巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

RGR楽曲ライナーノーツ#17 RADIANT

 どうも。RGR楽曲ライナーノーツシリーズのお時間です。

 


 2022年は、『Run Girls, Run!』結成5周年を迎える節目の刻。
そんな節目と新たなる軌跡への門出を彩るべくリリースされたミニアルバム『Get Set, Go!』

収録されている楽曲は、勿論全て新曲。グループでの楽曲が三曲に、メンバーの新たなソロ楽曲が三曲の全六曲の構成という意欲溢れる力作と評しても良いと思える。

で、今回から六回に渡って、ミニアルバム『Get Set, Go!』に収録されている楽曲についての所感諸々を好き勝手に語っていこうと思う。

 

 

 

 

 

 RADIANT

 

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 『Get Set, Go!』のリードトラック。解釈はいろいろあるが、リードトラックの解釈として自分の中にあるのは、アルバムを最も象徴する楽曲であり、アーティスト側からも最も力を入れていてイメージを形作っていく重要な位置の楽曲であるという事。RGRサイドもこの楽曲のフルMVを公開して来たという事を鑑みると、この楽曲を前面に押し出してプロモーションしていきたい事の表れだったのだろう。


 『RADIANT』の注目ポイントの一つとして最もインパクトが強烈だったのは、サウンドクリエイターチーム『Elements Garden』の参戦だろう。作曲は『Elements Garden』に所属されている藤永龍太郎氏。作詞はSpirit GardenというElements Gardenと連動している作詞家集団。

純度100%のElements Gardenブランドの楽曲がRun Girls, Run!にもたらされたという事になった。


 バンドサウンドが得意とされる藤永氏が書き下ろしたのは、ダークな雰囲気を纏う格好良いバンドサウンド。楽曲のタイトルである『RADIANT』の和訳の一つの意味にある光輝くとは対になる要素。

バンド(ロック)サウンド自体は、これまでのRGR楽曲の中では珍しいモノではない。自分の勝手な範疇の中において、RGRの『アンセム』の系譜に連なって来た『カケル×カケル』『ランガリング・シンガソング』『無限大ランナー』の世界観を構成している苦悩と向き合い、そこから逃げずに立ち向かって駆け出す要素を受け継いで来ている。

そういう点から『RADIANT』という楽曲は、RGRの『アンセム』の系譜に連なる楽曲でもあるのだけれども……グループ結成5周年という節目の刻にリリースされたという事を踏まえると、RGRの第二章の『アンセム』という側面もある様に思えるのだ。



 飛び出して Run&Junp!!! “RADIANT”超えてこう

 過去と現在と 未来の先を

 雨の日も 曇りの日も いつだって 

 表情だけは 晴れ晴れとして

 走り続けたい


 ―Run Girls, Run!『RADIANT』より引用

 


 2番のサビであるこの一連のパートが、自分が言うこれまでの『アンセム』からここから先へ往く為の『アンセム』の系譜である事を象徴している件だと感じられた。

それと、雨の日と曇りの日という詞がまたグッと感情を揺さぶって来ている。ここ2年ほど思うような活動には至らずもどかしい刻の中を彼女達は過ごして来た。雨と曇りという語句はその比喩なんだと。

そういったままならない苦悩の経験を経て、彼女達はOTONAの表現者として一歩踏み出せたとも言えるのかもしれない。突破というのがこのミニアルバム『Get Set, Go!』に掲げられたテーマだと言う。突破は未知の領域に一歩踏み出す事と同義でもある。詞もそうだが、鬱積とため込んでいた感情を爆ぜさせて滾る情熱を一気に解放させるサビのメロディと三人のパワフルでエネルギッシュな歌唱が、リスナーの熱を煽って滾らせつつエモーショナルな衝動も満ち溢れていく。


 そして、この楽曲の最大のエモーションを感じさせるのが、落ちサビ(?)後で差し込まれる林さんの『さあ、行こう』という台詞から大サビへと流れていく構成だと思う。

 


 何度でも Run&Junp!!! 凛として進むんだ

 私たちには 限界なんてない

 プレッシャーよりもワクワクの方が

 大きく咲いて 止まらないから

 踏み出して Run&Junp!!! “RADIANT”超えてこう

 自分自身と 世界の向こう

 いつまでも キミと一緒に見たいんだ

 生まれ変わった夢の続きを

 歌いたい歌がある


 ―Run Girls, Run!『RADIANT』より引用

 


 この終盤のくだりこそ、三人が真に伝えたい本気の想いと魂が込められていると自分は捉えている。リスナーの魂を揺さぶるフレーズを階段を駆け登るかの様なメロディと、ギアをあげブースト加速した様な彼女達の歌声で畳み掛ける……いや、殴りかかる様な激しさを感じさせたのは見事だと膝を叩くしかなかった。最後に音を高く取って歌い上げる締め方も素晴らしいの言に尽きる。

バンド(ロック)サウンドと、林さんの歌声の質との親和性は鍵と鍵穴の様にガッチリとハマる見事な組み合わせ。彼女の張りがあって晴れやかな歌声は本当にバンドサウンドに映えるモノ。

で、格好良い路線である『Break the Blue!!』にて低音域を艶やかに心地よく格好良く響かせた森嶋さんの歌声。それは同じく格好いい要素で聴かせるこの楽曲でも遺憾なく発揮されていて、あくまでも自分の所感ではあるが…この楽曲の要になっているモノだと強烈に感じさせた。

勿論、厚木さんの歌声も素晴らしいモノだ。彼女の歌声は繊細ながらも芯が通っている凛とした清廉さがある。厚木さんの歌声が持つ独特な質は林さんや森嶋さんには無い要素。だからこそ彼女の歌声も二人の歌声に埋没しない強さと親和性がある。

 


 これまでのRGR楽曲で多くあった疾走感溢れるキャッチ―さに、新たなチャレンジとされるダーク寄りな雰囲気。それを振り払って未来の刻と未知の領域を切り拓く強さを表現する楽曲と、それを表現の形としてきっちり落とし込んだRGRの三人の成長を偽り無く魅せ付けるという節目の刻にリリースされたアルバムのリード楽曲に相応しい強い楽曲。

楽曲というのは、歌い続けていく事で血が流れて成長していくモノで歌う者の生き様もそこに反映されていく。自分は『RADIANT』をこれまでのRGRのアンセムの系譜と繋がりつつ、新たな章のアンセムであると称した。この楽曲にはそれだけの可能性を秘めている。そして……林鼓子森嶋優花厚木那奈美の三人にしか謳えないし、血を流す事も出来ないのだ。