

その彼女達とは、BIG4編の主軸となっている月のテンペストの四人。リーダーでありセンターでもあった長瀬琴乃がグループより脱退して、何やかんやの末に(それに至った経緯はこちらの記事で)成宮すずをセンターに据えて、四人体制による新生・月のテンペストとして活動をしていく事に。

大きな傷を負いながらも、それに屈せずに前へ進んでいく事を決断した、渚、沙季、すず、芽衣の魂の再生と戦いの物語を見た所感を書き殴っていこうと思う。

 

 ※本記事では、メインストーリーのネタバレが大いに含んだモノとなっており ますのでご注意下さい。所感と考察につきましては、個人の思考や所感から導き出した一つの考えになっています。当然ながらここから書いたモノが絶対に正しいとは言えませんので、あくまでも個人の所感や考察の一つとして捉えていただけたらと嬉しく思います。
 

 


 アイコン在りきのグループという『呪縛』


 グループでの活動は抑えながら、ソロでの活動や練習に明け暮れる四人。
牧野のバックアップと四人の努力の甲斐あって、持ち歌が一通り四人でこなせる程になった。そんな中、渚はLIVEに出演していく事を提案する。で、どうせLIVEに出るのならライブバトルを仕掛けていかないかと芽衣が問いかける。

沙季が言及していた様に、身内のLIVEでは月ストのファンの多い温かいモノ。それも良いモノだけれど、ライブバトルとなると、相手側のファンや中立的なファンもいて、月ストを見る目は当然厳しいモノになる。しかも今の彼女達はアイドル業界での注目が集まっている状態。

勿論、簡単な道じゃない。どりきゅんに惨敗した時の様にまた深い傷を負うかもしれない。でも、リスクを負ってでも戦う刻だと四人は共通認識を抱いていた。ベクトルを前の方向へ変換させた芽衣の直感から導き出された提案は、そっちの方が何か楽しいんじゃないか的なモノかもしれないが、いつかは踏み込まなきゃいけない領域。

ここでのすずの発言もまた良い。アイコン(琴乃)脱退という最大の危機を乗り越え、結束をより深めた今の月ストの力を試したい。そんな気概を感じさせる。彼女も、芽衣と同じく月ストを前へと推進させていく役割を担っている。


 そんなこんなで、ライブバトルへと積極的に挑んでいく事にした四人。勝ったり負けたりを繰り返すが、一戦毎に一喜一憂するのでなく、得られたモノや足りないモノと真剣に向き合う。そして、彼女達の本気の戦いは、五人の頃とは違って四人四様の良さがあるという好意的な評価を得る。コレは、四人が必死に本気で頑張って来た証明でもあり、確かな手応えとして自信も得る。

この自信を得るというのが、新生月ストには必要な件だったと思える。過去の失敗(=スリクスとどりきゅんに敗北)と、好調なサニピ、トリエル、リズノワに付けられてしまった差との比較に思い悩んでしまって自分達を見失ってしまった。その影響をモロに受けてしまったのが琴乃だった。

 長瀬琴乃は、良くも悪くも紛れもなく月ストのアイコン(象徴)。
そのアイコン(琴乃)が放つ輝きと熱は途轍も無いモノ。良い状態なら何の問題も無いが、悪い状態になってしまうと、四人もそいつに引っ張られてしまう危うさがある。BIG4編で月ストが苛まれていた絶不調は、琴乃の状態(特に精神状態)が極めて悪かった事と結び付く。


『以前の……五人の月ストは、傍から見ると長瀬さんに頼っている、長瀬さんのワンマンに見えていた』

 コレは、対戦した『Day dream』の上川郁実が対戦して感じた今の月ストへの評価。当然、四人がこれまで何もしていなかったワケじゃないし琴乃への無心の信頼はあった。ただ、それは芽衣が言った様に無意識で琴乃に甘えて依存してしまった事でもある。勝手な解釈だが、四人は、どこか琴乃を特別な存在として線引きして、これまでの四人は無意識に『我』を抑えてしまったとも言える。琴乃の方もまた、クソ真面目で責任感の強さ故に、自分が支えなきゃという強い思いがあった。

 琴乃が抜けたという劇的な変化は彼女達に危機感をもたらし、各々の力で支えなきゃいけない生存本能に火が点いてこれまで以上の『我』の開放へと至った。同時に、長瀬琴乃という『呪縛』から四人が解き放たれる刻の幕開けになった。

 

 

 予期せぬ再戦の刻。そして隠された真意


 月ストがライブバトルに挑みまくっていた頃、どりきゅんが生配信でBIG4チャレンジで次の対戦相手を指名した。その相手は…以前対戦した月スト。まあ、再戦する流れになるってのは予想の範疇だったが、それはもっと先の話で琴乃が月ストに戻ってからなんだろうと。まさか四人の月ストに再戦を持ち掛けるってのは予想出来なかった。

しかもこの再戦は負けイベントってヤツ。琴乃抜きでの月ストが勝つ流れは有り得ないし、そもそもやっちゃいけない展開。(実際ちゃんと月ストは負けた)

そこはまあ置いといて。何故、どりきゅんは四人の月ストに死者に鞭打つ行為でしかない戦いを申し込んだ…と言うかはワザと煽る様に再戦要求したのか?個人的には、二つの理由が考えられる。ただ、コレは自分の勝手な考察になるのでそこら辺は注意して読んでいただきたい。


 まず一つ目は、来夢とれもんが『ライブバトルで潰し過ぎた』と言っていた様に、挑んで来たアイドル達を徹底的に打ち負かした挙句、挑んで来る相手が激減してしまった事。単純な話、彼女達が言う通り、本当に挑んで来る相手がもういなくなったのも分かる。しかし……ここで疑問が湧いて来る。

作品には、月スト以外にも当然アイドルはいる。どりきゅんと同じBIG4のサニピ、BIG4に近いランクのトリエル、更にはリズノワやスリクスもいる。何も月ストに再戦を持ち掛け無くても相手はいるワケだ。彼女達の苛烈な闘争心から来る誰とでもバトル上等という気質から、サニピ、トリエル、リズノワ、スリクスに怖れを抱くのは考えられない。ただ、指名してもフラれまくったと言っていた事から察すると、そもそも受けてもらえなかった線が濃厚なのだろう。

それと、ここでは月ストを主軸にしていくというテーマが骨格になっている。他のグループまで介入した展開まで描いてしまうと物語の尺がクソ長くなるからその件までは触れないのだろう。それは、ここまでの物語で、サニピがちょいと出て来る程度で、トリエル、リズノワ、スリクスは全く介入して来なかったのがその証明かもしれない。

 挑んで来る相手もいない。こっちから指名しても受けてもらえない。そんな時に、琴乃が抜けても直向きに戦っている月ストの敗れてもなお戦い続ける気迫に興味が湧いて来た。そんな相手と純粋に戦いたいという闘争本能に火が点いたのかもしれない。

 
 二つ目は、現在どりきゅんにくっついている琴乃の為。
月ストから脱退して、更なる個のチカラを求めどりきゅんの懐へ飛び込んで、共にレッスンをしてLIVEにもくっついている琴乃。しかし、傍で見れば見るほど彼女達の凄みに圧倒されて魅了されてしまってもいた。

おそらく、それは琴乃にとって衝撃的なインプレッションだったのだろう。純然な憧れと言い換えても良い。二人のあらゆるモノを吸収したいと思って近づいたが、想像以上のインプレッションを受けて、二人へのリスペクトへ変換されてしまったとも言える。それが良いか悪いかは問題ではない。いつかは打ち負かさなきゃいけない存在だが、圧倒的なチカラと存在感に魅せられて惹かれていってる感情が釣り合っていない状態。

 そんな琴乃を見て、来夢とれもんはいろいろ思う所があった。二人は事ある度に琴乃に意見を求めた。でも、琴乃は即座に意見を言えなかったし、二人に言われる前に琴乃が意見を言う事も無かった。確かに、技術や体力が向上はしたが、根本が変わっていない以上、コイツ(琴乃)はここにいても意味が無い。来た頃の闘争心や向上心は抜け落ちていた…いわば全てを捨てる覚悟が琴乃から感じられなくなったのだろう。

 そんな折、四人でも戦い続けている月ストの事を知る。彼女達がちょうどいいと言ってたのは、琴乃が抱いてる月ストへの未練を打ち砕いて肚を括らせる事。そして…もう一つ。個人的にはこちらの要素が強かったと見終わった段階で感じられたのが、琴乃を月ストへと追い出す(戻す)事。コレは後述で触れる要素と繋がっていくのでここで詳細は語らない。

 

 

 怒りと悲しみ。そして…決別の一撃


 訪れた月ストとどりきゅんとの再戦の刻と機。どりきゅんに言われて琴乃もその場に来ていた。
琴乃にとっては望んでなかった月ストとの再会の刻……彼女は言う。『今のままじゃ……四人の月ストじゃ、勝てない』と。まあ、全体の展開的に四人で勝っちゃマズいし、そもそもコイツは負けイベントだと思ったのは内緒。

当たり前だが、琴乃の言い草に対して『はい、そうですね』とは言えないし納得出来ない。四人からしたら、勝手に抜けたオマエに好き勝手言われる筋合いは無いって所だろう。すずと沙季は怒りを露わにし、すずをなだめた芽衣も本心では彼女達と同じ心情だっただろう。で、渚だが……琴乃に対して想定外なアクションを起こしこの物語を見た全ての者を驚愕させたと言っても過言では無かった。

 

 

 渚は、琴乃の頬を引っ叩いた。琴乃に対していろんな感情が一気に滾って噴出したのだろう。(引っ叩く前に拳を握る描写があったのでそのまま拳で殴るんぢゃねぇかと思ってしまったが…)言葉を以て対話に臨もうとした。でも、琴乃は聞く耳を持たなかった。彼女が脱退していろいろと悩んでもがいて、抗う四人の決意を軽いモノとして扱われた事にキレたってのもあっただろう…そして、琴乃の信念がブレまくってまともに四人と目を合わせられない情けなさが悲しかった。もう、渚の理性で抑え込める範疇を超えてしまった。あと、ウジウジ甘ったれるのもいい加減にしろという心情もあったかもしれない。

 

 

 琴乃ちゃんが抜けて四人になった私達が ただ弱くなっただけだと思った?

 
 ……ふざけないで


 私達は……私達だって、もう……琴乃ちゃんがいた頃の四人じゃない


 私達は、四人でどりきゅんに勝ってみせる


 そして私は ―長瀬琴乃を超えてみせる

 

 

 勝ちたいのは琴乃だけじゃない。自分達も同じ想いだと。いくら言っても分からないのなら、確固たる結果で示すしかない。頑固な琴乃に一番伝わるのがその方法しか無いってのも渚は熟知している。超えてみせると言い切ったのは、強くなった意志表示でもあるのと同時に、琴乃に囚われていた呪縛から解放されて背中の先が見えた事でもあったのだろう。そんな想いとPRIDEがここでの渚の言に凝縮されていると思える。ここでの夏目さんの声色が絶妙過ぎて鳥肌が治まらんかった。


 そして…いざ決戦の刻。どりきゅんはある提案を持ち掛ける。それは敗者のグループ解散を賭けるモノだった。無茶苦茶な提案だが退くワケにはいかない。負けたら終わりという極限状態で挑む戦いで、月ストは全身全霊をパフォーマンスに乗っけた。この戦いを観ている琴乃へ本気の想いとPRIDEが届けと……それは琴乃が驚愕するほどの成長の証として魅せ付け、五人の頃でも出したことが無い高得点を叩き出した。

 散々触れたが…この戦い、月ストは負ける。五人でも出した事が無い高得点ってのがいい敗北フラグとして効きまくっていた。どりきゅんのパフォーマンスはまさに圧巻の一言。彼女達も、これまで以上の限界を超えた領域でのパフォーマンスになっていて終わった後はかなり消耗していた。来夢曰くいつも以上に熱くなったと。もしかすると、限界領域の先を引き出してくれる期待を抱いて四人の月ストへ戦いを挑んだのかもしれない。

 個人的妄想という事を言っておくが……このバトルに負けた方がグループ解散という提案。
バトル前での琴乃と渚のいざこざで閃いた様な描写になっていたが、おそらくは月ストにバトルを申し込んだ段階で目論んでいたのではないだろうか。それと、覚悟が揺らいでブレてる琴乃への最後通告の意味もあった。

一線を超えて修羅の道へと踏み込む覚悟はあるのか?もしくは、徹底的に壊された(解散した)月ストへどうにかして戻って戦う道へ踏み込むのか?選ぶのは琴乃自身だという事を分からせる為に彼女を戦いの場に連れ出した様に思えてしまう。それは、身を切り裂かれる様な苦痛に等しいが、琴乃が自分で決断して踏み込まなきゃいけない事なのだ。

 

 

 最後に。


 この物語が、どうやってちゃんとした落し所に至るかは、この時点では全く想像が出来ない。目前に迫っている追加分の46話~50話の間で決着とはならないだろう。

これまで以上に打ち負かされ、どん底へと突き落とされた月ストの四人と、繋ぎ止めていた最後の望みまで失ってしまった琴乃。これを彼女達の宿命と呼ぶなら残酷な話。それでも……琴乃、渚、沙季、すず、芽衣の魂とPRIDEという焔は燃え尽きていないのか。敗れて尚、あきらめられないもの。もしかすると、月のテンペストが真に再生する物語はこれから幕が上がるのだろう。

 そして…この五人でしか謳えない歌がある。それは、彼女達にとっての最強の切り札。あえてその楽曲の名はここでは出さないが……自分はそいつを見てみたい。コレは完全に自分のエゴという望みでしかない。でも、あの楽曲の歌詞がここまでの状況をひっくり返す反抗のシンボルでもあり、本編に出すのならここが一番最適だろうなと思うから。

 

 

弾ける意志と開花の刻ーShizuku's Memoriesを斯く語る

 先日、サニーピース番外編・兵藤雫のストーリーが追加された。
アイドルの過去を掘り下げていくこの番外編、最も待ち望んでいた彼女の過去が明らかになるのは非常に楽しみだった。

実際に見て、ある程度予想していた通りの内容でもあったが、それ以上の情報量もあり、受けたインプレッションは大きかった。ストーリーを見て感じた事、雫の過去とアイドルへの軌跡に踏み出していったのかを振り返る意味を込めて所感を書き殴ってみようと思う。


※本記事は『Shizuku's Memories』の内容について、多数のネタバレを含んでおりますので、ストーリーをご視聴の上でご一読下さい。



 

 憧れと夢の原点


 雫の番外編は、彼女がある人物と電話している場面から始まった。
電話の主は秋宮もねという女性。彼女は、雫の年が離れた従姉でアイドルをしているとの事。雫のプロフィールの好きなモノの欄に記載していた従姉の存在が明らかになったワケだ。

通話の内容は、もねがアイドルを辞めるというモノだった。当然、雫は彼女の決断には納得出来ず、思いとどまらせようと説得するがもねの意志は固かったと。

 雫ともねの関係は本当の姉妹の様に仲睦まじいモノ。ある時、もねがアイドルのオーディションに受かってデビューが決まる。そして、雫は彼女がアイドルとして輝く姿に魅了されてLIVEにも通う様になっていき、もねに憧れて自分もアイドルになりたいという夢をおぼろげに抱いた。

雫にとって秋宮もねは、憧れの存在でありアイドルの象徴だった。いつかは、雫がアイドルとしてもねと一緒のステージで歌って踊る事も夢見ていた様に思える。前述した様に、もねの引退は雫にとって受け入れられるモノじゃない。だが、もねは無情な現実を雫に突きつける。長くやって来たからこそ見えてしまったモノと、いつまでもアイドルではいられないという現実を。

 コレについては、怜の親父さんも触れていた事で、アイドルの華やかな部分のみならず無情な現実も突きつける要素も織り込んで来るのはアイプラの根幹だと思っているので、きっちり描かれていたのは良かったかなと。

 


 
 夢を嗤う者


 人が夢を公に語った際、様々なリアクションが返って来る。
好意的に応援する者、所詮は他人の夢として無関心な者、そして…否定して嘲笑う者。

もねに背中を押される形で、雫はアイドルになりたいという夢を公にした。だが、世間ってヤツはそんな優しいモノじゃない。雫自身も自覚している様に、根暗で無口な彼女がアイドルになりたいという夢を陰で嗤う者の存在を雫は知ってしまった。

世間一般のイメージとして、アイドルという存在はまずどんな時でも笑顔を絶やさないという固定概念があって、愛想の無い雫には絶対無理だという決めつけから嘲笑う。

 この辺りから、言葉を選ばず書き殴るが…この過去編の1話後半から2話全般が胸クソ悪いインプレッションになる。ただ、それが後の爽快なカタルシスへ昇華していく過程が見事だった。

『EVERYDAY! SUNNYDAY!』のMVでも描かれる雫の負の過去にもあったが、前述した様にアイドルになりたい夢を冷ややかに否定される描写がある。まあ、コレは予想出来たモノだったが、そこからの展開が実にクソ過ぎて視聴者のヘイトを見事に爆上げしていく。

 最初は、からかわれるだけだったり陰で嗤うだけだった。ここまではある程度予想していたモノ。だが、その先からの展開がマジで胸クソの悪さしかないインプレッションとなっていく。

雫がLIVE帰りにオタク仲間と饒舌に語り合う模様をクラスメイトに見られてから、彼女への風当たりがエスカレートしていった。つまりはいじめのターゲットにされた。担任の教師も雫の言い分を聞いてくれない。さくらみたいな友達がいたら…という雫の言から察するに学校で雫の味方は誰もいなかった事がうかがえる。

ただ、雫の味方がいなかった事に関しては、自分は好意的に捉えている。彼女の夢を嘲笑っていじめた行為にはマジでクソ以外の何物でもないが。ここの描写では生徒想いの熱血教師や気骨に溢れ雫を助けて応援する友達は必要無い。徹底的に雫を孤立させる人の業と悪意が重要だった。



 

 運命に導かれて門を叩く


 いじめられて孤立したしてしまった雫が最悪の道へ踏み出さなかったのは、アイドルの存在に救われていたから。そして、雫の両親やもねも彼女の味方だった。この時の雫は、アイドルを見て現実から逃げてるだけと自嘲していたが……逃げるという行為は、環境を変えて前に進む事と同じ意味だと自分は思っている。

 父親の転勤で、東京から星見市へと引っ越す事になった兵藤さんご一家。おそらくだが、雫の環境をどうしても変えたいという想いで自ら異動願いを出したんじゃないかと解釈している。まあ、担任教師に娘のいじめをどうにかしろと直談判したが、さらにエスカレートさせた様なクソ教師に不信感を抱くのは当然な話。単なる転勤だと雫に伝えていたのは、彼女に要らぬ心配をかけさせたくなかった父親の気遣いだったのだろう。

 この星見市で雫が言った様に運命の扉が開かれる事になる。丁度その頃、星見プロダクションでは新人アイドルオーディションを開催する話があった。この刻の巡り合わせも雫が避けられない運命の導きなのだろう。しかし、雫はアイドルではなくマネージャーへの道に進もうとしていた。

その根底にあったのは、彼女自身も自覚していた上手く笑えない事へのコンプレックスから自分はアイドルには向いていないと決めつけてしまった事。周りに嘲笑された事も影響しているのだろう。もねが言及した様に、雫の頑なさは『呪縛』といっても過言じゃなかった。何らかの呪縛ってヤツもアイプラの根幹を成すモノ。

 自分の持つアイドルへの知識を活かせるのは、マネージャーになる事だと思った雫は、マネージャー志望として星見プロの門を叩いた。アイドルオタクでもある雫は、麻奈のマネージャーである牧野が高校生の頃から就いていたという話を知っていた事もあるのだろう。この一連の流れは本当に意表を突かれた展開だった。

意気揚々とアルバイトの面接へと乗り込んだ雫。だが、ここで彼女の運命を大きく変える出来事が起こった。それは、未来の刻でサニーピースのメンバーとして一緒に活動する佐伯遙子との出逢い。ちなみに…遙子の事は事務員だと雫は思ってたらしいww

 遙子の勘違い(ファインプレー)で、アルバイトではなくアイドルのオーディションへ通されてしまった雫。勿論、雫はその事を知らずアルバイトの面接として面接官の牧野と対峙した。当たり前の事だが、二人の話が噛み合うワケがなかった。

話が飛ぶが、遙子がさくらと一緒に雫の過去の聞き手にいたのはサニピ結成前から繋がった縁なのかと思わず膝を叩いてしまった。更に、遙子の勘違いした要因として自分が解釈しているのは、雫の中に眠っていたアイドルとしての可能性を本能で感じて無意識にオーディションへと導いた。それは、運命のいたずらってヤツなのかもしれない。遙子が勘違いしてしまう程に、雫がアイドルのオーラを発していたのだろう。多分……



 

 呪縛からの解放と開花する可能性


 意気揚々と臨んだ面接が予期せぬアクシデントにより失敗に終わった雫は意気消沈していた。でも、そんな彼女に運命は下を向く暇を与えてはくれなかった。牧野から連絡が来たのだ。しかもアイドルとしてのスカウト。雫と接して言葉を交わした時に彼の中で何かを雫に見出したのだろう。もしかすると…当時、彼にくっついてた幽霊の麻奈の方が、雫に何かを感じて助言したかもしれない。

牧野の電話により星見プロへと呼び出された雫。そこで雫はダンスレッスンに励んでいるさくらを見る。数多のアイドルを見て来た雫は、さくらのダンスが経験不足による実力の無さを一発で看破した。でも、その一所懸命さと楽し気に踊るさくらの姿に惹かれるモノを感じていた。技術があるのは勿論大事だが、それがアイドルの全てではない事も雫は充分に知っていた。

 牧野は言う。『アイドルという夢を目指す仲間と一緒にアイドルをやってみないか?』と。当然ながら、上手く笑えない事にコンプレックスを抱きアイドルには向いていないという呪縛に囚われている雫は首を縦に振れなかった。それでも牧野は雫にこんな言葉をかける。

 


 兵藤さんはアイドルに向いているよ。

 こんなにアイドルを好きな子がアイドルに向いていないはずないだろ。

 誰よりもファンの気持ちが分かる君なら

 誰よりもファンを大切にする素敵なアイドルになれる。

 

 

 自分の事は自分が一番分かっているという言葉がある。でも、自身の中に秘めている無限の可能性を自分自身が一番分かっちゃいないってのもまた真実。雫の場合は自己肯定感が低かったからかそんな秘めた可能性を信じられなくて挑めなかった。それが彼女が囚われてしまった呪いの正体。

そして、ベタな物言いだが…運命も雫を見放さなかった。彼女はなるべくしてアイドルになる存在。どういう軌跡を歩んで来ても雫がアイドルになる事は逃れられない真実なのだろう。お前(雫)がどう思っていようが関係無い。お前の往くべき道はこっち(アイドル)なんだよって。

 雫にとって、家族以外と同好の士であるオタク仲間以外の人は信頼出来なくて、繋がりの希薄な他人は純然な憧れと夢を否定して嗤う『敵』でしか無かった。でも、そんな憧れと夢を他人が初めて肯定してくれた。もね以外にも、雫がアイドルに向いていると言ってくれた他人に出逢えた事は、雫にとって本当に嬉しい事で勇気が湧いて来る事。同時に置き去りにしてしまった本当の想いと熱を呼び醒ます刻でもあった。

 


 私……喋るのが苦手で……人と関わることも下手で……

 上手に笑うことも出来ないけど……

 それでも……そんな私だけど……アイドルになりたい

 ずっと見上げてたステージに、私も立ちたい

 だから、お願いします……私をアイドルにして下さい!

 

 

 あの長瀬麻奈と共に戦って来た者が雫の可能性を信じてくれた。でも、それ以上に雫が嬉しかったのは、アイドルへの想いを嗤わずに肯定してくれた牧野の言葉。雫は夢を懸けてみようと本気で思って偽り無い意志を示した。自分を信じる積み重ねが苦手で出来なかった彼女が他人と自分をようやく信じられた瞬間でもあったのかもしれない。



 

 お疲れ様とありがとう。そして、受け継ぐ想い


 雫の過去編において、最も重要な役割を担っていたのが秋宮もねだと思っている。
雫にとっては実の姉の様な存在だし、アイドルという夢を抱く切っ掛けとなった憧れの象徴。秘めた可能性を信じ、手を差し伸べてずっと味方でいてくれた人。そして…未来の雫の姿。

 冒頭の項でも触れたが、雫の過去編の幕開けは、もねが雫にアイドルからの引退を告げる話から始まった。この作品のアイドルは例外なくデビューしたらVENUSプログラムへとエントリーされる。描写が無い為、もねがどれぐらいのランクにいたのかは分からんし、そもそもソロアイドルなのかグループに所属していたのかも分からない。

引退に至った理由を彼女が雫に説明していたが、アイドルや仕事に嫌気が差したワケでもなく、大きな何か…契約解除や何らかの病気や怪我を抱えていたワケでもなかった。小さな事の積み重ねが限界を超えてしまったからだと。

 まず考えられるのが…もねの年齢。雫とは年が離れているという事から、miho(24歳)と同年代かそれ以上だと勝手に思っている。勿論、アイドルが年齢制限のある仕事ではないが……遙子がサニピメンバーで最年長ってのを気にしている描写があるので(遙子も充分若いが…)もねも気にはなっていたのかもしれない。

 そして……おそらく、現在の刻で雫がアイドルとして活躍している事も影響している。自分の解釈としてはコレが決定打になったと勝手に思っている。

雫も思っていた様に、もねも彼女と同じステージに立って一緒に歌う夢を持っていたはず。でも、その夢を果たす事は叶わなかった。おそらく、このままアイドルを続けていてもチャンスは無い事をもねは悟ってしまった。

この過去編がどの時間軸で描かれていたのかが全く分からないが…仮に、東京編の後だとしたらサニピは『BIG4』の座にいる。ライブバトルのマッチアップは簡単にはいかないし、共演へのハードルも異常に高いモノ。つまり、雫がアイドルとして順調に活躍すればするほどもねとの共演の夢は遠ざかってしまう。まあ、雫に引導を渡されたと言っても過言ではなかった。

 同じアイドルの軌跡を往く事で、もねは雫と肩を並べて同じ軌跡を行ける存在ではない事を思い知らされたのかもしれない。アイドルに向いているってずっと激励し続けていたのはそれだけの才能を雫に感じていた。例えようの無い複雑な感情がもねの中で駆け巡っていただろう。
それでも、雫がアイドルとして活躍出来ている事や心の底から信頼出来る仲間に巡り逢えた事は本当に喜ばしくて、彼女の中で一つの踏ん切りがついたのだと思えてならない。

 そして、もねに雫がすべきなのは、引き留めて辞めるのを思い留まらせる事じゃない。
過去に囚われ、正しい行き先も生き方も分からなくなってしまった。そんな自分の手を離さなかったもねに、ちゃんとこれまでの感謝と労いの言葉を送る事。そして、未来での雄飛を誓う。

 雫にとって秋宮もねというアイドルは唯一無二の象徴。一緒のステージに立つ夢は叶えられなかったが、もねのアイドルとしての想いとPRIDEを背負って雫はトップアイドルへの軌跡を往く。5話の二人による誰にも割り込まれない対話の刻。これは互いに前へ進んでいく為に必要な決別の儀式。胸クソの悪いインプレッションを抱いた雫の過去から、このクライマックスの純然を極めた清々しさに形容し難いカタルシスを抱いた。

 

 

 

 終わりに。


 雫の過去編のテーマになっていたのは、『言葉が持つチカラ』だったのではないだろうか。
そう感じたのは、雫と瑠依がユニットを組む事を描いたイベントストーリー『並び立つ歌姫のフルリール』(5話)にて、雫の口数が少ない理由を『凄く言葉を大事にしているから』という渚の台詞。雫はその力の強さを思い知ってるから迂闊にモノを言わないのだと。それは雫のパーソナリティの一端を担っている。

 言葉が持つチカラは尋常じゃない。 人を救ったり勇気を湧かせる事もあるが、同時に人の魂を容赦無く切り刻む凶器にもなる。雫も、幼い頃に抱いたアイドルへの憧れと夢を肯定してくれる優しい言葉に勇気が湧き、LIVEを一緒に見た同好の士と感動や興奮を共有出来たり、もねは雫から感謝と労いの念が込められた餞の言葉をもらってやりきった清々しさを抱いたりした。

 一方で、夢を嗤う悪意に満ちた凶器の言葉に魂が蝕まれて、消えない傷痕は呪縛になってしまった。時には、口下手な自分をもどかしくて呪ってしまっていたかもしれない。言葉の持つチカラに良くも悪くも引き寄せられて翻弄されていた。そんな彼女が『アイドルになって良かった』と、呪縛から解かれ胸を張って言える様にまでなれたのは本当に凄い事だったんだなと胸に熱いモノが込み上げて来た……

 

 

 アイドルに憧れて夢を抱いた変わらない想い、他人が認めてくれた言葉のチカラで変わろうと前に踏み出す勇気を奮い立たせて雫の魂が再生されていく過程が丁寧に描かれていた。
兵藤雫という一人の人間とアイドルの過去・現在・未来への誓いの物語は想像していた以上に重苦しい場面もあったが、そこを暈さずにきっちりと織り込み血の流れた物語として見応えがあり素晴らしかった。

 

 

 

極めて近く、曖昧になっていく≒という領域

 『IDOLY PRIDE』を愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか?あかとんぼ弐号でございます。

自分が『IDOLY PRIDE』に惹かれて、作品、楽曲、ゲーム、そしてLIVE参戦へと……いろいろと関わり見ていく内に、ある特別なインプレッションを抱く様になっていった。

だが、これまでそれを文章にしてこなかった…いや、出来なかったのは、そのインプレッションがあまりにもおぼろげ過ぎて自信を持って世に放てるモノではなかった。

 しかし、刻が経っていって、その漠然でおぼろげだったインプレッションが徐々にカタチを成していき…つい先日、IDOLY PRIDEでは初となる全国Tour終焉の地であるZepp Hanedaで、そのインプレッションは確信へと昇華した。

 『IDOLY PRIDE』を知る方には、今更説明不要かと思いますが、この作品には魅力溢れる個性的なアイドルがいて、数多のグループが存在している。
『サニーピース』、『TRINITYAiLE』、『LizNoir』、『ⅢX』、『どりきゅん』、『長瀬麻奈』、『月のテンペスト』……

それらのグループの中で、特別な存在になっていったのが『月のテンペスト』。その理由だが、単純に持ち歌が良い楽曲揃いやLIVEパフォーマンス、キャラクターの個性と魅力だけでは説明しきれないモノ。月ストと他のアイドルやグループとは一線を画す要素が、月ストを『スペシャル・ワン』へと押し上げた。今回の記事で、いくつかの要素を語ってみようと思う。



 Chapter1/月ストとミューレ三期生を繋ぐモノ


 月のテンペストのメンバーである、長瀬琴乃(CV:橘美來)、伊吹渚(CV:夏目ここな)、白石沙季(CV:宮沢小春)、成宮すず(CV:相川奏多)、早坂芽衣(CV:日向もか)。彼女達を演じられているのはミュージックレイン3期生(ミューレ3期生)の五人。

作品のみならず実際のLIVEにおいても、キャスト側の彼女達五人は月のテンペストのメンバーとしてパフォーマンスをしている。コレは、他のグループのキャスト陣も例外無く一緒で、言うなれば演者とキャラクターには超えられない境界が存在している。ただし、コレは自分が今更言及した所でまあ意味は無く、それだけで月ストの五人が『スペシャル・ワン』といった特別な存在にはならない。

 それだけの強いインプレッションを抱いた最大の要因となったのが…『≒』という記号。
双方を≒(限りなく等しいの意)で繋ぐモノ、それは、キャラクター側の月ストとキャスト側であるミューレ3期生との境界がかなり曖昧になっていく意味として、最も適切かと思いこの記号を当てはめた。コレは他のグループとキャストでは踏み込んでいない領域。(サニピは時々入りかけてる感じはあったりする)スフィアのメンバーがそっくりそのまま演じてるLizNoirと、TrySailのメンバーが演じるTRINITYAiLEでもこの曖昧な領域まで到達してない。

 ただ、アイプラのLIVEで謳われる楽曲はキャラクターソング。そこには、受け取る側である我々の様々な解釈だったり貫いて欲しい信念みたいなモノが存在している。その中には、キャスト側のパーソナリティ…キャスト側の生き様という『我』を表に出してはならない。出てしまっているのはまだまだ未熟という意見の人もいるだろう。勿論、そういう解釈は間違いでは無い。

でも……月ストが徹し切れていない未熟さによって、双方の境界が曖昧になる事に魅力を感じてどうしようもなく惹かれている部分がある。



 Chapter2/『IDOLY PRIDE』というプロジェクトの心髄


 これまた今更な話ではあるけれども…『IDOLY PRIDE』というプロジェクトは、サイバーエージェント連結子会社であるQualiArtsと、ミュージックレイン、ストレートエッジの3社共同プロジェクトによるアイドルコンテンツ。ミュージックレインが参画されている事で、所属している声優グループである『スフィア』と『TrySail』、そして、このプロジェクトにてデビューを果たしたミュージックレイン3期生がキャストに名を連ねている。

 で、このプロジェクトで何をしていきたいのか??前述した様に、プロジェクトにミューレが参画されている事からデビューを果たしたミューレ3期生を売り出して実戦経験を積ませていく事が狙いの一つ……もしかするとそれがメインとしてあると思っている。(あくまでも個人的な解釈)

3期生のメンバーが演じられるのは、彼女達と同じ立場でもある新人アイドル。作中のアイドル達がストーリーを経て成長していく様に3期生の成長物語も同時に紡いでいく。その要素が前項でも触れているキャラとキャストとの境界が曖昧になっていく事へと繋がっている様に思えてしまう。

 そう思った根拠は…昨年の夏の『VENUS PARTY The First』後に配信された『アイプラ生放送』の中で、豊崎愛生さんが仰られていた『みんなの真ん中に、星見の10人ちゃんが主人公というか、LIVEの中で真ん中にいるべき…』というコメント。サニピの五人も含まれてはいるが、当然月ストの五人も同様の事が言える。



 Chapter3/月ストへの追加武装(キャスト側からキャラ側へ)


 まあ、武装は大袈裟かつ的外れな表現だがww琴乃、渚、沙季、すず、芽衣のパーソナリティと、ミューレ3期生五人のパーソナリティをそれぞれ見ていくと、重なる部分が結構見受けられる。主になる要素をざっくり挙げてみると……(挙げる要素については異論や反論あると思います)


琴乃&橘さん→凛とした佇まい。クソ生真面目さ故のちょっとした面倒くさい不器用な部分。思いこんだらまっしぐらに駆けられる意志の強さ。


渚&夏目さん→メンバーとの関係性を結んでいる『鎹』的な立ち位置。キメ所を的確に撃ち抜くあざとさ。基本的に、グループ内のストッパー&バランサーだが時折暴走する傾向あり。


沙季&宮沢さん→メンバー最年長。淑やかで上品な佇まいだけれども、どこかマイペースが故の不可思議さと不器用さ。前へ出る覚悟が決まった時の加速したら勢いが凄まじい面。


すず&相川さん→メンバー最年少。ポジティブシンキングさと度胸満点な佇まい。ブレない信念とそれを貫き通せる強さ。


芽衣&日向さん→天真爛漫なムードメーカー。周りを見ていない様だが、実は一番気を配って見ている節がある。


 こんな感じで挙げておいてアレだが……キャラクター造詣について明確にされているモノは分からない。(自分の調査が単に及んでいなかった可能性もあるが…)更には、どう照らし合わせていったかも不明。シナリオが進んでいく際に盛っていった可能性だってある。

ただ、ここまで類似している要素が見られるという事は、3期生のパーソナリティをキャラクター側へと落とし込んでいる可能性は高く、単に偶然の一致という言葉で片付けられないし、アイプラにミューレが参画されている事も考慮すると、キャラと彼女達3期生との繋がりを密接にしているのは意図的だと思わずにいられないのだ。



 Chapter4/とある“場”との縁と楽曲の新しい“貌”


 この項では、IDOLY PRIDEとは離れたモノとなるが、3期生にとっては掛け替えの無い要素であり琴乃達と『≒』で結ばれていく重要なモノなので触れなければならない。そのとある“場”とはいったい何なのか?ミューレ3期生の単独イベントである『日々荘3号館 』である。

当Blogでも何度かこのイベントの参戦レポという形で綴っておるが、改めてどういうイベントかを説明すると……3期生の五人は、日々荘というシェアハウスに住んでいる住人という設定で、朗読劇をしたり、ゲームやトークをしつつ……歌って踊ったりするバラエティイベント。2022年の四月に第一回目が開催されて、現在に至るまで定期的イベントとして定着して来た。

 しかし、この日々荘3号館というイベントはアイプラのイベントではない。けど、彼女達はLIVEパートで月ストの楽曲を数多く謳って来た。この場で月ストの楽曲を謳う彼女達からは琴乃達の要素よりは3期生としての『我』を表に出している様に自分は感じている。

それは、月スト楽曲がキャラクターソングという枠組みだけでは収まらない3期生としての楽曲という解釈も出来る様な楽曲を作って欲しいというオーダーをされたのではないかと思えて来る。ただし、完全な妄想による推測の域でしかないが……

 ただ、一つ言える事は、五人の全身全霊を懸けている勢いや想いと必死さが楽曲に血を流していく。正式にアーティストとしてデビューしたグループではないけれど、運命共同体という縁と関係で繋がっている五人。LIVEだけではなく芝居やトークで戦って来たこの場の経験は本当に彼女達にとって掛け替えの無いモノ。その大切な場での戦いの経験を、彼女達はそっくりそのままIDOLY PRIDEでの活動へとフィードバックしている。



 Last Chapter/そして『≒』の領域へ……


 ここまでの各項にて語って来た要素が幾重にも重なっていき…アイプラLIVEでミューレ3期生が謳う姿に、琴乃、渚、沙季、すず、芽衣が謳う姿が重なって見える様になっていった。ただ…そいつはオマエの錯覚と言われたらそうなのかもしれない。当然ながら、実際のLIVEにて3期生達の傍らに琴乃達の姿がハッキリ見えてるワケじゃないが、キャスト側とキャラクターとの境界は限りなく等しい領域へと寄って行ってる。

作中で、琴乃達が苦境に立たされながらも懸命に抗っている様に、3期生もまた色々なモノと戦って来た。ただ、3期生だけに限った話ではないが……それでも、3期生のパフォーマンスには想いと魂とPRIDE…そいつは、単純に私達を観て欲しいなんて優しいモノじゃない。執念や殺気染みたモノが感じられる。キツかった事は一度や二度だけじゃないし、筆舌に尽くし難い悲しい事もあった。

 ここまで強い関係性にまで昇華出来たのは、キャラ側とキャスト側との繋がりが他のグループよりも密接なのは言うまでも無いが、3期生としても纏まってこれまでの軌跡を駆けて来たモノでもある。彼女達から湧き出て来るであろう激情をどこかにぶつけたくても、現状でぶつけられる所がごく限られた所しかなく、目の前で出来る活動を直向きに頑張っていくしかない。

それが色濃く表れていったのが、IDOLY PRIDEのLIVEと日々荘3号館。ただパフォーマンスをこなしていくだけじゃなく、本気でそこに懸けるPRIDEが彼女達には常にあったのだと思う。前の項でも触れた様に、正式なグループではない歪な集団かもしれない。でも、その歪さが故に超えられない境界が曖昧になってという限りなく寄り添える掛け替えない存在へ昇華出来た。

月スト≒ミューレ3期生との繋がりを本当に簡潔でチープな一言で表現すると『エモーショナル』。即ち『エモい』。この言葉に尽きるのではないだろうか。だからこそ、見ている人の魂と情熱を揺り動かせたのだと思えてならない。

 

 

 最後に。


 ここまで各項にて好き勝手書き殴ったモノについては、あくまでも自分が抱いている仮設の域でしかない。

でも、一つ言えるのは、サニピの子達も含め、月スト≒ミュージックレイン3期生が中心になって『IDOLY PRIDE』というプロジェクト全体を引っ張っていかなきゃいけないってのはあって、やっぱり客を呼べて金を落としてもらえないと意味は無い。

トリエル・リズノワ・スリクスよりも、更にはサニピよりも…月ストを観たいからLIVEに参戦した。そういう存在になっていって……ただ今来ている客が満足して終わりじゃなく、いろいろな所で話題になって、月スト≒ミューレ3期生を観たいと思わせる様にならなきゃいけない。

ただ、自分よりもそれを強く実感されているのはミューレ3期生の五人だと思う。険しい道程だけれど、彼女達の本気の想いと魂はそれを超えられる可能性に溢れている。

 くどい様だが……ここまで書き殴ったモノは、全て自分の抱いている妄想と暴論による独り言の発散に過ぎない。コレを読まれた方がどう受け止め、解釈されるかはその人の感性に委ねたいと思います。共感してもらえたら素直に嬉しいし、異論や反論があってもきっちりと受け止めて、様々な見方だったり考え方を知りたい。

 

 

 

慣れる事のメリット&デメリットー日々荘3号館~にゃんと楽しいバレンタイン~所感

 2月10日。飛行船シアターにて開催された 『LAWSON presents トーク&バラエティイベント 日々荘3号館~にゃんと楽しいバレンタイン~』(毎度ながらタイトルが長え…)昼夜共に参戦して来た。

 

 

 ミュージックレイン3期生の単独イベントとして2022年4月から始まり、回を重ねて今回で10回目の節目を迎えられた。もう、定期イベントとしての流れが定着したと言っても過言ではないと思える。

ここまで継続して来れたのは、ミューレ3期生である、橘美來さん、相川奏多さん、宮沢小春さん、夏目ここなさん、日向もかさんが、どんな時でもちゃんと毎回そのイベントに全身全霊を懸けて臨んで来たからであり、毎回参戦してくれる住人さん(観客の事ね)がいてくれるからでもあるし、おそらく回を重ねていく度にその数は増えていってる様に思える。

その一つの成果となって表れたのが、昼夜共にチケットが完売出来た事なのだろう。

イベントの流れは、朗読劇→住人総会→ゲームコーナー→バラエティコーナー(今回はアドリブ劇)→LIVEコーナーといった従来の流れ。…ちなみに本稿は参戦レポではない為、各コーナーの詳細までは書きません。


 結論から書いてしまうが、全編通じて感じられる、わちゃわちゃ感、まったりした緩さ、楽しさ。これらは彼女達がここまで築き上げて来た、この日々荘3号館というイベントの雰囲気であり真骨頂となるモノ。住人さん達は当然の事だし、何よりも3期生の五人も本当に楽しんでステージで躍動しているからだと思う。

 相変わらずCHAOS感満載な朗読劇から始まって…住人総会にて、今回のニュースキルゲットに挑戦した橘さん。彼女が挑んだのは利きパスタソース。五種類あるミートソース&ボロネーゼを食べ比べていって、全て的中させる難度の高いモノだった。

結果は、見事全ての組み合わせを的中させて、なおかつちゃんとした詳細な食レポまで披露されていた。感じたインプレッションを的確に言語化(もしくは文章化)するのは、お前が言うなと思われるだろうが……本当に難しいモノだったりする。

ただ…よくよく思い返してみると、橘さんはアイプラ生放送にて、ガチャの新キャラの能力を解説する機会があって、そこでも分かり易い解説をされていたので、元々、インプレッションの言語化or文章化が得意な人なんだろうなと。


 続くゲームコーナーで催されたのは、ニャーニャーゲーム。コレは、出されたお題にニャのみのワードで当てていく伝言ゲームの類。観る側の我々は、ステージ後方のスクリーンに答えが表示されてるから分かるが、彼女達は即座に的中していく場面が何度かあって、普通にスゲェなと感嘆させられた。ただ……時折、ジェスチャーまで入っていくのはどうかと思えなくもなかったが……(コレについては後述する)

そして、バラエティコーナーでは、アドリブ即興劇が展開される。テーマのみは決まっていてアンケートにて事前に募集された台詞やバレンタインのシチュエーションはここで使うものだったのねと。コレはシンプルに彼女達の頭の回転の早さと適応能力が試される。前後の繋がりが見いだせない台詞やシチュエーションも差し込まれるので、これまたCHAOS感溢れて面白かった。

 最後は、記念撮影してLIVEコーナーへ。謳う楽曲は、バレンタインイベントという事で、バレンタインソングの王道を往く『バレンタイン・キッス』を披露した。コレは後で知ったんだが、直系の先輩ユニットの『スフィア』も、イベント『ミュージックレインgirls 春のチョコまつり』でカバーした楽曲らしい。

アクトの所感だが、楽曲のテイストが甘々なアイドルソングという事も相まって彼女達のパフォーマンスもキュートさ全開に振り切ったモノになっていて本当に可愛らしかった。(語彙力どこ行った)


 ミュージックレイン3期生は今年の12月で、お披露目から五年の歳月が流れる事になる。
そして、冒頭でも触れたが、3期生としての単独イベントとなる『日々荘3号館』は今年で3年目の季節を迎えた。

彼女達はどう感じているか分からないから、コレは俺の勝手な妄想でしかないのだけれど……業界の仕組みやらなんやらが大分理解しだして、この日々荘というイベントのアットホーム感満載な雰囲気も確固たるモノへと築き上げた。

『慣れ』て来たと言い換えてもいい。最初から見ていたワケじゃ無い上に、全部の日々荘へ参戦していないから何とも言えないが、まあ、五人それぞれは本当に伸び伸びと楽しんで臨んでいると思う。

 おそらく、彼女達にそういう心情は無いと思いたいが……その『慣れ』に甘んじてしまいかけてるんじゃないかと思ってしまった場面がいくつか見られた。

ニャーニャーゲームの時、ゲームのルール上『ニャー』という言葉のみで出題しなきゃならんのに、誰とは言わないが、時折ジェスチャーしてしまった子がいた。必死になって伝えなきゃ!と焦ってしまったが故の行動なのは凄く分かるが…まあ、厳格に守れとまで言えないが、そこはちゃんとルールに則ってもらいたかったかなと。

観客の中には物分かりの良い住人(オタク)ばかりじゃない。あの場にはいなかっただろうが、クソ面倒な住人もいるのが世の常だったりする。…こうして書いておる俺もクソ面倒なヤツってのは痛感しておる。

 あと、コレは最初に言っておくが……所謂、否定的な意見出してる自分に酔いしれたいワケではなく、ここからはあの場と刻で感じた偽り無いインプレッションとして書くが、まず、朗読劇の中で、彼女達にとっての直系の先輩達のネタに触れていくのはもういいんじゃないかなと。

ただ、中にはスフィアやTrySailも追っかけている人もいるし、彼女達も尊敬の念があるのも分かるが……わざわざ劇の台詞にまで差し込む事も無いだろうと。逆に、フリートークで触れるのは全然ありだけども。

脚本書いた人にそんなつもりは無いだろうが…俺はへそ曲がりなヤツなので、取り敢えず先輩達のネタいれときゃ盛り上がるだろ?みたいなモノを勝手に感じてしまうのだ。前にも言ったが、内輪ネタに走り過ぎるとかえって場が白ける事もある。仮に、彼女達のアドリブだったとしてもそれは同様。極少数かもしれんが、こう感じている人が間違いなくいるという事実は知ってもらいたいかなと。

 そして、このアットホームな雰囲気の場。彼女達は嫌かもしれないが、ここでは思いっきり失敗したっていい。大丈夫。ここの住人さん達は失敗したってそれを嗤わずに、エンターテインメントのカタチとして温かくちゃんと包み込んでくれる味方だ。

どうしてこんな事言ったか。昼の部でのアドリブ即興劇の際、宮沢さんがあまりグイグイと出ていかなかった様に感じたのよ。邪推の域かもしれないが、失敗を恐れてしまったのかなと……ただ、前述した様にこの日々荘では失敗したって良いんだ。(勿論、限度はあるが)


そもそも、ここの住人さんは味方だと言ってくれたのは、宮沢さん、貴女だよ。
それに、ちゃんとカバーしてくれる我々以上に最高の味方である、橘さん、相川さん、夏目さん、日向さんが傍にいるじゃないの。


 日々荘のリサイタルで、信じて踏み込んでくれた宮沢さんのパフォーマンスは本当に素晴らしかった。踏み込んで走ると肚括った時の貴女のチカラって本当に凄いのよ。だから、もっとはっちゃけていい意味で貴女の表現者としてのエゴを我々に魅せ付けて欲しい。そのポテンシャルは充分に持っているのだから。

 
 総合的な所感としてあるのは、彼女達の成長が存分に感じられたトークスキルや演技力と、ここまで築き上げてきたアットホーム感満載な雰囲気と五人の絆の強さだった。でも、『慣れ』て来た頃が一番危なくてこういう時ほど足元を掬われやすいのも事実としてある。

ミューレ3期生のメンバーはそれぞれが真面目で謙虚な子達だと思う。この先どんなに大きくなってもおそらく、根っこの部分は見失わないだろう。関係ないかもしれないが…彼女達のお辞儀って常に深々されていて、そういう部分は多分周りのOTONA達から厳しく言われてるのかなと。


 そんなこんなで、好き勝手に、尚且つ、上から目線の偏狭な物言いになってしまったが…あの場で感じた偽り無いインプレッションを書き殴った。会場に参戦して素直に感じた事は、良い事も悪い事も書き残そうと思い筆を執った次第です。5月に開催が決まった次回の日々荘を今から楽しみにしつつ…筆を置きたいと思う。

 

 

日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winterを斯く語る。

 どうも。あかとんぼ弐号でございます。



 先日、這う這うの体で書き上げた、感動の大作(テメエで言うな…)『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』参戦レポの後編の冒頭でも触れている様に、昨年末のコミックマーケットに出展され、俺の怪文書が載ってしまったミュージックレイン3期生』のファンブックとなる『日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winter』を受け取った。

 

 

 ただ、LIVE後は参戦レポを書き殴るという最重要ミッションがあったので、じっくりと読む刻が取れなかった為……つい先日どうにか参戦レポを書き上げ、ようやく腰を落ち着けて読む事が出来た。今回の記事では、この入居者連絡ノートの所感を書き殴っていこうと思う。


 まず、ミュージックレイン3期生のお披露目から2024年二月へ至るまでの歩みが記されている。
2019年12月『IDOLY PRIDE』情報解禁スペシャル生放送にて、彼女達は世に出る事となり…『IDOLY PRIDE』での活動を初めとして、3期生としての活動や個人での出演記録などが事細かく書かれていて、まさに、ミューレ3期生としての歴史が詰まっていると言っても過言ではない。

 で……3期生個人のプロフィールと、彼女達のパーソナリティと魅力に踏み込んだプレゼン記事へ繋がっていく。こちらの項目も、簡単なプロフィールを載せているのではなく、彼女達が様々な作品や番組で魅せたりするモノに触れてられているのは勿論の事、意外な一面や3期生同士での繋がりで発生する化学反応的なヤツも事細かに記されてもいた。

こちらのプロフィール等は、Google大先生にて『日々荘3号館 入居者連絡ノート』で検索すると掲載されているサイト内で見る事が出来る。

そして、プロフィール紹介が終わると、各々のパーソナリティと魅力に迫っていくプレゼン記事となっていた。

 橘さんは、3期生の中で唯一となる、中国の動画投稿サイトbilibili動画にてチャンネルを開設されていて、そこでは彼女が特技として挙げられている中国語への関心や勉強であったり、ゲームプレイの配信、同じくbilibili動画にてチャンネルを開設されている事務所の先輩・豊崎愛生さんと絡む事もあるとか。

 相川さんの項は、『取扱説明書』と題され、プロフィールを更に深掘りした内容になっていて、更には彼女の仕事への熱意や、ファンタジスタ(多芸多才)と称される高いパフォーマンス力の解説。

 続く宮沢さんの項では、彼女が影響を受けて変幻自在と称した表現力の源流になった数多のモノについての解説。この項で読んでいて特に印象深かった一文は、『エンジンをつければどこまでも進んでいく』ような人。コレには首がもげそうな程に同意して頷きまくった。表現は違っているが、自分が宮沢さんへ抱いている加速したら勢いが凄まじい人というインプレッションに繋がっていると勝手に思ってしまった。

 夏目さんの項は、彼女の直向きな努力家としての面にクローズアップされていて、それが、夏目さんの表現力の豊かさと魅力へ繋がっているのかと感銘を受けた。

 最後になる日向さんの項では、ここまでの四人とは切り口が変わっていて、日向さん自身が生い立ちから、声優への軌跡を切り拓き、未来の夢へ至るまでを自分語りしていく形にして書かれていた。

 自分は、ミューレ3期生について知っておる事はポケットの中にある小銭程度のモノしかない。(要は極めて少ない)新たに知った事があったのは勿論だが、前述にもあるが…同意しか無くて首がもげそうになる程頷いたりした。そして、何よりも……本当に五人への深愛の情に溢れた文章やイラストに胸が熱くなって来た。


 そして、イベントレポートへ。この本のタイトルが『日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winter』とある様に『日々荘3号館』でのイベントレポになっている。こちらは2022年4月から始まった3期生での単独イベントで、2022年に開催された5回のイベントと2023年1月の模様は総括という形式で、彼女達五人の成長を振り返っていた。

で……2023年に開催された、3月『パジャマで集まらNight』、5月『5月のGo遊会』、8月『はなしたあとはリサイタル@ひとりで歌ってみた』、10月『#にちにちさんPlaylist 』のイベントレポが記載されている。前にも言ったが、自分は8月に開催された『はなしたあとはリサイタル@ひとりで歌ってみた』のレポを寄稿致しました。

 俺のヤツは取り敢えず置いといて……これまたオマエが言うなという御叱りがあるだろうが…どの方のレポも細かい部分に触れられていましたし、こういう所を見てレポに落とし込んでいるのかという自分と違った視点や感じるインプレッションの違いにそれを文章化する能力。この表現や文章の構成は自分には出来ないなと感嘆させられ本当に勉強になった。んで、俺の書いた大問題作の怪文書レポだが……



 まあ、よそ行き全開の文章で、クソ恥ずかしいったらなかったwww



 このレポの原文は、Blogの方に書き殴った『はなしたあとはリサイタル@ひとりで歌ってみた』の参戦レポなんだが、あのテイストはそっくりそのまま載せられない。俺の書き殴る参戦レポの主成分は、暴走している熱をそのまま文章へ落とし込むモノだから。そもそも公演中にメモは取らないので、(取れないとも言う)どうしても表現を盛ってしまうのです。

あと、載せられる文字数制限があって、その盛り過ぎた表現を抑える事と、どこを最小限に縮めつつも、肝心な部分を多く取り上げていくかのバランスの取り方に苦心しました。どこまでイベントの模様と熱が伝わったかは読まれた人の感性にお任せします。自分の中では、良く書けたいいレポとは思っていません。ただ反省しかないなと。でも、本当に良い勉強させてもらいました。

 そして…ラストは、かってに日々荘アワードのコーナー。アワードと銘打たれた様に、これまで開催された日々荘3号館での五人の活躍やハプニングをランキング付けしたモノ。メンバー個別と3期生全員のモノが発表された。アワードの詳細は、『X』にて『#ミュージックレイン3期生C103本』で検索かけると出て来ると思います。


 そんなこんなで、『ミュージックレイン3期生』のファンブックとなる『日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winter』の所感を書き殴った。

情熱と愛情溢れる文章、可愛らしい数多のイラスト、それらがこの一冊に凝縮されていた。自分が執筆に携わったという点は抜きにし、贔屓目無しで素晴らしいファンブックだと感じられた。本当にミュージックレイン3期生は多くの人に愛されているんだなという事を実感した。

 彼女達が多くの人達を魅了しているのは、パフォーマンスの質だったりルックスの良さや可愛らしさもあるのでしょうが、本質としてあるのは、真摯に現状と向き合って、真剣に表現者として全身全霊を懸ける姿に惹かれている様に自分は感じてならないのです。

 どんなに魅力があっても、やっぱり知ってもらえないとどうにもならないのが世の理。
このファンブックもそうだし、いろいろ盛り上げようと企画されて精力的に行動されている人達には本当に頭が下がる思いであります。自分も微力でしかありませんが……今回の様に何か力になれる機会が来れば力添えをしていきたいと思っております。

 

 

終わりは始まりへの謳ーIDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda 参戦レポ・後編(夜公演)

 前回から引き続き、1月21日にZepp Hanedaで開催された『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』参戦レポになります。後編と銘打った今回は夜公演の参戦レポ。

 

 

LIVE本編の所感へ行く前に…前編のレポで省略した部分について書いていこうと思う。


 話は、昼公演前まで遡る。自分はある案件を遂行する為に割と早い時間に現地へ赴いた。
その案件とは何か?以下に貼ったX(旧Twitter)の催しに参加する事と、あるブツを受け取る為だった。

 

 



 FINALに出演される『月のテンペスト』のメンバーを演じられている『ミュージックレイン3期生』に向けての激励と応援メッセージの寄せ書きを募集されているイベントに参加して来た。それと、昨年末のコミックマーケットに出展され、俺の怪文書が載ってしまった『ミュージックレイン3期生』のファンブックとなる『日々荘3号館入居者連絡ノート vol.2023 Winter』を受け取った。

メインはこの本の受け取りだったが、折角来たので自分も寄せ書きに一筆したためました。で、このファンブックの細かい所感はまた別の機会に記事にしようと思っているが、自分の記事はさて置いて……3期生への熱い想いと愛情が詰まっている素晴らしいファンブックだという事は、取り急ぎ伝えておきたい。


 まあ、四方山話はここいらで切り上げて、サニーピースと月のテンペストが、駆け巡った未知の旅路の終着点となるHanedaの夜の部の『戦い』の記憶を書き殴っていく事にする。

 

 


 1.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 札幌と名古屋では『SUNNY PEACE HARMONY』がオープニングアクト。で、 『Shining Days』→『EVERYDAY! SUNNYDAY!』が最初のブロックでの順番だったらしい。ここでの詳細な言及は敢えてしないが、この順番はアニメ版での登場順になる。

彼女達の真意は、LIVEが終演してこの参戦レポを書き殴っておる時点でも、まだ分からないので完全な私見と妄想の域で書いていくが……『IDOLY PRIDE』とサニーピースにとってもこのTourは初めての事。そんなTourだからこそ、サニピの軌跡を思い返す様な意味合いを込めたのだろうと思える。

で……この楽曲『EVERYDAY! SUNNYDAY!』をFINALの初手に持って来た意味。まあ、単純に盛り上がれる楽曲で、火付けに相応しいのは言うまでも無い。現に昼夜公演、どちらもめっちゃ盛り上がってサニピの『アンセム』としてまごう事無き強さを発揮していた。

 しかし、ただ楽しく盛り上がるだけじゃ『アンセム』とは呼べないと勝手ながら思うのである。
この楽曲がアニメ版でどういった役割を果たして『アンセム』として昇華出来たのか?いろいろな要因はあるのだけれど、決定打になっているのが……川咲さくらの真の謳声で謳う初めての楽曲。即ち、自立と新たな門出への決意がこの楽曲に血を流している。

そんな楽曲を、サニピはFINALの初手に持って来て勝負を賭けた。Tourで巡って来た旅路を往くと共に、サニピの軌跡に想いを馳せてFINALへと繋いで来た。その過去の記憶には置き去りにしてしまいたいモノもあっただろう。キャラクター側もキャスト側にも……

 でも、そんな過去があったからこそ、今のサニピが強く眩しい輝きを放っている。
過去を受け入れているからこそ、未来の刻へ向かえるチカラがある。だから『今が 最高のハーモニー』と力強く謳えるのだと。

 

 

 2.SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 新たな門出のアンセム『EVERYDAY! SUNNYDAY!』からサニピ集大成の『アンセム』となるこの楽曲へ至る流れの展開に物語性を感じた。この二曲は、サニピの物語のクライマックスを飾る楽曲というインプレッションを抱いている。

『今までと これからが繋がっていく 今は そんな旅の途中』と詞にある様に、この楽曲のテーマの一つになっているのが『旅』だと思っておる。そして、彼女達の旅の同行人としてファンの皆がいる。昼の部の参戦レポでも触れているが、Aメロで感じられる叙情的な雰囲気は、まさにサニピの旅を模していて我々も共に旅路を往くみたいな。

 没入感、世界観に惹き込むチカラと言えば良いのか。サニピのそれは、今更な話だがこのTourを経て明らかに進化を遂げていた。サニピと一つになる感覚と評される楽曲ではあるのだけれど、あくまでも作中での話。

でも、彼女達は現実に再現して我々の魂を惹き込んで熱狂させた。いろいろ模索して、この旅路で挑んで試していった。その成果とFINALという場での相乗効果によって、更にクオリティの高いステージングを形成する事が出来たのだろう。

 さくら達が作中でこの楽曲に血を流そうと奮闘した様に、キャスト側のサニピも負けない為に並ならぬ努力を形にして成果を掴み取ろうと戦った。その『答え』は、Hanedaの地と刻での興奮と圧倒的な楽しさだった。そう、勝ったのはこの『10』人なのだと。それだけの物語と想い、そして…サニーピース『10』人の成長が詰まっているのだと改めて思えた。

 

 

 3.HI5でピースサイン/サニーピース


 サニピの物語・新章のOPテーマではないだろうかと勝手に思っていたりする。楽曲のテイストもそっくりそのままOP楽曲に使えそうじゃないか。(個人の感想です)昼の部のレポにサニピのNext Journey(次の旅)を彩ると評したのはそういう事なのだ。

サニピの『アンセム』の系譜にある楽曲なんだけど……いやいや、お前昼の参戦レポで盛り上がるとか云々言ってたぢゃねえか!とお怒りになる方しかいらっしゃらないだろう。現に、皆でシンガロングするパートもあり、サビ前の怜(結城萌子さん)の『抱きしめて!』や、千紗(高尾奏音さん)の『信じてる!』の後で、『うおおぉぉぉぉッ!!!!!』と轟く雄叫びは昼夜共に凄まじいモノがあった。

 でも、夜公演で感じたインプレッションはそうじゃなかった。ちなみに、夜公演は1Fでかなり後の方で観ていたってのも影響している。(反対に昼はめっちゃ前の方だった)意識していたワケではないが、聴く事に集中出来ていたからこそ、新しいインプレッションを抱けたのだろう。

さくら達は、とにかく前へ前へと突っ走って『BIG4』の座に就いた。立場と取り巻いてる環境が変わって、彼女達は不安に苛まれたのだろう。歌詞を紐解いてみるとそう感じられる要素があったりする。どちらかと言えばこの楽曲、サニピから皆へという想いもあるけれど、メンバー同士に向けての要素が濃く在る内省的な『アンセム』であり、初心、魂が還れる楽曲なんだろうなと勝手に思ってしまった。

 それは、キャラクター側だけではなく、キャスト側のサニピも純粋に願ってパフォーマンスに想いとPRIDEを込めた。そんな彼女達の想いと魂を感じつつ…応えてあげたい。初心に立ち返りながら、更に未来の刻へ踏み出す勇気をこのアンセムは与えてくれるのだと。

 

 

 4.Question/月のテンペスト


 激熱で楽しさ満載の雰囲気を創造していったサニピのアクトから一転、昼の部参戦レポでも言及した様に、落ち着いて沁み入るこの楽曲でエモーショナルの落差をつけていく。

LIVEにおいて、盛り上がる系統の楽曲で繋いでいくのも勿論クソ楽しいが(言葉を選べ…)雰囲気が違う楽曲で、エモーショナルの落差をつける事によってよりLIVEへと没入させるのもまた良い。昼の部とはまた違った攻め方に改めて舌を巻く。

 個人的に、音源で聴いた時とLIVEで観た時のインプレッションが大きく変わった楽曲の一つ。(昼のレポで書き忘れたのは内緒www)音源のみは、前述した様に、落ち着いて沁み入る様に聴き惚れる楽曲。で、実際にLIVEで謳われて創造していった雰囲気は、コールやらクラップが入った事で結構盛り上がれる楽曲へ進化していた。

しかし、コールやクラップでリズムを刻んだとしても、それが楽曲を進化させる大きな要因ではなく、あくまでも数多ある要因の一つに過ぎない。最も肝心なのは謳う者の想いと魂とPRIDE。そいつが楽曲に血を流していく。

 Tourの直前にリリースされた新曲。しかも、月ストにとっては新境地開拓的な要素もあった。
どうやって魅せていくのか注目されていただろうし、彼女達もいろいろな魅せ方を模索して挑んで来たと思う。大阪と福岡でのパフォーマンスがどうだったのかは俺には分からない。ただ、Hanedaでの盛り上がり方と、彼女達が魅せ付けた年齢数字的な意味ではないOTONAのパフォーマンスが、この時点での『答え』なのかもしれない。


5.Daytime Moon/月のテンペスト


 このTourで(俺はHanedaのみの参戦だがww)インプレッションがガラッと変化した楽曲。昼の部でも感じたが、このアクトがもたらした熱狂は一つの完成形なのかもしれない。

『Question』の柔和で淑やかに聴き惚れさせた(盛り上がってたが)雰囲気から一転して、ポップでキュートな雰囲気を纏い場を制圧しに来ていて五人それぞれの歌声が本当に可愛い♪(彷徨う語彙力……)まあ、ものの見事に熱狂し、可愛らしさに撃ち落された……

 おいおい……熱狂してクソ楽しかった昼の部と違うインプレッションになってしまったじゃないか!と、このアクトを堪能しつつ狼狽えまくっておったが、コレもまた月ストの魅せ方という引き出しのキャパが広がった成長の一端なのだろう。

 一応、自己弁護という言い訳をしておくが…観る場所と聴く場によって感じられるインプレッションはやっぱりいい意味での差がある。このアクトだけに限った話ではなく、夜公演全体でそれを改めて感じられた。このTourが、彼女達にとってここ一番の勝負時で、なおかつ最も輝いている刻なんだなってのがパフォーマンスからビシバシと伝わって来た。

 夜の月とは違う新たな輝きを彼女達に魅せられたと言っても過言では無かった。今更気付いたのか?というツッコミは右から左へとスルーで……

 

 

 6.裏と表/月のテンペスト


 LIVEで『裏と表』のアクトを観て聴く際、どうしても感じてしまうインプレッションがある。
それは、キャストとキャラクターが境界を超えて、双方が退けない戦いを繰り広げているという事。

またコイツはアホな事いってやがるな…と思われるでしょうが、コレはもう拭う事の出来ないモノとして俺のインプレッションに刻まれてしまったのでどうにもならんのでこのまま突っ走りますが……そもそも、この参戦レポが俺のアホな言葉の羅列で書き殴ってるモノだしwww

 話は戻って…この楽曲を謳っている彼女達は、琴乃達のPRIDEが表に出る時もあるし、3期生のPRIDEがより表に出て来る時もある。それは、音を正確になぞって謳い、振りを正確に踊るだけではおそらく駄目なのだ。共に寄り添う関係性でもあるし、負けたくもない。でも…この子となら行き着く所まで踏み込んで応えてくれる無心の信頼もある。

ステージの上ってのは一切の誤魔化しはきかない戦場。そこで謳われる楽曲もまた嘘の付けないモノ。きっちりと戦う為には、剥き出しの本能と生き様…全身全霊を懸けられるか。勿論、模範解答なんて無い。どれだけ彼女達が意地と覚悟と『我』を貫き通せるかがこの戦いの行方を左右する。

キャストとキャラ側のどっちが『裏』か『表』かは分からんが、このアクトでは無骨というか何か形振り構わない剥き出しの本能が爆ぜた様な凄みすら感じてしまう。繰り返しになるが、彼女達10人が数多のモノと戦っているからだろう。キャストとキャラクターという関係、Hanedaの地に共に立つサニピ、そして…過去の彼女達を超える事。誰が際立っていたワケじゃなった。皆それぞれがきっちりと戦えていた。

 キャラクターソングとして、演者の我が剥き出しになり過ぎてる感は正直あるし、そいつはどうなんだ?といったインプレッションもあるだろう。それでも…俺の個人的な意見だがそれで良いと思っている。もう、ミュージックレイン3期生と琴乃達は切っても切り離せない縁へと昇華してしまったのだ。

 

 

 7.もういいよ/川咲さくら


 ステージに登場した菅野真衣さんが謳い出したと同時に身構えた。そして、察した。昼の部は琴乃のソロ楽曲からソロ&デュエット楽曲ゾーンの始まりだったから、夜はさくらのソロ楽曲で来るだろうって。ただ…来ると分かっていたけれど、やっぱり…身構えて受け止める覚悟を決めなければならない。


 このアクトを単純に評してしまうと…ただただ、川咲さくらと菅野真衣はバケモンだったってのを骨の髄まで徹底的にきっちりと思い知らされたのよね……


 後のMCで菅野さんが『もういいよ』という楽曲は、さくらのソロ楽曲ではあるんだけど、もう一人のさくらと一緒になって謳うデュエット楽曲でもあると仰っていた。それと、コイツは俺の勝手な解釈でもあるんだけど……川咲さくらと菅野真衣による魂の対話の謳であり、もう一人の菅野真衣との対話の謳でもあると。

確かに、ステージで一人立って菅野さんは謳っているんだけど、どこか現世であるZeppから隔離された様な空間で歌っている錯覚に陥ってしまった。いる様でいないと言えば伝わるのか?(伝わんねえかな……)その創造した領域に観客の魂を囚えてしまう菅野真衣の表現者としての凄みがあった。

昨年のアイプラLIVE『未来』で披露した刻の『もういいよ』もとんでもなかったんだけど、今回体験したモノはそれを遥かに凌駕していた。もう完全に彼女の意識と魂は所謂『Zone』の領域に踏み込んでおったんだ。元々、菅野さんの歌声にはチカラと溌剌さがある人。素の状態の歌声でもスゲェのに、限界を超えるZoneに入ってる時は本当に手が付けられない。

 対話の謳と菅野さんが称した様に、優しく語りかけるかのように音と言葉を紡いで見事な謳を響かせる。もう、あらゆるモノが介入する事を断固として許さない彼女達だけの誓いと対話の刻。その極みにあるのが2番サビ後に訪れる静寂の刻……で、そこが明けてからの菅野真衣の血の流れる魂の絶唱はマジで凄く強かったんだ。

それは単に聴き惚れるなんて優しいモノじゃなかった。凄みで圧倒して強引に制圧しに来る様な殺気が漲っていた。まるで、私達の対話と誓いの儀式は誰にも邪魔はさせない!というさくらと菅野真衣の意地とPRIDEが彼女達の魂の絶唱に血を流したのだろう。

 俺の観ていた場からステージに立つ彼女はハッキリとは見えなかったが、何か菅野さんの身体から迸っている『氣』は感じた。観る者、聴く者を強引に納得させてしまったそのキレっぷりと説得力に驚嘆し、畏敬の念まで抱いてしまった。

 

 

 8.drop/兵藤雫


 そういうイントロじゃないんだけど…何か聴いた瞬間と彼女のイメージカラーである緑の心の光が灯った会場を見て感極まってしまって、俺の涙腺が第二次臨界点を突破してしまった。多分、この楽曲も遙子の『voyage』同様に、LIVEで聴いたら涙腺決壊楽曲になるのが確定された瞬間でもあった。

この楽曲について首藤さんは、(細かく書くと長くなるのでざっくりと…)普段は自己表現が苦手な雫が、歌という依り代を纏って想いを吐露していく楽曲だと仰っている。首藤さんの言にある様に、メロディを忠実に追って歌い上げるのでなく語っている様に聴こえるのは、そういった特性だからなのだろう。

 『しずくが弾ける』という詞があるが、この謳は雫の変わろうとする想いと覚悟の謳。
楽曲がいいってのは至極当然な要因の一つなんだけど、現時点までで断片的に語られて来た雫の過去とバックグラウンド……幼い頃から憧憬を抱いたアイドルになる夢を、お前にアイドルは向いてないと一蹴されて嗤われた。

でも、雫は絶対に諦めなかった。そして、勇気を振り絞って扉を叩いて踏み込んだアイドルの軌跡には、彼女と同じ夢を抱いた子達がいて、ソロ楽曲との巡り逢いも果たせた。そして…この地と刻にいる人達は全員雫の味方なのだから。その彼女が大観衆の前で特別な想いを抱くソロ楽曲を謳う。あんた、こんなの見せられたら涙腺ぶっ壊れて決壊するのは当然ぢゃないか……

 雫が溜め込んでいる想いを解して語りかける様な歌声を、首藤さんの絶妙な塩梅でより楽曲に深みをもたらしていく。ちょっとたどたどしいけれども、どこか雄弁な彼女の謳はこちらの魂へと突き刺さって来る。雫のアイドルとして懸ける生き様とPRIDEが凝縮されているかの様だ。そんな歌声に聴き惚れないワケがないんだ。

 

 

9.小さな物語/白石千紗


 さくらのソロ『もういいよ』で感嘆と畏怖の念を。雫のソロ『drop』で涙腺が決壊。
そして、千紗のソロ楽曲へと畳み掛けられる。もう、いろんな情緒がぶっ壊れそうになった…

さくら(菅野さん)と雫(首藤さん)が凄い(語彙力…)パフォーマンスを魅せた。千紗と高尾さんもそれに遅れをとるワケにはいかない。言わずもがな、このアクトも非常に強かった。

 千紗のアイドルの軌跡と抱いている想い。抑えきれない憧れに一歩踏み出す勇気と変わりたいという覚悟を力強い雰囲気の歌詞と歌声。曲が進行していくごとにまるで階段を昇っていく様な盛り上がり方。切ない部分もありつつ、サビで一気に爆ぜていく千紗の激情。

ちょいと背伸びしている感もあり、時にあざとさも出しながら、純粋に理想を追い求めて戦っている白石千紗のPRIDEと生き様が集約された楽曲。で…そのあざとさのある歌声がめっちゃ印象に残っていて聴覚と脳ミソが焼かれる感覚に陥ってしまったのだ。実にあざとい。あくまでも個人的主観だが、千紗の計算じゃない無自覚ないい意味でのあざとさを高尾さんが本当に上手く引き出してる感じか。

 何よりも凄かったのは、そんな千紗の想いとPRIDEを生々しいまでの高解像度で我々へぶつけて来た高尾奏音の表現力には脱帽させられてしまい本当に成す術がなかった……


 
 10.風になっていく/白石沙季


 さくら、雫、そして…千紗。三連続でとんでもないアクトを魅せ付けられた後でステージに立つ宮沢さんと沙季の心中はいかほどのモノか?まあ、穏やかなモノではないってのがすぐに思い浮かんでは来るし、緊張なんてもうピークを軽く超えてたってモノじゃないだろう。

それでもだ。宮沢さんと沙季にはステージに立たないという選択肢は与えられていない。彼女達の『今』の全身全霊と叩き上げの魂を懸けて戦うしか道は無い。彼女達を駆り立てるのは一体何なのか?もう、なる様にしかならないって逆に吹っ切れたんじゃないかって。沙季からしたら千紗には負けてられないという想いがあるだろう。

沙季も宮沢さんも器用な性格じゃない。どちらかと言えば不器用な子達。でも、彼女達を守ってくれるモノはステージの上には一切存在してないし慮る優しさも無い。剥き出しの本能を曝け出した一人の表現者と一人のアイドルとして戦うしかない。

 さて、楽曲自体の話だが……どこかアンニュイで幻想的な雰囲気を纏っているテイスト。おそらく、沙季の揺れ動く心情と憧れを模したモノだろう。そこに宮沢さん=沙季の儚げで凛とした歌声との親和性が実に見事な楽曲に仕上がっているというインプレッション。

ただ…あの場と刻でのステージで彼女達が魅せたのは、これまで抱いていた幻想的で儚げというインプレッションは見事粉々に打ち砕かれてぶっ壊された……月ストでのアクトでもそうなんだけど、LIVEという場で謳われる時の宮沢さんは情念を曝け出した様な力強い歌声で謳う事が多い。(個人の感想)おそらく、意図してじゃなく無意識で入っちゃってるんだろう。

 宮沢さんと沙季を性格的に不器用だと前述にて触れたがもう一つ共通しているモノがある。それは、彼女達が『こうするんだ』って覚悟と腹を括って踏み出した一歩の力強さと加速は本当に凄まじい人だと思っている。それは、このアクトでの宮沢さんの情念溢れた滾る様な熱い謳声がそれを物語っていた様に思える。

限界に挑んで超えた者達による本能と我の覚醒。その強さと凄まじさを宮沢さんと沙季の魂は確固たる存在感となって魅せ付けた。歌いきって佇むその姿は『威風堂々』と称するに相応しいモノだった。

 宮沢さんによって、魂を吹き込まれアイドルとして存在出来た沙季と、沙季の存在によって挑戦できる機を得た宮沢さん。宮沢さんはこのソロ楽曲のみならず、このTourでどれだけ沙季の魂へ寄り添えて共に戦えるかを考え抜いて動いて来た。その成果が会場を滾らせた熱狂へと繋がった。

 宮沢さんと沙季は本当に良い人と巡り逢えたんだなと感じさせるアクトでもあった。

 

 

 11.ココロDistance/一ノ瀬怜×早坂芽衣


 昼に披露された白石SISTERSの『つながる心Binary』と同じく、FINALで披露される確率が極めて高いと踏んでいた楽曲。おそらく、Hanedaの地に馳せ参じた方々は確信を抱いていたと思われる。

クールでスタイリッシュ感満載のメロディからの…結城さん&日向さんの『『私 見てる』』の歌い出しで、『うおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』と戦の前の勝ち鬨にも似た雄叫びがZeppに轟いた。それだけこの楽曲が披露されるのを待ち望んでいた事の証明なんだなと感じさせた。『MACARON DONUTS』の再臨だ。

ここまで求められて熱狂させられてしまうのは、この楽曲のクオリティ自体が非常に高いモノだし、結城萌子と日向もかの優れたパフォーマンスへの期待感から来るモノ。

 期待通り、いや、前回披露の時よりも結城さんと日向さんのパフォーマンスと歌唱がとんでもなく洗練されて仕上がっており本当に圧巻だった。バチクソに格好良く、官能的なエロ艶やかさで観客の視覚と聴覚が見事に制圧され魅せられてしまった。エモーショナルの暴力の三種盛りを受け止めるのは人類にはまだ早すぎる…いや、ヒトの感覚でアレを受け止められるモノではないのだろうという事もきっちりと思い知らされたwww

 と、まあ……見事に魅入られて落されたワケだが、成し遂げられた結城さんと日向さんは本当に凄かったの言に尽きる。『ココロDistance』の3DLIVE映像を観れば分かるが、怜と芽衣のダンスのキレっぷりは異常なまでに動きまくる。

初披露されると告げられた時『これまさか、本物の人間が踊らないよね?』と結城さんは驚愕されたと聞く。うん、分かるよ。生身の人間にアレをステージで再現できるのか?って思うよそりゃww
ちなみに、リズノワさんとスリクスさんの楽曲にこういう傾向が多々見られるwww

 この楽曲でキモとなってると思うのは怜と芽衣の本気。あくまでも妄想の域でしかないが……何にも縛られないで踊った怜に付いていけてちゃんと合わせられるのは、星見の10人では芽衣しかいないと思う。いやいや、ゲームの撮影機能では誰でもバキバキのキレキレで踊ってるぢゃないの?って野暮で無粋なコメントは聴く耳持たんぞ。
 
それこそ、自分はここまでアゲていく。ついて来るかどうかは任せる的な限界を超えようと、怜は踏みこむ。芽衣は何の躊躇無く踏み込んでいくんだろう。何故なら、怜の事が本当に大好きだから。そこに深い理由は要らんのだと。

 怜と芽衣の本気に、結城さんと日向さんも本気で応えた。じゃないとこのアクトにきっちりと血は流れない。ただ、生身の人間に寄り添える限界ってのはどうしても存在する。それでも、限界を超えようと彼女達は踏み込んだ。その答えが、昨年のアクトを遥かに超えた興奮と熱狂だった。

 

 

 12.shiny shiny/早坂芽衣×成宮すず


 結城さんは去り際にこう言って、次に出て来る者へと想いとPRIDEを託した。


 『すず!後は任せたわよ!!』と。(注:正確な台詞かどうかは忘れた…)


 記憶が確かなら、今回のLIVEではキャラによる掛け合いみたいなヤツは無かったはず。
こういう繋ぎ方は本当にエモーショナル…いや、エモい。ここはエモいって表現した方が多分伝わると思う。まあ、怜×芽衣×すずのトリオという組み合わせが何よりもエモい。この三人は何かと絡む機会が多いからそれも相まっている。

それはさて置き……女神様(結城さん)の召喚に応える形で、颯爽とステージに登場した相川さん(withすず)。そして、そのままステージに残っている日向さん。このコンビによる楽曲はもうあの楽曲しか無い。ただ……日向さんはデュエット連投というアイプラLIVEでは初めてのケースに臨む。

 彼女達に課せられたミッションはいたって単純だ。きっちりと盛り上げてソロ&デュエットゾーンを締めろと。開幕を盛り上げるのも大事だが、きっちりと締めるのも非常に大事なモノ。 幕張のVENUS PARTY DAY2で彼女達は開幕の火付けという大役を見事にやってのけた。そして、今度はゾーンの締めという大役を日向もかと相川奏多に託した。成功事例があったからこそ託せるのだと。

ただし、このソロ&デュエットゾーンってのはこのTourにおいての目玉みたいなモノで、しかもFINALでの締めだ。不安要素が一切ないワケじゃない。このアクトだけが見劣りした時点でここまで築いて来たモノが一気に瓦解してこのLIVEも死ぬ。

 でも、そんな数多の不安要素が渦巻くプレッシャーを、軽やかで爽やかで賑々しく躍動していく相川さんと日向さんのパフォーマンスが一掃していく。相川さんのパフォーマンスが凄かったってのは言わずもがなだが、ここは日向さんが魅せた表現力の幅広さとオールラウンダー性が抜群の輝きを放っていた。これまたある意味限界を超えた者にしか出せない強さなんだろうな。

日向さんの輝きに照らされて、Fantasista・相川奏多の輝きも一層強く輝いていく。それは、いろんな不安要素をグダグダと考えてたのがバカバカしい位に眩しかった。そんな眩しい輝きの虜にさせられて、クソ楽しかったのは言うまでも無いだろう。

 

 

 13.全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 夜の部もいよいよクライマックスへと移行して、再びグループでのアクト。
これまでを懐かしみつつ…これからの未来へ駆け出す為の勝利のカウントダウンが始まる。

これまでの軌跡は楽しかったけど、楽しい事ばかりじゃなかった。それも彼女達が得られた『宝物』だった。無意味で不必要なモノなんてなかった。そして、新たな一歩を踏み出して未来の刻へ新たな夢が始まっていく事を謳い、『ありがとう』と『大好き』という純然な感謝の言の葉で彩っていく。

 圧倒的な輝きを放っている五人なんだけど、この楽曲を謳っている時はどこか暖かくて安らぎすら感じてしまう。それは、さくら達が輝きがもたらしてくれる暖かみや安らぎの意味を実感しているからこそ謳に想いを乗せられるのだろう。

ここまでの旅が終わり、これから始まる未来への希望を繋げて歩んでいく流れが、これからのサニピがどこへだって行けるという決意表明の様に感じられた。

 

 

 14.SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース


 勝利へのカウントダウンが無事終わって旅立てたら、もう一度あの頃…即ち、初心に立ち返って叩き上げの魂を呼び醒ます。各々が輝く事ももちろん大切だけれども、やっぱり、五つのPEACEが合わさってしか放てない輝きが存在するのだ。

 自分が初めてアイプラLIVEに参戦したのは、二年前の中野で開催された『奇跡』。その時もこの楽曲は披露されたが、当時はアイツの所為で……その対策の為数多の規制が設けられて観客の声出しは御法度だった。

そして、昨年のアイプラLIVE『未来』では、規制が緩和されて観客の声出しが叶い、この楽曲で一緒に『サニピ!サニピ!』と叫べたのは本当に嬉しくて仕方なかった。で……このTour(俺はFINALのみ参戦だがww)で更に強く進化した原初の楽曲は、昼同様にただただ強くてクッソ楽しかった。

 観客の歓声と染め上げられたオレンジの光を浴びて謳う五人は、観客に負けない程に楽しみ、力強くて可愛らしく自信に満ち溢れてパフォーマンスを魅せ付ける姿は、『BIG4』としての強さを誇示している様でもあった。

でも、『BIG4』だからといってこの楽曲が強いワケじゃない。サニピのアイデンティティがふんだんに詰まっていて、彼女達の魂が原初へと還れるからこそ、この楽曲はサニピの『アイコンソング』として輝ける。

 

 

 15.Let's Go! Let's Go! ピース! ピース!/サニーピース


 このTourで解禁されてしまったサニピ禁断の兵器wwwコイツが来てしまったら、脳ミソを締めてる理性のネジを全部緩めて、一切考える事を放棄してひたすらに感じて楽しみ尽くせと。偉大な名優・ブルース・リー先生も仰られていた名言である“Feel it”(考えるな、感じろ)の精神で臨む。

いろんな理屈並べてこのアクトを解析しようとするとエモーショナルと可愛らしさの暴力によって脳ミソが見事に焼き尽くされてしまうのよ……コレはそういうモノなのだと昼の部で充分に思い知らされた。

 これまで、いろいろなあたおか(褒め言葉)な楽曲と巡り逢って、LIVEで直に聴いて来たが、この楽曲は群を抜いて化け方と進化の過程の速度が異常過ぎる……コレは、アイプラ楽曲のみの括りじゃなく、自分の知っておる界隈の楽曲全部含めての括り。

この楽曲はその上位に来てしまう程の変態楽曲。やっぱり、サニピの五人はとんでもねぇ子達だったんだなって、ドキドキ感とワクワク感を抱いてしまったのだ。

 そんな楽曲を謳って魅入られているZeppの空間はまさに狂喜乱舞している異常な空間。
全身全霊を出し尽くして楽しむだけのモノしか用意されてない。本当に骨の髄まで出し尽くす事を我々に求められる。ある意味で、皆と一緒に繋がりたいというサニピのエゴが爆発しているとも言っていい。

サニピと我々のはしゃぎたい想いと魂が激突して、アクトを観るというよりは会場全体が融合するというエンターテインメントとして昇華されてこの楽曲は今回のTourで完成されてしまった。

 

 

 16.月下儚美/月のテンペスト


 未知の領域となる今回のTour。そして、FINALの最終ゾーンを締める大役を任ぜられた月スト。
そんな彼女達が選んだ楽曲は、原初の楽曲であり『戦友』でもある月ストの『アイコンソング』であるこの楽曲。

勝手な推測と妄想の域だが、五人…いや琴乃達もその『戦友』であるこの楽曲にこんな想いを抱いていたと思っている。『私達にとって大切な始まりの楽曲』であり『私達にとって無くてはならない存在』であると。月ストと『月下儚美』はいかなるモノでも引き裂く事の出来ない血の繋がりよりも濃い絆で結ばれている…そう思えてしまうのだ。

ステージ上で、叩き上げの魂と荒れ狂う激しい嵐の様な闘志を漲らせて原初の楽曲謳って踊る五人の姿は、力強くて誰よりも自由だった。五人五様の『輝く事』と『咲かせる事』の意味をパフォーマンスの挙動に乗せていたのかもしれない。彼女達の勝ちたい想いと生き残ってやる!という執念がそれを成し得た様でもある。

 必死で挑んで戦って乗り越えられたという成果が、月ストを強く逞しくした。サニピがあの五人でしか出来ないパフォーマンスで戦った様に、月ストのこの五人にしか出来ないパフォーマンスで戦う。未来への道が無きゃ作ればいい。遮るモノなんざ薙ぎ払ってでも突き進む気概を魅せ付けた。

 

 

 17.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 ほぼ間違いなく来る事が分かっていた楽曲。分かっているんだが、悲壮感がありながらもどこか勇壮的なイントロが聴覚に飛び込んで来た瞬間に心拍数が上がって血が滾らずにはいられない。

この楽曲が持つチカラと、すず、渚、沙季、芽衣、そして、琴乃が抱えている…鬱屈した何かを破壊しようとするチカラがこの楽曲を『アンセム』へと昇華させた。夜公演はそういった暴力的な激しいモノが彼女達のパフォーマンスに血となって流れていた。

 今のこの瞬間の刻を全力で生きる事。過去や未来はこの際関係ない。この瞬間を最高にするにはそれしかない。ステージの上の五人は圧巻だった。解き放たれていたのだろう。数多の想いを溜め込んで、臨界点を超えて一気に爆ぜさせた。

そんな想いを背負う形になっているのが、何度も言っておるが渚のソロパートでの顔で謳う絶唱だ。何度聴いても、そして、これから未来の刻と機でも、夏目ここなの絶唱に魂が戦いで血が滾って来る衝動に見舞われるのだろう。おそらく、初見の人でも一気に魂を掴める強さを持ってると思う。

 サニピ、トリエル、リズノワ、スリクス、長瀬麻奈…月ストが超えなきゃならない相手は多いが、一番に超えなきゃならんのは、過去の月スト自身だ。それこそが今の彼女達に課された命題。でも、貴女達ならきっと過去の月ストを超える事が出来ると。

 

 18.The One and Only/月のテンペスト


 FINALのラストを飾る月スト最高の奥義。この『生命の謳』をここに持って来た用兵の妙は実に見事だと唸ってしまった。素晴らしい。

これまた前に書いて来たと思うが……この楽曲を謳っている五人は、いい意味で心ここに在らず的な雰囲気を纏って謳っている様に思ってしまうのだ。そして、五人の傍らには一緒になって琴乃、渚、沙季、すず、芽衣も歌っている。十人がいるのはMVで描かれている何かよく分からん場所がステージ上に顕現されてる感覚に陥ってしまう。

 そんな錯覚に陥らせるからか、五人の歌声もまたファンタジックで浮世離れしている。何だろうな…刻の概念さえからも解放されているかの様に清々しくて、月ストを取り巻いているあらゆる時間軸が分かれているのでなく全部繋がっている様な……更には魂までも還れる。

前のアクトであれだけの爆ぜて滾る感情をブチ撒けた直後に、あらゆるモノを綺麗さっぱりと拭い去って、声と言葉が透き通った純然極まる謳を謳えるモノなのかと……改めて月ストの表現力の幅広さに舌を巻く思いだった。

 完全に彼女達が放つ『唯一無二』の輝きに魂が囚われてしまった。改めて『The One and Only』が月ストにしか謳えないOne offを極めた謳である事を痛感させられた。絶望を抱かせる圧倒的な存在感と技量が持つ者でも、百戦錬磨で経験豊富な猛者でも、月ストの五人以外にこの楽曲に血を流す事は出来ないし、真のチカラを引き出す事は叶わない。

 過去、今、未来の刻へ…全ての時間軸に意義を持たせて迷わず進め。そんな彼女達の決意と覚悟が漲っていたと思わずにはいられなかった。

 

 

 EN1.MELODIES/星見プロダクション


 昼の部と夜の部の二回で聴いただけで、楽曲の持つメッセージ性や世界観を掴める程、俺の脳ミソは出来が良くないので、昼の部のレポ同様にもの凄く曖昧なモノになってしまう事はご容赦願いたい……

ただ一つ勝手に思っていて確定しているのは、サニピのみが札幌と名古屋で、月ストのみが大阪と福岡で謳ったのは、この楽曲の真の完成形ではないという事。極端な事を言ってしまえば、サニピと月ストが揃うFINALまで披露しない選択だって出来たはず。でも、そうしなかった。

おそらくこの楽曲は、サニピサイドで捉えた世界観、月ストサイドで捉えた世界観、完成形で捉えた世界観で意味合いが全部違ったモノになる楽曲なのだろう。まあ、この楽曲だけの話じゃなくて世の中に数多ある楽曲に言える事でもあるが…

 FINALのみじゃなく、他にも巡られてFINALで再び聴いたら鮮明なインプレッションを抱けるのでしょうね。そういう意味では、いろいろな考察が捗りそうな面白さのある楽曲だと。

 

 

 EN2.Pray for you/星見プロダクション


 昼の部のレポにて、俺はこの楽曲をFINALで謳った意味をこう解釈した。

 

 
 この楽曲をTour FINALで謳う事が
  
 サニピの『10人』と月ストの『10人』が出した『答え』

 

 

 そして、その『答え』はもう一つあった。それが夜の部で感じたインプレッション。


 このTourが始まる直前に俺はこんな記事を書き殴った。
詳細な内容はここでは省かせてもらうが……Tourの何処かの会場にて長瀬麻奈の楽曲を謳って欲しいと期待して願っていたエゴ丸出しな旨を書き殴った。

でも、結果として皆さんご存じの通り、どこの会場でも麻奈の楽曲が披露される事は無かった。それについて失望したという感情は一切無いし非難するつもりも無い。長瀬麻奈と神田沙也加さんを軽んじてるワケでもないのは充分に理解しているし、歌ってもらいたいと願いつつも……ホイホイと謳うのもやっぱり違うんじゃないの?という矛盾した感情があるのもまた事実。

 星見の子達も、多分同じ様な感情を抱いているのではないだろうか。軽々しく麻奈の楽曲をLIVEで謳いたいとは言えないでしょう。麻奈と神田さんと楽曲を尊く思うのであれば尚更の事だ。

ただ、それでも、星々と(スタート)と銘打たれたFINALのLIVEタイトルを見ると、麻奈の楽曲が披露される事を期待してしまった。手前勝手な解釈だが、Hanedaの地へ馳せ参じた多くの方々もそう期待したと思っている。もしかすると俺は彼女達が、麻奈の楽曲を披露する事をどこか軽いモノとして考えてしまっているのだろうと。

それは、見えないカタチかもしれないが彼女達に要らぬプレッシャーを与えてしまっている。そこまでして謳われる楽曲に血が流れるのか?答えはNoだ。遺された楽曲だからこそ……それこそ全身全霊を懸けて謳われなきゃいけないし半端は許されない。

 謳う者は勿論、観て聴く方にも覚悟が求められる。彼女達が真に魂から、麻奈の楽曲を謳いたいと思える刻と機まで待ち望んでいようと思う。金輪際謳わないと封印したワケじゃないから。

 『Pray for you』をFINALで謳ったもう一つの『答え』は、長瀬麻奈への『祈り』と麻奈の楽曲を謳う事無く、自分達だけの謳でこの旅を終わらせて未来へ駆ける誓いを彼女達は立てた。

ただ、水差す様だが、TRINITYAiLEとLizNoirの楽曲カバーした真意はよく分からん……単なるサプライズではあるのだろうが…まあ、俺は直に聴いてないのでこの件にこれ以上触れないが。

 それは、麻奈という存在を置き去りにする決別の意味ではなく、彼女を超えたいという決意表明でもあると。散々書いてるが……脳ミソに花咲いた様な物言いすると、あの刻と場に麻奈と神田さんの魂が在って、彼女達の謳を聴きに降りて来たと勝手に思っておる。

 

 

 EN3.サヨナラから始まる物語/星見プロダクション


 タイトルが告げられた瞬間、一気に爆発していく感情からの怒号に似た雄叫び。この楽曲が最後の最後で出て来る極上の価値を証明しているかの様だ。やっぱり、大団円を気持ちよく迎える為には欠かせない楽曲でラストに聴くのは格別なモノがある。コレなんだよ。俺が立ち会いたかったのはこの瞬間なんだって。

ステージ上のサニピと月ストも弾け飛ぶかの様な躍動感と楽しさ溢れるパフォーマンスを魅せた。未知の旅を見事に駆け抜けて完遂出来た。そして、サニピにしか出来ないLIVEと月ストにしか出来ないLIVEをそれぞれきっちりと魅せ付け、魂を滾らせて楽しませてもらえた。

 彼女達が巡って来た旅は終わりを迎えた。でも、ここはゴールではない。ここからまた次の旅が始まる。互いの健闘を称えて労いながらも、彼女達の双眸には確かな光が灯って希望に満ちた輝きを放ってめっちゃ良い顔してたんじゃないかなと。

いろいろな想いが彼女達に湧いて来たと思う。未知の旅への不安と期待、懸けていた想い、何かの決意を抱いていた子もいたかもしれない。覚悟があった。気迫が漲ってた。我々には想像も及ばない程に濃密な刻を過ごして駆けて来て、得られた尊いモノがあったでしょう。

 ただ、その答えを我々がいろいろ推察するのは無粋の極みなのだろう。本当の答えと宝物の価値は彼女達の中にしかないのだから。
 


 
 終わりに。

 

 まず、次のLIVE開催が決定したとの報が告げられた。

 

 

 

 ゲームリリースから三周年を迎えてのLIVE。おそらく、昨年以上のとんでもないLIVEになるんじゃないかと気の早い話ではあるが……期待を抱かずにはいられない。


 以上をもって、『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』夜の部参戦レポになります。
誰一人欠ける事無く、大きなトラブルも起こらず無事に最後まで駆け抜けられたのは本当に良かったなと。そして、本当に素晴らしいLIVEを魅せてくれて本当にありがとうございました。

サニーピースと月のテンペストの『今』の全身全霊、意地と覚悟をきっちりと魅せて、全員が未来を見据えて楽しみ尽くしてこの旅を終える事が出来た。そして、明確に次の旅へと踏み込む覚悟と強い決意を感じた。それがLIVEで魅せてくれたパフォーマンスに宿っていた。誰も諦めずに戦えたからこそ成し遂げられた。

 未来への旅はもう始まっている。サニーピースと月のテンペストが向かう次の旅路。そこにはいったいどんな景色が待ち受けていて、どんな未来が待っているのか。夏の横浜でもっと強くなったサニピと月ストを見届けて魂を滾らせて欲しい。

 
 そんな願いをもって、筆を置きたいと思います。ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。

 

 

 

月と太陽が再び交わる刻と場ーIDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda 参戦レポ・前編(昼公演)

 1月21日。Zepp Hanedaにて開催された『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』昼夜公演に参戦して来た。

 


ちなみに、今年初の現場参戦となったLIVEでもあります。数はそう多くはないだろうが、いろいろな現場へ参戦して感じたインプレッションを今年も書き殴っていければと思う。今回は前編と称させていただき、昼の部のレポという形となっております。


 昨年の12/24のサニピ札幌公演を皮切りに出発したTourは、年が明けて1/7のサニピ名古屋公演、1/8の月スト大阪公演、1/14の月スト福岡公演を経て、1/21の東京。羽田公演にて終着を迎えた。

今回のLIVEは、これまでの様な単独公演というスタイルではなく、『IDOLY PRIDE』にとっては初となる全国を巡るTour。そして、このHanedaはそのTourのFINALとなる地。ただし、自分はここまでの旅路で彼女達の戦いは観れていない者。伝聞でおぼろげながら知ってはいたものの、実際にその地と刻で体感したインプレッションとの差はどうしても埋められないのだ。

このTourは言わば未知への挑戦であり、月ストとサニピの子達にとって避けて通る事の出来ない戦いでもある。その旅路を駆け巡る中で、月ストとサニピが何を見て感じて、パフォーマンスに本気の想いとPRIDEを懸けて『今』の全身全霊を証明出来るか。

Tourの全てを観てない者の負け惜しみと捉えられるかもしれないが…旅の終焉の地で、そいつを証明出来なかったらこのTourは失敗だと俺は勝手に思っておる。

 旅の終焉で何が待っているのか?我々に何を魅せてくれるのか?その答えを求めて、俺はZepp Hanedaへと向かった。このレポはそんなおっさんの戦いの記憶である。

 

 


 1.Question/月のテンペスト


 開演し、Overtureが鳴り終わり、ステージには五人のシルエットが視認出来た。そして……そのイントロでいきなり腰が抜けそうになった。この楽曲をオープニングアクトに持って来るのかッ!と。
 
脳ミソが一旦落ち着けと指令を発しておるが、そんな事はお構いなしとばかりにステージが照明で照らされて、今回のTourでお披露目になった新衣裳を纏った月のテンペストの五人である、橘美來さん、夏目ここなさん、宮沢小春さん、相川奏多さん、日向もかさんの姿がハッキリと見えた。

脳ミソが混乱状態から回復しておらんのに、視覚に武力介入して来る月ストが本当にクッソ可愛くてねぇ…(語彙力の崩壊…)余計に脳ミソが混乱を深めてしまった。オープニングアクトでいきなりコレだ……このLIVEはとんでもねぇLIVEになると根拠の無い予感を抱いたのは言うまでも無かった。まあ、俺の中で彼女達ミューレ3期生に対する思い入れがここ最近強くなっているってのも要因だったりする。

 で、その混乱の要因になったのは、この楽曲が月ストの新境地となるテイストによるモノ。月スト楽曲の持ち曲のテイストは、スタイリッシュで格好良い系統のモノが多い。ところがこの『Question』という楽曲は、どこか落ち着き沁み入る感じというのが、音源を聴いた時のファーストインプレッションだった。

前述した様に、月ストの楽曲はスタイリッシュで観客と会場の雰囲気の火付けに適した楽曲は多い。大阪と福岡のオープニングアクトは、月ストのアイコンソングである『月下儚美』だったそうな。

このチョイスは、いわば月ストの賭けと言ってもいいだろう。散々この怪文書Blogの参戦レポでも書いて来たが、オープニングアクトの楽曲でコケると非常にシャレにならん状況に陥ってしまう危険性がある。だからこそ盛り上がれると確信出来る楽曲をチョイスする事が多いと勝手に思っている。

ただ、この楽曲もTourで謳って来た楽曲。その旅で彼女達はおそらく何か手応えを掴んでいたのかもしれない。その答えが合っているモノと確信して未知の挑戦に賭けた。

 あくまでもコレを見た俺のインプレッションであるのだけれども……この賭けに月ストの五人は見事に勝った。盛り上げて火をきっちり焚き付けるのが、オープニングアクトで遂行しなければならないミッション。それと同じく重要なのが、いかに観客を驚愕させて創造した雰囲気に観客の魂を没入させ、『もっと魅せ付けてくれ!』と捕らえて離さない事が出来るか。月ストが挑んで賭けたのは後者の方だ。

 これまでとは違うアプローチで魅せ付ける。そして、私達にだってそれが出来る!
この楽曲の落ち着いて沁み入るテイストとは違い、滾る様な熱い魂とPRIDEを月ストは歌声とダンスパフォーマンスに乗せて解き放っていた。勿論、最高のオープニングアクトになったのは言うまでも無かった。

 

 

 2.Daytime Moon/月のテンペスト


 イントロが響くと同時に、轟いたコールの渦の勢いに思わず圧倒される。この楽曲、こんなに盛り上がるモノだったか?と。おそらくこの楽曲の進化もこのTourで得られた賜物。

軽妙な曲調で可愛らしさを押し出しているテイストで、これまた月スト楽曲では異彩を放っている。そんな楽曲が今回のLIVEで新たに刻み込まれたインプレッションは滾る熱と興奮だった。コレも、月ストの成長がもたらした要素でもあり、観客の声援が加わった事によるモノだと言っても過言じゃない。

確か、最後にLIVEでこの楽曲を自分が聴いたのが昨年の2月の『未来』だった。その刻では、声出し解禁だったけどここまで盛り上がらなかったと記憶している。でも、今回はそうならなかった。ちなみに、この楽曲は、サニピもカバーしており札幌公演で謳ったと聞く。更に言えば、月ストも大阪や福岡にて謳っている。歌い継ぐ事で楽曲は成長していくモノ。

 前述した様に、観客の声援がバフとなっている事が進化の要因ではあるんだけども、観客の興奮を引き出させる要因になるのは演者のパフォーマンス在りきだ。五人は、謳って踊れる事を心底楽しんでいるのが強烈にステージ上から伝わって来た。その姿に魂が揺さぶられないワケがない。

いい意味での余裕や遊び心が五人の中に出来ているのだろうな。それがまたこのアクトのパフォーマンスを更に彩って引き立たせていく。煽って盛り上げたり、キュートに魅せて撃ち抜く決め所はきっちりと外さずにキメる。彼女達も観客が返してくれる声援のリアクションに懸命に応える。

こちらが彼女達のパフォーマンスに魅せられ興奮して燃え滾っているのと同様に、声援という分かり易いモノが彼女達のテンションを昂らせている様に思える。想いと魂の相互循環ってヤツだ。

 その領域まで『Daytime Moon』という楽曲を進化させた。それだけの強さと逞しさを月ストは魅せ付けた。

 

 

 3.裏と表/月のテンペスト


 意外性の変化球連続で攻めて来た所で差し込まれた直球。しかも、月ストの『戦いの謳』であり『アンセムを持って来た。スリリングなイントロから始まり、月ストのFantasista・相川奏多のキレと冴えのある明瞭な歌声による歌い出しで戦いの火蓋を切る。一瞬で茫漠な熱気が渦巻く雰囲気へ変化させていった。

話が一旦飛ぶが……相川奏多=Fantasista論については、ここでの詳細な言及は避けさせてもらう。何故なら、それで記事が一つ書けてしまうので。ここでは多芸多才と言う意味で捉えて下さい。

 話を戻しまして……この異様な熱気に呑まれたら一瞬で殺られる……俺の生存本能と闘争本能にも火入れが完了していた。この変態楽曲の一番とんでもねぇ所は、橘さん、夏目さん、宮沢さん、相川さん、日向さんが、剥き出しの殺気でもって観客の魂ごとぶん殴ってくるエモーショナルの暴力で制圧に来る事だ。受け止めるこちらも五人の本気に退かないで真っ向から戦わなきゃならない。

暴れ狂うメロディ、それに一切引けを取らない五人の力強さとエロ艶やかさが共存した歌声とダンスが視覚と聴覚に容赦無く武力介入して来る。その暴力に抗う為、ビートの鼓動に身を委ねて激しくヘッドバンキングし、声を張り上げて吠える。そこまでHIGHにならんと、あの五人と楽曲に焼き尽くされてタダの燃え尽きた灰になってしまうのだ。

 でも……この理不尽なモノを求めていたし、感じたかったんだって。何かいろいろと己の魂に渦巻いてる鬱積としたあらゆる負の要素を忘れて、ただただ思いっきりブチ上がりたかった。それは、月ストの五人…いや、琴乃達も同様だったのかもしれない。それはこの楽曲が彼女達の『今』を色濃く証明しているからに他ならない。

届けたい本気の想いとPRIDE。このままならない世界で何が何でも生き残ってやるという執念が、この楽曲に新しい血を流していった。月のテンペストの生き様と覚悟を証明した文句の付けようが無い最高のアクトだった。

 

 

 4.EVERYDAY! SUNNYDAY!/サニーピース


 月ストのターンが終わって、登場して来たのは…サニーピースの面々。
どの楽曲を初手に持って来るのか?と期待に胸躍らせる所へ……サニピの『アンセム』の系譜であるこの楽曲のイントロが響き渡った。

おいおい……こういう繋げ方は、オタクのプレイリストでよくやるヤツぢゃねぇか!ともう乾いた笑いしか出て来なかった。『裏と表』でKnockout寸前なLIFEゲージが真っ赤で数ミリの瀕死状態な所で、サニピのアンセムを叩き込む。もうOverkillですよ。可愛い顔してやって来る事が非常にエグいwwwww

 ただ、大人しくくたばっておる場合ぢゃねぇのよ。サニピのターンへ移行したという事は、もうぶち上がる楽曲しかやらないという宣告なのだ。まあ、無理して盛り上がる必要は無いんぢゃないの?と言う声もあるだろうが……残念な事に、俺の脳ミソと身体はそういう風には出来ておらんのだ。

この楽曲はサニピの五人が過去に抱いていた負の感情を振り払って、未来への希望へと変換させていく事がテーマになっている。明朗快活な楽曲のテイストではあるけれど、どこか叩き上げの魂も感じられる。過去の闇までも照らしてやろうというある種の意地みたいなモノがそういうインプレッションへ繋がったのかもしれない。

 サニピの五人に共通していたのは、絶対に諦めないという執念だと勝手に思っている。生への執念でもいい。雌伏の刻を過ごしてもアイドルを諦めなかった遙子。大好きなダンスを続ける事を諦めなかった怜。一度は断たれたがそれでもアイドルへの軌跡を諦めなかった千紗。嗤われながらもアイドルになる事を諦めなかった雫。病に侵されながらも生きる事を諦めなかったさくら。

そんなキャラ側の想いとPRIDEを、ステージ上のキャスト側のサニピはパフォーマンスに込めた。川咲さくらと菅野真衣の魂、一ノ瀬怜と結城萌子の魂、佐伯遙子と佐々木奈緒の魂。白石千紗と高尾奏音の魂。兵藤雫と首藤志奈の魂。キャラクターと演者という境界は、あのステージ上では存在しなくて、魂がシンクロしていた。……コイツは何を言ってやがると思われるだろうが、俺の残念仕様の脳ミソと感覚はそう受け取って解釈してしまった。

 月ストにも意地と覚悟がある様に、サニピにも当然意地はあった。明確な勝負ではないが退けないし譲れないPRIDEをもって戦う。そんな彼女達が謳う楽曲とパフォーマンスが弱いワケが無いんです。サニピの『アンセムたる所以を徹底的にきっちりと叩き込まれた。

 

 

 5.SUNNY PEACE for You and Me!/サニーピース


 『アンセム』の系譜で繋げていくのは南極条約に違反しておるのをこの子達は知らんのか?!とwww(当たり前だがんなモノは無い)言いたくなるがそんな事を言っておる場合ぢゃ無い。しかもこの楽曲は決戦仕様のとんでもねぇ楽曲だ。

曲タイトルが示している様に、この楽曲はサニピと観客が一つになるという想いと魂の相互循環が主軸になっている楽曲。サニピの軌跡と照らし合わせる様に今回のTourの工程をどこか懐かしむように叙情的な『静』の雰囲気で謳っていってる様な……

自分は、その旅の終着点で待っていた奴だが…何か一緒に巡って来た様な錯覚に陥っていた。誰も置いてけぼりにはしないというサニピの気遣いなのかもしれない。

そして、Bメロからサビ前にかけてこの楽曲は『動』の雰囲気へと表情を変えていき…サビで一気に解放される激情!!!!!サニピの本気に我々の本気で応えるあの箇所で、この楽曲の最大のキメ所。ここからは一切の遠慮はいらない。理性と言う名のリミッターを完全開放して思いっきり吠えた。

 サニピと観客の本気のぶつかり合いは、もの凄い熱量へ昇華した。昨年の『未来』で観客の声援というラストピースが一分の隙間なくガッチリとハマって、この楽曲に血が流れたあの刻以上の熱の滾り様だった。ただ、直近の札幌と名古屋は参戦してないので比較対象にはならんだろうが…一つ確実に言える事は、サニピの『10人』はこのアンセムの限界領域をこのTourで突破させたのだ。

それは、会場の熱気と観客の爆ぜた感情が何よりの証明ではないだろうか。でも、コレが最高到達点じゃない。彼女達がもっと強くなればなるにつれて、このアンセムもまた進化を遂げるのだと。

 

 

 6.HI5でピースサイン/サニーピース


 アンセムのみでここまで繋ぐ力業。今のサニピにはそれを可能にするだけの楽曲と謳えるだけのメンバーのチカラがある。月ストと同じ攻め方はしないという所に、サニピの意地とPRIDEが垣間見えた。新たな始まりを迎えサニピのNext journey(次の旅)を彩っていく。

LIVEバージョンでしか流れない特殊イントロ。初めて聴いた夏の幕張ではただ驚愕して何も出来んかったが…今は違う。彼女達に『一緒に歌って!』と促されずとも自然と『Woo Woo Woo♪』と声が出て歌える。

 爽快で明朗な雰囲気はそのままで、そこに力強さが加味され聴いてて心地が良い。それでいてちゃんとこちらの魂も滾らせて盛り上がれる。サニピのグループカラーのオレンジの煌々とした光が会場を支配していくが、その煌きに負けない…いや、それ以上の煌きをステージの五人は放っていた。

あの場と刻を思う存分楽しんでおったのは観客だけじゃなかった。心底楽しんでいたのがステージ上のサニピだった。彼女達も、月スト同様に自信を持っていたし、いい意味での余裕もあった。それらがパフォーマンスに乗っかっている。まあ、太陽の名を冠するグループがペンライトの光に負けてちゃ話にならんワケだがww

 

 

 7.未来模様/長瀬琴乃


 ステージに現れた橘さんの姿とイントロで膝は言う事きかなくなり腰抜かしかけた……いやいや、LIVEはまだ序盤戦だし、もうこの楽曲を投入するのか?!と。

サニピゾーンによって、興奮の熱が完全に支配する会場。そんな中で単身ステージに立つ橘さんの心境はいかほどのモノか…更に言えば、この楽曲は盛り上がる系統の楽曲ではない。LIVEのセットリストの構成には、いくつかの決め所的なポイントが散りばめられている。このLIVEにおいてはこのアクトがそれになるのだろう。

 ここを外してしまうとLIVEの行く末そのものが危うい方向へと傾いてしまう。重大なミッションを課せられた橘さんが感じていたプレッシャーはハンパなモノじゃなかったはず。でも、彼女の歌声とその貌にはプレッシャーなんて微塵も感じさせない程に晴れやかな笑顔全開で、解き放たれた様な心地いい歌声を響かせていた。

前回LIVEで聴いた時(アイプラLIVE未来)も、彼女は晴れやかな笑顔で未来の希望を謳っていた。それは、橘さんが楽曲と琴乃の生き様に真正面から向き合った末に得られた答えなのだろう。ここで果たす役割は、観客を乗せていく事ではなく惹き込んでよりLIVEに没入させる事を彼女は理解されていた。

 見事なまでに、橘美來と長瀬琴乃が創造した『未来模様』の世界に我々の魂は惹き込まれた。歌いきって佇む橘さんの笑顔は本当にいい貌をされていたのがその証明だったのではないだろうか。

 

 

 8.voyage/佐伯遙子


 佐々木奈緒さんの姿とイントロが聴こえた瞬間……俺の涙腺が臨界点を超えてしまった。
多分、今後LIVEで『voyage』が披露される度にそうなってしまうのだろう。本当に駄目なんだこの楽曲は……

 穏やかな波を航海している様な柔和なメロディと、温かな包容力があり芯の強さも感じ取れる佐々木さんの歌声が見事な調和でもって聴覚へと響いて来る。ここまでは、去年の幕張LIVEで聴いた時と同様なインプレッションだが…Hanedaで聴いた『voyage』は、熟された深みと称すのが自分の中では一番しっくり来る様なモノが加わっていたと思う。

遙子の心意気やそれこそ魂はそのままに、洗練されていたという言葉が自然に出て来るパフォーマンスだった。それはこのTourで歌い継いで来て、楽曲は勿論の事、佐々木さんが遙子の魂に寄り添って共にこの旅を巡って来た証。

 VENUS PARTY2日目のレポの時にも書いたかもしれないが、この楽曲は柔和で穏やかなだけの楽曲ではないと思う。不遇と雌伏の刻を経てもアイドルでいる事を諦めなかった遙子の執念が潜んでいる。それがあって、報われる刻が訪れてこの楽曲と出逢い大観衆の前で心からの笑顔で謳える。

 だから、この楽曲は本当に尊くて、感情が込み上げて来るのだ。

 

 

 9.欲しいよ/伊吹渚


 このアクトをどう解釈するのか?単純に、アイドル・伊吹渚のソロ楽曲として観るのか?『もし恋』のヒロインとして心情を謳うモノとして捉えるのか?渚に魂を宿す夏目ここなの方に注目して観るのか?イントロが響いて、夏目さんがステージに登場して来て歌い出すまで、俺の脳ミソはQuestionマークで埋め尽くされてしまっていた……

こんな状態になってしまった最大の要因は、彼女…夏目ここなさんの表現力。どの入り口でこのアクトを観ても、彼女と渚にきっちりと堕とされて魅入ってしまうロジックになっておった。

 この何も抗う事の出来ないモノは、同じ『もし恋』楽曲(勝手に命名)の系譜である、怜のソロ楽曲『No.1☆』を彷彿させた。ただ、パフォーマンスに落とされるという点は共通しているが、この楽曲は渚=夏目さんの歌声に聴き惚れてしまう『静』の要素に振り切っている。

この楽曲は、ミディアムテンポのスタンダードなラブソング。そこに、夏目さんの甘く柔和な歌声が見事にハマっていて、絶妙な聴き心地の良さを醸し出して魂に沁み渡っていく。コレに気付いた時点ではもう遅い。伊吹渚と夏目ここなの魅惑の領域に完全に取り込まれていた。特に、観客を射抜こうとする様な魅惑の視線に釘付けにされてしまう…

 夏目さんの『魅せ方』の上手さは理解しているつもりだった。でも、あの刻での彼女はこちらの見立てをあっさりと上回るモノを魅せ付けた。渚と夏目さんは、未来の刻で必ずもっと輝いてくれる。そういう機が与えられる…いや、勝ち取る事を信じている。

 

 10.Do you believe in music?/一ノ瀬怜×佐伯遙子


 Zepp Hanedaに降臨した二人の女神、結城萌子さんと佐々木奈緒さんが極上のハーモニーを奏でる。お二方の歌声が本当に良い。いや、もの凄く綺麗な歌声。

いろんな人のLIVEをこれまで観て来たが、歌声が良いってのは当然なインプレッションではあるのだけれども……綺麗な歌声というインプレッションまでには至った事が無い。(……はず)
もしかすると、抱いていたのだろうけど、鈍感を極めた俺のあらゆる感覚はそいつを感想としてアウトプットしてこなかったのだろう。

ちなみに、この楽曲の音源のみを聴いた時やゲームの3DLIVE映像を観てもそこまでのインプレッションには至っていない。しかし、このアクトに関しては、そんな当たり前の事を再認識させる程、とにかく歌声が綺麗だったのよね。

彼女達の歌声の相性が見事に合致しているのは勿論だが、曲調との相性も良い。Tourで歌い継いで来た経験、そして、怜と遙子の魂とPRIDE……どれか一つでも欠けたら良い歌声止まりで綺麗な歌声へ昇華する事は出来なかったと思う。

 結城さんと佐々木さんの歌声がもたらしてくれた圧倒的な多幸感。えげつないまでの癒しの空間。ステージのお二方が舞い踊る姿を網膜に焼き付け、澄み切った綺麗な歌声を浴びる事で、日頃のストレスとか穢れやらで荒んでしまった魂が浄化される様な心地良さがあった。耳、目、心を傾けて真摯にメロディと彼女達の謳に向き合う。聴覚と視覚が幸せというのはこの事なんだって。

 儚いけど眩しい。優しくて強い。『ドゥユビリ』(※Do you believe in music?の略称)の女神たちの完成され尽くした美技に息を呑み酔いしれるしか出来なかった。
 

 

 11.君がのぞくレンズ/長瀬琴乃×伊吹渚


 多幸感に包まれた癒しの空間を疾走感満載なバンドサウンドが斬り裂く。この疾走感は、この楽曲の真骨頂で本当にたまらないモノ。そこに、橘さんの凛とした張りのある歌声と、渚のソロで聴き惚れさせる『静』の歌声ではなく、一転して『動』の雰囲気を纏った夏目さんの歌声がこの楽曲に血を流していく。

まあ、盛り上がらないワケが無かった。待ち望んでこのTourでようやく披露が叶ったのもあるし、バンドサウンド&疾走感の組み合わせがそもそもLIVE映えの高いモノでもある。更には、琴乃と渚=橘さんと夏目さんの縁の関係性もある。

 月並みな所感になってしまうんだけども……やっぱり、琴乃と渚のデュエットは本当に強かった。
特に、サビで一気に激情が解き放たれた二人の歌声に魂が揺さぶられて血が滾って来る。二人。いや、琴乃と渚を入れたら四人か。彼女達の生き様とPRIDEによるモノは当然なんだけど、何よりも、彼女達の謳にチカラを与えていったのは、あの状況で謳える事の喜びと楽しみなのかと。

 LIVEのステージは極限状態に在る場。月ストのアクトの所感でも触れたが、そんな状況も楽しめる様になれたのは紛れもなく彼女達のこれまでの戦いの成果。迷いを振り払う様な爽快な曲調、琴乃と渚の物語を彩る歌詞、彼女達が謳う姿。音源で聴いた時よりも爽快で血が滾った楽曲へと進化を遂げていた。

 

 

12.つながる心Binary/白石沙季×白石千紗


 この楽曲がFINALにて披露されるのは確実だろうと思っておった楽曲。まあ、月ストとサニピしかいないLIVEでやらん理由を挙げるのが難しい。

ただ、披露されるのは分かっていたが…いざ現場にて、イントロと、沙季&千紗の歌い出し『You are my precious one~♪』で、『ああぁぁぁぁぁぁッ!!!!』と断末魔の叫びをあげ、頭抱えて膝から崩れ落ちそうになってしまう。おそらく、こうなってしまったのは俺だけじゃないと思っておる。宮沢さんと高尾さんは“尊さの暴力”をもってZepp Hanedaを制圧しに来ていた。

 LIVE初披露になった去年(VENUS STAGE 2023“未来”)の時も素晴らしいアクトだったが、今回はそれをあっさりと越えられておった。相手を引き立たせる所はちゃんと立てていて、それぞれのキメ所は逃さずに仕留める。なおかつ、デュエット楽曲なので当然だが…互いに寄り添ってハーモニーを響かせていく所もきっちりキメていく。いい、本当にいいとしか呟けなくなっておった……

 このアクト(LIVE全体かもしれんが)に臨むにあたって、宮沢さんは高尾さんにあるお願いをしたと後のMCにて言及されていた。それは、自分とお揃いのイヤリングを着けてステージに立って欲しいという事だった。高尾さんも、宮沢さんの願いに応えてお揃いのイヤリングを着けられていた。

沙季と千紗の魂をちゃんと背負ってステージへ立つ事、一緒に謳う高尾さんの想いとPRIDEも共有して最高のアクトを魅せる事、キャラクター・演者・楽曲への深愛の情と尊敬の念……宮沢さんはこのアクトに本気を懸けていたと言っても過言じゃないと思う。高尾さんも、宮沢さんの懸ける想いとPRIDEを汲んでステージに立ち謳った。そんな彼女達の本気に魅せられないワケが無い。

 共に謳い、互いの良い所を引き出す為に協力し、どちらかがより前に出て目立つ為に競った。前にも書いたかもしれないが、このアクトで沙季と千紗はちゃんと姉妹喧嘩をしていた。でも、アクトが終われば手を繋いで元の仲睦まじい姉妹に戻れる。最後の手を繋ぐ所は本当に何とも形容し難いエモーショナルな感情と感動を揺さぶられて心が解される。アレがまた観れたのは本当に良いモノだと改めて実感させられた。

 

 

 13.月下儚美/月のテンペスト


 LIVEもいよいよ後半戦のフェイズへと差し掛かった。後半戦の初手は、オープニングアクトも務めた月のテンペスト。披露されたのは…月ストの『アイコンソング』であり『戦友』でもある、原初の楽曲『月下儚美』。この楽曲がアイプラLIVEで聴けるのは本当に安心する。

月ストにとってLIVEで最も謳って来た楽曲だし、共に軌跡を戦って来た『戦友』(勝手にだが……)と称しても過言では無い関係。月ストはどの楽曲も本当に素晴らしい楽曲揃いだけれども、『月下儚美』の存在感が他の楽曲より群を抜いて輝いている。そこまで昇華させたのは、月ストの五人がこの楽曲と真剣に向き合って来た賜物なのだと。

 
 燃ゆる月影映し出す

 ひとつに重ね合う気持ち

 ブレずに進め 光させ

 闇さえ照らせ 月の嵐


 ―月のテンペスト 『月下儚美』より引用


 今回最もインパクトが強烈だったのが、2番が終わった直後(Cメロかな)の、すず→沙季→芽衣→全員で繋いでいくパート。相川奏多の歌声は一点をブチ抜く様な力強さと鋭さがあって…宮沢小春の歌声には儚げだけれど凛とした芯の強さが乗っかり…日向もかの歌声はあどけない愛嬌とエロ艶やかな色香が混ざり合って楽曲に彩りを加え……そして、五人の叩き上げの魂が爆ぜる。ここからの高揚感は凄まじいものだった。

 一寸先は闇という諺がある。その諺の通り、彼女達のこれからの軌跡は真っ暗闇で見通しが立たなくて、どんな運命が待ち受けているかも分からず予測はつかない。それでも彼女達に諦めたり退くという選択肢は存在していない。このパートは五人の気迫と覚悟が凝縮された決意表明の様に感じられた。

 これぞ、月ストの真骨頂。『コレが月ストのLIVEだ!!!!!』と言わんばかりに、我々を畳み掛けに来た。イントロがかかった瞬間から血が滾って鳥肌が治まらず、これまで以上の圧と強さをもつ楽曲だったのだと徹底的に思い知らされた。

 

 

 14.最愛よ君に届け/月のテンペスト


 琴乃が脱退して……四人となった月ストの新章を突き進む為の新たな『アンセム
物悲しさがありながらも、どこか勇ましくこれまで以上の苦境と逆境に抗おうとする四人の反骨の魂を表している曲調に、自分は『アンセム』の系譜にある楽曲だと思わずにはいられない。

おそらく、作中で実装される時は琴乃がいなくて、四人の楽曲になるのでしょう。ただ、実際のLIVEでは、橘さんも一緒にステージにいる。しかし、彼女のソロパートは一切無い上に、所々独立した振りや立ち位置になる。琴乃の姿と歌声は無いが…想いとPRIDEは四人と共に在るという事なのだろう。

 いろいろな想いがこのアンセムには乗っかっている。しかし、そのいろんなモノを全部見届けてインプレッションに刻もうとすると全部中途半端なモノにしかならんので、曲終盤の渚とすずのソロパートに注目して聴いている。あくまで私見の域だが、ここがこの楽曲における最大のキメ所。

初めて披露した幕張の時でも充分に驚かせられたが、渚のソロパートの迫力と力強さは回を重ねていく度に増していっている。Zeppというハコの音響もあるのだろうが…筆舌に尽くし難いモノへ進化していた。どちらかと言えば渚の声というかは夏目さんの地声が表に出ている感じはするが、渚の想いと魂とシンクロして夏目ここなが『顔』で謳うからこそあの気迫に溢れた歌声になっているのだと。

 そして、新たに月ストのセンターの座に就いたすず。相川さんは、夏目さんとはアプローチが異なっていて、徹底してすずの声色で歌う事を全うされていたと自分は感じた。背負う者としての覚悟、自らのチカラで道なき道を切り開く決意に満ち溢れた清廉で真っ直ぐな歌声を響かせる。コレもまた良い。

 メインストーリーで描かれた渚とすずの心情も相まって、燃え滾る様な衝動を感じながらも、胸にグッと熱いモノが込み上げて来る。ここで触れてはいないが…沙季と芽衣の歌声も本当に素晴らしい。すず、渚、沙季、芽衣…そして琴乃の生き様が歌詞と歌声にありありと表れているので、聴いていて勇気が湧いて来るし、涙が込み上げそうになってしまう。


 言わずもがな…月ストの『アンセム』としての強さを発揮した圧巻のパフォーマンスだった。

 

 

 15.The One and Only/月のテンペスト


 月ストゾーンのトリを飾るのは、これまた月ストの『アンセム』の系譜に連なり、『生命の謳』もあるこの楽曲。散々アイプラLIVEのレポでも書いて来たが……この楽曲を謳っている五人は、あらゆるしがらみから解き放たれた様な清々しさがある。

そのインプレッションは、初めて直に聴いた時から今に至るまで変わる事は無い。どんな理不尽や困難で絆を裂かれようとも…この楽曲がある限り絆は再生されて立ち上がるチカラを五人にもたらしてくれる楽曲。

 まさに月ストの集大成。ここまで全身全霊で駆け抜けて来た彼女達だからこそ謳える楽曲。

道は違えど、この未知への旅路を巡って来た最高の仲間であり最強のライバルであるサニーピースがいるからこそ、月のテンペストも『最高の輝き』を放って謳う事が出来たのだと。

この旅を巡って、彼女達はたくさんの掛け替えの無いモノを手に入れたのだろう。その中の一つに表現力の幅が広がった事。付け焼刃の様な演技力やらパフォーマンス力ではなく、魂の奥から湧き出て来る感情を剥き出しのまま解き放つチカラ。それが良いのか良くないのかは多種多様な意見があるし、どれも正解で間違いという明確なジャッジは出せない。

ただ、それもまた彼女達が得た答えの一つ。あの刻と場でこの五人が魅せ付けたパフォーマンスに目を奪われて魂を撃ち抜かれたという真実があった。


 月のテンペストの『今』の全身全霊を懸けたステージを目の当たりにして改めてそう感じたのだ。

  

 

 16.全力!絶対!!カウントダウン!!!/サニーピース


 月ストは、『月のテンペスト』にしか出来ないLIVEを魅せた。それを我々よりも近くで見て感じたサニピのメンバー達が燃えないワケが無い。しかも、月ストも今回のTourでカバーしたこの楽曲で勝負を挑む。さしずめ、本家本元の意地とPRIDEを魅せ付けてやるといった所か。

そんな旅の記憶を魂に刻み込んで、次の門出へ向けて進んでいく為の謳。俺は月ストのカバーバージョンをLIVEで観ておらんのでどう比較して良いのかは分からんが…改めて、この楽曲の強さと楽しさを感じられた。

 サニピにとっても今回のTourは未知の挑戦だったし、月スト同様様々なモノを旅の道中で感じて得たと思う。そして、彼女達だけではこの旅は駆け抜けられなかった。Aメロのメロディと五人の歌声は、そんな旅路を懐かしむ様なノスタルジック感を刺激してくれる。もしくは、今回のTourだけではなく、サニピの軌跡そのものを五人は懐かしんでいたのかもしれない。

その旅の記憶には、嬉しくて楽しいモノだけとは限らない。悔しい事や自分のチカラだけではどうにも出来ない事だってあり、筆舌に尽くし難い悲しい事もあっただろう……でも、刻は止まって彼女達を待ってはくれない。グッと飲み込んで未来へと突き進む覚悟を決めた。

 五人の歌声は、それこそこの楽曲のテーマになっている新年の初日の出の様に鮮やか。
感謝の念や純然な好意をもって紡がれた歌詞が更なる説得力を増して聴こえて来た様な気がした。楽しいというインプレッションは損なわれずに、新たに心がじんわりと温まっていく様なインプレッションが刻まれた。

 

 

 17.SUNNY PEACE HARMONY/サニーピース


 クライマックスで披露されるサニピの原初の楽曲であり『アイコンソング』。
とは言え……アイプラLIVEで毎度披露される事は無く、回数はそこまで多くないという感じだwwwでも、今回のTourでは外せないってのは勝手に根拠の無い確信を抱いていたので、無事披露されたので胸を撫で下ろした。

だが、妙な感慨に浸ってしっとりと傾聴してる場合ぢゃない。サニピの『アイコンソング』がそんな優しい楽曲なワケがないのだwwwこれまた月並みな所感になってしまうが、やっぱり原初の楽曲を謳っている時のサニピは本当に強く、眩しく輝いていた。

そんな彼女達の強さ、眩しさ、楽しさに我々も全身全霊で楽しみ尽くそうと、クラップでリズムを刻み声援をあげて応える。前にも書いたかもしれないし、今後も触れるだろうが……このアクトが創造していく圧倒的な楽しさに溢れた空間は、『HARMONY』と称して過言ではなかった。

 サニーピースの五人の歌声が重なり合って響くHARMONY。キャラクターとキャストの双方の歌声がシンクロするHARMONY。サニピとファンの想いと魂が交わって響かせるHARMONY。それは、サニピを取り巻く数多の縁があの刻と場で見事に繋がった奇跡の瞬間。まさにサニピの真骨頂であり集大成。

 『これがサニーピースのLIVEだ!!!!!』ってのを存分に思い知らされ、魅せられた。

 

 

 18.Let's Go! Let's Go! ピース! ピース!/サニーピース


 本編ラストを飾る楽曲は、サニピの最新楽曲を持って来た。昼公演ではあるが、世に出てまだ間もない楽曲をラストに持って来たのは、このTourでこの楽曲がとんでもない進化を遂げて強くなった事を彼女達は実感してラストに据えたのではないだろうかと。

この楽曲がTourを経てどういう進化を遂げるのかは、非常に興味深いモノがあった。音源を聴いたファーストインプレッションは、チアリーディングでそのまま使えそうなハイテンションかつ陽気なテイスト。まあ、LIVEでの盛り上がりは確約されてるんだろう楽曲というモノだった。そういうオーダーを受けて作られただろうし。そんなこんなで、ある程度肚括って現地での披露に臨んだが……

 

 なんだコレ?!化け方がハンパぢゃねぇッ!!



 と、開いた口が塞がらん上に乾いた笑いしか出て来なくなってしまった……いや、化けるだろうってのは想定内だったんだけれども、速度と熱量が異次元の領域なのよ。えっ?何??……楽曲だけ精神と時の部屋にでも入っていたの?wwwwってアホな事言う位の凄まじさ。(精神と時の部屋の説明はここではしないので、いろいろ検索して下さい)

まず、導入部やAメロ終わった後にコーラス部分があるんだが、その部分は既に観客が謳う事が確定事項として完成していた。ただ、コーラス部分を観客が一緒になって謳うってのはよくあるケースだし、コレが驚きの直接要因ではない。

 その元凶(だから言葉選べ…)になってんのが、2番サビの後のLet's Go! ジャンピングタイムだ。ここではメンバー一人ずつアピールタイムが設けられておる。ここでの五人のアピールが本当にクッソ可愛いし…(最大級の賛辞と称賛)しかも、観客をも巻き込んでジャンピングタイムの演出に組み込まれている。『右へジャンプ!左にジャンプ!』は一緒になって声を出す。ちなみに、このジャンピングタイムがある為この楽曲は、現在アイプラ楽曲最長の時間になっておったりする。(6分55秒…)

 圧倒的だった。いい意味で予想を裏切り、期待以上のモノを魅せ付られて、許容出来るエモ―ションのキャパオーバーを起こし、ただただ完敗という言葉しか出て来なかった。

 


 EN1.MELODIES/星見プロダクション


 今回のTourでサプライズ披露された新曲。札幌ではサニピが謳った事からサニピの新曲かと思いきや、大阪で月ストも謳ったので、星見の10人による新曲だろうと多くの人が予感されていた。その予感は的中して、月ストとサニピが揃ってステージに立つ。

自分はこのHanedaのみの参戦なのでこの楽曲は完全な初見。そんな楽曲を現地で聴いても、俺の残念仕様な脳ミソのメモリーが記憶できるワケが無い為……もの凄くざっくりした所感になってしまうが……それはご容赦下さい。

 おぼろげなインプレッションで合ってる保証は全く無いが…曲調は同じ星見の10人曲の『Gemstones』とは違っていて、割とテンポは速くてどこか勇壮な雰囲気を醸し出してる。詞が紡ぐ世界観は、10人のこれまでと今とこれからを織り込んでいる様に感じられた。

作中の月ストもサニピも立場が変わった事によって生じてしまう想いのすれ違い。でも、お互いを思いやる心情までは置き去りにはしていない……そんな感じだろうか。その辺りの焦燥感だったり、何とか寄り添おうと懸命になっていく模様が楽曲のテーマでもあり、ZeppTourで伝えたかった想いの根幹にある様にも感じてしまう。

 所々に力強い歌声で謳っていたり、ダンスの躍動感は前述した焦燥感や懸命に寄り添おうとする想いが表れていたのかなと。

 

 

 EN2.Pray for you/星見プロダクション


 そうか……この楽曲をTour FINALで謳う事が、サニピの『10人』月ストの『10人』が出した『答え』で、未来の門出への決意表明だったんだなと。この楽曲自体がフィナーレ感満載ってのも影響しているのだろう。

あくまでも、個人のインプレッションだが、タイトルに『Pray』(祈り)という言葉を銘打っている様に、この楽曲は『祈りの謳』であり、『誓いの謳』でもある。

 彼女達10人は、何に祈り誓いを立てたのか?明確な答えはきっと彼女達にしか分からないモノなんだけど……その中に、これまでと今とこれからの軌跡を魂を共有して駆けていくキャラクター達に対しての決意と覚悟を示したのだろう。まあ、勝手な暴論による見立てでしかないが……

キャラクター達は、作中で各々差はあるが着実に成長を遂げている。そんな彼女達を演じるキャスト側は、それに置いて行かれるワケにはいかないと。共に肩を並べて駆けていく為にはいろいろと試して悩んで、心を燃やして抗ってみた。

そんな成果が今回のTourで10人の渾身のパフォーマンスとなって魅せて我々の魂を滾らせ興奮に至ったのだろう。それこそ詞にもある『私なりのプライド 魅せてやる』の証明でもあった。彼女達がそれを成し遂げる事が叶ったのは、役が好きだという純然な強い想いと、キャラクターをもっと輝かせたい。究極的に言えば『IDOLY PRIDE』が好きだという事も無関係ではない。


 どんな楽曲でもそうだが、この楽曲は色々な見方が出来る。このアクトで強く感じられたのは前述した様に、キャラクターとキャストの境界を超えた魂の対話による祈りと誓いの謳。この地と刻は旅の終着点だがゴールじゃない。またここから新しい未知の旅が始まる。

 

 

 EN3.Fight oh! MIRAI oh!/星見プロダクション


 本当に昼公演ラストの楽曲。しかも…骨ごと喰らう変態楽曲であるコイツで締めかwww
日向もかさんが高らかに『Fight oh! MIRAI oh!』と曲紹介した瞬間に笑いが止まらんかった。

まあ、湿っぽく終わるのも何か違うし、徹底的にきっちりと楽しみ尽くしてやろうと全身全霊でこのアクトに臨んだ。まあ、そんなだからこのアクトの詳細なモノは脳ミソで記憶出来ていない。記憶する為に消費するエネルギーも含めて、徹底的に楽しむ為のエネルギーに変換したから。

 やっぱり、LIVEで体感するこの変態楽曲の強さは際立っておる事を改めて思い知らされた。
完全な声出し可能という状況も当然ながらあるんだけど、その声援が彼女達のバフとなって無制限のブーストとなってパフォーマンスへ乗っかっていく。

このパワーは本当に凄まじいという一言に尽きる。その熱量はZeppの天井をぶち抜くんぢゃねぇの?ってアホな妄想を抱いてしまう程のモノがあったのよ。それこそ、アリーナだったりどデカい会場を一瞬で燃やして滾らせる位猛烈なモノだ。

 今更だけど、楽曲タイトルがいいよな。訳したら未来に闘志を燃やせ!みたいで。戦うはオーバーかもしれんが未来に進むってのは挑戦の絶えないモノ。これまでもいろいろと面白くない事やキツイ事は当然あっただろうし、これからもそいつはあるだろう。それでも彼女達は退いたり諦める事無く楽しんで駆けていくのだろう。

 10人の全身全霊によるパフォーマンスは、未来へ踏み込む覚悟が漲っていた。
言葉だけではなく、この10人について行けば大丈夫。もう弱かった頃の彼女達じゃない。戦い続けられたからこそ今の強さを得る事が出来た。きっと未来の刻で大きなモノを勝ち取ってくれると。そう強く信じさせてくれた。

 

 

 終わりに。


 まず、3月に今回のTourで初披露となった星見の10人の新曲『MELODIES』が収録されたNewアルバムのリリース決定の報が告げられた。

 

 


 昼の部が終演し、全身全霊で楽しみ尽くし……一気に疲労感が身体を襲って来た。
その余韻に浸りながら…会場の外に出ると、寒風が吹き荒んでおったが、火照った身体にはちょうどいい心地だった。だが、夜公演の開場の刻がすぐそこに迫っておったので余韻に浸りきってる場合でもなかったワケだが……その話はまた後日という事で。

 以上で、『IDOLY PRIDE Zepp Tour 星々と in Haneda』の昼公演の参戦レポとなります。
自分なりに、あの場と刻にて感じ取ったインプレッションを余す事無く書ききったと思っております。ただし、結局は自分の感覚によって受け取った所感なので、ご覧になった方はコレが違うとか、自分はそう思わなかったとか、いろいろな所感があると思います。

『IDOLY PRIDE』が好きと言っても、様々なパターンや熱がある。好きなポイントが人それぞれ違う様に、楽曲や世界観、彼女達のパフォーマンスに対する考え方も多種多様。

あくまでも、この参戦レポとして書き殴ったのは自分の所感でしかない。そう感じてしまったのだからどうしようもないのです。そんなこんなで、後編と称した夜公演の参戦レポも、一万字を超える怪文書になるでしょうwww昼夜通しての総括みたいなモノもそこで。

 
 ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。