巡礼者のかく語りき

自由気ままに書き綴る雑記帳

古川由利奈『ガールズフィスト』卒業の報に思う事。

 5月1日。『ガールズフィスト!!!!』発の声優ロックバンド・南松本高校パンクロック同好会のベース担当で、藤森月役の古川由利奈さんが、2021年4月末をもってバンドと作品から卒業されると『ガールズフィスト』の公式ツイッターより発表された。

 

 

 

 

そして、コレはどちらが先かは分からないが同日に、古川さん本人のツイッターにて、所属されていた事務所『FIRST WIND production』を退所し今後はフリーで活動していく事も発表された。

 

 

 

後日、古川さんが『ガールズフィスト!!!!』を応援されている人達に向けてのメッセージを挙げている。

 

 

そのメッセージによると、降板する経緯についての言及は明確にされてはいないが
『新たなステージ目指して進む』と説明されていました。


メンバーが卒業するのはこれで二回目。一回目は結成間もない頃、ボーカルの奈川芳野役の加藤あつこさんが卒業となった。

加藤さんの場合は体調不良による療養が必要とされたとの事による卒業であった為、それは止む無い状況だったのだと思われる。だが、今回の古川さんの件に関しては本当に突然の事で衝撃的だった。


 グループを応援していく上で、卒業という名目の脱退やグループの終焉(解散)は切っても切り離せない問題だ。特に、コロナ過という惨状の現在に於いてはより密接な問題として付き付けられている。

しかし、前述の通り明確な卒業に至る理由が本人から発せられていない為、事の真相は分からないが、決断に至る理由の一端となる色んな予兆があったのだと思えてしまうのだ。


 
 『南松本高校パンクロック同好会』に於ける古川由利奈さんはどんな人だったのか?知って浅い自分が語るのは正直おこがましい所はあるが……リーダー的な役目を担いメンバーの精神的な支柱だったと思う。

弦楽器の経験は結成当初は無かったが、ピアノを長い事やられていたので音楽知識と経験はメンバーの中に於いて随一のモノを持ち、いくつかのオリジナル楽曲の作詞や制作にも携わっていた。

また、ライブのMCではトークの進行や割とフリーダムなメンバーのツッコミや自らもボケたりと幅広いバラエティスキルも持ち合わせてもいる。

バンドに於けるベースの影響力は大きいモノで、そのバンドのリズムとコードの基盤となり楽曲が成立しないとまで称される縁の下の力持ちでありつつ無くてはならない存在。
また、ベースがしっかりしているバンドは安心出来るという意見もある。

おそらく、メンバーの中で、声優としてのキャリアも古川さんが一番経験があるのだろう。
前述との件と合わせた結果、彼女にベースのパートを与えたのかもしれないと勝手ながら思ってしまう。

そういうメンバーであることから、古川さんの卒業というのは『ガールズフィスト!!!!』にとっては大きな損失となる。根幹となる原作が四人の女子高生がバンドを通じての成長譚を描いている事から一人抜けたままというのは考えづらく、古川さんが演じる藤森月&ベースの後任を立てるはず。

しかし、古川さんの代わりを立てるとなると相当難航するように思える。
(もしかすると、もう見つかっているのかもしれないが)
それに関しては公式から何らかの発表があるでしょうからそれを待つしかない。


 

 『ガールズフィスト!!!!』は同名のコミック作品を主軸にしたメディアミックスプロジェクト。
コミック作品の方は2020年2月に発売された第2巻で“第1章完結”となっていたが、昨年の11月に『ガールズフィスト!!!!』が出演したイベント内の告知でコミック作品としての新展開が発表され、冬に連載開始されると発表した。

だが、2021年5月現在、公式のツイッターでは連載準備中の文字が未だに残っていて、当然ながら連載もしていないのが現状だ。

それが影響しているのか不明だがおそらくはそれが決定打なのかもしれない。バンドの活動も表立ってされていなくて昨年末に無観客で開催した配信ライブ以降公の場に出てないし、公式のYouTubeチャンネルも更新されていないし、新曲のリリースもしていない。


この何も出来ないという状況、色々とネガティブな感情が渦巻いて不安に苛まれても不思議ではないモノだろう。演者側からアプローチや声をあげてないのか?と思えなくもないが実際の所そういう単純な事ではないのかもしれない。


あくまでも憶測の域を出ないモノではあるし根拠はないが…新たなステージを目指すために卒業を決断したというのは、言い換えてしまうと『ガールズフィスト!!!!』を取り巻く状況がこれ以上進展が見込めないと判断しても仕方がなく、一つの組織とコンテンツにいるより選択肢が増えるであろうという可能性に懸けて、辞めるという決断に至ったのかもしれない。

勿論、これは『ガールズフィスト!!!!』を辞めた事を責めるモノではないし、責められない。
表現者としてだけではなく、一人の社会人としてこういう環境を変える劇的な選択もアリだと思う。実際問題、身軽になったからといって全部上手くいく簡単なモノではない。この決断を下した古川さんの覚悟は相当に重いモノだと思う。真相は当人にしか分からないモノなのでどうこう言えないが、身を切る決断と覚悟を持って古川さんが決意したこの決断を自分は素直に尊重したい。


でも、ただこの古川さんの卒業について個人として残念に思う所があった。


自分はまだ『ガールズフィスト!!!!』のライブを現地参戦出来ていない。だから古川さんがクールな佇まいにてベースを爪弾きサウンドを奏でる姿を観る事が叶わなかった事と……
現在の世情に於いては困難な事ではあるのは承知だが、卒業ライブを開催して古川さんの新たな門出を祝福して送り出す機会が無かったのは残念に思えてならない。


まあ、間に合わなかった奴(俺)の戯言ですが……

 

 そして、古川さんの新しい門出に、浅見さん、奥村さん、内山さんはこんな言葉を寄せている。

 

 浅見春那


 『ガールズフィスト!!!!でゆっちゃんと一緒に音楽を奏でられた時間は宝物です』


浅見さんとはデビューして間もない頃からの縁であり、最初に仕事をした先輩でもあった。
古川さんの背中や佇まいを見て彼女は表現者として様々な事を学んだのでしょう。
浅見さんは独特でフリーダムな世界観を持つ人。彼女が奔放に振舞えた最大の要因は古川さんがきっちりと支えて導いてくれた事への感謝が込められた言葉でもあった。

一緒の刻を共有し、それを宝物と評した。古川さんの姿はいなくても古川さんがバンドにもたらした数多くのモノは無くならない。浅見さんはそれらをちゃんと継承してこれからステージで表現していくことだろう。それは、ボーカル・浅見春那の『貌』をより鮮やかに彩られるモノと思える。
 


 内山つかさ


 『ゆっちゃんが「私はガールズフィスト!!!!のメンバーだったんだぞー」って自慢できるくらい大きくなれるように頑張るね。』


おそらくは今後、彼女がリーダー的な役割を担うと思える。そう自分が感じるのはこのバンドのムードメーカー的なポジションでもあるし、古川さんとはまた違うベクトルで支えられるポテンシャルを持った人というインプレッションからである。

内山さんは誰よりも笑顔を絶やさずメンバー同士の鎹であり続けてきたメンバー。これからも自身のキャラを貫いて、ガールズフィスト!!!!の緩衝材であり続けてほしい。

 

 奥村真由


 『ゆっちの新しいステージを応援すると共に、私たちもでっかく輝けるよう全力で頑張るね』


ほんわかした雰囲気が魅力の、バンド内の癒やし系的なポジションの彼女だが、古川さんへ送ったこの言葉は力強いモノを感じる。違う軌跡を行く事となった古川さんにそれぞれの軌跡で強く輝こうとエールを送った。それは互いが互いの誇りである様にというメッセージなのだろう。

奥村さんが奏でるパワフルで激熱なギターサウンドは、荒ぶる激情の表れなのだろう。
柔和な雰囲気の奥底には熱い魂があって燃え滾っているのが彼女の本質なのかもしれない。そんな彼女の奏でるサウンドをもっと聴きたいし願わくば大きな場でも聴きたいと願う。

 


 突然の古川由利奈『ガールズフィスト』卒業の報。
卒業という綺麗な御題目で取り繕った所で、それはやっぱり寂しく虚しいモノだ。

卒業の理由を理解して尊重しているものの、落とし切れていない部分だってある。それに、卒業と脱退は大差のない言葉だ。それは自分なんかより彼女達を深く熱い想いで応援して来た人にとっては鋭く突き刺さったモノだろう。

捉え方によってはこのバンドによるこれまでが否定されて見切りをつけられたと思い憤る人もいるのだろう。その激情も間違いではない。それだけの本気の想いを懸けていたのだから。


集団が終わってしまうのは当然ながらキツい。しかし、集団の誰かがいなくなるのもキツい。


人がいなくなるという事は、劇的な変化でもある。


この変化は何も悪いモノではない。両者がこれから行く軌跡は違うが未来の刻でもしかすると形を変えて再び交わる希望が無いワケでもない。

 

 最後になりますが、古川由利奈さんと『ガールズフィスト!!!!』両者の未来が明るく幸多き事を願いつつ筆を置かせていただきます。