どうも。RGR楽曲ライナーノーツシリーズのお時間です。
早いもので(あくまでも自分の感覚ですが…)今回で10回目になります。
『Run Girls, Run!』はまだまだこれからのグループ。まだここに書いていない楽曲や、これから新しく出て巡り逢う楽曲についても書いていきたい所存でございます。
で、今回もRGRの1stアルバム『Run Girls, World!』に収録されておる楽曲の事を書いていく。
Darling Darling/森嶋優花
RGRのリーダー・森嶋優花さんによるソロ楽曲。
曲題に用いられている『Darling』(可愛い・最愛の人)からもう可愛らしさ全開フルスロットルであり、曲調もまたポップでキュートなテイストで、それに森嶋さんのロジック(理論)で導き出された可愛らしい歌声が最後のピースで彩られた可愛いという要素に全てのベクトルが全振りして向けられて突き抜けた王道なアイドルソング&ラブソング。
なおかつポップなテイストなのでライブ映えする要素は抜群に高い。
それはキャッチーな詞も影響しているのだろう。サビで用いられているシンプルな英文であったり単語を繰り返して観客がレスポンスしやすい構成になっている。
詞といえば、この楽曲にも林さんのソロ楽曲『りんごの木』に彼女の愛称が詞に組み込まれていたが、この楽曲にもそれは踏襲されて、森嶋さんの愛称である『もっちー』が組み込まれているのも大きな特色だろう。
ただ、多く直接的に登場してくる『りんごの木』とは違っていて、この楽曲で出て来るのはラスサビ部分でようやく出て来て『もちろん』という語に掛ける形で出て来る。この辺はラブソングという特性もあってなのか恋愛の駆け引き・焦らしを模してそういった表現にしたのかなと思わせる。
インタビュー記事にて、厚木さんはこの楽曲についてのインプレッションを
『これぞ!森嶋優花』って曲と語られていたがまさしくその通りの楽曲で、可愛さの権化、可愛らしさの過剰摂取。自分が書く楽曲所感でよく出て来る表現で恐縮ですが……
森嶋優花にしか謳えないOne offの極致にある楽曲だと感じた。
実を言うと、自分はこういったテイストの楽曲は聴き心地が良くない抵抗感というか、聴くのが苦手なテイストの系統だったりする……
あざとく、可愛く甘い方向に全振りして突き抜けた楽曲ではあるのだけれども、この楽曲への抵抗感は一切抱かずにすんなりと聴けて受け入れられたのである。
不器用に見せる器用さに、見て無い様できっちりと周りを見られる。
森嶋優花の上記に挙げたパーソナリティが、あざとく甘々のイメージで抱くマイナス方向のインプレッションではなくプラス方向のインプレッションに変えた。
森嶋さんへの贔屓目な評価も勿論あると思う。けど、それ以上に、森嶋さんのロジック(=可愛らしさの理論)と入念な準備が、この楽曲を単なる一方的に押し付ける強烈なエゴなモノではなく聴衆も巻き込んで楽しもうというモノに仕上げようと真摯に向き合ったからだと思えて来る。
勿論、彼女が一方的に可愛らしさを強調して置き去りにしていく表現でも問題はない。
折角のソロ楽曲なのだからもっとエゴイスティックになっても良いし、そっちの方がより響いて受けがいいかもしれない。
でも、森嶋さんはそっちの方向に舵は取らなかった。この楽曲を取り上げたインタビューにて彼女は『Darling Darling』についてこう語る。そこに彼女が貫きたかった表現への信念があり、この楽曲が単なるラブソングには留まらない『要』があったと思う。
レコーディングでは、ライブでランナーさんがサイリウムとかを振って応援してくれてる姿を思い出しながら歌いました。
―リスアニ!WAB 待望の1stアルバム『Run Girls, World!』が完成!Run Girls, Run!ロングインタビューより引用
マイク前で一人でレコーディングしていてもランナーさんたちの姿が思い浮かんできたり、ステージに立っている自分が思い浮かんだりして。
そういったことがつながって『Darling Darling』が完成しましたね。
―animateTimes 『Run Girls, Run!』1stアルバム『Run Girls, World!』への軌跡と現在地より引用
彼女は、自分が受け手側にどう見られるか?どうやったら印象深く魅せられるかを入念に探って探り抜いて、徹底的に準備して物事に臨まれる人だと思っている。愉快な要素の振る舞いが目立つ人だとは思うが、自分の抱く印象は論理的にモノを考えていてロジックをきちんと表現の形で表せる表現者だと見ている。
森嶋優花にとっては受け手側を置き去りにしていく一方的な表現は有り得ない。
このインタビューからは双方向への想いの循環を重視する事が彼女の求める表現の形であり森嶋さんの貫きたい信念。
そこで、この楽曲のタイトル『Darling Darling』に焦点を当てて考えてみる。
注:ここから更に暴論全開の解釈(当Blogでは毎度の事だが…)
『Darling』の和訳は冒頭にも書いた通り、可愛い人や最愛の人という意味がある。
ラブソングというテイストな楽曲でもあるから、詞で紡がれている世界感は少女の恋愛模様を描写しているモノでそれをテーマとしているのは森嶋さんも言及している。
だが、こうも考えられないだろうか?
最愛の人=彼女が大切に想う存在=仲間たちやランナー達への情。即ち……恋愛感情のラブソングではなく、好意の方の親愛の情と感謝を示すラブソングでもあると。森嶋さんがインタビューで言及していた事と彼女のパーソナリティであると思える双方向への想いの循環とを照らし合わせてみると、自分はそちらの方(恋愛<親愛)の印象が勝っているのである。
やっぱりOnly Only oneの キミだから
ちゃんと伝えなくっちゃ I love you
勇気を出して 言う言葉なら一つ…
もっちーろん I love you
もっちーろん Yes! I love you
―森嶋優花 『Darling Darling』より引用
『I love you』は恋人を『愛する』といった感情とは異なるニュアンスにもなるとも言われ
自分にとって大切な人だという意味でも使われる。『キミ』というのは林さんと厚木さん、更に受け取り側の人達=応援するランナーを称した喩えなのだともとれる。
前述でも触れたが、『もちろん』という語に森嶋さんの愛称である『もっちー』と掛ける事で彼女の想いを強調させているし、語呂とメロディとの兼ね合いも無理が無くて良い。それ故により響いてくる。それは、曲題や一部の詞にある同じ単語を繰り返す表現にしている事に繋がってもいるのだろう。
そして、ここに繋がって彼女の伝えたい本気の想いがあった。
やっぱりDarling Darling もっとこの気持ち
素直に伝えたいよ I love you…
―森嶋優花 『Darling Darling』より引用
この節は歌い出しのパートのフレーズ。
映画や小説等でクライマックスのシーンを冒頭で配置するかの様な…物語の結末はプロローグで暗示された制作者側の大胆な仕掛け。
誰に何を森嶋さんはソロ楽曲で伝えたかったかという想いの『要』がいきなり在った。
単なるキュートなラブソングという枠ではなく、大切に想う人に向けた広義的な親愛の情を謳った森嶋優花にしか謳えないラブソングなのだと思えてしまうのであった。