巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

IDOLY PRIDEのキャラクターを斯く語る #1 長瀬琴乃編

 需要があるかどうかはさておき……(まあ、無いだろうwww)

今回から、『IDOLY PRIDE』キャラクターの独自考察記事を書き殴っていこうと思う。


ちなみに、このキャラクター考察はあくまでもアニメ版での物語に準拠したモノになっており、自分の主観と偏見混じりで書いていきますので、読まれた人それぞれのキャラクター観とは大いに異なる可能性があり、当然ながら書いたモノが正解だと言うつもりはありません。


 という事で、記念すべき第一回目はこの人物。
アニメ版において、ストーリーの主軸を担った長瀬琴乃についての考察を書き殴っていく。



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 長瀬麻奈の幻影という”因縁”


 元々、アイドルに興味があったワケではなく、むしろ、大好きな姉との刻を割かれてしまった事で琴乃の中でアイドルは最も忌み嫌う存在になってしまった。

そんな彼女がアイドルになると言うのは、遺された麻奈の日記に綴られていた、忙しくて関わる刻が減っても琴乃への変わらない想いと愛情があった事を知ったのが大きな要因だったのではないでしょうか。

姉の果たせなかった夢を自分が叶える事、そして、酷い言葉を麻奈に対して放った事への贖罪もあったのでしょう。勿論、姉と比較される事も織り込み済み。その覚悟や背負うモノは決して小さいモノではない。ある記事でも書いたが、琴乃が昔は短かった髪を伸ばして少しでも麻奈の面影に近づけているのも、彼女なりの覚悟の証明なのかもしれない。

どういうアイドルを目指すかではなく、彼女は長瀬麻奈の替わりに自分がならなければいけないと思い込んでいた様に思える。だからこそ、あらゆる手段を尽くしてもアイドルになるという執念染みた言が彼女の口から放たれたのでしょう。


 ただ、その覚悟の重さは、琴乃を縛る『呪縛』になっていた。


一人の人間でありアイドルでもある長瀬琴乃自身がまだ無価値で小さな存在に過ぎないという現実は、琴乃にとって最大の弱点であり認めたくないモノ。姉の遺志を継ぐ者という強固な鎧でその現実から身を守る。いない者からの自立=姉離れが彼女に与えられた物語のテーマでもあった。

 

 

 

 


 変わろうとする想いと誓い

 

 良く言えば、クールで凛としたストイックな佇まい。悪く言ってしまうと、不器用でクソ面倒くさい…というのが、自分の中における琴乃のインプレッション。物語の序盤はどちらかというと扱いづらいクソ面倒な部分が強く出ていた様に思う。

彼女は、他人や状況のせいにしたり、決断や厄介事から逃避する傾向が強く、他者との関わり合いが上手い方ではない。その辺りを、牧野や親友の伊吹渚は指摘して直せと忠告するが加えて頑固な性質と彼女の境遇もありつつ、琴乃はちょっと迂闊には触れづらい浮いた存在になってしまっていた。


しかし、その微妙な関係性は意外な所から石が投げられて壊され、新たな関係が築かれる。


 石を投げた(あくまでも例えです)のは、星見プロにカチコミ立ち寄ったボスユニット・『LizNoir』の神崎莉央と井川葵。三枝さんは彼女達に星見プロの新人たちにレッスンをつけてくれと頼み、圧倒的な存在感と実力を見せつけ、琴乃たちは徹底的にきっちりと打ちのめされた。

琴乃は、『LizNoir』に勝つためにどうしたら良いのか?と牧野に問う。
けど、彼はその答えは既に伝えてあると言う。その答えとして、琴乃は兵頭雫が撮っていたレッスン動画を皆で観ながら反省会を開く事を提案した。今まで決断する事や積極的に人との関わりを避けて来た琴乃が変わろうとする為に一歩踏み出す勇気を出したのではないでしょうか。


 そして、変わると言えば、琴乃はグループ『月のテンペスト』のリーダーという立場に就きました。奔放な芽衣やすずに手を焼きつつ(5話でさくらに愚痴ってたが)も目標に向かって直向きにアイドルとしての軌跡を行く。

さくらとの関係が少々ギクシャクし、なおかつ歌う理由も見失いかけた頃、琴乃を支えてくれたのがメンバー達でもあった。


 未だに麻奈の幻影に囚われていた琴乃の心をほぐしたのは、渚、沙季、すず、芽衣が、これまで一緒に過ごして来た刻で、長瀬麻奈の妹で遺志を継ぐ者という存在ではなく、長瀬琴乃という一人の人間を認めてくれたという信頼。麻奈の遺志を継いで歌う事が、琴乃がアイドルとして生きる為の指針。だが、その道を見失いかけてしまった……


でも、今の琴乃は独りじゃない。共に道を照らし傍らを駆ける仲間がいる。


渚、沙季、すず、芽衣の信頼に応えたい。『月のテンペスト』でグランプリに優勝する。それは、『月のテンペスト』にしか描けない物語であり彼女達だけの夢。

そして、その夢は、長瀬麻奈の替わりでは叶える事は出来ない。長瀬琴乃でなければならない。

姉の様に歌えないのなら、アイドルとして存在する価値は無いと思っていた琴乃の考えをメンバーは真っ向から否定し、『月のテンペスト』のリーダーであり、一人のアイドルでもある長瀬琴乃の存在を肯定する。それは、長瀬琴乃にしか出せない唯一無二の輝きがあるから。


彼女達の肯定によって、琴乃は麻奈の幻影の先を見る事が出来て、一つの答に辿り着くのです。

 

 私はもう、お姉ちゃんの後を追いかけない。


 お姉ちゃんの代わりにステージに立ちたいとも思わない


 私は、お姉ちゃんと同じ様に、もっともっとアイドルの事を好きになって


 もっともっとたくさんの人に楽しんでもらう。


 自分がなりたいアイドルを自分で見つけて自分で歩いていく。

 

 

 不器用で真っ向勝負しか出来ない琴乃が、突き付けられた現実と必死に向き合い、諦めずに抗い続けたからこそその答えを導き出せた。

麻奈の替わりではなく、長瀬琴乃として輝く事を目指すと。残念ながら、琴乃から麻奈の魂を認識する事は出来ない。故に、麻奈の魂に対して伝える必要は無いのかもしれない。それでも、琴乃自身の決着と自立の為として麻奈の魂へ誓ったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 『姉』ではない一人の『アイドル』として知り、踏み込んで触れる事。


 『姉』としての長瀬麻奈は大好きだが、『アイドル』としての長瀬麻奈は大嫌いな琴乃。
素直にアイドルとしての麻奈を応援するというかは、いろいろな思惑を持って近寄って来る人達の応対に本気でウンザリしている愚痴を麻奈に洩らしていた。1話で麻奈が学校で卒業ライブをしていた所を観ていた琴乃の無関心で冷淡な表情は、アイドルである長瀬麻奈は嫌いである事の証明の様に感じられたし、11話で神崎莉央と対話した際、妹なのに麻奈がどういうアイドルだったかという事をよく知らなかったのか?という莉央の物言いがその証明になってしまっていた。

それ故に、身内がアイドルであったがアイドル自体に興味を抱かず、むしろ忌み嫌う様なスタンスであったから当然姉のアイドル活動にも全く興味も抱かなかった。前述でも触れているが、その思考は麻奈の突然の死と遺した日記に記された想いを知って変化していった。


 話はちょいと遡り……本編の前日譚にあたるコミック作品『IDOLY PRIDE Beginning of Lodestar』に少し触れておかなくてはならない。このコミック作品では、Beginning(始まり)とある様に、1話で断片的にしか描かれなかった麻奈のアイドル活動時代を重点にして描かれている。

瞬く間にスター街道を駆けあがった様に見える麻奈だったが、決して全部が順風満帆ではなかった。ライブ会場で事故(照明が落下したが牧野が庇った)に遭いかけたり、激務による過労が原因で病院に担ぎ込まれたりと……身内である琴乃からしたら心配で気が気でなかった。


麻奈の台詞に『命を懸けて』というのがあったが、まさしく命懸けでアイドルに懸けていた。


麻奈は気遣う琴乃の想いを知りながらもアイドルとしてステージに立ち続ける事を辞めようとはしなかった。琴乃からしたら、どうしてそこまでアイドルに魂を懸けられ、身を削れる程に価値があって打ち込められるのかは、その当時やアイドルの軌跡を駆けだした頃の琴乃には到底理解出来る事ではなかったし、認めたくはなかったのだろう。

アイドルを忌み嫌ったのは、姉と一緒にいられる刻を奪われただけじゃなく、いずれは最悪の事態(麻奈の死)に遭ってしまうのではないかという恐怖もあったのだと。(結果的に最悪の事態は起こってしまったワケだが……)


 すずに、アイドル(麻奈)の資料を見せて欲しいと頼んだのは、アイドルが放つ輝きがもっと知りたいというモノでもあったが、それ以上にアイドルのパフォーマンスの質の高さを知る事が目的だったのではないだろうか。意志を受け継いで志を高く持ち、徹底して歌やダンスの質を磨き上げれば、きっと麻奈の様なアイドルになれると信じて疑わなかった。

しかし、ただ単純にパフォーマンスの質を鍛えて向上させただけではアイドルとして成立出来ないという事も痛感させられた。でも、その痛みを知って本当にアイドルとして必要な資質に琴乃は気付かされた……というよりは向き合う覚悟が芽生えたのだ。そして、アイドル・長瀬麻奈の生き様を知るべく為に踏み込む覚悟も。


 そして琴乃は、自分と同じく麻奈の幻影を追う者である『LizNoir』の神崎莉央に、アイドルとしての長瀬麻奈がどんなアイドルだったかを聞く。麻奈の劣化コピーでしかないと酷評した相手にコンタクトを取って話を聞くなんて事は、以前の琴乃だったら絶対にしなかったはず。

ただ、莉央からの酷評に琴乃も真っ向からの否定や噛みつく様な反論をしなかった事を見ると、琴乃も自覚はあっただろうし、彼女に琴乃自身と重なる麻奈の幻影を追う者として通じ合える部分があってシンパシーを抱いた。だからこそ莉央に麻奈の事を聞かなきゃならないと感じて動いた。

莉央の方も、おそらく琴乃と同じ感覚を抱いていた。だからこそ琴乃に、アイドル・長瀬麻奈がどういう存在だったのかを話す気になったのだろう。

 

 

 悔しいけど、彼女(麻奈)の歌を聴いて心が揺さぶられたの。


 見てると元気になれるステージ。気持ちが明るくなって笑顔になっていた。


 ずっと見ていたい。いつの間にかこの人の事が好きなんだと思える…そんなステージだった。

 

 

 莉央にとっても、単なるライバルの枠には収まりきらない存在で理想のアイドル像でもあった麻奈。そして、その存在を超えようと闘い続けて誰よりも拘り続けている。麻奈が亡くなってもそれは変わらないしその想いは強いモノなのだ。莉央の答えは琴乃の想像通りで、おぼろげだった本当の答えに辿り着けた瞬間でもあった。

そして、グランプリのセミファイナルにて『LizNoir』との決戦に臨んだ『月のテンペスト』は未披露の楽曲『The One and Only』で勝負を挑む。この楽曲は自分らしく自分の道を切り拓いていく意思が込められているという。で、完全な妄想の域だが作詞はメンバーがしたと自分は思い込んでいる。



 誰かの真似じゃなく 自分の場所探せ


 つまずいても 立ち止まっても


 『追いかける』じゃなくて自分の道歩め

 

 ―月のテンペスト 『The One and Only』より引用



 前述の通り、仮の話(妄想)としてこの楽曲が月のテンペストのメンバーによる作詞だとするならば、この詞を書いたのは琴乃ではないだろうかと思っておる。

麻奈の遺志を受け継ぐ者として長瀬麻奈になろうと……しかし、それは間違いというつまずきであった。でも、諦めないでもがき、人との出逢いや話に耳を傾けて聞いて学んで悩んで考え抜いて答えを導き出した。言わばコレは、アイドル・長瀬琴乃としての生き様を詞に込めたと言っても過言ではない。


 踏み込まなければ触れる事は出来ない。知らなきゃならない事から向き合わないのは確かに簡単。だが、それを知らなければ掴めない事もある。琴乃が麻奈の幻影から自立する為に最も必要だったのは、麻奈が生命懸けてまでアイドルに夢中になった刻と理由を痛みを負いながら知る事。それも琴乃の自立に必要なファクターだった様に思えてならない。 

 

 

 

 

 

 刻と境界を超えて繋がる絆

 

 アニメ版の物語で欠く事が出来ないのが、麻奈が遺した楽曲『song for you』の存在。
琴乃は、この楽曲を姉の様に歌う事で、麻奈が果たす事の出来なかった夢を叶える事だと信じて邁進してきた。


けれども、いくら頑張っても麻奈の様に謳う事は出来なかった。身が切り裂かれる様な思いで姉の遺した楽曲を、琴乃は姉の様に歌うことが出来る川咲さくらへと託し、彼女は二度とこの楽曲は歌わない決断をしたと思います。


でも、琴乃はこの楽曲を謳った。そう思えた理由は、前述でも触れた様に麻奈の幻影への決着と自立の意味が琴乃にあったからだと思えるのです。

彼女がこの楽曲を歌いきって成立させる事で、完全な決着と姉に依存してきた琴乃の自立の意味を持たせられて、ある意味で琴乃は呪縛から解き放たれ救われる事にもなるし、麻奈が歌う事が出来なかったこの楽曲をステージで間接的に琴乃が歌う事が叶った事で、麻奈も救われた。


 麻奈の声は琴乃には聞こえないが、『まだまだ道は遠い』という激励と麻奈が果たせなかったトップアイドルになる夢を託した意味合いの言葉に、何か吹っ切れたような微笑みで琴乃は応えた。

それは、最期の刻で途切れかけていた、姉妹の誰にも割り込めない絆を再び繋ぎ止める事が叶う事を意味する。

姉への『依存』と『呪縛』から本当の意味で解き放たれた事で、一人の自立を果たしたアイドル・長瀬琴乃としての輝きを掴み取った事実を実感できるのだと思います。

 

 

 

 …と、いう事で、キャラクター独自考察・長瀬琴乃編でした。

取りあえず、こんな感じで各キャラクターに関連する事柄に触れながら、いろいろな考えを巡らし書き殴っていこうかと思っております。

乱筆乱文で読みづらいでしょうが…これからも読んで下さると幸いであります。