巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

4 You!!!(For You)とは選ばれざる者達への手向けでもある。

 止まってなんかいられない=止まったら死ぬ。
あくまでもコレは自分の勝手な『Run Girls, Run!』のアイデンティティだと思っている。


過去に何度も書いて来たが、彼女達は時折なかなか正当な評価をされない事への焦燥感や比較への劣等感をポロっと口に出す事が結構あった。でも、彼女達はその負の感情を燃料として駆け続けて今に至っている。そんな彼女達に心揺さぶられランナー諸氏は応援しているのだ。


 しかし…そんな彼女達が負の感情を包み隠さず表に出す事を許せないと感じる人もゼロでは無い様に思える。RGRの三人はオーディションを勝ち抜いた者。勝ち抜いたという事は負けた者(落選)がいる。言い方を変えるとあの三人に夢を潰され屍を踏み越えられた者達。そちら側(落ちた者達)の者の中にはRGRの存在を快く思わない人もいるのだろう。

彼女達が活躍する事が呪いになってしまった人達が大勢いるのかもしれない。開かれたチャンスの扉をくぐったがその出口の門は途轍もなく狭かった。三人と同じく憧れと夢抱いた者、興味本位で挑戦した者、ラストチャンスとして人生を懸けて挑んだ者…


ちょっとだけ未来が違っていたのなら、その軌跡を駆けていたのは私だったのに。
私の夢潰した奴が何ネガティブな事を公の場で言ってるんだと行き場のない怒りに身を焦がすのはある意味自然な事なのかもしれない。


単なる個人の妄想のバラ撒きでしかないが……あの三人は背負ってしまったのだ。



敗れし者達の魂を。



 林鼓子森嶋優花厚木那奈美が勝ち取った憧れと夢の軌跡を駆ける事が叶わなかった者達の想いと魂、無念と絶望という負の感情までも全て背負って輝く為の選ばれし者達の責任を果たす事が敗れし者達への手向けになると信じているのかもしれない。


敗れし者達の未来を閉ざしても、己の夢を輝かせ貫き通す為に。


もしかしたらという僅かな希望を抱かせない程、圧倒的かつ絶対的な説得力で分からせるしかない。チャンスや縁が無かったんじゃない。あの三人じゃなきゃ駄目だった。私じゃあの三人には超えられない。きっぱりと諦めがつく程笑うしかない、絶望する事がおこがましい位にレベルの違いを魅せ付けて。

吹っ切れて、魂に燃えるひと時の夢が呪いから願いへ昇華する程に。叶えたかった夢を安心して託せる様に…そして、彼女達自身の為にも、惹かれて応援してくれるランナー諸氏の為にも、信じて願いを託してくれた人達の想いに応える為、彼女達を見て背中を追いかける次世代の為にも……


林鼓子森嶋優花厚木那奈美が選ばれたのはもしかすると僅かな差なのかもしれない。他に、三人を凌ぐ圧倒的な才能を秘めていた人や既に高い技量を持っていた人もいたのだろう。


だが、この三人でなければ『Run Girls, Run!』として成り立たなかった。



彼女達でしかこの物語と敗れた者達の魂を背負う事の出来る者などいなかった。
何か説明が及ばない見えない力と縁に導かれて、だれもが頷かざるを得なかった、認めざるを得なかった。


あの三人は、選ばれるべきして選ばれたのだ。


きっと、彼女達は理屈ではなく本能で理解しているのだろう。
どうにもならない事への焦燥感や劣等感を抱えながらも、抗い駆け続けるその姿に彼女達の闘う意味や覚悟、偽り無く伝えたい想いと魂があるのだと。