巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #9 早坂芽衣編

 新年、明けましておめでとうございます。今年もこのBlogをどうか宜しくお願い致します。

 


 と、いうワケで今回が新年一本目となる怪文書記事となるワケですが、ここはやっぱりドカンと勢いの良い記事にしていきたい。


そう考えた時ふと脳ミソに浮かんだ。『熱』を持って書き殴っていける題材は、『IDOLY PRIDE』に関してだろうと。そんなワケで、しばらく間が空きましたが『IDOLY PRIDE』キャラクターの独自考察を再開させてもらう。

まあ、勝手にやってろという声が聞こえそうなので勝手にやっていきますがwww


 で……第9回目の人物は、アニメ版の物語において他のアイドル達と一線を画した方向で重要な役割を担った早坂芽衣。彼女の存在と物語への関わりはストーリー序盤での大きな転換点になり、彼女にしか出来なかった役割で物語を牽引していった……というのが、自分の早坂芽衣評である。

全体の物語の流れを追っていくと共に、その中で早坂芽衣というアイドルがどういったアプローチで物語に絡み、また彼女が抱いていた想いについて勝手に考えを巡らせていこうと思う。


 毎度の事ですが…著者の独断や偏見と暴論が多分に含まれていると思います。
その点は、予めご了承いただけますと幸いであります。

 

 

f:id:Akatonbo02:20220104164134j:plain


 
 The girl who calls the tempest~大嵐を呼ぶ少女


 彼女…芽衣がストーリーに関わり出すタイミングは4話から。


その頃は、ボスユニットの一角である『LizNoir(リズノワール)』が星見プロにカチコミ…ではなく、ちょいと立ち寄った際に、琴乃達と合同レッスンをする流れに。そこで、圧倒的な差を魅せ付けられた琴乃達が打ちのめされてた……という具合。ちなみに、この時点ではまだ芽衣は星見プロには加入していない。そんな折、牧野(と麻奈)は、高い塀の上で野良猫と戯れている少女に目が行く。

その人懐っこく無邪気な少女が早坂芽衣。彼女は牧野に気付くと塀の上からいきなり飛び降りる。無事に牧野が芽衣を受け止めて互いに名乗り合い、なおかつ彼の隣にいたそっちの子……見えないはずの麻奈の存在にも気付き走り去っていった。


それが、牧野(麻奈)と早坂芽衣とのファーストコンタクトであった。


 琴乃やさくら達がこれから成長していく為に足りない要素を埋めていく為に悩み考えていく。同時に、牧野も彼女達に足りない要素をどういう形で埋めるのか?を悩み考える。彼が一つの答として導き出したのが新メンバーを加える事だった。グループとしてのバランスは悪いワケではないが、現状ではあまりにもそつが無さすぎる事がその答えに行きついたのだろう。そして、今の琴乃達を見ていた麻奈もこう語っている。

 

 あの子達(琴乃達)を見てても、あまり不安は感じない。それはいい事なんだけど……

 私の知っている売れたアイドル達は、どこかハラハラする子達ばっかりだった。

 

 

 ハラハラ=危なかっしさという要素を取り入れる事でグループは変化を余儀なくされる。その危うい要素を牧野が最も強烈に感じている存在が、つい最近出逢った早坂芽衣という存在だった。
良い方へと変化すれば喜ばしい事だが、異物の投入による状態変化に周りが適合出来ない悪い方向になってしまえばグループは崩壊してしまう。風穴を開けて旋風を巻き起こす者を投入するというのは賭けなのだ。

何やかんやあり、芽衣は星見プロ加入を果たした。当初は芽衣の加入を快く思わなかった琴乃も、日を追う毎に芽衣が加入してもたらされた明らかな変化を認める。同時に、琴乃が張り詰めた緊張感を漲らせていた事も。


 姉の遺志を受け継いでトップアイドルになるという琴乃は、彼女の考察の項でも触れているが、ガチガチの強固な枠と幻影に囚われて、記録をただ伸ばそうとするアスリートの様に正確無比なパフォーマンスを求めて突き詰める。

一方で、芽衣はアイドルに対しての憧れや夢への執着の類が一切ない。何ものにも縛られない自由自在、天衣無縫。享楽的な思考。彼女がアイドル活動をする際に一番大切にしている事は、ただただ楽しむ事だと言っている。『遊び心』をどんな時であっても忘れていない。
というかは、実際に遊んでいるのだろう。遊びの中だからこそ枠にハマらない柔軟な発想が出来ていろんなアイディアが出てくる。芽衣が提案したアイディアを取り入れる事で、他のメンバー達もパフォーマンスする事の楽しさを新たに発見していった。

 

 ダンスは本来楽しいモノだから!♪

 

 

 知らず知らずのうちに琴乃達は『枠』にハマってしまっていた。それが、そつが無さすぎるという事なのだろう。枠が見えないうちは自分達で壊す事は出来ない。だが、芽衣の加入によって風穴を開けて変化という大嵐を巻き起こすに至った。

その変化をより象徴しているのは、6話にて東京でレッスンを受けた後に『上手くなっていくのが楽しい』という琴乃の言葉。アイドル活動において『楽しい』というのはそれまでの琴乃からは出て来なかった言葉だったが故に、その意外性は皆を驚かせる事になる。


 芽衣と琴乃が所属するグループ『月のテンペスト』。月は琴乃が持つイメージから付けられたのだと思える。そして、テンペスト』(大嵐、もしくは動乱)は変化をもたらす者としてスカウトされた芽衣のイメージだと自分は考えている。

 

 

 

 境界を超えた先が見える眸と感性


 冒頭でも書いたが、芽衣にしか出来ない役割で琴乃やさくらとは違うアプローチで物語を牽引した。
それは、他のアイドルには無い唯一無二の特殊能力であり、アニメの物語において彼女の影響力が琴乃とさくらに匹敵するモノとなる。


 先の項にて、こんな事を書いた。牧野と初めて逢った際の別れ際に、芽衣は彼だけではなく彼の隣にいたある者に対しても『そっちの子もじゃーねー!!』と声を掛けている。牧野の隣にいて常人には普通見えない者……長瀬麻奈の幽霊が彼の傍にはいるのだ。芽衣はその存在を見えている。

 

 

 麻奈:パリッとした皮と柔らかな肉の歯ごたえ…噛むと溢れ出す肉汁……

 芽衣:それそれ~!!早く食べたいね~♪

 麻奈:ねー!!……えっ???

 牧野:へっ??

 麻奈:もしかして…私の事見えてる??

 芽衣:うん。見えるよ。

 

 

 ……食い意地の張った幽霊がいるのかとか、渚の作った鶏の唐揚げの量が運動部の寮で出す晩飯の様だとか突っ込むポイントはいろいろあるがwwここで最も重要なのが、幽霊の麻奈を認識出来て会話でのコミュニケーションを成立させられる者が牧野以外にもいる人間が確定した事。


そう、彼女は幽霊となった長瀬麻奈を認識出来て対話出来るのだ。芽衣のこの特殊能力は血筋に依るモノとの事。彼女曰く牧野が麻奈を認識可能なのは霊感があるとか血筋から来ているモノではないらしい。


 牧野は、麻奈の幽霊が見えるという事を誰にも口外しない様芽衣にお願いする。芽衣も彼の願いを快く受け入れた。それは、普通には無い特殊な力を持ってしまった者の宿命を彼女は痛感している。『嘘つき』という言葉が芽衣の口から出てきたのは、その見える能力が原因で過去に言われた言葉なのだろう。

 芽衣は麻奈に友達になろうと言う。で、麻奈も満面の笑みで芽衣の願いに応えた。
牧野以外に自分を認識出来る者が現れた嬉しさもあったのだろう。でも、それ以上にアイドル・長瀬麻奈ではなく、一人の少女である長瀬麻奈として見てくれて友達になろうと言われたのが本当に嬉しかったと思える。

芽衣は異質な能力を持ち傷ついた経験を持つが故に、他者を思いやり、寄り添う優しさが強いのだと。生者であっても霊魂であっても差別せずに誰とでも平等に自然体で接する事が出来る。芽衣の方も、アイドルの長瀬麻奈ではなく、琴乃の姉である長瀬麻奈と友達になりたかったのだ。

 

 

 

 一つの奇跡が終わる刻~直に言えなかった“サヨナラ”を謳う者


 麻奈が幽霊となって現世にいるのは様々な要因がある。琴乃に対する想い、麻奈が作詞した楽曲『song for you』を観衆の前で歌う事が叶わなかった未練、麻奈の心臓を移植された川咲さくらとの繋がり、そして牧野への想い……etc

この作品のテーマの一つが、長瀬麻奈という存在を越えていくという事。刻の止まった彼女がこのまま現世に留まって、今の刻を生きている者達と関わり合っているのは自然の理に反する事。それは、生者は勿論、霊魂もその理から逃れる事は出来ない。前述の麻奈が現世にいる要因がストーリーの進行によって一つずつ埋まっていき、それに伴って麻奈の魂にさまざまな影響が現れていって、魂を現世に留めておく事が困難になっていき、牧野や芽衣にも視認出来ない程にまで……


 麻奈に残されている刻はもう僅かしかない。だからこそ麻奈にちゃんと『さよなら』を言いたいが、彼女の気配を感じ取ることが出来ない……芽衣に残された本気の想いを伝える方法はステージで最高のパフォーマンスを魅せるという一つの方法しかなかった。星見プロの10人で歌う楽曲に『サヨナラから始まる物語』という楽曲がある。NEXT VENUS グランプリの優勝者が立てるウイニングステージで10人はこの楽曲を歌った。

この楽曲を解釈していくポイントの一つとして自分が思っているのは、長瀬麻奈の死と成仏を『サヨナラ』という言葉で例えている事だと考える。詞にある『君』は麻奈を指していて、『わたし』は星見プロの誰かを指していて誰かというのは特定の存在に限定されない。だから、芽衣はこの楽曲で麻奈に直に言えなかった『サヨナラ』を伝える。芽衣の視点で歌詞を読み解いていくと、彼女と麻奈の縁の繋がりと築き上がる関係性が面白い程にそっていっている。



 と、まあ…芽衣は、麻奈を想ってこの楽曲をステージで歌ったと考えているが、麻奈の方はどうだったのかなという話になるが…自分はこういう解釈をした。
 
琴乃がウイニングステージで『song for you』を歌い終わった時、『まだまだ道を遠いよ』と激励の言葉を送り、果たせなかった夢を妹に託す。故に、この時点ではまだ麻奈は成仏していなかったのだろうし、ウイニングステージで歌う10人の謳に惹かれて麻奈の魂が惹き寄せられた……と解釈している。

特に、アイドル・長瀬麻奈ではなく、一人の少女である長瀬麻奈として見てくれて友達になってくれた芽衣の謳を聴く為でもあった。芽衣も麻奈がきっと傍で聴いてくれていると信じて謳う。

容赦なく訪れる二人の別れの刻。でも、この楽曲が二人の想いを刻み続けて、いつでも思い出せる切っ掛けになる。境界を超えて巡り逢えた奇跡に感謝して……直に逢って別れの言葉は交わせなかったが、芽衣は麻奈への想いを歌に込めて伝えた。そして麻奈は芽衣の想いを受け取れた。


 この作品は、死人(長瀬麻奈)に魂を引っ張られた者達の自立が大きなテーマの一つになっている。けど、芽衣はその逆で麻奈の魂に寄り添っていったのではないだろうか。ここが彼女と他の人物とは一線を画した特殊な立ち位置になり評価にも繋がった。最強・最高のアイドルという見方ではなくどこにもいる普通の少女として麻奈と友情を深めていけたのは、麻奈にとって幸せな事だった様に思える。

さくらや遙子、そして神崎莉央が麻奈の魂を認識出来て対話出来ていたら、アイドル・長瀬麻奈として接して来るだろうから大なり小なり壁がある。壁が無いのが妹の琴乃なんだけど、麻奈も不器用かつ素直になれない部分があるので琴乃とは距離を置きたい。

そんな中で、対等な目線で何のしがらみなく話せる同性の友達みたいな人間って麻奈には貴重な存在だったと思う。芽衣はおそらくアイドルとしての長瀬麻奈の事はよく知らない。だから構えずフラットに接する事が出来て友情を深めていけたのだと思う。



 麻奈の魂が天に還って本来あるべき理に納まっても麻奈は生きている。芽衣の想い出の中でずっと……それを魂に刻んで芽衣はアイドルの軌跡を駆ける。

 

 

 

 と、いう感じで……早坂芽衣編の考察でした。
次回、星見プロ編の最後となる兵頭雫編。(このシリーズはまだまだ続くんぢゃ……)『サニーピース』側のブラックボックス的な存在である彼女を、どこまで踏み込めて考えを巡らせてそれを文章化できるかは未知数ですが……何とかやってみようと思っております。


 
 今回も、最後まで読んで下さってありがとうございました。